商人のおしごと

弓月 蒼

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シナリオID:145

オープニング

●忍び寄るのは飢餓と不和
 国内調査。避難民の収容。周辺警戒。王国との調整……まさに今、現在における最前線。
 帝国領南方国境――ヴァイセントラフ砦。

 彼の地には今も帝国内から多くの避難民が押し寄せている。
 内部では飢えたクリーパーが暴れているとされ、その数は帝国民総数から見れば僅かだ。
 
 だが、1つの砦が抱えるにはそれでもなお多く……――――あまりにも、多過ぎた。

 何もせずとも日々消耗していく物資。収穫祭が終われば程なく冬がやって来る。
 庇護する者を求めてやって来た避難民たちにとっても、ここからが正念場になるだろう。

 彼らを支援する同砦もこの緊急事態に、周辺からの支援を全面的に受け入れてはいた。
 が、それでも物資は不足する。刻一刻。金より消耗品。金より食料が切実に必要だった。

 それは、即ち帝国を襲った此度の災厄により特需が発生していることを意味する。
 そして例えどれだけ多くの犠牲が出ていようと。どれほど危険な土地であろうとも。

 ――――命尽きる時まで金儲けに邁進する人種というのが、この世には存在するのである。

●群れ集うのは豚と鬣犬
 都市同盟内港湾都市――『リブラネスタ』。その一角、酒場『踊る子熊亭』。

「ええ目的地までの護衛、片道分です。はい。あたしこれで牧場もやってましてねえ」

 典雅に笑うのは、如何にも金を持っている。と言わんばかりの豪奢な服を着た豚だった。
 いや、正確にはハーフビーストの商人なのだと言う。取り扱いは雑貨、保存食全般。

 都市国家『ゴールディ』首都『シルバード』を拠点として手広くやっている。
 と、説明こそされたが『ゴールディ』はあくまで、”ゴブリンの”自治領だ。

 そこでハーフビーストが幅を利かせているとなればただ事ではない。相当なやり手だ。
 そして同時に、なにがしかの後ろ暗い背景を持っているだろうことも想像に難くない。

「ヴァイセントラフ砦にゃ今商機が来てます。これを逃す手は……ちとないですわなあ」
 商人なら当たり前でござんす。と瞳を細める男は、卓(テーブル)上に皮袋を載せる。

 同じ卓を囲んでいた冒険者のみならず、それを遠巻きに見ていた者までが一瞬色めく。
 袋の中身は硬貨だろう。音で分かるほど重く、明らかに相場よりも多い。

「ご覧の通り、報酬は十分お支払いしますよって。あんじょうよろしうお頼みしますわ」
 
 奇妙な訛りはどこの言葉か。ともあれ、その報酬は破格と言えた。
 例え帝国国境近郊には既に、無数のクリーパーが溢れていると聞いていたとしても。

 危険(リスク)を負わなければ、栄光(リターン)は得られない。
 これもまた、冒険者たちにとっての常識(セオリー)でもある。

 皮袋に手を伸ばした冒険者達を眺め、豚の商人はただ。何も告げずににんまりと笑う。

 

解説

 金は命より重いのか、命は金で買えるのか。 ●成功条件  『リブラネスタ』から出発し、『ヴァイセントラフ砦』まで無事到着する。 ●失敗条件  馬車が破壊される。  商人がダメージを受ける。  積荷が大きく減る。 ●商人  豪奢な洋服と無数の貴金属に身を包んだ豚のハーフビースト。  横暴ではないものの、決して鷹揚とも言い難い。言葉に妙な訛りがある。  儲け話の気配を聞きつけヴァイセントラフ砦へ向かう。自称、非戦闘員。    2頭立ての馬車を所有しており、これに保存食を大量に載せている。  貨幣も持ち歩いている為、賊の良い的。滅茶苦茶目立つ。  馬車の強度は程々だが、例えばクリーパーに複数回叩かれれば余裕で壊れる。   ●想定される障害  蛮族(バルバロイ)×?(最大で護衛する冒険者たちと同数)  小型クリーパー×?(最大で護衛する冒険者たちと同数)  小型魔獣(山岳生息種)×?(最大で護衛する冒険者たちの2倍)  大型魔獣(砂漠生息種)×?(最大で護衛する冒険者たちの半分)  砦から逃げてくる避難民  ランダム発生。ただし、最低1つは必ず発生する。  また、ルートや行動によって任意の障害発生を誘導することは可能。 ●移動ルート  南回り:リブラネスタ→イグノ砂漠→グランスパーダ→ヴァイセントラフ砦  北回り:リブラネスタ→ローレラウラ→山岳地帯→ヴァイセントラフ砦    どちらを選択するか決定すること。冒険者側の提案がない場合  より危険度が低い(が、余計に時間がかかる)南回りルートが選択される。   ※注意事項 ・最低限、水、食料は保証されます。就寝環境までは保証されません。 ・商人に対し何らかの提案をする場合、説得判定が発生します。 ・障害発生の件数は時間経過に正比例します。

マスターより

 4度目まして。シリアス&ダークが得意なマスターを目指しているつもりでいます。  弓月蒼と申します。冒険者と言えば、旅!ということで護衛シナリオです。  旅路は割と長丁場になる可能性がほどほどありますので、準備は慎重かつ大胆に。  なお、創意工夫は大歓迎です。もーてんをついてマスターをやっつけよう!

リプレイ

●辺境都市群『ローレラウラ』近郊
 それは見たままを表現するのであれば、岩で武装した『猿』だった。
 その数4。決して大きな群れではない。だが、見逃して良い理由も当然ない。

「セスタ、おいで」

『永世の影豹』エリザ・A・ミシャールが絆を結んだ栗鼠『セスタ』を引き戻す。
 樹上からの敵襲を感知した甲斐あってか、隊は陣を崩される事もなく既に応戦の構えだ。

「そっち行った! 止められるか!」

 隊列の中央。魔矢を放ったバーネット・フォーサイスが仲間に声を掛ける。
 時は日暮れ間近。暗がりになりつつある視界は幸い、暗視のお陰で明瞭だが夜もほど近い。

 元々夜間行軍は避ける方針だった。ギリギリまで進むことを決めたのは依頼人の希望だ。
 それでこの事態なのだから不満の一つも出る。街を通る以上素直に休めば良かったものを。

「問題ありません、こっちだ魔獣共!」

 言葉が通じる訳ではないだろうが、魔獣もまた動物だ。威嚇にも一定の効果は見込める。
 今は『クロウ』を名乗るクローリカが放つ獅子の咆哮(シーザーロア)が岩猿を捉える。

 しかし、まだ3体自由に動く個体が居る。伏兵に備えれば護衛全員の手を割く訳にもいかない。
 加えて誰も彼も夜目が効く訳ではない以上、あまり時間も掛けたくなかった。

「させないよ。無事に着いても、売るものが傷ついてたら意味無いもんね」

 進路上の索敵へ向かい、戻って来たら馬車が襲われていた。
 不測の事態ではあるが脚部に疾風を纏ったジヴリールの方に落ち度はない。

 彼女は彼女の役割を真摯に果たしていた。単純に豚の商人の運が悪いのだ。
 急ぎ駆けつけ両手の刃で岩猿に一撃入れると、思った以上に硬い手応えに僅か瞳を細める。

「そこ、当たって!」

 それを見てか、或いは初仕事という気負いもあってか。
 温存という発想はなく即魔法の詠唱に入っていたアドルフ・ジーノが棍の先を向ける。

 放たれる光。神威を借りた力の一撃(マイティ・ストライク)がジヴリールが斬った岩猿を打ち据える。
 見事的中し思わず拳を握るも、その頭上にもう2匹。自由に動いていた岩猿が迫っており――――

「そこまで、ね」

 けれど、アドルフを打ち据えようとした岩肌の拳はリノアの放った豪風で以て迎えられる。
 どうも物理攻撃には強くとも魔法攻撃にまでは耐性がないのか、墜落した猿は見事に目を回し。

「どうも、アタシの出番は無さそうか」
 
 クロウが受け持つ岩猿に、慰め程度の射撃を行ったエリザが思わず肩を竦める。
 事実程なく襲撃してきた岩猿達が鎮圧されるに当たり、冒険者達には余裕の色すら見られたのだから。
 彼女の言も止む方なしといった物だろう。

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 ――――――――
 ――――
 
 ――――パチパチと。焚き火が爆ぜる。
 野営、火種の回りには串に刺された干し肉が並べられ、この夜は酒も振る舞われた。

「いやあ、良い買い物でござんした。あたしの目もどうです、捨てたもんでもないでしょう」

 冒険者達の働きを、此度の依頼人――豚の商人は大いに評価していた。
 ご機嫌な様は振る舞われる食事に色が付いている様からも明らかだ。

「ああ、そりゃ良かった……けどね。アンタもうちょっと何とかならないか」
 
 馬車をもう少し目立たないように、少しでも地味に、依頼人は馬車の幌に隠れていて欲しい。
 そう要求しては随分とゴネられたエリザからすると頭の痛い話ではある。

 彼らに実力があると分かれば商人は遠慮無くトラブルの塊とも言える馬車を走らせるだろう。
 魔獣や野盗なら倒せば良い。けれど、この裕福な者特有の金の匂いは貧しい者を引き寄せる。

「こんなに食べ物を振る舞って大丈夫なんですか?」

 怪訝の色を浮かべるクロウからしても、豚の商人の物の扱いは滅茶苦茶だ。
 現金に宝石。食事と酒。野営にテントまで張っている。行商にしては無駄が多過ぎる。

 平民以下の暮らしをしていた彼女からすれば、商人の金の使い方など分かる筈もない。
 ただ、貴族ですらここまで平然と無駄を積み重ねはしない。何の意味があるのか分からない。

 馬車の空間をこんな使い方するなら、もっと商材を載せるべきだと素人目でも思い至る。
 では商家の人間であれば――まさに、ジヴリールの胸にわだかまった疑問もそれだった。

「随分羽振りが良いようだけど……どうやってそんなに儲けたの?」

 その問い掛けに、豚の商人が瞳を細めて笑う。しわしわの顔からは年齢も読み解けない。
 そこまで老齢でも無いだろうが、しかし。

「おやあ、商人に儲け話を聞くとは恐れ知らずな嬢ちゃんでござんすなあ。
 相手があたしでなかったら、殺されても文句は言えやしませんが?」

 くつくつ喉を鳴らす様には何処か凄みが滲む。どうも感覚的に、相容れない。
 何処から湧いたかも分からない感情は、ジヴリールの本心だ。

 けれど、それはそれこれはこれ。成功した商人には某か学ぶところがあるに違いない。
 答えを促す彼女の視線に、すいと。商人の瞳が細められる。

「まあ、貸し(サービス)にしときやしょう。あたしからの教えは1つだけ。たった1つですなぁ。
 守れるならお嬢さんは金を、それ以外をも得られるでしょう。けれどそいつが甚だ難しい」

 何気なく、そんな話を聞いていたアドルフが干し肉に手を伸ばす。
 同時に、そちらへ視線を流していたバーネットが同じ干し肉に手を伸ばそうとしていた。

「……あ」
「む」

 同じハーフリングだが年齢は1回りも違う両名の視線が交差し、アドルフが手を引く。
 それを受けてバーネットが遠慮なく串を引っこ抜くも。その数は2本だ。

「……ほら、仕事仲間相手に遠慮すんなよ」

 困惑した眼差しを向けるアドルフへ、バーネットが串を一本差し出す。
 先輩風を吹かせるつもりはない。ただ、色々あって捻くれていても、根はお節介なのだろう。

「あ、りがとう。僕、今日が初めての仕事で……」
「ああ、なるほどな。確かにそんな感じだわ」

 嬉しそうに串を受け取ったアドルフを流し見て、干し肉を齧り酒を煽る。
 小柄な所為もあってあまり酒場には出入り出来ない。好きに飲める夜は、貴重だ。

 何をしても不自由(リスク)が付き纏うこんな社会で、自由というのは最上の贅沢(リターン)なのだから。
 多分、この未だ年若い同族(ハーフリング)もいずれそのことが分かるだろう。

「商人も、大変なのね……」

 少し離れて聞こえてくる商売談義に、マントに包まってうとうとしながらリノアが頷く。
 野営には生活魔法が八面六臂の大活躍だった。体力にあまり自信がない彼女には少々厳しい。

 けれど厳しいのはどこも、誰も、同じなのだ。国が破れたこんな時代、こんな世情では。
 弱音を吐いてはいられない。明日も、また日が登る前から動くのだろうし。
 
 齧った干し肉は見た目の素朴さの割に噛むほど芳醇な香辛料(スパイス)の味がした。
 旅人には過ぎた贅沢かもしれないけれど、偶にはこんな夜があっても良い。

 世界は広く、種族も職種も多様で、交われば交わるほど分からなくなることばかりだ。
 1人ならば何時も傍に在る相棒(リュート)を爪弾けないことが何だか無性に寂しかった。

 焚き火がまた爆ぜる。旅人の夜が静かに更けていく。

●国境砦へ向かう山道
 がらがらと軋む車輪の音。それに疲れ切ったような幾つかの鈍い足音。
 獣道、と表して間違いないその険しい道程を、鍛えられた荷馬に引かせた一行。 
 
 豚の行商人の荷馬車は二頭立てである。山岳地帯において安定して進める道など殆どない。
 そして荷馬車が走りやすい道なら人もまた歩きやすい。疲労した難民は必ずこの道を通る。

 かくして。両者は避ける術もなく真っ向から対峙する。
 ――――彼ら。彼女らがその集団と鉢合わせたのは、半ば以上必然ですらあった。

「どうする? アタシは要望を聞くべきだと思うけど」
「不要な時間の無駄遣いですな。駆逐しちまってようござんすよ」
 
 進路上に突然出てきた豪奢な馬車に戸惑う難民を前に、問うたエルザに行商人が断言する。
 彼にとって、眼前の人間(モノ)は商売相手に相当しない。であればこれは障害だ。

 表情にこそ出さなかったものの、聞いたジヴリールが幌に掛けていた手が止まる。
 護衛という依頼を受けた以上、当然の如く冒険者達はこれを排除せねばならない。

 難民は遠目に見ても草臥れ、疲れ果て、飢えていた。商人ならば身の危険も有ろう。
 豚の行商人の要求はそこまで狂った物ではない。しかし。……しかし、だ。

「待って。あっちが有用な情報を持ってる可能性がある」

 ジヴリールの抗弁に、豚の商人が片目を閉じる。
 思い浮かぶのは焚き火の記憶。彼の行商人が護るべきと言ったただ1つのことだ。

“売るときは相手が二番目に欲しがっている物を売りつけろ。
 買うときは相手が二番目に大切にしている物を買い叩け。それが出来れば必ず儲かる”

 違う。情報ではない。確信の様に腑に落ちた。行商人が欲しているものの一番は金だ。
 では二番目。砦に商機を見た人間が、難民を潰せと言うなら理由がある筈。

「え、え、まさか本当に?」
「……分からない」

 人懐っこくお人好しなアドルフにとって、豚の商人の様な人種はまるで理解不能だ。
 けれど、自分が思いがけず酷い要求をされていることは分かる。

 彼の力は癒やすもの。護るためのものだ。決して、困窮している人間を殺すものではない。
 視線が泳ぐ。近くに居たリノアもまた同様だ。敵ならば、射ち抜ける。殺せる。

 けれど、例え山道であれ。誰も見ている者など居なくとも。
 何の罪もない難民達に攻撃出来るか。いや、出来る出来ないじゃない。そんなのは、嫌だ。

「わ、私は……」

 そんなことは出来ないと。今、ここで言うべきか。
 クロウもまた自身の内面に葛藤を抱える。依頼を反故にするのは容易い。難民も救える。
 
 しかし、そうしたなら冒険者ギルドからの評価はどうなる。
 資本と名声と力を積み重ね、いずれは自身の主を見つけ出し救うと言う目的は。

 けれど例え目的を果たしたとて、両の手を穢したとしたなら自分はそれを誇れるのか……?

「……確かにな。もしこの先に何か危険があるとしてその為の俺たちだ。
 俺たちの安全は交渉材料にならない。護衛の実力が確かなら尚更ってことか」

 話を聞いていたバーネットが、苦虫を噛み潰した様な顔で状況を把握する。
 "金のために何でもする人種"を甘く見ていたと言えば、そうなのだろう。

 だが何だ。違和感がある。さっきの宣言を難民に聞こえる様にしてしまえば逃げ場が無い。
 恐慌(パニック)に陥った難民らと泥沼の殺し合いになった可能性は低くない。

 しかしそうはしなかった。なら、有るのか。交渉の余地が。

「……『商人(アンタ)に救われたことを喧伝』するように依頼しよう」

 そうして――――続くエルザの申し出に、豚の商人が喉を鳴らして、大きく嗤う。
 その凶相に、空気が動く。
 
 上手い。情報の対価は交渉材料にならずとも、"今後の商機"であれば話は別だ。
 ジヴリールもまた、今の申し出が何かしらの琴線に触れた感触を感じていた。

 そうか。一番目は金。ならば、二番目は、金に繋がる筋道――つまりは、人脈か。

「筋が良い冒険者ってなぁ居るもんですなぁ。よござんしょう。
 しっかりおたくの名前を使って、精々あたしを儲けさせて下しゃんせ」

 鷹揚に頷く商人に、クロウとバーネットが一秒でも早くと遠慮なく荷を解く。
 幌の中は食料、薪、衣類、消耗品で一杯だ。これだけの物資があれば何人救えるか。

 流石に全て放出する訳にはいかない。幾つかの木箱を開けた時点で両名の視線が交わった。
 力仕事は慣れないアドルフも、リノアまでもが荷下ろしを手伝う為に荷台へ駆け寄る。

 様子を伺っていた難民達もまたおずおずと近付いてくる。衣類も、積み荷も、ボロボロだ。
 不安げなその表情を見て、クロウは自分が心からほっとしていることに気付いていた。

 この人達に剣を向けることにならなくて良かった。それが、6人の総意であったのだろうから。

「これから保存食を少し融通します。数に限りがありますので列になって並んで下さい!」
「依頼主から帝国民の皆さんへの特別の振るまいです。争わないようにして分け合って下さい!!」

 ――――――歓声に、山道が湧き上がる。

●仕事の終わり
「吟遊詩人としては、旅の慰めにリュートでも演奏したい処だったのだけれど」

 何処と無く残念そうなリノアに、無事砦へ辿り着いた面々から笑いが漏れる。
 結局以後はこれと言ったトラブルもなく、一向は帝国の最前線。ヴァイセントラフ砦へ至っていた。

 目的地へ着いたら荷降ろしだ。無理に商材を一部展開した手前、ここまでは手伝わねばと思ったか。
 冒険者達が荷降ろしする傍ら満足そうに頷く豚の商人に、一同を代表してエルザが進み出る。

「色々あったが、悪くはない仕事だったよ。報酬に色も付けて貰ったしね」
「おや、あたしの店に奉公に来てくれるんなら、この十倍も儲けさせてあげようってぇのに?」

 くつくつと笑う商人の、果たして何処までが本心か。どうも随分気に入られた様だが。
 ともあれ、仕事は無事に果たされた以上これにてお役御免だ。踵を返そうとしてふと浮かぶ。

「ところで、あんたは此処に何を売りに来たんだ?」

 砦では消耗品が必要で、そいつをたんまり積んできた。分かるようで分からない。
 様々なものが高騰しているとて、一つの砦が抱えた資本など国や商人のそれと比べれば僅かだろう。
 問いに商人は背を向けて。けれど確かにこう応じたのだった。

「恩を」

 全く、煮ても焼いても喰えないとはこの事か。
 一向もまたため息を吐くやら肩を竦めるやら。命より金が重い人種の考えることは難しい。

 けれど金は正直だ。冒険者達が片手に携えた革袋は、いつもより確かに、随分と重かった。

マスターコメント

皆様お疲れさまでした。弓月 蒼と申します。 この度はご参加ありがとうございました。この様な結末に至りましたが如何でしたでしょうか。 お見事です。根本的に皆様のダイス運が良かったというのも有り無事任務完遂。 かつ、プレイング面でも良い卒の無さ、隙の無さでございました。交渉まで含め文句無しです。 MVPは中でも上手く結論へ着地させる視点を持ってらした方へ。商人との交渉は戦です故。 ではでは、ご縁がありましたらまた次の機会にお会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:多い6 / 4〜6人

2020年11月18日 10時18分12秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. クローリカ

    ※RPの都合上「クロウ」という偽名を使っています。 ウォーリアのクロウです。今回はよろしくお願い致します。 中々にクラスのバランスが取れていますね。 敵についてはシーザーロアで注目を集める事が出来ますので、撃破に手間取らなければ積み荷や商人様に被害はいかないと思われます。 ルートについてですが、今の所北ルートを薦める理由が特に見当たらないのですが…、早く着く他に何か利点があるのでしょうか?

  2. エリザ・A・ミシャール

    エリザだ。今回はよろしく頼む。 さて、ルート選定といった話だが。 北ルートの利点は早く着くこと、それ以上の意味は無いだろうさ。 だが、この「早い」ということは中々に重要だとアタシは思っているよ。 何せ状況が状況だ。物資の需要も、値も早い方が高い。 あとはルート自体は安全かもしれないが、長い道のりを往けばその分のトラブルもあり得るわけさ。 ここはある意味覚悟と意思を以て決めなければなるまいよ。 そこさえ決めてしまえば、あとはどうせどっちを行こうが大して変わらんのじゃないかね。

  3. バーネット・フォーサイス

    バーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >ルート 障害の発生数が時間経過に比例するそうだから、早く着く事には意味があるな。 ただ、北ルートの方が危険度は高いらしいし、ルート選定はそのリスクを容認するか次第だ。 >道中 とりあえず道中の安全策として、 ・夜間含む休憩中は交代で見張りを行う ・見晴らしが悪い場所は、斥候を先行させて周辺確認してから通行 あたりがぱっと浮かんだが、他に案とかあるか?

  4. ジヴリール

    ジヴリールだよ、よろしくね! >ルート まだ土地勘がなくて申し訳ないんだけど… 北だと砂漠を通るみたいだね 遮蔽物が少なそうだから敵発見はしやすそうだけど、逆もそうだろうね 守りにくそうだなぁとは思うけど、 時間を短縮してリスクを減らすってのも一理あるし…… 魔獣がどちらのルートも厄介そうだね。 複数体現れたとして、守りながら戦う手段があるかどうかで変わるかなと思うよ >道中 バーネットさんの案に概ね賛成。 避難民にあった時はどうしようね 避難民は障害とは書いてあるけど敵ではない……よね?

  5. アドルフ・ジーノ

    わわ、遅くなってごめんなさい。アドルフです。 よろしくお願いします。 ルートに関しては早い方がいいのは賛成 ただ、一番の問題は山岳地帯だと思うよ 敵に襲われたときに逃げ道がないってことになりかねないんじゃないかな? もし、正面突破できるなら北を取る方がメリットが高いと思う その分みんなの怪我が増えるかもしれないけど、ヒーラーだし治す方は任せて バーネットさんの案に僕も乗るよ 避難民は敵ではないと思うけど、居れば居るほどペースが遅くなるってことじゃないかな? いないことが一番なんだけどね……

  6. クローリカ

    >バーネットの案 私も賛成です。様子見の斥候にはシューターのペットが丁度いいと思うのですが、エリザ様は如何でしょうか。 >避難民 うーん、敵ではないとは思いますが、何をして来るのでしょう…。 「助けてくれ!!」と馬車を囲まれたり、我先にと物資を持っていこうとしてくるとかでしょうか?

  7. バーネット・フォーサイス

    >避難民 想定できるところで言えば、避難民が道に溢れて移動しにくいとか、 助けを求めて群がってくるとかだな。 商人の説得は必要だが、ある程度の食料を難民に融通する事で、 どうにかこうにか通してもらうのがベターか?

  8. エリザ・A・ミシャール

    >ペット偵察 これはまぁ、構わないよ。 移動力と隠密の兼ね合いがあるからリスとゴリラのどっちを連れてくかはまだ決めてないけど。 >個別の障害の対処 避難民への対応だけは決めておいた方がよさそうだが、他は共通の戦闘方針で行けそうかね。 それよりは、ルートの南北選択だけは早めに、明確にしておいた方がよさそうか。 アタシとしては北ルートを推す。 大なり小なりリスクがあるならば、早い方がリターンが大きいからね。 >避難民・承認の説得 物資の融通か、通行の邪魔になってるか。挙がってる内容ぐらいかとは思う。 通行の邪魔については、どうせ先行偵察してるんだ。 通る分くらいは空けてもらうようにアタシから交渉するよ。 物資の融通は……積み荷を減らす見返りとして商人に何を渡すか、だねぇ。 避難民が十分な金銭を持ってるとも考えにくい。 逃げた先での風聞を良くしてもらうぐらいしかアタシには思いつかないが。

  9. アドルフ・ジーノ

    >避難民に関して うーん保存食程度なら持っていけるし、それを避難民の人たちにあげることもできるけど あげられる人数も上限があるからね… あ、僕たちに出会うまで生き延びてるってことは危険な場所とか知ってるんじゃないかな? 聞くだけ聞いてみるのもいいかも。 >ペット偵察 どっちのルートに行くかで決めるのがいいかも、南だと砂漠を通るからゴリラさんだと移動するのに疲れちゃうし

  10. バーネット・フォーサイス

    >避難民 情報収集するのはいい手だな。 多少なりともその先の事が判れば、急なトラブルも避けられる。 物資を融通する場合は、喧伝してもらうくらいしか今のところ説得材料はなさそうだな。 まぁ口コミも馬鹿にならないだろうから、それなりに良い見返りだとは思う。 あと、渡すなら一部じゃなくて全員に渡した方がいいんじゃないか? 一部の避難民だけ贔屓したと思われてトラブルになると、 場合によっては馬車に襲い掛かってくるとかも考えられる。 汎用スキル枠に余裕があるなら、ピュアウォーターで水を作って渡すのも有りだな。 最悪商人との交渉に失敗しても、水を渡せれば多少は納得してくれるかもしれない。

  11. エリザ・A・ミシャール

    ルートがバラバラという事態だけは避けたい。 明日には出発だが「北ルートでヴァイセントラフ砦を目指す」で構わないかい? 大きな反論はなかったと認識しているんだが。 その前提でプレイングと準備していくよ。 あと、長期戦だ。 バルバロイやクリーパーは可能ならば撃破ではなく撃退に留めたい。 スキル等の消耗を抑えたいのと、馬車から大きく離れる事態は避けたいからね。

  12. アドルフ・ジーノ

    北ルートで向かうで大丈夫だよ。 山登り楽しみだね。 長期戦なら撃退もそうだけど、休むときにできる限り安心して休みたいな。 簡単な魔物よけの道具とか売ってないかしら?

  13. バーネット・フォーサイス

    >ルート 俺も北回りでいいと思う。 危険度は上がるだろうが、時間を短縮できるメリットもデカい。 >戦闘 逃げていくなら、それを深追いする必要はないな。 討伐できるのに越したことはないんだろうが、消耗だとか馬車を守ることを考えれば、 なるべく戦わないで済むようにしたい。 あと、偵察や避難民からの情報で障害を事前に察知できていれば 可能ならそれを避ける経路を選んで、障害をやり過ごしたいな。 >個人行動 移動時は馬車の近く、隊列の真ん中付近で周辺警戒をしていようと思う。 スキルの戦闘系は足止め用のスタティックフィールドとフリーズボルト、 範囲攻撃用のメテオライトと氷嵐は用意して、あとは念のためヒールも積んでいく。 汎用はまだ少し悩んでいるが、夜の見張り用に暗視と、水の確保でピュアウォーターのつもりでいる。 あと、全体の安全策系のプレは、俺の方で盛り込んでおこう。

  14. クローリカ

    >ルート はい、北回りルートで進む事に異論はありません。 早く物資を届けられるに越した事はありませんしね。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0