ホログラムとわかっていても怖いものは怖い

電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)シュヴァーン・エレクトロニクス制作 ウケッキ納品 2023年04月26日 13時32分41秒

●ホログラムとわかっていても怖いものは怖い

 超最新鋭の技術を駆使すれば、現実よりも怖い仮想空間を作れるのでは。
 そのような考えからデュープを用いたエキシビションイベントが開催される運びとなった。
 超技術による拡張現実によって再現された超高層ビルの真上からのバンジージャンプ。
 我こそはと名乗りを上げるデュープたちがその屋上エリアに集っていた。
「うぎゃぁぁあああああああ!」
「ああっとどういうことだぁ! やるまえは楽勝だと言っていたが情けなく泣き声をあげているぞぉー!」
 楽しそうな司会者の実況が鳴り響く屋上エリア。【ハッタ・ムラムラ】はそこで自分の番を待っていた。
 椅子に座り、腕を組みながら順番を待つハッタではあるが勿論、彼も怖いのだ。その証拠にそわそわして右足の先をたんたんと小刻みに地面に叩きつけている。
 職員に担がれた状態で彼の目の前を青ざめたデュープが歩いていく。
「いやだ、あんなの、おかしいって……!」
(そんなに怖いのか……あれはっ!)
 恐怖に打ち破れた者たちが彼の前を通る度に恐怖の色がハッタの顔を染めていく。
 そして、いざ自分の番となったハッタは両頬をぱんっと叩く。
 彼の勇気を期待する信者たちが見ている。ならば無様な姿は晒せないとハッタは精一杯の空元気を貫くことにしたようだ。
 ジャンプ台の先へ立ち、祈りを捧げるようなポーズで目を閉じる。
「おれはジャイアントパンダだ……ならば、このような恐怖になど負けることは……ないッッ!」
 目を閉じたまま、祈りのポーズでハッタはジャンプ台から飛び立った。
 他の見ていたデュープたちが驚いた表情を見せる。
「マジか!? 目を閉じたまま行ったぞ!」
「祈りのポーズでバンジーとか狂ってるのか!?」
 紐が伸びきり、反動でびよんびよんと揺られてもハッタは祈りのポーズを崩さず、目を閉じたままだった。
 これにより、不動のハッタと異名が付くようになったのだが……実は飛んで3秒後から終わるまでずっと気絶していたことは、企業の職員しか知らない。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0