【PT】例えこの命が尽きた後も
岩岡志摩
コメント 25
シナリオID:224
オープニング
バルバロイの蜂起を受け、当該地域に薬をはじめとした不足しがちな物資を運ぶための商隊の1つが、この日襲撃に遭い戦闘に至る。
リーンエス王国北西部を走る山道で交戦しているのは、病が蔓延した王国北西部のアロシュナバラ周辺地域へと薬を運び込む予定だった商隊と、積み荷を根こそぎ奪おうとするバルバロイと思しき山賊の一団だった。
バルバロイ達はまず荷馬車を運んでいた馬を屠り、荷の移動を妨害した。
このとき商隊の護衛を務めていた者達は、山賊達と戦いながら依頼主である商人と、彼の携帯する僅かな薬を逃がすことに辛うじて成功していたが、それが限界だった。
数の多さを頼みに山賊達はなおも斬りかかり、残る者達は荷の薬を守るべく必死の奮戦を続けている。
この中で護衛のリーダーを務める巨漢の男は、必死の形相で大槌を振った。
大槌が唸りをあげ、血煙が舞い上がり、頭蓋を叩き潰されたバルバロイが大地に倒れ絶命する。
しかし他の護衛達はバルバロイの数を減らしながらも1人、また1人と討たれていき、リーダーにも馬に騎乗した別のバルバロイが槍を手に躍りかかる。
「もう許さねえ! 仲間の仇だ!」
しかしリーダーは憤怒を込めて怒鳴りつける。
「この積み荷には多くの人々の命がかかっているんだ! バルバロイ風情が偉そうに吠えるな!」
怒りをそのままにリーダーが大槌を振り上げ、バルバロイは馬腹を蹴ってリーダーに肉薄する。
「どりゃあっ!」
突き出されたバルバロイの槍が、銀光を纏って男に迫る。
「邪魔だ!」
リーダーの怒号と共に、大槌が槍を打ち止めた。
一瞬の激突の後に大槌が槍へと逆襲をかけ、大槌を受けた槍の穂先が砕け散る。
「な、なんだと!?」
仰天したバルバロイは剣へと武装を換える。その瞬間、バルバロイは目を剥いた。
リーダーが大槌を投げ捨てると、大槌が土煙を上げて転がるより早く、馬の下に飛び込んだ。
そのままリーダーは馬の腹に両手をあて、凄まじい気合いと共に、馬を高く差し上げる。
「この積み荷は守り抜く! てめえらには絶対に渡さねえっ!」
叫びと共に、リーダーは顔を真っ赤に染めて体を大きく反らせ、バルバロイごと馬を力いっぱい投げつけた。
悲鳴を上げたバルバロイが、馬と共に宙を舞う。
地に叩きつけられたバルバロイの頭上から、四肢を必死にばたつかせながら、バルバロイの馬が落下する。
名状しがたい悲鳴を上げて、バルバロイの頭が大地に沈む。両足が跳ね上がり、次いでぱたりと落ちて、噴き出す血が大地を染める。
「思い知ったか、バルバロイが!」
絶命したバルバロイを見下ろして、リーダーが大槌を拾い上げた時、弓弦が矢を放つ響きがリーダーの鼓膜を震わせる。
バルバロイの生き残り達がリーダーや残る護衛達を囲み、頬を引きつらせて次々と矢を放つ。
飛翔音を散らして飛んだ矢が、リーダーや残る護衛達の体を貫いた。
数えきれないほどの矢が突き刺さり、護衛達が倒れていく中、総身から血を噴き出しながらリーダーはよろめく足を踏みしめ、血まみれの顔が獣の形相を刻む。
人間のものとは思えない咆哮がリーダーの口腔から噴出し、なおも矢を射かけてくるバルバロイ達のただ中に、暴風と化したリーダーが血を振りまいて突っ込んだ。
バルバロイ達の悲鳴があがり、大槌の唸りが風を裂き、肉と骨を打ち砕く異音が幾重にも重なって響き渡る。
まもなく粉砕されたバルバロイ達の死体が血の泥濘にまみれて散乱し、それが最後の力だったのか、リーダーも仰向けに倒れていった。
●大切なのは生きてる人達の意思
護衛達の奮闘で逃げることができた商人は、息も絶え絶えに冒険者ギルドへと駆けこんできた。
「この山道でバルバロイらしき集団に襲われました! どうか救援をお願いします!」
商人が本来の輸送ルートを示した地図を見せながら、ギルドに救援依頼を出す。
しかし事態は『続報』によってさらに変化する。
その続報は荷馬車の御者をしていた者によって届けられた。
「だ、駄目です……。みんなやられてしまって……みんなが……」
この御者は逃げ遅れて近くの茂みへと潜り込み、難を逃れることができたらしい。
恐ろしいものでも見たのか、恐怖に震えながらも御者は商人が逃げおおせた後の詳細を報せていく。
護衛達とバルバロイ達だが、両者相討ちで生存者はゼロ。
積み荷は現場に取り残されたままになっている、とのことだ。
護衛の全滅に、商人はしばし瞑目すると、御者に問いただす。
「バルバロイも全滅したなら、薬を運び出すのは問題ないだろう?」
しかし御者は首を横に振る。
「理由はわかりませんが、死んだ護衛達の一部がゾンビになって荷を積んだ馬車を取り囲んでいます」
特に護衛のリーダー役を務めていた人物のゾンビが、荷馬車の前で仁王立ちをしているという。
まるで死してもなお、積み荷の薬を守るかのように。
そのため御者は荷に手を付けることができなかったが、ゾンビ達は馬車から離れるような動きはしなかったため、ここまでたどり着くことができたようだ。
「そうなると依頼内容は救援ではなく、荷の確保とゾンビの撃破ということになるな」
職員は感情を隠し淡々とした様子で、依頼内容を修正していく。
「荷馬車を曳くための代わりの馬はこちらで用意します」
この頃には気持ちを建て直した商人が、依頼に必要なものの手配を申し出る。
その中には、大きなものを包む布や別の荷馬車も含まれていた。
「冒険者の皆様にお願いします。薬の確保が最優先なのは変わりません」
ここで商人は唇をかみしめ、うつむいたまま感情を殺して訴える。
「倒してからで構いません。別の馬車を用意しますので、最後まで薬を守り続けてくれた護衛の方々の骸を持ち帰ってくれませんか?」
遺体を包む布や必要な道具類はこちらで用意すると商人は約束する。
「我儘だと思ってくれて構いません。ですがゾンビが出てくるような場所に埋めるのは、あまりにも彼らが報われません」
ゾンビとなった護衛達に感情が残っているとは思えない。
それは商人もわかっているが、それでも彼は最後まで任務を全うした護衛達を丁重に葬りたかった。
「判断は、現地に向かう冒険者たちに任せる……ということでいいか?」
交渉の末、ギルドは依頼に応じて現地へ向かう皆様に、商人の願いを聞き届けるかの判断を委ねることにした。
●やること
今回皆様にやってほしいのは、バルバロイに襲われた現場に残る積み荷の確保です。
この荷は王国北西部のアロシュナバラ周辺地域で蔓延している病気に効果のある薬で、これを現地に運ぶため商隊は山道を進み、そこでバルバロイと思しき一団の襲撃を受けました。
交戦の末、護衛達はバルバロイ達と相討ちとなり、全員死亡しています。
しかし護衛達の遺体がゾンビと化し、荷を積んだ馬車周囲にいるため、ゾンビ達を倒さないと積み荷の薬は確保できません。
なお依頼主である商人より、護衛の役を全うした者達の遺体も一緒に回収してほしいと頼まれていますが、それを受けるか否かの判断は皆様に委ねられています。
現場は普段人気のない山道で、現在一時的に現場周囲をギルドの派遣した別動隊が封鎖していますが、長くはもちません。
どうか薬を待つ人々のために。
荷を奪われまいと最後まで戦った護衛達のために。
皆様のお力を貸してはくれませんか?
解説
マスターより
リプレイ
8人の冒険者達が現場に到着した時、山道を抜ける風は不穏の匂いを孕んでいた。
「死してなお、役割を果たそうとするその気合、尊敬するよ」
バクル・バスリーが前に出て見据えるのは、かつて荷を守り抜いた護衛達。
「きみたちの任務、ぼく達が引き継ぐよ。そして、きみ達が人を襲って悪者にならないよう、ここで倒させてもらうね」
今はゾンビ(以下『骸』と略)となって立ち塞がる者達へそう宣告し、バクルは疾走を始める。
「命を賭して薬を守ってくれてありがとう。この先はうちらが引き受けるよ」
フリューリングスルフト=ティエラ(以降『フリュー』と略)は、鉄の短剣を抜き放つと骸に切先を向ける。
「だから。安心して眠って」
そう呟くと、フリューは骸達のもとへと駆けだした。
「命がけで守ってくれた積み荷を、今度はボクたちが倒して確保するなんてねー」
アルマ・ヴァレンタインは、護衛だった骸達を倒さなければ、事件は解決しない今の状況にため息をつく。
「……気が重いけどしょうがないか」
意識を切り替えると、アルマは正面から骸との距離を縮めていく。
「人が死してなお、こんな風になってちゃいけない」
マーハ・アセトシソンは骸に向け、言い聞かせるように声をかける。
「……もう少し我慢しててね。僕たちが楽にしてあげるからさ」
マーハは魔導の潮流を行使して、自らのエーテルを燃やし、魔力を増幅させていく。
「私はできる限りゾンビ達をまとめて誘導しようと思います」
今回が依頼初参加となるシルワ・カルブクルスは、自身の役割を表明する。
死んだ護衛達を再び倒すことに、シルワは思うところもある。
「まずは私が脅威だと相手に思わせるよう、動きます」
それでも自分がすべきことをするだけと、シルワは意識を引き締めてチャージングを行使し、骸達へと突進する。
「さーて、やるとすっか。積み荷も、遺体も、きっちり回収させてもらうとしようや」
ザインは特に気負う様子も見せず、同行するRe:Leeへと視線を向ける。
「そいじゃ、合わせていこうぜ、リリィちゃん。綺麗な体に怪我してくれんなよ?」
ザインからの気遣う声に、Re:Leeは「もちろんだよ、ザイン」と頷いて、骸を見据える。
「ぬぅ……腐ったものが動き回るのは正直キモいけど、それがかつての護衛様とはねぇ……」
今回の骸達は死んでからそれほど時間は経過していないようなので、Re:Leeが言うほどの状態ではないようだが……。
「とにかく静かには眠らせてやれないけど、寝かしつけてはあげないとね」
Re:Leeは自分なりの言い回しで骸を倒して眠らせると呟き、ザインと共に骸との交戦を始める。
「あぁ! この地は死と腐臭に満ちて汚れている! 守ろうとする信念と、この地の汚れが融合した結果がゾンビ化でしょうか?」
ギーゼラはある種の感嘆をこめて、ゾンビと化した元護衛達を見つめている。
死してゾンビとなった者達は、今も荷を守っているといえなくもない。
「素晴らしいです! その信念を今から砕くのだと思うと……私興奮してしまいます!」
それが独特の感性を持つギーゼラの心の琴線に触れたのか、ギーゼラは高揚しながら骸退治へと乗り出す。
様々な思惑と共に、骸退治と荷の回収が始まった。
●交戦
冒険者達が、骸達と背後の荷馬車をめがけて走り寄る。
「バクルさん。リーダー格以外をできる限り引き寄せますので、残った方の誘導をお願いできますか?」
「了承だよ、シルワさん。もし一緒にリーダー格もきてしまったら、ぼくの方で引き付けるよ」
シルワとバクルは短いやり取りをした後、別々の方角へと向かい、それぞれシーザーロアを行使して骸達の誘引にかかる。
シルワとバクルより殺気と共に叩きつけられたエーテルを受けた骸達は、1体ずつ2人の後を追う。
このうちバクルのほうにはリーダー格が向かい、3体の骸が荷馬車近くに残る。
「今ですマーハさん。引き寄せた敵への対処をお願いします」
「今片付けるぞ、カルブクルスさん。少し待っていてくれるかい?」
シルワからの要請にマーハが応え、シルワに誘引される骸を射程に捉えると爆炎を行使。
「我が掌中に轟くは紅蓮の炎! エクス―ップロ―ジョン!」
凛としたマーハの叫びが上がり、その瞬間骸の足元より火焔の花が咲いた。
紅蓮の炎が噴き上がり、骸は炎に包まれ損傷を蓄積させていく。
そしてシルワも炎が消えたところで反撃に転じ、骸のもとへ飛び込み薙ぎ払いを行使。
シルワは片足を軸にして木の斧を一閃する。
真横へ一回転する斧刃をまともに浴び、既に炎を受け脆くなっていた骸は倒れ伏し、動かなくなる。
「敵が馬車から離れないなら、そこに祈雷を設置するまでです」
ギーゼラは残る3体の骸のうち、比較的荷馬車から離れた位置にいる1体の骸に向け、祈雷を行使。
ギーゼラの祈りにより、荒れ狂う雷を孕んだ霧がその場に顕現し、骸を押し包む。
霧の中が輝きを帯びて、灼熱の軌跡を走らせた稲妻が骸達を打ち据え、損傷を負わせていく。
「聖なる雷は痛い? それとも暖かい? ゾンビじゃ分かりづらいですねぇ」
骸達の反応が希薄なことに、ギーゼラが小首を傾げる中、疾風足を行使して瞬間的に移動力を倍加させたフリューが、その骸へと突っ込んだ。
「遺体がこれ以上損壊する前に、手早く眠らせてあげたいんだよね」
フェザーステップによる機動力を維持したまま、骸へと肉薄したフリューはダブルエッジを行使。
鉄の短剣が2筋の剣光を描いて骸に襲いかかり、2筋の斬痕を刻んだフリューは後方へ飛びのき、その眼前を骸の剣が通過する。
「必要に応じて反応強化も使うつもりだったけど、必要なさそうかな?」
予想通り骸の動きが鈍いことを確認したフリューは、そんな考えを抱く。
そしてバクルに追いついたリーダー格がバクルへと大槌を打ち下ろす。
その一撃を鉄の盾で受けると同時に、盾を持つバクルの腕が痺れに襲われる。
「これが守りきった英雄達の攻撃か! 死体になって鈍る前に体感したかったな」
バクルはリーダー格を称えながらも、防御集中を行使して防戦を維持する。
この頃ザインとRe:Leeは、味方の行動を支援すべく、荷馬車後方に残る2体の骸達への対処に動いていた。
「あいつの足止めは任せてってね。さっさと周り片付けちゃお、ザイン」
「そうだな、リリィ。シューターの腕の見せ所……格好いいとこ見せてやんぜ!」
Re:Leeとザインはそう言い交わすと、Re:Leeとザインはそれぞれ骸達を捕捉していく。
まずRe:Leeが魔霞を行使すると、Re:Leeより霧状のエーテルが撃ちだされる。
そのままRe:Leeの霧状エーテルは先頭を動く骸を覆いつくし、骸の剣は霧を裂くだけでRe:Leeには届かない。
ほぼ同時にザインも鉄の弓の弦を引き絞り、残る骸に向けハーツベインショットを行使。
不可視のエーテルを纏った矢が弓弦を鳴らして撃ち放たれ、骸の胸に突き立つとその身を蝕んでいく。
仲間達が骸達を誘引して交戦する間に、アルマは荷である薬を積んだ荷馬車を射程に捉えていた。
「初動が肝心になると思うので、荷馬車が巻き込まれないよう『光縛封』で結界を張って保護するよ」
まずはこの荷馬車に被害が出ないようにすべく、アルマはそう宣言して光縛封を行使。
その直後、六角柱状の光の檻が顕現して荷馬車を囲い、骸達の接近を妨げる。
今のところ骸達が繰り出すのは物理攻撃のみなので、骸達の攻撃でこの結界が破られ、荷が破壊される可能性は低くなった。
「いちおう敵は前衛組が抑えてくれるみたいだけど、敵が迫ってくるようならボクも前にでて食い止めるよ」
アルマは荷馬車の保護を終えると、そう言って仲間達の援護へ戻っていった。
●撃破
いまだに激闘は続いているが、冒険者達は優位に戦いを進めており、骸達も1体が倒され残りは4体。
「獲物を追い込んで仕留めるのはおれっちの十八番だぜ」
ザインはエーテルリンクも駆使して狼との連撃を行いながら、Re:Leeとも共同で骸を追い詰める。
交戦するさなか、ザインのホークアイがRe:Leeへと迫るもう1体の骸を捉えると、即座にザインは駆け出し、Re:Leeとその骸の間へと強引に割り込む。
「それだけは、させねぇよ……!」
腕を斬られながらもザインはそう吠え、後方から「……ザインを傷付けたね?」と低い声が響き、Re:Leeが前に出る。
既に魔導の潮流によって攻撃力を底上げしていたRe:Leeは、そのまま魔矢を行使。
「ザインを傷付けることは、骸だろうと許さないから♪」
Re:Leeの声は歌うように軽かったが、その眼は笑っておらず、射出された光の矢が骸の身を貫く。
「迷わず往生させてやんよ!」
ほぼ同時に、再び距離をとったザインも骸2体を射程に捉え、炸光矢を行使。
エーテルを籠めた光の矢弾が骸達のただ中で炸裂し、まき散らされた無数の光の破片が骸達を貫くと、既に脆くなっていた2体の骸は倒れ、動かなくなる。
このときアルマは戦場を駆け巡り、味方の負傷治療や支援にあたっていた。
「治療や支援が必要なら、ボクに声をかけてね。状況に応じた治療や支援をしていくつもりだよ」
その言葉通り、アルマはヒーリングオーラによって仲間達の負傷を癒して活力を与え、堅甲を行使して仲間達を淡い透明な光で包み、その防御性能を強化する。
「手が空くようなら『魔矢』で補助攻撃もしてみようかな?」
アルマは治療や支援の目途がついたところで、そんなことを思案しながらも、再び仲間達の支援へと駆けだす。
その間にアルマが構築した光縛封の結界が持続時間を過ぎ、消える。
間髪入れず、今度はギーゼラが光縛封を行使して、荷馬車の周囲に光の檻を再度顕現させ、再び荷を守る。
この時ギーゼラは、リーダー格との戦いへとフリューを向かわせ、残る骸の相手を務めていた。
「守ろうとした物を攻撃するほど知能が落ちているなら、つまらないですねぇ」
期待(?)したような反応や行動をとらない骸を、ギーゼラは冷めた目で見据えている。
「信念のない雑魚を屠っても、いまいち興奮しません――興醒めです、潰れて消えろ」
ギーゼラが冷たく宣告すると、骸へと打ちかかる。
攻撃を受け止めた骸の剣が跳ね上げられ、翻った硬木の戦槌が落下して、骸の頭を強打した。
既にフリューやギーゼラの雷を受け、損傷を蓄積させていた骸はその一撃を受け黒ずんだ血を溢れさせて転倒し、沈黙する。
その間にリーダー格のもとへと到達したフリューは、一度周囲を見渡す。
フリューが見渡す限り、今バクルやマーハ、シルワと交戦中のリーダー格以外に動く骸はもういない。
「他は全て倒せたようですね。ではうちも加勢します」
戦闘中の口調でそう呟くと、フリューは先手必勝によりエーテルを体内に巡らせて反応速度を高め、リーダー格へと斬りかかる。
(どうか、安らかな眠りを)
フリューは心の内でリーダー格への祈りを捧げ、バーストストライクを行使する。
フリューの短剣が一瞬燃え上がるように眩く輝き、威力を増してリーダー格の身に斬痕を刻む。
「もうこれ以上頑張る必要ないんだよ……君は役割を全うしたんだ」
フリューと入れ違いにマーハが進み出て、リーダー格にそう訴える。
いまだ倒れず、大槌を振るって戦い続けるリーダー格へと、マーハはさらにこう言い添える。
「だからどうか僕達の攻撃を受け入れてほしいんだ……アーケインテンペスト!」
マーハの言葉と共に、無数の稲妻を取り巻く光球が顕現し、リーダー格を押し包むと、稲光はリーダー格へと絡みつき、その移動を妨げる。
「これから相手の防御力を低下させます。バクルさんはその後に打ち込んで下さい」
シルワはそう言い残すと疾駆し、リーダー格との距離を詰める。
一気に肉薄したシルワは、リーダー格に向け破鎧砕を行使。
肉体を蝕むエーテルを纏った斧がリーダー格の身に突き立ち、その効果を発揮してリーダー格の身を脆くする。
「防御を削ぎました。あとはよろしくお願いします」
バクルに向けそう言い残し、シルワは後をバクルに託す。
「守りきった英雄! 最後にぼくの鍛錬に付き合ってもらうよ!」
バクルはそう宣言してリーダー格へと肉薄すると、強打を行使する。
「来世にこの一撃、もっていきなよ!」
叫びと共にバクルの鉄の斧が、威力を重視した強力な一撃と化してリーダー格に叩きつけられる。
それが決定打となり、リーダー格の体は黒ずんだ血を流して仰向けに倒れ、今度こそ動かなくなった。
●葬送
全ての骸が倒された後、待機していた別動隊が現場に到着し、遺体の回収と荷馬車の移送を進めていく。
「ふふふ。私がちゃぁんと燃やしてこの地を浄化してあげないと」
ギーゼラは再びアンデッドが発生しないよう、戦場と化した場所を燃やすつもりだったが、別動隊より延焼を防ぐことができないと聞かされ、道具をしまい込む。
独特の感性を持つギーゼラも、危険がある以上強行しない柔軟さは持ち合わせていた。
「手短にお清めさせてもらえないでしょうか? 激戦続きで損傷がひどくなってそうですし」
仲間達の負傷治療を終えたアルマより、そんな申し出を受けた別動隊はその進言を容れ、アルマは元護衛達の遺体を清める。
(どうか、安らかに……)
アルマは祈りながら、清めた遺体を布に包んでいく。
「アルマさん、皆様。私もできる範囲で手伝います」
シルワもそう言うとアルマや別動隊の作業に協力していく。
「お疲れ様。今度こそゆっくり眠ってね」
マーハも遺体に戻った護衛達へ、優しく声を掛けていく。
「きみたちが守りきった薬は、皆を不幸から救うために有効に活用されるよ。奪われなかったお陰だよ」
バクルは遺体に戻り、布に包まれ運ばれる元護衛1人1人に、そんな言葉をかけていく。
「きっと、立派な魂だから、来世で望んだ姿になれるといいね」
リザードマンの死生観にある輪廻転生を、バクルは信じている。
「貴方達ほどの益荒男ならば、来世にてより強くあれましょう……その時は共に、語り合いたいものです」
そしてそれは同じリザードマンであるザインも同様だった。
「……死せば皆土に還る、魂は心理へ巡る。……されど生きる者の糧となる。還る魂よ、生きる者たちを見守り下さいませ……」
ザインの傍らにいるRe:Leeも祈りを捧げる。
なお遺体の回収は、バクルやフリューの進言で護衛とバルバロイを問わず行われている。
「死んだら同じやからね。弔いの祈りはする。罪流して次の生は良きものになるように」
フリューはそう言って、ここで死した者達全員のために祈った。
今回確保できた荷は、後日薬を必要とする地域へと無事届けられ、蔓延していた病気の治療に役立ったという。
最後まで薬を守り抜いた護衛達の献身は、皆様の奮闘によって報われた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2020年11月23日 11時00分03秒 公開
相談掲示板
まだメンバーは出そろってないけど挨拶をね。マーハ・アセトシソンだよ。キャスターをやってる
ウォーリアのバクルだよ。よろしくね。
ウォーリア、シルワ・カルブクルスです。 よろしくお願いします。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしく。
シーフのフリューリングスルフト=ティエラ。 ティエラって呼んでね!よろしく! 目標は積み荷の確保とゾンビの撃破。 護衛役の遺体の回収はこっちに判断を委ねるとの事だけど。 うちは回収したいと思ってる。
メンバーを一応まとめてみるよー バクルさん:ウォーリア シルワさん:ウォーリア ギーゼラさん:ヒーラー アルマさん:ヒーラー リリィさん:キャスター マーハ:キャスター ティエラさん:シーフ ザインさん:シューター 他の依頼で顔合わせた人もいるね、今回もよろしくっ 結構バランスの取れたメンバーかなとただキャスターとして は今回あまり範囲系は仕えなそうだね、馬車を間違いなく巻き込み そうだし 僕も亡骸はちゃんと弔ってあげたい・・ 人があんな風になったままなんて絶対駄目だよ
ボクも遺体の回収には賛成だよ、ヒーラーらしくお祈りでもしてみようかな 巻き込み怖いし範囲系は【対象識別】がついてるのを優先したいところだねー… 一応F4の馬車を光縛封(持続3ラウンド、物理無効、魔法は使用者の魔攻の3倍まで耐える) で保護しようかなとは思ってるよ 大槌もってるリーダーゾンビが薙ぎ払いとかして馬車に当たるかもだしね
マーハさんはまとめ、ありがとう。 亡骸の回収については、ぼくもした方がいいと思うよ とりあえず相手は剣・大槌使いみたいだから、遠距離攻撃はなさそうだね。 遠距離攻撃で釣りだしかな? 馬車から少しでも引き離してから近接攻撃した方がいいよね?
ヒーラーのギーゼラです。よろしくお願いします。 あぁ!この地は死と腐臭に満ちて汚れている!素晴らしいですね! ふふふ、私がちゃぁんと浄化してあげなくちゃ! マーハさん纏めありがとうございます。 僕も護衛の亡骸回収は異論ありません。 死しても積み荷を守ろうとする意志は尊重されるべきものでしょう。 バルバロイの遺体は回収する必要はないですが、ゾンビ発生個所に放置して 次のゾンビになられたら困りますので、纏めて燃やしておきましょうか。 >光縛封 馬車を光縛封で守るのはとてもいい案だと思います。 ゾンビは剣と大槌を使ってくるので、おそらく物理攻撃が主体でしょうし。 >遠距離攻撃で釣りだし こちらも賛成です。光縛封があっても近くで戦うよりは、遠くに離した方が安心かと。 離れればキャスターの方も安心して高火力魔法を撃てますね。 ただ地縛霊のように馬車から離れない可能性もありますので、馬車に当たらないように攻撃する手段(識別可能攻撃)は持っていくべきだと思います。
こちらの遠距離攻撃手段で相手をまさに釣るわけだね、相手は ゾンビだし単純に敵意をこっちに向けてくれるとは思う 序盤で取り巻きをやって、大槌をもったやつは手強そうだからね そこをみんなでたたけるようにするばいいかな。 僕自身は【魔矢】とか【フレイムゲイズ】あたりになるか あとは陣形だけど、A3とA6にキャスターとヒーラーの人たちで わかれて、A4、A5は正面だからウォーリアの人たちとシューター、シーフって感じがわかりやすいかな?あくまで初期位置だし、 こういうのもどう?っていうのはあればアドバイスほしいな
ちっと出遅れちまったが、おれっちはシューターのザインだ。 顔合わせたのもいるようだが、ま、今回もよろしく頼むぜ! 遺体の回収についちゃおれっちも賛成だぜ。 こんだけの益荒男、亡者としてただ討つんじゃなく、勇者として弔ってやらんとなぁ。 遠距離で釣りだしってのも悪くねぇな、おれっちの得意分野だしよ。 シューターの仕事、きっちり熟させて貰うとするぜ! ハーツベインショットで撃ち抜いてきゃ、向こうのヘイトも稼げんだろ。 状態異常付きだからお相手さんも無視も出来ねぇっしょ。 そういう意味でも、おれっちの初期位置はA4辺りで正面希望しとくぜ。 ま、それでも離れねぇようならこっちは継続して安全圏から撃ってくとすっかな。 逆に離れるようなら炸光矢とか使えっし、 その辺使いつつおれっちのやる事は相変わらず射撃で味方の援護、ってとこかね?
>初期位置 これはウォーリアのぼくとシルワさんの構成にもよるんだけど、基本後衛がひと塊の方が「カバーリング」はしやすいかな。 後、二か所から攻撃を浴びせると、敵が分散して、前衛と敵のブロックが二つに分かれると思う。 範囲攻撃の都合とか考えると、なるべく固まった方がいいと思うから、「後衛はひと塊に」「初手で前衛は後衛と敵の間に移動」がいいんじゃないかと思うよ。 >ザインさん その立ち回りしてくれると助かるよ。 よろしくね。
>初期位置 後衛組はひとかたまりのほうがよさそうな感じ? 賛成ももらえたし初動は光縛封にする予定だけど、射程が6なのでA3から出たいなーと 済んだら堅甲とかで支援と回復に回ろうかなと、一応硬めなので前にもいけるよ
確かに、ひと塊になるように動いてもらうことで 動きやすくなるっていうのもあるよね・・僕もそっちのほうが 良いと思うよー そういえばアーケインテンペストっていう敵の行動を阻害する 魔法を取ったんだけど、使用回数が1回だから大槌持っている相手に 有効かなーって思うんだけどどうかな
マーハさんまとめありがとうございます >遠距離からの引き付け 悪くないですね 私も『シーザーロア』で敵をできるだけ引き付けておきます もちろん範囲攻撃ができやすいようにひとまとめに >遺体の回収 このまま放置すればそれがゾンビになってしまうので、それは避けたいですね ですから護衛の回収およびバルバロイの処分は賛成します >初期位置 わたしも後衛と敵の間でさきほどいった『シーザーロア』を使用する都合上、初期位置は後衛の方に依存しますね
遅くなってごめんなさい キャスターのリリィよ ザインのサポートに来たわ ザインのサポーt( とまあそれは置いといて 私はこっちに注意を向けた個体に魔霞を付与しつつ、遠距離からの撃破優先で動こうかしら 隠蔽度は低いから自分からの引き寄せがかえってやりにくいかもだけど逆に狙わねないうちに一気に攻撃叩き込み続けるつもりよ
アーケインテンペストは敵の行動を阻害するのか~、良いんじゃないかな! んー、うちは前衛にいって敵の攻撃を回避しながら攻撃していくって感じで良いかな? 皆が引き付けて戦っている間にG5かG3の敵をヒットアンドウェイで倒そうかなとも考えてたけど、まとまっていたほうがいいって意見があったからやっぱやめた方がいいかな?
なんとなーくふわっとしてるから一応確認しときてぇんだが、 共通認識として、取り巻き片付けてから、大槌使いを狙うって順番で良いんか? もしそうならおれっちのヘイト稼ぎの狙撃も剣持った連中を先に狙っていくぜ。 大槌使いは荷馬車の前で仁王立ちしてるっつー話だし、 動かねぇなら分断出来るしこっちとしちゃ好都合、取り巻き各個撃破してきゃいいしな。 取り巻き片した後に、大槌使いを全員でかかりゃ確実だと思うぜ。 動くならそれもそれで、荷馬車から離れるわけだし結果オーライ。 アーケインテンペストっつーので、阻害できんなら言ってる通り大槌使い狙って貰えりゃ、 どの道分断は出来そうだ、おれっちも有効そうだと思うし、その案にゃ賛成するぜ! まぁ、阻害っつっても留まる程じゃねぇだろうし、 幾人かで足止めだの凌ぐ役は必要かもしんねぇけどな。 ・・・優先目標特にねぇっつーなら前言全部取っ払って満遍なく狙うとは言っておくが。
>大槌使いはみんなで 僕もその発想だったかな、取り巻きのゾンビを減らしてから 本丸に行くって感じで、あちらが動いてこないっていう保証は ないから迎え撃たなきゃいけない場合もあるんだろうけど >アーケインテンペスト おっけーただこれを打てるのは1回だけだから、取り巻きを しっかり退けてからタイミングを見逃さないようにしたいね 僕個人の攻撃方法としては馬車からある程度距離を取ってもらえれば 【爆炎】と【メテオライト】中心になるかな
>大槌使いの攻撃順序 そうだね。まず取り巻きから引き付けて、確実に落とせるところから落とすのでいいと思うよ シーザーロアも永続じゃない以上、数に任せて後ろになだれ込まれても困るしね。
んーと、全体の流れとして 荷車から敵を引き離す→取り巻き撃破後、大槌の骸を倒す、だね。 特に反対もなさそうだけど、明確な賛成もなかったから全体が乱れるのこわいし。 それじゃ、うちは前衛で敵を引き離せたら取り巻きから狙って倒そう。奥の敵が離れないなら、目の前のを倒してから攻撃に向かうね。 引き離せたなら順番にって感じで。 疾風足ならたぶん奥の敵まで移動できる、はず(
間が開いてしまってすいません。 全体の流れとして「荷車から敵を引き離す→取り巻き撃破後、大槌の骸を倒す」ですね。 了解しました。 僕は敵が釣られてきたところに【祈雷】を設置設置し攻撃してみましょう。 通常攻撃は杖に持ち替えて遠距離から援護をします。 ふふふ、いっぱいいっぱいヒールを持っていきますので皆さん存分に怪我をしてくださいね? ちゃぁんと癒してあげますから!
書き忘れがありましたので、連投失礼します。 バルバロイの遺体をまとめて燃やすための火打箱とたいまつは用意しましたので、おまかせください。 ふふふ、悪者は良く燃えるんですよねぇ!(うっとり)
取り巻きから順番に…ですね。了解しました こちらも範囲攻撃で何体かダメージを与えておきます
バタバタしててあまり見にこれなくてゴメンね 初動後は取り巻きから順ってことで了解、ここに出てる流れに合わせてプレイング出してくるね >燃やす 別動隊の人たち任せじゃなく、こっちでやっても大丈夫?みたいだしね すごい乗り気みたいだしボクはいいんじゃないかなー…と ちなみにボクは護衛さんたちの躯を馬車に積み込む前に軽くお清めでもさせてもらおうかなって ゾンビになる前も後も激戦でだいぶ傷んじゃってそうだからね