この状況は笑えない
ゆうきつかさ
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シナリオID:714
オープニング
●リーンエス王国【冒険者ギルド】
「あはははははははははははははははははははははははははははは!」
冒険者ギルド内に響き渡ったのは、辺境の村からやってきたワラエルの笑い声であった。
ワラエルは、その名前に反して、クールガイ。
今まで笑った事が無かった事が無いと言われるほど、笑いに対して縁の無かった男であった。
故に、彼にとって、これは有り得ない事態であった。
「いや、笑い事じゃないんですよ、これが……。あは……あははははっ!」
そう言いつつも、ワラエルは笑いっぱなし。
テーブルの上に水が置かれただけでも、大爆笑。
それが自分の意志ではないらしく、悔しそうにテーブルをドンドンと叩いていた。
「だ、だから、シャレにならないんですって、本当に……」
ワラエルが涙目になりつつ、必死になって笑いを堪えようとした。
その拍子に噴き出してしまい、再び笑いが止まらなくなった。
「と、とにかく、話を聞いてください。実は……」
ワラエルがコップの水を一気に飲み干し、自らの想いを吐き出すようにして語り出した。
事の始まりは、数日前。
雪解けと共に、冬眠から目を覚ました熊の魔獣が、村の近くに姿を現したようである。
「しかも、ソイツ……。背中にキノコが生えていて、それがワラ、ワラ、ワライタケェェェェェェェェェェェェェ、あははははははははははははは!」
ワラエルが大爆笑しながら、テーブルを何度もドンドンと叩いた。
どうやら、熊の魔獣の背中に生えたワライタケの胞子を吸い込んでしまったせいで、笑いが止まらなくなってしまったようである。
しかも、その胞子は、超強力ッ!
そのため、胞子を吸い込んでしまうと、半日ほど笑いが止まらなくなってしまうようである。
「とにかく、熊を……くまぉぉおぉぉぉぉぉぉ! あははははははははははははははははっ!」
そう言ってワラエルが涙を流して、笑い転げるのであった。
「あはははははははははははははははははははははははははははは!」
冒険者ギルド内に響き渡ったのは、辺境の村からやってきたワラエルの笑い声であった。
ワラエルは、その名前に反して、クールガイ。
今まで笑った事が無かった事が無いと言われるほど、笑いに対して縁の無かった男であった。
故に、彼にとって、これは有り得ない事態であった。
「いや、笑い事じゃないんですよ、これが……。あは……あははははっ!」
そう言いつつも、ワラエルは笑いっぱなし。
テーブルの上に水が置かれただけでも、大爆笑。
それが自分の意志ではないらしく、悔しそうにテーブルをドンドンと叩いていた。
「だ、だから、シャレにならないんですって、本当に……」
ワラエルが涙目になりつつ、必死になって笑いを堪えようとした。
その拍子に噴き出してしまい、再び笑いが止まらなくなった。
「と、とにかく、話を聞いてください。実は……」
ワラエルがコップの水を一気に飲み干し、自らの想いを吐き出すようにして語り出した。
事の始まりは、数日前。
雪解けと共に、冬眠から目を覚ました熊の魔獣が、村の近くに姿を現したようである。
「しかも、ソイツ……。背中にキノコが生えていて、それがワラ、ワラ、ワライタケェェェェェェェェェェェェェ、あははははははははははははは!」
ワラエルが大爆笑しながら、テーブルを何度もドンドンと叩いた。
どうやら、熊の魔獣の背中に生えたワライタケの胞子を吸い込んでしまったせいで、笑いが止まらなくなってしまったようである。
しかも、その胞子は、超強力ッ!
そのため、胞子を吸い込んでしまうと、半日ほど笑いが止まらなくなってしまうようである。
「とにかく、熊を……くまぉぉおぉぉぉぉぉぉ! あははははははははははははははははっ!」
そう言ってワラエルが涙を流して、笑い転げるのであった。
解説
熊の魔獣は村の広場に居座っており、そのまわりで村人達が倒れています。
村人達は熊の魔獣から逃げる気力がなく、生きるためにキノコを食べています。
熊の魔獣は村人達が弱ったところで、ガブリと行くつもりでいるため、村人達も必死です。
熊の魔獣は単体ですが、ケタ外れに力が強いため、状況によっては包囲網を突破するだけの力があります。
また村人達を避難させておかないと、確実に巻き込まれてしまいます。
▼基本的な情報
ワラエル(ヒューマン:男性)
20代後半。
とても真面目で、落ち着いた性格。
普段は笑わない。
と言うか、今まで笑った事がなかった。
村人×13
笑い過ぎて、グッタリ。
その場から動く事も出来ないため、とにかく邪魔。
助けを求めてしがみついて来たり、笑いながら迫ってきたりする。
ある意味、熊の魔獣よりも、厄介。
アンデッドと勘違いをして、攻撃しないように要注意。
熊の魔獣×1
背中にワライタケを生やしており、傷つくたびに大量の胞子を飛ばす。
その胞子を吸い込んでしまうと、笑いが止まらなくなってしまう。
また燃えると濃度を増すため、まわりにいる村人達が、笑い死ぬ可能性もあり。
熊の魔獣の栄養を吸っているせいか、キノコ自体は美味しい。
ただし、笑いが止まらなくなる。
マスターより
どうも、ゆうきつかさです。
今回の目的は、熊の魔獣を倒す事です。
熊の魔獣の周囲には、大量の胞子が漂っているものの、マスクなどをすれば防ぐ事が出来ます。
ただし、今回はコメディ依頼。
あえてネタに走る事で、大活躍したり、難易度を下げる事が出来るかも知れません。
基本的にオープニングに書かれていない事は、自分にとって都合よく解釈してかまいません。
他の参加者達に迷惑を掛けず、世界観的にも問題が無ければ、採用していこうと思っています。
またキャラクターの性格などを把握しやすくするため、台詞などがあると助かります。
戦闘の目安は3ターン分くらいで、考えていただけると助かります。
リプレイ
●リーンエス王国【森の中】
「何だか、この辺りまで、キノコの胞子が漂っているようでちゅね。あちしも、結構よくキノコ食べてるでちゅけど……。こんなの、お断りでちゅ。笑い死になんか、やでちゅ」
パティ・ポップはゲンナリとした様子で、仲間達と共に依頼のあった村に向かっていた。
その村はリーンエス王国の辺境にあり、まわりは森に囲まれていた。
そのためか、森の中で魔獣に遭遇する事もあったが、村の中まで入ってくる事はなかったようである。
そう言った意味で、今回の出来事は、特例中の特例。
しかも、熊の魔獣の背中に生えたワライタケのせいで、周辺の森までキノコの胞子が漂っており、村人達は自分の意志に反して笑い続けているようだ。
それが原因なのか、森に棲む動物達がおかしくなっており、奇妙な鳴き声が辺りに響き渡っていた。
「確かに……笑いたくもないのに、笑うのは……嫌だな」
カルフ・オルヴォが納得した様子で、依頼主であるワラエルの姿を脳裏に浮かべた。
ワラエルは今まで笑った事が無かったらしく、ワライタケの胞子を吸い込んだ事によって、笑いのタガが外れてしまったようである。
その影響でコップを置いただけでも、大爆笑してしまうほど、笑いに対して感覚が敏感になっていた。
ある意味、ワラエルの症状は特殊な事例かも知れないが、笑えない事態である事は間違いない。
それを目の当たりにしてしまったせいか、みんな警戒している様子であった。
「そう言った意味でも、なるべく胞子を吸わないようにしておく必要がありそうでございますね」
ハリーヌ・ヨツユビが色々な意味で危機感を覚え、口と鼻を布でガードした後、パティの提案を受けて身体に食用油を塗り始めた。
こうする事によって、例えどんな事が起こっても、対処可能。
最悪の事態を避けるため、最善の方法を取った結果が、これだった。
「とにかく、村人達を助けださないとね」
エルシー・サリバンも同じように布で口と鼻を塞ぎつつ、近くの茂みに身を隠しながら村の様子を窺った。
村の周辺には大量の胞子が霧の如く漂っているため、遠目からでは村人達の姿を確認する事が出来なかったものの、狂ったような笑い声があちこちから聞こえているため、生存者がいる事は間違いなかった。
ただし、自分の意志に反して笑い続けているため、体力の消耗が激しい事は間違いなかった。
「だったら、まずは熊をどうにかしねえとな。……おーい、聞こえるか~! まあ、熊は熊でもアホ熊だから、何を言われたところで分からねぇとは思うけどよー。お前のせいで、すっごく迷惑している奴がいるから、こっちに来いよー。それとも、ビビッちまって動く事も出来ねえのか? やっぱり、そうか。そうだよな。だって、見るからにビビリっぽいモノなー!」
カルフが覚悟を決めた様子で、霧状に漂う胞子を掻き分け熊の魔獣に迫り、シーザーロアで挑発的な言葉と共に、エーテルを叩きつけた。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
その挑発に乗った熊の魔獣が、地面を蹴るようにして、カルフ達に迫ってきた。
この様子では、カルフの言葉を理解したというよりも、何だかよくわからないがムカツク気持ちの方が勝っているのだろう。
まったく言葉が通じていなかった分、イライラ度が増しているのか、まったく躊躇いが無い様子であった。
そのため、カルフ自身もヒヤッとするほど驚いており、逃げる事に対して何の躊躇いもなく全力だった。
「いまのうちに住民達を助けるでちゅ」
その間に、パティが仲間達に声を掛けながら茂みを掻き分け、薄っすらとキノコの胞子が漂う村に足を踏み入れ、広場で笑い転げる村人達に駆け寄った。
幸い、村人達の命に別状はないものの、みんな笑い疲れて顔色が悪く、立ち上がる事さえ出来なかった。
それでも、笑う事を止める事が出来ず、とても辛そうな印象を受けた。
「……ごめんね。纏めて運ぶ事が出来ないから、2人まで。絶対に見捨てたりしないから、少しの間だけ我慢してね」
そんな気持ちを察したエルシーが、申し訳なさそうにしながら村人達に肩を貸し、身を低くして物陰に隠れるようにしながら、村の外まで歩いていった。
その間も、村人達が笑い続けていたものの、カルフが逃げた方向とは真逆に進んでいたため、途中で熊の魔獣に気づかれる事はなかった。
「……とは言え、のんびりしている暇は無さそうでございますね」
ハリーヌが熊の魔獣から逃げ続けるカルフの気持ちを察し、大急ぎで村人達を村の外まで運んでいった。
同じようにペットのゴリラも、笑い続ける村人を抱え、ウッホウホウホと鳴き声を響かせながら、村の外まで運んでいった。
「ぶひょょょへひゃぁ」
一方、カルフが逃げている途中で大量の胞子を吸い込み、笑いが止まらなくなっていた。
だからと言って、別にふざけている訳では無い。
しかし、何故か笑える、面白い。
そのため、何か物音がしただけでも、大爆笑ッ!
その事が原因で全身の力が抜け始めているものの、途中で立ち止まる訳にはいかなかった。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
そんな気持ちに反して、熊の魔獣がカルフにタックルを仕掛けてきた。
奇跡的に、その攻撃を酔拳の如く身体をフラつかせ、華麗に回避したものの、腹筋崩壊の危機に陥っているため、残された時間は極わずか。
その事に危機感を覚えたカルフが、熊の魔獣に強打を繰り出し、大量の胞子をモロに浴びた。
その事が引き金となって、腹筋が爆散しそうな勢いで笑い出し、色々な意味で涙が止まらなくなった。
「少し遅れちゃったけど、大丈夫……だよね? ひょっとして、手遅れ? と、とにかく、援護するからねっ!」
次の瞬間、エルシーが仲間達と共に現れ、心配した様子でカルフに駆け寄った。
だが、カルフは恐ろしいほど、ニンマリとした笑みを浮かべていたため、そのまま回れ右をして、帰りたい気持ちに襲われた。
「何だか手遅れのような気がしまちゅが……気にしたら負けでちゅね」
その事に気づいたパティも、ゲンナリとした気持ちに襲われたものの、それが胞子の影響である事を理解しているためか、躊躇う事なく疾風足で駆け寄り、熊の魔獣を威嚇するようにして攻撃を繰り出した。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
それでも、熊の魔獣は怯む事なく、殺気丸出しでパティに体当たりを仕掛けてきた。
しかし、パティの身体は、食用油でヌルヌル。
そのおかげで、弾き飛ばされる事なく、クルクルと回るようにして、何とか最悪の事態を回避した。
「こっちでございますよ」
すぐさま、ハリーヌが熊の魔獣を挑発すると、魔矢でダマスカス鋼の短弓から光の矢を飛ばした。
「グオオオオオオオオオオオオオオオン!」
その一撃を左肩に喰らった熊の魔獣が悲鳴にも似た鳴き声を響かせ、半ばヤケになりながら、今度はハリーヌめがけて突っ込んできた。
「ウホウホ、ウホ!」
その事に気づいたゴリラが、ハリーヌを抱きかかえ、熊の魔獣のタックルをギリギリのところで避けた。
「あ、危ないところでございましたね」
ハリーヌがゴリラに抱えられたまま、ホッとした様子で溜息を漏らした。
ゴリラの助けが無ければ、あのまま身を守る事さえ出来ず、宙を舞っていたかも知れないため、嫌な汗が止まらなくなっていた。
「悪いでちゅけど、これも依頼のためでちゅ!」
そんな中、パティが熊の魔獣の首を狙って強打2を繰り出し、鋼の短剣を突き刺した。
その途端、熊の魔獣が大量の血を飛び散らせ、大量の胞子を撒き散らした。
それは熊の魔獣の姿が見えなくなるほど濃度が高く、目を開ける事さえ困難なほど大量であった。
「ぶばぼっ! ふひっ! ふひょひょひょひょ!」
次の瞬間、カルフが『もう何も怖くない』と言わんばかりの勢いで、狂ったように笑い声を響かせながら、熊の魔獣に衝撃刃を繰り出した。
「悪いのは茸だと思うんだけど……。ごめんね、魔獣は助けてあげられない」
それに合わせて、エルシーが真ハーツベインショットでダマスカス鋼の矢に不可視のエーテルを纏わせ、熊の魔獣めがけて解き放った。
「グォォォォォォォォォォォン!」
その一撃を喰らった熊の魔獣が、強烈に肉体を蝕まれ、その痛みから逃れるようにして暴れ始めた。
それと同時に、大量の胞子が舞い上がって、辺りに霧がかかったような状態になり、熊の魔獣が何処にいるのか分からなくなった。
「グォォォォォォォォォォォォォォォォン!」
そのドサクサに紛れるようにして、熊の魔獣がドシンドシンと音を立てながら、森の中に姿を消した。
「……逃げられてしまったようでございますね」
ハリーヌが残念そうにしながら、大量の胞子を振り払った。
それでも、大量の胞子が纏わりつき、目がショボショボして、開ける事が出来なくなった。
「し、死んだ……腹筋が死んだ……フヒ……フヒヒヒ……フヒョ!」
そんな中、カルフが寝ころんだまま笑い声を響かせ、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
おそらく、自分の意志で笑う事を止められなくなっているのだろう。
熊の魔獣がいなくなった事で、そのうち元に戻るはずだが、それまで体力が持つのか妖しい感じであった。
「全身胞子まみれになっているから、せめて顔だけでも洗っておこうか。そうすれば多少は落ち着くと思うし……。だから、ちょっと待っててね」
エルシーがカルフに声を掛けた後、村の広場にある井戸で水を汲むため、バケツを持って走り出した。
「これで一安心という訳には行きませんでちゅが……。とりあえず、この辺りのキノコは焼却ちた方が良さそうでちゅね」
そんな中、パティが熊の魔獣から落ちたワライタケを拾って、一ヶ所に集めた。
後は、村人達の考え次第。
どちらにしても、このまま放っておく訳にもいかないため、焼くか、埋めるかのどちらかである。
その判断を任せるため、パティ達は森の中に避難させた村人達を迎えに行くのであった。
「何だか、この辺りまで、キノコの胞子が漂っているようでちゅね。あちしも、結構よくキノコ食べてるでちゅけど……。こんなの、お断りでちゅ。笑い死になんか、やでちゅ」
パティ・ポップはゲンナリとした様子で、仲間達と共に依頼のあった村に向かっていた。
その村はリーンエス王国の辺境にあり、まわりは森に囲まれていた。
そのためか、森の中で魔獣に遭遇する事もあったが、村の中まで入ってくる事はなかったようである。
そう言った意味で、今回の出来事は、特例中の特例。
しかも、熊の魔獣の背中に生えたワライタケのせいで、周辺の森までキノコの胞子が漂っており、村人達は自分の意志に反して笑い続けているようだ。
それが原因なのか、森に棲む動物達がおかしくなっており、奇妙な鳴き声が辺りに響き渡っていた。
「確かに……笑いたくもないのに、笑うのは……嫌だな」
カルフ・オルヴォが納得した様子で、依頼主であるワラエルの姿を脳裏に浮かべた。
ワラエルは今まで笑った事が無かったらしく、ワライタケの胞子を吸い込んだ事によって、笑いのタガが外れてしまったようである。
その影響でコップを置いただけでも、大爆笑してしまうほど、笑いに対して感覚が敏感になっていた。
ある意味、ワラエルの症状は特殊な事例かも知れないが、笑えない事態である事は間違いない。
それを目の当たりにしてしまったせいか、みんな警戒している様子であった。
「そう言った意味でも、なるべく胞子を吸わないようにしておく必要がありそうでございますね」
ハリーヌ・ヨツユビが色々な意味で危機感を覚え、口と鼻を布でガードした後、パティの提案を受けて身体に食用油を塗り始めた。
こうする事によって、例えどんな事が起こっても、対処可能。
最悪の事態を避けるため、最善の方法を取った結果が、これだった。
「とにかく、村人達を助けださないとね」
エルシー・サリバンも同じように布で口と鼻を塞ぎつつ、近くの茂みに身を隠しながら村の様子を窺った。
村の周辺には大量の胞子が霧の如く漂っているため、遠目からでは村人達の姿を確認する事が出来なかったものの、狂ったような笑い声があちこちから聞こえているため、生存者がいる事は間違いなかった。
ただし、自分の意志に反して笑い続けているため、体力の消耗が激しい事は間違いなかった。
「だったら、まずは熊をどうにかしねえとな。……おーい、聞こえるか~! まあ、熊は熊でもアホ熊だから、何を言われたところで分からねぇとは思うけどよー。お前のせいで、すっごく迷惑している奴がいるから、こっちに来いよー。それとも、ビビッちまって動く事も出来ねえのか? やっぱり、そうか。そうだよな。だって、見るからにビビリっぽいモノなー!」
カルフが覚悟を決めた様子で、霧状に漂う胞子を掻き分け熊の魔獣に迫り、シーザーロアで挑発的な言葉と共に、エーテルを叩きつけた。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
その挑発に乗った熊の魔獣が、地面を蹴るようにして、カルフ達に迫ってきた。
この様子では、カルフの言葉を理解したというよりも、何だかよくわからないがムカツク気持ちの方が勝っているのだろう。
まったく言葉が通じていなかった分、イライラ度が増しているのか、まったく躊躇いが無い様子であった。
そのため、カルフ自身もヒヤッとするほど驚いており、逃げる事に対して何の躊躇いもなく全力だった。
「いまのうちに住民達を助けるでちゅ」
その間に、パティが仲間達に声を掛けながら茂みを掻き分け、薄っすらとキノコの胞子が漂う村に足を踏み入れ、広場で笑い転げる村人達に駆け寄った。
幸い、村人達の命に別状はないものの、みんな笑い疲れて顔色が悪く、立ち上がる事さえ出来なかった。
それでも、笑う事を止める事が出来ず、とても辛そうな印象を受けた。
「……ごめんね。纏めて運ぶ事が出来ないから、2人まで。絶対に見捨てたりしないから、少しの間だけ我慢してね」
そんな気持ちを察したエルシーが、申し訳なさそうにしながら村人達に肩を貸し、身を低くして物陰に隠れるようにしながら、村の外まで歩いていった。
その間も、村人達が笑い続けていたものの、カルフが逃げた方向とは真逆に進んでいたため、途中で熊の魔獣に気づかれる事はなかった。
「……とは言え、のんびりしている暇は無さそうでございますね」
ハリーヌが熊の魔獣から逃げ続けるカルフの気持ちを察し、大急ぎで村人達を村の外まで運んでいった。
同じようにペットのゴリラも、笑い続ける村人を抱え、ウッホウホウホと鳴き声を響かせながら、村の外まで運んでいった。
「ぶひょょょへひゃぁ」
一方、カルフが逃げている途中で大量の胞子を吸い込み、笑いが止まらなくなっていた。
だからと言って、別にふざけている訳では無い。
しかし、何故か笑える、面白い。
そのため、何か物音がしただけでも、大爆笑ッ!
その事が原因で全身の力が抜け始めているものの、途中で立ち止まる訳にはいかなかった。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
そんな気持ちに反して、熊の魔獣がカルフにタックルを仕掛けてきた。
奇跡的に、その攻撃を酔拳の如く身体をフラつかせ、華麗に回避したものの、腹筋崩壊の危機に陥っているため、残された時間は極わずか。
その事に危機感を覚えたカルフが、熊の魔獣に強打を繰り出し、大量の胞子をモロに浴びた。
その事が引き金となって、腹筋が爆散しそうな勢いで笑い出し、色々な意味で涙が止まらなくなった。
「少し遅れちゃったけど、大丈夫……だよね? ひょっとして、手遅れ? と、とにかく、援護するからねっ!」
次の瞬間、エルシーが仲間達と共に現れ、心配した様子でカルフに駆け寄った。
だが、カルフは恐ろしいほど、ニンマリとした笑みを浮かべていたため、そのまま回れ右をして、帰りたい気持ちに襲われた。
「何だか手遅れのような気がしまちゅが……気にしたら負けでちゅね」
その事に気づいたパティも、ゲンナリとした気持ちに襲われたものの、それが胞子の影響である事を理解しているためか、躊躇う事なく疾風足で駆け寄り、熊の魔獣を威嚇するようにして攻撃を繰り出した。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオン!」
それでも、熊の魔獣は怯む事なく、殺気丸出しでパティに体当たりを仕掛けてきた。
しかし、パティの身体は、食用油でヌルヌル。
そのおかげで、弾き飛ばされる事なく、クルクルと回るようにして、何とか最悪の事態を回避した。
「こっちでございますよ」
すぐさま、ハリーヌが熊の魔獣を挑発すると、魔矢でダマスカス鋼の短弓から光の矢を飛ばした。
「グオオオオオオオオオオオオオオオン!」
その一撃を左肩に喰らった熊の魔獣が悲鳴にも似た鳴き声を響かせ、半ばヤケになりながら、今度はハリーヌめがけて突っ込んできた。
「ウホウホ、ウホ!」
その事に気づいたゴリラが、ハリーヌを抱きかかえ、熊の魔獣のタックルをギリギリのところで避けた。
「あ、危ないところでございましたね」
ハリーヌがゴリラに抱えられたまま、ホッとした様子で溜息を漏らした。
ゴリラの助けが無ければ、あのまま身を守る事さえ出来ず、宙を舞っていたかも知れないため、嫌な汗が止まらなくなっていた。
「悪いでちゅけど、これも依頼のためでちゅ!」
そんな中、パティが熊の魔獣の首を狙って強打2を繰り出し、鋼の短剣を突き刺した。
その途端、熊の魔獣が大量の血を飛び散らせ、大量の胞子を撒き散らした。
それは熊の魔獣の姿が見えなくなるほど濃度が高く、目を開ける事さえ困難なほど大量であった。
「ぶばぼっ! ふひっ! ふひょひょひょひょ!」
次の瞬間、カルフが『もう何も怖くない』と言わんばかりの勢いで、狂ったように笑い声を響かせながら、熊の魔獣に衝撃刃を繰り出した。
「悪いのは茸だと思うんだけど……。ごめんね、魔獣は助けてあげられない」
それに合わせて、エルシーが真ハーツベインショットでダマスカス鋼の矢に不可視のエーテルを纏わせ、熊の魔獣めがけて解き放った。
「グォォォォォォォォォォォン!」
その一撃を喰らった熊の魔獣が、強烈に肉体を蝕まれ、その痛みから逃れるようにして暴れ始めた。
それと同時に、大量の胞子が舞い上がって、辺りに霧がかかったような状態になり、熊の魔獣が何処にいるのか分からなくなった。
「グォォォォォォォォォォォォォォォォン!」
そのドサクサに紛れるようにして、熊の魔獣がドシンドシンと音を立てながら、森の中に姿を消した。
「……逃げられてしまったようでございますね」
ハリーヌが残念そうにしながら、大量の胞子を振り払った。
それでも、大量の胞子が纏わりつき、目がショボショボして、開ける事が出来なくなった。
「し、死んだ……腹筋が死んだ……フヒ……フヒヒヒ……フヒョ!」
そんな中、カルフが寝ころんだまま笑い声を響かせ、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
おそらく、自分の意志で笑う事を止められなくなっているのだろう。
熊の魔獣がいなくなった事で、そのうち元に戻るはずだが、それまで体力が持つのか妖しい感じであった。
「全身胞子まみれになっているから、せめて顔だけでも洗っておこうか。そうすれば多少は落ち着くと思うし……。だから、ちょっと待っててね」
エルシーがカルフに声を掛けた後、村の広場にある井戸で水を汲むため、バケツを持って走り出した。
「これで一安心という訳には行きませんでちゅが……。とりあえず、この辺りのキノコは焼却ちた方が良さそうでちゅね」
そんな中、パティが熊の魔獣から落ちたワライタケを拾って、一ヶ所に集めた。
後は、村人達の考え次第。
どちらにしても、このまま放っておく訳にもいかないため、焼くか、埋めるかのどちらかである。
その判断を任せるため、パティ達は森の中に避難させた村人達を迎えに行くのであった。
マスターコメント
基本的には、プレイングが分かりやすく、描写がしやすく、行動が的確だったものから、印象に残ったモノ等を基準にしてMVPを選んでいます。
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜10人
2021年03月26日 16時11分32秒 公開
成功
相談掲示板
ワライタケでございますか? ずっと笑い続けるのは辛そうでございますね… さて、どなたかいらっしゃるでございましょうか…
ウオーリアのカルフだ、ヨロシク。 >村人達も必死です。 意識があるまま喰われるのは堪ったもんじゃねぇな… 傷つくと大量の胞子を飛ばすって事だから シーザーロアで村の外に引き出せないか一丁試してみるか。
シューターのエルシー・サリバンだよ。 熊の魔獣を引き離せれば大丈夫って気もするけど 避難させないと確実に巻込まれると書かれてるので 魔獣と反対の方向へと2名ずつ、両肩に担ぐか抱えて走るよ。 …女の子としてはちょっと抵抗があるけど、仕方ないよね。 出発人数に成りますように。
どもー、あちし、パティ・ポップでちゅ。 よろちくでちゅー。