【死軍】死者の兵団を分断せよ

霧柄頼道

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シナリオID:107

オープニング

●
 それは死の戦列だった。
 突如として南部鎮守都市ヴィントより湧き出でたアンデッドが、恐るべき大集団を形成し、一路平原を進んでいる。
 腐臭を発しながらぎこちなく足を動かし、うめき声を上げて歩く無数の死者達。その大多数は生ける屍――ゾンビであったが、中にはクリーパーである異形の怪物達もまた、集団に紛れ込んでいた。
 死者とクリーパーがないまぜになった、いびつな混成部隊。
 互いを意識するでなく、ただ単に道を共にしているだけ、という印象ながらもその歩みは留まる事なく、国境のヴァイセントラフ砦へ向いている。
 都市ヴィントを発して南下している死者の群れの存在はただちに知れ渡った。砦の放った斥候によればほとんどがゾンビで、クリーパーも混ざっているという。会話ができる何者かもいるらしい。
『この砦をもって、死者の兵団を撃滅する』
 ヴァイセントラフ砦の方針は、そのように定まった。相手の足は遅く、辿り着くまでにはまだしばらくの猶予があるだろう。
 しかし、難民でごった返す今の砦が戦えるようになるのと奴らの到着のどちらが早いか、いまだに予断を許さぬ状況だった。
 冒険者ギルドにもすぐに依頼が並び始める。敵を探るもの、敵を減らすもの、味方の支援を行うもの。冒険者の対応力の高さを示すような、多種多様な依頼が。

●
「聞いての通り、シルトラース帝国にて有事が起きている」
 冒険者ギルドに集まった冒険者達を見回し、受付の男が事件の発生を知らせていた。
「アンデッドとクリーパーの大群が、ヴァイセントラフ砦を目指しているらしい。その背景で何が起きているのかは不明瞭だが、規模からして三万とも四万とも言われている」
 もし砦が落ちようものなら、兵士や難民を問わず、多くの犠牲者が出るのは間違いない。
 突破を許せば、そのままリーンエスへ大挙して押し寄せる可能性だってあるだろう。
「砦を守る帝国軍はこれに対し、籠城作戦を実行するという。冒険者のみんなにはぜひこの作戦に参加し、ヴァイセントラフ砦を防衛して欲しい!」
 頷く冒険者達。続いて男は、詳細な内容の説明に入る。
「ここの支部が担当するのは分断作戦だ。【死者の兵団】と奴らが呼称する軍勢の構成員は、大半がゾンビだが、中にはクリーパーまでも紛れている」
 砦で受け持つ相手がゾンビとクリーパーの混成である場合、一般兵にはやや荷が重いはずだ。可能ならば、砦に辿り着くのはゾンビのみとしたい。
「進軍中の敵集団にちょっかいを出し、足の速いクリーパーを引きずり出しては各個撃破する……! これが作戦の概要となる」
 【死者の兵団】が砦にまで到達し、本格的な包囲攻撃が行われるまでにはまだ猶予がある。それまでにこちらから奇襲を仕掛け、敵戦力を減らすのが目的だ。
「現在、敵はヴィントとヴァイセントラフ砦の間に横たわる大平原を行軍中だ。みんなにはこの軍勢の横腹を突き、クリーパーのみを誘引して撃破してもらいたい」
 敵軍は規模が大きく、また知性の乏しいゾンビが大勢を占めるゆえに、警戒らしい警戒は少なく、動きも鈍い。
 クリーパー勢との連携も皆無であり、ひとたびこちらが姿を見せれば、機敏なクリーパーならばゾンビを押しのけてでも向かってくると思われる。
「また大平原といっても身を隠せそうな背の高い草むらや岩が点在しているため、それらやスキルを利用して潜伏しつつ接近し、敵中深く切り込むだけならさほど難しくはない……が」
 何せゾンビの数が尋常ではない。不意打ちで突撃したはいいが、逆に敵の群れに取り付かれ、身動きが取れなくなってしまえば、後はもう死者の餌食となるだけである。
「だから、こちらは連携がカギだ。誰が先陣を切るか、誰が戦線を維持するか、誰がしんがりを務めるかなど……しっかり分担していかないと、まずい事態に陥る羽目になる」
 特に、今回標的としたクリーパーは機動性が高い。釣り出す間も、ひっきりなしに追撃を加えてくるだろう。
「いかにそれらを捌きつつ軍勢から引き離し、真っ向勝負へ持ち込むかが重要となる。首尾よくクリーパーを倒した後は、速やかに戦場から離脱してくれ」
 こちらを追いかけすぎてしまったために、軍勢からはぐれたゾンビ達が近くの難民やキャンプを襲う危険性もある。華麗に襲撃し、跡を残さず退くべきだろう。
「難しい任務だが、みんなならきっとできるはずだ! のちの一大決戦までにできる限りの事をして、ヴァイセントラフ砦を援護しよう!」

解説

●勝利条件  クリーパーの撃破。 ●クリーパー×五体  群青色の頑丈な体躯、白銀色のたてがみ、黄色く輝く目を備える、馬の姿をした小型クリーパーです。  同型のクリーパー達とはつかず離れず群れて行軍し、敵を発見すればゾンビを蹴散らしてでも突っ込んできます。  力強く地を蹴る脚は強靭で、スピードのみならず小回りも利いて俊敏。その突進力でもって敵をひき殺そうとします。  胴体の両脇には、サメの尾びれじみた硬く鋭い刃みたいな器官が二枚ずつ飛び出していて、周りの敵を切り裂く事ができるようです。  遠距離の敵に対しては大口を開けて魔法属性の青白い火球を浴びせかけ、炎上のスリップダメージを与えてきます。 ●ゾンビ×すごいいっぱい  動きは鈍重で、戦闘力もさほどのものではありませんが、体力が高く数も多く、この戦いで全滅させる事は不可能です。  また、火に弱いです。 ●場所  シルトラース帝国南部の大平原。ヴァイセントラフ砦では決戦への準備が進められ、都市ヴィント側からは迫る【死者の兵団】と、謎の黒い霧のようなものが見えています。 ●状況  【死者の兵団】のゾンビ達は元々ヴィントの住民達であり、ヴァイセントラフ砦の兵士達にとっては、死んだ家族と戦わされるようなものです。  あくまで本当に余裕があればですが、ゾンビもなるべく倒しておくと、砦側が楽になるでしょう。

マスターより

 霧柄頼道です。よろしくお願いします。  世界を揺るがす大規模なイベントとなります。まずはこの前哨戦を制し、きたる決戦へつなげましょう!

リプレイ

●
 大平原を埋め尽くすかのように、死者の兵団が闊歩し、砦へ向けて侵攻している。
 分断作戦遂行のため集まった冒険者達は、死軍に見つからぬ離れた位置で、状況整理のため会議を行っていた。
「縦一列で移動してくるのは敵にメリットが無いので多分ありません。どのパターンでも最前の方が2体から攻撃受ける可能性があるので警戒しましょう、回復は行えます」
 ドローミが土に描いた敵陣の構成を指摘する。
 先陣を切るシーフ二人に対しては、輝足をもたらし反応速度を強化だ。
「今回キャスターもお二人居るので、都合の良い立地で派手に動き、こちらの射程へ誘い込むのが良さそうです」
 火力を担当するキャスター二人へは、存分にパワーを発揮してもらうため輝刃を送った。
「それに賛成。最初に切り込む時点までは、なるべく隠れながら近づこう」
 盛大に暴れるのはその後で、とアルマ・ヴァレンタインも頷きつつ、戦線を維持する役目のウォーリア二人へ堅甲をかけていく。
「砦の負担を減らすためにもクリーパーは倒しておかないとねー……どこに紛れてるかなあ」
 さらに少し小高い丘へ上って、敵軍を見渡す。優れた視力がクリーパーらの現在位置を見つけ出し、その情報を仲間にも伝えて共有した。
 ちなみに、こうした各メンバーへの強化魔法付与は、効果時間を少しでも伸ばすため、受けた側はただちに動き出している。
(ここで一つでも多く敵を叩く、それが微力でも前に進めるなら……!)
 マーハ・アセトシソンは仲間達とともに岩や草むらの物陰を利用し、敵だらけの大群へとにじり寄っていく。
「敵は状況を考えてくれねぇってか……ただでさえゾンビ共のせいで混乱してるってのに、便乗してきやがって」
 まったく空気を読まない奴ら、とシニング・W・テュパラは舌打ちする。
「戦術として正しいのは理解してっけど、やっぱし腹立つよな……」
 できるだけ気配を殺し、中腰の体勢で接近を試みていく。敵の多くが認知能力に乏しいゾンビであるゆえ、無理をしなければ隠密行動の維持はそう難しくない。
「よし、ちょっとばかし八つ当たりしてやろ。……あーいや、ぶつける対象としてあってるから八つ当たりじゃねぇか」
 ちょっと髪を掻いてから短剣を手に、草むらから飛び出す。
 身を低めて影の如く、ゾンビの群れへ突入した……!
「嫌いなものは先に食べるのが信条だもんでね。後の作戦のために、まずは一仕事済ませておくか」
 キルシッカ・ニクライネンもシニングとタイミングを合わせ、疾風足で機動力を増幅させて矢のように駆け出す。
 瞬く間に迫るは死者達の織り成す壁。腐った顔、腐臭を放つ身体、理性なきうめき声。
 だが今、この連中をまともに相手にする気はない。シーフ二人は一陣の風となり、恐るべき軍勢へ強襲をかける――。

●
「死者を戦力に使うとはな……」
 ケン・Z・ブラッドリーは果敢に突き進みながら、一つ嘆息した。
 災厄に巻き込まれた不運な死者をなおも大量に酷使するという、この阿鼻叫喚の状況。
 本当にひどい。人同士では実行どころか、思いつく事すらできない悪意に満ちている。
「だったらここで、できるだけ楽にしてやらないとな……」
 ここで倒すのは作戦のみならず、彼らの安息と鎮魂のためでもある――ケンは立ちふさがる死者を端から撫で斬りにし、楽にしていく。
「サクッと切り込んで、サクッと釣り上げて、サクッと撤退だ」
 バーネット・フォーサイスは天眼を用い、敵味方の位置関係や動向を把握しながら、落ち着いてエーテルを集中させる。
 シニングとキルシッカをぶち殺すべく、四方八方から波となって襲い来るゾンビ群。
「もたもたしてたら、俺らもこの軍団に仲間入りしちまうぞ……っと!」
 それらの敵が一直線上に寄り集まる刹那を見計らい、タイダルストリームを放った!
 荒れ狂う勢いの水流が放出され、ゾンビ達を一気に押し流す。一時的に風通しの良くなった平原を、シーフ二人は安全に進んでいった。
 その間、サイラスはサーマルアイによって周辺の温度を視覚化し、ゾンビとクリーパーの位置を確認しながら前進していた。
「やれやれ、標的は結構奥にいるなぁ……こっちも色々工夫しないといけない感じか」
 ゾンビのほとんどは死体だからか、熱反応がほぼない。一面真っ青な視界へシーフ二人の赤い熱反応が飛び込み、ゾンビの間を縫うみたいにしてクリーパーを目指している。
 けれども肝心のクリーパー達はあらぬ方向を向いており、二人に気づいた風はない。
「じゃ、こっちを向かせるか」
 二メートルぎりぎりの距離から幻影を作り出し、クリーパーの近くへ立たせる。
 するとその姿が目の端に入ったか、奴らは振り返り――次いで至近まで切迫するシニングとキルシッカを認めると、咆哮らしき声を張り上げて向き直る。
 かと思えば後ろ脚で地面を蹴り、こちらめがけて猛然と疾駆し始めた。幻影を消し、すぐに引き返すサイラス。
「よっしゃ、撤収だ!」
 シニングはすぐさま踵を返し、元来た道を駆け戻る。移動経路がゾンビで塞がれないよう、仲間達がひっきりなしに攻撃し続けてくれているおかげで、逃走もスムーズだ。
 しかしクリーパーの一体が口を開け、青白い火球を吐き出す。
 それは剛速球もかくやのスピードで、シニングの背中へ迫り――。
 寸時、シニングの姿が残像を残して消え、より前方へ現れた。
 とっさに発動したアクセラレイターにより、遠距離攻撃を凌いでのけたのである。
「余所見してんじゃねえぞ。しっかりエスコートされろ!」
 キルシッカもまた全速力でもって疾走し、仲間達の場所まで離脱を試みていた。
 クリーパー達はゾンビに仲間意識などないのか、まるで布きれか何かみたいに蹴散らし、斬り飛ばし、まっすぐ追ってくる。
 いちいち進路を考えなくていい分、こっちよりもずっと進行が速い――。
「無茶苦茶しやがる……!」
 ふと見れば、一体のクリーパーが足を止め、口を開けていた。
 その喉奥に、不吉な青白い焔が集束しているのが目視できる。
 キルシッカは即座に反転して肉薄するや、逆手の短剣をひらめかせて斬りつけた。
 短剣の切っ先が奴の喉元を穿って不可視のエーテルを注ぎ込み、その身を蝕んでいく。 しかもその際の衝撃で形成されかけていた火球が崩れ、口腔内で破裂した。
 敵がたてがみを振り乱して苦しむ隙に、キルシッカは再び身を翻す。ゾンビの海を走り抜け、多くの距離を稼ぐのだった――。

●
「お二人とも、無事で良かったです。今、回復しますね」
 戻って来たシニングとキルシッカと二名へ、ドローミがエーテルの波動を展開する。
 自身を中心にして広がる穏やかな光が、敵の追撃や妨害でまぁまぁ傷を負った二人を、みるみる癒していく。
 前線では、誘引されてきたクリーパー達をケンと、撤退途中で合流したサイラスが受け止めていた。
 彼らが振るう得物には淡い透明な光が宿っている。こちらもドローミが接敵直前を見計らい、輝刃による強化を付加しておいたものだ。
「その自慢の脚、もらっていくぜ……!」
 ケンは突進してくる敵とすれ違いざま、側面へ回り込んで大剣を大きく引き、攻撃の予備動作を取った。
 敵は速度がつき過ぎていたためか、そのあたりをふらふらしていたゾンビ達を弾き飛ばし、そこでようやく勢いが削がれる。
 動きの止まった間隙を突き、ケンの飛ばした衝撃波が横合いから叩き込まれた。
 盛大に吹っ飛ぶクリーパー。すぐに立ち上がって来るも、脚の一本は半ばからぐにゃりと折れている。
 さすがにクリーパーであるためか、馬と違って走れなくなるような事はないようだが、それでもスピードはだいぶ落ちていた。
 こちらを狙って追いすがる敵の突撃を冷静に盾で防ぎ、無理せず斜め後ろへ受け流す。
 敵はまたまたゾンビの群れに飛び込んで踏みつけ、刃で切り裂き、勝手に敵数を減らしてくれていた。
 一方で別のクリーパー数体は、その小回りを活かして回り込み、後衛の冒険者達を襲撃しようとしていた。
 敵の目論見を察知したサイラスがそちらへ向き直り、エーテル光を纏った斧を振り上げる。殺界が先を行くクリーパーらを捕らえた。
「連中、鈍って来たな。ならここは一つ、全体攻撃といくか……!」
 バーネットが杖をかざし、エーテルを集中させる。
 一呼吸後には解放された魔力が無数の光弾と化し、敵勢を呑み込んだ。
 ついでに巻き込まれた死者の数体は耐える事すらできず、次々と弾け飛ぶ。
 そして、今のクリーパーらの動きでこの閃光から逃げる事はできない。強く爆ぜる光が多大なダメージをもたらす。
 光を受けたクリーパーの一体はよろめき倒れ、そのまま息絶えた――。
「恨みはない、けど……この戦いで多くの人たちが傀儡にさせられてるんだ、やらせてもらうよ!」
 マーハの内側で魔力が激しく渦巻く。戦闘に備え、直前に自身のエーテルを燃やしておいたためだ。自分へのダメージもあったが、そこはアルマに回復してもらってある。
「頑張ってね、どんどん支援するよー」
 構えを取るマーハへ、アルマが改めて補助魔法を付与した。
 マーハの腕が光を帯びる。かけたのは輝腕――マーハの燃えたぎる魔力が的確に敵を打ち据えられるよう、その精密性を強化せしめたのだった。
「凍てつけ! フリーズボルト!」
 マーハが杖を勇ましく突き出す。その先端から、氷の矢が勢いよく放たれた。
 冷気を纏う魔法の一矢は空間を切り裂いて一直線に突き進み、吸い込まれるようにクリーパーの脚部へ着弾。着実にダメージを積み重ねる。
 そしてサイラスが足を止めた敵の群れめがけ、斧を真横に薙ぐ。
 その一発は敵を一息に弾き飛ばし、鈍い音とともに脚部へ大きな損傷を与えてのけた。

●
 シニングは素早く駆け回り、クリーパーの攻撃を避ける事に注力していた。
 相手が突っ掛けてくれば大きく横へ転がって回避し、火球を飛ばして来るようならこちらもハイディングで狙いを定めさせずにやり過ごす。
 やがて相手が根負けして背を向けた途端、その無防備な背中へ軽快に飛び乗って。
「こいつを食らいな!」
 両手の短剣を首根っこへ深々と突き入れ、えぐりながら引き抜けば、標的はどうと横倒しに力尽きる。
「ウサギ狩りは獅子じゃなくても全力ってか。――上等。狩りきってみな!」
 キルシッカもひっきりなしに動き回り、敵を攪乱しながら矢継ぎ早に短剣を繰り出す。
 小刻みな斬撃を見舞えば、小さな傷口からエーテルが入り込み、クリーパーを苦しめる。
「むう、範囲浄化のすべが欲しいですね」
 ドローミはヒールとサルベーションを使い分け、仲間の治癒に徹していた。
 クリーパーは順調に倒せているものの戦闘時間が長引くほど、一旦は引き離したゾンビの群衆が近づいて来る。そちらの処理にも手を回さなければいけないのだ。
「ゾンビは私が食い止めます。その間にクリーパーの撃破を……!」
 ドローミは味方と声を掛け合い、仲間の体力に余裕があるタイミングでは弓へ持ち替えて矢をぶっ放し、クリーパーに集中できるだけの時間を稼ぐ――。
 クリーパーが口を開け、ケンへ狙い定めて火球を発射する。
 対するケンは、近くにいたゾンビ群の後ろへ駆け込む。火球を浴びたゾンビ達はたちまち火だるまと化し、同時に赤い炎の壁がこちらの姿を数秒、覆い隠した。
 ケンはそのわずかな機会を逃さず、死角を突いてクリーパーへ急接近。
「その首を……狩らせてもらうぜ」
 脇を駆け抜けざま、大剣の豪快な一撃でもってその頸部を両断した。
「ゾンビとか可哀想だしなぁ……アレじゃ人格も記憶もないから、研鑽とか生前の記憶や時間の活用出来ないじゃないか勿体ない」
 サイラスは残念そうにぼやきながらも、押し寄せてくるゾンビを対処していた。
 派手なクリーパーばかりに気を取られていたら、いつの間にかはぐれゾンビに食らいつかれていた、では笑えない。
 間近に迫るゾンビを斧で叩き潰し、時には群れの中心に幻影を放って混乱させ、進撃を遅延させていく。
「長引きすぎるのはまずいな……」
 クリーパーを見据えるバーネットの周囲に、無数の光弾が出現し、浮遊し始めた。
 すぐ隣に立つマーハの周りにも、ちりばめた星のような光輝が存在感を放つ。
「きっついのやっちゃってよ!」
 アルマがダメ押しとばかりに輝刃をかけ直した直後、二人が同時に杖を振り下ろす。
「ぼちぼち片を付けるぞ!」
「砕け! メテオライト!」
 メテオライトが二連続で降り注ぎ、眩い閃光が空間を満たした。
 残る二体の敵はまとめて薙ぎ払われ、光の粒子とともに塵も残さず消し飛んだ。

 その後、シニングら冒険者は、残存するゾンビの撃破にとりかかっていた。
「最後まで油断なさらないよう。回復が必要ならばお声がけ下さい」
 ドローミは戦い続ける仲間達へ適宜ヒールをかけ、支援を怠らない。
「我が掌中に轟くは紅蓮の炎! エクス――ップロージョン!」
 腹の底から気勢を発したマーハが、衣をなびかせて半回転しながら掌底を向けるや、赤々と燃え盛る炎弾を生み出し、寄り来るゾンビ達のど真ん中へ叩き込む。
 一拍後には激しい爆炎が巻き起こり、死者達を瞬く間に消し炭へ変えてのけた。
「こいつは奢りだ」
 サイラスは戦線を下がりながらワインを投げつけ、後にランタンも投げ込んで敵を炎上させた。
「ま、せっかくだからね」
 アルマも道具を組み合わせてしっかり火をつけるのも良かったが、さすがに手間がかかるため、サイラスに合わせてランタンの油だけを投擲し、火勢を強めてやる。
「それじゃあ邪魔したな。この辺で失礼するぜ」
 焼き滅ぼせなかった分の敵に対しては、バーネットが去り際にアーケインを建て、追跡させないように足止めする。
「残業はしない主義なんだが、まぁ、ちっと未来の自分に残業代を送るのはやぶさかじゃないけどな」
「悪いが……これから先に生きてく人のためにできるだけ狩らせてもらうぜ」
 しんがりはケンとキルシッカだ。まばらに残るゾンビを速やかに永眠させると、互いに目配せし合い、それぞれチャージングと疾風足で、一気に戦場から脱出する。
 こうしてクリーパーは倒され、随行するゾンビの一グループも、それなりの数が撃破された。
 戦力的にも心情的にも、砦側は楽になったはず。作戦は成功したと言っていいだろう。
 やがてきたる決戦に備え、冒険者達は気を引き締めるのだった――。

マスターコメント

お疲れ様でした。 行軍する死者達のただ中へ殴り込み、クリーパーを誘き出して倒す――単純ですが難しいミッションを、見事な連携で果たされましたね! 皆さん素晴らしいです!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2020年11月26日 14時35分14秒 公開

成功

相談掲示板

  1. No.1

    サイラスだ、成立前だけどとりあえずよろしくなー 狙うクリーパーは五匹、引き撃ちに近いやり方とかもありな気がする。突撃するならもう一人二人は前線やれる人欲しい 後はゾンビやりたければ酒なり油なりと松明持ち込んで焼き払うとか?

  2. ドローミ

    はい、僕の名前はドローミと言います。 どうぞ宜しくお願いしますね。 僕の主武器も弓ですが、ある程度は人数が居ないと引き撃ちは困難かと。 (サブアクションで装填する為、射手は行動間射撃は出来ない故。) また、クリーパー(オロバス?)がゾンビを蹴散らしてでも、レシーバーを狙ってくるのは利用できそうです。

  3. ドローミ

    ご参加ありませんね。

  4. バーネット・フォーサイス

    キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 とりあえず、クリーパーそのものの誘導は問題ないだろうが、 面倒なのは俺達がゾンビをどう振り切るかだな。 クリーパーが軍勢のどのあたりに居るかはわからないが、 ある程度切り込まないと気づかれないくらい奥に居た場合は、 注意を引いて軍勢から離脱するまでの間、絶えず纏わりつこうとするのを防ぐ必要がある。 可能な限り軍勢に切り込む深さを最小限にし、遠隔攻撃で注意を引きつける形にすれば、 離脱する距離も最低限で済むし、何よりクリーパーが群がってくるゾンビの一部を 蹴散らしてくれるだろうから、離脱時や離脱後のゾンビの処理も楽になると思う。

  5. アルマ・ヴァレンタイン

    ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしく。 >方針? 発見すれば突撃してくるなら、離れた位置から何か魔法系スキルを空撃ちしてみるとか? クリーパーだしエーテルに反応してくれないかなーと 目立つだけでいいなら光縛封で柱(持続3らうんど、幅5m、高さ20m)でも建ててみるよ 撤収時は草むらに油とかをまきながら(事前にでも可)通り抜けてそのあと点火~するとか? 真っすぐ追ってくるゾンビが火で出足が鈍ったり嫌がって戻ってくれるといいんだけど、 OP文にある跡を残さず~に微妙に引っかかりそうな気がしないでもないねー…

  6. バーネット・フォーサイス

    >跡を残さず たぶんこの辺は、大量のゾンビの集団を引き連れながら離脱して、 倒しきれずにはぐれた奴らが周辺地域に被害を出すことを懸念しての一文だろうから、 ちゃんと始末するか、あるいは追撃される前に離脱するかできれば、ひとまず問題はないと思う。

  7. キルシッカ・ニクライネン

    遅ればせながら参加させてもらうぜ。 シーフのキルシッカだ。キルと呼んでくれ。 移動力や回避力をある程度確保できるから、 敵をつり出すのには向いてると思うよ。

  8. アルマ・ヴァレンタイン

    >跡を残さず なるほどー…そういう意味に考えれば問題なさそうだね キャスターさんも二人いて火魔法のあても出てきたし無理に燃やさなくてもいけるかも? >釣り出し 先行してくれる人がいるなら直前に防御か回避の支援をかけておこうかなーと (今のセットは決戦シナリオ用なので気にしないでね…)

  9. マーハ・アセトシソン

    ごめん、ちょっと遅れたよー(汗 キャスターのマーハ・アセトシソン、よろしくね 火系の魔法なら任せてよゾンビの弱点みたいだから役には立つと思うし動きを阻害する魔法に【アーケインテンペスト】っていう魔法もあるからそういう動きも可能だよ、ただ使用回数が1回だから慎重な使用になるけど 回復系の魔法も持ってこれる人がいたらお願いしたいな 【魔導の潮流】を使ってブーストしたい都合上体力が減っちゃうからね・・

  10. No.10

    チャージングで移動上げれるから俺はそれで釣りに行くことになるかなと。 OPで言われてるから出来るだけささっと釣りは済ませたいところだなー

  11. バーネット・フォーサイス

    流れを纏めると大体こんな感じか? ・草むらや岩などに隠れながら敵軍に接近し捜索 ・クリーパーを見つけたら攻撃を当てられる、又は注意を引けるまでゾンビの群れに切り込む ・注意が引ければ敵軍を離脱しながら誘導し、ゾンビと分断したうえで撃破 ・余裕があれば敵軍からはぐれたゾンビも始末する 問題なければ、俺の方でプレに記載しておくつもりだ

  12. シニング・W・テュパラ

    わるい、出遅れた シーフのテュパラだ。よろしくな 囮というか釣りだしは足りてる感じか? アタシも足と回避自慢ではあるけど足りてるならそうだな……捜索の方に振るべきかな どっちでも担当はできると思うぜ

  13. ドローミ

    皆様のご参加、感謝します。 ケン殿、シニング殿、ロイ殿は今回も宜しくお願いします。 目的はクリーパーの撃破。 サイラス殿の発言もあった様に、ゾンビは努力義務的な要素ですよね。 >同型のクリーパー達とはつかず離れず群れて行軍し とあるので敵は前から、 A 横並び5 B 1、2、2 C 3、2 D 2、3 E 2、2、1 F 4、1 等の並びと思います、いかがでしょう? (午前に書けませんでした、ごめんなさい)

  14. キルシッカ・ニクライネン

    クリーパーが複数いるようだから、釣り出し係は最低でも2人以上欲しいな。 遠距離攻撃持ってるやつは、道を開けてくれるとありがたい。 バーネットが言うような流れで、味方全体を接近させつつ、 釣り出し係が引き付けて、乱戦に持ち込む感じかな。 遠距離攻撃も持ってるとなると、こちら側に十分来てくれるか心配だけど。

  15. アルマ・ヴァレンタイン

    >釣り出し バーネットさんの流れでいいんじゃないかなーと、ゾンビはみんなの余力しだいでお任せに… >ひとたびこちらが姿を見せれば、 >機敏なクリーパーならばゾンビを押しのけてでも向かってくると思われる。 ってあるし、外周をちょっとつつくだけで出てきてくれないかなーって 気付いてくれなかったらやっぱり切り込んでいかないとだけどねー… >魔導の潮流 代償はー…固定値で20だっけ サブ行動のサイドヒールでも足りそうなので使用ラウンドにあわせて使うように書いてみるよ >敵の並び ざっくりと隣接Hexにいるんだろうなー、と思ったら思ったよりパターンが多い… ある程度は固まってるみたいだし、超視覚で配置を確認して伝えるように書いてみようかな?

  16. バーネット・フォーサイス

    >クリーパー つかず離れずってのがどのくらいの距離感なのか分からないから、 必ずしも同へクスや隣接へクスに位置取りしていたり、等間隔に並んでいるとは限らないと思う。 とはいえ近くに居る事だけは確かだし、配置の差でそんなに影響はないだろう。

  17. マーハ・アセトシソン

    >アルマさん 助かるよー 釣りだされたあとは僕は魔法での後方支援にはなると思うけど【メテオライト】とか対象認識できる系とゾンビ相手は【爆炎】をもっていくよ 前記載したアーケインテンペストをやめて、【フリーズボルト】のほうを持っていくよ。こっちは数もあるしクリーパーに当てられればいいかなと

  18. ドローミ

    盗賊職には、輝足を その他の方には、輝刃でアシストする予定です。 おっと誤認でした、すみません。 >バーネット殿 此方の配置は、散らす予定ですか? ゾンビは概ね微速前進でしょうし、無理に隠れなくともクリーパーは掛かりそうですが。 戦士職方々のチャージングの射程もありますから、10へクス以内に立ってもらえると支援しやすいです。 特性は、ヒーリングオーラとサルベーション装備の予定。

  19. バーネット・フォーサイス

    >配置 分散はしないで、相互に援護し合える程度の距離を維持するのがいいとは思ってる。 一番怖いのが敵軍の中で孤立することだから、それだけは防げるよう連携は密にしたいな。

  20. ドローミ

    >バーネット殿 確認感謝。 【〇召喚】はタイミング:セットアップの筈なのでご留意ください。 マーハ殿も、エーテルバリヤー持ってもらえるでしょうか? 有事の回復まで、一手稼げます。 >ケン殿・サイラス殿 可能であれば、敵が前に出てきたタイミングで防御を願いたいです。 恐らく僕が中衛に立ちますので、ヒーリングオーラこうします。

  21. バーネット・フォーサイス

    短時間投稿ですまんが、自分の行動を表明していなかった。 俺自身は範囲火力と足止め担当で動くつもりだ。 範囲攻撃で移動経路を確保したり、敵軍からの離脱時にアーケインテンペストや スタティックフィールドでゾンビを足止めするつもりだ。

  22. ドローミ

    魔法職各位には、個別にヒールの予定です。 盗賊職へは、届く方で。 輝足のかけ直しも行います。

  23. アルマ・ヴァレンタイン

    締切も近いし方針に沿った感じでプレイング出してきたよ(問題なければそのままの予定) ドローミさんがシーフさん組に輝足をかけてくれるみたいだし、 ボクはウォリアーさん組に堅甲をかけていく感じに修正したくらいかな みんな決戦シナリオに参加してるだろうし、前哨戦のこのシナリオも頑張って成功させようね

  24. キルシッカ・ニクライネン

    釣り出し担当からの要望だぜ。 敵さん、かなり足が速そうで、完全に振り切って逃げるのは難しそうだ。 中衛くらいに位置できそうなやつが、追い付かれたタイミングで援護してくれると、 こちらは逃げ切りやすいと思ってる。考えてみてくれ。

  25. ドローミ

    >キルシッカ殿 射撃援護加えます。 また、6へクスまで戻ってくれれば回復や輝足のかけ直し可能です。 追記、位置感覚覚えました。 撤退撤収時の声掛けも行えます。

  26. シニング・W・テュパラ

    多い方がいいならアタシも釣りだしとくわ 敵さんは速いのか あたしの方はhp一部減るけど回避権あるし 移動力も上げれっからあたしの援護は後回しでいいぜ

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0