マーメイドの歌声に誘われて
ゆうきつかさ
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シナリオID:524
オープニング
●ディズル大湿地帯
「……たくっ! なんで、こんな事になっちまったのかねぇ!」
リザードマンの海女ポーラにとって、それは悩みの種だった。
事の始まりは、一ヶ月ほど前。
漁師のひとりが、海でマーメイドを見たのが、キッカケだったようである。
そのマーメイドは、とても美しく、綺麗な歌声を響かせ、漁師を誘惑したようである。
「まあ、あたしからすりゃ、あれはケモノの鳴き声。一体、あれの何処が歌声なんだか、微塵も理解できなかったんだけどねぇ。その噂を聞いた漁師達まで頭がおかしくなって、真夜中に船を出して……、それっきりさ。おそらく、マーマン達にやられちまったんだろうね。あの辺りで、よくマーマン達の姿が目撃されていたからさ」
ポーラが、その時の事を思い出し、呆れた様子で溜息を漏らした。
「ある意味、自業自得なのかも知れないけど、このまま何もしないって訳にもいかないだろ。こっちは稼ぎ頭を失って、散々な目に遭っているんだから……。そこでアンタ達にマーメイドを退治してほしいという訳さ。あたしが調べた限り、マーメイドが男達を呼び寄せ、マーマン達に始末させているようだしね。ただし、マーメイドの歌声には注意しておきな。あたしには単なる雑音にしか聞こえなかったけど、漁師達はコロッと騙されちまったようだからね。まあ、別の理由で騙されちまった可能性もあるけどね。あのマーメイド……かなり胸がデカかったようだからさ。そっちに惹かれただけってオチもあるのだけど……。どちらにしても、下心が招いた悲劇だね、これは……。まあ、とにかく、マーメイドだけでも倒しておくれ。そうすれば、あたしの旦那も、ちっとは浮かばれるだろうからさ」
そう言ってポーラが苦笑いを浮かべつつ、冒険者達にマーメイド退治を依頼した。
「……たくっ! なんで、こんな事になっちまったのかねぇ!」
リザードマンの海女ポーラにとって、それは悩みの種だった。
事の始まりは、一ヶ月ほど前。
漁師のひとりが、海でマーメイドを見たのが、キッカケだったようである。
そのマーメイドは、とても美しく、綺麗な歌声を響かせ、漁師を誘惑したようである。
「まあ、あたしからすりゃ、あれはケモノの鳴き声。一体、あれの何処が歌声なんだか、微塵も理解できなかったんだけどねぇ。その噂を聞いた漁師達まで頭がおかしくなって、真夜中に船を出して……、それっきりさ。おそらく、マーマン達にやられちまったんだろうね。あの辺りで、よくマーマン達の姿が目撃されていたからさ」
ポーラが、その時の事を思い出し、呆れた様子で溜息を漏らした。
「ある意味、自業自得なのかも知れないけど、このまま何もしないって訳にもいかないだろ。こっちは稼ぎ頭を失って、散々な目に遭っているんだから……。そこでアンタ達にマーメイドを退治してほしいという訳さ。あたしが調べた限り、マーメイドが男達を呼び寄せ、マーマン達に始末させているようだしね。ただし、マーメイドの歌声には注意しておきな。あたしには単なる雑音にしか聞こえなかったけど、漁師達はコロッと騙されちまったようだからね。まあ、別の理由で騙されちまった可能性もあるけどね。あのマーメイド……かなり胸がデカかったようだからさ。そっちに惹かれただけってオチもあるのだけど……。どちらにしても、下心が招いた悲劇だね、これは……。まあ、とにかく、マーメイドだけでも倒しておくれ。そうすれば、あたしの旦那も、ちっとは浮かばれるだろうからさ」
そう言ってポーラが苦笑いを浮かべつつ、冒険者達にマーメイド退治を依頼した。
解説
戦闘が行われるのは、海の上。
船は必要に応じて、借りる事が出来ます。
操舵はポーラが行いますが、かなり荒っぽいので、船酔いに注意しておきましょう。
▼依頼主情報
ポーラ(リザードマン:女性)
海女。20代。
旦那をマーマンに殺され、未亡人。
気が荒い性格。
マーメイド
かなりの美人。巨乳。
綺麗な歌声を響かせ、漁師達を魅了していたらしい。
実際には、独特な鳴き声であって、歌声ではない。
マーマン×10
普段は海中に潜んでおり、近づいてきた相手に一斉攻撃。
そのまま海に沈めて、命を奪う。
マーメイド命。僕らの宝!
マスターより
この依頼は初心者歓迎です。
そのため、難しい事を考える必要はありません。
キャラクターらしく行動していれば、失敗する事はありません。
基本的に、マーメイドを倒す事が出来れば成功です。
また、オープニングで書かれていない事は、都合よく解釈してかまいません。
他の参加者に迷惑をかけておらず、世界観に問題が無ければ、採用していこうと思っています。
リプレイ
●ディズル大湿地帯
「やっぱり、海に出ると思い出しちまうねぇ、あのバカ旦那の事を……」
ポーラ達が船を出したのは、海が月明りに照らされた真夜中だった。
それはある意味で自殺行為に等しかったが、マーメイドが確実にいるのは、真夜中だけ。
昼間にマーメイドを目撃した事が無かったため、仕方のない事だった。
「もしかすると、マーメイドの歌声には、リザードマンの男の人を惑わす特別な能力があったのかも! そうじゃなきゃ、旦那さんが騙される訳がないし……。きっと、ほら……旦那さんは本意じゃなかったんだよ……」
エルシー・サリバンが慎重に言葉を選びながら、ポーラを必死に慰めた。
しかし、まったくいい言葉が浮かばなかったため、その気持ちがポーラの心に届いているのか微妙な感じであった。
「もしくは、下心全開でマーメイドの色香に惑わされ、誘き出された挙句、そこでマーマン達にやられちゃっただけかも知れないけどね。まったく男ってやつは……」
それとは対照的にニーラ・メッコが、ズバッと言った。
その言葉は刃物の如く鋭い切れ味であったが、ポーラはまったく気にしていないようだった。
「あはははは! まあ、理由は何であれ、死んじまった事は間違いないんだけどねぇ。その原因がマーメイドの色香だったのか。それとも歌声だったのか、今となっちゃ、分からないけどねぇ」
ポーラが豪快な笑い声を響かせた後、何処か遠くを見つめた。
「やっぱり、男性には魅惑のボイスに聞こえるのかな? 少なくとも、ポーラさんも何も感じなかったようだから、女性には効果が無いって事だと思うんだけど……」
ニーラがエルシーの言葉を思い出し、マーメイドの歌声にどんな効果があるのか予想した。
こればかり実際には聞いてみないと分からない事ばかりだが、リザードマン達を引き寄せ、そのハートを鷲掴みにする歌声であった可能性が高かった。
「そう言われりゃ、そうだねぇ。まあ、聞いてみりゃわかるさ」
ポーラが船を操りながら、ザブンと波を乗り越えた。
「……と言うか、まだぁ……? はやくマーメイドが出てきてくれないと、船酔いで……おげぇぇぇぇぇぇぇぇ」
その拍子に、ニーラがウプッと口元を抑え、海に向かってリバースした。
それはキラキラと輝く七色のモザイクが掛かるほどアレな光景であったものの、綺麗事だけでは片づけられないほど気持ちが悪くなっていた。
「た、確かに……」
エルシーも釣られて、ウプッと口元を押さえた。
こうなると、誰が吐いてもおかしくないほど、危険な雰囲気。
吐くか、吐くのを見るかの、二択であった。
それでも、バランス感覚を駆使して、船酔いしないようにしているのだが、何とも危うい感じであった。
「おやおや、もうギブアップかい。まあ、そう騒がなくても、目的の場所に近づいているよ。ほら、あれを見な。岩場の上でマーメイドが歌を歌っているだろ?」
そんな空気を察したポーラが、苦笑いを浮かべつつ、岩場で歌うマーメイドを指差した。
この場所からでは、マーメイドの歌声が少しだけしか聞こえないものの、それは歌声と言うよりも鳴き声に近かった。
「なあ、ポーラ。怖くねぇなら、あのマーメイドに思いっきり接近させろ。おれには、この剣しかねぇからな!」
その事に気づいたカルフ・オルヴォが、ポーラに声を掛けながら、鉄の大剣を軽く振った。
「アンタ、正気かい!? さすがに、この人数じゃ、難しいね」
ポーラが驚いた様子で、申し訳なさそうに答えを返した。
大人数で攻め込むのであれば、ポーラも躊躇いがなかったものの、最低限の人数でマーメイド達に勝負を挑む事は、首に縄をつけて木から飛び降りるレベルで危険な行為であった。
最悪の場合、マーマン達に囲まれ、袋叩きに遭ってしまうため、流石に無理な注文である。
「それにしても、あのマーメイド……。胸が凄く大きいね。思わず自分の胸に視線を落としちゃったよ……」
そんな中、エルシーが反射的に自分の胸を見て、どんよりとした空気を漂わせた。
胸が大きいからと言って、良い事ばかりではないのだが、何となく負けた気がするのが、悔しいところ。
もちろん、胸が小さい方が色々と利点があるものの、心の中に芽生えた敗北感を消し去るレベルでは無かった。
「それじゃ、どれほどの歌なのか、聞かせて貰いましょうか。ポーラ、もう少しだけ寄せてもらえる。あと少しだけ」
リノアがポーラに指示を出しながら、岩場で歌うマーメイドに近づいていった。
「♪」
その間もマーメイドは歌を歌っており、まったく気にしていないようだった。
リノアがウォーターウォークを発動させ、自分自身と仲間達に不可視のエーテルを付与していった。「とりあえず、舟板が一番厚い部分に身を伏せて樽か何か被ってお祈りでもしてろ。報酬を貰う前に、くたばられちまったら困るからな」
カルフがポーラに声を掛けながら、海上を突っ走った。
「……と言うか、私の方が、ぜんっぜん美人じゃん! ……って、いま『えっ?』って言ったの、誰? 怒らないから、出てきなさい!」
ニーラがマーメイドに宿り木の長杖を向けた後、こめかみを激しくピクつかせ、まるで殺し屋の如く鋭い眼差しでまわりを見回した。
それは幻聴だったのかも知れないが、とても些細な事だった。
「~♪」
その感情を逆撫でするようにして、マーメイドが歌声を響かせた。
それは妙に中毒性があり、思わず釣られて、鼻歌を歌ってしまう程だった。
「歌声だって、負けないんだから! あ~あぁ~♪」
ニーラが対抗意識を燃やしつつ、マーメイドに張り合うようにして歌い出した。
「♪」
マーメイドもノリノリな様子で、さらに歌声を響かせ、身体を揺らした。
そのたび、たわわな胸が、たゆんたゆんと優雅に揺れた。
「やっぱり胸――? 胸なんだね――っ!」
エルシーがマーメイドの胸をガン見しつつ、苛立ちを隠せない様子で叫び声を響かせた。
「た、確かにバストサイズでは負けているかも知れないけど……大事なのは、形と張りよ!」
ニーラが悔しそうな表情を浮かべ、キッパリと断言をした。
何となくマーメイドの方が大きくて形が良く、張りがあるように思えたが、あえて考えないようにした。
「……とは言え、魅惑の歌声とやらは、おれには効果が無かったようだな。まあ、嫌な感じはしねぇが……。顔と胸で選ばねーからな」
カルフが眩暈にも似た感覚に襲われながら、マーメイドをジロリと睨みつけた。
多少は影響が出ているようだが、気合を入れて我慢をすれば、気にならないレベルであった。
「それに、何だか……がっかりね。歌でもなんでもないじゃない。それなら、私が本当の歌を聞かせてあげるわ!」
リノアが歌い手として対抗意識を燃やしつつ、竪琴を奏でて歌を紡いでいった。
その歌声がマーメイドの歌声と合わさって、幻想的な雰囲気を作り出し、海中に身を隠していたマーマン達が、ウットリとした表情を浮かべたまま、ヒョコヒョコと顔を出してきた。
その歌の内容は、凛としたリザードマンの海女が、冒険者を雇いいれて亡くした旦那の仇を討つというモノだったが、マーマン達はリノアの言葉を理解していないため、心地良い歌でしかないようである。
「……ちょっとリラックスし過ぎでしょ、まあ、いいんだけど……」
すぐさま、ニーラがアーケインテンペスト改を発動させ、稲妻のような光が無数に荒れ狂う空間を出現させ、マーマン達の動きを阻害した。
「頭が出ているんだったら、こっちのモンだよ~」
それに合わせて、エルシーがモグラ叩きをするような感覚で、貫通衝撃射で矢弾にエーテルを籠め、マーマンの頭を撃ち抜いた。
「……覚悟は良い? これが、お前に向けたレイクエムよ!」
その隙をつくようにして、閃く爆光で瞬間的に多くの生命エネルギーを転化し魔力を強く増幅させていたリノアが、歌声を響かせながら、フリーズボルトで氷の矢を放った。
「ピギャッ!」
その矢がマーメイドの左肩に突き刺さり、歌声がプツリと止まった。
「おいマーマンどもお前らの姫様のピンチだぜっ」
続いて、カルフが衝撃刃で不可視の衝撃を飛ばし、マーメイドに打撃を与えた。
「弓はね――胸筋が鍛えられて、と――っても育つんだよ――!」
それと同時に、エルシーが全ての怒りを鉄の矢に籠め、涙目になりつつ、マーメイドの心臓を狙って、ラピッドショットを繰り出した。
それは目にも止まらぬ速さで、マーメイドの心臓を貫き、飛び散った血で岩場を真っ赤に染めた。
「ギャッ!」
それを目の当たりにしたマーマンが、大急ぎでマーマンを助けに向かったが、時すでに遅し。
マーメイドは岩場から転がり落ちて、ブクブクと海に沈んでいった。
「ギャッギャッ!」
それを目の当たりにしたマーマン達が、殺気立った様子で、一斉に三又の槍を飛ばしてきた。
即座に、リノアがエーテルバリアを発動させ、薄っすらと輝く光の膜で全身を包み、マーマン達の攻撃から身を守った。
「ははっ、熱烈なプレゼントだな。そりゃ、悔しいだろうな。大事なお方を守る事が出来なかったんだから……。悔しくて堪らねぇだろう? だったら、冷静さなんて捨てちまえ」
その間に、カルフが鉄の大剣をマーマンの首に突き立て、そのまま心臓に到達しそうな勢いで深々と突き刺した。
その拍子に大量の血が噴水の如く噴き出し、カルフを身体を真っ赤に染めた。
しかし、マーマン達はマーメイドが傷ついた事で殺気立っており、恐怖を何処かに置き忘れているような感じであった。
「やられたくなかったら大人しく潜ってるんだよ~……って、する訳無いね。だから、船には寄らせないよ!」
一方、エルシーはハーツベインショットで、射出物に不可視のエーテルを纏わせ、船に近づいてきたマーマンを射抜いた。
その拍子に、不可視のエーテルがマーマンに纏わりつき、身体をジワリジワリと蝕んでいった。
それと同時に、ニーラがメテオライトを発動させ、自らの周囲に大量の小さな光弾を出現させ、次々にマーマン達に降り注がせた。
続いて、カルフが闘気槌で巨大な光塊を鉄の大剣に纏わせ、マーマン達めがけて振り下ろした。
「……そろそろ退くよ。さすがに、この数のマーマンを相手にするのは無理があるからね!」
その隙をつくようにして、ポーラがニーラ達を呼び寄せ、船を操ってマーマン達から逃げていくのであった。
「やっぱり、海に出ると思い出しちまうねぇ、あのバカ旦那の事を……」
ポーラ達が船を出したのは、海が月明りに照らされた真夜中だった。
それはある意味で自殺行為に等しかったが、マーメイドが確実にいるのは、真夜中だけ。
昼間にマーメイドを目撃した事が無かったため、仕方のない事だった。
「もしかすると、マーメイドの歌声には、リザードマンの男の人を惑わす特別な能力があったのかも! そうじゃなきゃ、旦那さんが騙される訳がないし……。きっと、ほら……旦那さんは本意じゃなかったんだよ……」
エルシー・サリバンが慎重に言葉を選びながら、ポーラを必死に慰めた。
しかし、まったくいい言葉が浮かばなかったため、その気持ちがポーラの心に届いているのか微妙な感じであった。
「もしくは、下心全開でマーメイドの色香に惑わされ、誘き出された挙句、そこでマーマン達にやられちゃっただけかも知れないけどね。まったく男ってやつは……」
それとは対照的にニーラ・メッコが、ズバッと言った。
その言葉は刃物の如く鋭い切れ味であったが、ポーラはまったく気にしていないようだった。
「あはははは! まあ、理由は何であれ、死んじまった事は間違いないんだけどねぇ。その原因がマーメイドの色香だったのか。それとも歌声だったのか、今となっちゃ、分からないけどねぇ」
ポーラが豪快な笑い声を響かせた後、何処か遠くを見つめた。
「やっぱり、男性には魅惑のボイスに聞こえるのかな? 少なくとも、ポーラさんも何も感じなかったようだから、女性には効果が無いって事だと思うんだけど……」
ニーラがエルシーの言葉を思い出し、マーメイドの歌声にどんな効果があるのか予想した。
こればかり実際には聞いてみないと分からない事ばかりだが、リザードマン達を引き寄せ、そのハートを鷲掴みにする歌声であった可能性が高かった。
「そう言われりゃ、そうだねぇ。まあ、聞いてみりゃわかるさ」
ポーラが船を操りながら、ザブンと波を乗り越えた。
「……と言うか、まだぁ……? はやくマーメイドが出てきてくれないと、船酔いで……おげぇぇぇぇぇぇぇぇ」
その拍子に、ニーラがウプッと口元を抑え、海に向かってリバースした。
それはキラキラと輝く七色のモザイクが掛かるほどアレな光景であったものの、綺麗事だけでは片づけられないほど気持ちが悪くなっていた。
「た、確かに……」
エルシーも釣られて、ウプッと口元を押さえた。
こうなると、誰が吐いてもおかしくないほど、危険な雰囲気。
吐くか、吐くのを見るかの、二択であった。
それでも、バランス感覚を駆使して、船酔いしないようにしているのだが、何とも危うい感じであった。
「おやおや、もうギブアップかい。まあ、そう騒がなくても、目的の場所に近づいているよ。ほら、あれを見な。岩場の上でマーメイドが歌を歌っているだろ?」
そんな空気を察したポーラが、苦笑いを浮かべつつ、岩場で歌うマーメイドを指差した。
この場所からでは、マーメイドの歌声が少しだけしか聞こえないものの、それは歌声と言うよりも鳴き声に近かった。
「なあ、ポーラ。怖くねぇなら、あのマーメイドに思いっきり接近させろ。おれには、この剣しかねぇからな!」
その事に気づいたカルフ・オルヴォが、ポーラに声を掛けながら、鉄の大剣を軽く振った。
「アンタ、正気かい!? さすがに、この人数じゃ、難しいね」
ポーラが驚いた様子で、申し訳なさそうに答えを返した。
大人数で攻め込むのであれば、ポーラも躊躇いがなかったものの、最低限の人数でマーメイド達に勝負を挑む事は、首に縄をつけて木から飛び降りるレベルで危険な行為であった。
最悪の場合、マーマン達に囲まれ、袋叩きに遭ってしまうため、流石に無理な注文である。
「それにしても、あのマーメイド……。胸が凄く大きいね。思わず自分の胸に視線を落としちゃったよ……」
そんな中、エルシーが反射的に自分の胸を見て、どんよりとした空気を漂わせた。
胸が大きいからと言って、良い事ばかりではないのだが、何となく負けた気がするのが、悔しいところ。
もちろん、胸が小さい方が色々と利点があるものの、心の中に芽生えた敗北感を消し去るレベルでは無かった。
「それじゃ、どれほどの歌なのか、聞かせて貰いましょうか。ポーラ、もう少しだけ寄せてもらえる。あと少しだけ」
リノアがポーラに指示を出しながら、岩場で歌うマーメイドに近づいていった。
「♪」
その間もマーメイドは歌を歌っており、まったく気にしていないようだった。
リノアがウォーターウォークを発動させ、自分自身と仲間達に不可視のエーテルを付与していった。「とりあえず、舟板が一番厚い部分に身を伏せて樽か何か被ってお祈りでもしてろ。報酬を貰う前に、くたばられちまったら困るからな」
カルフがポーラに声を掛けながら、海上を突っ走った。
「……と言うか、私の方が、ぜんっぜん美人じゃん! ……って、いま『えっ?』って言ったの、誰? 怒らないから、出てきなさい!」
ニーラがマーメイドに宿り木の長杖を向けた後、こめかみを激しくピクつかせ、まるで殺し屋の如く鋭い眼差しでまわりを見回した。
それは幻聴だったのかも知れないが、とても些細な事だった。
「~♪」
その感情を逆撫でするようにして、マーメイドが歌声を響かせた。
それは妙に中毒性があり、思わず釣られて、鼻歌を歌ってしまう程だった。
「歌声だって、負けないんだから! あ~あぁ~♪」
ニーラが対抗意識を燃やしつつ、マーメイドに張り合うようにして歌い出した。
「♪」
マーメイドもノリノリな様子で、さらに歌声を響かせ、身体を揺らした。
そのたび、たわわな胸が、たゆんたゆんと優雅に揺れた。
「やっぱり胸――? 胸なんだね――っ!」
エルシーがマーメイドの胸をガン見しつつ、苛立ちを隠せない様子で叫び声を響かせた。
「た、確かにバストサイズでは負けているかも知れないけど……大事なのは、形と張りよ!」
ニーラが悔しそうな表情を浮かべ、キッパリと断言をした。
何となくマーメイドの方が大きくて形が良く、張りがあるように思えたが、あえて考えないようにした。
「……とは言え、魅惑の歌声とやらは、おれには効果が無かったようだな。まあ、嫌な感じはしねぇが……。顔と胸で選ばねーからな」
カルフが眩暈にも似た感覚に襲われながら、マーメイドをジロリと睨みつけた。
多少は影響が出ているようだが、気合を入れて我慢をすれば、気にならないレベルであった。
「それに、何だか……がっかりね。歌でもなんでもないじゃない。それなら、私が本当の歌を聞かせてあげるわ!」
リノアが歌い手として対抗意識を燃やしつつ、竪琴を奏でて歌を紡いでいった。
その歌声がマーメイドの歌声と合わさって、幻想的な雰囲気を作り出し、海中に身を隠していたマーマン達が、ウットリとした表情を浮かべたまま、ヒョコヒョコと顔を出してきた。
その歌の内容は、凛としたリザードマンの海女が、冒険者を雇いいれて亡くした旦那の仇を討つというモノだったが、マーマン達はリノアの言葉を理解していないため、心地良い歌でしかないようである。
「……ちょっとリラックスし過ぎでしょ、まあ、いいんだけど……」
すぐさま、ニーラがアーケインテンペスト改を発動させ、稲妻のような光が無数に荒れ狂う空間を出現させ、マーマン達の動きを阻害した。
「頭が出ているんだったら、こっちのモンだよ~」
それに合わせて、エルシーがモグラ叩きをするような感覚で、貫通衝撃射で矢弾にエーテルを籠め、マーマンの頭を撃ち抜いた。
「……覚悟は良い? これが、お前に向けたレイクエムよ!」
その隙をつくようにして、閃く爆光で瞬間的に多くの生命エネルギーを転化し魔力を強く増幅させていたリノアが、歌声を響かせながら、フリーズボルトで氷の矢を放った。
「ピギャッ!」
その矢がマーメイドの左肩に突き刺さり、歌声がプツリと止まった。
「おいマーマンどもお前らの姫様のピンチだぜっ」
続いて、カルフが衝撃刃で不可視の衝撃を飛ばし、マーメイドに打撃を与えた。
「弓はね――胸筋が鍛えられて、と――っても育つんだよ――!」
それと同時に、エルシーが全ての怒りを鉄の矢に籠め、涙目になりつつ、マーメイドの心臓を狙って、ラピッドショットを繰り出した。
それは目にも止まらぬ速さで、マーメイドの心臓を貫き、飛び散った血で岩場を真っ赤に染めた。
「ギャッ!」
それを目の当たりにしたマーマンが、大急ぎでマーマンを助けに向かったが、時すでに遅し。
マーメイドは岩場から転がり落ちて、ブクブクと海に沈んでいった。
「ギャッギャッ!」
それを目の当たりにしたマーマン達が、殺気立った様子で、一斉に三又の槍を飛ばしてきた。
即座に、リノアがエーテルバリアを発動させ、薄っすらと輝く光の膜で全身を包み、マーマン達の攻撃から身を守った。
「ははっ、熱烈なプレゼントだな。そりゃ、悔しいだろうな。大事なお方を守る事が出来なかったんだから……。悔しくて堪らねぇだろう? だったら、冷静さなんて捨てちまえ」
その間に、カルフが鉄の大剣をマーマンの首に突き立て、そのまま心臓に到達しそうな勢いで深々と突き刺した。
その拍子に大量の血が噴水の如く噴き出し、カルフを身体を真っ赤に染めた。
しかし、マーマン達はマーメイドが傷ついた事で殺気立っており、恐怖を何処かに置き忘れているような感じであった。
「やられたくなかったら大人しく潜ってるんだよ~……って、する訳無いね。だから、船には寄らせないよ!」
一方、エルシーはハーツベインショットで、射出物に不可視のエーテルを纏わせ、船に近づいてきたマーマンを射抜いた。
その拍子に、不可視のエーテルがマーマンに纏わりつき、身体をジワリジワリと蝕んでいった。
それと同時に、ニーラがメテオライトを発動させ、自らの周囲に大量の小さな光弾を出現させ、次々にマーマン達に降り注がせた。
続いて、カルフが闘気槌で巨大な光塊を鉄の大剣に纏わせ、マーマン達めがけて振り下ろした。
「……そろそろ退くよ。さすがに、この数のマーマンを相手にするのは無理があるからね!」
その隙をつくようにして、ポーラがニーラ達を呼び寄せ、船を操ってマーマン達から逃げていくのであった。
マスターコメント
基本的には、プレイングが分かりやすく、描写がしやすく、行動が的確だったものから、印象に残ったモノ等を基準にしてMVPを選んでいます。
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜10人
2021年02月06日 10時51分48秒 公開
成功
相談掲示板
ウォーリアのカルフ・オルヴォだ。 耳に栓でもしとくかね。 マーメイドを逃がさねぇようにしとけばマーマンは付いて来んだろうが 3hexしか届かんのが困りもんだな。
キャスターのニーラ・メッコです。 よろしくね! マーメイドの色香に迷わせてリザードマンの男性を誘き出して襲ってるんだね。 ポーラさんに船を出してもらう事になるかなぁ。 海上での戦闘になるだろうからマーマン達に有利な場所だとは思うけど、 マーメイドを狙えば海中のマーマン達も出てくるかな? そこを一網打尽にしてやるのだ!
キャスターのリノアよ。 よろしくね。 あと一人なんだけどどうなるかしら‥ 私は船から魔法攻撃を主に 一応ウォーターウォーキングも用意しておくわ
シューターのエルシー・サリバンだよ。 マーメイドを先に狙う流れだね? >近づいてきた相手に一斉攻撃。 されないように援護しするね、ヨロシクね。