トラップ坑道に迷いしモノ
ゆうきつかさ
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シナリオID:660
オープニング
「遠路遥々、よく来たな。まあ、そこに座ってくれ」
ドワーフの鍛冶師ホルダーがドカッと席に座った後、困った様子で頭を抱えた。
事の始まりには、数日前。
弟子のヘッポコに、鉱石の採掘を頼んだ事が、キッカケだった。
それは、とても簡単な、おつかい。
普通であれば、数日も掛からず、帰ってくるレベルのモノだった。
「だが、帰ってこない。何日経っても、帰ってこない。おそらく、迷子になっているか、モンスターに襲われたかのどちらかだろう」
ホルダーがキリキリと痛む胃を撫でつつ、深い溜息を漏らした。
それが原因で眠れぬ夜を過ごしているのか、ホルダーの目にはクマが出来ていた。
「正直、ここまで時間が掛かるとは思わなかった。しかし、冷静になって考えると頼んだ事自体が、間違いだったのかも知れない」
ホルダーが今にも消え去りそうな声で、淡々と語り始めた。
「おそらく、ヘッポコが迷い込んだのは、沢山のトラップが仕掛けられた坑道だ。この場所に少し前からコボルト達が迷い込んで、辺りを荒らし回っているため、トラップが仕掛けられているんだが……。ヘッポコが、その事をすっかり忘れて、迷い込んでしまった可能性も捨てきれない。もちろん、普通であれば、近づく事のないような場所ではあるんだが、相手はあのヘッポコだ。何かあるたび、トラブルを起こしているからこそ、あり得る事なんだ。そこで、お前達にヘッポコの救出……もしくは遺体の回収を依頼したい」
そう言ってホルダーがヘッポコの救出……もしくは遺体の回収を依頼するのであった。
解説
マスターより
リプレイ
「……たくっ! ホルダーも気が休まらねぇな。ヘッポコは、もう少し成長しなきゃ駄目だろ? これじゃ、何度助けてもキリがねぇ!」
カルフ・オルヴォはブツブツと愚痴をこぼしながら、仲間達と共にランタンで辺りを照らしながら、坑道の中を進んでいた。
坑道の中は何処も似たような景色が広がっていたため、一瞬でも気を抜くと迷ってしまうほどだった。
それでも、何となくそれっぽい道を進んでいるため、迷っている気はしなかった。
「まったく……、弟子が師匠に面倒かけるのはいいが、かける面倒の種類が違うだろう。鍛冶の技術とかでならともかく、お使いでって……」
ケン・Z・ブラッドリーが、呆れた様子で溜息を漏らした。
ヘッポコは、何かするたび、トラブルばかり。
そのため、依頼主であるホルダーも、頭を抱えているようである。
「弟子を持つというのも、なかなか苦労があるのですねー。これが原因で死んでしまうのは後味も悪いですし、無事に連れ帰って、美味しいお茶でもいただきましょう」
クラリス=ミシェが美味しいお茶を飲んで、幸せそうにホッと溜息を漏らす自分の姿を思い浮かべながら、仲間達に対して答えを返した。
事前に得た情報では、坑道内にコボルト達が迷い込んでいるため、ヘッポコに残された時間は限られていた。
ある意味、ヘッポコは死亡フラグに囲まれ、クラリス達の助けを求めているような状況であった。
「……ですが、弟子にも色々とあるのです! 僕はシショーと依頼に行けて嬉しいので、絶対にミスをしたりしないのです!」
ハル・チフが自信に満ちた表情を浮かべ、拳をギュッと握り締めた。
この依頼を通じて、ヘッポコを助け出し、カルフに弟子として認めてもらうため、色々な意味でヤル気満々のようである。
「さあ、行きましょう。例え、どんな危険なトラップが仕掛けられていたとしても、ボクの磨き上げた華麗な忍術の前では、すべて子供騙しです!」
サイゾウも躊躇う事なく、キッパリと断言をした。
その途端、何かのフラグが、ピコンと勢いよく立った。
「……この時点で嫌な予感しかしないけどね」
コハクが色々な意味で危機感を覚え、仲間達に生暖かい視線を送った。
おそらく、それは気のせいではない。
少なくとも、コハクには見えていた。
仲間達に取り憑く、死亡フラグの数々を……!
「ま、ともかく探してやらんとな。最近はコボルトとかの出現が多いし、生きてるうちに助けてやらんと……」
そんな中、ケンが暗視で坑道何の視界を確保し、看過を利用して罠やヘッポコの痕跡を探し始めた。
ヘッポコは泣きながら、あちこちを走り回ったのか、それらしい痕跡が幾つも残っていた。
「目には目を、迷子には迷子を、ですよ。私も迷子になるつもりで坑道を進んでみようじゃないですか。……とは言っても、まあー……戻れなくなってしまっては元も子もないですので、持ってきたパンくずでも落としながら進むとしましょうか。貴重な食糧ですが、致し方なしというやつですね」
クラリスが目印代わりに、パンくずを落としていった。
その後を追うようにして、物陰から現れたネズミ達が、『ヒャッハー! 今日はパーティだぜぃ!』と言わんばかりの勢いで、パンくずを持ち帰った。
「……」
その事に気づいたコハクがダマスカス鋼の剣を握り締め、無言で目印をつけていった。
「それでは、行きましょうか。すべてが手遅れになる前に!」
一方、ハルは探波、捜波・改、位置感覚をしつつ、夜煌石の首飾りで仄かな光を灯した。
「……おっ! 随分とベタなトラップがあるな」
その途端、カルフが落とし穴に気づき、マジマジと中を覗き込んだ。
落とし穴の中には幾つも竹槍が仕掛けられており、白骨化した死骸が転がっていた。
「さすがに落ちたら、命はありませんね」
ハルも同じように落とし穴の底を覗き込み、乾いた笑いを響かせた。
おそらく、落とし穴の数だけ、犠牲者がいるという事だろう。
幾つも穴が開いているため、進む事の出来る道が限られていた。
「何の問題もない。落ちなければいい」
コハクがまったく気にしていない様子で、軽々と落とし穴を飛び越えた。
「……でしたら、ここは任せて下さい! 先行して殲滅します!」
すぐさま、ハルがエアーライドでエーテルを爆発的に噴出し、空中を掛けるようにして、落とし穴の上を駆け抜けた。
「こんなトラップ、楽勝ですね」
その後に続くようにして、サイゾウが壁歩きで巧みにエーテルを操り、様々なモノを利用しつつ、落とし穴にストンと落ちた。
「……えっ?」
それはサイゾウにとって、予想外の出来事。
あまりにも自然な流れで、落とし穴に突っ込んでいったため、仲間達もキョトン。
サイゾウ自身も壁かと思って、落とし穴に突っ込んでいったため、危うく串刺しになりそうになっていた。
だが、サイゾウは、頑張った。
ギリギリのところで、壁を蹴って、緊急回避。
一瞬生きた心地がしなかったものの、何とか落とし穴から抜け出す事が出来た。
「大丈夫か?」
ケンがサイゾウの腕を掴み取り、心配した様子で声を掛けた。
サイゾウは何とか無事であったが、予想外の出来事が起こったせいか、口からヒョロリと魂が抜け出ていた。
「つーか、こんなの、簡単だろ?」
カルフが軽くフラグを踏みながら、一飛びで落とし穴を越え、向こう側に着地した。
次の瞬間、足元の地面がヒビ割れ、カルフを追い立てるようにして、雪崩の如く勢いで崩れ始めた。
「……って、マジか!」
その途端、カルフが身の危険を感じ、チャージングで瞬間的に加速し、全速力で坑道の中を駆け抜けた。
「おいおい、シャレにならないぞ!」
ケンもカルフと並ぶようにして、自らの限界に挑戦するようにして、坑道の中を突き進んだ。
「みんな、怪我はない?」
そんな中、コハクがケン達に駆け寄り、何処か怪我をしていないか確認をした。
「ああ、問題ない。つーか、こっちもベタだな」
カルフが落とし穴ゾーンを抜け、天井に仕掛けられていた鋭利な石柱に気づき、無言で不可視の衝撃波を飛ばした。
それと同時に、鋭利な石柱が落下し、その事が引き金となって両壁が崩れ、岩の塊が雨の如く降り注いだ。
「う……、嘘だろ!」
その事に危機感を覚えたケンが、死亡フラグに囲まれつつ、降り注ぐ岩の塊を避けていった。
「ちょっ! まだ心の準備が!」
その巻き添えを食らったサイゾウが涙目になりつつ、天井から落下した鋭利な石柱をギリギリのところで避けた。
しかし、一歩間違えば、肉の塊一丁上がり的な流れになってしまうため、嫌な汗が止まらず、生きた心地がしなかった。
「あひゃ!?」
そんな中、ハルが鍾乳石に顔面を強打し、グッタリと倒れ込んだ。
その影響でハルの口から、魂っぽいモノが、ヒョロリと出た。
それが何なのか分からないが、とても元気に辺りを飛び回った。
「とにかく、走る。考えていたら、駄目」
コハクが仲間達に声を掛けながら、気絶したハルを連れて走り出した。
「おーい、ヘッポコとやら生きてるか? お前の師匠の依頼で助けに来てやったぞ」
その間に、ケンが坑道内を突き進み、わざと大声を上げ、ヘッポコに呼びかけた。
「グォォォォォォォォォォォォォォォン!」
その呼びかけに応えるようにして、物陰から姿を現したのは、コボルト達であった。
コボルト達は、もう何日も食事をしていないのか、とても飢えているようだった。
「トラップだらけな上に、コボルトまで出て来ましたか」
その途端、クラリスがゲンナリとした様子で、コボルト達に視線を送った。
コボルト達にはクラリス達が食べ物に見えているのか、先程よりも息遣いが荒くなっていた。
「コボルトとはワンコ! ワンコと言えば、これ!」
そんな空気を察したハルが瞳をキランと輝かせ、干し肉を高々と掲げた。
「……!」
それと同時に、コボルト達が、干し肉をガン見!
同じようにカルフも干し肉を掲げたため、コボルト達の視線が左右に泳いだ。
「ほら、取ってこい!」
次の瞬間、カルフが勢いをつけて、干し肉を放り投げた。
「肉~っ!」
その誘惑に打ち勝つ事が出来ず、ハルがブンブンと尻尾を振りながら、カルフの投げた干し肉に飛びついた。
その後に続くようにして、コボルト達が群がり、ハルの服が布切れと化し、ボロ雑巾から裸族にクラスチェンジした。
幸い、不自然な光のおかげで、最悪の事態だけは回避できたものの、まるで芸術作品の如く神秘的であり、アレだった。
「お、随分とヤル気かだな? だったら、相手をしてやるよ!」
すぐさま、ケンがダマスカス鋼の大太刀を握り締め、コボルト達に斬り掛かった。
「グガァァァァァァァァァ!」
それでも、コボルトはまったく臆する事なく、捨て身の覚悟でケンの肩に食らいついた。
「まさか、俺を喰う気か? 残念だが、それは無理だ」
ケンがコボルトに噛みつかれたまま、ダマスカス鋼の大太刀で、その身体を貫いた。
そのため、コボルトは自分の身を護る事が出来ず、ブクブクと血の泡を吐いて息絶えた。
「はあはあ……、一瞬死ぬかと思いましたが、復活です」
そんな中、ハルが速打でコボルトを打ち上げ、荒々しく息を吐き捨てた。
何度か死の縁に立っていた気もするが、まだその時ではなかったのか、何とか無事のようである。
「……って、ちょ! また、このコボルト、生きているようなんですが……。ちょ、僕は食べ物じゃありませんから! お、美味しくないですよー!」
一方、サイゾウはコボルト達に押し倒され、身の危険を感じて、ヒィッと悲鳴を響かせた。
だが、コボルト達は、情熱的。
文字通り、命懸けで、サイゾウに迫っていた。
「少し熱いかも知れませんが……我慢してくださいね」
その間に、クラリスが魔導の潮流で自らのエーテルを燃やし、魔力を増幅させ、フレイムゲイズで火球を放った。
「ぎゃああああああああああ!」
それと同時にコボルト達が悲鳴をあげ、サイゾウも一緒になって悲鳴を上げた。
そのドサクサに紛れて、コボルトが脱兎の如く逃げ出した。
「……逃がすか」
即座に、ケンがシーザーロアで、殺気と共にエーテルを叩きつけ、コボルトの注意を引こうとした。
だが、それを遮るようにして天井が崩れ落ち、コボルトが逃げた道を完全に塞いだ。
「……って、今の衝撃で、他のトラップが!」
クラリスがハッとした表情を浮かべ、慌てた様子で逃げ出した。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! ヘッポコぉぉぉぉぉ! 何処だ! 何処にいるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
カルフも涙目になりつつ、轟音と共に迫ってきた巨石から、仲間達と共に全力ダッシュで逃げ出した。
「なんですかー? ひぃぃぃぃぃぃぃ!」
その途端、坑道の横穴からヘッポコが顔を出し、巨石に気づいて、ヒョイッと顔を引っ込めた。
「いた」
その後を追うようにして、コハクが仲間達と共に横穴に飛び込んだ。
「うわああああああああああああん! 皆さん、無事でよかったです~」
横穴にはヘッポコがおり、問答無用でコハクに飛びついた。
「それにしても、よくもまぁ、沢山のトラップを避けて、奥まで来れたな? ……実は天才じゃねぇのか?」
カルフが複雑な気持ちになりつつ、ヘッポコに声を掛けた。
幸い、ヘッポコの傷は、軽傷ばかり。
だいぶ弱っているようだが、命に別状はないようだ。
「え? トラップなんてありましたっけ?」
ヘッポコがキョトンとした表情を浮かべ、頭の上に大きなハテナマークを浮かべた。
「……と言うか、私が落としたパンくずは何処ですか?」
そんな中、クラリスが青ざめた表情を浮かべ、キョロキョロと辺りを見回した。
だが、パンくずは、何処にもない。
いるのは、沢山のネズミだけ。
そして、クラリス達は何度か道を迷いながら、コハクがつけた目印を見つけ、何とか帰路につくのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ易しい 報酬:多い6 / 4〜10人
2021年03月17日 00時50分58秒 公開
相談掲示板
ヘッポコ…あいつは成長を知らねぇのかよ。 ウォーリアのカルフ・ヴォルオだ、宜しく頼まぁ。 (ネタに走ります@PL)
ボクはサイゾウって言います。よろしくお願いします。 聞いたところ原始的なトラップみたいだから、ボクは【壁歩き】で回避するよ。(フラグ)
ウォーリアーのケンだ とりあえず俺で依頼成立だな しかし・・・弟子ってのは成長していくもんじゃないのかね 俺はコボルト探して首狩りながらへっぽこを探すとしようかな
はじめましてですよー、お邪魔させてくださいね。クラリス=ミシェです。お気軽にミシェとお呼びください。 初陣なのですがー、トラップだらけのダンジョンで迷子探しと来ましたか。 ・・迷子探しには迷子ですね!ともかくぐんぐん進んでみましょうかね、トラップも困ったらコボルトごとどっかん・・・ってわけには行かないかもですが、いざとなったら致し方なしです。(1人納得したようにこくこくと頷いている)
こんにちは!ハルですっ よろしくお願いしますなの! カルフシショーと参加なのです。 うわぁ、罠だらけなのですか? 僕はシーフですので、罠は得意なのです!(きりっ) コボルトって確かワンコさんでしたよね? ならば絶対抗えない秘密兵器を持っていこうとおもうですよ。 干し肉、です! これを奥に投げて取ってこ〜い、するですよ! 完璧なのです。
ぬるりと登場。 シーフコハク、どうぞよろしく。 今回は初心者向けというのもあるからコハクはフォローに徹しながらいくつもり。 まぁ気楽に行こう
いよいよ明日ですねー、言ってた通りずんずん進んでコボルトはトラップごと魔法で壊す感じで行くのです。 トラップが一緒にどんどん動いちゃったらすみませんが、皆さん上手にお避けくださると信じてますので! 楽しく助けましょーよろしくですよー
トラップが動くのかよ… タダでさえボウズに巻き込み宣言されてるのに…参ったぜ。 へっぼこに辿り着く前にこちらがあの世行きじゃねぇだろうな。 (何も気にせず、どんどん巻き込んでください~ 何度あの世が見えるか数えつつ、楽しく助けましょー!@PL)