コボルト達が吠える時
ゆうきつかさ
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シナリオID:527
オープニング
●リーンエス王国
「……間違いねえ、これがすべての元凶だ!」
ヒューマンの戦士ドリューがランタンで足元を照らし、禍々しい色のキノコを見下ろした。
足元は沢山のキノコで埋め尽くされており、まるで警告するようにして、大量の胞子が噴き出した。
それを吸ったドリューが苛立ちを隠せない様子で両目を血走らせ、声を荒げていた。
「でも、どうするんだ? 燃やすにしたって、時間がねぇ!」
バイスが口元をタオルで覆いながら、コボルト達の遠吠えに気づいて、警戒心をあらわにした。
「馬鹿野郎! 何をビビッていやがるんだ! こういう時に、頼りにするって言ったら、冒険者しかいねぇだろ!」
ドリューがイラついた様子で、バイスの背中を叩いた。
必要以上にキノコの胞子を吸い過ぎたせいで、ドリューの顔は真っ赤。
まるでオーガのような形相になっていた。
「な、なあ……、コ、コボルト達が、こっちに……!」
そんな中、サムロが青ざめた表情を浮かべて、ドリュー達の所に戻ってきた。
その後を追うようにして、姿を現したのは、興奮状態に陥ったコボルト達であった。
「ここは俺に任せて! 早く行け!」
すぐさま、ドリューが手斧を握り締め、コボルト達の行く手を阻んだ。
それに合わせて、サムロも涙目になりつつ、短剣をギュッと握り締めた。
「む、無理だ! おやっさんを見捨てて、逃げるなんて……」
バイスが全てを悟った様子で、その場に残ろうとした。
「馬鹿野郎! 逃げるんじゃねぇ、希望を……繋ぐんだ。だから、行け! 俺達の行動を無駄にしないためにも……」
そう言ってドリューがサムロを連れて、コボルト達に突っ込んでいった。
そして、それがドリュー達を見た最後であった。
「……お前達が希望だ!」
唐突に、そんな事を言われて、冷静な対応を出来る者はいない。
そのため、みんなキョトン顔。
中には、バイスの言葉に、胡散臭ささえ、感じる者もいた。
だが、その気持ちを吹き飛ばすほど、バイスの視線は真っ直ぐ!
今にも怪光線が発射されてもおかしくないほど、躊躇いもなく冒険者達を見つめていた。
「あ、悪ぃ。これじゃ、訳が分からねぇな!」
そんな空気を察したバイスが、申し訳なさそうに頬を掻きながら、今回の依頼を説明した。
事の始まりは、十日ほど前。
バイスの住む村に、コボルトが迷い込んだ事が、キッカケだった。
コボルトは狂ったように暴れまわり、最後にはブクブクと泡を吐いて息絶えた。
それから、森で村人達が襲われるようになり、その事に危機感を覚えたバイス達が調査に向かい、その原因を突き止めたようである。
「どうやら、森の中にあるキノコが原因のようだ。それを吸い込んだり、食べてしまったりしたせいで、コボルト達が興奮し、暴れ回っているらしい。もう少し詳しく調べようと思って、いくつかキノコを持ち帰っていたんだが、あっと言う間に萎れてボロボロ。試しに、それを口にしても、全く異常が無かったから、正直なところよく分からねぇ。まあ、キノコの正体は、どうでもいい。とにかく、燃やしてくれ。二度とこんな事が起こらないように……! そうじゃなきゃ、おやっさん達の死が無駄になっちまう!」
そう言ってバイスが祈るような表情を浮かべ、冒険者達を見つめるのであった。
「……間違いねえ、これがすべての元凶だ!」
ヒューマンの戦士ドリューがランタンで足元を照らし、禍々しい色のキノコを見下ろした。
足元は沢山のキノコで埋め尽くされており、まるで警告するようにして、大量の胞子が噴き出した。
それを吸ったドリューが苛立ちを隠せない様子で両目を血走らせ、声を荒げていた。
「でも、どうするんだ? 燃やすにしたって、時間がねぇ!」
バイスが口元をタオルで覆いながら、コボルト達の遠吠えに気づいて、警戒心をあらわにした。
「馬鹿野郎! 何をビビッていやがるんだ! こういう時に、頼りにするって言ったら、冒険者しかいねぇだろ!」
ドリューがイラついた様子で、バイスの背中を叩いた。
必要以上にキノコの胞子を吸い過ぎたせいで、ドリューの顔は真っ赤。
まるでオーガのような形相になっていた。
「な、なあ……、コ、コボルト達が、こっちに……!」
そんな中、サムロが青ざめた表情を浮かべて、ドリュー達の所に戻ってきた。
その後を追うようにして、姿を現したのは、興奮状態に陥ったコボルト達であった。
「ここは俺に任せて! 早く行け!」
すぐさま、ドリューが手斧を握り締め、コボルト達の行く手を阻んだ。
それに合わせて、サムロも涙目になりつつ、短剣をギュッと握り締めた。
「む、無理だ! おやっさんを見捨てて、逃げるなんて……」
バイスが全てを悟った様子で、その場に残ろうとした。
「馬鹿野郎! 逃げるんじゃねぇ、希望を……繋ぐんだ。だから、行け! 俺達の行動を無駄にしないためにも……」
そう言ってドリューがサムロを連れて、コボルト達に突っ込んでいった。
そして、それがドリュー達を見た最後であった。
「……お前達が希望だ!」
唐突に、そんな事を言われて、冷静な対応を出来る者はいない。
そのため、みんなキョトン顔。
中には、バイスの言葉に、胡散臭ささえ、感じる者もいた。
だが、その気持ちを吹き飛ばすほど、バイスの視線は真っ直ぐ!
今にも怪光線が発射されてもおかしくないほど、躊躇いもなく冒険者達を見つめていた。
「あ、悪ぃ。これじゃ、訳が分からねぇな!」
そんな空気を察したバイスが、申し訳なさそうに頬を掻きながら、今回の依頼を説明した。
事の始まりは、十日ほど前。
バイスの住む村に、コボルトが迷い込んだ事が、キッカケだった。
コボルトは狂ったように暴れまわり、最後にはブクブクと泡を吐いて息絶えた。
それから、森で村人達が襲われるようになり、その事に危機感を覚えたバイス達が調査に向かい、その原因を突き止めたようである。
「どうやら、森の中にあるキノコが原因のようだ。それを吸い込んだり、食べてしまったりしたせいで、コボルト達が興奮し、暴れ回っているらしい。もう少し詳しく調べようと思って、いくつかキノコを持ち帰っていたんだが、あっと言う間に萎れてボロボロ。試しに、それを口にしても、全く異常が無かったから、正直なところよく分からねぇ。まあ、キノコの正体は、どうでもいい。とにかく、燃やしてくれ。二度とこんな事が起こらないように……! そうじゃなきゃ、おやっさん達の死が無駄になっちまう!」
そう言ってバイスが祈るような表情を浮かべ、冒険者達を見つめるのであった。
解説
キノコが生えているのは、森の中。
そこには沢山のコボルト達がいます。
コボルト達を全滅させる必要はありませんが、興奮状態のまま襲い掛かってくるので注意しておきましょう。
▼基本的な情報
バイス(ヒューマン:男性)
10代後半。
熱血タイプ。
▼敵の情報
ゴボルト×20
みんな興奮状態に陥っており、傷ついても襲い掛かってくる。
すべてを倒す必要なし。
マスターより
どうも、ゆうきつかさです。
この依頼は初心者歓迎です。
そのため、難しい事を考える必要はありません。
キノコを燃やす。
ただ、それだけです。
そのため、コボルト達を全滅させる必要はありません。
ただし、コボルト達は全力で邪魔をしてきます。
またキノコを持ち帰る(意味が無いので)事は出来ません。
基本的にオープニングに書かれていない事は、都合よく解釈してかまいません。
世界観に問題が無く、他の参加者達に迷惑をかけなければ、採用していこうと思っています。
リプレイ
●リーンエス王国
「……それにしても、凄いニオイね」
ファルマ・アラーティは仲間達と共に、リーンエス王国の森にやってきた。
その森は、まるで霧の如くキノコの胞子が漂っており、少し吸い込んだだけでもイラッとしてしまうほどだった。
そのため、ファルマは鼻と口をバンダナで覆い、可能な限りキノコの胞子を吸わないようにした。
「何やら妙な作用を及ぼすようですわね。それが原因で亜人や獣が凶暴化するのであれば、安全のために捨て置けません……!」
ダリア・レプシウスも同じようにスカーフを使って、口元と鼻を覆い隠した。
それでも、危機感を覚えてしまうほど、キノコの胞子が辺りに漂ってするため、まるでつり橋を渡っているような危うさがあった。
「植物の中毒ってのは聞くが、まさか……こんなのがあるとはなぁ。……とは言え、原因を見つけられたのは儲けもんだ。被害はそいつらで最後に出来るだろうよ」
カルフ・オルヴォも口元を覆いながら、ニオイの元を辿るようにして、森の奥に進んでいった。
森の奥に進むにつれて、キノコの濃度が増しており、だんだん前が見えなくなってきた。
「ひょっとして、この森に生えていたキノコに、誰かが怪しい薬品をぶっ掛けたんじゃないのか……? どうも怪しく思えてしまうのだが……。それとも、コボルト達菌類に弱いだけなのか……」
そんな中、スヴァン=ウォルフ=ユーウェンが、不思議そうに首を傾げた。
その上、持ち帰ったキノコは、すぐに萎れてしまったのも、何やら引っかかる。
そのため、何者かによって仕組まれている気もするが、単なる気のせいである可能性も高かった。
「とにかく、キノコを燃やしちゃえばいいんだよね? そうと決まれば急がなきゃ……!」
エルシー・サリバンがタオルで鼻と口元をギューッと塞ぎ、キノコのニオイを辿るようにして奥まで進んでいった。
それと同時に、森の奥から聞こえてきたのは、コボルト達の鳴き声であった。
どうやらコボルト達はキノコのニオイを嗅いでハイになっているらしく、何処かネジが外れている感じで鳴き声を上げていた。
「リーンエス王国騎士見習いダリア・レプシウス! 邪魔するのであれば容赦はいたしません!」
すぐさま、レプシウスがコボルト達に駆け寄り、正々堂々と名乗りを上げた。
「ギャッギャッ!」
だが、コボルトにはまったく言葉が通じておらず、それに加えて正気ではない事が災いしたのか、鋭い敵意を向けられた。
「予想通りではあるんだが、みんなラリっているな。さすがに、これは厄介だぞ。その上、数が多いと来た。……面倒だが1体ずつ仕留めるしかないか」
カルフが半ば諦めた様子で、チャージングで間合いを詰め、孤立していたコボルトに迫っていった。
「確かに、数が多いわね。それなら、これで、どう?」
その事に危機感を覚えたファルマが、光縛封で祈りと共に光輝を放つ六角形の柱を作り出し、コボルト達を足止めした。
「ギャッギャッ!」
その途端、コボルト達がパニックに陥った様子で、錆びた剣をブンブンと振り回した。
「それじゃあ、キノコ排除に邪魔なコボルトは蹴散らすとするか」
その間に、スヴァンがチャージングで距離を縮め、コボルト達に攻撃を仕掛けていった。
「私があなた達の相手をしてあげましょう……!」
それに合わせて、レプシウスがシーザーロアを発動させ、言葉と共にエーテルを叩きつけ、コボルトの怒りを呼び起こした。
「ギャッギャッ!」
その挑発に乗るようにして、怒り狂ったコボルトが錆びた剣を振り上げ、レプシウスに襲い掛かってきた。
即座に、レプシウスが鉄の盾でコボルトの攻撃を防ぎ、鋼の大剣で斬りつけた。
「コボルトさん、邪魔をしないでねっ!」
その隙をつくようにして、エルシーが円を描くようにしながら、周囲の木々を貫通衝撃射で倒し、なるべく延焼しなうように準備を進めていった。
「ギャッギャッ!」
その事に気づいたコボルトが殺気立った様子で、狂ったように錆びた剣を振り回した。
「この私がいる限り、仲間はやらせません!」
それと同時に、レプシウスがチャージングでコボルト達に迫り、鋼の大剣で斬りつけた。
それに合わせて、ファルマが輝腕でカルフの腕部を淡い透明な光で包み、行動精度を向上させた。
続いて、カルフが破脚砕で肉体を蝕むエーテルを鉄の大剣に纏わせ、傍にいたコボルトを斬りつけた。
しかし、コボルトはキノコの胞子を吸って、痛みを感じにくくなっているらしく、躊躇う事なく襲い掛かってきた。
「……もう! 邪魔をしないでって言ったのに……。だったら、こっちも本気だよ。だから……恨みっこなしだからね」
そんな中、エルシーがコボルト達に語り掛けながら、貫通衝撃射で矢弾にエーテルを籠め、狙いを定めて解き放った。
その矢弾はコボルト達の足元で破裂し、指向性を持った衝撃波が放たれた。
「ギャッギャッ!」
だが、コボルト達は全身血まみれになりながら、臆する事無く攻撃を仕掛けてきた。
それだけ長時間キノコの胞子を吸ってハイになっているのか、両目が血走ってヤバイ感じになっていた。
「随分と、しぶとい奴等だな。だったら、これはどうだ!」
カルフがコボルトの足の筋を狙うようにして、強打を繰り出してぶった切った。
それでも、コボルトは足を引きずるようにしながら、狂ったように錆びた剣を振り回した。
ここまで来ると狂気以外のナニモノでもなく、恐怖すら感じてしまう程だった。
しかし、思うように体を動かす事が出来なかったのか、崩れ落ちるようにして倒れ込み、地面を這って迫ってきた。
「はあはあ……、少し疲れてきたけど……負けないもん!」
そんな中、エルシーが荒々しく息を吐きながら、ハーツベインショットを仕掛け、鉄の矢に不可視のエーテルを纏わせ、襲い掛かってきたコボルトを狙い撃った。
その拍子に、不可視のエーテルがコボルトの身体に纏わりつき、その身を蝕んでいった。
それに合わせて、ファルマが魔矢で鉄の戦槌の先端から光の矢を飛ばし、コボルトの肩を撃ち抜いた。
続いて、スヴァンとレプシウスが連携を取りつつ、それぞれ闘気槌で巨大な光塊を鋼の大剣に纏わせ、コボルト達に振り下ろした。
その攻撃を喰らっても、コボルト達はまったく怯んでおらず、全身血まみれになりながら、血に飢えたケモノの如く勢いで、錆びた剣を振り回した。
だが、肉体の方は限界に達しているのか、身体のあちこちが悲鳴を上げているようだった。
「おいっ、こいつらは任せて火を放て、いちいち相手にしてたらキリねえぞ! ……という訳で、ここからはおれが相手だ! 遠慮なく掛かってきやがれ!」
そんな空気を察したカルフが、仲間達に声を掛けながら、コボルトの前に陣取った。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!」
それと同時にコボルト達が一斉に咆哮を響かせ、次々とカルフに斬り掛かった。
コボルト達の攻撃は強力であったものの、後先考えず力任せに振り回しているため、攻撃パターンを分析する事は、それほど難しい事ではなかった。
その隙をつくようにして、スヴァンが鋼の大剣を振るって、不可視の衝撃の波を走らせ、コボルト達の攻撃していった。
「本当なら土を掘り返して、すべて根絶やしにすべきなんだけど……仕方がないわね。いま……やれるだけの事をやっておきましょう」
ファルマが複雑な気持ちになりつつ、火打箱でたいまつに火をつけ、まわりに生えていたキノコを一瞬にして炎に包んだ。
「……仕方ありませんね。なるべく延焼しないように注意しながら、キノコを燃やしてしまいましょう」
レプシウスも火打箱でランタンの燃料に火をつけ、同じようにキノコを燃やし始めた。
「グガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
その途端、コボルト達がさらにハイな状態になり、興奮した様子で鳴き声を響かせ、何の策もなしにバラバラに散らばって、森の奥に消えていった。
「ところで、このキノコ……試しに食べてみても構わんだろうか? いや、少々小腹が空いたから、ここで食べてみようと思うんだ」
そのドサクサに紛れて、スヴァンがキノコをムシャムシャと食べた。
「ヒャッハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!」
それと同時に、スヴァンの中で何かが始め、テンションが一気に急上昇ッ!
頭の中がハッピーパラダイスランドと化し、陽気な音楽と共に陽気なオトモダチが心の中でダンスを踊っていた。
こうなると理性では制御する事が出来ず、本能の赴くまま、何かに取り憑かれた様子で飛び上がり、ハイテンションで森の中に消えていった。
この様子では、キノコを食べた事で、理性のストッパーが外れてしまったのだろう。
時間が経てば我に返るような気もするが、しばらくの間はヤバそうな感じであった。
「逃げていったコボルトも気になるが……。それよりも、スヴァンは大丈夫……みなのか? いや、間違いなく、駄目だと思うが……」
それを目の当たりにしたカルフが、気まずい様子で汗を流した。
何となく無事なような気もするが、心配ではないと言ったら嘘になる。
「と、とりあえず、私達はドリューさん達の遺品を探そうか。守る為に最後まで戦った人の形見だから村に帰してあげたいからさ。そうする事がバイスさん達が生きて行く為に必要な気もしたんだよ」
そんな不安を振り払うようにして、エルシーがドリュー達の遺品を探し始めた。
スヴァンの事も気になるが、おそらく大丈夫……なはず。
例え、駄目だったとしても、キノコの毒が抜ければ、元に戻ると信じたかった。
「……そうですね。せめて遺品だけでも持ち帰りましょうか」
そう言ってレプシウスが膝をつき、一緒になってドリュー達の遺品を探した。
そして、ドリュー達の遺品を見つけたのは、キノコを燃やした火が完全に消え、スヴァンが我に返って戻って来てから、しばらく経った後だった。
「……それにしても、凄いニオイね」
ファルマ・アラーティは仲間達と共に、リーンエス王国の森にやってきた。
その森は、まるで霧の如くキノコの胞子が漂っており、少し吸い込んだだけでもイラッとしてしまうほどだった。
そのため、ファルマは鼻と口をバンダナで覆い、可能な限りキノコの胞子を吸わないようにした。
「何やら妙な作用を及ぼすようですわね。それが原因で亜人や獣が凶暴化するのであれば、安全のために捨て置けません……!」
ダリア・レプシウスも同じようにスカーフを使って、口元と鼻を覆い隠した。
それでも、危機感を覚えてしまうほど、キノコの胞子が辺りに漂ってするため、まるでつり橋を渡っているような危うさがあった。
「植物の中毒ってのは聞くが、まさか……こんなのがあるとはなぁ。……とは言え、原因を見つけられたのは儲けもんだ。被害はそいつらで最後に出来るだろうよ」
カルフ・オルヴォも口元を覆いながら、ニオイの元を辿るようにして、森の奥に進んでいった。
森の奥に進むにつれて、キノコの濃度が増しており、だんだん前が見えなくなってきた。
「ひょっとして、この森に生えていたキノコに、誰かが怪しい薬品をぶっ掛けたんじゃないのか……? どうも怪しく思えてしまうのだが……。それとも、コボルト達菌類に弱いだけなのか……」
そんな中、スヴァン=ウォルフ=ユーウェンが、不思議そうに首を傾げた。
その上、持ち帰ったキノコは、すぐに萎れてしまったのも、何やら引っかかる。
そのため、何者かによって仕組まれている気もするが、単なる気のせいである可能性も高かった。
「とにかく、キノコを燃やしちゃえばいいんだよね? そうと決まれば急がなきゃ……!」
エルシー・サリバンがタオルで鼻と口元をギューッと塞ぎ、キノコのニオイを辿るようにして奥まで進んでいった。
それと同時に、森の奥から聞こえてきたのは、コボルト達の鳴き声であった。
どうやらコボルト達はキノコのニオイを嗅いでハイになっているらしく、何処かネジが外れている感じで鳴き声を上げていた。
「リーンエス王国騎士見習いダリア・レプシウス! 邪魔するのであれば容赦はいたしません!」
すぐさま、レプシウスがコボルト達に駆け寄り、正々堂々と名乗りを上げた。
「ギャッギャッ!」
だが、コボルトにはまったく言葉が通じておらず、それに加えて正気ではない事が災いしたのか、鋭い敵意を向けられた。
「予想通りではあるんだが、みんなラリっているな。さすがに、これは厄介だぞ。その上、数が多いと来た。……面倒だが1体ずつ仕留めるしかないか」
カルフが半ば諦めた様子で、チャージングで間合いを詰め、孤立していたコボルトに迫っていった。
「確かに、数が多いわね。それなら、これで、どう?」
その事に危機感を覚えたファルマが、光縛封で祈りと共に光輝を放つ六角形の柱を作り出し、コボルト達を足止めした。
「ギャッギャッ!」
その途端、コボルト達がパニックに陥った様子で、錆びた剣をブンブンと振り回した。
「それじゃあ、キノコ排除に邪魔なコボルトは蹴散らすとするか」
その間に、スヴァンがチャージングで距離を縮め、コボルト達に攻撃を仕掛けていった。
「私があなた達の相手をしてあげましょう……!」
それに合わせて、レプシウスがシーザーロアを発動させ、言葉と共にエーテルを叩きつけ、コボルトの怒りを呼び起こした。
「ギャッギャッ!」
その挑発に乗るようにして、怒り狂ったコボルトが錆びた剣を振り上げ、レプシウスに襲い掛かってきた。
即座に、レプシウスが鉄の盾でコボルトの攻撃を防ぎ、鋼の大剣で斬りつけた。
「コボルトさん、邪魔をしないでねっ!」
その隙をつくようにして、エルシーが円を描くようにしながら、周囲の木々を貫通衝撃射で倒し、なるべく延焼しなうように準備を進めていった。
「ギャッギャッ!」
その事に気づいたコボルトが殺気立った様子で、狂ったように錆びた剣を振り回した。
「この私がいる限り、仲間はやらせません!」
それと同時に、レプシウスがチャージングでコボルト達に迫り、鋼の大剣で斬りつけた。
それに合わせて、ファルマが輝腕でカルフの腕部を淡い透明な光で包み、行動精度を向上させた。
続いて、カルフが破脚砕で肉体を蝕むエーテルを鉄の大剣に纏わせ、傍にいたコボルトを斬りつけた。
しかし、コボルトはキノコの胞子を吸って、痛みを感じにくくなっているらしく、躊躇う事なく襲い掛かってきた。
「……もう! 邪魔をしないでって言ったのに……。だったら、こっちも本気だよ。だから……恨みっこなしだからね」
そんな中、エルシーがコボルト達に語り掛けながら、貫通衝撃射で矢弾にエーテルを籠め、狙いを定めて解き放った。
その矢弾はコボルト達の足元で破裂し、指向性を持った衝撃波が放たれた。
「ギャッギャッ!」
だが、コボルト達は全身血まみれになりながら、臆する事無く攻撃を仕掛けてきた。
それだけ長時間キノコの胞子を吸ってハイになっているのか、両目が血走ってヤバイ感じになっていた。
「随分と、しぶとい奴等だな。だったら、これはどうだ!」
カルフがコボルトの足の筋を狙うようにして、強打を繰り出してぶった切った。
それでも、コボルトは足を引きずるようにしながら、狂ったように錆びた剣を振り回した。
ここまで来ると狂気以外のナニモノでもなく、恐怖すら感じてしまう程だった。
しかし、思うように体を動かす事が出来なかったのか、崩れ落ちるようにして倒れ込み、地面を這って迫ってきた。
「はあはあ……、少し疲れてきたけど……負けないもん!」
そんな中、エルシーが荒々しく息を吐きながら、ハーツベインショットを仕掛け、鉄の矢に不可視のエーテルを纏わせ、襲い掛かってきたコボルトを狙い撃った。
その拍子に、不可視のエーテルがコボルトの身体に纏わりつき、その身を蝕んでいった。
それに合わせて、ファルマが魔矢で鉄の戦槌の先端から光の矢を飛ばし、コボルトの肩を撃ち抜いた。
続いて、スヴァンとレプシウスが連携を取りつつ、それぞれ闘気槌で巨大な光塊を鋼の大剣に纏わせ、コボルト達に振り下ろした。
その攻撃を喰らっても、コボルト達はまったく怯んでおらず、全身血まみれになりながら、血に飢えたケモノの如く勢いで、錆びた剣を振り回した。
だが、肉体の方は限界に達しているのか、身体のあちこちが悲鳴を上げているようだった。
「おいっ、こいつらは任せて火を放て、いちいち相手にしてたらキリねえぞ! ……という訳で、ここからはおれが相手だ! 遠慮なく掛かってきやがれ!」
そんな空気を察したカルフが、仲間達に声を掛けながら、コボルトの前に陣取った。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!」
それと同時にコボルト達が一斉に咆哮を響かせ、次々とカルフに斬り掛かった。
コボルト達の攻撃は強力であったものの、後先考えず力任せに振り回しているため、攻撃パターンを分析する事は、それほど難しい事ではなかった。
その隙をつくようにして、スヴァンが鋼の大剣を振るって、不可視の衝撃の波を走らせ、コボルト達の攻撃していった。
「本当なら土を掘り返して、すべて根絶やしにすべきなんだけど……仕方がないわね。いま……やれるだけの事をやっておきましょう」
ファルマが複雑な気持ちになりつつ、火打箱でたいまつに火をつけ、まわりに生えていたキノコを一瞬にして炎に包んだ。
「……仕方ありませんね。なるべく延焼しないように注意しながら、キノコを燃やしてしまいましょう」
レプシウスも火打箱でランタンの燃料に火をつけ、同じようにキノコを燃やし始めた。
「グガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
その途端、コボルト達がさらにハイな状態になり、興奮した様子で鳴き声を響かせ、何の策もなしにバラバラに散らばって、森の奥に消えていった。
「ところで、このキノコ……試しに食べてみても構わんだろうか? いや、少々小腹が空いたから、ここで食べてみようと思うんだ」
そのドサクサに紛れて、スヴァンがキノコをムシャムシャと食べた。
「ヒャッハァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!」
それと同時に、スヴァンの中で何かが始め、テンションが一気に急上昇ッ!
頭の中がハッピーパラダイスランドと化し、陽気な音楽と共に陽気なオトモダチが心の中でダンスを踊っていた。
こうなると理性では制御する事が出来ず、本能の赴くまま、何かに取り憑かれた様子で飛び上がり、ハイテンションで森の中に消えていった。
この様子では、キノコを食べた事で、理性のストッパーが外れてしまったのだろう。
時間が経てば我に返るような気もするが、しばらくの間はヤバそうな感じであった。
「逃げていったコボルトも気になるが……。それよりも、スヴァンは大丈夫……みなのか? いや、間違いなく、駄目だと思うが……」
それを目の当たりにしたカルフが、気まずい様子で汗を流した。
何となく無事なような気もするが、心配ではないと言ったら嘘になる。
「と、とりあえず、私達はドリューさん達の遺品を探そうか。守る為に最後まで戦った人の形見だから村に帰してあげたいからさ。そうする事がバイスさん達が生きて行く為に必要な気もしたんだよ」
そんな不安を振り払うようにして、エルシーがドリュー達の遺品を探し始めた。
スヴァンの事も気になるが、おそらく大丈夫……なはず。
例え、駄目だったとしても、キノコの毒が抜ければ、元に戻ると信じたかった。
「……そうですね。せめて遺品だけでも持ち帰りましょうか」
そう言ってレプシウスが膝をつき、一緒になってドリュー達の遺品を探した。
そして、ドリュー達の遺品を見つけたのは、キノコを燃やした火が完全に消え、スヴァンが我に返って戻って来てから、しばらく経った後だった。
マスターコメント
基本的には、プレイングが分かりやすく、描写がしやすく、行動が的確だったものから、印象に残ったモノ等を基準にしてMVPを選んでいます。
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜10人
2021年02月07日 19時06分39秒 公開
成功
相談掲示板
シューターのエルシーサリバンだよ。 被害が広がらない様に全部燃やさないとだね、よろしくね。
ずっと騒ぎを起こしてたキノコを消滅させる機会と思ったけど…流れちゃうかな プレは提出してあるので、今からでも参加できそうな方はお願いするよ。
金が必要でな、邪魔するぞ。 ウォーリア、カルフ・オルヴォだ。
ファルマよ。ヒーラーだけれど敵が多いから戦えるスキルを多めに持っていく予定、よろしくね。
ウォーリアのスヴァンだ。 キノコを燃やすことと、コボルト退治だな。 (キノコは食えるのだろうか……)
ウォーリアのダリア・レプシウスと申します。 出発間際での参加となりましたが、よろしくお願いいたします。 コボルト相手の際は、前衛で盾役を担いたいと思っております。
増えたな。では俺は……攻撃に徹するとしよう。 よろしく頼む。
良かったよ…これでキノコを燃やせるねっ! みなさま、お世話になりますっ。