【豆充】カフェ『銀の薔薇』の受難
蔭沢 菫
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シナリオID:631
オープニング
『銀の薔薇』にはルールが一つある。それは、女主人デュネグアの前ではどのような立場の者であれ、食を愛する者として互いに争いごとは起こしてはならない、というものである。店主でこそあれ爵位を持たぬデュネグアには力はない。故に最初は幾つかの小競り合いがあった。しかし、デュネグアの料理の美味しさ、特に様々な菓子がもたらす繊細で優雅な味わいは一種の魔法であり、
(これだけのものを食べる機会を、小競り合い如きで喪うのは勿体ない)
そう思った客達は、紳士協定を結ぶことにし――結果、中立地帯として『銀の薔薇』は栄えることとなる。
料理だけではなく美全般を愛する者が集まりはじめ、貴族の寵愛を得た芸術家や学者も出入りするようになり、文化人の集う場所として一定の評価を得た。
しかし、事件は起きた。
王家に忠誠を誓う王党派と独立志向の高い貴族派、両派の若い貴族らが、それぞれ財にものを言わせて店に居座ったのだ。名高いデュネグアの『銀の薔薇』を自分達の根城にすれば、貴族社会で権力を誇示できると思ったらしいのだ。店にとって不幸なことにこの招かれざる客達は、若さゆえの無軌道さと全能感に酔いしれ、我が物顔で振舞っていた。
とにかく、デュネグア・ローモントとその信奉者達は途方にくれた。デュネグアは平民であった。争いを嫌う客らは様々な方法でやんわりと若い貴族らをたしなめたが、何の成果も上がらなかった。
文化人の愛する『銀の薔薇』は、貴族同士の権力争いという無法の前にむしられ、散ろうとしていた。
「我々は憂いているのだ」
冒険者ギルドの特別室で、黒繻子の仮面を付けた白髪の老人は溜息をこぼし、赤葡萄酒を一口飲んだ。その様子は流れるようで、裕福な生活に馴染んではいるものの、溺れてはいない者特有の貫禄と優美さがある。貴人の依頼によくあるように、名前と身分は伏せられていたが、それなりの地位にある存在だと察せられた。
「『銀の薔薇』はこのままでは、政治の名を借りた陰謀遊戯の根城になってしまう。今は、王党派と貴族派、両方の貴族連中が睨み合っている状態だが、このままでは何時均衡が崩れるか分かったものではない。それに、かつての常連客の足も段々と遠のいている所。デュネグアは最悪店を畳む羽目になるやもしれぬ。我々としては、あの店の黄金の午後めいた平和な空気、それに花のような飴細工や絹を溶かしたかのような口当たりのクリーム、バターの味わい豊かな焼き菓子に、口の中でさらさらと溶ける焼きメレンゲ……そういったものが喪われるのは、何としても避けたい。しかし、私は隠居した身故、もはや権力はない。それ以前に、この手の問題を権力で解決してしまっては――『銀の薔薇』は、結局中立性を喪ってしまう」
故に、貴君らに頼みたいのだ、と老人は言う。
「デュネグア・ローモントに力を貸してはくれぬかね」
どうやって、とあなた方は問う。老人は真面目な調子で話を続ける。
「うむ。具体的には、菓子の力で両派の貴族を黙らせるのだ。幸い、最近急に量が出回るようになったチョコレート。彼女はチョコレート菓子を作る才に長けていてな――決闘騒ぎを艶やかなチョコレートタルトで和解させ。心中騒ぎを宝石のようなボンボン・ショコラで止め。類稀なるあの茶色い宝石で幾つも奇跡を起こしてきたのだよ」
では、彼女だけに任せればいいのでは。そんな声に老人は困ったような声でこたえた。
「発想が必要なのだ。自分の欲しか考えぬ者らには、菓子に込められた思いは伝わりにくいだろう。それに、デュネグアの菓子は少々、古典派のきらいがある。若者には退屈だろう。故に新鮮な発想が必要なのだ。食べる者の目を開かせ、世界の広さと美の素晴らしさについて教えるために――」
葡萄酒の盃を覗き込む老人の瞳は真剣そのもので、冗談を言っている気配はない。
「広い世界を知る冒険者らの発想を生かして、新しいチョコレート菓子への霊感をデュネグアに与えてやってくれ。いわば、新メニューの開拓だ」
解説
マスターより
リプレイ
「『銀の薔薇』へようこそ、冒険者の皆様。私が店長のデュネグア・ローモント。この度は色々と手を貸してくださるようでありがとうございます」
立ち話もなんでしょう、とデュネグアは皆をテーブルへと案内する。店員達が恭しい調子で椅子を引き、皆を席へと誘う。その様子はまさに高級な一流店と言った様子。内装も店の外観と同じく上品なもの。よく磨かれた木製の柱に床。クリーム色の壁紙には銀色の薔薇が小さく幾つも描かれている。夜になれば埃一つない店内に光を落とすであろうシャンデリアには、やはり銀色の薔薇が所々にあしらわれている。
「デュネグア・ローモント様……! お会いできるとは光栄です! 『銀の薔薇』の噂はわたしも聞いたことがありました!」
真っ先に口を開いたのは、レイヤ・ダライ=カホール。『ケーキは至上にして至高』を教義とする人魚の神を信ずる彼女にとって、『銀の薔薇』とその女店主はある種の憧れをかきたてられる対象であったらしい。
どこか厳しさを感じさせるデュネグアの表情に、柔らかな色が浮かぶ。感謝の言葉の代わりに彼女が冒険者達の前へと持ってきたのは、様々なチョコレート菓子であった。
「最近流通が増えた迷宮産のカカオで作りました。品質がよいため、今度からは私の店でも迷宮産のものを幾つか扱おうかと考えています」
つやつやの四角いボンボン・ショコラは一見質素だが、口にすれば果物めいた上質なカカオの香りが広がる。チョコレートクリームと削ったチョコレートで飾られ、アクセントとしてリキュールに漬けたサクランボを挟んだケーキは王道そのもの。ホットチョコレートはクリームとカカオの味わいがまろやかに絡み合い、そこに少し加えられた胡椒がアクセントをつけている。
「わあ、美味しいですね!」
ボンボン・ショコラを口に運んだベアトリーチェ・カロッサは笑みを浮かべて二つ目を取る。その様子を見て目を細めるデュネグア。
貴族令嬢らしく上品にホットチョコレートを嗜むレティシア・レインフィールの横では、同じく貴族令嬢のはずのキャロライン・スノーイーリスが元気にチョコレートケーキを頬張っている。キーゼもまた無表情でケーキを少しずつ口にしており、ん、と一声呟いたのは満足を表しているのだろう。
その中で、ハイド=トリアニスはホットチョコレートを一口飲み、冷静に状況を見ていた。
(確かに、執事としての目から見て、一流の店です。もてなしも一流ならば味も一流。内装も品がよく、恐らく客層も一流だったのでしょう。ですが……依頼人の話からすれば、『デュネグアの菓子は少々、古典派のきらいがある』でしたか。確かにその節はありますね。安定したものを好む落ち着いた年配の方には心地よいでしょうが、若者向けでは……確かにないかもしれません)
ハイドの考えを見抜いたのか、それとも偶然か。デュネグアは少し肩をすくめて、呟く。
「私の才もそろそろ衰えてきたのでしょう。今まではどんな困難も菓子で乗り切って来たのですが、此度の若い紳士淑女方にはあまり効果がないらしく。料理人としての感覚で分かるのです。味が届いていない、と。そもそも食べるのが目的の方ではないから味を届けるのは難しいという点があります。ですが、それでもこちらの世界に引き込めないのは……私の、限界なんでしょうね」
沈黙が訪れる。それを破るかのようにキャロラインが口元に付いたクリームをぬぐって令嬢然とした笑顔で言い放つ。
「まったく、ふてぇ貴族達ですわね!」
「そうよ、せっかくの素敵なカフェなのに、美味しいお菓子を楽しまないなんて損だもん!」
ベアトリーチェが同じく、という風に力強く言い、五つ目のボンボン・ショコラを口にする。
「『ケーキは至上にして至高』。美味しいケーキを以て、目も開かぬヒヨコどもにせかいを見せてやりましょう!」
えいえいおー、と拳を突き上げるレイヤ。
「目も開かぬヒヨコですか」
思わずデュネグアは目をぱちくりさせる。
「ええ、そうです……だから、デュネグア様、衰えてきたなんて言わないでください。もしよければお手伝いさせてください、その御業を近くで見たいんです!」
「厨房にいる私は厳しいですが、宜しいですか」
「覚悟の上ですっ」
デュネグアは覚悟なさい、と言いたげにレイヤを見、そして彼女を厨房を案内しようと先に立って歩き始めた。
「全く……いつでもどこでも、貴族というのは問題を起こす方が多いですね」
話を聞いていたキーゼはケーキの最後の一切れをじっと見ながら呟き、顔をあげる。
レティシアもまた深刻そうな顔をしてホットチョコレートを見ていた。
「全く恥ずかしい話です。お父様やお兄様は中立派で、私もそれに近いのですけれど……同じ貴族として、正さなければなりません」
「そうよそうよ! 彼らの腐った性根、チョコに漬けて冷やして固めてもろとも叩き割って……もとい、改心させましょうっ」
キャロラインが思わず鼻息荒く語れば、冷静なハイドが話を続ける。
「では、具体的な内容はどうしましょうか?」
「我々の任務は「『銀の薔薇』の中立性の維持」に最終的には行き当たるでしょう。チョコレート菓子の新しいアイディアを出し、両派の貴族を改心させ、対立を解消させ、今後『銀の薔薇』が永世中立地帯となるようにする……そのためにはチョコレート菓子のアイディアだけでなく、ターゲットとなる貴族らの情報も必要となります」
キーゼは僅かに考えてから答える。
「え、チョコレートだけじゃ駄目だってことです?」
ベアトリーチェはんー、と考え込む。
「ええ、まずはお菓子を楽しませる雰囲気にもっていかなければ。そのために必要なのは相手の知識。名前に紋章、趣味……」
レティシアの言葉にキーゼは続く。
「過去の悪行と評価なども必要ですね」
そうだ、と唐突にキャロラインは手を叩く。悪戯を思いついたような少女の眼の輝きがそこにはあった。
「一芝居打つ、というのはいかがですこと? 丁度ここに可愛い女の子が三人もいますわ!」
キャロラインの視線はレティシアとベアトリーチェを捉えていた。
「成程、では執事役は私めが。高貴なお嬢様方がいるのに供の者がいないのは絵になりません」
ハイドが恭しく一礼した。
「それも一理ありますね。それでは、作戦の『仕込み』を始めることにしましょう」
レティシアは真面目な青い瞳を壁に描かれた小さな銀の薔薇へと向け、頷いた。
「私に頼み事、か」
依頼主である白髪の老人は隠居生活で暇をしていたのか、すぐに会うことが出来た。相変わらず黒繻子の仮面をつけたままではあったが、冒険者達を信用しているようであった。曰く仮面はある種の作法とのことらしい。
「デュネグアと『銀の薔薇』の件ならば、何でも言ってくれたまえ。この老体の力が及ぶ限り、対処しよう」
『銀の薔薇』は新メニューの開発のため、と称して十日ほど休暇を取っていた。そのため老人はこじんまりとしたさる料理店の離れで会おうと言い、冒険者達は夕刻そこに集まることとなった。レイヤのみ、たっての希望でデュネグアの厨房の下働きをしているらしい。
その店は、まさに隠れた名店であった。次々と運ばれてくる料理は味わいもさることながら細やかな飾りつけも美しく、それに合わせた葡萄酒が幾つもまた運ばれてくる。酒が飲めない者には葡萄酒用の葡萄で作った特製のジュースが振舞われる。
ひとしきり食べた後、華奢な飴細工の籠の中に入れられた小さな菓子の数々とコーヒーを味わいながら老紳士は言う。
「この年になると、一人の食事というのが寂しくてたまらぬのだよ。故に、ここに誘ったのは、そういった私的な理由もある……だが、話はよく分かった。ああ、旨い料理と酒を口にすると、舌が鳥の羽のように軽くなってたまらぬなあ」
わざとらしい口ぶりをする老貴族の目には悪戯っぽい光が輝いている。そして、彼は話し始めた。
「王党派の総大将はシアラン・エルミヌス、エルミヌス伯の一人娘。極めて美しいが、悪い噂の絶えない陰謀家だ。嗜虐的な気質で、裏に彼女がいたであろう事件は多数。それでいて尻尾は全然掴ませない。婚姻を申し込む者も多いが……彼女は更に上級の貴族との婚姻を望んでいるとの話だ」
「さいってーですわね」
キャロラインはあからさまに嫌な顔をしてみせる。
「ですがそんな頭が回るであろう方が、何故、このようなことを? 彼女にとって不利益の方が多いでしょうに」
キーゼの言葉に老人は口元を皮肉気に歪める。
「王党派の中での立場を高める他にも、自分の価値を高めるために、崇拝者に流行のカフェを贈られた、という芝居をやりたいのだよ、シアラン嬢は。故に、表では彼女は付き添いに囲まれた姫君を演じている。何かあっても、『熱狂的な崇拝者がやったこと』と切り捨てるつもりだろう」
「ああ、噂はかねがね……エルミヌス家の方でしたか。家の紋章は確か、青い双頭蛇でしたね」
蛇の方が清らかだ、とレティシアは眉をひそめて呟いた。
「うむ。古くからある家で政治を中心として動いており、上級貴族とも繋がりが深い。好物は……流行のものならば、何でも。審美眼はあるが、好物も思想も、己が高位に行くための道具としか思っていない」
「そんな人にどうやって菓子の美味しさを伝えるか……ですか。恥をかかせるほうが簡単ですが、それをすれば一生恨みを買うことになるでしょうね」
キーゼが考え込む。
「次に、貴族派の総大将だが、ウルフール・アレグ。広大な農耕地を領地に持つアレグ伯の甥で、若いといっても三十間近、有能な伯父に任せて本人は放蕩にふけっているというたぐいの男だ。気前はよく、大胆で、欠点は粗暴で熱しやすくて考えなし。財のある田舎貴族だ。格としてはシアランより一回り下ではある」
老人の言葉に、ベアトリーチェは露骨に嫌そうな顔をした。
「しかし田舎貴族ではあるが、顔は広い。その気前のよさと大胆さから兄のように慕う者達も多い。シアランの企みに釣られて負け役として舞台に上げられたようだが……意外にも顔の広さから粘っているようだ。少数精鋭のシアラン、数のウルフールといったところか。家紋は束ねられた黄色い小麦の穂だ。好物か……量を食べるのが好きな性質だったか」
それから次々と老人は両派の主要貴族やその家紋、素行等をあげていく。共通しているのはどちらも裕福な、そして暇を持て余している放蕩者が殆どだということ。彼らにとっては世界は狭く、グランスパーダの豪奢な生活のみが現実なのだろう、と老人は言う。
「この菓子籠に使われている砂糖からして、様々な民の手が関わっているというのにな。若者は……いや、我々は往々にしてそのことを忘れる」
老人は遠い目をし、ぼそりと呟いた。
僅かに疲労の溜まったデュネグアと、彼女と揃いのコックコートを着たレイヤ、そして他の店員は店の椅子に腰かけて休憩をしていた。冒険者達の中から出てきた様々なアイディアを試し、試作品を作り、皆で食べてああでもないこうでもない、と意見を出し合う。そんな日々が続いていた。デュネグアは疲労の中で更に輝き、彼女の天啓は尽きることがない。心配するレイヤに店員達は「店長が動き出した証拠だ」と笑いかける。
レイヤの料理の腕は、デュネグアから見ても筋のいいものであった。菓子を任せることこそしなかったが、下働きとしては十分すぎる程だ、というのがデュネグアや他の店員の評であった。
ふと、扉が叩かれる。飛び出したレイヤの目の前には、荷物を積んだ馬車が一台。
「何でしょうか?」
そう尋ねるレイヤにずしりと重い箱が手渡される。慌ててなんだなんだと店員達が支えに来て、箱の中を覗く。
そこには、沢山の菓子型が入っていた。
「わあ、凄いです!」
菓子型の意匠は薔薇や百合と言った基本的な花や、イルカや猫といった動物の形が半分であり、
「蛇……の頭が両側に?」
残り半分は不思議な意匠のものが続く。首をかしげたレイヤに、デュネグアがおや、と珍しいものを見るような表情になる。
「エルミヌス家の紋章ですね」
「エルミヌス……ああ、聞きました! 王党派の貴族で、居座ってる女の人の家ですね。でもなんででしょうか……」
そこにベアトリーチェがやって来て、にっこりと笑う。
「レティシアの案なのよ。来ている貴族の紋章のモチーフとなった動植物や好むものの形でチョコレートを作ればいいんじゃないかって」
「ああ、そういうこと言ってた……ということは間に合ったんですね! 職人さん達が頑張ったんですね!」
「依頼主が随分沢山お金を積んだみたい。それと、『銀の薔薇』のお役に立てるなら本望だ、って工房の人が言って……ました」
改まった口調になってデュネグアに話しかけるベアトリーチェ。
「そう、ですか……私は、一人で抱えすぎていましたね」
デュネグアは生真面目な表情で、薔薇の型を取る。
「さあ、レイヤ、休憩は終わりです。最後の追い込みですよ!」
キーゼは表情薄く、何枚もの手紙を書いていた。上質な紙にさらさらと文字が走る。それは密告の体で書かれた偽の手紙であった。
貴族派には、
『某月某日、夕刻、王党派が『銀の薔薇』に手を出す模様』
から始まる手紙を送る。その一方で王党派にも、
『某月某日、夕刻、貴族派が『銀の薔薇』に手を出す模様』
と始まる手紙を送る。一通だけでなく何通も、様々な人に疑われないように送られた手紙。それらは数日後社交界で噂になり、どちらが『銀の薔薇』を手にするか賭けの対象にし始める者すら出ていた。
これならば確実に『釣れる』だろう、と噂が社交界どころか平民層まで流れて来たのを聞いて、キーゼは頷く。表情は変わらぬまま。
そして、その日は来た。
夕刻、店の周りに噂好きの見物客らが集まる中、家紋を飾った様々な馬車が貴族達を下ろしては去っていく。二派のうち最初にやってきたのは貴族派のウルフール・アレグとその一党。揃いの黄色い意匠を身につけ、安酒場にでも入るような騒がしさでがやがやと店に押しかける。
堂々と遅れてやってきたのは王党派のシアラン・エルミヌスとその崇拝者達。濃紺のガウンを着たシアランは宝石のような冷たい声と眼差しで、
「全く、今宵も嘆かわしいこと」
と言ってからわざとらしく眉をひそめ、扇で口元を隠した。
挑発に乗ったウルフールが立ち上がって何かを言おうとした瞬間、がらり、と店の扉が開く。そこにいたのは店の常連である貴族や商人、文化人達。そして、両派の貴族らにとって初めて見る人物であった。
「スノーイーリス子爵家のキャロライン様、レインフィール伯爵家のレティシア様。お二人のご友人である、フィルエス大森林からいらしたベアトリーチェ様。どうぞこちらのお席に」
店員に扮したキーゼが名をあげながら静かに案内する。
桃色の髪の気をふわりと結い上げ、春らしい清楚な薄緑のドレスを着たキャロラインは朗らかな令嬢、と言った様子。一方、月の如き銀の髪に金色の星を象った髪飾りをちりばめたレティシアは、憂いをも感じさせる儚い微笑故に、妖精の美姫を思わせた。そしてベアトリーチェはエルフに伝わる祭儀の時の伝統衣装を身にまとっており、高貴な異邦の娘といった雰囲気を漂わせている。その横に立つのはまだ少年の面影を宿す執事、ハイド。楽しげに店の常連達と話しながら、案内された中央の席に座る一同――もっともハイドは恭しく横に控えていたが――に、両者の貴族らは思わず目を奪われる。
店の常連達をも巻き込んだのはハイドの案であった。「手を取り合い紳士協定を結んでまで守ってきたこの店の、命運を左右する作戦。それを、皆様はただ見守るだけでいられますか?」との彼の言葉に、白髪の老人は「それも一理ある」と頷き、常連を引き連れての登場となった。件の老人は仮面を外しており、何も知らぬと言った自然体でキャロライン達と話している。
詩人が即興の詩をレティシアに捧げ、若い貴族が質問をするベアトリーチェに『銀の薔薇』の素晴らしい菓子の話をする。老人とキャロラインは祖父と孫のように親し気に日々のとりとめもない話をしていた。そろそろ咲き始めた花の話であったり、キャロラインが冒険者として見た様々な景色であったり、今日の菓子への期待であったりした。
皆の興味がキャロライン達に向いた頃を見計らい、ハイドはちらりと遠くの席の貴婦人に視線をやる。貴婦人は心得たと言いたげに頷く。
「お嬢様方、あちらのコレニュ男爵夫人が皆様のお話を聞きたいと」
そうしてキャロライン一同が窓際の席にいる優し気な貴婦人の側へと移動するのを見て、ハイドは待った。
(もう少しで動きますね)
果たしてその予感は当たった。どたどたと立ち上がったウルフールがハイドを無理やり物陰へと引っ張り込み、鼻息荒く聞くのであった。
「おい、あの桃色の髪の娘の執事と見たが、詳しい話を教えてくれないか。あんたのとこのお嬢さんは、成長すれば俺の好みにぴったりになるに違いない! 金ならやるから、是非ともこう、うまい具合にだな……好きなものとか……こう……!」
「申し訳ございませんが、執事の身とはいえ他家の御方に主の情報を話す訳には……」
あくまで自然な様子でウルフールをじらすハイド。ようやく、仕方がないと言った様子で口を開く。
「それでは、対価はお嬢様を心より喜ばせていただくこと、で」
「勿論だとも、宝石か? 人形か? 花か?」
内緒ですよ、と大事な秘密を言う人のように、ハイドは己が唇にそっと指をあてる。
「お嬢様が好むのは、誰かと楽しく歓談し共に口にする料理とお菓子です。話題も自慢話などは退屈してスープも心も冷めてしまうお方です。ご自身が感激した本や演劇のことを話されるとよいでしょう」
「おお、友よ! ありがたい!」
ウルフールの巨躯に抱擁されたハイドは、ちらりと王党派の集まる席を見る。
(あちらももう少しで動きますね)
予想通り、ウルフールが去った少し後に、シアランが獲物を捕らえる蛇のように足音静かにやって来たのであった。
「皆様、『銀の薔薇』へようこそいらっしゃいました。本日の趣向は迷宮産のカカオを使ったチョコレートの菓子尽くしとさせていただきます」
背を伸ばしたデュネグアが現れ、挨拶をする。その横では様々な菓子をふんだんに乗せたワゴンが並んでおり、それを押す店員達の中にはキーゼとレイヤもいた。
キーゼが押すワゴンには沢山のボンボン・ショコラが並べてあった。様々な動物や花等の意匠はそこに来ている貴族の家紋にあやかったものであったが、一番の目玉は『銀の薔薇』にあやかった薔薇型のものであった。
シアランとウルフールはいつの間にかキャロライン一行と同じ席についていた。キャロラインが予想以上にうまく立ち回り、完璧な貴族令嬢を演じながら、二人を誘ったためだ。
「ここのお菓子は素晴らしいと伺いました。宜しければおすすめを教えてくださいませ」
争いなど知らぬであろう純真そうな瞳で見つめこまれた二人は、思わず空気に飲まれてしまったらしく、今の所は嫌味の応酬こそあれ、激しく喧嘩するそぶりはない。
「これはまた、いつもながら小さな菓子だな。前々から思っているんだが、こう、もっと様々なものがあるだろう。大きさとかだな」
自分の家紋である麦穂の束を象ったミルクチョコレートを口にしたウルフール。
「あらまあ……牡牛はまぐさを食べる姿がやはり似合いますこと……」
ウルフールを揶揄しながら、シアランも何の気なしという様子を装って双頭蛇を象ったビターチョコレートを口にする。
刹那、二人は驚いたような顔になる。
(何度も食べていたはずでしたのに……何で、今日はこんなにも心を惹かれる味なのかしら?)
(小さいはずなのに、なんだ、この満足感は! 甘さが口に広がって……何故だ――?)
「どうされましたか、シアラン様、ウルフール様」
小首をかしげるレティシアに何でもない、と言いたげに二人は慌てて動揺を隠す。
次にキーゼが持ってきたのはホット・チョコレートであった。
「チョコレートにチョコレートを合わせるのは、少々甘さが過ぎるのではなくて?」
そう言ったシアランは、己が初めてこの店の料理の味に興味を持ったことに気づいていない。
「ええ、シアラン様。そのままでは甘さが強い……ですので、この度はクリームは使わず、カカオと水、そして少しの隠し味で仕上げさせていただきました。カカオの味わいと香りをどうぞお楽しみくださいませ」
「ほう、エルミヌスのご令嬢が苦いものが苦手とはなあ」
シアランは眉をひそめてウルフールの言葉を無視し、一口飲む。
「……美味しい……?」
流行のものを次々と口にしては退屈を感じていたシアランは、初めて食べ物の味を感じたような衝撃に痺れる。力強い苦みと芳醇な香りが体中に広がり、目が覚める。それでいて底にあるほのかな甘さはなんであろうか。
「ほう、店員。蜂蜜かね?」
「半分正解でございます、ウルフール様。正確には蜂蜜酒ですね。ここに来られる方は、大人の方が多いと聞きましたので」
店員にしては表情の極めて薄いキーゼであったが、今やそのことをウルフールもシアランも気にするどころではなかった。美味、美味であったのだ。製法はシンプル、なれど味は繊細にして複雑。芸術品の如きそれらの味に何故今まで気づかなかったのだろう、と首をかしげる。
「まあ、本当に美味しいこと。グランスパーダでもこのような菓子が食べられるところは他にないでしょうね……確かに貴族の方々が欲しがるのも分かります」
楚々とした様子で喜びを表すレティシアに、思わず二人の貴族も釣られて頷いた。今まで味をここまで気にしたことなどなかった、ということは隠しながら。
次にやってきたのはチョコレートで出来た艶やかな宝珠であった。中心に大きなものが一つ。その周囲に様々な小さなものが幾つも並べられている。
「これは、……どうやって食べますこと? あちらの牡牛ならともかくわたくしはこのようなものを一口では……」
そういうシアランの目の前で、キーゼの手でチョコレートソースが温められ、そしてそっと中央の宝珠へとかけられていく。チョコレートソースからは甘い葡萄の香りがほんのりと漂っており、『何か』を混ぜているだろうことが分かるが、二人の貴族にはその正体が分からなかった。
チョコレートソースがかかった場所からとろとろと宝珠が溶け、やがて中から白や薄紅色の何か、そして細かく刻んだ様々な果物が顔を出す。
「これは、アイスクリームか?」
ウルフールが怪訝な顔をして白いアイスクリームをすくい上げ、口にし、そして固まった。
(何ということだ! 冷たいのに熱い、今一瞬しか味わえない奇跡というのかこれが! それにこのソース、酒が入っているな……しかも先ほどの蜂蜜酒とは違う甘さだ)
シアランもまた驚きに打ち震えていた。
(なんてこと。ただチョコレートに果物とアイスクリームを合わせただけだというのに、奇をてらっただけでなく……美味しいなんて……こんなに美味しいアイスクリームを食べたのは一体何時ぶりですこと! しかも、ベリー類のアイスクリームにチョコレートのほろ苦さがこんなに合うなど、何故、今まで気づかなかったのでしょう)
「こちらが本日の特別メニューその一、『チョコレートドーム』です!」
いつしかやってきていたレイヤが背伸びして説明をする。
「中心の球にはベリーとミルク、二色のアイスクリームと様々なフルーツが。そして、周囲の球には様々なお酒が入っています! ソースには貴腐葡萄酒を加えて、香りを高めています。様々なものがとろけて絡み合う様を楽しんでください」
そうしてぺこり、と頭を下げるレイヤ。
「まるで、世界のようですわね、レティシア様、ベアトリーチェ様」
上品な様子を崩さぬまま、キャロラインは微笑む。
「ほんと、色んなものが混じって、喧嘩してないで……凄いわ!」
ベアトリーチェが無邪気に喜んだ。
シアランとウルフールが同じ席についているのを見たからか、それとも味わいの結果か。いつの間にか両派の貴族達は矛を収め、おそるおそる歓談を始めていた。ぎこちない中には常連達が入って会話の潤滑剤となり、『銀の薔薇』の店内はいつの間にか菓子や料理の話題で盛り上がる。弁論術に長けたレティシアのさり気ない誘導もあり、この店を独占するのはもしかして、愚策なのでは……といった声がちらほら聞こえ始めた。
事の成り行きにおいていかれ、きょとんとするシアランとウルフール。
「一体、何が起きてますこと……あなた方、この店に手を出すつもりではなかったの?」
シアランが困惑顔を隠すように扇を開いてぼそりと呟けば。
「それはこっちの台詞だ。俺に分かるのは、今日の菓子は小さいのに妙に満足する味だということだけだ」
ウルフールが首をすくめ、ボンボン・ショコラを慎重に口にした。
そして、デュネグアがやって来る。緊張を戦女神の如き峻厳さを湛えた表情で隠して、ゆっくりと話し始める。
「皆様、本日最後にお出しするのは、当店の象徴である薔薇、そしてさる人魚の神の信徒に伝わる一品より霊感を頂いた菓子でございます」
現れたのは、グラサージュショコラで艶やかに覆われた丸いケーキ。上には水飴とホワイトチョコレート、砂糖水を混ぜ合わせた後に飴細工のように加工した幾つもの白薔薇と白い蝶々。客達の間から思わず歓声が上がる。
「どうぞ、これから切り分けたものを運びます故、お楽しみくださいませ」
「層が九つ、まるでこの世界みたいですわね、レティシア様」
「ええ、帝国を含んだ主要地域が九つ……あら、このバタークリーム、コーヒーの香りが」
「この生地、薄いのに弾力があって不思議な感じ。でもガナッシュとよく合うのね」
楽しげに会話するキャロライン、レティシア、ベアトリーチェ。
おそるおそる、シアランとウルフールも菓子を口にする。刹那、二人は衝撃を受けた。
それは甘かった。
それはほろ苦かった。
それは味わい深く、薫り高く、そして、後味がよかった。
シアランは童心の頃、誕生日のパーティで最初に食べたケーキの味を思い出していた。あの時の感動から遠くに自分は来てしまった……、悲しみと共に、不思議な充実感が胸の中にあった。
ウルフールは故郷の農作地を思い出す。紋章に描かれた小麦の束よりも更に輝く麦畑。農民らがそこから作り出す純白の小麦粉、コックが作り出す様々な素朴な料理。そこには自然な喜びがあった。
二人は思わず涙を流していた。シアランは美味しい、と短く呟いたまま口元を抑え、ウルフールは空になった皿を呆然と見ている。
キーゼが礼儀正しく一礼してから、告げる。
「権力争いにこの手の人気店を手に入れたい、その気持ちはよく分かります。が……果たして『誰かのもの』になった時点で、この『銀の薔薇』は果たしてあなた方が欲した店と同じですか?」
はっとした顔で二人は顔を上げる。教師に諫められた子のような気配があった。
「お手元の菓子と同じですよ。何者にも縛られず、誰かに味わってもらってこその料理、そしてこの店です。それでも手に入れたいというなら止めません……もっとも、貴方がたの支持は地に落ちるでしょうが」
淡々と述べるキーゼ。
「王家への忠誠も、貴族領地としての独立も、それらは目的ではなく、手段に過ぎません。本当に大切なものを忘れてはいけません」
真面目な表情でレイヤも話しかける。
「甘く、ほろ苦く、味わい深く、薫り高く、何より後味がいい。それが大切なことであり、せかいは、そうあるのが理想だと思います」
いつしか店内は静まり返っていた。ぽつり、ぽつりと拍手がおこり、やがて大きな渦となる。誰かが「『銀の薔薇』万歳!」と叫び、他の誰かが「比類なきデュネグア・ローモントに乾杯!」と叫ぶ。
シアランとウルフールは誰にでもなく呟く。
「わたくしが、手を出してはいけない場所なのだわ」
「大切なものか、俺も、もう少し大人にならねばな」
と。
かくして、『銀の薔薇』の危機は去った。若い貴族達は『銀の薔薇』に手を出さぬこと、争いを持ち込まぬことを誓い、店主のデュネグアもそれを受け入れた。
客達にはナッツを砕いて固めたチョコレートバーが土産として渡され、去り際にハイドが恭しく一礼する。
かくして、王都グランスパーダの『銀の薔薇』は、食と平穏を愛する者達の憩いの場として今日も営業している。
マスターコメント
ショートEX普通 報酬:標準6 / 4〜8人
2021年03月18日 16時24分50秒 公開
相談掲示板
エルフシーフのベアトリーチェだよ♪ まだ人数が揃ってないけど、挨拶だけしておくね! アタシは綺麗な飴細工を飾ったケーキを提案してみようと思ってるよ!
ヒーラーのキャロラインと申します。 貴族の風上にも置けないふてぇ野郎どもですわね、美味しいチョコで成敗して頂きましょう! わたくしはホットチョコレートソースの無限の可能性を追求しようかと思います。 チョコドームとか、フォンデュとかお客さんを楽しませる演出に長けたお菓子を。
レイヤ・ダライ=カホールです。よろしくおねがいします。 このような素敵なお店に来てまで政争にかまけるとは。まったく度し難いものですね。 わたしはわが神の教えに従い、ケーキは至上にして至高であると表して見せます。 甘くほろ苦く、味わい深く香り高いケーキを以て、目も開かぬヒヨコどもにせかいを見せてやりますよ!
ごきげんよう。私はレティシア・レインフィールと申します。 皆様、よろしくお願い致します。 新メニュー> 私は、チョコレート細工の花を提案させて頂く事を検討中です。 勿論、他にも何か良い案があればそちらも含めて提案をさせて頂きます。 貴族> メニュー考案だけではなく、こちらの対応も考えなければなりませんね。 接触される際、どのような立場で動かれるのかも含めて。 例えば従業員や、お客様の一人として接触なさるのもよろしいでしょう。 あとは王党派と貴族派、どちらにも対応出来るようになさるか どちらかに絞って頂くのもよろしいかと存じます。
>貴族対応 アタシはお客さんとして、スイーツを美味しそうに食べようかな♪ 出てきた時に「わあー♪」とかリアクションすれば思わずこっちを見ちゃうと思うし!
さて、よろしくお願いしますね 菓子関連は詳しい方などに任せ、こちらは裏方で動くとしましょうか 幸い費用も出るということですし どういう人間か、というのがわからないと手のうちようもないですからね
>貴族対応 わたくしは貴族令嬢として彼らに近づいて銀の薔薇の「お菓子」に目を向けるように仕向けられればと思っております。誘惑スキルと演技スキルが要りますわね。 事前調査も少し行いたいですの。 いちばん強いのはデュネグア様のチョコレートの力でしょうから、レシピ提案最優先ですけれど!
執事をしております、ハイドと申します。 皆様、よろしくお願いします。 此度の依頼で理想的な着地点は「若者貴族両名が改心して、この店を愛する人間の輪に加わる」ことかと……。 >貴族対応 スノーイーリス様が接触して、彼らにお心を掴ませるように仕向けるのであれば、 もしよろしければ私が執事として控えて行動を共にしましょうかと。 途中で二手に分かれて彼らがこちらと別々に接触できる状況を用意して、 ……私の場合でしたら、傍仕えの執事に主の好まれるものを聞き出そうとする、という流れに持ち込めたら主導権を握れるのではないかと、具申します。
私も貴族の客として行動する予定でしたので キャロライン様がよろしければ、同席させて頂いてもよろしいでしょうか? 食事と会話を楽しんでいるように振る舞えばこちらから声を掛けずとも 殿方の方からお声が掛かる可能性もございますし。 会話も彼らの興味をひきそうなものを選べばよろしいかと存じます。
まぁ、ハイド様とレティシア様がご一緒でしたら成功率も大幅アップの予感ですの! お二方とも、宜しければ是非ご一緒して下さいませ。 とすると、わたくしレティシア様の妹を演じても宜しいでしょうか? 貴族の姉妹に執事が1人、とっても自然な形だと思いますの。 確かに、貴族の子女が自分から殿方の方に行くのは不自然ですし、会話を楽しみながら誘惑スキルを醸し出しまくって声掛けを待つのが良いかもしれませんわね。 わたくしの考えていた行動は、こちらに好意を持って頂いてから「共に素晴らしさを深く語り合いたい」など匂わせ、彼らがお菓子についてちゃんと知らなければならない状況にする……という方向です。 わたくしに一番似合うお菓子を紹介して下さいませ、などと無茶を言ってみたりすれば執事に聞きに来る方もいらっしゃるでしょうか? あとは王党派、貴族派の対立を無駄に煽らないように注意しないといけませんわね!
キャロライン様、了承ありがとう存じます。 妹……とても魅力的なご提案なのですけれど 私達の家名や家族構成をご存じの方がいらっしゃるかもしれませんし 個人的に姉妹のようにお付き合いさせて頂いている、とするのがよろしいかもしれません。 引き寄せて頂くのは誘惑をお持ちのキャロライン様にお任せして 私は洞察と弁論術でさり気なく会話を誘導しつつ 彼らにお菓子とお店に対する考えを変えて下さるよう、手助けを致しましょう。 多少の無茶を仰るのも、動揺を誘う形となってよろしいかと存じます。 執事役のハイド様や、姉のような立場の私に助言を求める方もいらっしゃるでしょう。 派閥の対立を煽らないのは勿論ですけれど 最終的には此処では普段対立していても此処ではそれを持ち出さない むしろその対立で疲れた身体や心を休める場所であると思って頂けるとよろしいですね。
スノーイーリス様もレインフィール様もありがとうございます。 そうですね……では、両陣営に個別に接触を誘う状況を作るのでしたら、 私が同席するのは無粋な場所にお二方が向かうので私は待機、そしてレインフィール様もスノーイーリス様が適度なタイミングで離れて 「本人には声を掛けられないが親しい人物には声を掛けられる」という風にお膳立てすると向こうも動いてくるかもしれません。 あとは、スノーイーリス様の好みについて問われた際に「彼女は両親が多忙で1人で食事をとる日常を送っている。とにかく誰かと、できれば多くの方と他愛もない会話を交えた楽しい食事を求めている」といった内容を吹き込めば彼らを同席させ、料理を口にさせる流れを作れるのでは、と。 「会話内容も自慢話ではなく、ご自身の日常で純粋に楽しかった出来事の話題を選ぶとよい」といった釘刺しも添えて。 レインフィール様がご同席されるという状況はこの情報の信憑性を高めるでしょう。 ……うまくこの流れで両陣営を同じテーブルにつかせ、料理を口に運ばせて味に感激させられたら、 最後の仕上げとして「もうすぐ店主がこのお店を畳むかもしれないと聞いて、その前にこんな食事がとれてよかった」といった主旨の言葉を、 スノーイーリス様が邪気もない様子で口にされれば自分たちの過ちに気付いてもらえるのでは、と。
相談期間の都合で連投失礼します。 >レシピ フランベを取り入れる、というのはいかがでしょう。 チョコ自体ではなく酒をベースとしたシロップをフランベしてチョコにかけるという形になるでしょうが、 まずインパクトが強く目を引きます。 そして蕩けたチョコのシロップが下に落ちて次の工程へ……と、ただ料理が出されるのではなく、「目の前で料理が出来上がっていく」という要素を取り入れられれば、調理過程を目にする機会のない貴族の子息子女の方の興味を惹くことができないかと……。
再度失礼します。 では恐れながら、店内ではスノーイーリス様をお嬢様、とお呼びさせていただきます。 私のことも使用人として呼び捨てでお願いしたく……。 私に探りを入れられたときは、 「お嬢様が好むのは品を問わず、楽しく歓談し共に口にする料理とお菓子です。 話題も自慢話などは退屈してスープも心も冷めてしまうお方です。 ご自身が心を震わせた本や演劇のことを口にされるとよいでしょう」 などと答えておきましょうか。 あとは食事の際に他の皆様や常連客の方もお嬢様が食事を共にしたい、と口にすれば依頼主のお方や皆様も自然に同席させられないでしょうか。 私達が退店する頃には彼らも「相手側がいなかろうとそもそも水面の月を掬おうとするような破綻した計画だった」と理解して……しなければ説明していただいて、 そうすれば耳を傾ける冷静さが戻るでしょうから、依頼主の方を始め常連客の方々と共に、説得をお願いできないでしょうか。 そうすれば皆様が余さず活躍の場ができますし……紳士協定と此度の依頼はこのお店の客によるもの。 であれば、常連客の方々も一枚噛んでいただいた方がよいかと愚考します。
>レティシア様 なるほど、確かにわたくしはまだしもレティシア様のことはご存じの方も多いかもしれませんわね、ご指摘感謝いたします。 それではお姉さまのごとく慕っているお友達という方向で参りますの。 方針も目指すところも同意いたします、最終的には銀の薔薇には平和な中立地帯に戻って頂きたいですもの! >ハイド様 色々具体的に考えてくださってありがとう存じます。組み込ませて頂きますわ。 彼らにお店を争いに巻き込むのは間違っていたと思って頂けるように頑張りますの! ただわたくしが貴族として近づこうと考えたのはあくまでも個人的な1行動で御座いましたので、全員で同じテーブルにつく必要はないのではと考えます。 それぞれ考えていらっしゃる行動もあるでしょうし、貴族として近づいても心を動かされないターゲットもいるのではないでしょうか。
連投失礼いたします。 レシピアイデアは各々提案する形でよろしいでしょうか。皆様どれも美味しそうで、形になるのが楽しみですの! 色々と策を労しましても一番はデュネグア様のチョコレートの力ですものね、わたくしも少しコツを学んで帰りたいものですわ!
https://pbwmemo.net/v/0IH1fvdn ひとまず、現在の仮プレイングがこちらです。 私の行動は彼ら貴族達に肝心のチョコ菓子を口にしてもらう点を重視しておりますので……。 その後、先述させていただいた「計画そのものが破綻していた」ことに気付かせたあと、店の空気を壊さないように諭す役割をお願いできないでしょうか。 上記の仮プレイングで依頼主の方を始め、常連客の方々を当日店に招くようにはしておりますので、うまく連携していただければ。 >スノーイーリス様 全員が同席、とまでは確かにいき過ぎでしたね。 しかし私達が退店後に彼らを諭す段階になった際、両陣営の貴族の一部と他の参加者の方、そして常連客の方は同席していただいた方がスムーズに話をできると思います。 スノーイーリス様がどちらの陣営からも一部の者を誘い出してさえいただければ、 「この店を手に入れようとしたらローモント様が店を畳んでしまうので、そもそも破綻した計画だった」という現実を全体に伝播させられるはずです。 ……そういうことで彼らをなるべく多く虜にしてくださいませ、お嬢様。(礼
明日出発ですね。よろしくお願いします。 わたしの方はローモント様のお手伝いをしにいきます。 チョコレートを扱うならば、彼女の右に出るものはいない。その御業を近くで見たいんです…!
常連客の方々がいらっしゃれば、確かに良い流れとなりますでしょう。 連携についても了承致しました。 此処までの流れに問題もございませんし、あとは当日に力を尽くすだけですね。 皆様、よろしくお願い致します。