彼らの夏休み!
キャラクターノベル(グループ)制作 伊治納品 2023年10月07日 22時34分13秒
●
寄せては返す波は川や湖とは違う。
どこまでも広がる水平線の向こうは何も見えない。
「わふーっ」
大きな水たまりに見えたのか、目をキラキラと輝かせたミニコボのチョコが走り出すが、黒猫のショコラがチョコの前に飛び出し、みゃーみゃー鳴いて制止した。
「危ないよって言いたいみたいだな」
「もうすぐご飯だから、こっちにおいで」
パルドがショコラを抱き上げ、チョコへ通訳してやると、チョコは危ないという言葉を理解したのか理解していないのか、不思議そうな表情で首を傾げる。
すると、バーベキューの支度をしていたウォーゼルが笑って皆を手招きした。
●
リブラネスタとエスト・ポーラの間で休戦協定が結ばれて半月が過ぎ去り、世間的には夏である為、息抜きで海まで遊びに行こうという話になった。
「個人で行くのも楽しいな」
「ワクワクするよね」
パルドとウォーゼルは2人で地図を見、どこの海岸にするかどこにしようかにらめっこ。
最終的にエスト・ポーラに程近い街の近くにあるキャンプ場へ遊びに行くことにした。
チョコとショコラが2人の様子を興味深く見守る中、パルドとウォーゼルは海へ行く準備。
彼ら全員の尻尾が4人それぞれでその感情を判り易く表していたのは言うまでもない。
最近落ち着かない情勢も手伝って、キャンプ場にあまり人の姿はなかったが、沢山楽しめるだろうと皆気持ちを切り替え、まずは拠点となるテントを設置することにした。
「あの木の陰がちょうど良さそう」
「そうだな。炊事場も近いし、設置しやすそうだ」
冒険者として活動していれば、テントの張り方は覚えるもの。
太陽や風の向きを考慮しながらパルドとウォーゼルが協力し合ってテントを張っている間、誰かが邪魔したりしないようチョコとショコラが周囲に首を巡らせている。
人も少ないし、パルドもウォーゼルも双波の使い手である為心配には及ばないのだが、手伝いたいという彼らの気持ちを尊重し、そのまま見張りを続けてもらう。
「もうちょっとこっちだな」
「うん。そう、俺こっちから引っ張るから」
「わかった。オレがこう、だな」
「そうそう」
勝手知ったる幼馴染、軽快な会話を交わし、拠点となるテントは出来上がった。
テントも出来上がったし、ひとまずお昼を食べようと決めた所で海に視線をやったチョコが目を輝かせ――話は冒頭に戻る。
●
昼食は海で遊ぶ時間を確保する為にある程度事前準備してきていた。
パルドとウォーゼルは香辛料に漬け込んだ串焼き肉、サラダ、パンを食べ、チョコとショコラもウォーゼルが手ずから作った昼食を美味しく食べる。
「まず、何しようか。砂浜で何か作るとかなら皆で楽しく遊べるかも」
「そうだな。チビ達は初めての海だし、最初は砂遊びの方がいいんじゃないか?」
先程のはしゃぎ方を見るにチョコは波打ち際も抵抗なさそうだが、ショコラは猫だし、チョコへの制止を見る限りいきなり波打ち際に連れて行くのは止めておいた方がいいだろう。
ご飯を食べ終わったら、午後は思いっきり遊ばないと!
人の姿も少ない砂浜は、色々なものが作りたい放題だ。
手始めに作ったのは、秘密基地のような壁である。砂を城壁のように固めると、手始めにショコラがよじ登るが、雄大な海に驚いたらしく、飛び降りて、パルドの背中にしがみついた。
「ビックリしたのか?」
「にゃ」
背中から肩に移り、パルドの頬へ無言で頭をグリグリ押しつける辺り、正解かもしれない。大丈夫だと宥めるように撫でている間、チョコはウォーゼルへわふわふと動く水たまりがすごいと報告していた。
最初に砂遊びにして正解だったと2人は顔を見合わせ、秘密基地の敷地内にあれこれ作り始める。
パルドとウォーゼルが入るのは難しいが、チョコとショコラが入るのには最適な砦に波打ち際に続く基地の壁にはトンネルも作ると、チョコとショコラは大喜び。パルドとウォーゼルが四つん這いにならなければ行き来できないトンネルを軽やかに行ったり来たりして遊び始めた。
「海から離れてるし、ここなら大丈夫」
ウォーゼルがショコラへ声をかけると、ショコラは嬉しそうにウォーゼルへ身体をこすりつけた。
一方のチョコはとにかく楽しそうで、パルドがはしゃぎすぎて波にさらわれないよう見守っている。
「わふわふ、わふ!」
「水たまりとは少し違うな」
寄せては返す波が己の足跡を消すと興奮気味に語っているっぽいチョコへパルドはうんうん頷いてやった。
●
男の浪漫たる砂の秘密基地が出来上がると、いよいよ浅瀬へ向かって探検となった。
砂浜の目の鼻の先にある岩場は釣り場として使用して良いことになっており、夕飯はここで調達しようと既に決めている。
「にゃ」
チョコが足元をあまり見ないで走っていると思ったのか、ショコラが先に行きがちなチョコの後を追う。チョコもショコラが海に慣れてきたのに気づいたのか、嬉しそうにショコラと共に岩場を探検しているようだ。
「結構岩の陰にいそうだな」
バランス感覚がいいパルドが足場の悪さも気にせず、切り立った岩の上から目を凝らすと、岩の影に蟹の姿が見え隠れする。水深が少し深かったが、ウォーゼルが近くにあった流木を利用すると蟹は慌てて逃げ、そこをパルドが上手く確保する。
「大丈夫、この蟹は食べられるよ」
種類によっては死に至るような毒を持つとも言われているが、ウォーゼルが上手く分類してくれた。
スープの出汁にするとのことで、まずは蟹をゲット――している間に、ショコラがにゃあにゃあ鳴いて下を覗き込んでいる。見ると、青緑色の魚がちょっとした群れを作っているようだ。
「これ、食べられるよ」
「本当に?」
「市場ではあまり出ないけど」
ウォーゼルの言葉あって、こちらの魚もゲット。
ショコラに負けじとチョコが岩場にくっついていた貝を素早く剥がし、山を作っている。ショコラもそれを見て仲間に加わり、岩場にあった貝はなくなった。
「この貝、くっついたら中々剥がれないんだよね。スピード勝負だって聞いたことある」
「チビ達の速さには敵わなかったようだな」
お手伝いができたチョコとショコラは誇らしげで、パルドとウォーゼルはありがとうと彼らを労った。
そうして、浅瀬で採れた海の幸と持ってきた干物詰め合わせセットで夕飯を作ることとなった。
蟹で出汁を取ったスープ、小魚はウォーゼルが下ろして下味をつけた後串に通して焼いた。貝は茹でた後調味料で味を調え、パルドがひとっ走り街で購入してきた米と共に炊いた。
干物も食べられる分だけ焼いていけば、時間が経つにつれ豪勢な食事になっていく。
「ウォーゼルも食べろよ。これ美味しい」
「ショコラが見つけてくれた魚だね」
パルドからショコラあっての戦利品を渡され、食べるのを後回しにしていたウォーゼルは口に運んだ。美味しいと顔を綻ばせれば、ショコラが嬉しそうに鳴く。
「チョコが見つけたからこの炊き込みご飯だ。スープに合う」
「お手柄だよね」
チョコも自らの手柄だと嬉しそうに吠えた。
食事も終えると、後は寝るだけ。
沢山遊んだチョコとショコラは満足そうな顔で寄り添って寝ているし、パルドとウォーゼルも睡魔が近寄ってきていた。
「おやすみ」
こうして、彼らの夏休みは終わった。
降るような星空の下、お休みが終われば色々あるかもしれないけど。
でも、来年の夏も皆で一緒に行こうね!
寄せては返す波は川や湖とは違う。
どこまでも広がる水平線の向こうは何も見えない。
「わふーっ」
大きな水たまりに見えたのか、目をキラキラと輝かせたミニコボのチョコが走り出すが、黒猫のショコラがチョコの前に飛び出し、みゃーみゃー鳴いて制止した。
「危ないよって言いたいみたいだな」
「もうすぐご飯だから、こっちにおいで」
パルドがショコラを抱き上げ、チョコへ通訳してやると、チョコは危ないという言葉を理解したのか理解していないのか、不思議そうな表情で首を傾げる。
すると、バーベキューの支度をしていたウォーゼルが笑って皆を手招きした。
●
リブラネスタとエスト・ポーラの間で休戦協定が結ばれて半月が過ぎ去り、世間的には夏である為、息抜きで海まで遊びに行こうという話になった。
「個人で行くのも楽しいな」
「ワクワクするよね」
パルドとウォーゼルは2人で地図を見、どこの海岸にするかどこにしようかにらめっこ。
最終的にエスト・ポーラに程近い街の近くにあるキャンプ場へ遊びに行くことにした。
チョコとショコラが2人の様子を興味深く見守る中、パルドとウォーゼルは海へ行く準備。
彼ら全員の尻尾が4人それぞれでその感情を判り易く表していたのは言うまでもない。
最近落ち着かない情勢も手伝って、キャンプ場にあまり人の姿はなかったが、沢山楽しめるだろうと皆気持ちを切り替え、まずは拠点となるテントを設置することにした。
「あの木の陰がちょうど良さそう」
「そうだな。炊事場も近いし、設置しやすそうだ」
冒険者として活動していれば、テントの張り方は覚えるもの。
太陽や風の向きを考慮しながらパルドとウォーゼルが協力し合ってテントを張っている間、誰かが邪魔したりしないようチョコとショコラが周囲に首を巡らせている。
人も少ないし、パルドもウォーゼルも双波の使い手である為心配には及ばないのだが、手伝いたいという彼らの気持ちを尊重し、そのまま見張りを続けてもらう。
「もうちょっとこっちだな」
「うん。そう、俺こっちから引っ張るから」
「わかった。オレがこう、だな」
「そうそう」
勝手知ったる幼馴染、軽快な会話を交わし、拠点となるテントは出来上がった。
テントも出来上がったし、ひとまずお昼を食べようと決めた所で海に視線をやったチョコが目を輝かせ――話は冒頭に戻る。
●
昼食は海で遊ぶ時間を確保する為にある程度事前準備してきていた。
パルドとウォーゼルは香辛料に漬け込んだ串焼き肉、サラダ、パンを食べ、チョコとショコラもウォーゼルが手ずから作った昼食を美味しく食べる。
「まず、何しようか。砂浜で何か作るとかなら皆で楽しく遊べるかも」
「そうだな。チビ達は初めての海だし、最初は砂遊びの方がいいんじゃないか?」
先程のはしゃぎ方を見るにチョコは波打ち際も抵抗なさそうだが、ショコラは猫だし、チョコへの制止を見る限りいきなり波打ち際に連れて行くのは止めておいた方がいいだろう。
ご飯を食べ終わったら、午後は思いっきり遊ばないと!
人の姿も少ない砂浜は、色々なものが作りたい放題だ。
手始めに作ったのは、秘密基地のような壁である。砂を城壁のように固めると、手始めにショコラがよじ登るが、雄大な海に驚いたらしく、飛び降りて、パルドの背中にしがみついた。
「ビックリしたのか?」
「にゃ」
背中から肩に移り、パルドの頬へ無言で頭をグリグリ押しつける辺り、正解かもしれない。大丈夫だと宥めるように撫でている間、チョコはウォーゼルへわふわふと動く水たまりがすごいと報告していた。
最初に砂遊びにして正解だったと2人は顔を見合わせ、秘密基地の敷地内にあれこれ作り始める。
パルドとウォーゼルが入るのは難しいが、チョコとショコラが入るのには最適な砦に波打ち際に続く基地の壁にはトンネルも作ると、チョコとショコラは大喜び。パルドとウォーゼルが四つん這いにならなければ行き来できないトンネルを軽やかに行ったり来たりして遊び始めた。
「海から離れてるし、ここなら大丈夫」
ウォーゼルがショコラへ声をかけると、ショコラは嬉しそうにウォーゼルへ身体をこすりつけた。
一方のチョコはとにかく楽しそうで、パルドがはしゃぎすぎて波にさらわれないよう見守っている。
「わふわふ、わふ!」
「水たまりとは少し違うな」
寄せては返す波が己の足跡を消すと興奮気味に語っているっぽいチョコへパルドはうんうん頷いてやった。
●
男の浪漫たる砂の秘密基地が出来上がると、いよいよ浅瀬へ向かって探検となった。
砂浜の目の鼻の先にある岩場は釣り場として使用して良いことになっており、夕飯はここで調達しようと既に決めている。
「にゃ」
チョコが足元をあまり見ないで走っていると思ったのか、ショコラが先に行きがちなチョコの後を追う。チョコもショコラが海に慣れてきたのに気づいたのか、嬉しそうにショコラと共に岩場を探検しているようだ。
「結構岩の陰にいそうだな」
バランス感覚がいいパルドが足場の悪さも気にせず、切り立った岩の上から目を凝らすと、岩の影に蟹の姿が見え隠れする。水深が少し深かったが、ウォーゼルが近くにあった流木を利用すると蟹は慌てて逃げ、そこをパルドが上手く確保する。
「大丈夫、この蟹は食べられるよ」
種類によっては死に至るような毒を持つとも言われているが、ウォーゼルが上手く分類してくれた。
スープの出汁にするとのことで、まずは蟹をゲット――している間に、ショコラがにゃあにゃあ鳴いて下を覗き込んでいる。見ると、青緑色の魚がちょっとした群れを作っているようだ。
「これ、食べられるよ」
「本当に?」
「市場ではあまり出ないけど」
ウォーゼルの言葉あって、こちらの魚もゲット。
ショコラに負けじとチョコが岩場にくっついていた貝を素早く剥がし、山を作っている。ショコラもそれを見て仲間に加わり、岩場にあった貝はなくなった。
「この貝、くっついたら中々剥がれないんだよね。スピード勝負だって聞いたことある」
「チビ達の速さには敵わなかったようだな」
お手伝いができたチョコとショコラは誇らしげで、パルドとウォーゼルはありがとうと彼らを労った。
そうして、浅瀬で採れた海の幸と持ってきた干物詰め合わせセットで夕飯を作ることとなった。
蟹で出汁を取ったスープ、小魚はウォーゼルが下ろして下味をつけた後串に通して焼いた。貝は茹でた後調味料で味を調え、パルドがひとっ走り街で購入してきた米と共に炊いた。
干物も食べられる分だけ焼いていけば、時間が経つにつれ豪勢な食事になっていく。
「ウォーゼルも食べろよ。これ美味しい」
「ショコラが見つけてくれた魚だね」
パルドからショコラあっての戦利品を渡され、食べるのを後回しにしていたウォーゼルは口に運んだ。美味しいと顔を綻ばせれば、ショコラが嬉しそうに鳴く。
「チョコが見つけたからこの炊き込みご飯だ。スープに合う」
「お手柄だよね」
チョコも自らの手柄だと嬉しそうに吠えた。
食事も終えると、後は寝るだけ。
沢山遊んだチョコとショコラは満足そうな顔で寄り添って寝ているし、パルドとウォーゼルも睡魔が近寄ってきていた。
「おやすみ」
こうして、彼らの夏休みは終わった。
降るような星空の下、お休みが終われば色々あるかもしれないけど。
でも、来年の夏も皆で一緒に行こうね!