聖霊節に愛をこめて
キャラクターノベル制作 龍川 那月納品 2020年12月16日 17時51分08秒
【お父さん、お母さん。元気?リノだよ。リノ・キャロル。ってフルネームはいらないか。】
そこまで書いて、私はペンを置いた。いつもすらすら行くのに、今回はなんだか筆がのらない。
ふと、窓の外を見るとラッピングされた包みを持った親子が楽しそうに歩いていくのが見える。
私も小さい頃はあんな感じだったなぁ。聖霊節の前になるとお父さんとお母さんの目を盗んでは街に下見に行ったっけ。あの当時もそんなにお金があるわけじゃなかったから、高いものは強請っちゃいけない気がして、でも、年に一度のことだから特別なものが欲しくて……。いつも下見してるのがバレて『お金なんて気にしなくていいんだよ』って言われたっけ。なんであれいつもバレてたんだろ。ちゃんとバレないうちに帰ってたつもりだったのに。
「あ、そうだ」
折角の聖霊節だし、なんか贈るっていうのもありかも。そうと決まれば、早速贈るものを探しに行かなきゃ。
私は薄手のコートを羽織ると街へと繰り出した。
「やっぱり、この位の温度が快適だよね」
元々寒い地方にいたからっていうのもあるけど、息が白くなるかならないか位の温度が私は好き。みんな厚着してるけど、暑くないのかなって思っちゃう。もしかして、あのマフラーとか厚いコートの下は凄い薄着だったりするのかな。
(贈るって決めたはいいけど何を贈ればいいんだろう)
市場をまわりながらそんなことを思う。
お父さんとお母さんが一緒に楽しめるものが良いんだけど。そうなると食べ物とかお酒かな。あんまり二人が飲んでるところって見たことないけど、酒場で出会ったって言ってたから少なくとも父さんはお酒好きだろうし。
ふと見ると、美味しそうな塩漬けの魚が売ってるのが見える。鮭か何かかな。すごい大きい。
「お魚かぁ」
塩漬けなら日持ちするし、酒場とかでも、お魚と葡萄酒の組み合わせで頼んでる人多いからきっとお酒にも合うんだろうし、丁度いいよね。
漁村に住んでた時は、新鮮なお魚ばっかりだったから、崩壊の後、別の街に行って初めて塩漬けのお魚食べた時はしょっぱくて凄いびっくりしたんだよね。そのまま食べようとした私がいけなかったんだけど。生じゃ食べられないなんて知らなかったから。
お父さんも最初びっくりしてたけど、お母さんが仕事帰りに美味しい料理を教わってきてくれて……。私が冒険者として家を出る日も、前途を祝してとか言って食べたなぁ。
うん、折角だしこれにしよう。
そうなると、次はお酒。やっぱりエールとかより葡萄酒が良いのかな。
そんなことを考えながらお魚屋さんで教えてもらった酒屋へ入る。所狭しと並んだお酒に私は圧倒されてしまった。こんなにあったらどれが良いかなんてわかんないよ。ちらっと他のお客さんを見ると試飲したりしてるけど、まだお酒飲める年じゃないし困ったなぁ。
「うーん」
何か知ってる銘柄がないかなと店の中を見てまわるけど、全然わからない。こんな事なら酒場で飲んでる人たちの瓶とかちゃんと見とくんだった。
「あ……これ……」
お店の奥で見つけたのは見覚えのある瓶。お父さんとお母さんが結婚した時に飲んだお酒だから記念に取ってあるってお母さんが嬉しそうに言ってたっけ。
お酒の説明が書いてある札を読んでみる。
「えっと、なになに……あ、これ……私の生まれたところのお酒だ……」
今はなくなってしまった、私の故郷。たまにふと懐かしそうに自分が小さい頃の話をするお父さんの姿が脳裏に浮かぶ。
「これにしよう」
贈るものを抱えて私はまた手紙の前に戻ってきた。
【今回はお金の他にちょっとだけプレゼントを贈るね。色々悩んだんだけど、市場で見てたらいろいろ懐かしくなっちゃってこれにしたよ。一緒にお祝いは出来ないけど、聖霊祭の日は私も同じもの食べるから(お酒は飲めないけどね)、一緒にいる気分だけでも楽しんでもらえたら嬉しいなって。あ、でも、聖霊節は想い人と過ごす特別な時期だから、私がいたらお邪魔になってたかなって、冗談、冗談。私が最近は踊り子として名前も少しづつ売れてきたし、授恵者としての依頼も安定してきたから心配しないで。あ、勿論危ない依頼にはいかないようにしてるから大丈夫だよ。あ、そうそう前も話したけどこっちで出来た友達とこの間ね……】
市場で昔のことを思い出したからかな。ペンがすらすら進む。心配させない様に、とか気にしなくても良かったのかも。私だってお父さんとお母さんの暮らしぶりとか手紙に書いてあったら嬉しいし。そりゃ、書いてある内容によっては心配しちゃうこととか心配させちゃうこともあるかもしれないけど、私はお父さんとお母さんを信じてるし、2人も私を信じてるってわかってる。
「よし、出来た!」
いつもよりちょっとだけ厚くなった手紙を荷物に入れて私は笑う。
「メリー・ユールフェス。お父さん、お母さん」
そこまで書いて、私はペンを置いた。いつもすらすら行くのに、今回はなんだか筆がのらない。
ふと、窓の外を見るとラッピングされた包みを持った親子が楽しそうに歩いていくのが見える。
私も小さい頃はあんな感じだったなぁ。聖霊節の前になるとお父さんとお母さんの目を盗んでは街に下見に行ったっけ。あの当時もそんなにお金があるわけじゃなかったから、高いものは強請っちゃいけない気がして、でも、年に一度のことだから特別なものが欲しくて……。いつも下見してるのがバレて『お金なんて気にしなくていいんだよ』って言われたっけ。なんであれいつもバレてたんだろ。ちゃんとバレないうちに帰ってたつもりだったのに。
「あ、そうだ」
折角の聖霊節だし、なんか贈るっていうのもありかも。そうと決まれば、早速贈るものを探しに行かなきゃ。
私は薄手のコートを羽織ると街へと繰り出した。
「やっぱり、この位の温度が快適だよね」
元々寒い地方にいたからっていうのもあるけど、息が白くなるかならないか位の温度が私は好き。みんな厚着してるけど、暑くないのかなって思っちゃう。もしかして、あのマフラーとか厚いコートの下は凄い薄着だったりするのかな。
(贈るって決めたはいいけど何を贈ればいいんだろう)
市場をまわりながらそんなことを思う。
お父さんとお母さんが一緒に楽しめるものが良いんだけど。そうなると食べ物とかお酒かな。あんまり二人が飲んでるところって見たことないけど、酒場で出会ったって言ってたから少なくとも父さんはお酒好きだろうし。
ふと見ると、美味しそうな塩漬けの魚が売ってるのが見える。鮭か何かかな。すごい大きい。
「お魚かぁ」
塩漬けなら日持ちするし、酒場とかでも、お魚と葡萄酒の組み合わせで頼んでる人多いからきっとお酒にも合うんだろうし、丁度いいよね。
漁村に住んでた時は、新鮮なお魚ばっかりだったから、崩壊の後、別の街に行って初めて塩漬けのお魚食べた時はしょっぱくて凄いびっくりしたんだよね。そのまま食べようとした私がいけなかったんだけど。生じゃ食べられないなんて知らなかったから。
お父さんも最初びっくりしてたけど、お母さんが仕事帰りに美味しい料理を教わってきてくれて……。私が冒険者として家を出る日も、前途を祝してとか言って食べたなぁ。
うん、折角だしこれにしよう。
そうなると、次はお酒。やっぱりエールとかより葡萄酒が良いのかな。
そんなことを考えながらお魚屋さんで教えてもらった酒屋へ入る。所狭しと並んだお酒に私は圧倒されてしまった。こんなにあったらどれが良いかなんてわかんないよ。ちらっと他のお客さんを見ると試飲したりしてるけど、まだお酒飲める年じゃないし困ったなぁ。
「うーん」
何か知ってる銘柄がないかなと店の中を見てまわるけど、全然わからない。こんな事なら酒場で飲んでる人たちの瓶とかちゃんと見とくんだった。
「あ……これ……」
お店の奥で見つけたのは見覚えのある瓶。お父さんとお母さんが結婚した時に飲んだお酒だから記念に取ってあるってお母さんが嬉しそうに言ってたっけ。
お酒の説明が書いてある札を読んでみる。
「えっと、なになに……あ、これ……私の生まれたところのお酒だ……」
今はなくなってしまった、私の故郷。たまにふと懐かしそうに自分が小さい頃の話をするお父さんの姿が脳裏に浮かぶ。
「これにしよう」
贈るものを抱えて私はまた手紙の前に戻ってきた。
【今回はお金の他にちょっとだけプレゼントを贈るね。色々悩んだんだけど、市場で見てたらいろいろ懐かしくなっちゃってこれにしたよ。一緒にお祝いは出来ないけど、聖霊祭の日は私も同じもの食べるから(お酒は飲めないけどね)、一緒にいる気分だけでも楽しんでもらえたら嬉しいなって。あ、でも、聖霊節は想い人と過ごす特別な時期だから、私がいたらお邪魔になってたかなって、冗談、冗談。私が最近は踊り子として名前も少しづつ売れてきたし、授恵者としての依頼も安定してきたから心配しないで。あ、勿論危ない依頼にはいかないようにしてるから大丈夫だよ。あ、そうそう前も話したけどこっちで出来た友達とこの間ね……】
市場で昔のことを思い出したからかな。ペンがすらすら進む。心配させない様に、とか気にしなくても良かったのかも。私だってお父さんとお母さんの暮らしぶりとか手紙に書いてあったら嬉しいし。そりゃ、書いてある内容によっては心配しちゃうこととか心配させちゃうこともあるかもしれないけど、私はお父さんとお母さんを信じてるし、2人も私を信じてるってわかってる。
「よし、出来た!」
いつもよりちょっとだけ厚くなった手紙を荷物に入れて私は笑う。
「メリー・ユールフェス。お父さん、お母さん」