宝石燈のダウゥ・アル・ヌグーム

柚烏

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シナリオID:530

オープニング

 ――鮮やかな色彩を帯びたとりどりの光が、複雑な幾何学模様を描きながら闇を照らす。
 あるものは優しく、あるものは艶やかに。天井から吊り下げられた洋燈は、ひとつひとつの形も異なっており――卵のようにまぁるい碧洋燈の隣では、透明な雫を思わせる上品な洋燈が、真鍮の台座を荘厳に浮かび上がらせている。
 その千変万化の光景は、喩えるなら宝石だろうか。オパールにクリスタル――透明な輝きを以て天に座すコランダムの近くで、光沢を持つ真珠が闇の澱を照らし、焔と踊るフローライトは、弾けるようにしてその儚い光を散らしていく。
 色硝子が生むそのアラベスクは、砂漠の民が見た幻想だったのかも知れない。色鮮やかな草花や果ての海、深い森に羽ばたく極彩色の鳥――イグノ砂漠を越え、サウゼル大樹海を経由して、やがてその幻想の光は都市同盟に辿り着こうとしていた。
 ――熱砂舞う、異郷のにおいを纏いながら。
 しかし、澱より這い出し魔物の群れが、その輝きを呑み込もうとしていたのだ。

 エラトゥーン都市同盟の一都市、リブラネスタ――冒険者ギルドの本拠があるその地で、ひとつの依頼が冒険者たちの元へと持ち込まれた。
「……交易路の付近で、どうもクリーパーの発生が確認されたようです。都市部にも近く、放っておいたら被害も大きくなりますし、早めに対処して欲しいのだとか」
 担当のギルド職員が説明してくれたところによると、敵は小型のクリーパーが5体。黒い靄のような肉体から伸ばした、異形の剛腕で襲い掛かってくると思われる。
「大きさと数からして、授恵者の皆さんであれば後れを取ることは無いと思いますが……一般人には大きな脅威となりますので、確実に倒してください」
 ――クリーパー。世界の礎となるエーテルを喰らう異界の魔物は、存在そのものが世界を脅かすのだ。特にこの世界に現れたばかりのものは、飢えのため非常に攻撃的となる。
「ちなみに……その交易路を近々、王国のキャラバンが通るそうです。砂漠の民の工芸品、伝統的なランプなんかを運んでやって来るみたいで、無事に到着したら広場でバザールを開催するそうですよ」
 脅威となるクリーパーを速やかに排除出来れば、その後はランプ市を見て回るのもいいだろう。隊商のひとびとも感謝して、ちょっぴり商品をおまけしてくれるかも知れないし――砂漠の民の民族衣装を身に纏い、砂漠の幻想を肌で感じてみるのも悪くはない。
「ランプ……と言っても、此方のものとはちょっと変わっていて。真鍮のシェードにモザイク模様の硝子、色んな形をしたランプがずらっと吊り下げられている様子は、万華鏡を覗き込んだみたいでとても綺麗だと言われているんです」
 ――そんなぶ厚い天幕のなか、闇に浮かぶ色とりどりのランプに魅せられて、ハーブのお茶とアロマでゆったり寛ぐも良し。大地に息づく神々の祝福へ、そっと想いを馳せるのも良し。
「……緑と空と、遥かな海と。長い旅路を経て辿り着いた幻想の光を、どうか皆さんも楽しんでくださいね」

解説

●目的 クリーパー5体を全て撃破し、のんびりランプ市を楽しむ。 ●クリーパー(小型)×5 焔を思わせる黒い靄のような胴体から、巨大な腕が伸びた異形の魔物です。この世界に現れて間もないため、周囲のものに手当たり次第に襲い掛かります。 ・鷲掴み(物理近接・単体・威力高め) ・鉤爪を振り回す(物理近接・範囲・【流血】) ・焔を放つ(魔法射撃・単体・【回避低下】) ●戦場など リブラネスタに続く交易路の、拓けた街道です。特に遮蔽物などは無く、その分お互いの存在を察知しやすくなっています。近々隊商が通過するようですが、事前の対処などは不要です(敵を全滅させたら、無事に都市まで辿り着けます) ●戦闘後のおまけ 戦いが無事に終われば、広場で開催されるランプ市にちょびっと遊びに行くことが出来ます。砂漠の民の、異国情緒あふれるランプに囲まれて一息ついたり、買い物を楽しんだりお好みでどうぞ。隊商さんが踊り子などの華やかな民族衣装も貸し出してくれたりもします(アイテム発行はありません) ※ファンタジー世界なので厳密には違いますが、トルコのランプに近いものをイメージしています。

マスターより

 どうも初めまして、この度『アニエピカ』でマスターとして活動させて頂くことになりました、柚烏と申します。  初めてのシナリオは魔物退治をしつつ、おまけでランプ市を巡ってみようと言うお楽しみ要素多めのものとなります。初心者さんでも、キャラクターに応じた行動をきちっととれば、問題なく敵を倒せるくらいの難易度を想定していますので、ぜひ自分ならではの行動をプレイングに詰め込んでみて下さい。  異国情緒あふれる、ちょっぴり幻想的な雰囲気のリプレイに出来たらと思っております。それではよろしくお願いします。

リプレイ

●砂漠光
 荒涼とした砂漠に、緑豊かな大森林――数多の神々が創りたもうた世界を旅して、自由の風吹く都市同盟へ辿り着こうとしている光があった。
「多くの方が、キャラバンが訪れるのを楽しみにしていると思いますし――」
 大陸の天秤と謳われるそこで、いま最も発展を遂げているのがリブラネスタだろう。コルネリウス・アーラのような冒険者たちの集う拠点では、常に多くの人と物資が行き交って、都市に更なる彩りを加えていく。
「それに、私もランプをとても見てみたいんです」
「ええ、宝石みたいにキラキラ輝いているなんて、とっても素敵! どんな子たちと出会えるのかしら」
 今回旅をしてくるのは、砂漠の民の隊商だと言う話だが――彼らの運ぶランプには、アンネエルカも興味津々と言った様子。くるりと巻いた彼女の羊角に散った、星屑模様の光みたいに、きっとランプ達もうつくしく砂漠の夜を照らしてきたのだろう。そんな物語を思えば、エミリア・シバだって、楽観的な笑みを引き締めてびしっと決意せずにはいられないのだ。
「……おねえさん今日はちょっと、普段よりさらにお仕事中の真面目度アップさせるわね」
 夜空を凝縮したような、深い紫の髪をふわぁっと揺らし、革鎧に身を包んだエミリアは、凛々しい冒険者そのものだったのだけれど。
「だって……戦いの後に行けるランプ市が、非常におねえさん好みなの! 少しでも、回れる時間を増やしたいの!」
 ――依頼後のお楽しみに心惹かれてしまうのは、ちょっぴり大目に見て頂きたい。それでも、彼女の想いはスィーリーンにも分かるらしく、薄いヴェール越しに覗く橙の瞳は優しく細められていた。
「それにしても、交易路の近くにクリーパーだなんて……危険極まりありません」
「どうやら小型らしいけど、油断せずにいかないとね」
 周囲を確認するヴィナスも、市巡りを楽しむ為にはしっかり敵を倒さなければと頷いて、うっとりと見惚れるような微笑を浮かべている。
「出てきたばかりというのが厄介ですね。飢えの為に見境がない……人々を襲う害獣といったところですが、確実にどうにかしないといけない」
 一方の、ひょろりとした体躯に、神官服を纏う獣人はダルタニアで――風に混じる異質な臭いを感じ取ったのか、彼は祭刀に手をかけたまま、草原の向こうをじっと睨みつけているようだった。
「交易路の治安維持、大変なお仕事ですね。今回のキャラバンに限らず、色んな人が通るでしょうから――」
 雪を思わせる白の髪が舞う中で、意思の強そうなスノードロップの瞳が揺れる。自分が授恵者として、力を授かったこと――きっとそれは、神の思し召しであるから迷いはしない。
「しっかり倒しましょう!」
「まぁね、大きな被害が出る前に叩いてしまわないと」
 きっぱりと告げたスノードロップを、何だか眩しそうな目で見つめているのはセヴラン・クアルトだ。尖った耳に秀麗な美貌――神秘的なエルフたる彼だが、纏う空気は軽やかで、このエラトゥーンの地にも上手く馴染んでいるように見えた。
「それに……異国から来た旅人の歩みを止めるのは、無粋だと思わないかい?」
「――見つけた。数は、5体だね」
 遠くから聞こえてくる、不気味な唸り声にも飄々とした素振りで応えながら。魔弓の弦をぴんと弾くセヴランの隣で、ヴィナスやスィーリーンも超視覚を用いて、遠方の敵の動きを察知していく。
 やはり極度の飢えの所為か、クリーパーの群れは非常に好戦的になっているようだ。それなら此方が上手く引きつけることで、街道への被害も減らせるだろう。
「必ず無事に、終わらせましょう」
 長いブーツで軽やかに地を蹴って、ひとびとの笑顔を護る為にコルネリウスが駆け出していく。
 握りしめた剣の重さは、彼女が背負った想いそのもの――それを知っているから、絶対に通しはしないのだと固く誓って。

●黒焔魔
 澱より這い出しもの――この世界とは違う法則の元で生まれたクリーパーは、その姿かたちも様々だ。
「ふむ、何気に不定形の部分があって不安定な姿のようですが……」
 距離を取って敵を観察するダルタニアだが、最初から全て倒すつもりで此処へ来たのだ。見た目は気にしない方向で行くことにする。
「それでも、後れを取る訳にはいかないからね」
 直後――黒い靄を焔のように揺らして向かってくるクリーパーの元へ、一気に斬り込んでいったのはヴィナスだった。体内にエーテルを巡らせ、瞬間的な加速を得た彼はそのまま、手にした短剣に赤光を纏い敵の動きを封じていく。
(そして――離脱する)
 光の糸と化したエーテルが、クリーパーを絡め取っていく暇も惜しいとばかりに、巧みな身のこなしで距離を取って効率的に動く――シーフの強みを如何なく発揮するヴィナスだったが、一方のエミリアは考えを異にしていたらしい。
(んー、それでも今回は、ちょっと相手の攻撃が厄介なのよねぇ)
 剛腕を振り回してくるクリーパーだが、ときおり焔を放つことも忘れてはならないだろう。距離を取っても狙われてしまったら堪ったものではない。此方の回避を妨げる効果があれば、尚のことだ。
「だから……おねえさん、ぐいぐい行かせて貰うわ」
 疾風のように駆けて、細剣で魔物を貫き――すぐさま次の標的へ張りつくと、刃を振るう。息も吐かせぬ連撃を繰り出すエミリアが、敵の数を減らすべく畳み掛けていく中で、仲間たちを護る盾となるのはコルネリウスとアンネエルカだ。
「腕の攻撃が危険ですね、気をつけましょう」
「……でも、好戦的なのは好都合よ」
 鉤爪を振り回し、此方を纏めてなぎ払おうとするクリーパーの前に立ちはだかり、持ち前の装甲を活かしたコルネリウスが守りを固める。
「ほら、あなたの相手はこっちよ!」
 そして――更にそちらへ向かおうとする敵には、アンネエルカが殺気と共にエーテルを叩きつけて、上手く攻撃を分散させていくと。彼女を援護するように、後方からセヴランが撹乱射撃を行って、クリーパーの矛先を惑わせていったのだった。
「微力ながら、私もお力添えをさせて頂きます」
 後方に控えるスィーリーンも、杖の先端から氷の矢を撃ち出して、敵の動きを封じてくれている――それならば、攻めに出ても良いだろうとスノードロップが前に出た。
(輝刃を纏って……!)
 ――淡い光に包まれていく戦槌を振るい、世界を蝕む這者に裁きを。神の祝福を受けて戦うスノードロップの眼前で、クリーパーの一体が消滅していく間にも、ダルタニアは堅甲をかけて援護に回ってくれている。
「相手の攻撃が通らないのなら、何よりですが」
 鉤爪が齎す流血も厄介だが、幸い彼には解呪の力もあるのだ。一方でコルネリウスは、自身の心に定めた力を違えていたことに気づいたようだったが、それでも落ち着いて策を巡らせる。
「より有利に立ち回るのなら――これで。お相手は此方ですよ」
 ――後衛を狙い、焔を放とうとしているクリーパーを焚きつけ、狙いを此方へ向けさせる。光を呑み込もうと黒焔が一気に迫ったが、すかさずスノードロップが癒しの波動を生み出してくれた。
「位置取りはこれで問題ないですね」
「ありがと! 前に出て押さえてるのに、簡単に倒されてしまうわけにはいかないもの」
 光輝くエーテルが、周囲の仲間たちの傷を纏めて癒していく中で、動いたのはアンネエルカだった。チームワークや戦術で優位に戦えていることを実感しつつ、巨大な光塊を纏った彼女の槍が、クリーパーを纏めてなぎ払っていく。
「味方を巻き込まずに攻撃が出来るのって……こういう時ありがたいわよね!」
 更に、スィーリーンの生み出すメテオライトの光弾が雨霰の如く降り注ぐと――狙い澄ましたセヴランの魔矢が、敵の腕ごとその命を奪い去っていった。
(助かるわぁ、……あとは)
 数を減らしたクリーパーも大分動きが鈍っていて、これなら上手くあしらうことが出来そうだ。エーテルの波を読み、神の視点で戦場を俯瞰するエミリアが、舞いと共に剣を振るい――其処で、入れ替わるようにして前に出たのはヴィナスだった。
(終わり、だ)
 ――緑の瞳に、冷徹な光を宿しながら。加速した肉体の振るう刃がクリーパーの命を刈り取っていく中で、ダルタニアは最後まで気を緩めずにいたようだ。
「……捨て身で来ますか」
「でも――残念ね」
 最後の一体が此方へ向かってくるのを捉え、更なる堅甲の加護を与えてくれたダルタニアに頷き、大きく得物を掲げたアンネエルカが不敵に笑う。
「我慢比べなら、私の勝ちよ!」
「……我が神よ、平穏を乱す敵を成敗する力をお貸しください!」
 そして――此方を鷲掴みにしようとした敵を、見事に彼女が押し止めた直後。スノードロップの祈りを受けて輝く戦槌が、瞬く間にクリーパーを塵に変えていったのだった。

●洋燈市
 戦いを終えて、皆の傷をざっと確認したダルタニアが簡単に治療を済ませると――一行はそのまま隊商の無事を見届けてから、ランプ市で賑わう広場へと向かう。
「わぁ……! すごいわ、すごいわ……!」
 いつもの見慣れた冒険者街が、極彩色のランプに彩られていく光景に、アンネエルカはときめきを隠せない。ふわりと鼻をくすぐるスパイシーな香りは、砂漠からやって来た香辛料やハーブ――それに、お香のものも混ざっているだろうか。
「キラキラがいっぱいで、どうしましょう! どこから見たらいいかわからないわ!」
 宝石みたいに輝くランプ達に、早速こころ奪われてしまったアンネエルカだったが、旅慣れた様子のセヴランが「一緒に覗いて行かないかい」と助け船を出してくれた。
「馴染みの仲間に、土産を買っても良いし。アンネさんの可愛さなら、店主の話もおまけも弾むはずだよ」
「はっはっは、お兄さんもずいぶん話が上手だねえ」
 花の如く女性を讃えていくセヴランの様子に、陽気な店主が笑って、テントの奥から可愛らしいランプを更に持ってくると――そのひとつに目を留めたスノードロップが、ふふーと微笑んで背伸びをする。
「実はちょうど、僕も寝室に置くランプとか欲しかったんですよね」
「私はね、お宿のナイトテーブルに飾りたいなって思っているのよ」
 こんなに素敵なランプに照らして貰えたら、夜だって寂しくないわと微笑みつつ。アンネエルカが手に取ったのは、黄色い月をモチーフにしたもので。
「あとは、これと……私の分も買っておきたいな」
 そうして友達の姿を思い浮かべながら、鮮やかに色づく赤い花のランプを選んだあと――買い物に悩んでいる様子のスノードロップと一緒に、彼女は心行くまで自分用のランプを探すことにしたのだった。
「正直、良し悪しはわからないので……意見を貰えると助かります」
「私はかわいい感じのものが好きだけど、寝室に置くなら落ち着いた雰囲気のものが良いかしら?」
「……あ、ならお勧めを見立ててくれるかな。例えば僕と、あちらに居るお嬢さんとでは違うだろう?」
 小ぶりなランプを探しているのだと言うセヴランも、其処で会話に加わってきて――天幕の中に飾られているランプを見上げ、ちいさく息を吐く。
「これは……随分と優しい光だね」
「鉱石を加工してランプにしているのでしょうか。……あれは、待雪草の花かな」
 ――砂漠では見られぬ白い花のランプは、春告げの伝承に焦がれた誰かが、密かな思いをかたちにしたものなのかも知れない。
「ここぞという時には躊躇わず、だわ!」
 使いたい時に使うために、お金とは貯めるものなのだと――アンネエルカの言葉に背中を押されたスノードロップは、そっと待雪草のランプを手に取って、その優しい輝きを連れて帰ることにしたのだった。

●宝石夜
 夜の帳が下りてもまだ、賑やかな市は続いている。篝火の傍では異国の料理が振る舞われており、時折響いてくるウードの音色は、宵闇の向こうに砂漠の幻想を魅せてくれるかのよう。
(ランプだけでなくこの衣装も、おねえさん購入したいんだけどね)
 隊商たちから労って貰い、豪奢な民族衣装を着こなしたエミリアはと言えば、さっきから道行く人の視線を一身に集めてしまっているようだ。
 ゆったりとしたヴェールに、薄布と装飾品を幾重にも纏う姿はスィーリーンのものにも似ているが――身体のラインを際立たせたエミリアが足を動かすたび、あちこちから溜息交じりの声が聞こえてくるのには、ちょっぴり疲れが溜まってしまうと言うもの。
「それでも、うん。こういうのは一期一会だし」
 これだ、という可愛いランプに巡り合うため、ハーブティーで小休止を入れようとテントを覗いてみれば、色とりどりの光が舞ってエミリアを迎えてくれた。
「まぁ、綺麗ねぇ……!」
「モザイク模様の硝子……ここにあるものは、随分と細かい細工が施されているようですよ」
 自らも手細工を嗜むのだと言うスィーリーンが、インスピレーションを得ようとランプに手を伸ばしていく傍で、ダルタニアはゆったりとハーブの効能を確かめているらしい。
「ふむ、こちらのシナモンスティックも、団長への土産になりそうですね」
「本当、甘くて身体もあったまるわ」
 色違いの硝子が描く模様は、ひとつとして同じものは無いように見えて――それは満天の星々のなかで、自分だけの光を見つけ出すような心地がして、エミリアの胸がとくりと弾んだ。

 ――ふわり、砂塵を含んだ風がクーフィーヤを舞い上げていくと、篝火に金糸の髪がゆらゆらと照り映えた。
 頭上の星空とはまた違う、ランプの光が生み出す星月夜を楽しみながら、ヴィナスが想うのは年の離れた弟のこと。
(あの子には……こっそりも送れないな)
 この輝きを伝えたいとは思うものの、家族のしがらみを思えば、居場所を勘繰られることだけは避けたいのだ。それでも――無意識の内に商売の知識を得るべく、市を見てしまう自分に苦笑しながら、せめて楽しもうと茶葉を手に取った。
「ミント、か……じゃあこれを。ああ、値切ったりはしないよ」
 ゆっくりと広場を回るコルネリウスが、隊商のひと達とも一通り話を終えた頃――市の外れでふと、不思議な輝きを見つけたような気がして足を止めた。
「ああ……こんなに綺麗なランプは、初めて見ます」
 華が咲くように彩られたモザイク硝子に、不思議な暖かみを感じた彼女が、そぅっと伸ばした指でその輪郭をなぞると――家の灯りを見つけたような、ほっとする気持ちが広がっていく。
(花鳥園や、出張所に飾ったら素敵でしょうか……)
 沢山欲しくなってしまうけれど、暫く悩んだ彼女が手に取ったのはふたつ。青と金、橙と赤を纏ったランプは、大切な友人と自分の為に選んだものだ。
(次の機会には一緒に来られたら、もっと楽しいだろうなぁ)
 ――花と鳥が舞う、緑豊かな大地を夢みながら。砂漠を旅してきた光は、今確かにこの手の中にあるのだと頷き、瞼を閉じた。

マスターコメント

どきどきする戦いと、ちょっぴりロマンチックなランプ市のひと時を楽しんで頂けたのなら幸いです。 この度は依頼へのご参加、どうもありがとうございました! ……トルコランプ、とても素敵ですよね……!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2021年02月08日 11時12分05秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. コルネリウス・アーラ

    ウォーリアのコルネリウスです。よろしくおねがいしますね。 クリーパーの鉤爪による【流血】と、鷲掴みに注意したいです。こちらからBS付与を行うのも良いかもしれません。 5体居るとのことですが、分担するか各個撃破していくかなども決めたいですね。

  2. スィーリーン

    キャスターのスィーリーンと申します。 よろしくお願いします。 後衛から魔法による攻撃と移動阻害・回避阻害のBS付与を考えています。

  3. ヴィナス

    シーフのヴィナス。よろしく。 遮蔽物がないみたいだし、【回避低下】後に【流血】や鷲掴みはご遠慮したいね。 命中低下のBS付与できたらいいなーと準備しようかなと思ってる。 まずは挨拶まで。

  4. セヴラン・クアルト

    シューターのセヴラン・クアルトだよ 依頼は久しぶりだなぁ‥宜しくね。 んーそうだねぇ ざっくり2つ位に別れて撃破していくとかどうだろう 団子になられるよりは ちょっとでもばらけて貰った方が狙いやすいかなと。 スキル構成はまだ考え中だよ。

  5. アンネエルカ

    ウォーリアのアンネエルカよ。アンネって呼んでくれても大丈夫。 ランプ市のためにも頑張るわ……!どーぞよろしくね。 そうね、二班くらいに別れても、ざっくり前衛・後衛くらいの別れ方でも大丈夫そう。 私自身は前に出て近接攻撃を受け止める防御中心に動くか、 行動阻害あたりのBSを付与していく感じの動きなら出来そうって思うわ。

  6. スノードロップ

    ヒーラーのスノードロップです、皆さんよろしくお願いします。 前に出て殴りながら回復するスタイルです! ある程度狙いを絞ってはいきたいですね。

  7. ダルタニア

    ヒーラーのダルタニアと申すものです。 皆さん、よろしくお願いいたします。 前でも後ろでも対応いたしますよ。

  8. エミリア・シバ

    遅れちゃったかしら。おねえさんはシーフのエミリアっていうわ、今回はよろしくね。 【回避低下】のある魔法攻撃とか持ってるみたいなので、 たぶん今回に限っては、おねえさんもできるだけ接近して戦う感じになりそうねぇ

  9. ダルタニア

    さて、今回は、小型クリーパー5体が相手との事で、前衛4人+ヒーラーで後衛へ通さないようにするほうが良さそうですね。 わたくしとしては、回復メインで動こうかと思いますね。 バッドステータスもありそうですね。 【流血】ってのは…回復を阻害させるBSですか。 少々のダメージなら気にしなくても良さそうなんですが、やばい時にはやばい感じですね。 一応はBS解除の持っておこうかと思いますね。

  10. コルネリウス・アーラ

    でしたら前衛・後衛に分かれて前衛が抑える形に致しますか? 私はタンカーとして動く予定です。シーザーロアで引き付けながら、【破脚砕】で行動阻害付与を行おうかと思っていますね。 体力はありますので、直ぐに倒れる事は無いと思いますけれど【流血】には注意しておきたいです。

  11. アンネエルカ

    私も前に出て抑えにかかるわね。 手当たり次第に掛かってくるような敵みたいだし…… コルネリウスさんにだけ集中しちゃわないようにシーザーロアは私も使っていきたいと思うわ。 あとは同じく【破脚砕】の行動阻害と、乱戦時でも敵を纏めて攻撃できる【闘気槌】 そのあたりを考えているわ。 回復やBS解除、とっても心強いわ。 やっぱり【流血】あたり厄介そうだものね。

  12. セヴラン・クアルト

    間があいてごめんね 僕は後衛で前衛の皆の援護になるかな 範囲よりは単体攻撃重視で BSは命中低下になると思う。ヴィナスさんのBSと被らない様に 満遍なくBSが掛かる様に注意はしておくよ。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0