迫り来る絶望
ゆうきつかさ
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シナリオID:536
オープニング
●リーンエス王国
教会の神父であったラウルが亡くなったのは、数日前の事だった。
そのキッカケとなったのは、コボルト達によって、村の外れにある墓地が占拠された事。
それは神父だけでなく、村人達にとっても、深刻な問題。
そのため、村人達は普段から頼りにしている神父を頼り、すべてを託した。
別に悪気があった訳では無い。
どんな問題が起こっても、神父が必ず解決していたため。
それ故に、信頼していた。
絶対に大丈夫だと、確信していた。
神父自身も冒険者ギルドに行き、コボルト達を退治してもらおうと思っていたようである。
だが、冒険者達を呼び寄せる事が出来なかった。
仕方なく、神父が単独で事態を収拾しようとして……命を落としてしまったらしい。
「わしらも、もう少し神父さんの気持ちを考えるべきだったんじゃ。『神父さんなら、出来る』、『神父さんなら、何とかしてくれる』、『神父さんなら、大丈夫』……。みんな、そう思い込んでいた。そんな気持ちや思いが、神父さんにとっては、プレッシャーになってしまったのかも知れん」
村の老人リウムが、悲しそうに肩を落とした。
「その上、神父さんがいなくなった事でコボルト達が調子に乗って、わしらの畑を荒らし始めた。こうなると、わしらでは、どうしようも出来ない。本来ならば、神父さんと一緒に話し合っておくべきだったんじゃ。じゃが、こうなってしまった以上、何もしない訳にもいかない。これはわしらが老後のために蓄えてきた金だ。万が一、コボルト達が襲ってきたら、いくら金があっても意味がないからな。だから、頼む。神父さんの無念を晴らすためにも、コボルト達を追い払ってくれ」
そう言ってリウムが、冒険者達に対して、コボルト退治を依頼するのであった。
教会の神父であったラウルが亡くなったのは、数日前の事だった。
そのキッカケとなったのは、コボルト達によって、村の外れにある墓地が占拠された事。
それは神父だけでなく、村人達にとっても、深刻な問題。
そのため、村人達は普段から頼りにしている神父を頼り、すべてを託した。
別に悪気があった訳では無い。
どんな問題が起こっても、神父が必ず解決していたため。
それ故に、信頼していた。
絶対に大丈夫だと、確信していた。
神父自身も冒険者ギルドに行き、コボルト達を退治してもらおうと思っていたようである。
だが、冒険者達を呼び寄せる事が出来なかった。
仕方なく、神父が単独で事態を収拾しようとして……命を落としてしまったらしい。
「わしらも、もう少し神父さんの気持ちを考えるべきだったんじゃ。『神父さんなら、出来る』、『神父さんなら、何とかしてくれる』、『神父さんなら、大丈夫』……。みんな、そう思い込んでいた。そんな気持ちや思いが、神父さんにとっては、プレッシャーになってしまったのかも知れん」
村の老人リウムが、悲しそうに肩を落とした。
「その上、神父さんがいなくなった事でコボルト達が調子に乗って、わしらの畑を荒らし始めた。こうなると、わしらでは、どうしようも出来ない。本来ならば、神父さんと一緒に話し合っておくべきだったんじゃ。じゃが、こうなってしまった以上、何もしない訳にもいかない。これはわしらが老後のために蓄えてきた金だ。万が一、コボルト達が襲ってきたら、いくら金があっても意味がないからな。だから、頼む。神父さんの無念を晴らすためにも、コボルト達を追い払ってくれ」
そう言ってリウムが、冒険者達に対して、コボルト退治を依頼するのであった。
解説
現在、コボルト達は飢餓状態にあり、とても気が立っています。
そのため、放っておくと、畑だけでなく、村人達を襲うかも知れません。
基本的に、コボルト達を追い払う事が出来れば、成功。
そう言った意味で、全滅させる必要はありません。
▼基本的な情報
リウム(ヒューマン:男性)
70代。
現在、村のまとめ役。
▼敵の情報
コボルト×20
いまのところ、墓地に棲みついているが、今にも村人達を襲ってきそうな雰囲気。
墓場にあるモノを武器代わりにして戦う。
マスターより
どうも、ゆうきつかさです。
この依頼は初心者歓迎です。
基本的にオープニングで書かれていない事は、都合よく解釈してかまいません。
世界観に問題が無く、他の参加者に迷惑を掛けていなければ、採用していこうと思っています。
リプレイ
●リーンエス王国
「神父さんを殺して、お墓も荒らして……その上、畑や村の人を襲うなんて! これは、さすがに……許せないね!」
トゥーリは仲間達と共に、リーンエス王国の辺境にある村にやってきた。
コボルト達は村の外れには墓地におり、まるで自分の家の如く、くつろいでいるようだ。
そのコボルト達を追い払うため、この村に住む神父が単身戦いを挑んだようだが、返り討ちに遭ってしまったようである。
それが原因で、村人達だけでは勝ち目がなくなってしまったため、冒険者ギルドに依頼する事になったらしい。
「ある意味、安全保障管理を一任していた事による弊害ですね、これは……」
キーゼが複雑な気持ちになりながら、五感を総動員して頭上から周囲を俯瞰し、村の状況を把握した。
現在、コボルト達は墓地を根城にしているものの、既に食糧が尽きているため、いつ村を襲ってもおかしくないような状況にあるようだ。
「神父様がお亡くなりになったのは、とても悲しい事ですが……。神父様の犠牲を無駄にしないためにも、彼がなし得なかった事を代わりに果たしましょうか」
エレノア・D・グリフィスが警戒した様子で物陰に隠れつつ、少しずつ墓地に近づいていった。
「今、私に神父さんの魂が憑依しました! 唐突に! 自分達の命は自分で守らんかいウオアァァ――!」
その途端、ユークリア・フィナンシェが、何かに取り憑かれた様子で奇声を上げた。
(……えっ? 神父さんって意外と熱血系? で、でも、確か……村の人達の話を聞く限りでは……)
エルナ・クルプファルツが、気まずい様子で汗を流した。
事前に聞いた話では、亡くなった神父は、常に笑顔を絶やさない爽やか系だった……はず。
……という事は、誰?
一体、誰?
その答えに辿り着いた瞬間、エルナが危機感を覚え、ユークリアを激しく揺さぶった。
そのおかげで、何とか元に戻ったが、あのまま放っておいたら、どうなっていたのか分からないほど、危険な感じになっていた。
「理由は何であれ、コボルト達は許せない……!」
そんな中、コハクが今にも大噴火しそうな怒りを抑えつつ、あえて冷静になろうとした。
それでも、口から漏れている言葉には、怒りが宿っており、まるで刃物のようだった。
(……今日のコハクさんを止める事は出来ないようですね)
そんな空気を察したエルナが、あえて何も語らなかった。
「コボルト共め。性懲りもなく……」
一方、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトは墓地でくつろぐコボルト達を見つけ、苛立ちを隠せない様子で拳をギュッと握り締めた。
「神父さんの命を奪ってしまった以上、コボルトさんと話し合いで解決する余地はなさそうですね……!」
エルナが物陰に隠れつつ、コボルト達の様子を窺った。
コボルト達はだいぶ苛立っているらしく、何やらギャアギャアと騒いでいた。
「確かに、言葉が通じない以上、実力行使しかないねー。村の人から話を聞く限り、例え追い払ったとしても、いつか戻ってくるだろうし……。出来るだけ数を減らして、可能であれば掃討するのがベストだね」
ヒロ・テスタロッサも同じように物陰に隠れつつ、冷静に自分の考えを述べた。
「……とは言え、神聖な墓地で戦うのは、気が進みませんわね。今回に限っては、致し方ありませんけれど……。なるべく、お墓を壊さないように気を付けながら戦いましょう」
ダリア・レプシウスが複雑な気持ちになりながら、仲間達に声を掛けた。
こうしている間も、コボルト達によって墓地が荒らされ、穢されている。
そのため、ここで迷う訳にはいかなかった。
「そうだね。これ以上、お墓を荒らされるのも気分が良くないし、なるべく墓地の中から離して外周で戦うようにしたいね」
トゥーリが納得した様子で、レプシウスに答えを返した。
しかし、コボルト達がいるのは、墓地の真ん中。
故に、墓地の外周まで誘導するのは、骨の折れる作業であった。
「それでは、皆さん! 準備体操は済みましたか? 私はOKです!」
それでも、やるだけの価値があったため、ユークリアがヤル気満々な様子で、ダマスカス鋼の戦槌をブンブンと振り回した。
「私はダリア・レプシウス、リーンエス王国騎士見習いです! 民の平穏を脅かす貴方達を見逃すわけには参りません! いますぐ村から立ち去るか、剣の錆となるか、選びなさい!」
次の瞬間、レプシウスが正々堂々とコボルト達の前に立ち、注意を引くようにして自ら名乗りを上げた。
それに合わせて、キーゼがレゾナンス・オブ・ヴァローを発動させ、声と共にエーテルを解き放ち、仲間達を淡い光に包んで、身体能力を向上させた。
「ギャギャッヌ」
だが、コボルト達には言葉が通じておらず、返事の代わりに鋭い敵意を向けられた。
コハクが疾風足で瞬間的に加速し、先手必勝でエーテルを体内に巡らせ反応速度を高め、ダマスカス鋼の細剣でコボルトの首を刎ねた。
(す、凄い……)
その姿に心を奪われながら、ヒロがコハクの動きを真似、コボルト達に攻撃を仕掛けていった。
しかし、コハクと違って動きに無駄があるため、思うように戦う事が出来なかった。
「……」
そんな空気を察したのか、コハクがサポートするようにして、ヒロの死角を守るようにしながら、コボルト達を牽制した。
「この村の平和は……俺が守る!」
すぐさま、アルベルトが、紫電一閃と戦士の一断を使い、瞬時にコボルトの首を刎ねた。
そのため、コボルトは悲鳴を上げる余裕すらなく、主を失った身体を眺める事しか出来なくなった。
「さあ、コボルトさん達を楽にして差し上げましょう! これぞ、究極の癒しです!」
続いて、ユークリアがダマスカス鋼の戦槌を振り回し、コボルト達を薙ぎ払った。
「ギャッギャッ!」
その攻撃から逃れるようにして、コボルト達が墓石の後ろに隠れた。
(……なんと罰当たりな)
それを目の当たりにしたエルナが、嫌悪感をあらわにしながら、墓石の傍にいたコボルトを狙って、ラピッドショットで目にも止まらぬ速さで二連射した。
「ギャッ!」
その一撃を左肩に喰らったコボルトが、倒れ込むようにして墓石を破壊した。
「いまお前が壊したそのお墓は、村の人達にとって大切な物です! 絶対に許しません!」
その事に怒りを覚えたレプシウスが、コボルトめがけて、鋼の大剣を振り下ろした。
それと同時に、コボルトが錆びた剣を構え、鋼の大剣を弾き返そうとした。
しかし、錆びた剣が途中で悲鳴を上げて、ポッキリと折れ、ふたつの意味で痛い目に遭った。
(……ここで外す訳にはいきませんわね)
その間に、エレノアが墓石に当たらないように気を付けながら、精密射撃で精神を研ぎ澄ませて一射を放って、コボルトの右肩を貫いた。
「ほら……チーズとかいい匂い、するよ?」
そんな中、トゥーリが輝足で自分の足を淡い透明な光で包み、反応速度を増加させ、コボルト達の注意を引くようにして、飛んだり、跳ねたりしながら、墓地から遠ざかっていった。
それに引き寄せられるようにして、コボルト達が錆びた剣を握り締め、干し肉やチーズのニオイに誘われるようにして、フラフラとトゥーリの後を追った。
その間に、キーゼが堅甲で火浣布の長衣を淡い透明な光で包み、防御性能を強化した。
その間、エレノアを超視力を駆使して、墓石の後ろに隠れたまま、戦いをやり過ごそうとしていたコボルトを見つけた。
「……不届きですわね。墓石はその下で眠る遺族が安らかに眠れる様にと願う在命の親族の為のもの。けっして賊が身を伏せる場所ではありませんのに……」
エレノアが嫌悪感をあらわにしながら、エーテルリンクを結んだフェルズ(ペットの狼)に合図を送った。
それと同時に、フェルズが吠え声と共にコボルトを追い立て、墓石から遠ざけた。
続いて、コハクがタナトスバイトで練りに練ったエーテルをダマスカス鋼の細剣に籠め、死角から必殺の暗殺撃を繰り出した。
それに合わせてヒロが身体全体で振るようにして、ダブルエッジを繰り出し、コボルトの身体を切り裂いた。
(もう二度と人里に近づかないようにするために、ある程度痛い目に遭わせた方がいいかな)
トゥーリがコボルト達の注意を引きつつ、魔矢で鋼の牧杖の先端から光の矢を飛ばした。
次の瞬間、光の矢がコボルトの脇腹を貫き、真っ赤な血が地面を染めた。
「わからせストライク!!」
一方、ユークリアがマイティストライクを仕掛け、先祖代々伝わる万能言語をコボルトに叩き込んだ。
それに合わせて、アルベルトがダマスカス鋼の大太刀で鋭撃を仕掛け、錆びた剣みを振り上げて襲い掛かってきたコボルトの身体を切り裂き、キーゼがエーテルアローで大樹の長杖の先端から光の矢を飛ばし、コボルトの身体を貫いた。
その間に、コハクがヒロに戦い方をレクチャーしつつ、すぐに駆け寄る事が出来る場所で見守った。
その気持ちに応えるようにして、ヒロが先手必勝や疾風足を駆使して、コボルト達へ攻撃を仕掛けていった。
コハクのサポートもあってか、次第に無駄な動きが減っていき、鋼の短剣をコボルトに突き刺し、息の根を止めた。
「ギャギャ!」
その事に危機感を覚えたコボルト達が、我が身可愛さから逃げ出そうとした。
「……もう降参ですか?」
すぐさま、レプシウスがシーザーロアで挑発的な言葉と共にエーテルを叩きつけ、コボルトの怒りを呼び起こした。
「……逃がしはしません。また別の場所で暴れられても困りますからね……!」
その間に、エレノアがスティンガーでダマスカス鋼の矢にエーテル光を集中させ、破壊力と速度を増大させた一射を放ち、逃亡を図ろうとしていたコボルトの背中を貫いた。
「……ここで逃がすと思ったか」
それと同時に、アルベルトがチャージングで瞬間的に加速し、コボルト達の行く手を阻んだ。
それでも、コボルト達が最後の悪あがきとばかりに、狂ったように錆びた剣を振り回した。
「今です、エルナ砲発射です!」
それと同時に、ユークリアが輝刃2でダマスカス鋼の魔弓を淡い透明な光で包み、攻撃性能を強化した。
「エルナ砲! いっきまーす!
その気持ちに応えるようにして、エルナが炸光矢でエーテルを籠めた光の矢弾を放ち、無数の光破片を撒き散らして、コボルト達を一掃した。
「……終わったか。それじゃ、神父さんを丁重に弔おうか……」
アルベルトがダマスカス鋼の大太刀についた血を払い、神父の亡骸に駆け寄った。
神父の亡骸自体は、戦闘の途中に見つけたものの、運び出す事が出来ないほど、肉体の損傷が酷かった。
(コボルトを打ち倒し、村への絶望は払いましたよ)
エレノアが神父の亡骸に語り掛けるようにして、ゆっくりと両手を合わせた。
コハクも亡くなった者の弔いと、墓場に眠っていた死者が再び眠れるよう静かに祈りを捧げた。
いつの間にか、神父の亡骸のまわりには村人達が集まっており、お詫びの言葉を言いながら、涙を流しながら両手を合わせていた。
「何とかコボルト達を倒す事が出来ましたが、墓地を元通りにするまで、しばらく時間が掛かりそうですね」
キーゼが先程まで戦場となっていた墓地を見回し、深い溜息を漏らした。
なるべく墓石を傷つけないようにして、戦っていたつもりだが、それ以前にコボルト達が荒らしていたため、墓地を復旧させるのには、かなり時間が掛かりそうだ。
一応、冒険者ギルドを通じて、新たな神父を派遣する事が出来るかも知れないが、その辺りは村人達の気持ち次第と言った感じであった。
「二度とこんな悲劇を繰り返さないためにも、いまからマッスルトレーニングです」
そう言ってユークリアがヤル気満々な様子で、村人達を引き連れ、広場に向かうのだった。
「神父さんを殺して、お墓も荒らして……その上、畑や村の人を襲うなんて! これは、さすがに……許せないね!」
トゥーリは仲間達と共に、リーンエス王国の辺境にある村にやってきた。
コボルト達は村の外れには墓地におり、まるで自分の家の如く、くつろいでいるようだ。
そのコボルト達を追い払うため、この村に住む神父が単身戦いを挑んだようだが、返り討ちに遭ってしまったようである。
それが原因で、村人達だけでは勝ち目がなくなってしまったため、冒険者ギルドに依頼する事になったらしい。
「ある意味、安全保障管理を一任していた事による弊害ですね、これは……」
キーゼが複雑な気持ちになりながら、五感を総動員して頭上から周囲を俯瞰し、村の状況を把握した。
現在、コボルト達は墓地を根城にしているものの、既に食糧が尽きているため、いつ村を襲ってもおかしくないような状況にあるようだ。
「神父様がお亡くなりになったのは、とても悲しい事ですが……。神父様の犠牲を無駄にしないためにも、彼がなし得なかった事を代わりに果たしましょうか」
エレノア・D・グリフィスが警戒した様子で物陰に隠れつつ、少しずつ墓地に近づいていった。
「今、私に神父さんの魂が憑依しました! 唐突に! 自分達の命は自分で守らんかいウオアァァ――!」
その途端、ユークリア・フィナンシェが、何かに取り憑かれた様子で奇声を上げた。
(……えっ? 神父さんって意外と熱血系? で、でも、確か……村の人達の話を聞く限りでは……)
エルナ・クルプファルツが、気まずい様子で汗を流した。
事前に聞いた話では、亡くなった神父は、常に笑顔を絶やさない爽やか系だった……はず。
……という事は、誰?
一体、誰?
その答えに辿り着いた瞬間、エルナが危機感を覚え、ユークリアを激しく揺さぶった。
そのおかげで、何とか元に戻ったが、あのまま放っておいたら、どうなっていたのか分からないほど、危険な感じになっていた。
「理由は何であれ、コボルト達は許せない……!」
そんな中、コハクが今にも大噴火しそうな怒りを抑えつつ、あえて冷静になろうとした。
それでも、口から漏れている言葉には、怒りが宿っており、まるで刃物のようだった。
(……今日のコハクさんを止める事は出来ないようですね)
そんな空気を察したエルナが、あえて何も語らなかった。
「コボルト共め。性懲りもなく……」
一方、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトは墓地でくつろぐコボルト達を見つけ、苛立ちを隠せない様子で拳をギュッと握り締めた。
「神父さんの命を奪ってしまった以上、コボルトさんと話し合いで解決する余地はなさそうですね……!」
エルナが物陰に隠れつつ、コボルト達の様子を窺った。
コボルト達はだいぶ苛立っているらしく、何やらギャアギャアと騒いでいた。
「確かに、言葉が通じない以上、実力行使しかないねー。村の人から話を聞く限り、例え追い払ったとしても、いつか戻ってくるだろうし……。出来るだけ数を減らして、可能であれば掃討するのがベストだね」
ヒロ・テスタロッサも同じように物陰に隠れつつ、冷静に自分の考えを述べた。
「……とは言え、神聖な墓地で戦うのは、気が進みませんわね。今回に限っては、致し方ありませんけれど……。なるべく、お墓を壊さないように気を付けながら戦いましょう」
ダリア・レプシウスが複雑な気持ちになりながら、仲間達に声を掛けた。
こうしている間も、コボルト達によって墓地が荒らされ、穢されている。
そのため、ここで迷う訳にはいかなかった。
「そうだね。これ以上、お墓を荒らされるのも気分が良くないし、なるべく墓地の中から離して外周で戦うようにしたいね」
トゥーリが納得した様子で、レプシウスに答えを返した。
しかし、コボルト達がいるのは、墓地の真ん中。
故に、墓地の外周まで誘導するのは、骨の折れる作業であった。
「それでは、皆さん! 準備体操は済みましたか? 私はOKです!」
それでも、やるだけの価値があったため、ユークリアがヤル気満々な様子で、ダマスカス鋼の戦槌をブンブンと振り回した。
「私はダリア・レプシウス、リーンエス王国騎士見習いです! 民の平穏を脅かす貴方達を見逃すわけには参りません! いますぐ村から立ち去るか、剣の錆となるか、選びなさい!」
次の瞬間、レプシウスが正々堂々とコボルト達の前に立ち、注意を引くようにして自ら名乗りを上げた。
それに合わせて、キーゼがレゾナンス・オブ・ヴァローを発動させ、声と共にエーテルを解き放ち、仲間達を淡い光に包んで、身体能力を向上させた。
「ギャギャッヌ」
だが、コボルト達には言葉が通じておらず、返事の代わりに鋭い敵意を向けられた。
コハクが疾風足で瞬間的に加速し、先手必勝でエーテルを体内に巡らせ反応速度を高め、ダマスカス鋼の細剣でコボルトの首を刎ねた。
(す、凄い……)
その姿に心を奪われながら、ヒロがコハクの動きを真似、コボルト達に攻撃を仕掛けていった。
しかし、コハクと違って動きに無駄があるため、思うように戦う事が出来なかった。
「……」
そんな空気を察したのか、コハクがサポートするようにして、ヒロの死角を守るようにしながら、コボルト達を牽制した。
「この村の平和は……俺が守る!」
すぐさま、アルベルトが、紫電一閃と戦士の一断を使い、瞬時にコボルトの首を刎ねた。
そのため、コボルトは悲鳴を上げる余裕すらなく、主を失った身体を眺める事しか出来なくなった。
「さあ、コボルトさん達を楽にして差し上げましょう! これぞ、究極の癒しです!」
続いて、ユークリアがダマスカス鋼の戦槌を振り回し、コボルト達を薙ぎ払った。
「ギャッギャッ!」
その攻撃から逃れるようにして、コボルト達が墓石の後ろに隠れた。
(……なんと罰当たりな)
それを目の当たりにしたエルナが、嫌悪感をあらわにしながら、墓石の傍にいたコボルトを狙って、ラピッドショットで目にも止まらぬ速さで二連射した。
「ギャッ!」
その一撃を左肩に喰らったコボルトが、倒れ込むようにして墓石を破壊した。
「いまお前が壊したそのお墓は、村の人達にとって大切な物です! 絶対に許しません!」
その事に怒りを覚えたレプシウスが、コボルトめがけて、鋼の大剣を振り下ろした。
それと同時に、コボルトが錆びた剣を構え、鋼の大剣を弾き返そうとした。
しかし、錆びた剣が途中で悲鳴を上げて、ポッキリと折れ、ふたつの意味で痛い目に遭った。
(……ここで外す訳にはいきませんわね)
その間に、エレノアが墓石に当たらないように気を付けながら、精密射撃で精神を研ぎ澄ませて一射を放って、コボルトの右肩を貫いた。
「ほら……チーズとかいい匂い、するよ?」
そんな中、トゥーリが輝足で自分の足を淡い透明な光で包み、反応速度を増加させ、コボルト達の注意を引くようにして、飛んだり、跳ねたりしながら、墓地から遠ざかっていった。
それに引き寄せられるようにして、コボルト達が錆びた剣を握り締め、干し肉やチーズのニオイに誘われるようにして、フラフラとトゥーリの後を追った。
その間に、キーゼが堅甲で火浣布の長衣を淡い透明な光で包み、防御性能を強化した。
その間、エレノアを超視力を駆使して、墓石の後ろに隠れたまま、戦いをやり過ごそうとしていたコボルトを見つけた。
「……不届きですわね。墓石はその下で眠る遺族が安らかに眠れる様にと願う在命の親族の為のもの。けっして賊が身を伏せる場所ではありませんのに……」
エレノアが嫌悪感をあらわにしながら、エーテルリンクを結んだフェルズ(ペットの狼)に合図を送った。
それと同時に、フェルズが吠え声と共にコボルトを追い立て、墓石から遠ざけた。
続いて、コハクがタナトスバイトで練りに練ったエーテルをダマスカス鋼の細剣に籠め、死角から必殺の暗殺撃を繰り出した。
それに合わせてヒロが身体全体で振るようにして、ダブルエッジを繰り出し、コボルトの身体を切り裂いた。
(もう二度と人里に近づかないようにするために、ある程度痛い目に遭わせた方がいいかな)
トゥーリがコボルト達の注意を引きつつ、魔矢で鋼の牧杖の先端から光の矢を飛ばした。
次の瞬間、光の矢がコボルトの脇腹を貫き、真っ赤な血が地面を染めた。
「わからせストライク!!」
一方、ユークリアがマイティストライクを仕掛け、先祖代々伝わる万能言語をコボルトに叩き込んだ。
それに合わせて、アルベルトがダマスカス鋼の大太刀で鋭撃を仕掛け、錆びた剣みを振り上げて襲い掛かってきたコボルトの身体を切り裂き、キーゼがエーテルアローで大樹の長杖の先端から光の矢を飛ばし、コボルトの身体を貫いた。
その間に、コハクがヒロに戦い方をレクチャーしつつ、すぐに駆け寄る事が出来る場所で見守った。
その気持ちに応えるようにして、ヒロが先手必勝や疾風足を駆使して、コボルト達へ攻撃を仕掛けていった。
コハクのサポートもあってか、次第に無駄な動きが減っていき、鋼の短剣をコボルトに突き刺し、息の根を止めた。
「ギャギャ!」
その事に危機感を覚えたコボルト達が、我が身可愛さから逃げ出そうとした。
「……もう降参ですか?」
すぐさま、レプシウスがシーザーロアで挑発的な言葉と共にエーテルを叩きつけ、コボルトの怒りを呼び起こした。
「……逃がしはしません。また別の場所で暴れられても困りますからね……!」
その間に、エレノアがスティンガーでダマスカス鋼の矢にエーテル光を集中させ、破壊力と速度を増大させた一射を放ち、逃亡を図ろうとしていたコボルトの背中を貫いた。
「……ここで逃がすと思ったか」
それと同時に、アルベルトがチャージングで瞬間的に加速し、コボルト達の行く手を阻んだ。
それでも、コボルト達が最後の悪あがきとばかりに、狂ったように錆びた剣を振り回した。
「今です、エルナ砲発射です!」
それと同時に、ユークリアが輝刃2でダマスカス鋼の魔弓を淡い透明な光で包み、攻撃性能を強化した。
「エルナ砲! いっきまーす!
その気持ちに応えるようにして、エルナが炸光矢でエーテルを籠めた光の矢弾を放ち、無数の光破片を撒き散らして、コボルト達を一掃した。
「……終わったか。それじゃ、神父さんを丁重に弔おうか……」
アルベルトがダマスカス鋼の大太刀についた血を払い、神父の亡骸に駆け寄った。
神父の亡骸自体は、戦闘の途中に見つけたものの、運び出す事が出来ないほど、肉体の損傷が酷かった。
(コボルトを打ち倒し、村への絶望は払いましたよ)
エレノアが神父の亡骸に語り掛けるようにして、ゆっくりと両手を合わせた。
コハクも亡くなった者の弔いと、墓場に眠っていた死者が再び眠れるよう静かに祈りを捧げた。
いつの間にか、神父の亡骸のまわりには村人達が集まっており、お詫びの言葉を言いながら、涙を流しながら両手を合わせていた。
「何とかコボルト達を倒す事が出来ましたが、墓地を元通りにするまで、しばらく時間が掛かりそうですね」
キーゼが先程まで戦場となっていた墓地を見回し、深い溜息を漏らした。
なるべく墓石を傷つけないようにして、戦っていたつもりだが、それ以前にコボルト達が荒らしていたため、墓地を復旧させるのには、かなり時間が掛かりそうだ。
一応、冒険者ギルドを通じて、新たな神父を派遣する事が出来るかも知れないが、その辺りは村人達の気持ち次第と言った感じであった。
「二度とこんな悲劇を繰り返さないためにも、いまからマッスルトレーニングです」
そう言ってユークリアがヤル気満々な様子で、村人達を引き連れ、広場に向かうのだった。
マスターコメント
基本的には、プレイングが分かりやすく、描写がしやすく、行動が的確だったものから、印象に残ったモノ等を基準にしてMVPを選んでいます。
今回はかなり候補が多かったため、悩みました。
ショートシナリオ普通 報酬:標準9 / 4〜10人
2021年02月10日 14時06分37秒 公開
大成功
相談掲示板
シーフのヒロでっす! そちらのキーゼさんに誘われて来ました♪ よっろしくー!
キーゼと申します、お見知りおきを また寄りにもよって墓場を占拠ですか…こう、墓標とか使ってきそうですね。 ひとまず現状だと、前に出て耐えたほうがよさそうですかね
うおーっ! 私、参加です! 今、私に神父さんの魂が憑依しました! 唐突に! 自分達の命は自分で守らんかいウオォォーー! との事です!
シューターのエレノアといいます。 宜しくお願いいたしますね。
エルヴンシューターのエルナです!よろしくお願いしますね! すでに神父様の命を奪ってしまっているのなら、コボルトさん達に交渉の余地はないですね……! そして以外にも熱血な神父さんだったのでしょうか……! 私は弓での魔法攻撃で範囲攻撃をしてみたり、前に出る方が囲まれないように敵を選んで倒していくなどしようかなと思います!
ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 神父さんの無念を晴らす為にコボルトを殲滅するぜ!
シーフコハクよろしく。 コボルト、抹殺、デストロイ
ウォーリアのダリア・レプシウスと申します。 よろしくお願いいたします。 コボルトに占拠された村外れの墓地に赴いて、コボルトを討伐する感じになりますか。 私は前衛で頑張らさせていただきますね。
トゥーリだよ、よろしくね! 向こうの方が数が多いし、シューターさんを守るように動こうかな!