闇の中で肉を食え!

ゆうきつかさ

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シナリオID:453

オープニング

●ゴールディ南部の森
「来た、来た、来た! この日が来たァァァァァァァァァァァァ!」
 陽気なゴブリン、ウェーイがテンション、アゲアゲで、叫び声を響かせた。
「やっぱ、来てくれると思ったぜ! これで、ようやくアレが出来る!」
「アレじゃ、分からないでしょ。ちゃんと説明をしなきゃ」
 ゴブリナのギャルが石版に絵を描きながら、クールなツッコミを入れた。
「あ、そうか。アレじゃ、分からねーもんな! 闇鍋だよ、闇鍋! みんなで具材を持ち込んで、真っ暗な中で、鍋を囲むアレ! 今年もやろうと思っていたんだが、みんなビビッて棄権しちまったからさ。毎年恒例の行事だって言うのに、ツレねーだろ、それは……。ただし、年末年始の闇鍋は、普通の闇鍋とは、ちーっと違うぜ! 中に入れていいのは、縁起がイイモノ! まぁ、縁起がイイと思えば、靴下だっていいんだが……」
 ウェーイが去年の闇鍋を思い出し、乾いた笑いを響かせた。
 確か、去年は靴下、食べ残し、毒キノコと散々だった。
 よくよく考えてみれば、それで何人か運ばれた。
 どうやら、誰かが悪ノリしたらしく、それが原因で村人達の心にトラウマが植えつけられ、まさに地獄絵図と言った感じであった。
(……そういや、忘れていたぜ)
 その時の事を思い出し、ウェーイが納得した様子で、頭を抱えた。
 どうやら、当人は受け狙いでやったようだが、みんな自爆して、今回は揃って辞退。
「ま、まあ、お前達なら大丈夫……だよな? ほら、ただ鍋を食うだけだしさ。俺達ひとりひとりが気を付けていれば、地獄を見る事だってねーんだし! みんなでヘヴンに旅立とうじゃねーか!」
 そう言ってウェーイが無意識のうちにフラグを立てつつ、闇鍋に誘うのであった。

解説

 持ち込む事が出来る食材は、一人一品。  ウェーイはBBQ用の肉を、ギャルは御茶に使うハーブを食材として持ち込むようです。  持ち込む事が出来る食材は、縁起がイイモノだけ。  持ち込んだ本人が、そう思っていればいいため、例え食材が靴下であっても構いません。  また、口にする事の出来る食材はランダムですが、指定しても構いません。

マスターより

 どうも、ゆうきつかさです。  この依頼はコメディ依頼です。  そのため、難しい事は考えず、鍋を食べるだけで構いません。  ノリと勢いで何とかなるため、持ち込む食材と、いくつか台詞を書いておきましょう。

リプレイ

●ゴールディ南部の森
「みんな、遊びに来たわよ。今日は闇鍋をするんでしょ? せっかくだから、沢山具材を持ってきたわよ」
 キャル・イルセインは仲間達と共に、闇鍋が行われている広場にやってきた。
 既に辺りの日は落ち、そこにいるのは、闇鍋の参加者達だけ。
 みんな、この日のために胃袋を鍛えて、腹を空かせてきたため、覚悟完了と言った感じの雰囲気だった。
「あ、悪ぃ。持ち込む事が出来る食材は、一人一品だけなんだ」
 ウェーイが申し訳なそうにしながら、気まずい様子で汗を流した。
「……えっ? ダメなの?」
 キャルが驚いた様子で、ウェーイに問いかけた。
「まあ……その、駄目だな」
 ウェーイが困った様子で、答えを返した。
「あ、ウェーイさん、大丈夫っす。それ、俺達が頼んで、キャルさんに持ってきてもらった食材っすから」
 そんな空気を察したウェーイの取り巻き(モブオ、モブヒコ、モブザエモン)が、キャルから食材を受け取った。
「ん? なんか違うような気もするが、まあ……いいか。せっかく持ってきてもらったものだしな。いや、いいのか。ルール的に、良くない気もするが……。まあ、今回だけは……うむむむむ」
 ウェーイが答えに困った様子で、『……うむむ』と唸り始めた。
「ウェェェェェェェェェェェェェェェェェイ!」
 その間に、取り巻き達が、食材を投入ッ!
 既に、ルールを、ガン無視。
 闇鍋、何それ、美味しい状態であった。
「……って、おま! これにはやり方とかあるんだぞ」
 それを目の当たりにいたウェーイが、呆れた様子で頭を抱えた。
 闇鍋には色々なルールがあったものの、すべて台無し。
 みんなで鍋を食べよう会と化しつつあった。
「まあ、とにかく、縁起物なら、いいのよね? だったら、やっぱり豚肉かしら。精がつくし、子沢山で縁起がいいって言われてるわ。バーベキューでも鍋にしてもいけるしね!」
 ガーネットが面白くないくらい超真面目に、なべの具材として豚肉を持参した。
 だが、ウェーイ達にとっては、救いの女神。
 去年は悪ノリをしたせいで、酷い目にあったが、今年は大丈夫かも……と言う希望が芽生えた。
「それなら、ウサギね。みんな、感謝していいわよ」
 そんな中、イル・シャーリィが煮立った鍋の中に、獲ったばかりのウサギをドボンと入れた。
「ちょっと待てええええええええええええええええ! そのまま入れたら駄目だろ! せめて毛皮を剥ぐとかしないとさ」
 その途端、ウェーイが速攻で、ツッコミを入れた。
「……えっ? 毛皮? ……煮込めば剥がれるわよね。万が一、剥がれなかったとしても……闇鍋だから」
 イルが今更どうする事も出来ないと言わんばかりの勢いで、鍋をグルグルと掻き混ぜ始めた。
 そのせいか、隠ぺいの香りが漂っているものの、そのたびウサギがひょっこりと顔を出すため、誤魔化し切れていない感じであった。
「まあ、そうだけどさぁ……」
 ウェーイがウサギと目が合い、気まずい様子で視線を逸らした。
「どうしたの、ウェーイ? 何だか元気がないようだけど……。そんなウェーイのために、イイものを持ってきたよ! 初日の出と共に海に出て釣ってきた新鮮な鯛! 初日の出に釣ったんだから縁起が良いし、お目出鯛って事で二重イイよね♪」
 アリエッタがウェーイを励ましながら、鯛を勢いよく放り投げ、2本の短剣で切り裂き、骨を取り除いて、バサーッと入れた。
「だから、いきなり入れるなって!」
 ウェーイが涙目になりつつ、アリエッタにツッコミを入れた。
「えっ? いいじゃん、いいじゃん! 大丈夫だよ、鍋なんだしー」
 だが、アリエッタはまったく気にしておらず、のほほん顔。
「まあ、いいんじゃないの。良い出汁が取れそうだし……。それより、何あれ」
 ギャルがゴミを見るような目で、鍋に浮かんだ靴下をジロリと睨んだ。
「うっ……、あれは!」
 その途端、ウェーイ達の脳裏に蘇ったのは、去年の悪夢であった。
 しかも、浮いているのは、片方だけ。
 つまり、もう片方は鍋の中で、スイミング。
 その現実を理解した瞬間、ウェーイの背筋に、ゾッと寒気が走った。
「ま、まさか……ウェーイ?」
 そんな空気を察したガーネットが、疑いの眼差しをウェーイに送った。
「いや、俺じゃねえって!」
 ウェーイが激しく首を振り、自分の無実を訴えた。
「それをやったのは、我々だ! そもそも闇鍋とは、スリル! なんだ、この甘々な鍋は! これでは闇鍋ではなく、ただの鍋だ!」
 それと同時に暗がりから黒ずくめの村人達が現れ、妙に上から目線で駄目出しをした。
「あんたたち……料理をなんだと思ってんの……?」
 ガーネットが殺気立った様子で、黒ずくめの村人達を睨みつけた。
「さらばだ! ハハハハハッ!」
 その視線に気づいた黒ずくめの村人達が、高笑いを響かせながら、闇に紛れるようにして姿を消した。

「大丈夫。後でシバいておくわ。きっと、去年の闇鍋に参加した人たちだから……」
 ギャルが黒ずくめの村人達の身長から、該当者を絞り込み、石版に名前を書いていった。
「とりあえず、靴下は見なかった事にするわよ」
 その間に、イルが超臭覚で、鍋の具材を見極めようとした。
 しかし、色々なニオイが複雑に絡み合い、この世のモノと思えぬほどのニオイを発していたため、半ば思考停止状態に陥っていた。
「な、何すかっ、コレ!」
 そんな中、モブオが身体を小刻みに震わせ、グッタリと倒れた。
 どうやら、しびれ草を食べてしまったらしく、獲りたてピチピチの魚の如く勢いで、地面を何度も跳ねていた。
「うーん、マイルド」
 一方、モブヒコはコーヒー豆を口にして、妙にダンディな表情を浮かべた。
 どうやら、この豆には魔を滅する力があり、モブヒコの中に宿った邪な気持ちを、何となく消し去ってくれたようである。
「私が食べたのは、羊肉ね。臭みが無くて、美味しいわ」
 キャルがホッとした様子で、幸せそうに羊肉を頬張った。
 モブザエモンも無難に餅を食べたらしく、ホクホク顔で口を動かしていた。
「……アリエッタ? はい、あーん」
 その横でイルが悪魔のような心で、天使のような笑みを浮かべつつ、アリエッタに鍋の具材を食べさせた。
「ん? 何これ……。まっずーいっ! 苦い、苦い、苦い! だれ、こんなの、いれたのぉ。で、でも、勿体ないから、食べる……よ」
 アリエッタが半泣きになりながら、口をモゴモゴと動かした。
 最初は癖のある苦みで意識を失いそうになったが、噛んでいくうちに息スッキリ!
 それと同時に、鍋の中にいたエビが、次々と飛び跳ねた。
「んあわっ! まだ生きていたのか!」
 その事に驚いたウェーイが、腰を抜かす勢いで大声を上げた。
「エビは生きてても美味しいし、茹でると美味しいと言われているから、生きたまま茹でたら、鮮度も保ってぷりぷりで美味しいよ。髭と腰が曲がった姿から長寿の食べ物らしいから、とっても縁起がいいものだし」
 キャルがエビを生かさず殺さず、絶妙なバランスを保ちつつ、鍋をグルグルと掻き混ぜた。
「……って、ちょっと! いまケーキを投げ込んだのは、誰! しかも、こっちはチョコレートだし! これは鍋よ、鍋! ほら、そこの黒ずくめ! これ以上、妙なモノを入れたら、真っ先に味見させるわよ」
 その途端、ガーネットが鍋に放り込まれたケーキに気づき、苛立ちを隠せない様子で、黒ずくめの村人達を睨みつけた。
 どうやら、黒ずくめの村人達は、新しい食材を持ってノコノコと帰ってきたらしく、観念した様子で両手を上げていた。
「……美味しいわよ」
 ギャルが冷たい視線を送り、黒ずくめの村人達の口に食材をグイグイと押し込んだ。
「ギャアアアアアアアアアアアア!」
 次の瞬間、黒ずくめの村人達がホラータッチで悲鳴を上げ、ブクブクと泡を吐いて気絶した。
「ところで、こっちはどうしましょうか。……既に汁だけで地獄になっているわね」
 イルがゲンナリとした様子で、鍋の中に視線を落とした。
 こうなってしまうと、何を食べても、ハズレ。
 そもそも、これが闇鍋なのか、単なる鍋だったのか分からないほど、カオスな状況になっていた。
「さすがに、これはヤバイわね。ちょっと待ってね。今から調節してみ来るから。その間は、迂闊に食べたら食べよ?」
 ガーネットが仲間達に警告しながら、鍋の味を調え始めた。
 だが、いくら味を足しても、鍋の中は真っ黒。
 文字通り闇鍋と化しており、異様なニオイまで漂ってきた。
 それでも、キレ気味に鍋奉行と化し、香草や、その他もろもろを山になるほどブチ込み、灰汁を取って、取って、取りまくった。
 そのおかげもあって、澄んだ湖の如くキラめきを取り戻したが、違う意味で身の危険を感じるシロモノになった。
「んじゃ、誰かが味見を……って、俺!?」
 それと同時に、ウェーイがギャルにぽふっと押され、強制的に毒見役をする事になった。
「うわっ、マジか。死んだら、骨くらいは拾ってくれよ」
 ウェーイが引きつった笑みを浮かべながら、恐る恐る味見をした。
「ん? んん? お、これ、美味いぞ! 美味い! なんで、だ! どうして美味いんだ! この靴下なんて、ダシが染みていて美味しいぞ!」
 ウェーイがグルグルと目を回しながら、物凄くハッピーな笑顔を浮かべた。
「うーまーいーぞー☆」
 その横でアリエッタも肉を頬張り、楽しそうに鼻歌を歌い出した。
 どうやら、灰汁を取った事で、えぐみや臭みが無くなったらしく、肉や魚の旨味だけが際立っていた。
 その影響で靴下まで美味しくなっているらしく、ウェーイがゲテモノ喰いになっていた。
「それじゃ、すべて平らげてしまいましょうか。例え誰か(アリエッタ)を犠牲にしてでも、この鍋を完食して見せるわ」
 イルが使命感にも似た感情を抱きながら、鍋の具材を口に運んでいった。
 最悪、カレーにすれば、何とかなると思っていたが、何となく美味しく仕上がっているため、このまま完食できそうだ。
 そして、イル達は闇鍋っぽい鍋を食べながら、楽しく夜を過ごすのだった。

マスターコメント

 基本的には、プレイングが分かりやすく、描写がしやすく、行動が的確だったものから、印象に残ったキャラクター等を基準にしてMVPを選んでいます。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜8人

2021年01月13日 14時07分29秒 公開

成功

相談掲示板

  1. ガーネット

    ガーネットよ。よろしく。 私が出るからにはまともな料理作るわよ。 ていうか食べ物で遊ぶんじゃないわよあんたら! (訳:ツッコミ担当。振り回される鍋奉行)

  2. アリエッタ

    アリエッタです。 お肉食べにきました。

  3. イル・シャーリィ

    イルよ。 …お肉食べられるのよね…?

  4. キャル・イルセイン

    ???……闇鍋だと思ってたわ! ヒーラーのキャルよ。 ちゃんと毒を治すからたくさん食べてね……

  5. キャル・イルセイン

    用意したわ! きっと楽しいはずよ ●鍋に入れるもの。 1つ目、生きたエビ10匹。勢いよく飛ぶよ! 2つ目、オーク肉100g。カタイ。 3つ目、しびれ草たくさん。痺れ。 4つ目、コーヒー豆たくさん。苦い。 5つ目、雪だるま2体。溶けて消える? 6つ目、鯛焼き6匹。甘い。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0