【PT】クリンチ・ザ・アーグメント
鹿崎シーカー
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シナリオID:365
オープニング
ある村の食堂。タロットカードの山札をシャッフルしながら、ハーフビーストの占い師であるユズルはやってきた授恵者たちに声をかけた。
テーブルに敷いたクロスの上にカードを投げるようにサーブしつつ、話し始める。
「さて、アロシュナバラ砦の一件は皆さん既に聞き及んでー……というか、それ関連の仕事受けてる人もおられるかと思いますー。今回俺からする依頼もそのひとつですねえ。ま、何かというと、バルバロイ連中の補給線潰して欲しいんですよ」
アロシュナバラ砦近郊には、バルバロイたちが作った村―――というか、略奪品を保存しておくための倉庫群が存在する。そこには食糧や武器、金品など、砦のバルバロイたちへ輸送される物資の数々があるのだ。
「倉庫つっても一軒家より遥かに小さくて……そうですねえ、四人がかりで運ぶ大型台車ぐらいのサイズの奴が何台かまとめておかれてる感じです。砦の物資が足りなくなったり、逆に砦を取り返されたりしたらすぐに移動できるタイプのものですね」
だが裏を返せば、その道はアロシュナバラ砦にとっての補給線であり撤退ルートでもあるということ。もしアロシュナバラ砦のバルバロイたちを取り逃がしても撤退ルートを抑えておけば捕縛できるし、逆に籠城戦を仕掛けて来ても補給を断って兵糧攻めにも出来るというわけだ。
「ただまぁそういうのは向こうも理解してるんで、防衛と見張り役のバルバロイが何人かいるんですねえ。10人ぐらい? そいつらを叩きのめして補給路封鎖してほしいわけですよ」
ちなみに、彼らが守っている物資は全てどこかの村から奪ったものだ。取り返した後どうするかは授恵者たちに任せるものとする。
「っつーわけでひとつ、よろしくお願いしますわー」
解説
マスターより
リプレイ
しばし走った影のひとつ、セリオス・オーガストは手近な茂みの後ろに跳び込んで止まり、片膝立ちで茂み越しに遠くを見つめた。銀色の瞳が猫じみて光り、離れた場所にある雑木林を注視する。
「……外側に見張りが二人。内と外を歩き回る歩哨が一人。奥には情報通り台車がいくつか見える。バンビ、そっちはどうだ?」
セリオスの右隣りで闇が蠢く。それは黒いローブで全身をすっぽり隠したバンビだ。やや首を伸ばしたゴブリナは眉根を寄せて目を凝らした。
「こちらもそのように見えますわね。見張りと呼んでいいのか少々疑問ですけれど。酒瓶抱えて寝ておりますし……」
「長い夜が明け、明るくなりかけの頃だからな。見張りがいたとしてもこの時間は気が緩みがち……かもしれん」
二人の少し後ろで声を潜めつつ、ルオの指抜きグローブを嵌めたくゆる両手に藍色のオーラが薄れて消える。手の平を地面に押し当て、近場のノノアに目配せをひとつ。
「二人が目視できなかった分は捜波で探る。ノノアさん、確認を頼む」
「わかったわ。……お願い」
ノノアが目を閉じ、黒い狐耳をピンと立てた。それを横目に、ルオは両手に力を込める。
次の瞬間、ルオからそよ風めいた気配が広がる。セリオスとバンビが見守る中、ノノアは耳の先をぴくぴく動かし―――手近な樹の枝を拾い、地面に図を描き始めた。
四角形をいくつか一列に並べ、その隣に丸七つを円状に。それらの外側を多くの三角形で取り囲み、三角形の外縁に丸を二つ描き込んだ。
「……こうね。四角が物資の台車。丸がバルバロイ。焚火を囲んで夜通し酒盛りしてるみたい。ルオさんはどうかしら」
「合っている。これで間違いなさそうだ」
頷くルオ。バンビと図を覗き込んだセリオスは、背負った弩弓を抜いて矢筒を傍らに置く。
「最終確認だ。目的は敵の殲滅及び可能ならば補給物資の奪取。夜が明け切る前に奇襲を仕掛け、アロシュナバラ砦への補給線を断つ」
「補給路を断つのは、砦を落とすために有効な策だな。了解した。この依頼、見事完遂してみせよう」
「同じく。補給線を叩くのは戦の常道ですわ」
ルオがマントの裏地から細剣を二本引き抜き、バンビの微かに開いたローブの前から白い魔導書が顔をのぞかせる。ノノアもまた黒い剣と短剣を手に呟いた。
「どの道、バルバロイを放置すれば近隣の村に被害が出るわ。全員抹殺あるのみね。……行きましょう」
「援護致しますわ。まずは見張りから。オーガスト様」
「ああ」
バンビがセリオスと一緒に雑木林を見返ると同時、ルオとノノアが音もなく駆け出す。
矢を番え、弓を引くセリオス。ローブの中で魔導書を開き、片手の人差し指を突き出すバンビ。矢尻と指先に白い光を収束させ、狙うは雑木林外縁で酒瓶を抱えて舟を漕ぐ見張りバルバロイ二名!
「さて、夢見心地のところ悪いが、そのまま眠っていてもらおう」
「一射一殺にて参りますわ。射抜け!」
SMACK! 白いフラッシュを焚いて矢と光線が放たれ、雑木林に背中を預けてアグラをかいた見張りバルバロイ二人の脳天を一撃貫通殺! がくんと頭を落とした二人の脇をルオとノノアが通過した。
「よし、行くぞ」
「ええ」
セリオスとバンビは素早く腰をあげて雑木林へと接近開始。
一方、一足早く雑木林の中に入ったルオは、林の中央に向かって歩く歩哨に背後から組み付いて口を塞ぎ、喉笛を一閃!
「ふぐぅッ……!?」
ルオは目を見開き呻くバルバロイを連れてバックジャンプし、木の陰に隠す。そしてノノアが雑木林の中を煌々と照らす焚火と、それを囲んで談笑するバルバロイたちに急接近していく。
野蛮な馬鹿笑いを聞きつつ、二刀を構えた!
「あー……しかしあれだなァ。こんなシケたとこで物資守んのも暇だよなァ。女もいねえしよ……」
「まあ気にすんなよ。今日で砦の連中と交代だ。そうすりゃ、奴らが囲ってる女も犯せる!」
「けどそりゃどうせお下がりだろお? 俺ぁオボコが欲しいぜ」
「オボコが残ってるわきゃねえだろうが。貧乏くじ引いた不運を恨みながらヤろうぜ」
「それもそうだな。じゃ、俺たちのクソッタレな運勢に乾杯だァ!」
焚火を囲むバルバロイの一人が酒瓶を掲げたその時、彼の背後にノノアが踏み込む! 黒い竜巻じみた回転から斬撃を繰り出し近くに居た二人もろとも吹き飛ばした! BLOWWWWWW!
『グワ―――ッ!?』
突如吹き飛ばされたバルバロイ三人のうち二人が物資を乗せた台車に叩きつけられ、一人が焚火にダイブする! 延焼! 一瞬にして火だるまに!
「ぬあああああああああ! ぐああああああああああああああッ!」
燃え盛りながら転げまわるバルバロイ! 同じく焚火を囲んでいた他の面々は呆気にとられた顔でノノアの方を見た。ノノアは火の光を黒刀に移り込ませ、言い放つ!
「あんたたちを、殺す」
「なッ……!」
バルバロイたちは一瞬凍り付き、反射的に立ち上がりながらノノアへ飛びかからんとす! だが直後、彼らの輪のど真ん中に垂直降下する光球あり!
木の枝から枝へ飛び移りバルバロイたちのバンビが短く詠唱を言い捨てた。
「爆ぜよ!」
光球が―――SMACK、CABOOOOOOOOM!
『グワ―――――――――ッ!』
蛮族散らす大爆轟! 四方に吹き飛ばされた彼らの身体を礫めいて飛び散る光が次々と穿った! その時、唯一火だるまになり地を転がっていた蛮族の一人がトビウオじみて跳ね、バックジャンプから着地したノノアを狙う!
「てッ、てめええええええええええええええッ!」
蛮刀を抜いてバルバロイが斬りかかる! 闇雲に繰り出される斬撃を、ノノアは氷じみた表情でひょいひょいと回避。肩口を狙って振り下ろされる刃を、左の短剣の鋸歯状峰で受け止めた!
バルバロイは剣を振り上げようとして目を見開く。峰が蛮刀の刃を咥えて離さぬ!
「抜ッ、抜けねッ……!」
次の瞬間、彼の背後に滑り込んだルオが二刀を胴鎧の隙間に差し込み心臓破壊! 体を折ったバルバロイが血反吐を吐き出す!
「ぐぶぉッ……!」
「ノノア、もらっていくぞ」
「どうぞ」
ノノアが蛮刀から短剣を外すと同時に、ルオは前後反転しながら抱えたバルバロイの身体を投げ出す! 宙を舞う体にダッシュジャンプして左の剣で喉笛を裂き、右の剣を斬り下ろして地面に叩きつけた!
「ごはッ!」
殺戮の剣閃により急所を裂かれ尽くしたバルバロイが大の字に落下し、事切れる。その腹部に着地したルオは、慌てて跳ね起き剣を抜くバルバロイたちを睥睨!
焚火の火種が背後に立つ樹に大きな悪魔めいた影を投げかける。ルオは二刀流を構え、冷たく挑発する。
「来い!」
『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
バルバロイ六名が咆哮を上げてルオに殺到! その瞳は憤怒に燃えており、手負いの獣めいて理性を捨てて襲いかかるのだ! だが!
「雷よ!」
バンビが右手を振り上げ、ZGRAAAAAAAAK! 局所的豪雨じみて降り注いだ無数の雷がバルバロイたちに命中! 全身に絡みついて動きを止める! 木の枝の上に屈んだセリオスが弓を引いた。
「はい負けました、とは言ってくれないか。なら、仕方ない」
先端を銀色に瞬かせた矢を、SHOOOOOT! 銀の流星めいた一射がバルバロイ一人の側頭部に突き刺さると、逆側が爆散! 風の槍じみた衝撃波が並び立つ二名の頭部をもぶち抜き、脳漿を撒く!
飛び散った頭蓋骨の破片や髄液や血を浴びる残り三名、バンビの雷に巻きつかれながら地に伏し、目を見開いて鋭く息を呑む。
「ヒィッ……!?」
まな板に並んだ魚めいてうつ伏せに並ぶ三人のバルバロイ。その左右二人のうなじにノノアとルオの刃が突き刺さり、息の根を止めた。
残った一人が自由にならぬ体にムチ打ち顔を上げ、何かを叫ばんとする。しかしセリオスの矢が彼の側頭部を貫通殺!
日が山向こうからほんの少し顔をのぞかせる間に、バルバロイたちは雑木林の闇にて死したのだ。
●
「と、そうこうしているうちに朝になったが……」
セリオスが木槌で杭を打ち込みながら言う。
ゴッ、ゴッ、と鈍い音を立てながら徐々に埋まっていく木の杭を横目でチラ見したノノアは、樹の幹の根下にロープを結んだ。セリオスの独白が続く。
「ギルドも早いうちから動くものだな。おかげでこちらの手間も省けるが」
「呼びに行ったらすぐに動いてくれたわ。だから、こうして罠も張れる」
ぐっとロープを引きながらノノア。
二人よりやや離れた地点、倉庫型台車の傍では、ルオとバンビが旅人めいた格好のギルド職員男性と会話していた。ノノアの狐耳は、微かに聞こえてくる声を捉えている。
「……では、こちらの物資は周辺の村に配ります。場所が場所ですから、それほどの人数は派遣できませんが……」
「構いませんわ。寡兵ではありますが、奇襲にはむしろ好都合。大軍はむしろ邪魔ですわ」
「恐れ入ります」
職員がバンビに頭を下げる。バンビは右腕を胸の下に敷き、左手人差し指を頬に当てて物資を見やった。
「けれど、砦の一件が解決しない限りはまた奪われてしまうかもしれませんわね。だからといって、物資に毒は不慮の事故を引き起こしかねませんし」
ルオが眼鏡を押し上げた。その目は冷静である。
「その時はまた依頼が出るだろう。奪い返せばいい」
「ですわね。バルバロイたちに余計な入れ知恵などはしたくありませんし」
得心して頷くバンビ。ギルド職員の男は咳払いをして切り出した。
「ともあれ、ご協力に感謝します。これらの物資は補充要員が現れないうちに持っていく所存にて」
「そうしてくれ。……まぁ、一人二人なら問題ないだろう。なにせ、向こうの二人がささやかな罠を仕掛けているからな。嫌がらせ程度のものではあるが……」
ルオはセリオスとノノアの方を見て言った。セリオスは丸い耳をぴくつかせて話を盗み聞きつつ、地面に埋めた杭を引き抜き、足で落ち葉を被せて隠す。
人の脚を絡めとる程度の落とし穴である。それを物資の置かれた場所を遮る位置にいくつか。近場にはノノアがロープや枝での転倒トラップ、石やすり鉢状の穴で足場を悪くしていた。ルオが肩をすくめる。
「無いよりはマシだろう。転んで無様を晒したバルバロイなら、町娘でも捕らえられるはずだ」
「他の職員が引っかからないように忠告しておきます」
職員は至極真面目な面構えで返した。
木々と木の葉の合間から、朝の陽ざしが斑模様の影を落とす。徐々に太陽が昇る。ほんの僅かな時の殺戮劇は静かに幕を下ろしたのだ。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜4人
2020年12月24日 16時41分10秒 公開
相談掲示板
ノノアよ。よろしくね。 普通に戦って逃さなければ良さそうですね。 その後の物資をどうするかと、敵の撤退ルートでもあるので罠等を仕掛けられるぐらいかしら。何かやってみたい事があったら遠慮なく言ってね。
バンビですわ。 ノノア様のおっしゃる通りでよいかと考えますわ。補給物資は奪ってしまえば敵がまた補充してくれそうですわね。
シーフのルオだ。 よろしく頼む。
ん、シューターのセリオスだ、よろしくたのむ ・・・・どっちが蛮族かわからなくなるな<奪ってしまえば補給
盗まれた物を盗み返すとなると、どちらが正義か悪かなど分からなくなりそうですわね。 (バンビさん、ルオさん、セリオスさんに市場で買ってきたリンゴを差し出す) 5日の相談がありますがのんびりで良さそうね。 補給物資は近隣の村か難民に届けて有効活用など考えてますが、他に何か案があったら遠慮なく言ってね。
敵の補給路を制圧すればいいのだな。 雑木林での戦いになるか。 物資は、そうだな。 四人掛かりで運ぶような台車数台に分かれて置かれているのだろう? 俺達だけでどうこうはできない量だ。 まぁ、少しくらいの金品を抜いておくのは役得かもしれないがな。 ノノアさんの案でもいい。 俺達だけで配るのは骨が折れそうだが。 村や難民キャンプの方から受け取りにきてくれるなら手間は省けるな。 その場合は村や難民キャンプへの連絡手段が必要か。 ギルド預かりにするのも無難かもな。 いったん冒険者ギルドに物資を回収してもらう、とか。 リンゴか。 気前がいいな。有難くいただこう。
(自分でもりんごを食べながら) こっそり抜いて頂くのですね。 ギルドに回収は良さそうですね。報告をすれば他の冒険者や兵が援軍として駆けつけて運んでくれそうですね。 その場合は補給路の制圧に敵の砦からの退路を断つなので、滞在も兼ねてになるのでしたら、一名が最後にギルドへ報告に戻る感じが自然な感じになりそうね。 雑木林なので開幕の奇襲等は出来そうなのと、制圧なので全部倒す事になりそうね。後は敵を逃さなければ良さそうかしら。回復に関してはわたしはいつも持っているので、怪我等の治療補助は出来ますわ。
もっとあくどい思考をするなら、運びきれない補給物資については毒を仕込んでおくという手もありますわ。もっとも敵に入れ知恵をすることにもなるので速攻やり返されそうですが。
あくどい戦いが始まろうとしていた。 砦制圧されて逃げてくるバルバロイがいなかったら、毒入りの補給物資は気をつけないとギルドか村人が持っていきそうですわね。
ん、ありがとう(もらったりんごをしゃくしゃく まあくすねるのも寝覚めは悪いし、いう通りギルドに回収してもらえばそれに越したことはないな あとはまあ、運べるうちは運んで、万が一回収する前に向こうが増援だしたりしそうなときは小屋事焼き払って補給線潰しすればいいだろうか とりあえず戦闘自体はこっちが少ないから奇襲という形か。 やるなら明け方少なくとも暗視が必要ないぐらい明るみになってまだ敵が寝ぼけ眼の時を狙ってという感じがいいだろうか。そのまま敵の体制が整える前にこちらが優勢にできればいうことないが
一つ注意なのがこちらが雑木林の外から突入なので、敵が見づらい位置にいる可能性も考えて、探知系や暗視系はあってもよさそうですね。特に明け方に行動する場合は冬の時期の雑木林は暗い方ですからね。 敵の主力は砦で大規模交戦前な感じなので砦から増援は無いと思いますが、あちらの結果では逃走等で敵が来るかもしれないですね。 簡単に纏めるとこんな感じでしょうか、何かありましたら修正などですね。 ・戦闘は制圧で明け方、後の事を考えると敵は逃さないように (明け方の雑木林なので、暗視や探知等はあると便利) ・補給物資はギルドに回収(連絡が必要なら最後に誰かが向かう?) ・もしも砦からの敵の増援があれば補給を潰しとして燃やす。(保険として) ・人数差を補う為に奇襲等は有効 ・心配の場合ヒールを持ち自衛の保険 ・後何かあればその他、追加等
明け方に奇襲を仕掛けるのだな。 了解だ。 暗視は用意できる。 索敵のためにスキルには【捜波】を装備していこう。
ルオさんが捜波をご用意していただけるなら、ハイディングからの範囲奇襲を入れておくわね。こちらも暗視は普段使っていて使えるので、無い方がいましたら付いていく等が安心しそうですね。