猫をもたらすモノ
ゆうきつかさ
コメント 8
シナリオID:671
オープニング
●リーンエス王国【街の酒場】
「にゃ~ん♪」
リーンエス王国の街を闊歩していたのは、猫の魔獣であった。
猫の魔獣は二本の尻尾をユラユラと揺らしながら、沢山の猫を引き連れ、ご機嫌な様子であった。
だが、ひとつ困った事があった。
とても困った事が……。
「どうやら、猫の魔獣の身体から、濃厚なフェロモンが出ているようなんだ。そのため、猫達はメロメロ。まるで引き寄せられるようにして、猫の魔獣の後をついて行っている。つまり……この街は【にゃんこ津波】の被害に遭っているんだ!」
ドワーフの細工師デックスが劇画タッチで、くわっと表情を浮かべた。
それは素晴らしき事であり、恐ろしき事。
猫好きであれば、パラダイスタイムの始まりではあるのだが、猫アレルギーにとっては、地獄の一時。
「ちなみに俺は、猫好きでありながら、猫アレルギーだ。この辛さが分かるか。触りたくても、触れない。ある意味、触れるだけでも命懸け。ある意味、これは試練ッ! 早くしないと俺の理性が吹っ飛んじまう! だから、頼む! 猫の魔獣を何とかしてくれ!」
デックスが真剣な表情を浮かべ、テーブルをドンと叩いた。
「ただし、命を奪う必要はない。別に何か悪さをしている訳でもないからな。どうやら、猫の魔獣が発しているフェロモンは、二本の尻尾のうちの一本……何故かピンク色に輝く尻尾が原因のようなんだ」
それは、あくまで憶測でしかない。
しかし、猫好き(ある意味、専門家)達の総意であり、確信でもあるらしい。
おそらく、思考が猫に近い(本人達の思い込み)ため。
自分達の前世が猫(単なる思い込み)であるためのようである。
「場合によっては、猫の魔獣ではなく、尻尾の魔獣かも知れん。いや、何を言っているのか分からないかも知れないが、とにかく危険なのは尻尾だ。それに猫好きほど、『尻尾が萌える』と言っていたから間違いないッ!」
そう言ってデックスが、何やらフラフラとした感じで、猫の魔獣(?)退治を依頼するのであった。
「にゃ~ん♪」
リーンエス王国の街を闊歩していたのは、猫の魔獣であった。
猫の魔獣は二本の尻尾をユラユラと揺らしながら、沢山の猫を引き連れ、ご機嫌な様子であった。
だが、ひとつ困った事があった。
とても困った事が……。
「どうやら、猫の魔獣の身体から、濃厚なフェロモンが出ているようなんだ。そのため、猫達はメロメロ。まるで引き寄せられるようにして、猫の魔獣の後をついて行っている。つまり……この街は【にゃんこ津波】の被害に遭っているんだ!」
ドワーフの細工師デックスが劇画タッチで、くわっと表情を浮かべた。
それは素晴らしき事であり、恐ろしき事。
猫好きであれば、パラダイスタイムの始まりではあるのだが、猫アレルギーにとっては、地獄の一時。
「ちなみに俺は、猫好きでありながら、猫アレルギーだ。この辛さが分かるか。触りたくても、触れない。ある意味、触れるだけでも命懸け。ある意味、これは試練ッ! 早くしないと俺の理性が吹っ飛んじまう! だから、頼む! 猫の魔獣を何とかしてくれ!」
デックスが真剣な表情を浮かべ、テーブルをドンと叩いた。
「ただし、命を奪う必要はない。別に何か悪さをしている訳でもないからな。どうやら、猫の魔獣が発しているフェロモンは、二本の尻尾のうちの一本……何故かピンク色に輝く尻尾が原因のようなんだ」
それは、あくまで憶測でしかない。
しかし、猫好き(ある意味、専門家)達の総意であり、確信でもあるらしい。
おそらく、思考が猫に近い(本人達の思い込み)ため。
自分達の前世が猫(単なる思い込み)であるためのようである。
「場合によっては、猫の魔獣ではなく、尻尾の魔獣かも知れん。いや、何を言っているのか分からないかも知れないが、とにかく危険なのは尻尾だ。それに猫好きほど、『尻尾が萌える』と言っていたから間違いないッ!」
そう言ってデックスが、何やらフラフラとした感じで、猫の魔獣(?)退治を依頼するのであった。
解説
物語の流れは、準備、猫の注意を引きつつ、猫の魔獣の尻尾を切ります。
猫の数が多いため、猫を引きつける班と、猫の魔獣を相手にする班に分けた方が良いかも知れません。
▼基本的な情報
デックス(ドワーフ:男性)
細工師。30代。
猫好きでありながら、猫アレルギー。
猫グッズを販売中。
魔獣の尻尾に興味があるらしい。
猫の魔獣×1
二本の尻尾を生やした猫の魔獣。
尻尾を指揮棒の如く揺らす事で、猫を操る事が出来る。
素早いため、動きを封じる必要がある。
猫×50
猫の魔獣を守っており、津波に如く、襲い掛かってくる。
甘えっぷりが半端ない。
マスターより
どうも、ゆうきつかさです。
この依頼はコメディ依頼です。
そのため、マトモに行動する必要はありません。
猫達を、もふって、もふって、もふり倒す事が成功の近道です。
そのため、あえて自分の身を危険にさらしても、成功する仕様になっています。
ただし、猫を必要以上に傷つけたり、猫の魔獣を倒してしまうと、失敗になってしまう可能性があります。
基本的にオープニングに書かれていない事は、自分にとって都合よく解釈してかまいません。
他の参加者達に迷惑を掛けず、世界観的にも問題が無ければ、採用していこうと思っています。
またキャラクターの性格などを把握しやすくするため、台詞などがあると助かります。
リプレイ
●リーンエス王国【街中】
「す、凄い! これが噂のにゃんこ津波! みんな、とても幸せそう……!」
ニーラ・メッコは仲間達と共に、猫の魔獣を倒すため、街中にやってきた。
猫の魔獣は『ニャンニャンニャニャン♪』と鳴き声を響かせながら、ピンク色の尻尾をユラリと揺らし、沢山の猫達を引き連れ、街を闊歩している最中だった。
いまのところ、何か悪さをしている訳では無いのだが、にゃんこ津波に飲み込まれ、萌え転がっている街の人達が視界の隅にチラついた。
それでも、怪我をしている者はおらず、むしろ自ら波に飛び込む強者達ばかり。
みんな、こんな機会は二度とないと思っているのか、何の迷いもなくダイブしている様子であった。
それは、ある意味、自殺行為に等しかったが、みんな幸せそうな表情を浮かべており、猫の魔獣が特に攻撃を仕掛けてくる事も無かった。
「……あれ? ここって天国かな?」
それを目の当たりにしたアルマ・ヴァレンタインが、信じられない様子で自分の目を疑った。
ある意味、これは夢の国。
現実ではあり得ない光景が広がっているため、理解が追いつかないようである。
そのため、一瞬依頼に参加している事さえ、忘れそうになった。
「猫から猫まで、猫が好きか(猫のみ猫だけ猫しか猫おし♪)。猫がいなけりゃ猫になれば(猫まね猫なり猫らぶ猫おち♪)」
そんな中、ユークリア・フィナンシェがネコミミスーツ姿で、朝日を背に謎のBGMと共に猫達と現れた。
既に、身も心も猫化しているのか、にゃんこ津波の一部と化していた。
それが原因で人間らしい部分が行方不明になっており、大きさは違えど猫そのものであった。
故に、依頼を成功させる事よりも、猫達と戯れる事が優先されているような感じであった。
「こ、これは……、のんびりしている場合ではないのです!」
その事に危機感を覚えたハル・チフが街の人達に頼んで箱と鍋を大量に集め、捜波・改で探知用のエーテルの波動を走らせ、猫の魔獣の位置を確認しつつ、程よい間隔で街との境界に配置した。
ある意味、にゃんこ包囲網。
猫であれば、回避する事の出来ない罠が張られ、着々と準備が整いつつあった。
「にゃんにゃんにゃん♪」
その間、猫の魔獣は、自由気ままに、散歩中。
まったくトラップに気づいていないため、感情の赴くまま、気の向くまま、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ。
まるで街中の猫を集めるようにして、楽しく散歩をしているようだった。
そのおかげで、ハルは余裕をもって、準備を進める事が出来た。
「にゃーにゃにゃにゃにゃにゃー、にゃにゃにゃにゃーにゃー♪ 我こそ、ねこなりいぃぃぃィイイィ――!」
一方、ユークリアは猫達と一緒に、楽しそうに歌を歌いながら、猫の魔獣についていった。
何か大切な事を忘れているような気もするが、思い出す事が出来ないほど、身も心も猫一色だ。
猫の魔獣の尻尾が左右に揺れるたび、幸せな気持ちに包まれたため、今が依頼の最中である事を忘れているようだった。
もちろん、果たすべき役目は、覚えている。
覚えているはずだったが、完全に忘れていた。
それを思い出そうとして、記憶の引き出しを開けるたび、そこから猫が飛び出してくるため、どうでも良くなっているような感じであった。
「猫さん達、こっちなのです」
そんな中、ハルが疾風足で一気に間合いを詰め、軽やかにステップを踏むようにして、チーズのニオイが漂う尻尾を魅惑的に揺らしながら、猫達の注意を引いた。
「!」
その途端、猫達が一斉に両目をカッと見開き、ハルの尻尾をロックオン!
「にゃ!?」
その事に驚いた猫の魔獣が、思わず二度見。
しかも、ハルの背後にあったのは、街の人達によって集められた鍋や箱であった。
それは猫達にとって、三種の神器と呼ぶに相応しい誘惑アイテム。
箱に突っ込むべきか、鍋で丸々べきか、尻尾に飛びつくべきか、迷ってしまうほどのモノだった。
それ故に、猫達が一斉に、お尻をフリフリ、ロックオン!
この時点で、猫の魔獣のフェロモンが利きづらくなっているのか、先程と比べて、目がランラン。
家猫から野性味溢れる野良猫にクラスチェンジしたのではないかと思うほど、両目がハンターちっくになっていた。
「にゃ? にゃにゃ?」
だが、猫の魔獣だけは信じられない様子で、何やら猫達に語り掛けている様子であった。
(キュピィーン!)
その間、猫達はハルの尻尾に釘付け。
既に、猫の魔獣は、いないモノとして扱われているのか、どんなに尻尾を振っても、興味を持つ事はなかった。
「にゃああああああああああああああああああああああ!」
次の瞬間、猫達が勢いをつけ、ハルめがけて一斉に飛び掛かってきた。
「これが、にゃんこ津波……確かに、身も心も、波に飲み込まれ……って、危うく意識を持っていかれるところでした」
その勢いに飲み込まれ、ハルの意識が猫にまみれた。
それでも、必死に理性を保とうとしたものの、猫達が甘えるように体を擦り寄せてきたため、もう少しだけこの時間を楽しみたいという誘惑に襲われた。
そのため、頭の中で沢山の猫達がダンスを踊っているような光景が浮かび、ハルの意識が再び猫一色になった。
「はぁはぁ、これは天国。モフみ……モフみ! 至高のモフリティを私に!! そして大群ねこヘブンズドリィィイームを味合わせて下さい――!」
そんな中、ユークリアのリミッターが外れ、猫達に向かって全力ダイブ。
そのふんわり感に、身も心も猫色に染まりながら、幸せな気持ちと恥ずかしい気持ちが入り混じって悶絶した。
それはユークリアの中に、ほんの少しだけ残っていた理性を飲み込むには、十分なほどモフモフだった。
例えるなら、究極と至高のモフモフがぶつかり合い、激闘の末、友情が芽生えたレベルのモフモフ感。
これならば、『女将を呼べ』とキレる必要もない。
そんな訳の分からない事を考えてしまうほど、モフモフに身も心も侵食されているようだった。
「良お~~~~しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」
その横で、アルマが【にゃんこお世話マスター】の名にかけ、動物のおやつと、動物のお世話セットで、猫達をおもてなし。
動物交感で猫達の感情を読み取った結果、みんな遊び足りなかったらしく、今回の一件でストレスを解消する事が出来たようである。
その分、フェロモンの効果が薄れたらしく、何とか我に返る事が出来たようだ。
だからと言って、すべての問題が解決した訳では無い。
猫の魔獣が……少なくとも尻尾がある限り、第二第三の被害猫が出ても、おかしくないような状況であった。
「キィシャアアアアアアアアアアアアアア……!」
そのためか、猫の魔獣は、不満げ。
苛立ちを隠せない様子で尻尾をパタバタさせ、濃厚なフェロモンを撒き散らした。
しかし、まわりにいた猫達が誘惑される事はなく、興味を持つ事すらなかった。
「猫さん、猫さん、あなたのお名前は? 私はニーラだよ!」
そんな中、ニーラが猫の魔獣の前に立ち、完全に無防備な状態で親しげに問いかけた。
「キィシャアアアアアアアアアア!」
その途端、猫の魔獣が全身の毛を逆立て、今にも飛び掛かりそうな勢いで間合いを取った。
おそらく、猫達を奪われた事で、ニーラ達を敵として認識しているのだろう。
この時点で、交渉は不可能と言わんばかりに、険悪なムードが辺りに漂っていた。
「チャンスは、たったの一度だけ。だから、気合を入れてね」
すぐさま、アルマがレゾナンス・オブ・ヴァローで声と共にエーテルを解き放ち、ニーラの身体を淡い光に包んで身体能力を向上させた。
その間も猫の魔獣がジリジリと間合いを取っていたが、いまのところ飛び掛かってくる様子はない。
「ん~……、ひょっとして、猫語で話しかけた方がいいのかな? 猫さん! 尻尾を一本切らせて! 二本あるからいいでしょ? ほら、フリフリだにゃ!」
それでも臆する事無く、ニーラが猫じゃらしを揺らしながら、スタティックフィールドで光り輝く球状の存在を発生させ、アーケインテンペスト改で稲妻のような光が無数に荒れ狂う空間を出現させた。
「……!」
その事に危機感を覚えて猫の魔獣が、慌てた様子で逃げ出そうとした。
「……今だよ!」
そこに追い打ちをかけるようにして、アルマが光縛封で祈りと共に、光輝を放つ六角形の柱を作り出した。
「にゃ!」
そのため、猫の魔獣は完全に逃げ道を失い、白旗を上げそうな勢いで、ションボリとした。
「隙ありぃー! 問答無用!!」
次の瞬間、ニーラが一気に間合いを詰め、猫の魔獣の尻尾を斬り捨てた。
「にゃ!」
それと同時に、猫の魔獣が悲鳴にも似た鳴き声を上げ、飛び跳ねるようにしながら、脱兎の如く逃げ出した。
「あ、ちょっと……。やっぱり、痛かったのかな? なんか寄生虫っぽい感じのする尻尾だけど……。これを強い武器と交換してくれる人は……いないか」
アルマが足元に落ちていた猫の魔獣の尻尾を拾い上げ、半ば諦めた様子で深い溜息を漏らした。
もしかすると、何処かの物好きが買ってくれるかも知れないが、強い防具と交換するのは難しそうである。
そもそも、これを猫の尻尾と言っても、信じてくれる人が少ないほど、鮮やかなピンク色であった。
「……ハッ! い、いつの間に! ね、猫の魔獣は、どうなりましたか!?」
そんな中、ハルが慌てた様子で、バサッと飛び起きた。
どうやら、猫にまみれている間に、すべてが終わってしまったらしく、猫達の大半が箱や鍋の中に入ってスヤスヤと寝息を立てていた。
残念ながら、猫の魔獣は逃げてしまったようだが、すべての元凶であるピンク色の尻尾が無くなった事で、二度と悪さをする事はないだろう。
「それでは再開しましょうか、この夢の続きを見るために……!!」
その事にホッとしたのか、ユークリアが再び猫の海に溶け込んだ。
もう邪魔をする者は誰もいない。
ただ、ポカポカの御日様を浴びつつ、ゴロンと寝転がるだけであった。
「す、凄い! これが噂のにゃんこ津波! みんな、とても幸せそう……!」
ニーラ・メッコは仲間達と共に、猫の魔獣を倒すため、街中にやってきた。
猫の魔獣は『ニャンニャンニャニャン♪』と鳴き声を響かせながら、ピンク色の尻尾をユラリと揺らし、沢山の猫達を引き連れ、街を闊歩している最中だった。
いまのところ、何か悪さをしている訳では無いのだが、にゃんこ津波に飲み込まれ、萌え転がっている街の人達が視界の隅にチラついた。
それでも、怪我をしている者はおらず、むしろ自ら波に飛び込む強者達ばかり。
みんな、こんな機会は二度とないと思っているのか、何の迷いもなくダイブしている様子であった。
それは、ある意味、自殺行為に等しかったが、みんな幸せそうな表情を浮かべており、猫の魔獣が特に攻撃を仕掛けてくる事も無かった。
「……あれ? ここって天国かな?」
それを目の当たりにしたアルマ・ヴァレンタインが、信じられない様子で自分の目を疑った。
ある意味、これは夢の国。
現実ではあり得ない光景が広がっているため、理解が追いつかないようである。
そのため、一瞬依頼に参加している事さえ、忘れそうになった。
「猫から猫まで、猫が好きか(猫のみ猫だけ猫しか猫おし♪)。猫がいなけりゃ猫になれば(猫まね猫なり猫らぶ猫おち♪)」
そんな中、ユークリア・フィナンシェがネコミミスーツ姿で、朝日を背に謎のBGMと共に猫達と現れた。
既に、身も心も猫化しているのか、にゃんこ津波の一部と化していた。
それが原因で人間らしい部分が行方不明になっており、大きさは違えど猫そのものであった。
故に、依頼を成功させる事よりも、猫達と戯れる事が優先されているような感じであった。
「こ、これは……、のんびりしている場合ではないのです!」
その事に危機感を覚えたハル・チフが街の人達に頼んで箱と鍋を大量に集め、捜波・改で探知用のエーテルの波動を走らせ、猫の魔獣の位置を確認しつつ、程よい間隔で街との境界に配置した。
ある意味、にゃんこ包囲網。
猫であれば、回避する事の出来ない罠が張られ、着々と準備が整いつつあった。
「にゃんにゃんにゃん♪」
その間、猫の魔獣は、自由気ままに、散歩中。
まったくトラップに気づいていないため、感情の赴くまま、気の向くまま、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ。
まるで街中の猫を集めるようにして、楽しく散歩をしているようだった。
そのおかげで、ハルは余裕をもって、準備を進める事が出来た。
「にゃーにゃにゃにゃにゃにゃー、にゃにゃにゃにゃーにゃー♪ 我こそ、ねこなりいぃぃぃィイイィ――!」
一方、ユークリアは猫達と一緒に、楽しそうに歌を歌いながら、猫の魔獣についていった。
何か大切な事を忘れているような気もするが、思い出す事が出来ないほど、身も心も猫一色だ。
猫の魔獣の尻尾が左右に揺れるたび、幸せな気持ちに包まれたため、今が依頼の最中である事を忘れているようだった。
もちろん、果たすべき役目は、覚えている。
覚えているはずだったが、完全に忘れていた。
それを思い出そうとして、記憶の引き出しを開けるたび、そこから猫が飛び出してくるため、どうでも良くなっているような感じであった。
「猫さん達、こっちなのです」
そんな中、ハルが疾風足で一気に間合いを詰め、軽やかにステップを踏むようにして、チーズのニオイが漂う尻尾を魅惑的に揺らしながら、猫達の注意を引いた。
「!」
その途端、猫達が一斉に両目をカッと見開き、ハルの尻尾をロックオン!
「にゃ!?」
その事に驚いた猫の魔獣が、思わず二度見。
しかも、ハルの背後にあったのは、街の人達によって集められた鍋や箱であった。
それは猫達にとって、三種の神器と呼ぶに相応しい誘惑アイテム。
箱に突っ込むべきか、鍋で丸々べきか、尻尾に飛びつくべきか、迷ってしまうほどのモノだった。
それ故に、猫達が一斉に、お尻をフリフリ、ロックオン!
この時点で、猫の魔獣のフェロモンが利きづらくなっているのか、先程と比べて、目がランラン。
家猫から野性味溢れる野良猫にクラスチェンジしたのではないかと思うほど、両目がハンターちっくになっていた。
「にゃ? にゃにゃ?」
だが、猫の魔獣だけは信じられない様子で、何やら猫達に語り掛けている様子であった。
(キュピィーン!)
その間、猫達はハルの尻尾に釘付け。
既に、猫の魔獣は、いないモノとして扱われているのか、どんなに尻尾を振っても、興味を持つ事はなかった。
「にゃああああああああああああああああああああああ!」
次の瞬間、猫達が勢いをつけ、ハルめがけて一斉に飛び掛かってきた。
「これが、にゃんこ津波……確かに、身も心も、波に飲み込まれ……って、危うく意識を持っていかれるところでした」
その勢いに飲み込まれ、ハルの意識が猫にまみれた。
それでも、必死に理性を保とうとしたものの、猫達が甘えるように体を擦り寄せてきたため、もう少しだけこの時間を楽しみたいという誘惑に襲われた。
そのため、頭の中で沢山の猫達がダンスを踊っているような光景が浮かび、ハルの意識が再び猫一色になった。
「はぁはぁ、これは天国。モフみ……モフみ! 至高のモフリティを私に!! そして大群ねこヘブンズドリィィイームを味合わせて下さい――!」
そんな中、ユークリアのリミッターが外れ、猫達に向かって全力ダイブ。
そのふんわり感に、身も心も猫色に染まりながら、幸せな気持ちと恥ずかしい気持ちが入り混じって悶絶した。
それはユークリアの中に、ほんの少しだけ残っていた理性を飲み込むには、十分なほどモフモフだった。
例えるなら、究極と至高のモフモフがぶつかり合い、激闘の末、友情が芽生えたレベルのモフモフ感。
これならば、『女将を呼べ』とキレる必要もない。
そんな訳の分からない事を考えてしまうほど、モフモフに身も心も侵食されているようだった。
「良お~~~~しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」
その横で、アルマが【にゃんこお世話マスター】の名にかけ、動物のおやつと、動物のお世話セットで、猫達をおもてなし。
動物交感で猫達の感情を読み取った結果、みんな遊び足りなかったらしく、今回の一件でストレスを解消する事が出来たようである。
その分、フェロモンの効果が薄れたらしく、何とか我に返る事が出来たようだ。
だからと言って、すべての問題が解決した訳では無い。
猫の魔獣が……少なくとも尻尾がある限り、第二第三の被害猫が出ても、おかしくないような状況であった。
「キィシャアアアアアアアアアアアアアア……!」
そのためか、猫の魔獣は、不満げ。
苛立ちを隠せない様子で尻尾をパタバタさせ、濃厚なフェロモンを撒き散らした。
しかし、まわりにいた猫達が誘惑される事はなく、興味を持つ事すらなかった。
「猫さん、猫さん、あなたのお名前は? 私はニーラだよ!」
そんな中、ニーラが猫の魔獣の前に立ち、完全に無防備な状態で親しげに問いかけた。
「キィシャアアアアアアアアアア!」
その途端、猫の魔獣が全身の毛を逆立て、今にも飛び掛かりそうな勢いで間合いを取った。
おそらく、猫達を奪われた事で、ニーラ達を敵として認識しているのだろう。
この時点で、交渉は不可能と言わんばかりに、険悪なムードが辺りに漂っていた。
「チャンスは、たったの一度だけ。だから、気合を入れてね」
すぐさま、アルマがレゾナンス・オブ・ヴァローで声と共にエーテルを解き放ち、ニーラの身体を淡い光に包んで身体能力を向上させた。
その間も猫の魔獣がジリジリと間合いを取っていたが、いまのところ飛び掛かってくる様子はない。
「ん~……、ひょっとして、猫語で話しかけた方がいいのかな? 猫さん! 尻尾を一本切らせて! 二本あるからいいでしょ? ほら、フリフリだにゃ!」
それでも臆する事無く、ニーラが猫じゃらしを揺らしながら、スタティックフィールドで光り輝く球状の存在を発生させ、アーケインテンペスト改で稲妻のような光が無数に荒れ狂う空間を出現させた。
「……!」
その事に危機感を覚えて猫の魔獣が、慌てた様子で逃げ出そうとした。
「……今だよ!」
そこに追い打ちをかけるようにして、アルマが光縛封で祈りと共に、光輝を放つ六角形の柱を作り出した。
「にゃ!」
そのため、猫の魔獣は完全に逃げ道を失い、白旗を上げそうな勢いで、ションボリとした。
「隙ありぃー! 問答無用!!」
次の瞬間、ニーラが一気に間合いを詰め、猫の魔獣の尻尾を斬り捨てた。
「にゃ!」
それと同時に、猫の魔獣が悲鳴にも似た鳴き声を上げ、飛び跳ねるようにしながら、脱兎の如く逃げ出した。
「あ、ちょっと……。やっぱり、痛かったのかな? なんか寄生虫っぽい感じのする尻尾だけど……。これを強い武器と交換してくれる人は……いないか」
アルマが足元に落ちていた猫の魔獣の尻尾を拾い上げ、半ば諦めた様子で深い溜息を漏らした。
もしかすると、何処かの物好きが買ってくれるかも知れないが、強い防具と交換するのは難しそうである。
そもそも、これを猫の尻尾と言っても、信じてくれる人が少ないほど、鮮やかなピンク色であった。
「……ハッ! い、いつの間に! ね、猫の魔獣は、どうなりましたか!?」
そんな中、ハルが慌てた様子で、バサッと飛び起きた。
どうやら、猫にまみれている間に、すべてが終わってしまったらしく、猫達の大半が箱や鍋の中に入ってスヤスヤと寝息を立てていた。
残念ながら、猫の魔獣は逃げてしまったようだが、すべての元凶であるピンク色の尻尾が無くなった事で、二度と悪さをする事はないだろう。
「それでは再開しましょうか、この夢の続きを見るために……!!」
その事にホッとしたのか、ユークリアが再び猫の海に溶け込んだ。
もう邪魔をする者は誰もいない。
ただ、ポカポカの御日様を浴びつつ、ゴロンと寝転がるだけであった。
マスターコメント
基本的には、プレイングが分かりやすく、描写がしやすく、行動が的確だったものから、印象に残ったモノ等を基準にしてMVPを選んでいます。
ショートシナリオ易しい 報酬:多い4 / 4〜10人
2021年03月17日 16時15分42秒 公開
成功
相談掲示板
キャスターのニーラです! よろしくね! 人数集まるかな!
シーフのハルです! 猫さんいっぱいと聞いて参加なのです。 よろしくお願いします!
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくー。 あと1名さま以上あつまりますよーに。
4人目の猫スキー、ユークリアです! よろしくお願いします! 差し支えなければ猫の魔獣に光縛封を使って閉鎖空間を作った後に、ネコミミスーツを着てモフりに行きたいと思います。
そういえば、解説に 「猫の数が多いため、猫を引きつける班と、猫の魔獣を相手にする班に分けた方が良いかも知れません。」 って書いてあるね。 猫ともふもふしたい人が多いのかな? なら私は、猫の魔獣の尻尾を切りにいこうと思うよ!
じゃあボクはスキルや道具類で猫さんの引き付けをするねー
ではニーラさんを含めて光縛封する感じにします!
遅くなりました! 相談と分担ありがとうなのですっ。 じゃあ僕もアルマさんと引き付け、頑張る。 捜波持っていくので、魔獣さんの位置特定はおまかせ下さい! ユークリアさんの閉鎖前の足止めとかも盛り込んで見ようかとは思ってるですが、 基本はモフり倒す中心に行動予定です。 二ーラさん、負担かけますが、尻尾よろしくです!