【CP】命と意志を背負って
棟方ろか
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シナリオID:663
オープニング
怖い、と泣く声がする。背負った友が呟いたものだ。
少年ソルは走るのも侭ならない友を背負い、友人たちと一緒に森を走っていた。
キャンプ内を駆け抜けるのとは訳が違う。鬱蒼と茂った木々が日差しを遮り、足元を暗く沈めているおかげで、油断をすると足をとられてしまいそうだ。それだけではない。子どもからすると長身な雑草や茂みが、縋りついてくる。まるで少年少女を呑みこもうとするように。
「ソルぅ、ソル、おいてかないで……」
背中で震える少年が、何度も何度もソルへ訴えた。
「絶対おいてかない!」
訴えかけられる度、ソルは何度も何度も答えた。
後方から届く雄叫びが、徐々に大きくなっている。迫る恐怖に背を押されながらも、ソルは決して振り向かない。よそ見をしたら、転んでしまう。転んだら、追いつかれる。想像できるからこそ、足元と前だけを見続けた。
ソルの目の前には、先ほど矢を受けた少女がいる。かけっこの得意な彼女だが、青褪めた顔からは余裕を感じられない。
負傷者二人がいる状況だが、更に前を走る少年二人が、通りやすい獣道を探しながら進んでいるおかげで、ソルたちも迷わず走れた。それに彼らの傍には、森をよく知る案内役がいる。
「そのまま真っ直ぐ! 大丈夫! もうちょっとで出口が見えるから!」
エルフの少年ボレアスだ。この森の奥地にひっそりとある集落のエルフで、彼はしんがりを務めていた。難民の子らの中では、友だちを背負うソルが最後尾になってしまっている。そんなソルへ攻撃が及ばぬよう、ボレアスが弓矢で牽制を続けているが、追いつかれるのも時間の問題だろう。
「死にたくない、死にたくない……」
また、背中から嘆きが落ちてきた。
だからソルは、友へ伝えるべく息を一際大きく吸う――来たときにはしなかった甘い香りを、僅かに感じながら。
「死なせないから! おまえも死なないようがんばってよ!」
――勝利とは、相手を倒すことではなく死なないことだ。剣は勇気だけど、それだけでは勝てない。
青空教室で冒険者からそう教わった少年ソルは、傷ついた友へ訴える。
「死ななければ、はぁ、勝てるんだ。だからっ、死んじゃダメだ!」
帝国人の気質ゆえか、勝てると告げたソルの言葉は、少年少女を奮い立たせた。
「そうそう、いざとなったら僕も戦うよ! 左の頬を叩かれたら、右の頬に右ストレート!」
「何よ、それぇ」
「俺も棒でがんばれるよ。青空教室で先生も褒めてくれたし!」
友人たちと強気な発言を連ねることで、彼らは自らの足へ熱を送り、生きようとする。
慌ただしさと緊迫感が増したキャンプの状況から、非常事態であると子どもたちも理解していた。
そして彼らは幼子ではないからこそ、震えてただ待つわけにも、遠くへ避難するわけにもいかなかった。子どもは子どもなりに、いつもよりたくさん井戸から水を汲み上げ、いつもより多くの薪を運び、自分たちで補修が叶う道具類へ手を伸ばし、戦いに備えていて。
ここにいる彼らもまた、エルフの少年ボレアスが見守る中、防衛に必要なものを調達していたのだが。
「ってかあのおっさん、子どもほっぽいて何処いったんだよ!」
ボレアスが唇を尖らせるも、ソルはわからないとしか言えなかった。
そう、さすがに子どもだけで採集に訪れたのではない。付き添う大人がいたのは確かだ。ただ採集の途中、小便を催して離れたのを最後に、行方知れずとなっている。
「だーっ! おれがちゃんとおっさんも見とけば……悪いソル!」
「……っはぁ、はあ、ボレアスは、悪くないから……」
息も絶え絶えなソルは、辛うじて答えながら思う。やはり気の所為ではなく、先ほどからずっと甘い匂いを感じる。花か実かもわからないが、甘い匂いだ。森の植物だろうかと気にかかり、何の匂いかとボレアスへ尋ねようとした直後。
遥か前方で明るさがちらついた。
「で、出口だ! 森からでられる!」
前を走る少年が叫び、皆一様に顔をもたげる。
森の出口から、いくつもの足音が聞こえてきた――ような気がした。
解説
マスターより
リプレイ
けれど少年少女の後背に迫るのもまた、ひとつの音。蛮声だ。
「ギィアーッギャヒャヒャ!」
下卑た笑いの主らは、若き命を刈り取ることしか頭にない。だから少年たちも振り向かず走り続けた。渇いて痛い喉。衣服や肌に擦れる葉。いびつな地面。縺れる足。息急き切った彼らを追い詰めるもので溢れた『今』にも、一陣の風が吹く。子どもらにとって向かい風ではあったが、しかし風はあらゆるものを運んで来る。
たとえばそんな気がしただけだった音を。たとえば、希望を。
「こっちへいらっしゃい!」
凛と響く声に、子どもたちがパッと顔を上げた。
葉末まで伝ったエミリア・シバの呼びかけは、少年少女の青白い顔色へ彩りを添える。
「ぼ、冒険者さんだ!」
「冒険者のおねーちゃ……うわぁ!」
現れた眩しさに縋ろうとして、前を走っていた少年がよろめく。
すかさずエミリアが抱きとめた。大丈夫よ、と痩せた背を撫でながら。
「このまま走って。すぐにおねえさんのお友だちと会えるわ」
囁き終えるより早く彼女のつま先は地を蹴り、少年を支えたばかりのその腕で、細剣を踊らせる。二振りの刃は赤を連れて宙を裂き、狗人の体毛や鱗を裂く。燃えた軌跡は眩しさの余韻を落とし、子どもたちが頻りに瞬いだ。彼女の舞いを目撃した敵の群れも同様に。
驚愕を分かち合うかのようなやり取りの直後、投げ縄がエミリアめがけて放たれる。奥では、怒声を響かせた大型コボルトがクロスボウを構えて。緑の天蓋の下で飛び交う殺意を目にして、ノックス・マグナが長弓に番えたのは、光の矢。
射手を狙い撃てば、炸裂した光が湿った森を僅かな光で点す。
(このような事態になるとは、思いませんでしたね)
ノックスも、難民キャンプに迫る危難は常より耳にしていた。まさか資材調達で訪れた森にもこれ程の数のコボルトが居ようとは――きっと依頼した難民たちも想像していなかっただろう。予測できていれば、子どもが目立つ採集班の編成も、もう少し違っていたはず。そうノックスは考えて、ざわつく狗人の群集を確かめていく。
そこへユークリア・フィナンシェも駆けつけた。
「よかった、皆さん、よくぞご無事で!」
頬が火照ったまま、ユークリアは歩み出る。
「後は先生がバッチリ解決します! お任せあれ!」
ユークリアの寄せ集めた光は玉と化し、一瞬で周囲が華やいだ。森の陰影をくっきりと浮かび上がらせた明るさが、茂みや根で隠れがちな足元をも照らす。代わりにコボルトたちは、眩しいげに何度も瞬きをした。
短杖でくるりと宙を掻き、イズレンディル・パラリムが野の美を制する壁を隆起させる。
「早くこちらへ!」
「イズ兄ッ! この前振りだ!」
エルフの少年ボレアスが嬉々として跳ねると、イズレンディルは真っ先に首肯で応えて。
「再会を喜ぶのは後にしましょう、こちらで見張りをお願いできますか?」
彼の言が終わる頃にもなれば、鉄の壁も黙してそびえ立つ。力を転化していた分、防壁の頑強さは揺るがない。だからイズレンディルは周囲の温度をひしひしと感じながら、避難してきた子らへ続ける。
「敵の動きを知るのは大事です。後ろに回り込もうとしていたら、教えてくださいね」
「もちろんっ!!」
どんと胸を叩いて、鉄壁に身を寄せた子らが頷く。もちろん発したイズレンディル自身、敵を後方へ回り込ませるつもりは微塵もなかった。だが役目を与えられた少年たちの眸は、爛々と輝いている。生きようとする彼らの意欲を、冒険者たちはうまく活用したのだ。
蝟集するコボルトとて、冒険者の出現に戸惑っても戦意は消えない。
「グギャガァ!」
石斧が、剣が、がむしゃらとしか呼べない動作で森の空気を乱す。ゆえに冒険者たちは、轟く狗人らの音を破ろうとする。奇声で圧す狗人一味に屈しなどしない。そこに怯える子の姿があれば、レティシア・レインフィールの歌声が、植付けられる恐怖心をも拭っていく。
何度も、何度も子どもたちの痛みを呑み込み、新緑の中に湧く泉を思わせる清らかさでレティシアは唄う。光となって流れた歌は、子どもたちから痛みを拭う。やがて彼女は、敵の群れを見据えた。
(貴方がたが持っていけるものなど、何ひとつございません)
想いを詞に乗せた歌唱が届く限り、狗人に土産ひとつ持ち帰らせやしない。耳に馴染まぬ歌声を掻き消そうと、狗人が雄叫びをあげる。秩序も法則も持たず駆け回る一群を前に、ノックスはふっと吐息で笑う。余裕を唇に刷いた彼の様相は、目撃した子らへ驚きももたらした。
「すごい……冒険者ってホント強いんだ……」
戦いの渦中でも、ノックスには少年の呟きが聞こえる。
だから彼は、子どもたちへそうっと眦を和らげてみせた。鮮やかな手腕で、敵の射手を貫きながら。
「冒険者たるもの、戦闘の準備はいつでもできているのです」
ノックスの返答に、少年少女の感嘆が溢れていく。弓矢を握るボレアスとは違い、ここにいる難民の子たちはまともな戦闘経験を持たない。そのためイズレンディルの築いた鉄壁から離れられないが、離れられないからこそ、冒険者たちの勇姿を眼へ焼き付ける。
今まで、彼らの仕事を幾度となく目にしてきた子もいた。
今まで、彼らの助けを借りた子もいた。
「ねえ、ソル。僕ね……」
つい先刻まで友に背負われていた少年が、大地をしかと踏み締めて呼ぶ。レティシアの治療もあって、彼は自力で歩けるようになっていた。死ぬのではないかという不安も、痛みも――もう少年の胸には無い。心身を巡るのは温かな光だけ。
少年たちの視界の片隅、レティシアはすっと顔をもたげ、他より大きな敵を見据えた。
(あのコボルトでございますね)
瞼を落とし、巨躯を光の柱で包む。慌てたコボルトが叩き割ろうと挑むも、破壊することは叶わない。
連なるように少年の目線の先でまたひとつ、子どもへ近づこうとした一体をユークリアが叩き返す。
(……微かに、ですけど。甘い匂いがしますね)
ユークリアはすんと鼻を鳴らした。覚え無き芳香は危ういと、手早く外套で口許を覆いながら。
●
ギィェァともグェァとも言い難い絶叫を、コボルトたちが零す。掛け声か悲鳴かも判断つかぬ声量だが、冒険者たちはかれらの起こす喧騒に惑わさない。
一匹がレティシアへ飛びかかるも、構えた円盾で凌ぐ。輝きを燈した盾でも、衝撃は知れた。
(っ、凄まじい力……殺気が濃い個体のようでございますね)
古びた剣によるコボルトの渾身の一撃が、ぴりぴりとレティシアの指先から肩まで衝撃を伝える。だが覚えた痛みにレティシアは臆さない。振り向かずとも、後背に浴びた子どもたちの視線は分かる。
(守らせて頂きます。私の歌で、皆様を)
子どもたちへ近づかせまいと意を決した彼女は、冴えた月を想起する銀糸をなびかせて唄う。こうして森に響いていく曲は、最初に流したときよりも力強く、そしてやさしかった。
流れる歌の狭間で、エミリアが目映く爆ぜた刃を振るう。振るえば振るうほど、一群の殺気が圧しかかってきた。けれどエミリアは襲い来る脅威をひらりと躱し、次なる攻撃をいなす。彼女の精神は、波打たぬ水面のように研ぎ澄まされていた。
(突出するのは、おねえさんのスタイルじゃないのだけれど)
振り返れば、後衛の仲間や子どもたちの姿が映る。だから彼女は。
「いいとこ見せちゃうわ」
――なんて瞑った片目で子らへ明るさを送り、今一度コボルトに向き直る。
すると標的を捕捉した彼女の眼差しは、おねえさんらしからぬ死の贈り主へと、瞬く間に転じて。
「飛び道具って危ないのよ」
淡泊な音を孕み、狗人の尖った顎を切り落とす。もはや悲鳴すらあげられず狗人が仰臥すると、傍にいた群れの眼光がエミリアへ集う。鮮烈な輝きと大仰なエミリアの身振りも手伝い、狗人の意識を惹いたのだ。
おいでと手招くぐらいの軽やかさでエミリアが踊り出た、その後ろ。
ノックスは流麗なる目線で敵を辿り、けたたましさの権化とも呼べる体躯の狗人へ、想念の鏃を向ける。
(キャンプの方々も、子どもたちも……未来への希望です)
鋭い心の矢で射られたコボルトは、総身に纏わりつくエーテルを引き剥がそうともがき苦しむ。
「グァァォ! ガギャァァ!」
変わらずうるさい大コボルトを前に、エミリアは肩を竦める。
「何が言いたいのかしらね、さっきから」
すると、どうにか聞き取れやしないかと励んでいたユークリアが、こてんと首を傾いだ。
「実はですね……ニンゲンどもめー、ぐおー、みたいな恨み節が炸裂しているだけなんですよね」
辛うじて感じ取れたかれらの衝動にも、彼女は不思議そうな顔でくるくると瞳を動かす。
その後ろで、ぱちんと音が弾けた。イズレンディルを狙い澄ました短い矢が、彼を守る光の膜に包まれて落ちていった音だ。卑しい笑声をあげた巨躯が、次なる一手のためクロスボウを構え直す。微かに両目を細めたイズレンディルは、しかし敵ばかりでなく鉄壁も一瞥した。
イズレンディルの呼んだ防壁を、コボルトが叩き壊すべく挑む。魔力に優れた彼が成した壁だ。崩すのも困難なはずだが、知性の低い敵にはそれすら理解できなかったのだろう。そんな虚しき挑戦者の相手をするのは、イズレンディルとノックスだ。
「マグナさん、残る敵を一気に落としましょう」
イズレンディルの提案に、ノックスが顎を引く。ノックスは本日何度目になるかも判らぬ光の一矢を飛翔させ、イズレンディルの招いた光が流星群となって降り注ぐ。激しい攻勢に耐えきれず、コボルトたちは逃げ惑う暇もなく次から次へと倒れていった。
そのときだ。
「見ていてください! 私の言葉の正しさを、今こそ証明してみせましょう!!」
握り締めた拳へ熱を宿し、ユークリアが見守っている生徒たちへ声をかける。
迫る短矢にも構わず、彼女は戦鎚を盛大に振り上げて。
「あ、あれが噂の……!」
ユークリアの授業に出席していなかった子が、瞠目する。
そう、繰り出される彼女の一撃こそ、多くの友が青空教室で教わったという――。
「左の頬を叩かれたら、右の頬に右ストレート!!」
「ゲェァア!?」
華麗な万能言語を喰らった狗人は、為す術なく深い森の肥料と化すしかなかった。
こうして脳筋令嬢の名を欲しいままにした少女は、清々しい笑顔を咲かせる。
狗人の塊が砕かれる間に、レティシアが祈りのための牧杖をぎゅっと握り締めて歌う。刹那、絡みついたボーラから解放され、エミリアは自由を取り戻す。
やがてコボルトは薄明を視た。人間はかれらにとって邪魔者でしかなく、苛立ちが募る一方だが――このとき知った色は、どうしてか美しいと感じて。その色を持つエミリアは、コボルトの末期を特に笑みも感情も向けず、ただただ見届けた。
そんな冒険者たちの戦いを、生き様を、子どもたちはめいっぱい記憶へ刻んだ。足の痛みをすっかり忘れた少年が、ここで漸く先ほどの続きをソルへ打ち明ける。
「やっぱり僕、この人たちみたいになりたいな」
●
狗人が嫌というほど滲ませていた殺気も消え、森に静けさが戻っていく。
「ボレアスさんもソルさんも……よく頑張りましたね」
生きることを、逃げ延びることを諦めなかった子たちの頭を、イズレンディルがぽんぽんと撫でる。気恥ずかしげに俯くソルをよそに、ボレアスは「子ども扱いするなよ」と口にしたが、表情は嬉しそうで。
温かな眼差しでやりとりを眺めていたレティシアが、ふと尋ねる。
「そういえば、甘い匂いは、いつから感じ始めたのでございますか?」
戦いを終えた頃には、薄れて感じられなくなってしまったが、冒険者たちも微かな『甘い匂い』を嗅ぎ取っていた。聞かれたソルが唸っていると、隣でボレアスが唇を尖らせる。
「多分だけど、実とか葉っぱを潰した匂いじゃないかなあ、アレ」
「……あー。おじさんがいなくなったぐらいから、だったかな。そういや。匂いがしたの」
ボレアスの話をきっかけに近しい記憶を手繰り寄せて、ソルが繋げた。
ソルの言う『おじさん』が件の同行者だろうと、レティシアたちは頷き合う。
「実か何か……この森にもあるのでしょうか」
イズレンディルの問いに、ボレアスは首を傾ぐどころか体ごと傾けた。
「んんー? おれは今まで嗅いだことない! 帰ったら兄貴にも聞いてみるよ」
「それで、同行なさっていたという大人の方は、最近いらした方でしたり……?」
連ねたレティシアの質問に、今度はソルが首肯する。
「うん。来てひと月ぐらい経ったとか言ってた」
「ひと月ぐらい、でございますか」
同じ響きを紡ぎながら、レティシアは目を伏せた。
行方知れずの同行者が、亜人や獣を引き寄せるような匂いを、子どもたちへ付けた可能性がある。そうふんでいた彼女は、事実を確かめたかったのだが――張本人は、未だ所在不明だ。
「先生! 今度また悪いヤツが出たら、右の頬に右ストレートかますよ!」
朗々と届いた声に振り返れば、青空教室でのユークリアの教え子が、何事か宣言している。
「ふふ、私の教えをあなたが継ぎ、それを次へ繋いで頂ける可能性が出て、先生としては本望です!」
双眸を揺らしたユークリアを前に、悪い奴とやらをぶっ飛ばす動きを、少年たちが復習し出す。青空教室の成果は、着実に顕れているようだ。
そこへ、同行していたという人物の捜索に出ていたエミリアとノックスが戻って来る。
「足の速い御仁ね。音や匂いで探ろうにも、随分遠くへ行っちゃったみたい」
「えっ、足跡を辿れたのですか?」
瞠目したイズレンディルの一言に、エミリアが唇で笑みを模る。
「なんとか足跡は見つけたの。森の外へ向いていたけど……襲われた形跡はなかったわ」
「ええ!? ではお縄につきなさい、ができないのですね!」
明らかにガッカリした声でユークリアが肩を落とす。彼女の手には、頑丈そうなロープが握られていて。
「ほっぽりだしたお付きの大人さん専用だったのですが!」
ひどく残念がるユークリアの姿がおかしくて、子どもたちが笑い声を重ね始めた。少年たちにはまだ、レティシアが抱いたような懸念へ回す思考もなく、今はただ、友人たちと揃って帰還できる喜びに浸るだけだ。
冒険者たちも互いの目線を結ぶ。そして少年少女の笑顔や、いつもの声を取り戻せたことを噛み締めつつ、皆で歩を運ぶ。今度は追われながらではなく、ゆっくりと。息を荒げながらではなく、お喋りに弾ませて。
帰っていく冒険者や子どもたちの背を、さわさわと微笑んで森が見送る。
芽吹きを思わせる、あたたかくも強い春風と共に。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜5人
2021年03月17日 02時35分48秒 公開
相談掲示板
私の教え子があぶない! 汝、左の頬叩かれたら右ストレート!! ヒーラーのユークリアです。よろしくお願いします!
キャスターのイズレンディル・パラリムです。 宜しくお願い致します。 魔法攻撃も盾役も回復役も何でもやりますので、程よく必要な任を担当出来ればと思っております。 甘い匂い、というのはもしやコボルトの使う毒の匂いでしょうか? だとしたらもうすぐ傍に居ることになるので非常に危険な状況のようですね……。 急いで助けに入りましょう! ところで同行していた大人の方はどうされたのでしょうか。 依頼目標にも救出対象に含まれておりませんが……嫌な予感がしますね。 ……ソルさんが随分と元気が良いと思いましたがユークリアさんの教えだったのですね!
おねえさんはシーフのエミリアっていうわ、よろしくね! 同行していた大人の人は気になるわねぇ、ことが片付いたら探してみるべきかしら? まあ、その前に子供たちをまずは助けないとね。 子供たちは一応自分で動けるようだから、おねえさんたちが駆けつけて、敵の気を引いて、その間にどうにか少しでも離れてもらうっていう感じが良いのかしら? おねえさんは、近接しかできないのもあるので、疾風足とかを使って少しでも早く走っていこうかしらね。 あとは、超嗅覚を持っていけば、甘い匂いに早めに気が付けると居なくなった大人を探すのにも使えたりしそうかしらね?
ごきげんよう。私はレティシア・レインフィールと申します。 ヒーラーとして、お役に立てる事が出来ましたら幸いです。 既知の方も初見の方もよろしくお願い致します。 同行者であった大人の方については どのような方だったのか、子供達に訊ねる必要がございますね。 あと、私も甘い匂いについても気になります。 怪我をなさっている方もいらっしゃるようですから 離れて頂く前に回復も必要かと存じます。 汝、左の頬……え? あ、いえ。失礼致しました。何でもございません。 (知っている言葉とちょっと違う気がしつつ、恐らく宗派の違いだろうと自身を納得させた)
シューターのノックスです。よろしくお願いします。 同行者の大人については皆さんが既に言われている通り、目の前の状況をなんとかしてからですね。 子供達への対応はレティシアさんの言う通り回復はしてあげた方が良いですね。 子供達には走り抜けてもらって、すれ違いざまに回復する形でしょうか。 戦闘ですが後衛が手厚い様ですので私も前に出ましょう。
すみません、背後がばたついてしまいまして間がすっかり空いてしまいました…。 ヒーラーの方は数値だけの話をしますと、前衛も後衛も出来る万能選手だったりしますので、 どちらのスタイルかは人に依りそうなのです。 というわけですので、ユークリアさんとレティシアさんいかがでしょうか? お二人が前に出られるのでしたらノックスさんが無理に前に出る事は無いかと思いまして。あ、もちろんそれとは関係なく、シューターでも前に出ていくこと自体は全然良いと思っております。 あくまで無理に出られるなら、という意味でご理解頂ければ幸いです。 >方針 大人の方も気になりますが、ひとまずは子供の救出ですね。承知いたしました。 まず到着時点で敵の姿が見えていませんので、下記の2点を到着後迅速に、でしょうか? ・子供の保護 ・敵の発見 敵発見に超嗅覚は良さそうですね! 私はサーマルアイで視覚方面から当たってみようかと思います。 >敵について 数が多めなのも怖いですが、弓のスリップが少し怖いですね。 BS回復はユークリアさんとレティシアさんに頼らせて頂いてよろしいでしょうか? 一応、私自身はハリケーンウォールで多少は避けれるように致します。
私もぼんやりとしていて……大変失礼致しました。 私は前衛でも後衛でも可能ですので、足りない方に回ろうかと。 今回の敵は恐らく物理攻撃のみである事と 子供達を除けば、数はこちらが不利である事を考慮致しますと 前衛は無理なく物理防御をある程度確保出来る方で担当し 他の方には火力を確保して頂くなどして 先ずは敵の数を減らす事を優先するのがよろしいかと存じます。 >方針 色んな手段で索敵を行うのがよろしいでしょうから 私は超聴覚での索敵を行わせて頂きますね。7 >敵 ええ、BS解除についてはお任せくださいませ。 それと、先ずはヒーリングオーラでの子供達の回復を優先させて頂き その次に、光縛封での足止めを検討しております。 どの敵を標的とするのかは、まだ未定なのですけれど……。 ただ光縛封を使用する場合、範囲攻撃は対象識別付きの物にして頂くか 光縛封の標的となった敵を外すように使用して頂く必要がございますから 皆様のスキル次第では変更を致します。
ご配慮ありがとうございます。 実は最近は太刀を振るう機会が少なく、前に出る理由を欲していたんです。 しかしレティシアさんの言う通り、前衛は物理防御を確保した方が良いというのは尤もですね。 今回は後衛に回りたいと思います。
>前衛 承知致しました。レティシアさん、宜しくお願い致します ノックスさんは太刀を使われることもあるのですね!なかなかやりたいことをする機会はなかったりしますよね。またご一緒した際には是非前に出て下さい。回復支援でしたら致しますので。 >方針 手段は多様な方が良いですね!聴覚は宜しくお願い致します。 光縛封は、対象識別可能の魔法範囲攻撃も持参する予定ですので使って頂いて大丈夫です。 敵の数が多いですからね、少しでも足止め頂けるのはとても助かります。 >子供の保護 子供達を保護出来たら、森の入り口かすぐ外あたりに避難できればと思うのですが、 その際にアイアンウォールでバリケードを作って子供たちを護ろうと思っております。 ついでに後衛の壁にも出来れば投げ縄や弓への対策になるかなと思いまして。 >敵 敵は下記の5種類ですね。接近戦は石斧組と剣使いで計5体。射撃は残りの7体ですね。 ・大型コボルト(クロスボウ)×2体 ・石斧組×3体 ・剣使い×2体 ・棘があるボーラ(錘付き投げ縄)×3体 ・弓使い×2体 基本は射撃の敵を狙って先に落としたいと思いますが、接近戦組の5体がまとまるようなら範囲攻撃で狙おうかと思います。 魔法だと弓相手には射程が不足しますので私も弓を持参しようかと検討中です。
私も遅くなってすみません! 光縛封は役に立つと思うので私も持って行きますね。対象は自由に動ける敵を出来るだけまとめてって感じにしておきます。 エンライトは足場を照らす為に持って行きます。 マイティストライクは右ストレートする為に持って行きます。 亜人語適正はモンスターから情報が得られるかもというのと、洞察はお付の大人の証言を調べるためにもっていきます。 状態異常は聖別を持っていきますね! 前衛は了解しました、HPと防御高めていきます。
>光縛封 恐らく倒すのが時間が掛かりそうなのと、攻撃が少々危険ですから 私は大型コボルトを優先させて頂く予定です。 >子供の保護 アイアンウォールでのバリケードはとても心強いので、お願い致します。 私も子供達の所まで攻撃が向かないよう、精一杯前衛を務めさせて頂きます。 >敵 射撃の敵を優先しつつ、倒せそうな敵が居られたらそちらを優先するのがよろしいでしょうか。 私も魔矢を用意しておりますので、どの敵も狙えるでしょう。 >大人 すぐに見付かるとよろしいのですけれど 見付からなかった場合は子供達を送り届けてから捜索を行う事となりそうですね。 証言対策としての洞察、よろしくお願い致します。