【秋祭】シトルイユの悪霊
棟方ろか
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シナリオID:131
オープニング
風は涼しく空高くなり、ロスガリア大陸に収穫期が訪れた。
農村では収穫作業に追われる日々。日の出から日の入りまで、穂を刈る小気味のいい鎌音や脱穀の音が絶えず響いている。
村から町をつなぐ道には収穫を積んだ荷馬車が行き交い、町側もまたそわそわと気忙しさに包まれていた。
収穫が一段落すると何が行なわれるか。そう――収穫祭である。
多種多様な風土や宗教が混在するロスガリア大陸でも、この時期になるとそれらの枠を超え、各地で一斉に収穫祭が行われるのだ。
元々は秋の恵みに感謝する純然たる収穫祭だったが、いつの頃からか魔物除けや鎮魂祭としての側面を持ち始めた。
実りの季節であると同時に、夜闇が日毎濃く長くなり行く時期でもある。悪しきものに憑かれぬよう魔物や亡者に仮装をしたり、死者の魂を慰める催しをしたりと、祭りの内容は村や町により様々だ。
さて、この村でも祭りが行われるのだが――。
●悪霊たちの夜
仮面を付けたら、名前は忘れて。
長衣を着たら、姿は置いてきて。
高らかに踵を鳴らすときは、迷ったらだめ。
歌を口ずさむときは、少しだけ声を変えて。
「シトルイユの悪霊が来たぞ。おなかぺこぺこ、のどカラカラだ」
楽しく歌ったその言葉は、あなたが『悪霊』の仲間だという証。
「シトルイユの悪霊が来たぞ。歩いてる子は食べちゃおう、食べちゃおう」
歌いながら歩くときにも気をつけて。南瓜の灯火が消えぬよう。仮面が外れてしまわぬよう。
あなたが『悪霊』ではないと、誰にも知られないよう。
悪霊である自らの到来を、村人たちへ知らせて練り歩く。
シトルイユの悪霊と呼ばれるそれは、モブールの村に伝わるお伽話のひとつだ。
南瓜が特産のモブールではこの時期、売り物に向かない南瓜で村中を彩る。様々な表情にくり抜いて灯りを入れ、案山子として畑や家の軒先に立たせる他、南瓜料理を作ったり――そして小さな南瓜はランタンとして、悪霊に仮装した子どもたちが持ち歩く。
――シトルイユの悪霊が来たぞ。
そんなフレーズを歌いながら、子どもたちは灯りの点っていない家を訪ねていく。この夜、村で点いているのは南瓜の灯りだけ。灯のない家の戸を悪霊が叩いたら、住民は顔を見られないようにして、こう口にするのだ。
――おいしいお菓子をそこに置いておきました。どうぞ召し上がれ。
子どもや家畜、作物を持っていかれないようにと用意した、南瓜を材料にしたお菓子。村人たちには当たり前のものだが、悪霊にとっては物珍しい食べ物だ。だからお菓子を扉の前へ置いておけば、悪霊はお菓子を自らの懐へ入れ、またはその場で食べて、満足げに立ち去っていく。
この言い伝えを基にした祭りが、モブールでは毎年催されていた。もちろん今年も。
冒険者や旅人が参加することも珍しくない。村を堪能してもらう良い機会だと村長も歓迎している。そのためモブール村を訪れた冒険者たちは、祭りの様子を宿や道端から眺めたり、一緒に仮装して回ったりするのだが。
「本物が混ざってない?」
闇に埋もれつつある宿の一階、食事処を兼ねた酒場で冒険者のひとりがそう切り出した。
「これから家を回ろうとする子どもたちを見たけど、なんか違うのがいた」
「殺意みたいなのは無かったように思うけど……どうだろう?」
「そこ、私も感じましたよ。悪霊には違いないのですけど」
煌々と点る南瓜を前に、別の冒険者たちも言葉を連ねる。子どもだけでなく村の大人たちも気付いていないが、明らかに異なる存在――悪霊が紛れ込んでいる。目撃した冒険者の話によると、殺意や危うい悪意は感じられなかったが、それでも悪霊は悪霊。今後どのような悪さをするのかも不明だ。
何かあってからでは遅いと考え、冒険者たちが席を立ったところへ、近くの席にいた老人が声をかけてきた。
「お話は聞かせて頂きました、冒険者様」
南瓜の煮物を味わっていた老人は、冒険者たちも挨拶を交わしたモブールの村長だ。
「私どもでは発見もできなかったでしょう。魔を除けるための祭りに本物が混じっては一大事です」
冒険者の目撃情報を信じて、彼は話を続ける。
「子どもらはもちろん、他の者にも害が及ばぬよう、退治してはくれませんか」
ひとつの仕事として、村長から直々に依頼がなされた。冒険者たちは首肯し、続きを促す。
「この祭りが恙無く終わるよう、ご配慮頂いた上で」
「つまり……子どもや他の人とかにお祭りを楽しんでもらったまま、悪霊をどうにかする、と」
冒険者からの確認に、村長がゆっくり肯う。
「大事なことなのです。村の者が楽しみながら……無事にこの夜を越えることが」
解説
マスターより
リプレイ
日付が変わらぬうちに寝てしまう村も、今夜ばかりは疎らな火影を映している。まるで惜しむ夜の始まりに胸が高鳴っているかのようだ。そんなモブール村を練り歩く仮装行列『シトルイユの悪霊』が、この夜の目玉だ。
一つ目の輪では、ユネスコ・ビスコがそわそわした様子で歩を運んでいた。纏った黒尽くしの装いが原因だ。郷に入っては郷に従えとの教え通り着てみたはいいが――やはり落ち着かない。安定しない気持ちを紛らわすように、少女は隣にいた子を肘でつつく。
「ねえ、キミはどんなお菓子が好きなんです?」
突然の質問に、被り物越しでも驚く声だけは伝わってきて。
「えっ、と……トロトロになるまで煮た南瓜とか、ホクホクの甘いお芋とか」
「それはお菓子……ですか?」
今度はユネスコが目を瞠る番だった。すると横から別の子がひょいと被り物を近づける。距離感が掴めないのか、ユネスコの被る南瓜にゴチンとぶつかって。
「お菓子だよ! どっちも甘くておいしーの」
「花の蜜を吸ったり、木の実を煮たりはしないんですね」
「お花の蜜??」
前を歩いていた子が、ユネスコの話に興味を示した。
和やかなやりとりを眺め、同じ輪に属したシニング・W・テュパラも笑顔を咲かせる。
(平和で楽しい祭り……皆で楽しみたいもんだ)
戦いや過酷な任務から縁遠いはずの祭の場で、まさか悪霊に遭遇してしまうとは予想していなかった。テュパラは溜め息の代わりに、ランタンの柔らかな灯りを落とす。小さな南瓜から漏れる光は優しく、あたたかい。
こうしてテュパラが物思いに耽る間にも、ユネスコと子どもたちの会話は続く。
「ボクにとってお菓子みたいなものです」
「へえ、おいしそう!」
子どもたちの関心はユネスコの語りへ集う。ただひとり、黙したまま列についてくる子を除いて。
ユネスコは被り物の奥から、かれの気配を感じ取っていた。人見知りかと考えもしたが、見物する旅人たちに混ざっていた狼のシバが、じいっとその子を見つめていて――においが違うのだとユネスコも気付く。
(南瓜の匂いだらけで、どうしようかと思いましたけど……)
シバも感知しているのなら、自分の嗅覚も確かだ。間違いない。
そのとき、ぼふんとテュパラの背に何かがぶつかった。被り物をグラグラさせた少女だ。どうやら転ばないよう歩いていたため、気付かずテュパラへ突撃してしまったようだ。
「おっと、足元ばっか見てんなよ。明日もちゃんと見ねぇとな」
「ふふ。はーい」
テュパラの快い言い回しに小さく笑いながら、少女が答える。
こうして第一陣が去った道を、次の一行が訪れた。
「ねえねえ、お祭りにどうして参加したの?」
後から加わった仮装仲間へ、子どもたちの好奇心が向く。放られた言葉にシルク・メイプルリーフはそっと微笑んだ。南瓜の被り物で表情が伝わらずとも、シルクの気さくな一面は子どもたちも感じ取っているようだ。
「豊穣、実り……そうしたものには私も縁が深いですから」
ベールの代わりに南瓜で笑みを覆ったまま、シルクが答える。
両者の応酬に耳を傾け、そして子どもたちを一通り眺めたサイラスは、ううんと唸る。村の子どもと一口に言っても身長や体格は様々だが、それでも。
(さすがに同じ仮装をしているからか、外見から判断はできないか)
顎を撫でつつ、目線を未来へ流す。見目でわからぬなら、採る作戦は決まっている。
「普段はどんなことをしているんだ?」
「家のお手伝い!」
「うちも!」
口を揃えて子どもたちが言う。南瓜が特産というだけあり農家が多いのだろう。迷いなく応じた少年少女こそ、家を、そして村を支えるため手足を動かす存在。悪霊の仮装をしたところで、中身はいつもの彼らなのかもしれない。ならば悪霊もまた、中身は変わらないはず。
そんな考えへ至り、サイラスは再び唸る。
「どこのお菓子がおいしいとか、あるのか?」
サイラスからの質問に、いろいろな大きさの南瓜が顔を見合わせた。
「どこもおいしいよ!」
世間話に励んでサイラスは実感した。純粋に祭を楽しみ伝統を守る彼らも、気を遣うのだと。彼はそこで、輪にいながら話題に加わらない子どもへ意識を逸らした。サイラスがリザードマン特有の眦を和らげてみせると、南瓜の被り物が僅かに揺れて、シトルイユの悪霊を歌う。ひとりが歌えば他の子も右に倣った。一帯はまた、明朗な響きに満たされていく。
(空気を作り上げていく。……悪くないな)
物を作り鍛練も欠かさぬサイラスにとって、空気や雰囲気は未知の領域。だからこそ「悪くない」と思えてから、子どもたちの作り上げるものに心身を傾ける時間が増え出す。
一方、アーノルドとフィーレン・ステオラーズは最後の一団へ混ざっていた。最後尾を担うがゆえ情報は多く、天より見下ろす光景はフィーレンにとって状況を捉えやすい。
(……在る)
逍遥するのみに留まらぬ悪意の一端が。人ならざるものの気配が。察してしまったからには目を離すわけにいかず、フィーレンは傍を離れない。本当の悪霊が混ざっているなど知る由もない子らの歌声は、眠気も知らぬかのように朗々としていた。
フィーレンが不穏の欠片を掴もうとしている頃、アーノルドは被り物で押された自身の毛並みを想う。
(南瓜に潰れて毛並みが乱れそうだ)
村の子は慣れているのか、特に違和感を抱いていないらしい。おかげで団体の中でもどかしさを分かち合えぬアーノルドは、被り物が擦れてしまわぬよう、歩き方を工夫して進むことしかできず。
「大丈夫?」
すぐ前を歩く一人が、彼へ声をかけてきた。心配してくれているのだと声から判断できる。だからアーノルドは首肯する。大丈夫だ、と同じ言の葉を紡いで。
「被り物、前が見えにくいから慣れてない外のひとは大変だよねー」
「そ、そうだな。大丈夫、すぐに慣れるぞ」
視界よりも毛並みへ意識が傾いていたとはいえ、子どもの気遣いをアーノルドは無下にしない。
やがて前方から、少々変わった歌詞が聞こえてくる。耳をぴんと立ててアーノルドがしかと音を拾う。
(足音がヒトとは違う……か?)
目星をつけたアーノルドが、非常に当てやすい的――南瓜の被り物へ一球入魂、ベリーを投げつけた。何の前触れもなく南瓜の後頭部に衝撃を受けた南瓜は、一驚した後きょろりと辺りを見回して、不思議がる。
とん、と近くへきていたフィーレンがアーノルドをつく。それが一種の報せでもあった。
前をゆく子の被り物を持ち上げようとした悪霊へ、フィーレンが手を伸ばす。
「ほら、列を乱さないように」
団体行動なのだからと告げれば、悪霊も駄々をこねず再び歩き出した。顔も名も隠して進まねばならないのが、このモブール村の祭の約束事。ならば覆うためのものを奪われた子どもはどうなるのか。浮かんだ疑問もいつしか不安へと移ろい、フィーレンの思考を掻き乱す。けれど悪霊への警戒は解かない。
(前の方はどうなっているんだろう)
そう不思議に思った途端、前方から歌が響いて来る。決まり文句を口ずさむものだが、本来のものと少しばかり歌詞が異なった。
「歩いているユネスコは食べちゃおう」
「「歩いているユネスコは食べちゃおうっ」」
ユネスコが、自らの名前と入れ替えていた。最初は同行する子どもたちもびっくりしたようだ。だが、道中のやりとりでユネスコに懐いた彼らは、すぐに彼女と歩調も歌詞も合わせる。
被り物で見えはしないが、片眉をあげてテュパラが絶賛歌唱中のユネスコへ問う。
「……なんか一人だけおかしくねえか?」
耳打ちしたかったが被り物で口は寄せられず、南瓜と南瓜を接触させてのひそひそ話になった。テュパラが頭部の動きだけで示したのは、歌い続ける輪にいるひとり。
「まさか替え歌に気付いてねぇなんてことは……」
「うーん、もしかしたら」
ユネスコが思考を巡らせ、ひとつの結論を語る。
「伝承通りにしか歌えない可能性がありますね」
なるほどな、と頷いてテュパラは早速、懐から菓子を出す。
「ほら、お前らも楽しく祭りを終わっときたいだろ?」
突然、他の子よりも多く菓子を譲られた相手は、驚いたのか固まって動かない。南瓜の被り物だけが、じいっとテュパラを見つめてくる。
「なんだよ、穴があくほど見んなって。照れるじゃねぇか」
笑ってはぐらかすテュパラに、辺りにいた子どもたちの視線が吸い上げられる間、後ろから隙をあらわにした子へ近づく悪戯っ子を、そうっとシルクが遮る。ただ制止するのではなく、伸ばした手の平で悪戯っ子の気を繋ぎとめた。
いきなり手を繋がれて跳ねた子に、シルクはただただ穏やかに接する。
「こうして歩いていれば、迷子にならなくて済みますね」
囁きに似た穏やかさで告げられれば、南瓜をかぶった悪戯っ子も無理に振りほどけない。
そして悪戯っ子――悪霊がランタンの火を傾けるよりも一瞬早く、サイラスの生み出した少量の水が悪霊を驚かせた。おかげでランタンから火は移らず、悪霊が振り向くのみで。何か言いたそうな悪霊へ、サイラスは静かに理由を繋げる。
「この時期の夜は喉も渇くからな、水分補給は大事だ」
菓子にばかり目が眩んでいると思いきや、喉がカラカラと歌われる悪霊は、水にも関心があるらしい。滴る雫を不思議そうに掬い取っている。
――同じ頃、後方では。
扉の前へ置かれた菓子の山へ一直線に進んだ子どもたちに倣い、ふわり進み出たひとりが、とある少年に行く手を阻まれる。
「慌てなくても、君の分はこっちにあるぞ」
傍についていたフィーレンだ。子どもたちのように菓子を求めるだけならともかく、違和感を覚え咄嗟に間に入ったのが功を奏した。穏やかな誘導は悪霊の逆鱗に触れることもなく、かれはいそいそとフィーレンの言う『君の分』を受けとるだけで。
(……下手に刺激しなければ、大丈夫なんだろうか)
フィーレンはそう察する。
「次いこ次」
「いこういこう」
菓子を受けとった子どもたちが、立ち止まったままのフィーレンと悪霊を呼ぶ。物言わぬ悪霊をよそにフィーレンが深く頷く。
「そうだね、まだ家もあるみたいだし」
被り物で覆われているというのに、面差しを微塵も変えぬままフィーレンは次なる家へ向かう。
ちょうどそのときだ。シルクの手を振り払って、二つ目の輪から飛びだす悪霊がいたのは。
「しなくて済むならと思っていましたのに……」
冷えきった手の平を見つめるシルクの溜め息は、どことなく楽しげで。
「お仕置きの時間を整えておきませんと」
「だな、お仕置きが必要みたいだぜ」
先に訪問を終えて駆けつけたテュパラが、拳を鳴らす。あげた口角は残念ながら南瓜で見えないが、意気揚々としているのは声と雰囲気から滲んでいる。
「どしたのー?」
脇道に逸れる冒険者に気付く子どももいた。意外と周りをよく見ている子へ、テュパラがすぐさま対応する。
「習わしを守らないわるぅいお化けに、ちょっくら言い聞かせてくるぜ」
祭を進めるための規則は、子どもたちにとっても大事なもの。悪霊の仮装をしながらも、規則を守らぬ子がいたのだと遠回しに表せば、そっかぁ、と疑念の色を一切含まぬ返答が届く。
「じゃあ先いってるね、すぐきてよ」
「安心しな! 夜が明けちまう前に済ませる」
テュパラがひらりと手を振れば、子どもたちからも同じ仕種が返る。
その頃、輪から外れた悪霊は灯りのない家へ――最後尾にいるアーノルドへ迫った。被り物を奪おうと近づく悪霊に、ぎょっとしてアーノルドが踵を返すと、そこへ。
「こっちだ!」
せめて子どもや家畜小屋から遠ざけなければと、サイラスが行き先を示す。
(連れ去られたりしたら一大事だ。最悪、子供だけは守らんとね)
サイラスに導かれたアーノルドの胸に迸るのは、安堵感だ。何せ今宵は家の灯りも点らぬ祭の夜。楽しく、そして無事に祭を終わらせることを重視する村なら尚更、進行に不要な灯りをつけはしない。つまり。
(ランタンの列から外れてしまえば、どうにかなるはず)
暴れたところで人目には付きにくい。アーノルドの考えは的を射ていた。民家や別の集まりへ紛れ込まぬよう、急ぎ矢を番えたアーノルドが、悪霊の南瓜に新たな穴を作る。
うろたえた悪霊へ、矢継ぎ早に落ちたのは。
「やりすぎです!」
ユネスコからの拳骨だ。南瓜を砕かんばかりの音が散らばり、悪霊の足取りが覚束なくなる。
「お菓子は、皆さん同じ量だけ貰うものです。でしょ?」
説教モードに入ったユネスコにも、悪霊は怖じ気付かない。
そして月影が澄めば合図となる。フィーレンは心地好さげに闇を踏み、任せてくれと告げたばかりの唇で光の名を紡ぐ。
「さあ、射抜くんだ」
棍を翳すフィーレンの言に従い、魔矢が翔けて南瓜を貫いた。
「悪いね」
一言は夜気にくるまれ、消えゆく悪霊へと囁かれる。
「お菓子が貰えるのに悪さをするのは、ルール違反だからさ」
●
反抗して消滅した一体を除き、他の悪霊は冒険者たちに懐柔されたかのように、今は静まり返っている。菓子を与えられ、機嫌も損ねず行列を堪能したかれらは、萎れながらもいそいそと暗夜へ溶けていく。どこへ消えたのかは分からないが、とりあえず悪さがモブール村に降りかかることはないだろう。
見送ったテュパラが細い息を吐く。
「お化けでも祭りを楽しみたいって気持ちは、まあわかるけどな」
全員が悪戯せず大人しくしてくれていたら、きっと追われず最後まで見届けられただろうに。
――そう思わずにいられなかった。
「……これまでは、どうだったんだろうね」
ぽつりとフィーレンが呟く。
「今までも、伝承に留まらなかったのかもしれない」
もしかしたら、の話だ。けれど。
「有り得るお話ですね。気付かれないままだったのかもしれませんけど」
シルクがそう顎を引き、サイラスも難しげに双眸を伏せた。
「過去に何事もなかったならいいが……浚われたりしていたら、洒落にならんな」
そこへ、悪霊を払ったとわかった村長が顔を出す。村長によると、既に子どもたちの訪問も終わり、今は祭の余韻に浸っているそうだ。
「冒険者様、感謝します。お蔭で祭も恙無く進みました」
深々と頭を下げた彼へ、冒険者たちも漸く緊張を緩める。
「また来年もいらしてください。今度こそは普通に楽しんで頂ければと思いますので」
そう話す村長へ、真っ先に口を開いたのはユネスコだ。
「次に来るときは、赤いローブがあると嬉しいです」
屈託なく告げたユネスコに、村長が小さく笑う。
そして此度の依頼を受けた冒険者をひとりひとり眺め、こう連ねた。
「色を揃えておくとしましょう。どれも魔を払ってくださる、善い色ですからな」
「旨い生肉もあると尚喜ぶと思うぞ! もちろんシトルイユの悪霊が」
抜け目なくアーノルドが付け足したものだから、村長だけでなく冒険者たちからも笑い声が溢れた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2020年11月11日 12時35分07秒 公開
参加者
- メイプルリーフ シルク
- ビスコ ユネスコ
- サイラス
シニング・W・テュパラ
アーノルド
フィーレン・ステオラーズ
相談掲示板
ヒーラーのフィーレンだ。宜しく。 戦闘はせずに、悪戯を未然に防いだり、 トラブルが起きてもすぐ対処したりしつつ護衛すればいいのかな? 祭りを無事終えた後に討伐するかどうかは…意見を聞きたい所だね。
オイラ、アーノルドだ! よろしくなっ。 悪霊ってのを見つけれりゃ、どーにか出来そうだな。 夜は暗いから黒い格好は見つけにくそうだなー……一緒にお菓子をもらう列に混じって探し出すと面白そうだな! ついでにお菓子ももらえるしなっ(じゅるり) 悪霊はお腹ペコペコだから悪さするんなら、お菓子をいっぱい用意するのも良さそうだよなっ
No.3
ユネスコです。 よろしくおねがいしますね。 悪霊は撃破しても良いし、ただ追い払うだけでも良いみたいですね。 アーノルドさんが仰るように、グループに同行してアクションを起こす人は必要と思います。 あとは定点で待ち構えて対処をするか、つかず離れずの位置で尾行するか、みたいなパターンでしょうか。 重要なのは騒ぎにならないことですので、隠密裏にコトを運ばねばなりません。 仕掛けるにしても、場所とタイミングは慎重に選びたいと思っています。
No.4
サイラスだ、よろしくなー 追い返すならお菓子と飲み物、戦うなら攻撃手段とお祭りの状態を維持することが重要かねー? お菓子が奪われるのは多めに用意してなければ配るとか、ランタンの火は燃え移るようなら水で濡らすとかしてとやってけば祭りは維持できそうかね?被り物とられるのが遠くにいたら対処し辛くて厄介そうだなあと
A.追い返す お菓子と食べ物を用意して、お化けに子供達に振る舞う。村人に協力してもらえるか交渉出来れば、材料の調達は考えなくてよいかな。 オイラは料理からっきしだから、食べる専門な!(むしろそれが狙いの模様) B.討伐 敵を探し出す方法を検討しねーとな。 エーテルの流れでわかるかな?暗闇なら夜目きかせりゃ何とかなるかもしんねーけど、ランタンの光が眩しすぎる可能性があるから一長一短だなぁ。 子供達を怖がらせないようにするなら、見つけられた時点で二手に分かれさせ(子供達と悪霊達と)路地の端っことかでさっくり退治なんだろうな。 子供達と同行するのはやっぱり子供をあやすのが上手い奴がいいのか? A.の方がお祭りらしくっていいかもな!肉が必要なら狩ってくるぜ!
No.6
悪霊を特定するのが難しいですよね。 間違って子どもを攻撃しちゃうわけにはいきませんので、決定的な証拠を見つけないとダメだと思います。 消極的な作戦としては、悪霊がいたずらするのを待ってから後手で対応する方法。 からめ手としては『シトルイユの悪霊』を歌う際に、誰かが替え歌として「歩いてるユネスコは食べちゃおう~」みたいな感じで自分の名前を歌詞に入れて順番に歌っていって、歌えなかった子、聞き覚えの無い名前の子は怪しいとアタリをつけてみたり、とかですかね。
わり、遅くなったわ アタシはテュパラだ。よろしくな 祭の参加者が楽しんだまま解決しないとだめなんだろ? となると悪戯待ちはあんましいただけねぇ気がするな 火まわりは大人も子供もボヤ程度でも祭りどころじゃなくなるし 菓子や仮装の一部を取られる程度なら安全といえなくもねぇが取られた側のチビは楽しかねぇからな ってなってくるとユネスコが挙げてくれてるからめ手みたいなのが一番妥当かなぁ? 仮に討伐が必要ってんなら祭りのショーの一環にでもしちまえば、ある程度はごまかしがきく、かもな?
No.8
悪霊と子供に体温差があるならサーマルアイとか、本気で飢餓関連の幽霊ならお菓子見せた時がっついたりしたとかで雑に特定できると思うけどなー。出来るか怪しそうなんだよなー まあそういいつつサーマルアイと、燃やす系対策に生活魔法持ち込むつもりだけどねえ。ほんとに体温違うなら伝える的な OP敵にこっちはなにか違和感で気が付いたっぽいけど一体何が悪霊と人間の違いなのかね? 後は絡め手するなら参加する子の名前は全部確認する必要あるね。もう開始はしてるから、だれか練り歩いてるときに村長とかに聞いて、後から合流して対応とか?
わわっ。 締め切り早いんだな、のんびりしちまった!ゴメンな! 悪霊との違いはオイラは正直わっかんないけど、サイラスの言う体温差とかいうのを信じてみるよ。 観察力高くすれば見分けられる気がするしなっ! ただ、オイラ……あんまりヒトに会うのは好きじゃないから、バレバレな程度な悪霊っぽい格好をして、後ろから一緒についていくぐらいしか出来ないなー。 見つけたら、目印に、匂いの強いやつか、色がつく果実の汁を投げつけてやろうかな。そうすりゃ、人混みに紛れられても追いかけられるだろ? ミンナが怖がっちまうから、人前で刃物は振り回せねーしな。 こんぐらいしか思いつかないや。 オイラはあんまり力は強くないから、トドメを誰かに頼みたいぜ
仮プレイングを出してきた。 そういやグループは3つあるんだよな、それぞれ担当決めておいたほうがいい気がする。 それぞれ別々に移動しそうだから、話術が得意なやつがいれば、誘導してもらえると助かるなー。 1グループ目が2体もいるから難易度高そうだ。 オイラはちょっと列の後ろからついて行きたいから、一番後ろっぽい3グループ目がいいな。 そっか、火の心配があるよな。 水袋は持っていたほうがいいのか? 用意しておく。 討伐は「気づかれないよう素早く倒す」でいいか? (以下仮プレ) ■準備 村に生えてるベリーを採取。 すぐに潰れてしまうほどに柔らかく熟しているものが理想。 (準備出来なそうであれば、子供達の列を見逃さないようすぐに行動に移る) ■行動 村人から黒いローブを借りて、子供達の列の後ろからついていき、様子を伺う。 ユネスコが『シトルイユの悪霊』の歌で子供の名前を確認するそうなので、歌の声色がおかしいのがいないか(ヒト以外のものなら、違和感があるかも)聞いてみたり、足音がヒト以外のものでないかを聞いたり。 準備が間に合わずベリーが摘めてなかったら、道中でベリーも探しておく。 悪霊の目星をつけたら、カボチャの被り物に向かって、目印になるようベリーを投げつける。 出来れば、子供達には気づかれないようこっそりと付けておきたい。 近くの仲間にベリーがついてるカボチャが悪霊だと伝える。 ■討伐 家の明かりもないのであれば、ランタンの列から外れてしまえば多少暴れても暗くて分からないと予測。 目印をつけた【悪霊】の足を狙って攻撃。 動きを鈍らせる、列からはずさせるのが狙い。
No.11
ではボクは1グループ目に混ざりますね。 狼のシバも同行しますので、もしかしたら臭いで手がかりがつかめるかもしれません。 歌についてもボクの方でそれとなく試してみますので、おまかせください。 子どもに被害が出ないよう気をつけつつ、手がかりがつかめたら合図します。
No.12
じゃあ私は2グループ目に混ざりましょうか イタズラする子が居たらその子と手を繋いで歩くことにしますね そのまま何も起きなければ良し、暴れたらお仕置きという事で
んじゃあ……アタシは1グループ目に行っとくわ 細かい異常に気付けるようにしつつ、何かあった時に駆け付けられるような感じかな 超聴覚に何か引っかかりゃいいけど
っと、挨拶以外に発言できなくてごめん。 俺は3グループ目の方についていくつもりだけど ある程度自由に動けるようにしておくよ。