ボクの相棒
三ツ星
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シナリオID:248
オープニング
駆け出し冒険者のルディは今大きな選択を迫られていた。
「冒険者たるもの相棒が必要だ!」
そう豪語するのはルディの父ロディ。
彼は元冒険者であり、冒険者時代は相棒と共に様々な依頼をこなしてきた。
現在ペットとして飼える狼、イノシシ、大鼬、栗鼠、ゴリラの中でどれを選ぶかルディが悩み始めてはや数週間。
悩みすぎた挙げ句ルディは冒険者ギルドに助けを求めた。
「どのペットがオススメか教えて欲しいんです……」
「オススメと言われても私はただの受付ですしねぇ」
「で、でも冒険者ならやっぱり相棒がいたほうが何かと便利ですよね!」
「うーんどうなんでしょう……そうだ! せっかくだから冒険者の先輩達に聞いてみましょうか」
そんなこんなで冒険者ギルドに新しい依頼が掲示された。
『あなたのペット自慢聞かせて下さい』
もちろん冒険者だからといって全員がペットを飼っているわけではないのだが、今回はひとまず置いておく事とする。
「こ、こんな変な依頼に果たして人が集まるんでしょうか……」
不安そうなルディに対して受付嬢はとても楽観的だ。
「大丈夫ですよ! ペットを飼ってる人ならきっと語りたくて語りたくて堪らないはずですから!」
「ちなみに全員が同じ種類のペットをオススメしてきたらボクはどうしたらいいんでしょうか……」
「その場合はそのペットが人気ってことですから、飼って損はないってことで良いんじゃないですかね。まあできれば色んな意見が聞きたいですけど今から気にしたってしょうがないですよ!」
「そんなものなんですかね……」
受付嬢の勢いに押されルディもひとまずは納得したようだった。
「ちなみにギルドの先輩に元冒険者の人がいるんでさっき聞いてみたんですけど」
「な、なんて言ってたんですか?」
「世話するのがめんどうだから飼ってない、ですって。何の参考にもなりませんよね」
「はは……」
その頃、ギルドの仕事をサボって酒場に来ていた件の先輩は。
「っくしゅん! 誰かが噂でもしてやがんな。まあ察しはつくが……」
果たしてどのペットが人気なのか、ルディの今後の冒険者人生はいかに。
「冒険者たるもの相棒が必要だ!」
そう豪語するのはルディの父ロディ。
彼は元冒険者であり、冒険者時代は相棒と共に様々な依頼をこなしてきた。
現在ペットとして飼える狼、イノシシ、大鼬、栗鼠、ゴリラの中でどれを選ぶかルディが悩み始めてはや数週間。
悩みすぎた挙げ句ルディは冒険者ギルドに助けを求めた。
「どのペットがオススメか教えて欲しいんです……」
「オススメと言われても私はただの受付ですしねぇ」
「で、でも冒険者ならやっぱり相棒がいたほうが何かと便利ですよね!」
「うーんどうなんでしょう……そうだ! せっかくだから冒険者の先輩達に聞いてみましょうか」
そんなこんなで冒険者ギルドに新しい依頼が掲示された。
『あなたのペット自慢聞かせて下さい』
もちろん冒険者だからといって全員がペットを飼っているわけではないのだが、今回はひとまず置いておく事とする。
「こ、こんな変な依頼に果たして人が集まるんでしょうか……」
不安そうなルディに対して受付嬢はとても楽観的だ。
「大丈夫ですよ! ペットを飼ってる人ならきっと語りたくて語りたくて堪らないはずですから!」
「ちなみに全員が同じ種類のペットをオススメしてきたらボクはどうしたらいいんでしょうか……」
「その場合はそのペットが人気ってことですから、飼って損はないってことで良いんじゃないですかね。まあできれば色んな意見が聞きたいですけど今から気にしたってしょうがないですよ!」
「そんなものなんですかね……」
受付嬢の勢いに押されルディもひとまずは納得したようだった。
「ちなみにギルドの先輩に元冒険者の人がいるんでさっき聞いてみたんですけど」
「な、なんて言ってたんですか?」
「世話するのがめんどうだから飼ってない、ですって。何の参考にもなりませんよね」
「はは……」
その頃、ギルドの仕事をサボって酒場に来ていた件の先輩は。
「っくしゅん! 誰かが噂でもしてやがんな。まあ察しはつくが……」
果たしてどのペットが人気なのか、ルディの今後の冒険者人生はいかに。
解説
あなたのオススメのペットの話を聞かせて下さい
ルディがいくつか質問するのでそれにお答え下さい
・あなたのペットの種類とその名前(いない場合は自分が飼いたいペットの種類)
・その種類のペットの魅力(自分のペット+その種として共通する魅力も)
・ルディにはどのペットが合うと思うか
・フリータイム(ペットとの思い出とかその他好きなことを語って下さい)
登場NPC
ルディ
キャスターの青年、金髪青目で華奢な体付き
性格は大人しめ、気が小さく押しに弱い
マスターより
ペットどれを選ぶか悩みますよね。
個人的には狼が好みですが、ルディくんはどのペットを選ぶのでしょうか。
全ては皆さんの熱い語りにかかっています。
リプレイ
ギルドの一室で始まったペット相談会。
種族もクラスも異なる様々な冒険者が集められた。
「あ、あの、皆さん今日はわざわざお集まり頂きありがとうございます。ボクはキャスターのルディです。き、今日はよろしくお願いします」
すっかり緊張している様子のルディにアルム=ラントは優しく声をかける。
「はじめましてルディさん。こちらは大鼬のチタさんです。どうぞよろしくおねがいします」
アルムの相棒の大鼬のチタはアルムの脇からひょこっと顔を覗かせている。
「ごきげんよう。私はダリア・レプシウスと申します。以後、お見知りおきを」
恭しくお辞儀をするダリアを見習いルディも深々と頭を下げた。
「それでは本題に入ります。ボクの相棒を決める為に皆さんの話が聞きたいんです。ま、まずは皆さんの相棒とその魅力を教えて頂けたらと……まだ相棒がいない人は自分の飼いたい候補でも良いです」
「ほう……相棒とな。若ぇのに立派な考えだな」
ルディの言葉に関心するソル・ランドグリーズ、その隣には彼の無二の相棒である白狼が控えている。
「俺の相棒はこの白狼のルナだ。相棒ってのは良いぞ。分かち合えば苦は半分に、楽しさはニ倍になる」
「良いことも悪いことも共に分かち合える……素敵な関係ですね」
次に手を上げたのはハーフビーストのリーフェ。
「私はリーフェ! うちの相棒のヴェルトはね、とってもいい子なの!」
余程ヴェルトの事が好きなのかリーフェの言葉にも思わず熱がこもる。
「ヴェルトは狼! 真っ白な毛並みでもこもこなんだよ。それに賢くてとっても頼りになるの! 魅力はねーなんといってもこのもふもふ! 抱き枕にしたり、抱き着いたりでとっても気持ちいいの! ずっと触ってたいほどに!」
そう語りながらリーフェはヴェルトに抱きついてもふもふし始めた。
ヴェルトも嫌がる様子はなくむしろ気持ちよさそうにしている。
その様子を見て頷くソルはルナを撫でながらこう続けた。
「ルナにも言えるがこの毛皮のもふもふが狼の魅力だな。それと帰属意識が強いのですんなりと家族と認められるところも良い」
「家族、ですか。それは素敵な関係ですね」
「せっかくだしヴェルトに触ってみる? あ、噛まないから安心してね!」
ルディはリーフェに促されるままヴェルトの美しい毛並みに触れる。
「わ……本当にもふもふだ」
ふわふわとしたその毛並みは触れているだけでどこか安心感を与えてくれる。
「勿論良い所は他にもあるよ。戦闘とかだと、前線をこの子に任せてるね。素早いし、とっても頼りになるの。私と別の敵の相手をしてもらうこともできるしね。自慢の牙と爪で戦うの!」
「狼って確かに強そうなイメージあります」
もちろん戦闘だけがペットの利点ではない。
シューターの使用するエーテルリンクがあれば探索でもペットは大活躍だ。
「私個人視点での大鼬の魅力はやはりその小ささでしょうか。私はこの通り体が大きいので、隙間を探索したいのに入れないなんてこともあるのですが、チタさんなら細い隙間にもするする入っていけちゃうんです」
今回集められた冒険者の中でも特に大柄のアルムは、小柄なチタによく探索を手伝ってもらっている。
「少し先の様子を見てもらったり、さらには壁歩きで登るのに時間が掛かる場所の様子を見てきてもらったりもできるんですよ」
するするとアルムの肩に登るチタ、大柄なアルムにとって自分では届かない部分をカバーしてくれるというのは大きな魅力の一つだ。
エーテルリンクを使えるアルムならではの活用法だが将来的には他のクラスでも使えるようになるかもしれない、とルディは期待に胸を膨らませる。
そしてアルムと同じく大鼬を連れているのは同じくシューターのテテリカ。
「俺は依頼に応じて連れていく獣を変えるのだが大鼬のベニテング、彼女と組むことが一番多い。今まで何度も助けてもらっている」
テテリカと相棒のベニテングはお揃いの首輪を付けているのだが、これはベニテングだけでなく他の獣も同様らしい。
「ベニテングは毛質や顔つきで誤解されがちだが、無邪気で愛らしい子だ」
綺麗好きなベニテングだが毛並みは刺々しくごわごわだ。
顔もどこか悪役風ではあるが、テテリカの言う通りテテリカの手にじゃれついている姿はどこか愛嬌がある。
そんな光景を見て和むルディにテテリカは小声で囁いた。
「ただ……肉食なので残酷な遊びも好きなんだ。小動物を狩ったりとかな」
「まあ肉食動物ですし、そこは慣れないとですよね」
血なまぐさいことがあまり得意ではないルディは想像して思わず身震いした。
今回参加している参加者の中にはルディのように未だ相棒がいない者も参加していた。
「じつは私もまだ相棒がいないんだよ。ルディくんと一緒だね」
彼女はハーフビーストのエルシー・サリバン、出稼ぎの為冒険者となった。
「あなたもまだ相棒が決められないんですか?」
ルディの問いに首を横に振るエルシー。
「まだなのはお金がね……。ゴリラとか大きい子は、ハートにピッときてもお腹一杯にさせれないだろうから栗鼠ってことだけは決めてるんだよ」
「餌をどうするかも考えないといけないんですね」
「その点栗鼠ならおやつの木の実は山で採れるし、私のご飯のお裾分けでも足りるのが良いよね。色々な子と会ってみて、一番ハートに来た子にしようと思ってるんだ」
「自給自足ってやつですね。ボクにはできるかなぁ……自信ないな」
「ルディくんは何を求めてるの? モフモフの癒し、頼もしさ、格好良さ、それとも実用性?」
「ボクが求めるもの……」
ルディは父に言われたからペットを飼うことにしたのであって何を求めているかなんて考えたこともなかった。
そしてこちらも同じくペットのいないエフィルミア、彼女は皆と違う選択肢を提示した。
「はい! 私は蛇が飼いたいです!」
相棒の候補としてなぜ蛇がいないのか、その理由は単純でお店で取り扱っていないからである。
それでもエフィルミアは蛇を飼うことを諦めていない。
「つぶらなお目目につやつや綺麗なボディ、獲物を狩る時の俊敏な動き……惚れ惚れしちゃいますっ! あとシーフと蛇の組み合わせはかっこいいです! 強さと可愛さを兼ね備えた立派なシーフっぽいじゃないですか!」
「あはは……シーフっぽい、ですか」
「あ、今ちょっと呆れました? ふふ、つまりそういう事なんですよ。確かに冒険者として戦闘でどう役に立つかは大事です。でもそれ以上に大事なのは、自分と相手との相性だと思います。いつも一緒にいる相棒ですもん」
どうせなら好きになれる相手が一番、エフィルミアが言いたいことはつまりそういう事なのだろう。
「種族としてではなく、その子を見てあげてください。この子と一緒に過ごしたいって思える子がきっと見つかりますよ」
「エフィルミアさん……そうですね。ボクもそれくらい好きになれる子を見つけたいです」
「私も実際蛇を扱ってくれるようになったら、毎日通って、毎日凄い悩んでから、運命を感じる子を迎え入れたいです! きゃー楽しみー!」
蛇との生活を想像して盛り上がるエフィルミア、彼女の為にも一刻も早く蛇が追加されるのを祈るばかりである。
●
ひとしきり各々の相棒や好みを聞いたルディは次の質問に移った。
「率直に聞きます。ボクに合うと思うオススメ相棒ってなんでしょうか」
相性というのは人それぞれ、自分に合うからといって他の人にも合うとは限らない。
「ルディは性格は大人しめ、気が小さく押しに弱いって面がある。そうなってくると気性の荒いペットは向いてねぇな」
ソルはルディの性格から分析し、狼、栗鼠、大鼬の順で候補にあげた。
「大型のペットには振り回されるんじゃねーかな。そう考えるとゴリラ、猪は個人的に除外だ。小型のペットは悪くないと思うが、いかんせん小型だ。いざという時に心細い気がする。そう考えるとやっぱり狼だな。こいつは言ってみりゃあしっかり者だ。相棒としてしっかり支えてくれると思うぜ?」
「ボクは臆病だから、なおさら頼りになる相棒が良いですよね」
リーフェのお勧めもやはり狼のようだ。
「そうだなー……私の一番のお勧めもやっぱり狼になるかな?」
ルディには前衛をはれる相棒がお勧めと言うリーフェ、候補としてゴリラやイノシシも挙げていたのだが。
「でも一番は狼かな! かっこいいし頼りになるしもこもこだし!」
「もこもこは外せないんですね」
そんな狼と同じくらいもこもこのアルムは意外にもチタと同じ大鼬ではなく狼を勧めた。
「私があえて狼をお勧めするのは格好良いと思っているからです。私が犬だから憧れてしまうのでしょうか。それに寒い季節は一緒に寝るときっと暖かいですよ。あ、これはチタさんも肩に乗せるとほかほかです。私だともふもふ同士で暑いくらいです」
もふもふ同士が合わされば倍のもふもふ、寒い季節には最高の組み合わせだ。
次に手をあげたのはダリア、それまで相槌を打ちながら皆の話を聞いていたダリアはやっと自分の出番と言うかのように意気揚々と前に出た。
「さ、次は私ですわね。冒険者には相棒が必要というお父君の言葉、私も同感です」
「ええ皆さんの話を聞いてボクもそう思いました」
「そこで私がオススメしますのは、犬ですわ。それも大型犬がよろしいと思いますわね」
「い、犬? 職人通りで見たことないですけど……」
ルディの返答を予測していたかのようにダリアは続ける。
「でしたら狼はいかがでしょう。狼は家族にとても愛情深いと聞きますわ。貴方ともきっと強い絆で結ばれること間違いありません!」
「強い絆かぁ……」
「冒険者になれば辛い事、苦しい事もきっとあるでしょう。そんなとき、傍にペットの狼がいてくれたらきっと心強いですわ」
「辛い時も苦しい時も一緒、なんだか家族みたいですね」
「ええ、家族も同然ですわ」
そう言って優しく微笑むダリア、人も動物も関係ない、長く連れ添えばそれは家族と言っても過言ではない。
「想像してみてくださいルディさん。嬉しい時には尻尾をブンブン振って、貴方の傍で愛想を振りまいてくれる狼。それを見たら幸せな気持ちになり、落ち込んだりしたときもきっと元気が出ます。どうです? 狼、気になってきたのではなくて?」
予想以上の狼推しにルディの心はだいぶ傾いていたがやはり他の種類も捨てがたい。
「悩むようなら俺からのお薦めは大鼬だ。推薦の理由はルディが悩んでいるからこそ、だな」
ペットにもそれぞれ得意不得意があるが、テテリカは大鼬のバランスの良さも理由として挙げた。
「大鼬は何かに特化していない分、様々な状況にそれなりに対応可能だ。もちろん実利の面だけではない。遊んだりスキンシップもしやすい」
ゴリラ等の大型動物相手だと遊びのつもりでも力の弱いルディでは怪我をしてしまうかもしれない。
そういう点でも小型のペットは優れてると言える。
「さっきも言ったけどやっぱりルディ君が何を求めてるかにもよるよね」
「ボクが求めるもの……考えてはいるんですけど上手く纏まらないと言いますか……」
「私もまだよくは判ってないけど……どの子にしても、大好きって迷わず思える子が良いと思うんだ。毎日あなたと居られて私は幸せだよって撫でて、戦う時は毅然と相棒として一緒に……迷わずそう出来る子……うん、きっとどの子も飼い始めたら可愛いね」
結局の所キミが好きと思える子が一番なんだ、エルシーはそう語りながら少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「あ……でもお勧めの種類は特にないけど……強いて言うなら私とお揃い、栗鼠を推すよ」
「栗鼠ですか。そしたらエルシーさんの栗鼠ともお友達になれますね」
実際に飼っている者の言葉には説得力がある。
しかしルディと同じく未だ相棒のいないエルシーの言葉だからこそ共感できる部分もある。
ルディを見て何か閃いた様子のエフィルミア。
「皆好きなら、もういっそ皆飼ってしまってもいいのでは? 取り巻きみたいに皆で傍に控えてたら……とても強そうです」
「で、でもさすがに全部だと色々と負担が……」
「そこは愛のために尽くすんですよぉ! うちの子の可愛さのためなら、何でも出来るでしょ! 戦闘では一匹しか連れていけませんけど、家で待ってる子がいれば這いつくばってでも生きて帰るって気合入りますし!」
「気合で乗り切れってやつですね……ボクにできるかな」
「できますよ! 気合で乗り切りましょう!」
踏ん切りがつかないルディにエフィルミアはぐっとサムズアップしてみせた。
●
意見を出し終わったリーフェはヴェルトとの思い出を語り始めた。
「ヴェルトとはね、授恵者になってから出会ったんだ。偶然森の中で怪我してるヴェルトと出会って、治療してあげて、仲良くなって、今では一番の相棒なんだよ。それに家族なの。これから先、ずっと一緒のね」
「素敵な思い出ですね。そういう運命的な出会い憧れるな」
「ルディも、そういった相棒に会えるように祈ってるよ」
二人の話を聞きながらソルはルナを優しく撫でた。
まだ子供だったルナとの思い出を思い出しながら。
「ペットとの思い出か……。ルナは赤ん坊の頃から俺が面倒見てたんだ。躾なんかも俺が全部やった。初めての狩りの時もルナは当時からしっかりしてたから一発で成功したんだ」
「一緒に暮らし始めたら、こんな予定じゃなかった……が一杯出ると思うけど、それも可愛いって感じたい。弟妹がそうなんだ。言う事は聞かないのに困った時だけお姉ちゃーん……なんて、そういう態度をされても可愛い子って思える子と出会えると良いね」
エルシーの言葉でルディは決心を固めた。
「皆さんのおかげで分かった気がします。ボク、これから職人通りに行ってきます!」
皆に見送られながらルディは職人通りへと急いだ。
(大事なのは好きって気持ち、考えるんじゃなくて感じるんだ)
職人通りのある店の前でルディは立ち止まる。
「なんて綺麗なんだ……」
ルディの目に映ったのは一頭の黒い狼。
ヴェルトやルナに負けない美しい毛並みと凛々しい顔立ち、そして何より黒狼もルディの方をじっと見つめていた。
「キミがボクの相棒だ」
黒狼をそっと撫でるルディの手に小さな影が飛びついた。
それは縞模様の鮮やかな栗鼠だった。
「その二匹は仲が良くて離れようとしない。そのせいで中々買い手がつかなくてね」
店主の話通りならこの二匹を離れ離れにするのは忍びない。
「ならこの子達両方ともボクが引き取ります。黒くて美しい君の名前は今日からノワールだ。小さくて可愛い君の名前はリース。改めてよろしくね」
こうしてルディは無事掛け替えのない、家族とも言うべき相棒を見つけたのだった。
種族もクラスも異なる様々な冒険者が集められた。
「あ、あの、皆さん今日はわざわざお集まり頂きありがとうございます。ボクはキャスターのルディです。き、今日はよろしくお願いします」
すっかり緊張している様子のルディにアルム=ラントは優しく声をかける。
「はじめましてルディさん。こちらは大鼬のチタさんです。どうぞよろしくおねがいします」
アルムの相棒の大鼬のチタはアルムの脇からひょこっと顔を覗かせている。
「ごきげんよう。私はダリア・レプシウスと申します。以後、お見知りおきを」
恭しくお辞儀をするダリアを見習いルディも深々と頭を下げた。
「それでは本題に入ります。ボクの相棒を決める為に皆さんの話が聞きたいんです。ま、まずは皆さんの相棒とその魅力を教えて頂けたらと……まだ相棒がいない人は自分の飼いたい候補でも良いです」
「ほう……相棒とな。若ぇのに立派な考えだな」
ルディの言葉に関心するソル・ランドグリーズ、その隣には彼の無二の相棒である白狼が控えている。
「俺の相棒はこの白狼のルナだ。相棒ってのは良いぞ。分かち合えば苦は半分に、楽しさはニ倍になる」
「良いことも悪いことも共に分かち合える……素敵な関係ですね」
次に手を上げたのはハーフビーストのリーフェ。
「私はリーフェ! うちの相棒のヴェルトはね、とってもいい子なの!」
余程ヴェルトの事が好きなのかリーフェの言葉にも思わず熱がこもる。
「ヴェルトは狼! 真っ白な毛並みでもこもこなんだよ。それに賢くてとっても頼りになるの! 魅力はねーなんといってもこのもふもふ! 抱き枕にしたり、抱き着いたりでとっても気持ちいいの! ずっと触ってたいほどに!」
そう語りながらリーフェはヴェルトに抱きついてもふもふし始めた。
ヴェルトも嫌がる様子はなくむしろ気持ちよさそうにしている。
その様子を見て頷くソルはルナを撫でながらこう続けた。
「ルナにも言えるがこの毛皮のもふもふが狼の魅力だな。それと帰属意識が強いのですんなりと家族と認められるところも良い」
「家族、ですか。それは素敵な関係ですね」
「せっかくだしヴェルトに触ってみる? あ、噛まないから安心してね!」
ルディはリーフェに促されるままヴェルトの美しい毛並みに触れる。
「わ……本当にもふもふだ」
ふわふわとしたその毛並みは触れているだけでどこか安心感を与えてくれる。
「勿論良い所は他にもあるよ。戦闘とかだと、前線をこの子に任せてるね。素早いし、とっても頼りになるの。私と別の敵の相手をしてもらうこともできるしね。自慢の牙と爪で戦うの!」
「狼って確かに強そうなイメージあります」
もちろん戦闘だけがペットの利点ではない。
シューターの使用するエーテルリンクがあれば探索でもペットは大活躍だ。
「私個人視点での大鼬の魅力はやはりその小ささでしょうか。私はこの通り体が大きいので、隙間を探索したいのに入れないなんてこともあるのですが、チタさんなら細い隙間にもするする入っていけちゃうんです」
今回集められた冒険者の中でも特に大柄のアルムは、小柄なチタによく探索を手伝ってもらっている。
「少し先の様子を見てもらったり、さらには壁歩きで登るのに時間が掛かる場所の様子を見てきてもらったりもできるんですよ」
するするとアルムの肩に登るチタ、大柄なアルムにとって自分では届かない部分をカバーしてくれるというのは大きな魅力の一つだ。
エーテルリンクを使えるアルムならではの活用法だが将来的には他のクラスでも使えるようになるかもしれない、とルディは期待に胸を膨らませる。
そしてアルムと同じく大鼬を連れているのは同じくシューターのテテリカ。
「俺は依頼に応じて連れていく獣を変えるのだが大鼬のベニテング、彼女と組むことが一番多い。今まで何度も助けてもらっている」
テテリカと相棒のベニテングはお揃いの首輪を付けているのだが、これはベニテングだけでなく他の獣も同様らしい。
「ベニテングは毛質や顔つきで誤解されがちだが、無邪気で愛らしい子だ」
綺麗好きなベニテングだが毛並みは刺々しくごわごわだ。
顔もどこか悪役風ではあるが、テテリカの言う通りテテリカの手にじゃれついている姿はどこか愛嬌がある。
そんな光景を見て和むルディにテテリカは小声で囁いた。
「ただ……肉食なので残酷な遊びも好きなんだ。小動物を狩ったりとかな」
「まあ肉食動物ですし、そこは慣れないとですよね」
血なまぐさいことがあまり得意ではないルディは想像して思わず身震いした。
今回参加している参加者の中にはルディのように未だ相棒がいない者も参加していた。
「じつは私もまだ相棒がいないんだよ。ルディくんと一緒だね」
彼女はハーフビーストのエルシー・サリバン、出稼ぎの為冒険者となった。
「あなたもまだ相棒が決められないんですか?」
ルディの問いに首を横に振るエルシー。
「まだなのはお金がね……。ゴリラとか大きい子は、ハートにピッときてもお腹一杯にさせれないだろうから栗鼠ってことだけは決めてるんだよ」
「餌をどうするかも考えないといけないんですね」
「その点栗鼠ならおやつの木の実は山で採れるし、私のご飯のお裾分けでも足りるのが良いよね。色々な子と会ってみて、一番ハートに来た子にしようと思ってるんだ」
「自給自足ってやつですね。ボクにはできるかなぁ……自信ないな」
「ルディくんは何を求めてるの? モフモフの癒し、頼もしさ、格好良さ、それとも実用性?」
「ボクが求めるもの……」
ルディは父に言われたからペットを飼うことにしたのであって何を求めているかなんて考えたこともなかった。
そしてこちらも同じくペットのいないエフィルミア、彼女は皆と違う選択肢を提示した。
「はい! 私は蛇が飼いたいです!」
相棒の候補としてなぜ蛇がいないのか、その理由は単純でお店で取り扱っていないからである。
それでもエフィルミアは蛇を飼うことを諦めていない。
「つぶらなお目目につやつや綺麗なボディ、獲物を狩る時の俊敏な動き……惚れ惚れしちゃいますっ! あとシーフと蛇の組み合わせはかっこいいです! 強さと可愛さを兼ね備えた立派なシーフっぽいじゃないですか!」
「あはは……シーフっぽい、ですか」
「あ、今ちょっと呆れました? ふふ、つまりそういう事なんですよ。確かに冒険者として戦闘でどう役に立つかは大事です。でもそれ以上に大事なのは、自分と相手との相性だと思います。いつも一緒にいる相棒ですもん」
どうせなら好きになれる相手が一番、エフィルミアが言いたいことはつまりそういう事なのだろう。
「種族としてではなく、その子を見てあげてください。この子と一緒に過ごしたいって思える子がきっと見つかりますよ」
「エフィルミアさん……そうですね。ボクもそれくらい好きになれる子を見つけたいです」
「私も実際蛇を扱ってくれるようになったら、毎日通って、毎日凄い悩んでから、運命を感じる子を迎え入れたいです! きゃー楽しみー!」
蛇との生活を想像して盛り上がるエフィルミア、彼女の為にも一刻も早く蛇が追加されるのを祈るばかりである。
●
ひとしきり各々の相棒や好みを聞いたルディは次の質問に移った。
「率直に聞きます。ボクに合うと思うオススメ相棒ってなんでしょうか」
相性というのは人それぞれ、自分に合うからといって他の人にも合うとは限らない。
「ルディは性格は大人しめ、気が小さく押しに弱いって面がある。そうなってくると気性の荒いペットは向いてねぇな」
ソルはルディの性格から分析し、狼、栗鼠、大鼬の順で候補にあげた。
「大型のペットには振り回されるんじゃねーかな。そう考えるとゴリラ、猪は個人的に除外だ。小型のペットは悪くないと思うが、いかんせん小型だ。いざという時に心細い気がする。そう考えるとやっぱり狼だな。こいつは言ってみりゃあしっかり者だ。相棒としてしっかり支えてくれると思うぜ?」
「ボクは臆病だから、なおさら頼りになる相棒が良いですよね」
リーフェのお勧めもやはり狼のようだ。
「そうだなー……私の一番のお勧めもやっぱり狼になるかな?」
ルディには前衛をはれる相棒がお勧めと言うリーフェ、候補としてゴリラやイノシシも挙げていたのだが。
「でも一番は狼かな! かっこいいし頼りになるしもこもこだし!」
「もこもこは外せないんですね」
そんな狼と同じくらいもこもこのアルムは意外にもチタと同じ大鼬ではなく狼を勧めた。
「私があえて狼をお勧めするのは格好良いと思っているからです。私が犬だから憧れてしまうのでしょうか。それに寒い季節は一緒に寝るときっと暖かいですよ。あ、これはチタさんも肩に乗せるとほかほかです。私だともふもふ同士で暑いくらいです」
もふもふ同士が合わされば倍のもふもふ、寒い季節には最高の組み合わせだ。
次に手をあげたのはダリア、それまで相槌を打ちながら皆の話を聞いていたダリアはやっと自分の出番と言うかのように意気揚々と前に出た。
「さ、次は私ですわね。冒険者には相棒が必要というお父君の言葉、私も同感です」
「ええ皆さんの話を聞いてボクもそう思いました」
「そこで私がオススメしますのは、犬ですわ。それも大型犬がよろしいと思いますわね」
「い、犬? 職人通りで見たことないですけど……」
ルディの返答を予測していたかのようにダリアは続ける。
「でしたら狼はいかがでしょう。狼は家族にとても愛情深いと聞きますわ。貴方ともきっと強い絆で結ばれること間違いありません!」
「強い絆かぁ……」
「冒険者になれば辛い事、苦しい事もきっとあるでしょう。そんなとき、傍にペットの狼がいてくれたらきっと心強いですわ」
「辛い時も苦しい時も一緒、なんだか家族みたいですね」
「ええ、家族も同然ですわ」
そう言って優しく微笑むダリア、人も動物も関係ない、長く連れ添えばそれは家族と言っても過言ではない。
「想像してみてくださいルディさん。嬉しい時には尻尾をブンブン振って、貴方の傍で愛想を振りまいてくれる狼。それを見たら幸せな気持ちになり、落ち込んだりしたときもきっと元気が出ます。どうです? 狼、気になってきたのではなくて?」
予想以上の狼推しにルディの心はだいぶ傾いていたがやはり他の種類も捨てがたい。
「悩むようなら俺からのお薦めは大鼬だ。推薦の理由はルディが悩んでいるからこそ、だな」
ペットにもそれぞれ得意不得意があるが、テテリカは大鼬のバランスの良さも理由として挙げた。
「大鼬は何かに特化していない分、様々な状況にそれなりに対応可能だ。もちろん実利の面だけではない。遊んだりスキンシップもしやすい」
ゴリラ等の大型動物相手だと遊びのつもりでも力の弱いルディでは怪我をしてしまうかもしれない。
そういう点でも小型のペットは優れてると言える。
「さっきも言ったけどやっぱりルディ君が何を求めてるかにもよるよね」
「ボクが求めるもの……考えてはいるんですけど上手く纏まらないと言いますか……」
「私もまだよくは判ってないけど……どの子にしても、大好きって迷わず思える子が良いと思うんだ。毎日あなたと居られて私は幸せだよって撫でて、戦う時は毅然と相棒として一緒に……迷わずそう出来る子……うん、きっとどの子も飼い始めたら可愛いね」
結局の所キミが好きと思える子が一番なんだ、エルシーはそう語りながら少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「あ……でもお勧めの種類は特にないけど……強いて言うなら私とお揃い、栗鼠を推すよ」
「栗鼠ですか。そしたらエルシーさんの栗鼠ともお友達になれますね」
実際に飼っている者の言葉には説得力がある。
しかしルディと同じく未だ相棒のいないエルシーの言葉だからこそ共感できる部分もある。
ルディを見て何か閃いた様子のエフィルミア。
「皆好きなら、もういっそ皆飼ってしまってもいいのでは? 取り巻きみたいに皆で傍に控えてたら……とても強そうです」
「で、でもさすがに全部だと色々と負担が……」
「そこは愛のために尽くすんですよぉ! うちの子の可愛さのためなら、何でも出来るでしょ! 戦闘では一匹しか連れていけませんけど、家で待ってる子がいれば這いつくばってでも生きて帰るって気合入りますし!」
「気合で乗り切れってやつですね……ボクにできるかな」
「できますよ! 気合で乗り切りましょう!」
踏ん切りがつかないルディにエフィルミアはぐっとサムズアップしてみせた。
●
意見を出し終わったリーフェはヴェルトとの思い出を語り始めた。
「ヴェルトとはね、授恵者になってから出会ったんだ。偶然森の中で怪我してるヴェルトと出会って、治療してあげて、仲良くなって、今では一番の相棒なんだよ。それに家族なの。これから先、ずっと一緒のね」
「素敵な思い出ですね。そういう運命的な出会い憧れるな」
「ルディも、そういった相棒に会えるように祈ってるよ」
二人の話を聞きながらソルはルナを優しく撫でた。
まだ子供だったルナとの思い出を思い出しながら。
「ペットとの思い出か……。ルナは赤ん坊の頃から俺が面倒見てたんだ。躾なんかも俺が全部やった。初めての狩りの時もルナは当時からしっかりしてたから一発で成功したんだ」
「一緒に暮らし始めたら、こんな予定じゃなかった……が一杯出ると思うけど、それも可愛いって感じたい。弟妹がそうなんだ。言う事は聞かないのに困った時だけお姉ちゃーん……なんて、そういう態度をされても可愛い子って思える子と出会えると良いね」
エルシーの言葉でルディは決心を固めた。
「皆さんのおかげで分かった気がします。ボク、これから職人通りに行ってきます!」
皆に見送られながらルディは職人通りへと急いだ。
(大事なのは好きって気持ち、考えるんじゃなくて感じるんだ)
職人通りのある店の前でルディは立ち止まる。
「なんて綺麗なんだ……」
ルディの目に映ったのは一頭の黒い狼。
ヴェルトやルナに負けない美しい毛並みと凛々しい顔立ち、そして何より黒狼もルディの方をじっと見つめていた。
「キミがボクの相棒だ」
黒狼をそっと撫でるルディの手に小さな影が飛びついた。
それは縞模様の鮮やかな栗鼠だった。
「その二匹は仲が良くて離れようとしない。そのせいで中々買い手がつかなくてね」
店主の話通りならこの二匹を離れ離れにするのは忍びない。
「ならこの子達両方ともボクが引き取ります。黒くて美しい君の名前は今日からノワールだ。小さくて可愛い君の名前はリース。改めてよろしくね」
こうしてルディは無事掛け替えのない、家族とも言うべき相棒を見つけたのだった。
マスターコメント
ルディは無事相棒を見つけることができました。
これから冒険者として様々な困難に立ち向かう時、きっと相棒が彼を支えてくれることでしょう
ご参加ありがとうございました。
ショートシナリオ易しい 報酬:少ない7 / 4〜8人
2020年12月01日 10時11分57秒 公開
大成功
相談掲示板
シューターのソル・ランドグリーズってもんだ。 今回はよろしく頼まぁ。
シューターのアルムです。 うちの子は大鼬です、よろしくおねがいします。
シーフのエフィルミアです!よろしくお願いしますっ。 まだペットは飼っていませんけど、ヘビを売ってほしいなぁって思ってます! シーフに蛇って凄くかっこいいですよねー! つぶらなお目目につやつや綺麗なボディ、獲物を狩る時の俊敏な動き…惚れ惚れしちゃいます…(うっとり) (こほん)つまり何が言いたいのかと言うと! 難しく考えず、自分の愛せるものを飼うべき!という事でしょうか! 考えるな、感じろっです!
テテリカ。シューターだ。よろしく。 仕事内容に合わせて連れていく獣を変えるスタイルだ。 この依頼には、一番組む機会が多い大鼬と共に参加する予定でいる。
ウォーリアのダリア・レプシウスと申します。 よろしくお願いいたしますわ。 シューターの方々がお詳しいとは思いますが、私も私見を述べさせていただこうと思います。 ルディさんの参考になればいいのですが。
シューターのリーフェだよ!よろしくね! 私は狼をオススメするつもり!私の相棒だよ!
シューターのエルシー・サリバンだよ。 みなさま、よろしくお願いするね。 まだペットが居ないので、どんな子が欲しいか憧れをお話しするよ。 好きな事をお話しできて、聞いて貰えるって、とても嬉しいね。