命の酒はかく運ばれ

屋守保英

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シナリオID:61

オープニング

●商人にとって道中の護衛は重要です
「フェアドゥキア平野の、グラミリアン村までの護衛を、お願いしたいのです」
 冒険者ギルド直営の酒場「踊る小熊亭」にやってきた恰幅のいいヒューマン男性、ドゥニ・ファリオは依頼を受け付けるカウンターにて、金貨の袋を置きながらそう告げた。
 グラミリアン村。豪農ガエルの治める、広大な小麦畑を管理している村だ。フェアドゥキア平野の中でも、リブラネスタとの交流が多い村でもある。
 なるほど、そこに向かう商隊は少なくない。受付嬢が袋を受け取りながら話の先を促すと、安堵した表情でドゥニは口を動かし始めた。
「私どもは酒、および酒のつまみになる加工品を専門に扱う商隊なのですが、この度リーンエス王国から上等なワインを仕入れまして。何割かはリブラネスタの酒屋に卸したのですが、二樽ほど、グラミリアン村に届ける必要があるのです」
 ドゥニが言うに、その二樽は豪農ガエルが直々にドゥニに注文し、仕入れさせた品とのことだ。彼にしてみればガエルは上得意。大事にしないわけはない。
 そのついでに干し肉やら干し魚やらを一緒に仕入れて、愛用の荷馬車と共にグラミリアン村に向かう予定でいたのだが、村に向かう街道に、なにやら不穏な噂があるらしい。
「昨今、グラミリアン村に向かう街道沿いを根城にする盗賊共が、街道を行き交う商隊や旅人を襲っていると聞きます。此度の商品は特に、ガエル様が楽しみに待っている商品なので、疵(きず)をつけられたりしたら私の信頼に関わります……腕利きを、とは申しませんが、どうか可能な限りの護衛を、お願いしたいのです」
 その話を聞いて、受付嬢は真剣な顔つきで頷いた。
 グラミリアン村に向かう街道で、このところ盗賊の出没が頻繁に報告されている。
 シーフとシューターが集まった、ヒューマンとハーフビーストが半々の盗賊団。街道を塞ぐようにして商隊や旅人の邪魔をしては、運ぶ商品や金品をせしめたり、挙句の果てには奪えない商品を損なったりして、道行く人々を脅かしているのだ。
 ドゥニがその話を聞いて、震え上がらないはずはない。なにしろ、上得意の心待ちにしている上等なワインなのだ。仕入れるのにだっていくら金貨の袋を積み上げたことか。
 粛々と依頼の発行手続きをする受付嬢に、平身低頭ドゥニは頭を下げる。
「ああ、もちろん謝礼は致します。この通り。それに仕入れたワインの一樽は、村の酒場に卸す予定でおりますので……お好きな方でしたら、そこで件の酒をお楽しみいただくのでも。一人一杯くらいなら、店も文句は言いますまい」
 その言葉に、受付嬢はペンを走らせる手を一瞬止めた。
 追加報酬あり。なるほど、冒険者たちを引き寄せるには大事な要素だ。酒が好きなものなら喜ぶに違いない。
 その点もきっちりと依頼要項に書き記す受付嬢。彼女が依頼を受け付けする様子に表情を僅かに明るくして、ドゥニはしっかと自身の両手を組んだ。
「何卒、よろしくお願いいたします」

解説

 内陸部、フェアドゥキア平野のグラミリアン村に向かう街道に、盗賊が居座っています。  商品を無事に村に届けるためにも、盗賊の排除をお願いします。 ●目的  ・グラミリアン村に向かう商隊の護衛。 ●盗賊  ヒューマンとハーフビーストが半々で構成されている集団です。人数は八名。  クラス構成はシーフ五人、シューター三人。  一人一人の強さは授恵者一人には及ばないが、近距離役と遠距離役で的確に連携を取ってくる。 ●商隊  隊長ドゥニ以下、総勢四名のヒューマンで構成されている商隊です。  専門に取り扱う商品は酒、および肉や魚の加工品。商隊の使う荷馬車には冷却の紋具が取りつけられています。  グラミリアン村の村長、ガエルとは懇意にしており、商品を非常に信頼されています。 ●商品に関する特記事項  今回、ドゥニの商隊はリーンエス王国から上等なワインを仕入れ、樽二つ分をグラミリアン村に輸送するつもりでいます。  一緒に運ぶ肉の加工品はともかく、ワイン樽は何としても、傷一つ付けずに村まで運びたいようです。  依頼が無事に完遂した暁には、酒場に仕入れた方のワイン樽から、少し味わわせてくれるようです。

マスターより

 初めまして、屋守保英です。  とうとうアニエピカで初のシナリオ提出と相成りました。  皆様と一緒に、この世界と皆様の人生を彩っていければと思います。    さて、冒険者と言えば酒場。酒場と言えば酒。  ということで酒を運ぶ商人を護衛するシナリオとなります。  依頼内容は単純ですが、「商品」を損なうことのないように。    以上、よろしくお願いします。

リプレイ

●酒は揺られて
 リブラネスタから伸びる街道を、大きな荷馬車が行く。
 荷である酒樽を干し肉と干し魚を収めた麻袋で囲いながら、セドラ・メルディアは微笑んだ。
「ワインはいいですよね。匂いだけでも気分が良くなっちゃいます」
「そんなにいいんだ?」
 シャンテ・フーケが首を傾げながら言えば、セドラと一緒に酒樽の防備を行うユヅキ・ユヅハラが笑いながら言った。
「酒はいいぞ、飲んだら皆幸せになれる!」
「仕事終わりに極上の葡萄酒で一杯……良いねぇ!」
 ソル・ランドグリーズも前方を見ながら口角を上げる。仕事終わりの酒は得てして美味。美酒とあれば猶の事だ。
 イーヤ・レプリスもうっとりした顔で、厳重に守られる酒樽を見つめていた。
「追加報酬っていい響きね。現金のほうが嬉しいのだけど……」
 そう嘯くイーヤに、ドゥニ以下商隊の面々は苦笑する。金を上積みできればどれだけよかったか。そんな商人たちへと、マリア・C・クロードは笑顔を向けた。
「最近の商いについてお話を聞きたいんですが、面白かった商品とかないですか?」
「あっ、あたしも気になりますぅ」
 ミルク・タインも一緒になって、商人たちへと寄っていく。話を振られて商人たちは上機嫌だ。
「おう、今回は干し魚の出来が随分よくてなぁ。ドゥニの旦那の目利きが冴え渡るのなんの」
「あんなワインをあんなつまみでやれたら……ガエル様が羨ましいぜ」
 商人たちはちらり、酒樽とその周囲の加工品に目を向ける。今回の商品は随分具合がいいらしい。そんな部下二人をドゥニは厳しい顔つきでたしなめる。
「気持ちは分かりましたから、しっかり樽を守るんですよ」
 どうやらドゥニはかなり気を張っているらしい。それだけ盗賊の襲撃が恐ろしいのだろう。アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトが、ふと傍らのイーヤに目を向ける。
「イーヤさん、護衛の優先順位は商隊と葡萄酒。これでいいですね?」
 彼の言葉に、商人たちが表情を硬くした。
 今回の作戦は、一にも二にも商隊、ワインの樽を守ることが優先。そういう方針で相談が付いていた。イーヤがこくりと頷きを返す。
「話では、街道の中間ほどでよく襲われるらしいです。そろそろ……」
 マリナ・蔭山が幌の外に目を向けて言えば、御者の背中越しに前方を見ていたセドラが声を上げた。
「皆さん、出ました」
「ワウッ」
 馬車に先行して斥候に出ていた、ソルの相棒ルナも、声を上げながら駆け戻ってくる。
 彼女を追うようにして、馬車の前に姿を現す男五人。ヒューマン三人、熊とハイエナのハーフビースト。いずれもシーフ。件の盗賊だ。商人たちが身を低くする。
「来ましたか」
「お願いしますぜ!」
 その言葉を受けて、授恵者は馬車の幌を開けて次々飛び出した。
「あいよ。なんとしても成功させなきゃな」
「ほどほどに頑張ります。はい」
 弓を構えて笑うソルに、マリナも淡々とした口調で続く。そして最後尾、幌に手をかけたアルベルトが後方に目を向けた。
「ここは俺たちがしっかり護るから安心してくれ」
「ワインの樽には、傷一つ付けさせません」
 まなじりを決してそう告げるドローミと一緒に、彼は一気に飛び出した。

●賊は狩られて
 授恵者が展開を始めると共に、盗賊たちはにやりと下卑た笑いを見せた。
「へへ……」
「狙い通りだ、護衛まで連れてやってきやがったぜ」
 あちらは五人、対してこちらは十人。数的有利はこちらにある状況だ。しかしそれでも盗賊たちは高らかに声を上げる。
「こいつは大物だ、根こそぎ分捕るぞ!」
「おう!!」
 力強く声を上げながら、盗賊が手にダガーナイフを握る。敵に相対して、前衛の中核たるアルベルトが剣を掲げた。
「かかってこい盗賊共め。俺の剣の錆にしてやる」
「さぁ、覚悟してくださいぃ!」
「全く、盗賊やってる暇があるなら薪でも割って運んでればいいのに」
 その両脇で、ミルクが戦槌を、シャンテが祭刀を握りしめる。ウォーリアはアルベルトただ一人。故にヒーラーのうち数名が前衛に属していた。
 前衛がシーフと睨み合いを始める中、馬車の警戒を行う後衛班が鋭い目を前方に向ける。
「このお酒をきっと楽しみにしている人達がいるんです……近づかせたりしません!」
「人様の荷に手を出そうたぁ、いい覚悟だ」
 マリアが決意を叫べば、ソルが弓を引き絞って矢を射かける。それに合わせるようにして、マリナも杖を振った。
「私の魔法がどこまで通用するかには興味があります。実験台になってくださいね?」
 その先端から氷の矢が放たれて、ソルの矢と一緒にシーフの一人に着弾した。明らかな魔法に盗賊たちがたじろぐ。
「うっ!?」
「な、なんだこの護衛、ただの冒険者じゃねぇぞ!?」
 前衛とぶつかるシーフたちの顔に焦りが見える。三人の後ろで状況把握と回復に努めていたドローミが訝しんだ。
「シューターが姿を見せないですね」
「フーケさん、確か……」
 盗賊のダガーを払い落としたアルベルトが、ちらと隣のシャンテに視線を向けた。盾でガードしたシャンテが答える。
「うん、まずシーフが展開して注意を引き付けて、その間にシューターが荷馬車を攻める。そういうやり方らしい」
 彼が話すとほぼ同時。馬車の側方、街道を囲む草むらが揺れた。そこからにゅっと伸びてくる弓矢を握る手。鋭くそれを察知したドローミが叫ぶ。
「後衛班! 側面に魔法を。射手が隠れていますよ!」
「こっちにも来たわね」
「撃ちますっ!」
 ようやくシューターのおでましだ。マリナとセドラがすぐさま反応し、魔法で矢を撃ち落とし、逆に矢を射かけていく。
 即座の対処は予想外だったのだろう。ヒューマンと、猫と狼のハーフビーストのシューター三名が、慌てた様子で顔を出す。
「な、なんだ、こっちも守りが堅いぞ!?」
「気にするな、撃ち込め!」
 困惑するヒューマンに、猫が叱咤を飛ばす。改めて降り注ぐ矢。後方でも戦闘が始まった様子に、シャンテが息を吐いた。
「ああ、やっぱりだ」
「予想より早く動き出したな」
「どんどんいきますぅ!」
 アルベルトが相対した熊の捕縛を済ませたところで、ミルクが戦槌を振り抜いてヒューマンのシーフの一人を吹き飛ばす。
「前衛の皆さん、頑張ってください!」
 盗賊側が盛り返そうとしても、授恵者側の回復は手厚い。マリアが杖を一振りすれば、たちどころに傷が塞がっていくのだ。シーフたちがみるみる押されていく中、イーヤがふと狼へと視線を向けた。小さく投げキッスをしつつ、豊満な胸元を見せつける。
「うふんっ」
「え……くそっ、こんなんで」
 色仕掛け。物を守る任務においてはだいぶ有効だ。味方が無力化される中で、ヒューマンのシューターが弓の弦を引き絞る。
「くそっ、これでどうだ!」
 上方向に弧を描いて飛んだ矢は、授恵者の頭上を通過する。そのまま矢が馬車の幌を貫通した。
「樽が!?」
「おっと、見せな!」
 途端に飛ぶ商人たちの焦った声。すぐにユヅキが馬車の中に飛び込んだ。
 飛び込んだ矢は、荷台の中央に置かれた樽と麻袋に突き刺さっていた。麻袋と中の加工品が盾になったおかげで樽への被害は微々たるものだが、傷は傷だ。
「ちっと傷ついてるな……応急処置だ。酒場経営者なめんなよ!」
 そう声を上げながら、ユヅキがベルトポーチから取り出したのは白い塊だ。粘土のようなそれを樽の傷に練り込んでいく彼を見て、商人たちが目を見開く。
「水で練った小麦粉?」
「聞いたことがある、穴の開いた酒樽は、こうして塞いで酒が漏れるのを防ぐと……」
 その迅速で適格な処理、酒場経営を行うユヅキだからこそだろう。
 処置を済ませたゴブリンの青年は、ニカッと笑って再び馬車の外に飛び出していった。
「よし。あんたら、もっと身を低くして待ってろよ!」
「は、はい!」
 商人たちの返事に背中を押され、ユヅキがにやりと盗賊を見やる。タクトを振れば猫の身体が、蜘蛛糸のごときエーテルで縛り上げられた。
「カカッ! ローストビーフは得意料理だぜ!」
「さぁ、お互い根比べだ」
 ソルとの撃ち合いを続けていたヒューマンのシューターも、苦悶の表情を浮かべている。もうそろそろ根負けするだろう。大勢は決したが、まだまだ授恵者は攻撃の手を緩めない。
「まだまだ。もっと試させてちょうだい」
「思い通りにはさせませんよ!」
 マリナが手のひらから光の矢を飛ばし、ドローミがエーテルを纏った矢を飛ばす。二人の攻撃でシューター陣は総崩れになった。
「ぐわっ!」
「こ、この……」
 倒れ込みながら呻く盗賊たち。全員息はあるらしい。後衛班が捕縛にかかる。
 前衛も、残りはミルクが相対するヒューマンのみ。その最後の一人が、戦槌の一撃を受けて尻もちをつく。
「散々奪ったんだ、奪われる覚悟は出来てるよね?」
「ひぃっ……」
 そこに刃を煌めかせるシャンテ。その迫力に相手がひきつった声を上げると、弓を降ろしたドローミがその肩を優しく叩いた。
「シャンテ殿、十分です」
 彼女の言葉に、肩をすくめたのはソルだった。
「いいのか、連中、またやらかすかもしれないぜ」
 そう言いながら縛られた盗賊たちを見やると、彼らは全員、ぶるぶると頭を振った。
「し、しない、こんなこと!」
「今回の件で懲りた、もう盗賊なんかしない!」
 その言葉に安堵の息を吐く一同。彼らのしたことは罪だが、殺さないで済むならその方がいい。
「そうか……でも、村に着いたら兵士に突き出すよ」
「ああ、だが、殺すほどじゃない」
 そう話すシャンテとユヅキの言葉に、盗賊たちは安心してお縄についた。
 と、マリアが馬車の中を徐に覗き込む。
「ワインは無事ですか?」
 商人たちに声をかけると、身を起こした彼らが頷いた。
「大丈夫だ、すぐに応急処置をしたのが効いた。ちっとも漏れてないよ」
「よかった。でも、聞いてはいたけど、かなり香りが強いね」
 彼らの言葉に、ほっと息を吐いたシャンテが幌の中に漂う香りに鼻を鳴らす。ワインは無事だが、匂いは僅かに漏れたようで。
「はは、この香り高さが、このワインの売り文句でございますからな」
 ドゥニが自信満々に笑いながら、胸を強く叩いた。

●酒は飲まれて
 その後は特段問題も発生せず、一行はグラミリアン村に到着した。ドゥニが仕事を終えて、酒場に納品物を運んで来たら、いよいよ楽しい追加報酬の時間だ。
「かんぱーい!!」
 掲げられる木製のゴブレット。賑やかな笑い声。商人たちのものにも、授恵者の希望者のものにも、赤紫色をした液体が満ちている。
 これが、件のワインだ。この一杯に限ってはドゥニからのサービスである。
 嬉しそうに笑う授恵者たちへと、ドゥニが満面の笑みで声をかける。
「それにしても、皆さん見事な戦いぶりでした。実に素晴らしい」
「いえ、言われるほどでも。冒険者としては新米ですから」
 一番近くにいたマリアが、軽く頭を下げながらはにかんだ。
「それにしても、素晴らしいワインだ。ご相伴に与れて嬉しいよ」
「いえいえ。気にせず楽しんでいってください」
 アルベルトの言葉にドゥニも嬉しそうだ。やはり、商品が褒められるのは気分がいいらしい。
「イーヤさん。蔭山さんは?」
 同じくニコニコ顔でワインを味わっていたイーヤへと、アルベルトが静かに耳打ちする。すると彼女は、小さく頭を振りながら答えた。
「帰ったわ。ワインには興味ないし、そもそも飲めないからって」
「そ、そうですか。ドローミさんもワインには興味ないと言っていたが、ここで飲んでいるのに」
 マリナは興味の無いことにはとことん無関心な性格だ。飲み会など、彼女にとっては無駄の極致なのだろう。
 視線を別のテーブルに向ければ、パンで魚のフライを挟み、ソースをかけた料理を食べつつミルクを飲むドローミが料理を味わっていた。
「んむ、やはり、小麦が名産の土地のパンは美味しいです」
「そうですねぇ、パンを食べながらワインを飲むと、とても味わいが深いですぅ」
 ドローミと一緒に、カットしたパンに塩を振って味わうミルクが笑う。パンを一齧りすれば、ふわりと漂う小麦の香り。そこにワインを含めれば、一気に香りが華やいで。
「葡萄がいい味わいを醸し出してますぅ」
 うっとりと目を細めるミルクを見ながら、ドローミは自分のホットミルクを飲んでいた。
 また別のテーブルでは、イーヤが二杯目に手を付けていた。いつもは安酒しか飲めないが、今日は特別だ。一杯分の値段で二杯飲めるなど天国である。
「ふふ、私ももっと稼げたら沢山飲めるようになるかしら」
 もっといいお酒をたくさん味わってみたい。そう思いながら杯を進める彼女に、マリアとシャンテが声をかける。
「まだ飲めないですけれど……興味はあります」
「僕も飲まないなりに興味はあるなぁ。どんな感じ?」
 二人の言葉に、にっこり微笑みながらイーヤは自分のゴブレットを差し出した。
「美味しいわよ。気になるなら、味わってみる?」
「じゃあ、少しだけ」
 彼女のゴブレットへとシャンテは静かに口をつけ、恐る恐るワインを含む。その味わいと瑞々しさに目を見張り、次いで彼はホッとしたように息を吐く。
「……へえ、いいね」
「ふふっ、よかった」
「すごいです……私もいつか」
 美味しい。その言葉を引き出せたことに満足したイーヤが笑う。マリアも飲める年齢になったら、実際に味わう機会もあるだろう。
 そしてマリアは傍らでニコニコし通しのセドラに目を向けた。
「セドラさんは飲まないんですか?」
「その、私は呑むと少し面倒なことになってしまうタイプなので……酒癖がとても悪いと言いますか……」
 恥ずかしそうに話すセドラ。曰く、飲み始めると際限なく飲んでしまうのだとか。
「なるほど、厄介ね」
「はい。それに、呑むより楽しそうに呑んでいる人を見る方が好きなんです」
 イーヤが苦笑しながら言えば、セドラも笑いながら茶の入ったカップを持ち上げる。
「あと、お酒のおつまみを食べるのも好きですしね。このチーズ美味しいです!」
「ああ、ユヅキさんに感謝だね」
 シャンテがチーズの一切れを持ち上げながら言う。これはユヅキが持ち込み、皆に振る舞ったものだ。その彼はというと、ソルと一緒に寂しそうにワインを飲んでいた。
「あの盗賊たちにも、ちょっとずつ飲ませてやりたかったんだがなぁ……」
「ま、気にするなよ。ユヅキの話は真剣に聞いていたし」
 連行されていった盗賊たちを想いながら零すユヅキの肩を、ソルが軽く叩く。彼らが真っ当な職につけるようになれば、彼ら自身がここでいい思いを出来るかもしれないのだ。
 ユヅキの表情が、その言葉でふっと和らぐ。
「そうか……そうだな。世界にはいい奴が沢山いるもんだ。ドゥニのおやっさんみたいにな」
「そうそう。ユヅキみたいな奴もいるしな」
 ユヅキの言葉に、ソルが太陽のように笑う。楽しい笑い声が酒場の外まで響く中、命の酒は次々に酒場の客の腹に収まるのであった。

マスターコメント

 依頼は成功、無事にワインはお客様の元に届けられました。  皆さん、お疲れ様でした。またの機会がありましたら、よろしくお願いします。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準10 / 4〜10人

2020年10月26日 11時57分18秒 公開

成功

相談掲示板

  1. ユヅキ・ユヅハラ

    ユヅキ・ユヅハラ、キャスターだぜ。よろしくなァ! いいワインはいい気分で味わいたいモンだな!

  2. ソル・ランドグリーズ

    シューターのソル・ランドグリーズだ。 それと相棒の白狼のルナだ。 よろしく頼むぜ。 依頼を成功させて良い葡萄酒を味わおうぜ!

  3. アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト

    みんな初めましてかな? 俺はアルベルト=V=シュタールシュヴェーアト。 クラスはウォーリア。 とにかく攻撃一辺倒で行かせてもらうぜ。 あと、葡萄酒を味わうことも忘れないぜ! よろしくな。

  4. セドラ・メルディア

    初めまして。 シューターのセドラ・メルディアです。 索敵とバッドステータス付加が出来ます。 初依頼で緊張していますが、無事に商品を村に届けて皆さんが美味しいワインを呑めるように頑張ります。 よろしくお願いします。

  5. イーヤ・レプリス

    ヒーラーのイーヤ・レプリスよ。 美味しい追加報酬に釣られて参加したわ。 よろしくね。

  6. マリナ・蔭山

    どうも。 キャスターのマリナ・蔭山です。 よろしくどうぞ。

  7. シャンテ・フーケ

    はじめまして、だね。 ヒーラーのシャンテ・フーケだよ。 おいしい報酬にありつくために、依頼をきちんとこなしたいところだね。 それでは、よろしくお願いします。

  8. ミルク・タイン

    あたしぃ、ミルク・タインといいますぅ。 よろしくおねがいしますぅ。 ヒーラーやっってるけどぉ、一応前衛も出来ますぅ。 おさけものみたいですぅ。

  9. ドローミ

    皆さまごきげんよう、僕の名前はドローミ。 ヒーラーです、宜しくお願いします。

  10. ユヅキ・ユヅハラ

    最初は魔糸で敵の回避率を片っ端から下げてこうと思ってるぜ。索敵はできねえから、その辺はセドラの意見を聞いたり任せたほうがいいかもしんねえな。 これだけヒーラーがいると、ケガしても安心だな!

  11. ソル・ランドグリーズ

    索敵なら俺が出来るぜ? ホークアイも持ってるから、相手がよっぽど上手く隠れてない限り見つけられると思うから心配すんな。 それよか葡萄酒をどう守るか、考えても良いかもしれねぇな。 戦闘が終わってみたら葡萄酒の樽に穴が空いてました、冷却の紋具が傷ついて葡萄酒が痛みだしてました、じゃお話しにもなりゃしねぇからな。

  12. シャンテ・フーケ

    僕に出来ることは輝刃での攻撃強化とヒール、そして近接戦闘かな。 火力は一歩劣るけど、防御力はそれなりにあるからある程度はこなせると思うよ。 ソルさんの言うように、葡萄酒の守り方も考えないといけないね。 荷馬車を守る人を決めておくとか、前に出る人が盗賊の注意を引き付けるとかが考えられるかな?

  13. ドローミ

    同じく輝刃、ヒール使えます。 強射もあります。 看破でも取りましょうか。

  14. マリナ・蔭山

    私は魔法を撃つ以外にとりえはありませんね。 前衛のシーフか後衛のシューター、どちらを先に狙うのがよいでしょうか。

  15. セドラ・メルディア

    ランドグリーズさんも索敵できるんですね! 一人だと少し自信がなかったので、よかったです。 相手はシーフやシューターなので、用心に越したことはないと思います。 お互い協力していきましょう。 葡萄酒の守り方は……私も荷馬車を守る人を決めた方がいいと思います。 その、盗賊の相手をする攻撃班と荷馬車を守る守備班に分かれるのはどうでしょうか?

  16. ミルク・タイン

    今回は、あたしも、前に戦っておこうかしらねぇ。 回復もできるけど、自身の攻撃を強化するのもあるわえ。

  17. アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト

    俺も前に出て戦おうかな。 スキルも攻撃重視にしているしな。 ランドグリーズさんが見つけたシーフを倒しに行こうと思っている。

  18. シャンテ・フーケ

    アルベルトさんとミルクさんは前、か……なら僕は後ろで荷馬車を護りにいこうかな。 セドラさんの台詞を借りるなら、守備班ってところだね。 倒す順番は、前に5人いるシーフからでいいんじゃないかな。 連中が荷馬車に到達されてはいけないし、シューターは奪うつもりの荷馬車に矢を射るとは考えづらいからね。

  19. イーヤ・レプリス

    私はヒールしか出来ないから、馬車周りに居るわね。 奪えない荷を損なうってあるし、後半は敵シューターからの嫌がらせがあるかもしれないわね。

  20. ソル・ランドグリーズ

    俺は弓での射撃がメインだから、馬車周りで後衛として詰めとくな。 それと最初に言ったように、最初は索敵してる予定だ。 後はいざという時のために、肉なんかの加工品で葡萄酒の樽を護るように配置しておくとかそんな所か? そうすりゃあ万が一の事態は避けられると思うんだが、どうだ?

  21. イーヤ・レプリス

    出発が近づいてきたし、とりあえず出てる意見を纏めるわね。 抜けや間違いがあったら補足と修正をお願いするわ。 □作戦。 盗賊の相手をする攻撃班と荷馬車を守る守備班に分かれる。 攻撃班はシーフ狙い。 葡萄酒の樽の前に加工品を配置して守る。 □攻撃班。 ・アルベルト … 攻撃。 ・ミルク … 前に出て戦う。 □守備班。 ・シャンテ … 攻撃強化とヒール。 ・イーヤ … ヒール。 ・ソル … 索敵&ホークアイ、射撃。 □他宣言。 ・セドラ … 索敵&バッドステータス付与。 ・ユヅキ … 敵の回避低下。 ・ドミーロ … 攻撃強化とヒールと強射。 ・マリナ … 魔法攻撃。

  22. セドラ・メルディア

    まとめ、ありがとうございます。 私は後衛で、索敵と、連携を乱したり意図的に荷を損なわせないために相手のシューターの命中率を低下させようと思います。

  23. ドローミ

    夕方までには、プレイング送りたいと思います。 僕も攻撃班に参加させてください。 輝刃付与が先になると思います。 弓ではなく、盾を持てと五件あれば、装備変更します。 また、看破は必要でしょうか?

  24. ソル・ランドグリーズ

    まとめ、ありがとよ。 もうプレイングについては送ったから、安心してくれていいぜ。 「葡萄酒の樽の前に加工品を配置して守る」のも織り込み済みだ。

  25. マリア・C・クロード

    すみません!遅くなりました。 マリアといいます。 いささか被りますが守備班でヒールによる援護を行おうと思います。

  26. ミルク・タイン

    締切まであと24時間切ったからぁ、今からプレイング書くところですぅ。

  27. マリナ・蔭山

    表明が遅くなってすみません。 私は守備班(後衛?)に回りますね。 魔矢でシーフ優先に攻撃していきます。

  28. シャンテ・フーケ

    っと、どうやら守備班に偏りだした感じかな? 出発直前で悪いけど、それなら僕は攻撃班に移るよ。

  29. イーヤ・レプリス

    >ドローミさん 私は装備もスキルも、ドーロミさんの自由で問題ないと思う。 どちらも有効だと思うし、貴方の選択を信じるわ。 後、最初の纏めで名前を間違えてごめんなさい。 最終的な宣言を纏めたわ。 ユヅキさんはキャスターだから推測で守備班(馬車周り)に入れたけど、違ったらごめんなさい。 □作戦。 盗賊の相手をする攻撃班と荷馬車を守る守備班に分かれる。 攻撃班はシーフ狙い。 葡萄酒の樽の前に加工品を配置して守る。 □攻撃班。 ・アルベルト … 攻撃。 ・ミルク … 前に出て戦う。 ・ドローミ … 攻撃強化とヒールと強射。 ・シャンテ … 攻撃強化とヒール。 □守備班。 ・イーヤ … ヒール。 ・ソル … 索敵&ホークアイ、射撃。 ・セドラ … 索敵&シューターの命中率低下。 ・マリア … ヒール。 ・マリナ … シーフ優先で魔矢。 ・ユヅキ … 敵の回避率低下。

  30. ユヅキ・ユヅハラ

    っととちょっと空いちまったな。 プレイングは何日か前に送信済みだぜ。バステ中心の余裕があれば攻撃みてえな感じになると思う。馬車周りにいるから守備班寄りで大丈夫だ、ありがとうな!

  31. ドローミ

    イーヤさん 纏めありがとうございました。 プレイング提出しました。 当日は皆さま、宜しくお願いします。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0