女神の賽子の気まぐれ

空色みなも

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シナリオID:407

オープニング

「少しあたしに付き合っちゃくれないかい?」
 宿のテーブルでパンとスープの朝食をとる冒険者達にそう声をかけてきたのは、冒険者の宿「女神の賽子(さいころ)亭」の女主人シリス・アローゼアだ。

 ……このようなシーンをどこかで見たことがある者も居るかもしれないが、それも別に気のせいではない。
 女神の賽子亭はエラトゥーン都市同盟の小さな町エルタ・リコにあるが、そこを訪れた冒険者達に女将のシリスがこうして声をかけるのは珍しいことではなく、このようなことは以前にもあったからだ。

「身構える必要はないよ。ちょっとしたお遊びをしようってだけだからね」
 シリスが誘っているのは例によってテーブルゲームであり、その手を見ると、シリスは多種多様なサイコロを持っていた。

 宿の名前にも使われているサイコロが、今日も耳飾りとしてシリスの耳にも揺れている――。

●
「今回のゲームはそれなりにシンプルで、六回ずつサイコロを振ったら終わるよ」
 誘いに興味を示した冒険者達を集め、シリスは早速、ゲームの説明に移る。

「一斉にサイコロを振るたびに全員に何点かずつポイントが入って、そのポイントを一番多く集めたやつが優勝さ」
 続くシリスの説明によると、同点の場合は順位も同じ扱いになるらしく、勝敗の決まり方そのものはシンプルに思える。
 ちなみに、ポイントはゲーム用の木製メダルで管理するようで、メダルには1点、5点、10点などの点数が焼き印で刻まれていた。
 当然、ゲームの途中で尽きることのない十分な数はあるとのことだ。

「まず最初に、参加者には六種類のサイコロを配るよ。これは他の奴から見えないように、手元のついたての裏に隠しておいておくれ」
 そう言ってシリスが配ったサイコロは、六個それぞれに形が異なった。

 最も面の数が少ないサイコロは正四面体の形をしており、三角形をしたそれぞれの面に接する辺ごとに数字が記されている。
 次に一般的な六面のサイコロがあり、正八面体のサイコロと続く。
 正多面体ではないが、十面のサイコロというのもあった。今回これは0の数字が書いてある面を10が出たものとして扱うらしい。
 そして五角形の面から成る正十二面体のサイコロに、二十枚の三角形を張り合わせたような正二十面体のサイコロ。これで全てだ。

 これらのサイコロを使えば、1以上で面の数以下の整数が、1刻みでランダムに得られることとなる。

「そして六回あるラウンドの始めに、そのラウンドで取り合うポイントをテーブルに分けて積んでおく」
 そう言って、シリスは10点分のメダルの山をまず積んで、続き5点、3点、2点、1点と、五つの山を作った。

「これを各自のサイコロに応じて順番に取っていくんだけど、その順番の決め方がミソなんだ」
 ここからが面白いところだ、と言わんばかりに、シリスはそこでニッと笑ってみせる。

「まずは適当でいいから、ついたての裏のサイコロを一個、握って差し出してみておくれ」
 そうしてシリスを含めた五人が差し出したサイコロは、シリスが六面で、他が四面が二個、八面が二個であった。

「で、これをそれぞれ振っていくんだけど、説明のために適当な目が出たことにさせて貰うよ」
 シリスは六面のサイコロを2の目を上にして置き、四面サイコロ二つは1の目が出た向きで置く。
 そして、八面のサイコロの一つを2の目を上にして置き、もう一つは8の目を上にして置いた。

「ここで小さい目を出した奴から順にメダルの山を多いものから一山取っていくんだけど……うん、よく気づいたね。同じ目の場合どうするか」
 おおよそシリスはそれが説明したくて同じ目が並ぶように置いたのだろう。

「まず、面の数が違うサイコロで同じ目が出た場合、面の数が小さいサイコロを振った奴のほうが先にメダルを取る」
 ということは、2を出している六面のサイコロと八面のサイコロでは、六面のサイコロを振った者が先着したことになるらしい。

「でもそれだと、同じサイコロで目が揃った場合に順番を決められないよね? 実はそうなった奴はバッティングって言って、残念ながらメダルは取れない」
 つまり四面のサイコロで1の目を出している二人は、いくら目が小さくとも、メダルを取る権利を失っている、ということだ。

「要するに、この場合だと六面で2を出したあたしが最初に10点を貰って、次に八面で2を出した奴が5点、八面で8を出した奴が3点を持っていく」
 取ることのできるメダルの山は一人一山のようなので、バッティングにより余った2点と1点は流れてしまう、との説明もあった。

「実はここでさらにボーナスがあって、そのラウンドの最後にメダルの山を取った奴は、サイコロで出していた目と同じだけの点数が追加で貰えるよ」
 この場合、八面で8を出した者が最後にメダルの山を受け取ったので、出目と同じ8点を余分に獲得する、ということのようだ。

「後はサイコロの数と同じ六回、これを繰り返すよ。一回使ったサイコロは二度は使えないから、よく考えて握るようにしておくれ」
 さらにシリスが付け加えたところによると、ラウンドごとにメダルの内訳は変化するらしい。
 どのラウンドにどのサイコロを握るか、の駆け引きが重要となるかもしれない。

「もちろん、ゲームにはあたしも参加させて貰うよ。そのために誘ったんだからね」
 説明を終えたシリスはウキウキとした顔で腕まくりをして、テーブル席に着いたのだった。

解説

●目的  ゲームで楽しく遊ぶ。  シリスに対する勝敗に関わらず、楽しく遊べれば全体の判定的には成功。 ●遊び方  ゲームの方針やロールプレイをプレイングにご記入ください。  ゲームの方針はプレイング記入例のように、ラウンドごとに用いるサイコロの面の数を先に来るラウンドから順に記入して並べてください(条件によって複雑に変化させることは困難なため、あらかじめ順番固定でお願いしたいと思います)。特に方針が書かれていない場合、例と同じ方針となります。シリスの方針は今回不明ですが、あらかじめ固定で決めてあります。  ロールプレイとして何を書いていいか悩む場合、幸運に恵まれた場合や、不運に見舞われた場合などの反応をそれぞれ書いて頂けるといいかもしれません。 ●プレイング記入例  20, 12, 10, 8, 6, 4  ←先     後→ ●ラウンドごとのメダルの山の内訳  1:10点・ 5点・ 3点・ 2点・ 1点  2:12点・ 6点・ 3点・ 2点・ 1点  3:14点・ 7点・ 4点・ 2点・ 1点  4:16点・ 8点・ 4点・ 2点・ 1点  5:18点・ 9点・ 5点・ 3点・ 2点  6:20点・10点・ 5点・ 3点・ 2点

マスターより

 お世話になっております、空色みなもです。  はい。申し訳ありませんが、またなんです。  関連NPCにシリス・アローゼアが紐づけられています。  そして、懲りずにゲームに参加してきます。  NPCだから一位にならないようにするとか、その手の忖度はありません。ご留意ください。  相談掲示板では基本的に出発48時間前までに行われた質問に回答します。  なお、白紙プレイングはゲームの説明は聞いたけど参加しなかった扱いになります。  なので基本は5人ゲームとなりますが、変動する可能性もゼロではありません。  皆さんの運命を切り開くプレイングをお待ちしております。

リプレイ

●
「私、卓上遊戯が大好きなんです! 是非とも参加させてください♪」
 ルアンナ・ミュラーはどこで覚えたか、こうしたゲームにとても馴染みが深いようで、シリスの誘いに真っ先に食いついていた。

「ダイスゲームですか。私は運が良いと言われることが多いので、自信ありますよ」
 それに続いて参加の名乗りを上げたのは、ノックス・マグナ。

「勝敗には興味ないけど、ゲームには興味あるよ」
 そう言って、月もひょっこり話題に首を突っ込んできた。

「偶には、こういう一日も悪くないな。まぁ、欲を言えば、こういう遊びの時は酒も欲しいところだが……流石にまだ時間が早いしな」
 酒が無いことをぼやいたバーネット・フォーサイスは、ハーフリングゆえ幼い容姿に見えるが、実年齢は立派な大人である。

「よし、じゃあこの五人でやろうかね。それぞれ好きな色のサイコロを受け取っておくれ」
 シリスは一色につき六種類のサイコロを含むセットを、参加者達に配っていく。
 また、サイコロと同じ色の卓上ついたても、各自の手元に配られた。

「よーし、やるからには負けませんからね!」
 ルアンナが腕を胸元でぎゅっと寄せ、気合いを入れる。

 さあ、賽は投げられた。
 女神の賽子の気まぐれに、勝者として選ばれるのは果たして誰になるだろうか――。

●
 最初のラウンドが始まるということで、テーブルの中央には10点を始めとし、順に端数切り上げで半分の点数になるメダルの山が五つ積まれていた。

「さあ、これから六回サイコロを握るわけだけど、その順番を考えておいておくれ」
 シリスの司会進行により、ゲームの参加者達はまずサイコロを握る順番を考え込んでいる。

「ころころ……ってことは、こういう順っと」
 そんな中、月はついたての裏で、こっそり六面のサイコロを振っていた。
 月は六面サイコロの結果を元に、サイコロを使う順番も運に任せて決めていたのだ。

「うーん、まだ最初ですし、こうしてみましょうか?」
 ルアンナはしばらく考え込んだ末、自身で選んだサイコロを手に取った。

「まずは小手調べ……というか、最初の運試しといこう」
 バーネットは軽い調子で最初のサイコロを握る。

「ふふ、私の勝負の仕方をご覧に入れましょう」
 その一方で、ノックスは不敵な笑みを見せていた。

「決まったかい? じゃあ、いよいよ最初のサイコロを出すよ。せーの!」
 シリスの掛け声と共に、参加者達はサイコロを握った拳をテーブルの中央で突き合せ、一斉に開く。

「なるほど、ノックスさんはいきなり四面ですか。勝負に出ましたね」
「最初は点数が低いですが、だからこそあえてですね」
 ルアンナが感心した様子を見せたように、ノックスは最初から四面サイコロを握っていた。

 その他、各自が握ったサイコロはバーネットが八面、ルアンナと月が十面、そしてシリスが二十面であった。

「じゃあ振るよ~。ころころ~」
 サイコロを転がす音を口で真似つつ、月が振った十面のサイコロは――。
 1の目を上にして止まった。

「惜しいですね、負けてしまいましたか」
「ふふ~。ルナは『持ってる』子だからね~」
 続くノックスの出目は惜しくも2であり、月に一歩及ばなかった。

「悪い目ではなかったのですが、仕方ないですね」
 そして、ルアンナの出した目は3であり。

「まあ、小手調べならこんなものか」
 次はバーネットが出した5の目と続き。

「ふふ、二十面はこういう時に稼いでおかないとね」
 最後にメダルを取ったシリスが出した目は12であり、シリスは出目と同じ12点分のメダルを追加で手元に囲い込んだのだった。

「こういうことがあるからゲームは楽しいんです。さあ続きをしましょう」
 四面のサイコロを使って一番を取ることができなかったノックスであるが、気持ちは前向きだ。
 そして先ほど振った四面のサイコロをついたての裏へと回収しようとし――。

「おっと、同じサイコロは二回以上使えないんだ。説明が分かりにくくて、すまないね」
「そうでしたか」
 シリスにそれを制止され、ノックスは四面ダイスを他の参加者達と同じように、ついたての脇によけた。

●
 二ラウンド目の開始時で、トップはシリスの13点。それに月の10点、ノックスの5点、ルアンナの3点、バーネットの2点と続く。

「最初にメダルを取った月さんより、シリスさんのほうがメダルが多いんですよね」
「始めのラウンドはメダルの山の点数が少ないし、そんなもんさ」
 ルアンナの分析にシリスが答えたように、メダルの山の点数はラウンドが進むごとに増えていく。
 次のメダルの山は、最大のもので12点だ。

「さて、次のラウンドへいくよ。サイコロは握ったかい?」
 シリスの確認に、参加者達は一斉に肯き、サイコロの公開が行われる。

 今回も一番小さなサイコロを握ったのはノックスであり、その面の数は六。
 バーネットが十面、月とシリスは十二面、そしてルアンナが二十面だ。

「だから言ったでしょう? 私は運が良いんです」
 手にした六面サイコロを振ったノックスは、何やら得意げな顔をしていた。
 見ると、ノックスの目前には見事に1の目を上にしたサイコロが鎮座している。
 ノックスより面が少ないサイコロを使った者は居ないため、このラウンドの一番は確定だ。

 続いてメダルの山を取ったのは、十二面でこれまた低い3の目を出した月。
 さらに、バーネットの出目が6とそれに続く。

「えっと、この場合、どうなるんでしたっけ?」
 そしてルアンナが疑問の声を上げたのは、ルアンナとシリスの出目が共に9であったからだ。

「あたしとルアンナじゃ使ったサイコロの面の数が違うからね。面の少ないあたしが先さ」
「ということは……やった、ボーナスです♪」
 シリスの説明にルアンナが喜んだように、この場合は最後にメダルを取ったほうが、出目の分ボーナスがあるだけ、お得なのだ。
 ルアンナは嬉しそうにストックからメダルを拾い上げて行った。

●
 このゲームにおいて、獲得したメダルはついたての裏に隠すことが許されている。
 つまり、他の参加者が何点を持っているかは、目で見て確認することができない仕掛けだ。
 とはいえ、各ラウンドに誰が何点獲得したか、は公開情報であるため、覚えていれば計算することは可能であったりする。

「今のトップはマグナだったな?」
「さて、どうでしょうね」
 周囲の警戒をトップに集めようとでもしたのかどうか、そのような言葉をバーネットがそれとなく口にする。
 しかしそれに対し、ノックスは涼しい顔をしていた。

 実際、現在のトップはノックスであり、その点数は17点。
 それを月が16点、シリスが15点、ルアンナが13点と僅差で追いかけており。
 バーネットは5点と苦戦を強いられていた。

「へえ、今回はばらけたじゃないか」
 各自が三ラウンド目に使用するために差し出したサイコロを見たシリスの感想が示すように。
 バーネットは六面、ノックスが八面、シリスが十面、ルアンナが十二面、月が二十面と、各自のサイコロは綺麗に分かれた。

「まぁ、出る時は出るもんだからな。悪いがこいつは貰っていくぞ」
 ここでバーネットにも運が回ってきたようで、六面で2の目を出して14点分のメダルをかっさらう。

 そしてノックスはここでも調子がいいようで、出目4により二番目にメダルを取ることができた。
 シリスは同じく4の目を出したものの、サイコロの面の数の違いで三番と出遅れる。
 ルアンナは出目6で四番に甘んじることとなり、そして――。

「これは昨日の『アレ』が効いたのかな」
 月は12の目を出すことにより、大きなボーナスを手にしていたのだった。

「アレ……? 何かのおまじないとかですか?」
「へへ、何かは内緒」
 不思議そうに首をかしげるルアンナに、月は思わせぶりな態度で謎を残していた。

●
 四ラウンド目の始めを迎え、トップは29点の月に入れ替わっていた。
 24点のノックスは二位となっており。バーネットとシリスが並んで19点。
 ここでルアンナが15点とわずかに遅れ始める。

 だんだんと手に入るメダルの点数も大きくなってきており、次は最大16点を競うことになる。
 参加者がサイコロを握る手に、緊張で力がこもる。

「これは……嫌な予感がするな。いや、まだ分からないが」
「はえ~、大丈夫だといいけど」
 公開されたサイコロを見て、バーネットと月に戦慄が走る。
 二人が握ったサイコロは、共に四面であったのだ。

 もとより強力な四面のサイコロを使っておいて、競合する他者に一番を持って行かれては、もったいない話だ。
 そればかりでなく、乱数の幅が小さい四面のサイコロは、バッティングを起こす確率が最も大きい。

「このラウンドは平均してサイコロの面が少ない印象ですね」
 そう話すルアンナが握ったサイコロは八面のもの。

 そしてシリスも八面のサイコロを握っており、ノックスは十面のサイコロを握っていた。

「ころりん……あっ!」
「やっぱりか……!」
 月が呪文のように擬音を唱え、あまり転がらない四面のサイコロを、手の中でよく振って投げる。
 そしてバーネットの振った四面のサイコロと出目を見比べ、二人で声を上げた。
 月とバーネットが振ったサイコロは、仲良く3の目を出していたのだ。

「なるべくバッティングは避けたいところだったが……」
「あのときイジメた蛙の呪いかな~」
 バーネットがぼやいたように、この状況はバッティングとなり、メダルの山が貰えないのだ。
 そして月は不運を嘆く際に、何やら物騒なことを呟いていた。

「ごめんなさい、これは私が貰っていきますねっ」
 そして八面のサイコロで3の目を出していたルアンナが、漁夫の利のごとく、最大のメダルの山をさらっていく。

「まあ、悪くはない結果ですかね」
 二番となったのは7の目を出したノックスで。

「悪いけど、三番目の山にボーナスがついてくるのは美味しいんだよねえ」
 8の目を出したシリスはメダルの山に加え、最後にメダルの山を引き取ったということで、出目のボーナスも手に入れた。

「次で挽回するからいいもんね」
 それを見た月は、ぷくっと頬を膨らませながらも、挽回を誓う。
 実際、月は点数的に悪くない位置に居た。
 まだゲームのラウンドは残されている――。

●
 四ラウンド目を終えた段階で、トップは32点のノックスに再び入れ替わっていた。
 そこに僅差で31点のルアンナとシリスが並んで続き。
 先ほどバッティングを起こしてしまった29点の月と、19点のバーネットがそれを追いかける。

 そして迎えた第五ラウンド。

「せーの!」
 例によってシリスの号令で、一斉に公開されるサイコロ達。

 今回、最も面の数の少ないサイコロを握ったのはルアンナで、四面のサイコロが開かれた手の中にあった。
 握ったサイコロの面の数が次に少なかったのは、六面のサイコロを手にしていた月とシリスだ。
 ノックスとバーネットは十二面のサイコロを握っており、この二人の間で最大の出目が争われる展開が予想された。

「よし、なんとか一番を取れました♪」
「すごーい。あなたの運を月に分けてよ~」
 ここで、ルアンナはきっちりと1の目を出し、18点という大きな得点を手に入れた。
 月も1の目を出していたが、サイコロの面の数の差により、惜しくも二番となる。

 シリスは3の目を出したことにより三番、ノックスは7の目を出し四番。

「ふぅ……こういう時の出目の悪さは、自分でも分かってるんでな。ま、この場合、悪くない目ということになるが」
 そして9の目を出したバーネットは、もともとの取り分のメダルだけでなく、ボーナスの点数をその手に掴んだのだった。

●
 ついにゲームは最終の第六ラウンドへと突入する。
 最大の点数は20点。このラウンドに手にした点数が、まさに勝敗を分けるであろう。

「泣いても笑ってもこれが最後……さて、文字通り逆転の目はあるか?」
 バーネットの点数はここに来て30点。
 トップとは大きく離されてしまったが、バーネットは笑みを崩さず、最後に残した二十面のサイコロをその手に握る。

「勝負は最後まで分かりませんよ」
 35点のノックスは、同じく残された二十面のサイコロに全てを賭ける。

「あんたはこの時のために取っといた虎の子なんだ。頼んだよ」
 36点のシリスは、点数が最大となるここまで四面のサイコロを温存していた。

「大丈夫、チャンスは十分だよ~」
 38点で八面のサイコロを握る月にも、その言葉通り勝機はある。

「このまま勝たせてください、お願いしますっ」
 そして49点とリードするルアンナは六面のサイコロを残していた。

「じゃあ一斉に振るよ? それっ!」
 シリスの掛け声とともに、各自の賽が音を立てて机上を転がり――。

●
「いやぁ、やっぱりあの時のバッティングが痛かったな。二十面でボーナスを取れなかったのも辛いところだった」
 額に手を当て、天を仰いだバーネット。
 バーネットは9の目を出すことで、最終ラウンドは四番を取っていた。
 結果、バーネットは33点が最終得点となったのだった。

「ま、これも勝負は時の運というやつかね」
 シリスは最終ラウンド、四面サイコロを使うもその出目は4であり、二番となっていた。
 その結果として、シリスの最終得点は46点となった。

「ちょっとの差でしたね……! でも楽しかったです!」
 ルアンナの最終得点は54点。
 最終ラウンドに6の目を出したことにより三番となっていたが、それまで稼いだリードにより、この位置につけた。

「ええ、ほんのあと一歩、及ばずでした」
 ノックスは最後に19という大きな目を出してみせた。
 手に入れたメダルの山こそ五番目のものであったが、出目によるボーナスを大きく稼ぎ、最終得点は56点となる。

「これは今夜はお祝いだね~」
 そして見事優勝を飾ったのは58点の最終得点を記録した、月であった。
 月は八面のサイコロを使いながら2の目を出し、最終ラウンドの一番を手にしたことで、逆転を果たしていたのだ。

「おめでとう、最後まで分からない勝負で面白かったよ」
「楽しかった~。シリスさんもありがとね」
 シリスが月の勝利を讃えると、月は機会の提供に対し感謝を示した。

「楽しかったですよ。思った以上に接戦になりましたね」
 ノックスの感想の通り、最後のラウンドの出目次第では、勝敗がひっくり返っていた可能性は十分にあっただろう。

「まぁ勝負の結果は残念だったが、楽しませてもらったよ……さて、もう一回やるか?」
「わぁ、いいですね。私、今度こそ勝ちたいです♪」
 勝ち逃げはさせないとばかりのバーネットの提案に、まだ遊び足りないとばかりにルアンナも乗り気だ。
 シリスの誘いにノータイムで食いついていただけあって、本当にこうした遊びが好きなのであろう。

 こうして女神の賽子亭は、今日も楽し気な声とサイコロの転がる音で賑わい続けた。
 賽子の女神も、きっとその様子を微笑ましく見守っていたことだろう――。

マスターコメント

 お疲れ様でした。空色みなもです。  このたびは当シナリオにご参加頂き、誠にありがとうございました!  皆さんにお集り頂いたおかげで、今回のゲームもまた楽しい会となりました。  なおダイスゲームのルールとの整合性を保つため、一部のプレイングに関しては、マスター判断で変更を加えさせて頂いております。悪しからずご了承ください。  また皆さんにシナリオ参加して頂けるのを心よりお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:無し4 / 4〜4人

2020年12月30日 11時23分57秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. 月

    キャスターのルナだよ。よろしくねー。

  2. ノックス・マグナ

    シューターのノックスです。 最初のダイスは四面を使います。 よろしくお願いします。

  3. バーネット・フォーサイス

    バーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。

  4. ルアンナ・ミュラー

    ルアンナです。よろしくお願いします♪

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0