疫病と共に広がる絶望!
ゆうきつかさ
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シナリオID:814
オープニング
「ネズミの魔獣が現れたのは、今から数日前。一瞬……、ほんの一瞬で、わしの村が地獄絵図と化した」
辺境の村に住む老人ノービスが、落ち込んだ様子で口を開いた。
「それでも、噂だけは聞いていた。近隣の村にネズミ達が現れ、食糧庫を襲っている、と……。だから、出来る限りの対策はした。だが、甘かった。たかが、ネズミが相手だと思って、甘く見過ぎていた。それが、そもそもの間違いだった。ネズミの魔獣は全身から特殊なフェロモンを発し、村にいたネズミ達を支配下に置いた。ネズミ達は村人達を襲い、無力化させた上で、食糧庫を襲った。わしが逃げる事が出来たのは、ある意味……奇跡じゃ。その代償として、仲間達を見捨てる事になってしまったが……」
ノービスにとって、それは後悔しても、し切れない事だった。
だからと言って、自分の力だけで、ネズミの魔獣に勝てる可能性は、ゼロに近い。
罪悪感に襲われながら、ノービスは茂みの中に隠れ、村の様子を窺った。
ネズミ達は村人達に興味を示していなかった。
まるで物。
その辺に転がる石ころと、同じ扱いだった。
だが、村人達は違っていた。
ネズミの魔獣が持ち込んだ病原菌が、村人達の心と身体を蝕み、絶望のどん底に追いやっていた。
「このまま放っておけば、村人達は病気に身体を蝕まれ、次々と命を落としていく事だろう。しかし、わしが出来る事と言えば、こうやって頭を下げる事しか出来ない。だから、頼む! わしの代わりに、みんなを助けてやってくれ。とりあえず、薬は用意した。これで村人達の治療をする事が出来るはずだ。そして、みんなの仇を……ネズミの魔獣を倒してくれ!」
そう言ってノービスが、テーブルに頭を擦りつける勢いで、深々と頭を下げるのであった。
解説
マスターより
リプレイ
「……鼠か。昔から食料を荒らすわ、病原体を持ち込むわ、色々と害をもたらす上に、その行動範囲の広さや繁殖力のすごさで厄介極まりないけど……魔獣までいて、それを統率してくるとなりゃ、一般人にはどうすることもなかっただろうな」
ケン・Z・ブラッドリーは仲間達と共に森を通って、ネズミの魔獣が確認された辺境の村に向かっていた。
念のため、殺鼠剤を混ぜた毒団子と、薬を買い込んでおいたものの、いまのところ村人達が生きている保証はない。
だが、ゼロではない。
その、わずかな可能性に賭け、あえて絶望ではなく、希望を選択した。
「資料を読む限り、伝染病……という訳では無いようだけど、絶対に違うと言い切れないところが怖いよね。とりあえず、ネズミーマウス(魔獣)を夢の国に強制送還してあげないと……」
アルマ・ヴァレンタインが覚悟を決めた様子で、自分自身に気合を入れた。
どうやら、ネズミの魔獣は、他の魔獣と比べて身体が大きく、凶暴な性格をしているようである。
そのためか、ナワバリ意識が強く、近づく者に対して容赦がないようだ。
ただし、ネズミの数が多いため、ネズミの魔獣を見分ける事は、困難。
ある程度、数を減らさなければ、特定する事さえ難しいだろう。
「それにしても、病原菌でございますか。針のないネズミは、厄介でございますねぇ……。とにかく、ワタクシ共も感染しないよう、気をつけるでございますよ!」
そんな中、ハリーヌ・ヨツユビが森の中で薪を拾い、ロープで纏めてマジカルポケットにしまい込んだ。
現時点で、確認されているだけでも、大量のネズミが村に集まっているため、食糧を食べ尽くす前に倒してしまう必要があった。
そうしなければ、別の村を目指して、大移動を始めてしまい、被害の拡大を食い止める事が困難になるだろう。
「操られてるだけなら鼠に罪は無いですが……病気を運ぶ害獣でもあるので、仕方がありませんね」
エヴァン・ピオネロが複雑な気持ちになりながら、自分自身に言い聞かせた。
そうしているうちに、独特なケモノ臭と共に、辺境の村が見えてきた。
しかし、ネズミの魔獣に占拠されているためか、そこに村人達の姿はない。
まるで廃村の如く寂れており、不気味な雰囲気が漂っていた。
「だ、誰か……そこにいるのか……」
その途端、茂みの中から傷ついた村人が、弱々しく這ってきた。
おそらく、ネズミ達に襲われながら、村の外まで逃げてきたのだろう。
身体中にネズミの噛み跡があり、だいぶ弱っていたものの、病気にはなっていないようだった。
「鼠の魔獣は、ぼく達が倒します。だから、少しだけ待っていてくださいね」
その事に気づいたエヴァンが、傷ついた村人に駆け寄り、応急手当をした後、優しく声を掛けた。
「あ、ああ、分かった。だが、村に、まだ人が……」
応急手当を受けた村人が小さく頷き、村の方に視線を送った。
そこには村人達が倒れていたものの、ネズミ達に襲われて傷つき、動けなくなっているようだった。
どうやら、ネズミ達は食糧庫に集まっているらしく、外に出ているのは、まばらであった。
「皆さま、準備はよろしいでございましょうか」
ハリーヌが仲間達に確認した後、アルマと一緒に焚き火を始め、大量の煙を食糧庫に流し込んだ。
それに合わせて、エヴァンがケンと一緒に殺鼠剤入り団子をバラ撒き、ネズミの達が出てくるのを待った。
「チュ、チュ、チュ、チュ、チュッ!」
次の瞬間、ネズミの群れが大量の煙から逃れるようにして、食糧庫の中から飛び出した。
みんな何が起こったのか分からず、パニックに陥っているのか、村の外まで飛び出していきそうな勢いで、慌てているようだった。
「それでは、本命の魔獣対応は、お任せして、私はネズミを散らす事に集中するとしましょうか」
その行く手を阻むようにして、アルカがネズミの群れの前に立った。
「チュッ!」
ネズミの群れは殺鼠剤入り団子を一瞥した後、一斉にアルカをガン見。
「……えっ?」
その事に危機感を覚えたアルカが、気まずい様子で汗を流した。
ちなみに、アルカは、めっちゃ臭い。
普通であれば、そのニオイを嗅いだだけで、本能的に飛び退いてしまうほど、臭い。
だが、ネズミ達にとっては、魅惑の香り。
ある意味、御馳走!
そのため、妄想擬人化した死亡フラグ達が『おい、アイツ等。お前に気があるようだぜ!』と耳打ちしてきそうな勢いで、ヤバイ雰囲気。
思わず『……あ、汗って、滝のように出る事もあるんですね、あはははは……』と呟きそうなほど、生きた心地がしなかった。
「とりあえず、これでニオイを……!」
即座にハリーヌがアルカに香水を吹きかけたものの、それが魅惑のブレンドとなって、ネズミの群れを余計に興奮させた。
だからと言って、ハリーヌに悪意はない。
良かれと思ってやった行動が、運命の女神のイタズラで、最悪な方向に傾いただけである。
それが原因で、ネズミの群れは、まるでアイドルを追いかけるファンの如く勢いで、アルカにズンズンと迫ってきた。
「いやいやいや……、もっと美味しいモノがあるでしょう。ほら、この団子とか。あ……、話を聞いていませんね。ひぃ……!」
アルカが何かを悟った様子で、逃げるように全力ダッシュ。
気のせいか、死亡フラグ(絶賛妄想擬人化中)だけでなく、死神達まで追走し始め、ハードラックとダンス状態。
「アルカさん、頑張って!」
すぐさま、アルマがレゾナンス・オブ・ヴァローを発動させ、声と共にエーテルを解き放ち、アルカの身体を淡い光に包んで身体能力を向上させた。
「もしも、ここで命を落とすような事になったら、せめて骨だけでも拾ってくださいね」
その気持ちに応えるようにして、アルカが死亡フラグ達(妄想擬人化中)を払い除け、風と一体化して光になる勢いで、ネズミの群れから逃げていった。
「チュチュー!」
その挑発(?)に乗るようにして、ネズミの群れが土煙を上げながら、アルカの後を追いかけた。
こうなると、喰うか、喰われるか……いや、とにかく喰うか、と言う状況。
ここで喰わなければ、いつ食べるんだとばかりに、ネズミの群れが大興奮ッ!
「んじゃま……、害虫駆除と行きますか」
そんな中、ケンが天眼で視野を確保しつつ、ネズミの群れを迎え撃ち、低い軌道で薙ぎ払った。
「チュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
それと同時にネズミの群れが悲鳴を上げ、次々と宙を舞って、大量の血が雨となってケンの身体に降り注いだ。
しかし、ケンはまったく気にしておらず、ネズミの群れも『ライバルが減った』程度の気持ちしか抱いていなかった。
「チッ……、針のないネズミ風情が調子乗ってんじゃねぇぞ……」
そこに追い打ちをかけるようにして、ハリーヌがメテオライト2を発動させ、大量の小さな光弾を雨の如く降らせていった。
そのたび、ネズミ達が悲鳴にも似た鳴き声を響かせ、次々と肉の塊になった。
「チュウウウウウウウウウウウ!」
それでも、ネズミ達の勢いは、止まらない。
誰が一番肉をゲットするかで競い合い、鋭い牙を剥き出しにしたまま、瞳をキランとさせていた。
「ウホホッ!」
その間に、ハリーヌのペット(ゴリラ)が、地面に突っ伏す村人達を抱え、ひとりずつ村の外まで運んでいった。
「はあはあ……、もうそろそろ大丈夫……って、しつこいですよ、本当に……!」
一方、アルカはハーメルンの笛吹き男の如く残ったネズミ達を引き連れ、村の中を走り回っていた。
だいぶ数は減ったが、ネズミ達は未だに興奮状態ッ!
隙さえあれば、飛びついてきそうな勢いで、みんな殺気立っていた。
「もし毒にかかったとしても『サルベーション』で治療すれば大丈夫だと思っていたけど……この状況じゃ、流石に厳しいかな。ちょっと、待っててね。残りのネズミも倒すから……」
そんな空気を察したアルマが、メテオライト2を発動させ、大量の小さな光弾を降らせて、残りのネズミを倒していった。
「今度は、こっちの番ですよもう何も怖いものなんてありませんから、ええ、何も!」
アルカがノービスランスを握り締め、先程のお返しとばかりに、ノービスランスでザクザクとやった。
「チュチュー!」
だが、ネズミの群れは先程の攻撃で弱っており、抵抗するだけの力が残っていなかったため、成す術もなく肉の塊と化していった。
「……チュッ!」
その途端、ネズミの魔獣が我に返って、脂汗を流した。
「さて……、後はあんただけだな。ビビッて腰でも抜かしたか? まさか、我を忘れて、追いかけ回していた訳じゃないだろ? ……って、まさか図星か? まあ、なんであれ、脚の一本でも斬り飛ばしておくか」
ケンが軽く皮肉をししながら、ケンがネズミの魔獣に迫っていった。
「……チュ!」
その事に危機感を覚えたネズミの魔獣が、踵を返して脱兎の如く逃げ出そうとした。
「何処にも行かせませんよっ!」
それと同時に、エヴァンがアーケインテンペストを発動させ、ネズミの魔獣が逃げないようにした。
「……おいおい。何、逃げようとしてるんだよ。惑わして嗾けたんなら、最後まで付き合うのが筋だろう。それじゃ、手っ取り早く終わらせるか」
その間にケンが一気に間合いを詰め、ネズミの魔獣が攻撃を仕掛ける前に首を刎ねた。
そのため、ネズミの魔獣は自分の身に何が起こったのかも分からず、肉の塊と化して動かなくなった。
「それにしても、凄いパワーですね。まさか、ネズミを引きつけてしまうなんて……。今回は、たまたまかも知れませんが、そのおかげでネズミ達を一掃する事が出来ましたし……」
そんな中、エヴァンがアルカに駆け寄り、ホッとした様子で溜息を漏らした。
アルカはネズミに襲われ、あちこち怪我をしていたが、命に別状はなかった。
ゴリラが運んだ村人達も、全員無事。
だいぶ弱っているものの、何とか助かりそうである。
「とりあえず、食糧はほとんどネズミに食べられてしまったけど、調達までの繋ぎに炊き出しくらいは出来るかな」
そう言ってアルマが迷宮飯レシピ集完全版を参考にしつつ、迷宮産お肉セットを使って、村人達のために料理を作るのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜10人
2021年04月26日 10時54分37秒 公開
相談掲示板
キャスターの…エヴァン・ピオネロです。よろしくお願いします。 ネズミは悪くないですね…でも、人にとって害獣ですし 居ると魔獣に近づけないので、範囲魔法で全部駆除してしまおうと思ってます。 ハリーヌさんはどうしたいですか?
飛び入りになりますがよろしくおねがいします。 とはいえ、ズブの素人に毛が生えた程度、となりますが… >ネズミ そういえば、汎用スキルで「スーパーめちゃくさい」?でしたっけ。 あれがあればひとまずはネズミを一時的に追い払えるかな、とは思いますが。 試してみますか?
アルカさん、宜しくお願いします。 追い払って貰えたら、直接、魔獣に行けるので助かりますし 無駄に命を取らずに済みます。 ただ、Lv1ですと、持ってるポイントを全部使っちゃう事に成りますが良いでしょうか? めちゃくさいは、Dアタックとかでも有効なので、持っていて損が無いスキルだとは思ってますが、どうか困らない様に決めて下さいね。 あまり時間が無いので、後1名入ってくれますようにのお祈りをしながら ネズミを追い散らせた時と、出来なかった時と、どちらでも動けるようにプレを提出しておきますね。 魔獣を倒したら村人のお世話もするつもりです。
>めちゃくさい 今回は直接魔獣とあたる可能性は低いですし、取得してきました。 それと、その分ネズミ相手に時間を稼ぐことを念頭に防御と生命を高めに揃えておきます。 その分、魔獣対応の能力は落ちますが、そこはお任せ致します。
ありがとうございます! アルカさんが頑張りに応えられるように、ぼくも頑張ります。 無事にネズミ達が逃げてくれたら一緒に魔獣ネズミの退治を頑張りましょう。 魔獣の周囲に村人が倒れてる可能性もあるので識別範囲魔法を多く仕度するのと、ヒールも仕度しますね。
アルカさん「の」頑張りですね……ぼくはそそかっし過ぎます。 出発直前に人が増える事もありますので、白紙で出発しない様に仮プレを提出しました。 フェロモンvsすーばーめちゃくさいの対決、頑張ってください。
>SP どうにも計算が合わないな、と思いましたらかつて1度SPの配布があったようで。 迷宮都市のイベント依頼だかのやつでしょうか… そのため、「当たればなんとかなるだろう」との感じで命中+パッシヴを追加取得。 多少マシにはなったかと。 では、後は白紙防止、ということでプレも仕上げておきます。
意欲満々ですね!頼もしいです。 配布は確かにありましたね。 sp不足に陥ってたので助かったことを記憶してます。良かったですね。 一応、作戦っぽいのを… 魔獣は食料庫に居ると言う事と、まだ食料が残ってる可能性を考えて 「焚火の煙で鼠を外に燻し出す」としました。 ぼくは成功すればどの作戦でも構わないので、別のが提示されたらそれ合せますね。
ギリギリだが俺の参加で依頼成立だな まぁ・・野生のネズミ自体、食料を荒らすし病原菌の運搬役にもなるからここで一網打尽にしちまって一石二鳥を狙いところだが、それをするには敵を逃さない場所に閉じ込めてやるのが手っ取り早いが、今回の場所が場所だし潰すわけにもいかないんだよな そう考えると燻り出すって方向がいいと思うぜ あと一緒に殺鼠剤混ぜた毒団子を用意しておいて投げ込んでみるのもありじゃないか? とりあえず魔獣が外できたら狩るだけさ なぁに、多少厳しくてもなんとかするさ
確定しましたね!ケンさん、よろしくお願いします。 疫病が本当の伝染病なら食料庫と一緒に燃やした方が…と成ってたでしょうね。 流れとしては 殺鼠剤を混ぜた毒団子を投げ込んで暫し様子見の後、煙で燻し出すって形でしょうか? お団子作りを手伝う件をプレに入れておきますね。
ヒーラーのアルマだよ、滑り込みだけどどーぞよろしく。 毒入りお団子や煙で燻し出す方針りょーかい 駄目押しで動物のおやつも使ってみる感じでぷれいんぐ出してくるね
ハッ! 成立でございますね!! 顔を出すのが遅くなり申し訳ございません。 方針は了解でございます。 ワタクシ普段は弓でございますが、対象識別の魔法も持っていくでございます。 香水を撒いて鼻を利かなくするのも良さそうでございますね。