【大変動】甘露アリの塚を確保せよ

夜帷かもめ

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シナリオID:802

オープニング

 それはまったくの偶然であった。

 サウゼル大樹海に遺されていた前線キャンプは解放され、シルバードからキャンプまでの大まかなルートは確立されつつある。一方で、細いその道筋から一歩外れた先は、未開の森林が広がっている。

 だから、とある授恵者がその光景に行き会ったのは。

 あるいは、その上で彼が無事にキャンプへと帰還することが出来たのは。

 やはり、偶然の産物であった。

●
「ギルドからの依頼で、キャンプまでの道の確保や整備を行っていたんだ」

 帰還した男は、報告書を書き進めながらあなた達へと語る。

「だけどよ、森の中ってどうにも似たような景色が続くだろ」

 少し広めにルートを確保しようとしたのがマズかった。つい(・・)、元来た道を大きく外れて探索に出たところで地すべりに遭い、急斜面の下まで転げ落ちた。幸いにも大きなケガはなく行動にさほどの支障は無かったが、崩れたばかりの斜面を登ることは出来ない。
 大きく迂回して元の道へと戻ることを余儀なくされた。その途中で、とあるアリ(・・)を見つけたのだ。

「あれは……そうだな。生きた宝石と言ってもいいかもしれない」

 腹部が大きく膨れ上がった、不格好なシルエット。その腹は普通のアリとは異なり透き通っており、中には薄緑色の液体が蓄えられていた。

「ずいぶんと腹が重いのか、動きも早くない」

 好奇心のままに手に取る事も容易かったと言う――だが。

「腹がえらく潰れやすくてな。触ったら破裂してしまったんだ」

 掌にアリの蓄えた、その若葉色の体液が飛び散る。普段であれば拭って終いだが、その時は探索の疲れもあっていつもならば取らない行動を――試してみた。

「少し、甘い匂いがした気がしたんだよな。だから、舐めて(・・・)みた」

 それは果実や砂糖とはまた違った、清涼感のある爽やかな甘味がしたという。望外に口にした甘味は身体の疲れを癒してくれた。ケガこそなかったものの、落下の衝撃で身体の節々は痛む。休息をとり、補給を得る必要が彼にはあった。

「まあシロップのようなもんなんだろうな」

 手に付いたその汁を舐め取り、もう一匹――と手を伸ばす。アリは塚のような巣を形成しており、塚の周りにいくらでも群れているようだった。気性は荒くないのか、巣の傍に人間がいても襲ってくる気配はない。これならもしかすると珍しい、大樹海産の名物(・・・・・・・)になるかも知れない。

 そこまで算段を巡らせたところで、背後に気配がした。直近までその接近に気が付かなかったのは、やはり疲れていたのだろう。慌てて飛び退き、その気配の主を確かめる。

「アリクイ……それも人間ほどの大きさがあるヤツだ」

 恐らくは魔獣の一種だろう、長い舌と鋭い爪を持つアリクイが彼を狙っていたのだ。

「多分普段はアリを喰ってるんだろうな。たまたま俺がその近くに居たから、襲ってきた」

 今のコンディションで魔獣と戦闘になるのは好ましくない。授恵者は慎重にアリクイから距離を取ると、そのままその場を離れてキャンプへと帰還したのだという。

「あのアリクイさえ居なければ、アリはいい食料や素材になりそうだ」

 シルバードへ帰還し、ドン・ゴーフルへも事の次第を報告するという彼の授恵者に代ってアリクイを討伐し、蟻塚を確保するのが今回の依頼である。そこまで聞いたところで、ちょうど男は報告書を書き終えた。

「さて、ここまで先出しの情報を聞かせてやったんだ。一杯、奢れよ」

 筆を置いた男が笑う。

解説

●目的  前線キャンプの北東にある未確認地域に赴き、そこに生息する『甘露アリ』の蟻塚を確保してください。  なお、塚の周辺には蟻を食べていると思しきアリクイ型の魔獣が確認されています。 ●背景  前線キャンプの北東部。  シルバードと繋がる道から外れた地域に甘露アリやアリクイ型魔獣は生息しています。  およその道筋は分かっており、安全なルートを進むのであれば正規の道から半日程度の距離です。  朝早くに出発し、昼過ぎに現地着。アリクイを討伐し、その日の内に帰還することが推奨されます。 ●状況  情報を元に『甘露アリ』の蟻塚がある地域へ行き、魔獣『武装アリクイ』と遭遇した時点からの状況開始となります。  時刻は昼過ぎ、下生えや木々が生い茂る樹海の中に、甘露アリの蟻塚が多数発見できます。  その周囲を縄張りとする武装アリクイは、縄張りを荒らす者に対して積極的に威嚇・攻撃行動を取ります。  天気は晴れてはいますが、スコールの危険があります。  また、地盤は緩く、積もった枝葉の影響もあり足元には注意が必要です。  往路の道中の影響で、授恵者はある程度消耗した状態での遭遇となります。  スキル回数が最大値の0.6倍(端数切り上げ)となる他、移動力に-1の補正を受けます。  その他記載がないステータスへの影響はありません。 ●遭遇敵 ・武装アリクイ×?  大人の人間ほどの体長を持つ魔獣。アリクイに酷似した特徴を持ち、長い舌と鋭い爪が見て取れる。  また、樹海の環境に適応しており、厚い皮膚が鱗や鎧のように盛り上がって全身を覆っている。  その外見的特徴から、発見した授恵者が『武装アリクイ』として報告しました。  具体的な交戦記録はありません。  男が遭遇したのは一体だけですが、他の個体が生息する可能性は否定されていません。

マスターより

 こんにちは、かもめです。  【大変動】連動へもシナリオをお出しさせていただくこととなりました。  前線キャンプ北東部の樹海で発見された、珍しい蟻を確保することが目的です。  樹海内は未知の存在が多数確認されており、これらを持ち帰ることができれば産物となり得ます。  一定の消耗を受けた状況での戦闘となりますが、往復の道中に対するケアは必要ありません。  では、ご参加お待ちしております。

リプレイ

 サウゼル大樹海。大陸南東部に位置するこの広大な森林地帯は、未だに人の目に晒されたことが無い魔境を数多く孕んでいる。今回授恵者たちに与えられた任務は、大樹海のなかでもゴールディに近い、前線キャンプから出立して『甘露アリ』の蟻塚を確保するというもの。

「なるほど……サウゼル大樹海。古ゴブリンの生活向上の為にも特産品は欲しいですね」
 ロイ・アウレアが依頼書を見返しては頷いた。端正な顔には既に玉の汗が滲み、金髪が額に張り付いている。それをぐい――と拭って彼はさらに一歩を踏み出した。森の中は枝葉が生い茂り、時折降りしきるスコールが煙るように豊富な水分を土壌へと与えていた。つい先日は旧帝国領へ赴き、ロモズ歩兵団の遊兵隊長を拝命してきたばかりの彼である。温度変化には耐性があるロイであっても、不快であることには変わりが無かった。
「甘い蜜を蓄えたアリって書いてあるね。特産品ができたら、ドンも喜ぶかも!」
「砂糖の代わりに使えるだろうか……チョコレートに混ぜたら、どうなる?」
 アルマ・ヴァレンタインやスヴァン=ウォルフ=ユーウェンも、ロイの言葉に頷く。エドゥノーグのダンジョンで突如巻き起こったチョコレート・フィーバー。これまでは高級品だったチョコレートや菓子類が、広く授恵者を始めとした人々の間にも流通し始めている。甘味には縁遠かった彼らもいくつかの機会に恵まれ、すっかり甘さ(・・)の虜になっていた。不思議な特徴をもつ蟻が確保対象とあって、二人は早くもその活用方法に興味深々である。
 うまく確保に成功したら、いくらか役得(・・)に預かることが出来るかもしれないとあって歩みを進める脚にも力が入る。

「敵はアリクイって言ったか。何か知ってるか?」
「見たことは無いけど、立ち上がって威嚇してくるらしいさぁ!」
 アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトの問いに、フリューリングスルフト(フリュー)=ティエラが答えた。彼らも樹海に秘められた神秘に興味を持っているが、蟻の特性も去ることながら顛末を報告した授恵者の話にあった『武装アリクイ』が気になっている。まだ見知らぬ魔獣は、どのような生態を持っているのだろうか。あるいは、敵としてどれほど強力なのだろうか。そういった、冒険(トレジャー)にいち早く触れられるというのも授恵者の特権の一つである。

「前線キャンプから少し足を伸ばせばこの状態とは……」
「少し、広めに警戒しておいた方がいいかもしれませんね」
 キーゼやイズレンディル・パラリムは情報を整理しつつ、進んできた道をマッピングしていた。今彼らが進んでいるのは、前線キャンプの北東。言うなればシルバード寄りに位置する地域である。そのような場所であっても、まだ報告されていない魔獣や昆虫がいるのだ。サウゼル大樹海の懐はどれほどまでに深いのだろうか。彼らの懸念も尤もであった。
 普段よりも少し広めに警戒網を広げ、連絡は密に。慎重に危険を取り除きながら六人の授恵者らは森を進んでいった。

●
「慣れない環境って疲れるさぁ……」
「休憩を取りますか?」
「今のところ、敵の気配は無さそうだが」
「それにしても暑いね! 黙っていても体力が奪われそうだよ」
 授恵者らは声を掛け合う。黙って歩いていると、湿気のせいもあって気力がどんどんと失われてしまうのだ。時に励まし合い、注意し合いながら彼らはなおも進む。時おり頭上を飛んでいく鳥は極彩色の羽根を持っていた。あれも武装アリクイ同様に、まだ確認されていない種類の生物なのだろうか。興味の種は尽きない。
 一旦休息を挟んで、現在地を確認する六人。そろそろ報告にあった地域へ差し掛かるはずだった。
「魔獣がいると分かっている以上、慎重に進まないとな」
「足元もですが、天気の変化も厄介です」
 ロイとキーゼが羽織っていた外套を脱ぐ。スコールが去った後の森はひどく蒸し暑い。身軽になった二人は地面付近を重点的に探りながら道筋を付けていった。人工の罠こそ無いものの、泥や落ち葉で滑る足元は危険が多い。先の授恵者も、そうした油断で滑落の目にあったに違いなかった。

「フリューさん――向こう、見えますか?」
 何かに気が付いたイズレンディルが、フリューを呼ぶ。熱源を重点的に探っていた彼は数十メートル先の梢に一際高い熱を放つ存在(・・)を見つけたようだ。
「なんなん?」
 言われるがままにフリューは意識を集中させ、敵を探る。果たして、一匹の小型の『何か』が作業をしているらしいと知れる。慎重に近づいてみれば、鋭い爪を持った魔獣が蟻塚を崩していた。武装アリクイに違いない!
「一匹だけか?」
 スヴァンが周囲を警戒して呟く。目の前の敵を倒し、アリを回収すれば目的は達成できる。だが――交戦中に囲まれるようなことがあっては厄介だ。まだ武装アリクイは授恵者たちに気が付いていないらしい。ぐるりと大きく迂回して、周囲を索敵してから最後に件の魔獣へと接敵することになった。

「うーん……他にも武装アリクイはいるみたいだけれど、結構離れてる?」
 そうと分かってみれば、アルマの耳には魔獣が活動する際の音が耳元で囁かれたかのように具(つぶさ)に聞き取ることが出来た。ざっと1kmほどを歩いてみたが、その途中に都合三匹の武装アリクイが生活している痕跡が確認できた。樹木の木肌には鋭い爪痕が残され、泥には足跡が残っている。蟻塚だったものが崩れた痕には潰れた蟻の死骸が傍にあった。この辺りはイズレンディルの想定が見事に嵌った形である。武装アリクイの行動範囲を慎重に見極めながら、敵に先んじてその存在を確認することが出来た。
「縄張り――じゃないか?」
 何かに気が付いた様子のスヴァンがまた呟いた。そう、武装アリクイ同士が互いに生息域を被らせないようにしているようだ。魔獣の体格を維持する為に、蟻の作る蜜が主食というのはあまり効率が良くないように見える。同族間での争いを避け、棲み分けることで種としての維持を図っているらしい。
「なるほど。それなら目の前の敵に集中すればいいんだな」
 アルベルトは既に剣を抜き、臨戦態勢である。蟻塚の確保に向けて、気合が漲っていた。彼の言う通り、武装アリクイの所在が離れており、縄張りを持って生息しているのであれば。多少戦闘行為をしたところで別の個体に襲われる危険は少ないだろう。少なくとも、スヴァンにフリュー、アルマの三人が全員揃って敵襲を聞き逃すような事さえなければ奇襲は受けない。敵の位置を確認してその事を理解した授恵者たちは、目の前の魔獣に集中することにした。

●
「みんな、頑張って!」
 アルマの檄に呼応するように、一同の胸の奥から戦意が湧き上がる。響き合う声が力となって、敵へと立ち向かう脚を軽くさせた。その声に後押しされながら、フリューが駆ける。
(蟻塚、壊さないようにせんとなぁ。怒られるのは嫌さぁ)
 授恵者らの接近に気が付いて首を上げた武装アリクイの、その鼻づらへ手にした爪で攻撃を食らわせる。鼻で蟻塚や土を掘る事もあるのだろうか。意外に硬いその毛皮を切り裂いた感触を確かめてから、トンボを切って彼女は木の上へと退避する。鼻の痛みやおちょくるようなフリューの動きに、アリクイは彼女を敵と認めたようだ。立ち上がって両手を上げ、赤いハーフビーストを威嚇する。授恵者を見るのは恐らく初めてだろうが、中々に好戦的だ。
「ガオーッ!」
 負けじとフリューも武装アリクイを見下ろして叫ぶ。お誂え向きに鋭い爪も装備していた彼女の姿は、それなりに魔獣に似ている。
「ブルルル!」
 ――残念ながら鳴き声は違ったようだが、武装アリクイは完全に頭に血が上ったようだ。木の上のフリューに爪が届かないとみると、器用にその幹を登り始めた。

「所詮は獣か。迂闊だな」
 木を登る武装アリクイはフリュー以外の授恵者に完全に背を向けている。その無防備に曝け出された背中に、スヴァンが放った衝撃刃が突き刺さる。毛皮が切り裂かれ、その痛みで魔獣は木から落ちた。そうする間に、フリューは別の木へと飛び移っている。敵が一匹に対し、こちらは七人の授恵者である。手数にも視線にも、いくらか余裕があった。

「動きや思考はほぼアリクイそのもの――ですかね」
 キーゼは魔獣からやや距離を取り、冷静にその動きを観察していた。これまでに交戦経験が無い敵であるから、その生態を正確に理解することはこの地における今後の活動に重要な意味を持つ。もとは普通の動物であったものがエーテルの作用で魔獣化したか、それとも淀みの中から生まれ出た異界の産物か。出自は定かではないが、武装アリクイの行動は見た目から想像されるものに近いらしい。
「それであれば、舌での攻撃や突進は注意すべきでしょうね」
 確かめるように間合いを測ってから、魔矢を撃ちこんでみる。弾かれこそはしないものの、分厚い毛皮に阻まれたその攻撃は思ったよりも効きが悪い。物理だけではなく、魔法に対してもなかなか高い防御力を持っているようだ。それに加えて獣のタフネスは幾度もの攻撃を受けてなお、動きに弱ったところを見せない。
 攻撃を受けてキーゼの存在を認めた武装アリクイであったが、彼の攻撃を意に介した様子はない。フリューへの接近を更に続けるあたりは執着心が強そうであった。

「ルプス! 畳みかけるぞっ!」
 短く飛んだロイの声に応えて、相棒の狼(ルプス)が地を走る。四本の脚で駆ける黒狼は、足場の悪さをものともしない。瞬く間に距離を詰めると、アリクイの脚へと噛みついた。そこへ、更に弓の一撃が追い打ちをかける。眼を狙ったその矢は過たずアリクイの左目を潰した。

「敵が一匹なら話は早え。お前を倒してアリ塚は確保させてもらうぜ」
 大剣を手にしたアルベルトが姿勢を低くし、脚にエーテルを集める。刹那、爆発的な加速力が彼の身体を弾けるように前へと押し出した。眼光鋭くアルベルトが魔獣を見据える。
「そこだッ!」
 雄叫びと共に体重を乗せた剣戟が走った。胴から首筋にかけては脂肪も筋肉も分厚く、攻撃が通りにくい。狙うべきは肉の付けようがない膝の関節だろう。脚を斬り落とせないにしても、骨を砕くことが出来れば大きくその行動を制限させることができる。戦士としての経験を踏まえた一撃は、片目を潰された武装アリクイの死角から紫電の速さでその左脚へ、深々と食い込んだ。

 全力を注ぎこんだアルベルトの一撃が契機となり、授恵者らは一方的に魔獣を攻撃することができた。十数秒の後には、彼らの眼下には躯となった武装アリクイが一匹、転がっていた。

「他の個体は――こちらを警戒しているようですね」
 イズレンディルが他の個体の所在を確認する。熱源の動きからみるにこちらの動きには気が付いているようだが、縄張り意識が強い武装アリクイは積極的に異変を探りに来るようなことはないらしい。

「蟻塚は――無事か?」
 気が気でない、といった様子でスヴァンが問う。武装アリクイの討伐は今回の任務に想定された障害だが、目的ではない。あくまで彼らは甘露アリの確保のためにこの大森林に踏み入ったのだ。そのことを忘れてはならない。
「うーん、アリクイが集ってた塚はダメっぽいさぁ……」
「そこはもう、しょうがないですね」
 爪痕が残る蟻塚へと歩み寄り、その状況を確認する一行。だが、いち早く蟻塚の傍へと辿り着いたアルマが驚き半分、喜び半分で声を上げた!
「アリがたくさんいるよ!」
 見れば、崩された蟻塚の周りで無数の蟻がせっせと塚を作り直している。巣を再建するべく、葉や枝を運ぶその姿は逞しさすら感じさせる。食物連鎖の中では弱い立場にいる蟻かもしれないが、それでもこの大樹海で連綿と命を繋いできたのだ。その神秘に触れ、授恵者らの胸にも湧き上がるものがあった。

「これが……食べられるんだよな?」
 恐る恐る、といった様子でロイが一匹のアリを摘まみ上げる。その尾部にはたっぷりと蜜が蓄えられ、雨上がりの陽の光に照らしてみれば琥珀のように輝いていた。意を決したように口元へ運び――歯を立てる。プツリ、と薄皮を破る感触。そして少し硬質な、もしゃっとした歯ごたえが伝わった。
「うう――あ、甘いね!」
 怖気は最初の一瞬だけ。その直後には甘さが脳髄へ伝わって身体を震わせる。ロイの言葉に背を押され、他の面々も思い思いに甘露アリの蜜を愉しんだ。ジャングルの行軍で疲れた身体に染み渡るようなその滋味は、きっとゴールディでも人気を博すに違いない。

「向こうにも蟻塚があったな」
 アルベルトが散策の範囲を広げ、周囲の索敵がてらに状況を確認する。一匹の武装アリクイの縄張りには、十から数十個の蟻塚があるようだ。いくらかは既に空となった巣だったが、それでもかなりの数だ。

「念のため、もう少しアリクイを倒しておきますか」
 スキルにも余裕があることだし、空白になった縄張りに他のアリクイが寄ってこないとも限らない。今回の探索で出来る限りはしておくべきだとイズレンディルが提案する。アルベルトはスキルを使い切っていたが、その他の面々にはまだ余裕がある。
 彼の勧めに従い、先に所在を確認していた残りの二匹も倒してしまうことになった。既に判明していた通り、執着心が強い傾向を持つ武装アリクイにはスヴァンのシーザーロアが良く効いた。個対多の戦闘で、攻撃の矛先を集中させることが出来れば損耗はおのずと限られる。少しの傷は負ったものの、帰還を含めた活動に影響が出るほどではなかった。

●
「このアリ、他の場所でも育成出来たりするんかな?」
「どうでしょうね。一旦できる限りは持ち帰ってみますか」
 フリューとキーゼはアリを家畜として繁殖できないか検討していた。これまで大樹海以外での生息が確認されていない種の育種には困難が伴うだろうが、試してみる価値はある。周辺の土や蟻塚の素材をも回収しつつ、その周辺の環境も可能な限り詳細に記録をしていった。
 その横ではロイとアルマが武装アリクイの死骸を解体していた。これはこれで、何かの素材に使えるかもしれない。特に鎧にも似たその鱗や鋭い爪、長い舌は武具や装飾品に応用を考えてみてもいいだろう。

 バックパックや水袋、ワインの空きビンには既にアリがたくさん回収されている。今回の成果としては十分だろう。依頼主へ報告する要点を共有し、分担してアリも荷物に加える。そろそろ陽も落ち始めるころだ。前線キャンプへ帰還し、改めて報酬(・・)を楽しむ事にしよう!

マスターコメント

シナリオへのご参加、どうもありがとうございました。スキルの回数に制限こそありましたが、事前の準備もレベルも十分であれば敵の一匹や二匹は問題になりませんでした。 参加人数の設定はどちらかといえば探査系スキルの確保の側面が大きく、戦闘自体の難易度は易しい~普通、それ以外の要素が普通~難しい相当として総合では「普通」として難易度を設定しておりました。 結果としてはポイントを的確に押さえ、依頼主の意向に沿った成果が得られました。プレイングについては甲乙つけがたい状況でしたので、全体に対して「大成功」として結果をお返しいたします。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準7 / 6〜8人

2021年04月28日 20時58分50秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. イズレンディル・パラリム

    エルフのキャスター、イズレンディル・パラリムと申します。 未だ一人ではありますが、成立人数になることを祈りつつ先に所感だけ書かせて頂きますね。 >所感 スキル回数や移動の減少、地盤が緩い地形であることなど気になる点はいくつかありますが、 情報が不明という点で「敵の数」及び「敵の初期配置」は最も気になる所です。 また武装アリクイの特性も不明な点が多いですね。 一般的なアリクイと同様かもしれませんから、そこから考えてみますと、 木登りが得意で群れる事は少なく単独や母子での活動が多い、尾を巻き付けるのが得意、嗅覚が鋭い…などでしょうか。 威嚇する時は仁王立ちのポーズを取るそうで、何だか可愛いですね。 さて、となると、仁王立ちで待ち構えて頂けると嬉しいのですが、樹上からの奇襲の方がありそうですね。尾でのBS行動不能等もありそうです。数は多くない……と良いのですが、悪い方向で考えておいた方が良いですね。 >方針 主に地形面で細かな対策は種々様々必要そうですが、 大きな所では現着後に周囲索敵し敵数及び敵配置を把握する事、がスタートになりそうですね。 不意さえ打たれなければ戦闘自体はシンプルに対処可能かなと思うところです。 つらつらと書き綴ってしまいましたが、一旦以上にて失礼いたします。

  2. フリューリングスルフト=ティエラ

    アリクイと闘えると聞いて!新しいすぃーつの可能性もあるとか!!( シーフのフリューです!よろしくお願いします! ふわぁ………イズレンディルさん、アリクイについて詳しいんさぁ。 威嚇のポーズ、仁王立ち……?! 索敵ならうち得意分野さぁ♪ でも、どうも見た目の様子から防御面が強そうさぁ。

  3. ロイ・アウレア

    こんにちは、シューターのロイ・アウレアです。よろしく! 往復の道中に対するケアが要らない=戦闘に集中して良いよって意味で受け取って参加しました。 シューターには装甲を弱くするスキルが無いので 目、舌、関節部分の比較的皮膚が柔らかい部位、鎧の継ぎ目と言った辺りを攻撃できるように命中上げで行くよ。 スコールの危険と足元には注意って事なので、汎用の1つはバランス感覚。 索敵系はフリューさんにお願いして、残り汎用とスキルは集まったメンバーで決めるね。 「敵の数」及び「敵の初期配置」団体さんなら嫌だな…範囲技も1つは積もう。 具体的な交戦記録が無い=スキル不明も厄介だね… あと3名、来てくれる事を祈りながら、どう仕度し戦うか考えておくね。

  4. キーゼ

    さて、とりあえず数合わせで入りました。あと2名来るかどうか、ですか 遭遇時からスタートですが。パラリム氏の言うように奇襲は警戒したほうがいいでしょうね。見つかった状態で遭遇なのかどうかで打つ手も変わりますが。 あとは、装甲値も厚そうですから。突撃されると少々厄介かもしれません。 チャージングに似た突進系もあり得ますか。 スタンダードに前に出るもの、後ろから補佐するもの、の2段構えですかね。万が一後ろに奇襲された際は奇襲を受ける前提ならば多少どうにかなるかと。 あと、確保したアリも考えないとまずいですかね。倒しました確保できませんでした、では失敗ですから。 またスキル回数、おそらく元から1回、2回のものはそこまで気にしなくて良さそうですね。端数切り上げなら回数1回x0.6倍=切り上げで1、ですし。 この辺りが普通難易度なのかもしれません。 移動力は要注意ですが。

  5. イズレンディル・パラリム

    フリューさん、ロイさん、キーゼさん。来て頂けたのですね。 成立は難しいかなと思っていましたが後2名でしたら集まるかもしれませんね。 出発までそろそろ24時間を切る頃合いになりますが、宜しくお願い致します! >索敵 フリューさんに居て頂けると頼もしいですね。宜しくお願い致します。 私もサーマルアイで可能限り捕捉をして見ようかと思います。 組み合わせるのは超視覚か透視か、悩むところですね。 理想は蟻塚に近づく前に全ての武装アリクイを捕捉。 難しい場合でも、左右や樹上等の奇襲を受ける方面に武装アリクイが居ない事を確認……戦闘中も出来れば周辺を警戒する方がいらっしゃればよいですね。 >敵の装甲 ロイさんに物理で攻めて頂けるなら私は魔法ですね。 物魔両方ともに硬くないことを祈ります。 >奇襲の備え スキル回数が0.6倍の切り上げなのが助かりますね。私自身はエーテルバリアで備えるとしましょう。 奇襲を受けた場合、ロイさんは私を壁にして敵から離れて頂ければと思いますがいかがでしょうか?私が耐えている間に前に出ているどなたかに駆けつけて頂ければと。移動低下が少々難点なので前と後ろで離れ過ぎない方が良いですね。 >蟻塚の確保 捕獲は容易ですが、お腹が破れないように気を付けないとでしょうか。 いっそのこと水袋の中にお腹の甘露?を出してしまってよいかもしれませんね。

  6. ロイ・アウレア

    今更だが、イズレンディルさん草案と説明をありがとう。 色々と気を付ける… それと奇襲も受けない様に用心するが、その時にはお言葉に甘えさせて貰うよ。 キーゼさん…蟻を食べようと、アルマさんを誘ってしまったので… まぁ…確保できませんと成ったら、食べれないんだが、無事に出来たら少し食べても目をつぶって欲しい。 申し訳ないが色々と忙しくなって明日の午後まで、相談に参加できないと思う。 相談の確認は極力するよ。 ……後1名、誰か入ってくれますように。

  7. アルマ・ヴァレンタイン

    とても残念な子扱いされた気がするけどヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしく。 アリさんは持ち帰ってお許しが出ればくらいにしておくね… デリケートっぽいので採集もセットしたうえで水袋に捕獲していこうかなと あと奇襲警戒になるか分からないけど、対策で超聴覚もつけていくようにするね

  8. キーゼ

    さて、あと一人参加されるかわかりませんが…ひとまずプレイングは出してあります。 前衛役が不足気味なので前に出るのと、回復起点に後ろからの火力を生かす立ち回り、ですね

  9. スヴァン=ウォルフ=ユーウェン

    ウォーリアのスヴァンだ。よろしく頼む。 甘露蟻…甘露……砂糖の代わりになりそうだ。 武装アリクイ、これは一体のみとは限らんだろうな。 いつの間にか増えていそうな予感がする。

  10. アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト

    ウオーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 出発まで24時間を切っている状態での参戦申し訳ない。 武装アリクイは俺が叩き斬るぜ!

  11. ロイ・アウレア

    >とても残念な子 おかしい……その場合、誘ったオレは…まぁ類友な自覚はある(にこり) 真面目に行きます。 前衛が来てくれて安定感が更に増し増しだね。よろしくお願いします。 敵はアリクイに似てるって事だったが 鎧のような外見、長い舌、蟻を食べる…どちらかと言うと、センザンコウの特徴に近いね。 今回の装備・スキルは 索敵関連でホークアイ、後ろはルプスに見張って貰う事にしたよ。 表現が悪いが、ルプスは使用無制限の武器でもあるので ダメージを貰わない程度に足止めや【独撃】【追撃】も、して貰うね。 後は命中が下がらず、数が多い攻撃スキルと、範囲技として貫通衝撃射の予定です。 蟻は空の水筒に草と一緒に入れて空気で膨らませて持ち帰るつもりです。 スコール対策に薄手のマント+温度耐性 足場用にバランス感覚で後衛火力として動きます。 センザンコウはライオンの歯すら退けるそうなので 皆さんの攻撃で出来た隙を狙ってピンポイントに舌や目へ【行動阻害】。 鎧がうろこ状なら、剥ぎ取るように表面をめくり取る方向に攻撃してみて 一部でも捲れればそこに攻撃集中と地道に削る方向でやってみるね。

  12. イズレンディル・パラリム

    とても賑やかになりましたね!頼もしい限りです。 アルマさん、スヴァンさん、アルベルトさん、宜しくお願い致します! アルマさんは超聴覚感謝です。 武装アリクイは人サイズもありますので無音ということもないでしょうからね。 ルプスさんの支援も大変助かります。 私もなるべく周辺警戒を行いますね。 個人行動は後衛で魔法攻撃ですね。 識別化の範囲魔法も持ち込ちます。 後はエーテルバリアで緊急時の盾役、といったところですね。

  13. フリューリングスルフト=ティエラ

    わぁ!みんな頼もしいさぁ!よろしくね! うちは前に出つつ、捜波・改で周辺警戒と索敵するね。 足元対策でバランス感覚と超聴覚持っていく予定だよ!

  14. キーゼ

    前に出る方が増えたので、僕は少し後ろに下がりましょうか。 攻撃はそこそこにして、回復メインにします

  15. スヴァン=ウォルフ=ユーウェン

    俺は足止めと引き付けに破脚砕、シーザーロアを使用する予定でいる。つまりタンクだ。 二匹目以上出てきた場合は知らんがまあ臨機応変に。後はアリの回収用に水袋を持っていこう

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0