長く甘い雨の夜に。
キャラクターノベル(グループ)制作 蓮華・水無月納品 2023年08月18日 14時38分41秒
さてその日、アリッグ・レイダーとシルク・メイプルリーフが連れ立って歩いていたのは、買い物の為である。食料、日用品、他にも細々とした入用なものを買い回っていた――そんな時。
「――あら」
「ゲッ、雨か?」
最後の店を出たところで、俄かに降り出した雨に気が付いた。困りましたね、と呟いたシルクの横で、アリッグが唇をへの字に曲げる。
その間にも見る見る雨粒は増えて来て、あっという間に本降りの様相になった。しばし待ってみたものの、石畳に叩きつける雨粒の勢いは、一向に弱まる気配がなく――だがずっとここに居るわけにもいかず。
ならば、取れる行動は1つだ。
「こっからだとお前んちが近いか」
「そうですね」
頷き合ってアリッグとシルクは、雨粒の中へと身を躍らせ走り出した。たちまち雨でしとどに濡れ、衣服が身体にべったりと張り付いて、冷たさと、言いようのない不快さが全身を包み込む。
石畳にたまった雨水を跳ね上げながら雨の街を走り抜け、シルクの家に着いた時には文字通り、濡れネズミの様相だった。髪といい服といい、あらゆるところから雫が滴り落ちている。
チッ、と濡れそぼった髪をかき上げアリッグが舌打ちした。
「ったく、急に振り出しやがって」
「天気のことはしかたありませんけどね」
そうして仄かな不機嫌をあらわにするアリッグに、自身の服の裾を絞りながらシルクがうふふと笑う。そんなことは解っていると、反論しかけたアリッグは、だが目に入ってしまったモノにギクリとして、さっと顔を背けた。
あら? と小首を傾げてから、ひょいと自身を見下ろしてみる。――濡れそぼった衣服がしっかりシルクの見事なボディーラインを浮き上がらせているが、それだけだ。
だが。色々と多感な青少年であるアリッグにはとても――とても、目のやり場に困る光景であった。耳まで朱に染めた夫は、シルクから見てそれはそれは可愛らしい。
ふふ、とにっこりした。
「アリッグさん。このままだと風邪を引いてしまいますから、お風呂で暖まりましょう♪」
「そう、だな。そう……風呂入って……」
そうしてぴとりと背中から抱き着けば、頷きかけたアリッグが背中に当たる柔らかな感触にぎくしゃくし、次いでシルクの言葉を具体的に想像して、ボン! と顔を真っ赤にした。その様子はやはり大変に愛らしく、シルクの庇護欲をくすぐる。
――過日、とある村で彼らは結婚した。否、そもそもは村のゲン担ぎのためフリで良いから結婚式を挙げて欲しい、という依頼で――結果、フリだった2人の結婚式は、アリッグが1人の女性としてシルクを好きだと告げたことで本物になり。
つまるところ、彼らは新婚ほやほやなのだった。シルクからしてみれば、元よりアリッグが可愛くて仕方がない所に本人からお墨付きが出てしまった、実にシルク得な状況である。
ゆえに存分に夫を愛でる妻に、愛でられる夫は度々真っ赤にさせられ、どぎまぎさせられ、押されっぱなし。それでも、たまにはリードを握りたいと思うのは、男の性というものだろう。
ぐっ、と奥歯を噛み締めてあらゆる動揺と煩悩を押さえつけ、だからアリッグは精一杯の逞しさで告げる。
「よし、風呂沸かすぞ」
「はい、そうしましょう」
そんなアリッグも可愛らしいと思いながら、シルクはにっこり頷いた。そうしてお風呂の準備をして身体を温め、乾いたタオルで身体を拭きつつ、ぐしょ濡れの服を絞り――ふ、とアリッグの眼差しがそこに注がれる。
それは、先ほどもアリッグの背中に思う存分押し付けられた、シルクの豊満さの象徴。確かな存在感がありながら、ひどく柔らかな事もアリッグは色んな出来事の末に良く知っている。
ゆえに――若き青少年の性として、気付けばアリッグはそこを凝視し、さらにはシルクの見事な肢体に見惚れ。
(やっぱりデカいな……いや、何考えてるんだ俺!)
ぶん! ぶん! と何度も大きく首を振って、邪念を追い払おうとするアリッグである。そんなアリッグにシルクはまた、ふふ、と愛でるように瞳を細めた。
こうも愛らしい反応を見せられれば、悪戯心がくすぐられる。日頃から、人前であろうともスキンシップには大変に積極的なシルクではあるが、人前では出来ないスキンシップだって、この世にはたくさんあるのだ。
しなやかな腕をするりと絡め、抱き寄せて、アリッグさん、と吐息と共に耳元で囁く。
「身体の洗いっこします?」
「バ……ッ! おま……ッ!」
その言葉に、アリッグは弾かれるように顔を上げた。チュッ、とその唇を啄めば声にならない悲鳴が上がり――また顔を伏せようとして悶絶する。
うふふとまた、柔らかな笑い声。けれどもそれは甘さも多分に含んだ声色だと、気付いたアリッグの表情に喜びが入り混じる。
そんなこんなの湯浴みが終わる頃には、日もとっくに暮れていた。着替えを持って来ておらず、服もまだ乾いていない夫のため、シルクは自身もシャツを着込みながら、アリッグに同じものを手渡す。
「どうぞ、アリッグさん」
「お、サンキュ」
それを受け取り腕を通してみるも、体格差があり過ぎてぶかぶかだ。完全に余ってしまった袖をまくり、腿の半ばをくすぐるシャツの裾を落ち着かない気分で引っ張っていると、かわいいですね、とシルクがにっこにこで見つめてくる。
反射的に警戒しつつ、なんだよ、と見返したシルクは――とても、目の毒だった。一瞬のうちにアリッグの胸に、後悔と焦りと喜びと罪悪感と背徳感とその他色々な思いが沸き起こる。
同じシャツのはずなのに、当然ながらと言うべきか、シルクが着ていると印象が全然違った。裾は辛うじて腰回りを隠しているかな、くらいの丈感で見えそうで見えなさそうで見えそうだし、胸元は豊満な双丘を包み隠し切れず、魅惑の谷間がおおらかに覗いているし。
おかげで、先ほどとは別の意味で大変落ち着かない気分になるアリッグである。そんなアリッグにくすぐったい気分になって、シルクはギューッ! と頬ずりをするように抱き締めた。
――と、予想したような抵抗がない。あら、と嬉しいような意外なような思いで腕の中のアリッグを見下ろせば、決意を秘めた強い瞳がシルクを見上げている。
たまには、とアリッグは揺らぎない声で――けれども途中で視線を恥じらうように逸らしながら、言った。
「たまには、俺からお前を求めてもいいよな……」
そうしていつもとは違い、自らシルクをぎゅっと抱き締め、そのしなやかな背中に手を滑らせる。その感触にそわりとバランスを崩したシルクごと、もつれあうように倒れ込んだ先はベッドの上。
きょとん、と不思議そうに見上げるシルクの眼差しを、見上げられたアリッグは目元を染めつつ、真っ直ぐに受け止めた。内心でドキドキと荒れ狂う心臓を持て余しながら、ぐっ、と身を乗り出してアリッグは、シルクの頬に手を添えて、柔らかな唇に己のそれを重ねる。
添えた手は頬をくすぐるように動き、小さな形良い耳朶へ。啄むような口付けは、そのまま吸い込まれるように同じく耳朶へと流れ、カリリ、と甘く食む。
小さな声が上がるのに、何とも言えない喜びが胸を支配した。そんなアリッグの朱に染まる頬を横目で見て――シルクは、うふふ、と幸いに笑う。
そんな甘い夜は遅くまで続き――夜更かしの代償として、2人は翌日、日が高くなるまでぐっすりと仲良く寝入ったのだった。
「――あら」
「ゲッ、雨か?」
最後の店を出たところで、俄かに降り出した雨に気が付いた。困りましたね、と呟いたシルクの横で、アリッグが唇をへの字に曲げる。
その間にも見る見る雨粒は増えて来て、あっという間に本降りの様相になった。しばし待ってみたものの、石畳に叩きつける雨粒の勢いは、一向に弱まる気配がなく――だがずっとここに居るわけにもいかず。
ならば、取れる行動は1つだ。
「こっからだとお前んちが近いか」
「そうですね」
頷き合ってアリッグとシルクは、雨粒の中へと身を躍らせ走り出した。たちまち雨でしとどに濡れ、衣服が身体にべったりと張り付いて、冷たさと、言いようのない不快さが全身を包み込む。
石畳にたまった雨水を跳ね上げながら雨の街を走り抜け、シルクの家に着いた時には文字通り、濡れネズミの様相だった。髪といい服といい、あらゆるところから雫が滴り落ちている。
チッ、と濡れそぼった髪をかき上げアリッグが舌打ちした。
「ったく、急に振り出しやがって」
「天気のことはしかたありませんけどね」
そうして仄かな不機嫌をあらわにするアリッグに、自身の服の裾を絞りながらシルクがうふふと笑う。そんなことは解っていると、反論しかけたアリッグは、だが目に入ってしまったモノにギクリとして、さっと顔を背けた。
あら? と小首を傾げてから、ひょいと自身を見下ろしてみる。――濡れそぼった衣服がしっかりシルクの見事なボディーラインを浮き上がらせているが、それだけだ。
だが。色々と多感な青少年であるアリッグにはとても――とても、目のやり場に困る光景であった。耳まで朱に染めた夫は、シルクから見てそれはそれは可愛らしい。
ふふ、とにっこりした。
「アリッグさん。このままだと風邪を引いてしまいますから、お風呂で暖まりましょう♪」
「そう、だな。そう……風呂入って……」
そうしてぴとりと背中から抱き着けば、頷きかけたアリッグが背中に当たる柔らかな感触にぎくしゃくし、次いでシルクの言葉を具体的に想像して、ボン! と顔を真っ赤にした。その様子はやはり大変に愛らしく、シルクの庇護欲をくすぐる。
――過日、とある村で彼らは結婚した。否、そもそもは村のゲン担ぎのためフリで良いから結婚式を挙げて欲しい、という依頼で――結果、フリだった2人の結婚式は、アリッグが1人の女性としてシルクを好きだと告げたことで本物になり。
つまるところ、彼らは新婚ほやほやなのだった。シルクからしてみれば、元よりアリッグが可愛くて仕方がない所に本人からお墨付きが出てしまった、実にシルク得な状況である。
ゆえに存分に夫を愛でる妻に、愛でられる夫は度々真っ赤にさせられ、どぎまぎさせられ、押されっぱなし。それでも、たまにはリードを握りたいと思うのは、男の性というものだろう。
ぐっ、と奥歯を噛み締めてあらゆる動揺と煩悩を押さえつけ、だからアリッグは精一杯の逞しさで告げる。
「よし、風呂沸かすぞ」
「はい、そうしましょう」
そんなアリッグも可愛らしいと思いながら、シルクはにっこり頷いた。そうしてお風呂の準備をして身体を温め、乾いたタオルで身体を拭きつつ、ぐしょ濡れの服を絞り――ふ、とアリッグの眼差しがそこに注がれる。
それは、先ほどもアリッグの背中に思う存分押し付けられた、シルクの豊満さの象徴。確かな存在感がありながら、ひどく柔らかな事もアリッグは色んな出来事の末に良く知っている。
ゆえに――若き青少年の性として、気付けばアリッグはそこを凝視し、さらにはシルクの見事な肢体に見惚れ。
(やっぱりデカいな……いや、何考えてるんだ俺!)
ぶん! ぶん! と何度も大きく首を振って、邪念を追い払おうとするアリッグである。そんなアリッグにシルクはまた、ふふ、と愛でるように瞳を細めた。
こうも愛らしい反応を見せられれば、悪戯心がくすぐられる。日頃から、人前であろうともスキンシップには大変に積極的なシルクではあるが、人前では出来ないスキンシップだって、この世にはたくさんあるのだ。
しなやかな腕をするりと絡め、抱き寄せて、アリッグさん、と吐息と共に耳元で囁く。
「身体の洗いっこします?」
「バ……ッ! おま……ッ!」
その言葉に、アリッグは弾かれるように顔を上げた。チュッ、とその唇を啄めば声にならない悲鳴が上がり――また顔を伏せようとして悶絶する。
うふふとまた、柔らかな笑い声。けれどもそれは甘さも多分に含んだ声色だと、気付いたアリッグの表情に喜びが入り混じる。
そんなこんなの湯浴みが終わる頃には、日もとっくに暮れていた。着替えを持って来ておらず、服もまだ乾いていない夫のため、シルクは自身もシャツを着込みながら、アリッグに同じものを手渡す。
「どうぞ、アリッグさん」
「お、サンキュ」
それを受け取り腕を通してみるも、体格差があり過ぎてぶかぶかだ。完全に余ってしまった袖をまくり、腿の半ばをくすぐるシャツの裾を落ち着かない気分で引っ張っていると、かわいいですね、とシルクがにっこにこで見つめてくる。
反射的に警戒しつつ、なんだよ、と見返したシルクは――とても、目の毒だった。一瞬のうちにアリッグの胸に、後悔と焦りと喜びと罪悪感と背徳感とその他色々な思いが沸き起こる。
同じシャツのはずなのに、当然ながらと言うべきか、シルクが着ていると印象が全然違った。裾は辛うじて腰回りを隠しているかな、くらいの丈感で見えそうで見えなさそうで見えそうだし、胸元は豊満な双丘を包み隠し切れず、魅惑の谷間がおおらかに覗いているし。
おかげで、先ほどとは別の意味で大変落ち着かない気分になるアリッグである。そんなアリッグにくすぐったい気分になって、シルクはギューッ! と頬ずりをするように抱き締めた。
――と、予想したような抵抗がない。あら、と嬉しいような意外なような思いで腕の中のアリッグを見下ろせば、決意を秘めた強い瞳がシルクを見上げている。
たまには、とアリッグは揺らぎない声で――けれども途中で視線を恥じらうように逸らしながら、言った。
「たまには、俺からお前を求めてもいいよな……」
そうしていつもとは違い、自らシルクをぎゅっと抱き締め、そのしなやかな背中に手を滑らせる。その感触にそわりとバランスを崩したシルクごと、もつれあうように倒れ込んだ先はベッドの上。
きょとん、と不思議そうに見上げるシルクの眼差しを、見上げられたアリッグは目元を染めつつ、真っ直ぐに受け止めた。内心でドキドキと荒れ狂う心臓を持て余しながら、ぐっ、と身を乗り出してアリッグは、シルクの頬に手を添えて、柔らかな唇に己のそれを重ねる。
添えた手は頬をくすぐるように動き、小さな形良い耳朶へ。啄むような口付けは、そのまま吸い込まれるように同じく耳朶へと流れ、カリリ、と甘く食む。
小さな声が上がるのに、何とも言えない喜びが胸を支配した。そんなアリッグの朱に染まる頬を横目で見て――シルクは、うふふ、と幸いに笑う。
そんな甘い夜は遅くまで続き――夜更かしの代償として、2人は翌日、日が高くなるまでぐっすりと仲良く寝入ったのだった。
登場キャラクター
シルク・メイプルリーフ
アリッグ・レイダー