【燦索】闇の迷宮へ
崎田航輝
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シナリオID:669
オープニング
壁に留められたメモ書きに、雑然と並ぶ大量の画材。
冒険者が招かれた、エドゥノーグの端に建つ小さな部屋。これが僕のアトリエです、と依頼者である彼は紹介するように語った。
「改めて、僕はペーター・エングニル――エドゥノーグで“迷宮画家”をやっています」
売れてはいないですが、と少し苦笑しながら。
線の細い、その十代の若者は――それから真っ直ぐな瞳を向けた。
「僕と共に迷宮……その未知の枝場へと探検をしてくれませんか?」
●依頼
「特段、僕は絵描きとして特別な才能があったわけではないのですが」
冒険者達に、ペーターはそう語った。
ペーターは十八歳、商家の生まれ。エドゥノーグの子供らしく、迷宮の探索や冒険に憧れを抱く変哲のない少年だった。
九歳の頃、少し年の離れた弟が産まれた時は喜んで――共に迷宮に潜る日も来るだろうかと、そんな思いを巡らせたという。
実際、弟も物心つく頃には迷宮や冒険に興味を抱き始め、ペーターとどんな冒険をしたいかとよく話していたらしい。
「……ただ、弟は生まれつき病弱で」
体のせいで冒険どころか、野を駆ける事も満足出来ないのが実情だった。
“冒険に出てみたい”なんて言っても周りを心配させるだけ。だから弟は、親や周りに気を使わせないようにと、迷宮や冒険の話も段々としなくなっていったという。
「でも、弟の考えている事が僕には判りました。兄弟ですから」
ペーターはそこで、絵を描いてあげた。
冒険家を呼んで冒険の話をして貰ったり、冒険記を手に入れるのもただではない。それが出来れば良かったけれど、金銭の余裕だってなかった。
だからペーターは聞きかじった迷宮の探検の話を、自分で絵物語のようにして。まるで冒険しているかのような感覚を、ベッドに寝たままの弟に体験させてあげようと思ったのだ。
「弟は喜んでくれましたよ。根は冒険好きなんですね」
それからペーターは絵を描き続け、いつしか画家となっていた。
自身に戦う力はない。それでも時には迷宮の探索者に同行して、危険と不思議をその身で体感して……それを絵に残し続けている。
「今でも絵は、最初に弟の分から描きます。一番の目利きですから」
そう語るペーターは楽しげでもあった。
そしてペーターは今回もまた迷宮へ赴こうとしている。
「ただ、そこは少しだけ変わった場所でして」
主幹路の上層から延びる、『黒窟』という枝場がある。
その枝場、25階層の深さを持つ広大さで知られているのだが――全体に渡って魔物が居らず、鉱物等の有用なものも存在しないのだと言った。
暗闇だけが広がる空虚な枝場。そのせいで長らく探索者の興味を惹かなかった場所らしい。
――だが迷宮は刻一刻と変動し、その姿を変える。
「迷宮の変動のせいか、或いは今まで調査がきちんと行われていなかっただけなのか……実は小さな通路から先へ続いていて、さらなる下層が存在する事が判明したんです」
この事実を知るものは今、少ないという。
「何故なら発見者が少数の探索者と……彼らと同道していた僕だけだからです」
黒窟に興味を持つ者は以前から少なかった。けれどペーターの弟は「そんな場所、絶対何かあるよ」と前々から言って譲らなかったらしい。
それに根負けしたペーターが探索者へ依頼し、共に調査に向かった結果が、新しい階層の発見だったというわけだ。
「勿論、僕達は喜んでその先を調査しようとしましたよ」
しかし、黒窟の26階層は危険度が段違いだったという。
「魔物は出るし、環境自体が人を拒むようで――その時の探索者と僕では、とても先へ進めませんでした」
結局探索は断念し、その時は逃げ帰った。
そうして今の所、26階層以降を調査したものはいない。
話が広まれば探索者も増えるだろうが……ペーターは今までそうしていなかった。その理由は、一つだ。
「誰も知らない場所への探検を、最初に見て、体感して、最初に絵にしたいですから」
それは貴重な冒険譚で、胸躍る絵物語となるだろう。
「弟は喜んでくれるでしょう。なら、他の人には譲りません」
だからこの探検の主役となってくれませんか、とペーターは言った。
●旅立ち
冒険者達は出立前、ペーターに連れられて彼の実家に寄った。
商人である両親のいない、静かな時間帯だ。
何でも、両親はペーターが画家をやっている事や迷宮に関わっている事を良く思っていないらしい。弟が迷宮に興味を持つ事を、心配に思っているからだろう。
「まあ、僕も弟ももう気にしていませんが――カイ、来たよ」
「あ、お兄ちゃん」
部屋には、ベッドに横になっている少年がいた。
病弱という印象に違わぬ見目ではあったが……話を聞いて瞳を燦めかせた。
何より冒険者を間近にした事にわくわくとしていて。
「みんな、冒険者さん? 凄い!」
危険な場所へ赴き、戦い、何かを発見する。そんな冒険者達の存在は少年、カイにとって心を踊らせるもののようだった。
「黒窟に潜るんだよね……きっと、大変だと思うけど。頑張ってください!」
そう夢を託すよう、カイは冒険者達へ言葉を贈った。
解説
マスターより
リプレイ
深い暗がりの先に、それまでとは違う入り口がある。
――『黒窟』。その新たな階層の前へ冒険者達はやってきていた。
「この先か」
階段下、二十六階層の始めに見える岩場を、ハヤト=ガラン=ヴォルファングはランタンで照らしている。
「未知の迷宮探索なんつーと胸躍るよな♪」
「うん」
応えるララベル・サン・ディーベルも、瞳をキラキラ。待ちきれず覗き込んでいた。
「まだ誰も踏み入っていない場所だなんて聞いたら、放ってはおけないよね」
勿論自分のわくわくだけじゃなく、ペーターにも目を向けて。
「カイの為にも素敵な絵を描けるといいね」
「ありがとうございます。頑張りますよ」
ペーターも楽しみに頷いていた。
そうして皆は、階段を下へ。まだ見ぬ先を確かめようと――未踏の階層へ足を踏み入れる。
二十六階層は冷たい風の吹く洞窟だった。
歩き出しつつ、バクル・バスリーは実感に呟く。
「新しいエリアの冒険。やっぱり、迷宮探索で一番盛り上がる所だね」
「そうだな。危険度も未知数――故にこそ、大陸一の迷宮探索者と名高い俺に依頼をしたのは正解だ!」
むん、と腰に手を当てるのはロウトフェダー。
素振りと声音は自信満々に。
「大船に乗ったつもりで……って、いやそうじゃねえな」
と、すぐに言葉を引っ込めたのは、冷えた空気に想定以上の危険な匂いも感じたからだった。ここは結構ヤバそう、と。
因みに大陸一の迷宮探索者なのは自称であった……けれどロウトフェダーが迷宮に造詣が深いのは事実。
それに微笑むバクルもまた、慣れた者らしく。
「ぼくも一応、迷宮探検のベテランだから。心配は要らないよ」
「頼りにさせて頂きますね」
皆に護られつつ、ペーターは心強い面持ちだった。
と、そこで斥候に出ていたエルナ・クルプファルツが戻ってくる。
「まだ敵の気配はありません! 景色もしばらくは同じです!」
「では、暫し調査に集中ですわね!」
ぴしりと前へ指差すのはキャロライン・スノーイーリス。未知の環境に、自身もまたワクワクが止まらないところだった。
「見落としのないように進みましょう!」
「そうだな」
頷くテテリカも、周囲を観察しながら歩く。
道中、強く感じるのが闇の濃さだ。
(暗闇というのはこんなに心細くなるものだったんだな……)
素の視覚ではそれを一層実感する思い。
何より、と壁に目をやる。
「岩までほぼ漆黒なんだな」
「ここまでの物は、見たことないね」
言って触れるのはニール・ロブラリア。
大鼬のフォニは、常にペーターを窺える位置に立たせつつ……自身は岩を叩いて調査。脆く崩れた部分から、内部まで艷やかな黒色だと見て取った。
天井には、氷柱型の岩も見える。
「鍾乳石のような物だとしたら、他所にはない成分が染み出してるのかも」
源泉は上方。
なら、上の階層……或いは、二十五階層に渡るあの空間全てが、この闇色を醸成する栄養源なのかも知れなかった。
岩は破片を持ち帰る事にして、先へ進むと――壁の如き巨大な段差に突き当たる。
まるで断崖。だがそれにはハヤトが対応。壁を駆け上がって出っ張りに結んだロープの先を垂らす。
「足りそうか?」
「ん、ちょっと待ってね」
下方から、ララベルもロープを結んで延長。しかと地面に届かせた。
皆はそれを頼りに登り始めるが――
「これは、ダイエットに、ぴったりですの!」
中々エグい! と、キャロラインは少々額に汗していた。
実際、所により角度は垂直だ。それでも凹凸を足がかりに、皆でペーターをフォローしつつ進んでゆく。
ようやく登りきると……今度は目の前に深い水場が広がっていた。
とはいえ皆はそれも予測済み。
「預かろう」
と、テテリカが皆から濡れると困るものをマジカルポケットに収納し、ペーターを補助しつつ泳ぎ始める。
大鼬のベニテングには壁を伝わせる形で進ませると――皆もそれぞれ泳いで前進した。
「何か、珍しいものはあるかな……」
と、バクルが水に潜ってみると、そこで水草を発見。採取して戻ってみると――
「これも真っ黒みたいだね」
岩と同じ漆黒の植物。おそらくは未発見ゆえ、持って帰る事にした。
それから皆で対岸へ。
荷物は守れたが、体も冷えたという事で――キャロラインが提案。
「この辺りでたき火としませんこと?」
「ああ。その為に――魔獣退治だな」
と、前方を見据えるのはハヤト。
見れば闇の奥から烏型魔獣が羽ばたいてきている。
皆はすぐに戦闘態勢。バクルが風の刃を盾で受け止めると――テテリカが光の矢を炸裂させ反撃。ハヤトも疾駆し、風の如く刃を奔らせ次々に撃滅していった。
後方から更に一体が飛来するが――ロウトフェダーが狙いを付けている。
「悪いが、ここで散ってもらおう」
敵の射程に入る前に弓弦を引き絞って射撃。鋭い一矢で躰を貫いた。
無事を確認しつつ、エルナが先を窺って戻ってくる。
「向こうに良い感じの段差がありました! 水場を見下ろすと、雄大な景色になりそうです!」
「じゃあ、たき火も兼ねて、そこで一旦野営しようか」
バクルが言うと皆も頷いた。
「使ってくれ」
テテリカがブランケットを渡すと、ペーターは礼を言って受け取っていた。
熾した火の前で、皆もそれぞれ暖を取っている。
だけでなく、キャロラインはロウトフェダーから鍋を借り食事の準備。先刻の魔獣の亡骸をまな板代わりの石に置いている。
「さぁ捌きますわよ~!」
と、それを鶏肉のように処理してローストしていった。
ニールは浅瀬から無害な水草を見つけてきている。
「これくらいでいいかな」
「ありがとうございますわ!」
キャロラインはそれを味付けして、野菜代わりにローストへ添える。そこにスープと、干し肉と乾パンを合わせて食事とした。
そうして暗黒烏にチャレンジした者は、その意外な美味を楽しんだりして……食事後、皆でペーターのスケッチを見守る。
エルナやハヤトが光の補助をすると、ペーターはすらすら描いてゆく。キャロラインは興味津々だった。
「素敵ですわね!」
「皆さんのおかげで、良く描けそうです」
ペーターが手を動かすその姿を、バクルも眺めている。
「今回の冒険、最後まで絵になるといいね」
「ああ、実際、かなり広い迷宮のようだが――」
ロウトフェダーは行程を思い返しつつ、それでも楽しげだ。
「だからこそ、行けるところまでは行くとしよう」
「そうですね!」
エルナも元気に言いつつ、カイとのやり取りを思い出していた。
『楽しみにしてくださいね! お姉さんはプロですから!』
『はい!』
カイは楽しみな様子で、幻郷の話も聞かせてあげると言うと喜んでもいた。
キャロラインも頷く。「ごゆるりと吉報をお待ちくださいませ」と伝えた言葉に、カイは「頑張ってくださいね!」と応援してくれたものだ。
「報いてあげたいですわね!」
「いい土産話が出来るよう、明日からも気合い入れて行こうぜ」
ハヤトが言えば、ニールもうん、と頷く。
ペーターの方を見ると、ララベルが自身の冒険話をメモした物を渡していた。それもペーターは良いお土産になると喜んでいる。
ああやって日々、弟の為を思っているのだろう。
――カイさんの期待に応えられる冒険となるといい。
そんな心と共に、ニールは寝床の準備。交代の時間まで、温かなフォニを抱えて仮眠を取った。
●迷路
「さあ、ガンガン進みますよ!」
階段を下りたエルナは気合十分に見回す。
あれから下層への道を見つけた一行は、その階層も越えて二十八階層まで辿り着いている。
そこに広がるのは一転、直線的な壁の迷路だ。
「ペーター様、どうぞ傍から離れませんよう」
キャロラインは警戒を欠かさず、隊列を護りながら進み出す。
頷くペーターも、その景色には驚き混じりだったが――
「後ろはしっかり警戒しておくから、安心して。大丈夫、敵は僕達が近づけさせないよ」
ララベルが明るく笑むと、すぐに冷静さを保って皆に同道し始めた。
先行するのはハヤト。直線の見通しは悪くない故、曲がり角まで進んでから先を確認し、皆を導く事を繰り返す。
「問題ないぜ」
「次は私に任せてください!」
ある程度探索した所で、エルナが交代。同じく先の安全を見て取ってから皆を手招きして進んだ。
「それにしても、入り組んでいますね!」
「迷路そのものだな」
ロウトフェダーは軽く吐息する。
紙とペンで都度マッピングをしているのだが――道筋は分岐も含んだ複雑なものだ。
「壁の石も今までとは違うね」
と、ニールは引き続き環境の調査。
不自然な程直線的な造りはどこか人工的。そして所々色の薄い斑があって――
「普通の石が交じってるみたい」
まるで上層までにあった成分が薄まっているように。だとすれば――
「ここより下層は黒色の空間じゃない可能性があるね」
「スケッチ、良いですか?」
ペーターもそれに興味を持って画材を取る。
「ちょっと待ってね」
と、バクルは周囲を見回す。
すると近くに扉らしき物があったので、皆で先に索敵。ララベルが気配を感じ取って合図すると、ハヤトが鍵と思しき部位を素早く解錠した。
瞬間、部屋から蜥蜴型魔獣が飛び出てくるが――
「うるぁ! 喰らいやがれ!」
そのままハヤトが剣撃を踊らせ撃退。皆も追撃し殲滅した。
そうして安全を確保した上で、ペーターにスケッチを勧める。警戒を続けるバクルにペーターは言った。
「迷宮に慣れていても、用心を欠かさないのですね」
「いくつも枝場に潜ってきたけど、毎回想定外があって油断はできないからね」
でも、とバクルは笑む。
「そういうのも含めて、冒険はやっぱりわくわくするよね」
「ええ!」
ペーターも頷き、スケッチを仕上げていた。
それから探索を続けると――
「ん? これは最初の場所ですわ!?」
キャロラインが階段を見つけて見回す。どうやら一周してきてしまったようだ。
道中、スイッチがあったのだが押しても何も作動しなかった。とはいえ、それしか仕掛けがないとするなら――
「全部を同時、或いは順番に押す、か」
ロウトフェダーの言葉にテテリカも頷く。
「別行動が必要だな。ベニテングもいるから俺が行こう」
言うと大鼬を残して視界を確保し、テテリカがスイッチの一つへ。
同じくニールもフォニを仲間につかせ自身が二つ目に。比較的近場の残り二つに、エルナと一行が分かれて向かった。
そうして声に合わせて皆で同時に押下すれば――轟音と共に、何もなかった部屋に階段が出現。
「道が開きましたわ!」
嬉々としたキャロラインに皆も頷き、次のフロアも同じ方法で突破。三十階層へ到達した。
●到達
そこは静謐の一本道だった。
広く、風はない。ただ、空気は何処か不穏で。
ニールは視線を巡らせてから――
「ここも調べたい……けど、敵を倒してからだね」
その前方に、巨躯のシルエットを見つけていた。
それは道を守って佇む岩の人型――防衛巨骸。
「ボスみたいなものでしょうか! 皆さん、体力の方は平気でしょうか!」
エルナが見回すと、皆は健常な返事をする。
そうして少しずつ近づくと――地鳴り。ゆらりと巨骸が動き出し、こちらに敵意を向け始めていた。
バクルは太刀と盾を構えて仰ぐ。
「多分、こいつヤバいやつだから、気を付けてね」
「うん。慎重に――でも遠慮なく行くよ!」
刹那、ララベルが疾走。一息に距離を詰め、抜き放った細剣で連続の刺突を叩き込んだ。
巨骸は豪風のような声を上げて反撃を狙う。が、ララベルが素早く飛び退けば、ハヤトが壁を走り、天井を蹴って後背へ。
「おらぁ! どっち見てやがる!?」
そのまま相手が振り返るより早く斬撃を見舞った。
その隙にニールは矢へエーテルを収束。放つ一矢に光の軌跡を描かせて、突き立てた衝撃で巨骸の動きを鈍らせる。
「次、行けるかな」
「ああ」
応えるテテリカも弓を引いていた。
巨骸は視線を向けてくるが、射程を越えた距離に対応が出来ない。次にはテテリカの射た矢が違わず突き刺さり、その身を蝕んでいく。
巨骸はよろめきながら、それでも面前のバクルを狙って拳を振り下ろした。
が、予期していたバクルは盾をしかと構えている。直前、エルナも光を照射してバクルの護りを高め――ダメージを抑えさせていた。
直後にはキャロラインが治癒の光と解呪の光を織り交ぜて、美しい色彩の奔流にして投射。バクルの痛みと流血を癒やしてゆく。
「これで万全ですわね!」
「ありがとう!」
バクルはそのまま走る。巨骸は連撃を目論む、が。
「無駄さ」
ロウトフェダーが魔弓で狙いを定めていた。
魔法が有効らしいとは判っている。故に鏃に魔力を込め、明滅する輝きを帯びさせて――射撃。突き抜ける衝撃で腕を粉砕した。
巨骸はそれでも残る腕を振るおうとするが、そこへバクル。
「好きにはさせないよ!」
刃を横一閃に振るい深々と傷を刻み込む。
その頃にはハヤトがひらりと宙へ。戦いぶりも良い土産話になるよう、あえて派手に回転してみせながら鋭く斬り込んだ。
ふらつく巨鎧はそちらへ振り返るが――
「甘い、上だよ」
壁を蹴り上がったララベルが、既に頭上。
キャロラインがそこへ燦めくエーテルを飛ばし、ララベルの刃を輝かせると――
「さあ、ブチかまして下さいませ!」
「うん! 喰らえ疾風三連突!」
ララベルが剣撃の雨を降らせ、岩の脳天を穿ち貫いた。
巨骸は音を立てて倒れ、崩れゆく。
すると一瞬の静寂の後……奥にある下層への扉が開いた。
と、不意に差し込む眩さに皆は瞳を細める。そこに広がるのは――今までの闇が嘘だったかのような、燦めく鉱物の空間だった。
ロウトフェダーはへえ、と感心の声だ。
「闇の奥には光に満ちた空間があったわけだ」
「すごい!」
ペーターは喜びと共に画材を手に取る。
テテリカもその景色を見ながら、しかし冷静だ。
「この先も長く続いていそうだ。スケッチはここから見える範囲で済ませて……一度出直したほうが良いかも知れないな」
「そうだね。上に戻る道もあるみたいだし」
と、横側に現れた通路を覗き込んでニールも告げていた。
了承したペーターはその場で描き始める。ただ、ここからでも充分に美しい景色を望む事が出来て――
「この先も何があるか、楽しみですね!」
警戒しつつ奥を垣間見たエルナも、期待の声音だ。
ニールも頷く。一つ一つ見てみなければ判らないが、先にある鉱物には未発見のものも多そうだった。
「次に来たら、詳しく調査かな」
その内にスケッチは完成。この冒険で相当数の迷宮画が出来上がりそうだ。
「カイも喜んでくれます」
「じゃ、戻るとするか!」
ロウトフェダーの言葉に皆も頷き、地上へ。
未知の五階層分を踏破した冒険者達は、その成果を胸にして。そしてまた次の冒険への期待も抱きながら――帰路についていった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年03月18日 14時55分47秒 公開
相談掲示板
僕は、シーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、よろしくね!! 迷宮探索、ワクワク。
俺はテテリカ。シューターだ。よろしく頼む。 授恵者の暗視は光源がない場所でも有効なようだが、同行者のことを考えると灯りが必要だな。
エルヴンシューターのエルナです!皆様よろしくお願いしますね! 迷宮!探検!大冒険!ロマンですよね! ですね!真っ暗なダンジョンということですが、ペーターさんが絵を描くことを考えると私も光源が必要そうな気がしています! もちろん光が届かない位置まで警戒を広げることが出来るという意味では暗視も役立つかなとは思いますが……! 逆に暗視の効果が適用されないペットは今回は警戒や偵察などに向かわせるのが難しそうな気もしていますね!
おーっす! ゴブリンのシーフ、ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、みんなよろしくな!! 未知の迷宮探索とか胸熱過ぎんだろ!? ワクワクが止まらねぇぜ♪ 準備しとしてはテテリカやエルナの言う通り光源確保は大事だよな。 それと数日は野営も出来る準備をしていかねえーとだもんな。 みんなで持ち込むアイテムは分担した方がいいかもしんねーよな。
ウォーリアのバクルだよ。よろしくね。 未知のダンジョン、ワクワクが止まらないよ!! 持ち物分担は賛成だよ。 ランタンと水袋の大、ブランケットを持ち込むね。
ヒーラーのキャロラインと申します。 皆様宜しくお願い致しますの。 未知の迷宮探索、ダンジョン内での野営……まさに冒険者!ですわね!(わくわく) 光源は十分に確保するとして、エルナ様の仰る通り警戒範囲を広げる利点もありますし何人かは暗視もあると良さげですわね。 見つけられるものも増えそうですの! 分担は大事ですわね、ではわたくしもランタンと……お鍋を背負って行けば、食材現地調達(つまりモンスター)して暖かいごはんにありつけるでしょうか?
シューター。ニール・ロブラリア。よろしくね。 ボクは暗視は付けておこうかな。 どれだけ見通しきくか不明だけど、重点的に警戒、索敵にあたろう。 アイテムは相談の方向性で入用のものを。 野営の準備とかだね。……調理だけは、ボクちょっと戦力外だけど。
顔出しが遅くなっちまってすまない! シューターのロウトフェダーだ、よろしくな! >アイテム分担 アイテムの分担は了解だ。日数もかけるなら何はともあれ水の確保が最優先かな? 生活魔法か、ピュアウォーターでもあれば万全かもだが。 食糧、ロープ、水か担架、あたりで考えておくよ。後は調整させてくれな。 >汎用スキル スキルも上手い事分担したいな! 扉とかもあるみたいだし、俺は暗視+透視で扉の中を確認するのもアリかな、と思ってる。 ただそれ以外にも、罠解除、ダンジョン知識、生活魔法、サーマルアイ、位置感覚、辺りはあると良いなぁと思うところなので、皆の予定に合わせて調整させてくれると助かるよ!
アイテムやスキルの分担!よさそうですね! 既に必要そうな道具はみなさんが準備していただけていそうな感じなので、何を持っていくかはまだ検討中ですが、上手く分担できるように考えたいなと思います! スキルは暗視を持っていくとして、もう一枠をどうするか考え中です! >隊列 持ち物やスキルにも関わってくるかと思うので、こちらも決めてしまえればと! ペーターさんを中衛位置に、前後を接近戦の可能な方で挟む形が良いのかなと思っています! また、今回は暗闇の中で本隊が光源をつけていて目立つ事になる関係上、先行して敵を察知する斥候役も必要かなと思っていたり!
とりあえず、今んとこの装備とスキルの予定を上げとくぜ! 装備:ランタン、シーフズツール、ロープ スキル:トリプルファング、壁歩き、暗視、超嗅覚、反応強化2、フェザーステップ、疾風足、エンライト >隊列 斥候が必要なら任せて貰ってもいいぜ!
>スキル あ、ダンジョン知識と位置感覚はぼくがもっていくよ。 >隊列 本隊は前後を前衛で挟んで、本隊とは別に斥候役ってのはいいね。斥候役を2交代制とかにすれば負担も分散できていいかもしれないね。 もし、この隊列で行くなら、本隊の前の前衛を引き受けるよ
>26階層~27階層 水が深く溜まった箇所 どのくらいの深さなんだろうな……。 水溜まり程度で済めば良いんだが、一応水泳を用意してみる。 >隊列 俺は後方を捜波で警戒しておこう。ただ接近戦は不得意だ。 暗視を用意した。斥候役の交代にも出られる。 >準備 アイテム:動物のおやつ、ブランケット、鍋 スキル:暗視、水泳
>汎用スキル 生活魔法とピュアウォーターは用意可能です。 ロウトフェダー様の仰る通りもし28層~まで行けたときに備え、透視&暗視の組み合わせを持つ方は欲しいなぁと思いますの。 暗視を持つ方どなたかに透視もお願いできたら良いのですが、準備可能な方はいらっしゃいますか?いないようならわたくしも可能です。 >隊列 バクル様の案が良いと思いますの! 前方をバクル様が守り、ハヤト様が斥候ということでしたら、後方の前衛はシーフのララベル様にお任せすることになるでしょうか? 斥候の交代時は役割も交代する感じで。 わたくしは中衛でペーター様に護衛として張り付きつつ、皆様の強化回復を中心に考えております。 いざと言う時は前衛役にもなりますわ。
>隊列 俺もエルナの提案で賛成だ! 俺自身は多分弓装備になるから真ん中あたりかな。全体的に注意を向けるようにしておくな。 隊列はひとまずこうかな?ニールもシューターだし中衛かな? 斥候:ハヤト、テテリカ 前:バクル 中:エルナ、キャロライン、ロウト 後:ララベル(にお願い出来ると助かる!) >汎用スキル 調整助かる、ありがとな! キャロラインが生活魔法・ピュアウォーターを用意してくれるなら、 俺が暗視+透視を担当させて貰おうかな、それなら既に取得しているので! >個人 ヒーラーがキャロラインだけだと回復が不足するかもしれんかな。戦闘も多いかもしれないし。 俺もヒールを積んでおくようにするな。魔弓装備なので回復量もそこそこ確保は出来る筈。あと直線範囲のスキル1つと……もう後全部ヒールで良いかなぁ! アイテム:乾パン、鍋、ロープ スキル:暗視、透視
反応遅くてごめんね。 後方警戒、了解だよ。 僕はスキルは暗視と超聴覚、スカウトの心得で警戒しておける様にするね。 アイテムは一応ロープを持って行こうと思うよ。
うん、ボクも弓使いだし基本中衛につくことにするよ。 スキルはエーテルリンク、捜波、暗視、地質学、あと攻撃・防御系。 ペットは大鼬を同道予定。 アイテムは……水と食料を追加で持っていこうかな。
ロウトフェダー様、纏めありがとう存じます。 透視&暗視とヒールもとっても助かりますわ! どこまで進めるかは未知数ですが、26~27層で気になるのは ・所により数メートル~十数メートルの高低差があり凹凸が激しい ・道を阻む形で水が深く溜まっている場所が点在する。 ってところですわね。 前者はペーター様にはとても過酷でしょうから我々で補助をしながら進み、後者は水泳スキルを持って下さるテテリカ様の補助を受けながらクリアするという形になるでしょうか? 28~29層はロウトフェダー様に透視して貰いつつ1個ずつ扉を開けていく……ここ時間喰いそうですわね。 野営時の調理はわたくしにお任せください。 一応バックパックに簡単な調味料や簡易食材など入れて持ち込むとしておきますわ。(マスタリング次第ですが) アイテム:ランタン、干し肉、バックパック スキル:生活魔法、ピュアウォーター
暗視を持っている人が多いな。 ペーターの画材を濡らさず運ぶためにマジカルポケットに変更しようと思う。 斥候役の交代はできなくなるが画材を優先したい。誰かの予定が狂ってしまったならすまない。 エンライトを用意した。 スキル:水泳、マジカルポケット >高低差 ロープを用意してくれている仲間が多いから、ロープで安全に降下できそうだな。 >深い水 泳ぐ前に水中の敵を捜波で調べておこう。 ダンジョンという環境上、壁歩きができるメンバーは濡れずに移動できそうだな。 先に移動して向こう岸の安全確保をしてくれるとありがたい。 俺はペーターの補助をしながら泳いで渡る。 泳いだ後は焚火で休憩しても良いかもしれない。 >四つのスイッチ 少なくとも三人が別行動する必要があるのか。 回復手段を用意して俺が一ヶ所担当しよう。スイッチを押した後に迎えに来てくれ。
>隊列 ロウトフェダーさんは隊列のまとめありがとうございます! 私はハンマー持っての殺撃者スタイルでいこうかなと思っているので接近戦主体ですし、テテリカさんの代わりに斥候の交代要員として出ようかなと思います! 隠蔽高めなのでアレですが……その分は孤高者の捜波でカバーしていきたいと思います! 斥候:ハヤト、エルナ 前:バクル 中:キャロライン、ロウト、ニール、テテリカ 後:ララベル >個人 スキルは暗視と罠解除を!ヒールも所持しておきますね! 堅甲2も持っていくので、ボス戦時などでは希望者の方へ付与しますよ! アイテムはけが人が出た際の担架と照明として夜煌石の首飾り、それと罠解除用にシーフズツールを用意しておこうと思います! アイテム:担架、夜煌石の首飾り、シーフズツール スキル:暗視、罠解除
何度も書き直してしまった……恥ずかしい…! ララベルもニールも確認ありがとな!よろしく頼む! エルナも斥候担当してくれるの助かる、テテリカも画材への配慮ありがたい、よろしくな! >各階の方針 そういや各階をどう進むかって話と、ボスとどう戦うかって話をあんまりしてなかったな!? 水没してるとこなんかはテテリカの水泳に頼らせて貰うことになりそうだよな。キャロラインの上げてくれてる形で俺も良いと思う! 対岸(?)の安全確保は俺の弓攻撃である程度対処できるようにしようと思う! ひとまず今出ている案を組み込ませて貰いつつ、こんな感じでプレイングに入れちゃおうと思うけどどうかな? もうあんまり時間なくてすまないが、ギリギリまで確認できるので何かあれば言ってくれな! ーーーーーーーーー ◆方針 準備整え野営も可能な長期潜行 隊列(斥候/前/中/後)を組み各自役割分担しつつ進行 ◆各階 >26-7 高低差はロープ活用し慎重に通過 水没地帯を泳ぎ渡る前に周辺索敵 安全確保後に順に渡る >28-9 マッピングしつつ進行 スキル活用し扉越しに部屋内の安全確認 スイッチギミックの同時押しは階層内の敵掃討後(扉内除く)に3名単独行動と他全員で4ヶ所を分担 >30 範囲攻撃対策に各自回復支援可能な距離内で散開し交戦 >31 確認後、深入りせず撤収 ーーーーーーーーー >個人 アイテムはロープも食料も多そうなので、紙とペンでマッピングさせて貰うな。いまさらながら迷路がちょっとヤバいかなって思って。
ロウトフェダー、行動のまとめ感謝する。 書き直しが残るこの仕様、ちょっと恥ずかしいよな……。俺も誤字で消したことがあるぞ……。 そうだな。マッピングは大事だ。 この階層はロウトフェダーの負担が大きそうだな……。大変そうだが、とても助かる。ありがとう。 スイッチは押しっぱなしで良いのか、押しっぱなしは無効でタイミングを合わせて押す必要があるのか気になるな……。 一応、大鼬を本隊に同行させてタイミングが把握できるようにしておこう。 31階層は綺麗な光景だけに依頼人は興味を示しそうだな。 深入りせず、スケッチするのは見える範囲だけにしてもらうか。 その後、近道で帰ろう。
あ、そうだ……。 巨骸との戦闘中、ペーターはどこにいてもらう? 敵から離れて行動できるシューターの誰かか、カヴァーリングを習得しているバクルのそばが安全なように思えるが。
ロウトフェダー様、重ね重ねありがとう存じますの。 頼りになる素敵なお姉さまでいらっしゃいますわ(ほわ 恐れ入りますが、「方針はロウトフェダー様の記述に従う」と記入させて頂きますの。甘えっぱなしで申し訳ありません。 高低差と水場に関してはテテリカ様の具体案がばっちりですわね! 画材への配慮は思い至りませんでした、感謝致します。 正直今回で巨骸までたどり着くとはあまり思っていないのですが、最低限は対策を考えた方がいいですわね。 わたくしは戦闘では基本回復と支援に専念となりますが、巨骸対策に解呪も持っていきますわ! ペーター様は基本護衛するつもりでおりますが、テテリカ様の仰るように他の方がカバー出来るならばその方が手厚いと思いますの。
ロウトフェダーさんは諸々まとめありがとうございます! 各階の対策はそちらに準拠させてもらう形にさせていただきますね! 道中の隊列と野営についてはこちらでもこんな感じで記載させていただきました! ――――――――――――― ◆方針 ・道中は隊列を組んで前後それぞれに前衛を置き、中間にペーターさんや打たれ弱いメンバーを配する。前後左右上下の全方位の視点を分担し警戒。また、斥候役を先行させて、その捜波を基に戦闘は可能な限り避けて進む ・野営時は冒険者8人から暗視持ちを含む2人一組で3~4時間交代で夜間の周囲警戒等の寝ずの番をする
とと、ギリギリですがペーターさんはボス戦中は遠距離で戦うシューターの方のそばにいるのがよさそうかなと思います!
みんなやっぱり誤字で削除とか経験あるよな、俺だけではないと安心しちゃう… あんま時間なかったのに確認してくれてありがとな! へへ、褒められちゃったぜ、照れる……! あ、確かにペーターの位置は大事だな…! 了解だ、じゃあ俺の後ろぐらいに居て貰うようにプレイングに入れておくな! ボス戦は敵の射程内に入らない!って明記してるので比較的安全だとは思う。 キャロラインは巨骸対策の解呪ありがとう!全攻撃にBSついててめちゃくちゃ厄介だものな、助かる! エルナは隊列と野営の方針ありがとう! 俺も此方の方針に、隊列と野営の詳細はエルナの方針に従う、って入れさせてもらうな!
エルナ様、隊列と野営のまとめ感謝致します。 そちらにしっかり従うように記載を加えさせて頂きました。 ペーター様の守りも磐石ですわね! 皆さま改めてよろしくお願い致します。