【藍玄】失われた島
崎田航輝
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シナリオID:684
オープニング
陸から遠く離れた絶海に、小さな影が浮いていた。
辺境都市群の漁師が乗る小型船だ。
釣果が上がらぬからと深追いした結果、嵐に巻き込まれた。うねる波と格闘している内に、普段は立ち入らぬ遠洋に流されてしまったのだ。
今では波も引いて、静かになっている。
生きているだけで奇跡。だが、安堵もしていられない。
外洋には危険な魔物が山程いると聞く。ここはそこまで遠くではないと思いたかったが――それでも近海では有りえぬような、背筋の冷える空気を感じていた。
見回せば、既に見た事の無いような深い霧が立っていて。
「……長居は出来ないな」
漁師は帆が無事だと確認すると、すぐに帰路へ向かおうと決める。
――と。
「……?」
そこで何かを発見した。
ぼんやりとしたシルエットだったが、近づくとそれが海面に浮かぶ物体だと気づく。大きな木材の塊で、始めは沈んだ船のものかと思ったが。
「……馬鹿な」
漁師はぞっとして呟く。
船乗りとして、それが船の部品ではないと判った。
それは建材――何らかの大きな建築物の一部だった。
「何でこんなとこに」
当然だが、周囲に建物はない。
だが陸から遠く流されてきたにしては、形を保ちすぎている。
まるで今まさに海中から浮かんできたかのようで。それでいてその建材、シャルガネに色濃く残る東方風の細工が施されているのだが――
「……最近のものじゃない」
明らかな、年代物。
百年か、いや、それより更に昔の……。
だとすれば、こんなものが突然水上に上がってくるのは尚更おかしい。けれどそれは確かに、何かの証拠だ。
「こりゃ、遭難とか言ってる場合じゃねぇ」
漁師は回収出来る分だけを拾い上げ、一路辺境都市群への舵をとってゆく。
●波及
その後、嵐や魔物とすれ違いながらも漁師は生還した。
人心地を得た彼は、遠洋で見たものの事を、始めは夢だと思っていたと周囲に話した。
だがそれは夢ではない。
時代がかった建材は確かにその手にあったし――話がシャルガネの内部に届くと嘗ての“東方からの漂着民”について多少なりとも知る者の間で大きな噂となり始めていた。
それは漁師の話を裏付ける事実が、現実に存在したからだ。
曰く、およそ二百年前。
遠洋のその海域に一つの小さな“島”があったという。
漂着民の一部がそこで拠点を築き、生活をしていたという言い伝えもあって――その話を親や祖父母から聞いた事があった者もいた。
その島は魔物か、災害か――何らかの原因があってその時代のうちに水没してしまったらしい。
水没というのも推測で、噂の上では跡形もなく消え去ってしまったとされていた。今では島があった確かな物的証拠は残っておらず、文書での言及と言伝だけがあるだけだ。
そこに、今回の発見だ。
それは言わば、その海域に人がいた証拠とも言えるもの。
元々島の事を知る者自体が多くなかったが、今回の事でそれは明るみになりつつあった。そして東方に関係する人々皆が、熱意を以て注目し始めていた。
●思惑
その情報を外からいち早く掴んだのが同盟の都市だ。
中でも、シノビを諜報として擁する町ランツォールは、この事実に熱視線を浴びせていた。
「他にも、興味を以て見ているシノビは少なくないようで御座る」
ランツォールのシノビ――龍尾・左衛門が市長に語ったのも、当然だろう。
シャルガネより東の海に、東方の名残のある何かがあるなら?
自身のルーツに関係するかも知れない事に、興味を抱かないわけはない。
そうでなくとも、『調査すれば何か価値のある遺物が見つかるかも知れない』とは、誰もが思った事だろう。
危険な航海になるからか、シャルガネもまだ調査に出てはいなかったが――しかと準備を整えれば辿り着けない場所ではないのも事実。
それを勘案したランツォール市長、ベルナールは決意した。
「私達の協力で船を用意しよう」
無論慈善事業ではない。
街が経てきた経験から、シノビ達やその周辺に関わる地域は味方につけておくに越したことはない、という思いもあっての事だ。
だけに留まらず、ベルナールは隣町のクウェルツにも協力を打診した。
クウェルツは今、とある冒険者達の調査事業によって“冒険物語”が流行している。現状を伝えれば身銭を切ってでも手を貸してくれるはず、という判断だ。
実際、話を聞いたクウェルツは強い興味を示して了承。
結果としてランツォールとクウェルツ、二つの都市でシャルガネに船旅を持ちかける形となった。
そしてシャルガネ側はこれを受諾。資料の提供を約束する。
こうして「嘗て東の遠洋にあった島」への調査船が編成され始め、最も重要な存在――危険な航海を率いる事が出来るだけの実力者達が招集された。
即ち冒険者である。
●旅路へ
「……改めて説明すると、経緯はこんな所でしょうか」
掛け声が響き、ロープが巻き取られ、帆が上げられていく。
港で船を見上げながら、ベルナールは冒険者達に話をしていた。
遠洋への調査――その船旅が今始まろうとしているところである。
裏でどんな思惑があったかなどは別段、話さなくても良いはずの話だった。けれどベルナールは全てをあけすけに語った。
「命をかけて冒険をしてもらう訳ですから、伝えられる事は伝えておきたいのです」
それは、彼なりの信頼の証でもあるらしい。
クウェルツと共に、冒険者に陣頭指揮を取らせたいと強く推薦したのもまたベルナールだった。冒険者の力を高く評価し、彼らなら何かを成してくれる、と。
故に期待と共に、責任感もあっての事だろう。
そもそも、件の島の情報は少なかった。
シャルガネが提供出来たのも、古い文書の一部のみ。確かにその辺りに島があった、という程度の伝聞にも近いものだ。
さらに目指す海域までは遠く、魔物も出る。
「だから簡単には行かないかもしれませんが」
それでも貴方達を信じていますと、ベルナールは言った。
「それなりに長い旅になるみたいです。頑張りましょうね」
船に乗り込みながら言ったのは若年の剣士レザン・コット。戦士四名と共に、クウェルツ側の代表として冒険者に同行していた。
ランツォールの代表であるベルナールは左衛門と共に残り、表に裏にと調整役をするという。
船員は辺境都市群の者で構成され、バランスを取った形だ。
そしてそれらをまとめ上げ、戦闘と調査の先陣に立ち――皆の命を預かるのが冒険者達。
ランツォールとクウェルツ、シャルガネ。その期待を背負って指揮を取る事が出来るのは、彼らを置いて他になかった。
「まずは航海ですね。魔物を倒しながら、海路を開かなくてはならないみたいです」
件の漁師は奇跡的に生還出来たが、本来は多数の魔物が見られる海路である。継続的調査の為にも、航海中の戦いは避けられないだろう。
そうして辿り着いて初めて調査が出来る。
「僕達も尽力します。二百年前の島……その手がかりを見つけましょう」
レザンも信頼の瞳を冒険者達へ向ける。
そのうちに船員達が合図を出し、船が陸から離れ始めた。
広がるのはどこまでも続く青色。
その先に探すものがあるだろうか。
冒険者達は、幾つもの思いを背負った船旅に出る。
解説
マスターより
リプレイ
青空と水平線が彼方で交わる、晴天の海。
そこへ出向する船から、ハヤト=ガラン=ヴォルファングは港へ軽く手を振っていた。
「今回も期待して待っててくれよな♪」
見送るベルナール達もそれに応えている。地元の人々も旗を振って出立を見守っていた。
そんな人々の姿も遠のき始めると――ふわり。涼風が甲板に吹き抜ける。
遥かな東の海からの温度。その中でアーテミシアは船内を見回っていた。
「修理資材は多めに積んだか?」
備えは念入りに越した事はない。
船員達は頷き、航海への意気を声高らかに表してくれる。だからノックス・マグナも声に期待を交えていた。
「遺物を求めての航海とは心が踊りますね」
「まあ、最近近場の仕事も飽きてきたしな」
殊更に表情は変えずとも、アーテミシアも言って海原を見据える。
「海洋調査って奴をすんのも、ちょうどいい」
「何が待っているのでしょうか」
ノックスは遠洋に出るのは初めてだ。だから、この先は全てが未知で。
「非常に楽しみです」
「うんっ、大冒険の予感だねっ!」
船首へ駆けて、雄大な青を視界いっぱいにして。サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブも声を華やがす。
頷くハヤトも心は同じ。
多くの人々の思いを背負った仕事でもあった。故にこそ、クウェルツやシャルガネにも傭兵団の名を売るチャンスでもあるから。
「気合い入れて行こうぜ!」
「そうだね」
ララベル・サン・ディーベルは遠方の東へ指をさす。
「いざ――謎の島探検隊出航!」
「うーん! 潮風が気持ちいいっ!」
サフィラはマストに張り付き、海面を眺めていた。
今の所は異常はなく、空気が快い。
そんな姿を仰ぎ見つつ、ノックスは非常時に備え操舵を教わっていた。
「船は動かすだけでも、楽ではないのですね」
「うん。ほんとに大変だね……!」
と、ララベルも物資の樽を固定したロープを、ひとつひとつ確認している。そうして雑務が一段落すれば――次に船縁から釣り糸を垂らした。
「食糧も確保したいからね」
「ええ! この辺りでは沢山獲れるそうですから、楽しみです!」
同じく釣り竿をセットするのはエルナ・クルプファルツ。用意して貰った網も海に沈め、大漁を狙っている。
すると程なく、引き上げた網に――
「わぁ! 凄いです!」
活発に跳ねるものが数匹。銀色の鱗が眩しい、辺境都市群でも好まれる魚だ。
「こっちも来た、よ」
自身の釣り竿をぐいっと引いているのは、ティトだ。
大物なのか、一瞬糸が持っていかれそうになるが――ティトは巧みに制御。最後は力勝負でも勝利して、身の丈に迫る魚を釣り上げた。
ララベルも一気に三匹ゲット。エルナも竿からも釣果を得ている。
食べ物には困らなさそうと賑わう皆を……アーテミシアは見張りも続けつつ、軽くあくびしながら見ていたが――
「……?」
そこで違和感を覚えた。
ティトも嗅覚に、無害な魚とは違う匂いを感じる。
「前の方。何かいる、よ」
「魔獣だね」
言って前方を見つめるのはアイリーン=N=フェルクス。その海面がにわかに波立っているのを捉えていた。
「水面が光った、みんな注意して」
そしてララベルが注意を喚起した直後、水面から魚型魔獣――刃魚が姿を現した。
アーテミシアは既に斧を握っている。
「出港して早々にこれとは、中々歓迎されてるじゃねえか」
「でも――負けませんよ!」
エルナも弓弦を引き絞っていた。瞬間、飛び出てきた刃魚を矢で穿ってゆく。
ララベルも跳躍。ひらりと廻って双剣を踊らせ――
「飛燕回転2連撃!!」
鮮やかな斬閃で、跳ねてきた一匹を四散させていた。
それらの隙間を縫って飛び込む刃魚もいるが――その二匹の軌道を、アイリーンはしかとその瞳に捉えている。
「悪いけど、当たらないよ」
たん、と片足を軸に回転し。軽やかにステップでも踏むかのように身を躱して――まずは一匹の体当たりを紙一重で回避。
更に僅かな時間差で迫る二匹目も、体をずらすように避けきってみせた。
攻撃も忘れず、剣先で曲線を描いて一匹を斬り捨てる。
ハヤトも戦闘員にエーテルを施して貰い水上を疾駆。一匹を斬り、且つ落とさぬように突き刺してゆく。
「うるぁ! 今夜のおかずの足しにしてやんぜ!」
「あたしも行くよっ!」
と、サフィラも船縁からジャンプして爪撃。
「とうっ! とったどー!!」
正確に頭を貫き、その一匹を釣果とした。
海に残る二匹には、ノックスが射撃。光の矢を炸裂させて体力を減らすと――
「後はお任せします」
「ああ」
アーテミシアもエーテルをぶつけて注意を引く。
命中した一匹と、弱ったもう一匹も追随して迫ってくると――アーテミシアはそのタイミングで斧を振るって諸共寸断した。
甲板に残った一匹は、ティトが細剣で撃破している。
「これで全滅、だね」
言葉に、船員達がわっと喜びの声を上げていた。
「ま、こんなもんか」
日暮れの中、アーテミシアは甲板の修理。
破損度合いと資材の量を勘案し、程々に張り替えていた。
それも終わる頃、エルナが甲板上の卓に魚を並べ始めている。昼に獲ったものは干物や塩漬けにしたが、生の物もとっておいたのだ。
「これで食事にしましょう!」
というわけで、皆で刺身や魚のスープを準備。
サフィラは刃魚も開きにして、海水につけている。アーテミシアはそんな作業を何となしに見ていた。
「魔獣が食料になるか?」
「身はきれいだし、意外といけるかもしれないよっ?」
サフィラは天日干し用を準備しつつ、今宵のおかずにもとこちらも生の物を提供。船員達も、挑戦してみようかとムニエルを作ってくれた。
それらを囲い、皆で食事。
アイリーンは近海の魚の刺身を醤油で頂き、うん、と頷く。
「美味しいね」
身は脂がのっていて、舌の上でやわくほどける食感。スープも、冷えた体に快く……ティトもほう、と温かな吐息を零す。
「温まる、ね」
「本当だ。美味しい……!」
疲れも癒える美味に、ララベルも舌鼓。
「まだまだ長い道中だ、皆宜しくな!」
と、ハヤトは船員やレザン達とも話を交わす。レザン達も楽しげに応え、暫し和やかな食卓となった。
ノックスはリュートを手に船員に尋ねる。
「船乗りの歌など、あるのでしょうか」
「ああ、遠出する時は必ず唄うのさ」
一人が応えて歌うと、船員達が声を重ねて拍子を取った。
ノックスがそれに伴奏をすると、踊り出す船員も出て――旅の緊張も和らいでいく。
アイリーンはムニエルをはむはむと食べつつ、東を見やった。
「この先も美味しいものあるかなぁ」
「それを知るためにも、このまま進んでいければいいね」
ララベルの言葉に皆も頷いている。
食事は遠慮していたアーテミシアは、皆の会話を耳にしつつ――船縁に軽く寄りかかって夜の海を見張り。
「さて、どうなるかね」
近海もすぐに過ぎ去る。そこから先は容易ではないだろう、と。
●遠海
海面が大きく波打ち、船底に衝撃を与える。
巨大な飛沫が甲板を叩き、肌に当たる雫も痛いほどだった。
「うわわっ!? めっちゃゆれる!」
マストに張り付きながら、サフィラは近海から一変した環境に声を零す。
数日を経て辿り着いた遠洋。そこは荒れた海が人の侵入を拒む、異質な環境だった。
外洋まで達さずとも十二分に危険。エルナは浮きになる水袋の空気を確認し、船からの落下に備えている。
「皆さん、気をつけて下さいね!」
言いながらも、ペットのリスと分担して海を見張ってもいた。するとエルナは海中から何かが上昇してくるのを、鋭敏な聴覚で捉える。
サフィラも海面が濁るのに気づいた。
「およ? あの黒くてふよふよしてるのって……!」
警戒が促されていた魔獣――黒海月。
どぷりと姿を現すと、揺蕩いながら船に近づいてくる、が。サフィラは既に跳躍。宙を駆けながら頭上へ迫っていた。
「えいっ!」
そのまま爪で斬り刻む。
流石に一撃では斃せない、が、直後にはエルナも射撃。精確に矢を突き立て霧散させた。
回り込もうとする二体目は、アーテミシアが衝撃波を飛ばして留める。その間にも三体目が近づいてくるが――
「こっちは受け持っとくから、頼む」
「うん!」
応えたララベルが空中を奔っていた。
そのまま鋭い二連撃を叩き込んでゆくと――ハヤトも水上へ飛び出て剣撃を舞わせ、その一体を千々に散らせる。
「そっちは平気か!」
見ると四体目が水鉄砲を放ってきている、が。
標的となったアイリーンは身軽にバックステップ。弾道を読み切って回避して事なきを得ていた。
そのまま反撃を加えると、ノックスも追随して矢にエーテルを込めていた。
「これで、仕留めます」
瞬間、光の軌跡を描いた矢でその一体を撃破する。
アーテミシアへ迫る一体が、水鉄砲を放つが――アーテミシアは盾で防御。直後にはティトが魔法の光を癒やしの力に変えて傷を治癒。
「これで、大丈夫、だよ」
「ああ」
応えるアーテミシアは斧を振り下ろし、面前の黒海月を断ち斬った。
「……こっちは、どう見てもメシにゃならねえな」
その残骸を手にすると、呟いて。そのまま海へと放り投げていた。
その後も数日、厳しい航海を乗り越え――
「この辺り、だね」
ティトがきょろきょろ眺めて言うと、船員達も頷いていた。
目的の海域だ。
同じ遠洋だが、波は比較的穏やか。しかし霞が視界を邪魔していて不穏な空気も色濃い。いつ危険な存在が現れてもおかしくなかった。
と、皆がそれを感じた所で。
「来る、よ」
ティトが早々に、エーテルの網に違和を捉える。
遠方、霞の向こうに見えるのは――
「あの白いのは……でっかいイカだ!?」
サフィラが驚くのも無理はない。それは人の丈をも超えるクリーパーだった。
とはいえそれで怯むハヤトではなく。
「何にせよ――お呼びじゃねーんだよ!」
飛び出て一息に迫ると斬撃。
ララベルも海上に出て夜煌石を光らせると――サフィラもまた同じ物を振り回して投擲。
「とりゃー! あっち行けー!」
そのままクリーパーが引き付けられると、ノックスも戦闘員から補助のエーテルを受けて海面へ。
灯籠を流して注意を逸らした上で、射撃での撹乱を行った。
ヒット&アウェイを徹底している為、クリーパーの反撃もこちらには届かない。その内に、仲間にエーテルを纏わせて貰ったアイリーンも攻めへ出た。
海へ出ると剣撃に毒を伴わせ――
「あと少しかな?」
「じゃあ、やっておくか」
暴れ回るクリーパーが寄ってきたところで、アーテミシアが船縁から跳躍。斧を横殴りに叩きつけ、目玉ごとその命を斬り潰した。
その後、皆は船に戻り――
「イカって言ったら塩焼きかなぁ……」
アイリーンは持ち帰った残骸の脚部分をぱちぱちと焼いていた。
はふりと食べると意外といけて……。
「ん、美味しい。お酒持ってくるべきだったかなぁ」
「お酒、ありますよ!」
エルナが樽に積んできたそれを用意して、ささやかな戦後の休憩を楽しんだのだった。
●発見
「それじゃ、早めに調査だね」
食事もそこそこに、アイリーンは見回す。
霞も不穏な気配も引かぬまま。漫然としていれば、またクリーパーが出てきてもおかしくなかった。
「こっちは見とくから、海の方は頼む」
と、アーテミシアは見張りも兼ねて船の状態を確認して回ってゆく。傷んだ部位があれば、崩れる前に修理を施していった。
頷くティトは周囲の海面を見つつ、定期的にエーテルを奔らせて索敵も兼ねる。
「今の所は安全、だよ。海、詳しく調べても平気、かも」
「では、降りて見てみましょうか」
ノックスは戦闘時と同じく、海へ歩き出す形で調査を始めた。
暫くは海上も含め、異変は無かった。だが――
「うーん……霞んでてよく見えない……お宝の気配はするんだけどなぁ……? ――あっ!」
船首から見回していたサフィラが、遠くに何かを発見する。
それは静かな波に揺られてくる木材。
目を惹いたのは、それが鮮やかな朱塗りだったからだ。ノックスが手にして戻ると、アーテミシアは瞳を細めた。
「確かに船の部品って感じじゃねーな」
「まだあるみたいです!」
エルナがその聴覚に、異物が流れる音を捉える。
するとその方向から、幾つも似た建材が流れるのを見つけた。
サフィラはその流れを海図にメモして、元を辿る。すると少し離れた位置が源流らしいと推測された。
そこに向かうと、海面には特に異常はない。
だが島が沈んだとするなら怪しいのは――海中。
ハヤトはロープを命綱に、下方へ潜り始めていた。
島があるとは今も信じられぬ程の絶海。だがそれが東方の国に縁があると言われれば、興味も唆られるというもの。
自身の名前の由来も東方の国の民族にあると両親から聞かされてきた。
だからこそハヤトは迷わず下へ。探知用エーテルで海底の一部が不自然に盛り上がっている事を突き止めた。
深くはなく、到達出来る程度。
ララベルもまたそこを目指し潜水。すると……一瞬だけぞくりとする。
暗視で見たそこは、確か島だった。
円を描いた広い土地が、そのまま水没している。そして中心部にあるのが――建造物。
(何かの、祭殿みたいだ)
東方の古い文化を踏襲したような切妻型の神社建築。朱色に金箔、荘厳なものだった。
海に浮かんだ建材は、あの祭殿のものだろう。
今も朽ちておらず、美しさを保っているのは――
(……環境自体が変わったせいか)
ハヤトがエーテルの光で照らすと、祭殿は地下と同化して変容しているようだった。
即ちダンジョン化。ならばそこにいるのは――
(クリーパー!)
二人は飛び出てくる海蛇型の一体を、とっさに剣撃で撃退。だが、内部と地下にはまだ危険な存在が眠っている事が推測された。
ハヤトは祭殿の解錠に成功するが……中は空気もあるらしく広大。ララベルと目を合わせ、一度戻る事にした。
見た物の説明に、皆は思い思いの反応。
ティトは海を見下ろす。
「クリーパーに乗っ取られて……沈んだの、かな」
「かもな。木材が変質してたってのも、ダンジョンになってた良い証拠だ」
アーテミシアも呟く。
だがそれ故に、祭殿は原形を留めた。内部には所蔵品含め、当時の環境が残っている可能性もある。
「しっかり調べる必要がありそうですね!」
エルナはぐっと拳を握る。
けれどその合間にも――遠くにクリーパーの気配を感じていた。
「この海域から離れて休憩しましょうか?」
「とはいえ……またここに戻ってきても、調査するには危険ですね」
ノックスの言葉に船員達も頷く。
祭殿の奥を本格的に調べようと思えば、船の方が無防備となるだろう。
「この海域のクリーパーを退治してから、改めて出直す形かな」
ララベルが言えば、皆はその結論に同意する。
そうして一行は、備蓄を活用しつつ海域の安全確保に集中。数日の後、次の調査に望みを繋げ――祭殿の発見という成果を手に大陸へ帰還した。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:多い8 / 4〜8人
2021年03月23日 16時17分22秒 公開
相談掲示板
う〜み〜はひろい〜な、おおきい〜な〜♪ 外洋を舞台に冒険始まると聞いて駆けつけた サフィラだよっ! 遥か東方、シャルガネの人たちのルーツにせまる第一歩になるように気合い入れてくよっ!
ウォリアーのアーテミシアだ。宜しくな 戦闘は兎も角物資の欠損とかどうしようもねえぜ。そういうのの対策が必要かもな
さあ、海洋冒険の始まりです!ヨーソロー! というわけでエルヴンシューターのエルナです!皆様よろしくお願いしますね! 調査や戦闘、食料確保などなど、みんなでスキルやアイテムを分担していけるとよさそうですね! >食料確保 食料調達は近海のうちにお魚を沢山捕らえて保存食に加工しておければ良さそうでしょうか! 総勢28名✕数日分となるとかなりの量を確保しておく必要がありそうです! 飲み水の確保も必要ですね!保存性を考えるとお酒が鉄板でしょうか!こちらも相当量が必要になりそうです!生活魔法やピュアウォーターも有用そうです! >戦闘 戦闘ではバランス感覚があるとマイナス補正を減らせそうな気がします! 今回はキャスターとヒーラーの方がいないので、ウォーターウォークによる海上戦ができない点と回復手に欠ける点は注意がいるかもです!各自ヒールを持った方がいいかも……? >調査 海中の調査は専用にスキルを揃えた方があたった方が良さそうでしょうか! 海上の調査は索敵警戒用のスキルをある程度転用できそうな気もしています!
僕はシーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、よろしくね!
船が出るぞ~! ってなわけでゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 東方文化の遺る島の発見&探索なんざ胸が躍る以外のなにもんでもねーな!? 食料確保ももちろんだが、航路を見失わねー様に位置の把握やマッピングも重要になりそうだよな。 持ってくスキルは色々考えてみんぜ!
船で沖に出るのは初めてですね。 赤眼の山猫団のノックスです。クラスはシューター。 よろしくお願いします。 >食料 エルナさんの言う通りですね。確かに食料は結構な量を用意しなければなりませんね。 飲料水に関しては私はピュアウォーターは持っていく予定です。 まだスキル自体は取っていないので他に持っていく方がいれば私は釣りか他の汎用スキルを持っていきますが。 >戦闘 戦闘員は各クラス1名ずつとのことですし、全員がヒールを持っていく必要はないかと思います。 それでもやはり数名は持っていった方が良いと思いますが。 >調査 島周辺ではイカが一時間置きに現れるそうですので短時間で済ませる方法も考えた方が良さそうですね。 >マッピング 船員に欠員が出る可能性がある以上はそれらも私達で行えるようにしておいて損はありませんね。
シーフで現在狂桜会頭首代理のアイリーンですよ〜♪ 気にしなきゃは食料確保と船員の安否、後はイカイカのデバフ攻撃怖いよね〜 危険な場面で動けませんでしたは嫌だし回避重視にスキルは構成しておこうかな? 食料は各自でもしくはスキルで補うとして 後方支援出来る人で船員の保護をしたいところだね ちなみにそのイカって食べれるんですか?
クリーパーを食おうって気にはならねえな とりあえず木工と飲食不要を付けたから、何処か壊れれば修理するし、オレの分のメシはいらねえぜ。 問題は船の上でのマイナスか。うっかり飛び道具や範囲攻撃系スキルも使えねえし、イカはどうしたもンかね
>対イカ 攻撃手段が範囲攻撃でこちらは船の上ですから可能な限り船から離れた位置で戦いたいですね。 私は灯籠流しの要領で海にランタンを流すことでイカの注意を引けるのではと考えています。 アイリーンさんが回避重視にしていただけるのは助かります。 BSからの回復手段は貴重だと思うので。 >船員の保護 戦場は当然海上でしょうから四方全てから襲われる想定をする必要があるでしょう。 キャラベル船のような船室や船倉のある船なら戦闘時にそこに隠れてもらう事ができるとは思いますが、私達が乗る船はどういうものでしょうね。 ロングシップのような細長くて方陣も組めない船に乗ることも想定すると、船員が欠けることを前提にした方が良いかもしれません。
そういえばレザンさんたちが同行するので、各クラス1名はいるのですね!となればNPCキャスターの方にウォーターウォークを目一杯持ってきてもらえれば32回は使用可能ですね! >対イカ イカさんの最大射程は6hexとそれ程長いわけではないので、接近される前に前衛の方に打って出てもらえれば船や船員への被害はなくせそうです! ウォーターウォークは1hexの範囲効果なので、なるべくまとまってかけてもらって回数を節約しながら戦えば、かなりの時間調査を行えそうですね! 気をつけるべき点があるとすれば出現海域は霧が出ていて索敵にやや難があるということでしょうか! 移動中、調査中含めて四方を分担して警戒する必要がありそうです! >船 マスターよりの下の方の記述によれば船は中型ということなのでキャラベル船より大きい船を想定して大丈夫かと思いますよ!
>対イカ んー、エアーライド持って行って なるべくウォーターウォークの回数を節約できるようにしてみようかなぁ あ、それと夜煌石のペンダント持ってるから イカさん引きつけるデコイ代わりに投げてみるねっ! …ゲソ一本切って焼いてみたいなぁ(じゅるり) >探索 今のところ【捜波・改】と【看破】を持っていく予定だけど、他にも何か持っていこうかなぁ?うーん…
>対イカ ウォーターウォークがあれば海上でも戦闘が出来るのですね。 島周辺海域では先手を打つことが大事になるわけですか。 警戒の方を疎かには出来ませんね。 それからイカの形をしているとはいえクリーパー。食べてお腹を壊さないように気をつけてくださいね。 >船 キャラベル船以上の大きさなら船室もありそうですし、戦闘時には船員の方々はそちらに避難していただきましょう。 >戦闘 後方からの射撃を行いますが、ウォーターウォークを私にも掛けられるのであれば私も海上に移ろうと思います。
>戦闘 そうだな、同行のNPCキャスターにありったけのウォーターウォークを積んでって貰って海上に移って戦闘出来るならだいぶ戦術の巾が広がるな! >島探索 確か、海中に沈んだ島って言われてんだよな? 一応潜って海底を調べられる様に準備していこうと思ってんぜ!
ハヤトさん海中探索の準備ありがとうございます! 私も後方から弓で戦う形で行こうと思います! スキルは索敵向けにエーテルリンクに捜波に超聴覚、船上から攻撃する関係でバランス感覚も持っていこうと思います! 一応、主に道中警戒に関しての共通部分を 【共通】としてタグにまとめてみました!問題なければこのままプレイングに記載しますのでご利用ください! ↓ここから 【共通】 ※本タグは以下の4つの内容を示す ・日中は目的地での調査中含め、前後左右それぞれを分担して警戒する、マスト上部等に物見台あれば利用。索敵役の捜波を基にいち早く敵を察知し、戦闘は可能な限り避けて進む ・夜間は冒険者8人、戦闘員5名の内から4人を1組とし、3~4時間交代で夜間の周囲警戒等の寝ずの番をする ・戦闘時には船員等非戦闘員は船室などに非難する ・NPCキャスターにはウォーターウォークを可能な限り準備してもらい、戦闘時適宜使用してもらう
エルにゃんはタグありがとー! 結局、文字数でゲソ焼きは断念…(しょんぼり) 代わりに刃魚を三枚に下すよっ! 探索はマストに【壁歩き】で張り付いて 【捜波・改】【幸運の星】でやることにしたよっ!
エルナはタグの纏めサンキューな! 海中探索は任せといてくれ!!
シーフのティトです ごめんなさい、話に参加出来なくて… タグ、ありがとうござい、ます。