風呂についての考察・大衆編
キャラクターノベル制作 ウケッキ納品 2023年05月25日 12時31分37秒
●風呂についての考察・大衆編
某所。
【ストレガ・L・リベルガストラ】は本を前に思案していた。山のように積み重ねられた本たちの中で埋もれるようにして。積まれた本のタイトルはそれぞれ【湯の歴史】【風呂とは・絶好版】など、風呂に関する物のようだ。
湯や風呂の歴史を紐解き、シャルガネに伝わる話などを参考にしながらストレガは独自の解釈をしようと頭を捻っているのである。
彼女が求めるのは、大衆風呂。そう、皆が分け隔てなく入れる温泉。それに対する考察だ。
温泉が流れ出る場所ならば、その建設は容易だろう。問題は温泉が出ない地域にどうやって公衆浴場を作るかという点。
これに関しては前例と言えるデータが少なく、文献もない。参考資料が少ない中では流石のストレガも頭を悩ませていた。
「ふむむ……上手く考えが纏まらない……ええい、風呂に入って考えようか。うん、そうするべきなのだ」
思い立ったストレガは立ち上がると、研究所兼自宅の屋外に設置された自作の風呂場へと向かう。天井の無い露天風呂ではあるが、そこは仕切りもあって対人への備えも完ぺきだ。とはいえ、無防備を晒さないという意味であり、羞恥心の無いストレガにとっての完璧ではあるが。
木製の仕切りが建てられた脱衣所に入るとストレガはまず、骨製の頭飾りと手首や足首の飾りを外して桶に入れる。次にベルト部分を脱着。繋がっている布がぱさりと落ちる。拾い上げて桶の中へ。胸元のベルトを外し、拘束された乳を解放してやる。布をめくるとぶるんっと豊満な乳房が零れだした。最後にパンツを脱ぐと形のいい尻が顔を出す。
衣服を桶に突っ込んだストレガは風呂場に入ると、体を洗い始める。まずは頭だ。洗っている間も彼女の思案は止まらない。
「源泉がない地域では浴場に引っ張る湯が足らない? ふむ、足らないならパイプを引いて伸ばせば……いや、パイプの強度が……」
髪を洗い終え、豊かな乳房をぐにぐにと揉みながら洗う。男がいたら卒倒ものの光景を晒しながらストレガは考えを巡らせている。
まずは実践と考えたストレガは適当な桶に水を入れた。しばらくは水をたたえていた桶だが、徐々に水が漏れだし最終的には僅かな隙間から水が零れだしてしまっていた。木が水を吸って膨張し桶の間に無用な隙間を作ってしまったようだ。
「これでは水道には使えないのだ。ふむ、木ではない素材が必要……鉄か銅が妥当だろうか。それならば製造も地形に応じてパイプの形を変えるのもある程度は可能。ふむふむ」
股を開いてストレガは下半身を洗う。前から見れば実に色々と丸見えな体勢ではあるが、ここには彼女以外誰もいない。まあ、いたとしてもストレガは裸を見られるということに無頓着ゆえにさして気にも留めないだろうが。
思案するだけでは考えが纏まらなくなってきたストレガは念写を使用する。もやもやと彼女の頭に浮かんだ設計図が映し出された。といっても落書きのような大雑把で簡単な図だが。少々デフォルメされている辺り、少し可愛いかもしれない。
風呂を大衆化し、大勢に楽しんでもらう為にまず必須なのは水道設備の構築。これに関してはある程度事前に整えたという前提でストレガは考えを進めていく。
立ち上がり、ストレガは尻を揉み込みながら洗っていく。指が柔肉に沈み、何とも悩ましい。
「思い浮かぶ案は二つ……まずは炉で湯を沸かし、それを風呂桶に注ぐ方式」
構造としては簡単だ。
まず水源からの水を炉に向かって水道で流す。いちいち水を汲みに行っては手間だからだ。仕切りを工夫すれば炉を超える水が流れそうな時、止めることもできるだろう。
そうして集めた水を炉に火をくべて沸かす。ある程度沸いた所で、水道を用いて風呂桶に注いでいく。湯は沸いてから継ぎ足すのでこれならば客の入りを見て湯量の調節ができるだろう。無駄は少ないように思える。
だがその問題点はまだ多い。
沸かしてから注ぐので少々用意に時間が掛かること。
継ぎ足す方式なので湯が汚れてしまった場合、一旦湯を全部抜かないといけないこと。
念写したイメージを動かしながら、ストレガは更に思案する。これを解消するにはどうすればいいか。
「そうか……風呂桶を一つにしなければよいのだ。複数個設置し、それぞれを稼働させれば、一つを入れ替えている時、新しく用意できる」
パッと明るくなったストレガの顔だが、再び彼女は顎に指をあてて考えを巡らせる。
この方法ではさらに大きな問題がもう一つあったのだ。
それは、一度に大量の客を捌けないこと。
なぜなら、いくら桶を増やそうとも炉は一つであり、沸かすのには一定の時間が必要だからだ。
一旦、この案を保留としストレガは湯船に浸かりながら、もう一つの案を考えてみる。
もう一つの案は、いっそ炉の上に湯船を設置すればいいのではないか、ということだ。
これならば炉と湯船は直結であり、大きな湯船を用意すれば一気に大量の客を捌くことだって可能だろう。
しかしながら湯が汚れた場合の対処や、そんな大きな炉を一気に加熱する燃料の存在もそう多くはないだろう。
「やはり出来る限りでの実地試験が必要なのだ。ふむ……作るしかないか」
湯に浸かりながら簡単な試験セットを考案し、ストレガは風呂から出るとすぐに設計図を纏め、材料の確保に動き出した。
材料の確保に動きながら、ストレガは各地の風呂を訪ねていく。
まずはシャルガネのとある温泉だ。
乳白色の湯が美しいその温泉に浸かりながら、ストレガは伸びをする。隣には助手として連れて来た少年【レゼル】の姿があった。
この温泉は珍しく混浴であり、レゼルとストレガは同じ湯に浸かっている。
「ふむ、やはり温泉から源泉を引けると強いのだ……ただの湯では圧倒的に成分が足らない」
「それはそうですよ、温泉には確か、様々な効果があるんですよね? だったら源泉の近くに作るのがいいんじゃないんですか?」
そういうレゼルに詰め寄り、わかってないなぁといった顔をストレガは浮かべる。なお、至近距離過ぎてレゼルの目は豊満なストレガの乳房に注がれている。無防備に晒された乳には勝てない。彼も少年とは言え、男なのだから。
「それでは源泉から遠い所の人々が、温泉を楽しめないのだ。その為に前に作った温泉の素を活用すれば、ここまでとはいかずとも温泉風のお湯を楽しむことはできるはずなのだ。考えがまだまだだ、少年」
「うう……い、言われてみればそうですね。と、というかっ! 近いっ近いですよ、ストレガ様! 色々と見えてますので、か、隠してくださいよっ!」
真っ赤になって慌てるレゼルの姿に、ストレガは不思議そうにきょとんとしている。そして視線を下に移し自分の胸を見た。勢い良く動いたせいか、巻いていたタオルが外れ丸出しとなっている。
「少年、気にすることはないのだ。雄が雌の身体に興奮し、目を奪われるのは自然の摂理。見るなら好きにすればいいのだ。もし感触の知見を広めたいなら、触っても――」
「いいですっ! ダイジョブですっ、ダイジョブですからぁぁあ!」
羞恥心がなく、知識の探求に熱心なストレガにレゼルの恥ずかしさを理解させるのは難しい様だ。頑張れ、少年。
温泉を楽しんだストレガ一行は、温泉に隣接した宿を取っていた。
部屋に行くとそこには夕飯がすでに用意されている。シャルガネの風土を生かした様々な料理が机狭しと並んでいた。
そんな料理を楽しみながら、ストレガは考察を始めていた。レゼルはそれをメモに纏めていく。
「まず、温泉の設置もさることながらこうした宿の設備も必要だと思うのだ。湯に浸かれば癒される、疲れている時ほど動きたくなくなるのは明白。なればそのまま寝てしまえるこの宿のなんと心地の良いことか」
食べ終えたストレガは敷かれていた布団にごろんと転がった。のんびりとくつろぎながら天井を見ている。
「ストレガ様、食べてすぐに寝ると太っちゃいますよ?」
「問題ないのだ、それは迷信。割と食べてすぐに転がる私の身体が証明なのだ。太ってないだろう?」
見せつける様に彼女なりにポーズをとってみる。レゼルは太ももが眩しいのか直視できていない。全部、栄養が胸にいっているのでは、と思った彼だがあえて言わなかった。下手に言えばそちらの考察が始まってしまう。まずは風呂の考察が先だ。
念写でイメージを膨らませながら、ストレガは考え込んでいた。
「大人数の人々に、湯を楽しませる……仕組み……炉を使って……火を……」
考え込んだまま、ストレガはすやすやと静かな寝息をたてて眠ってしまった。
「ストレガ様? あ、寝てますね。考えたまま寝るのはやめてくださいとあれほど……」
布団もかけずにすやすやと眠るストレガに布団をかけ、レゼルも隣の布団で眠りに入った。
翌朝、なぜか疲れた表情のレゼルを連れストレガが向かったのはエドゥノーグ。
ここには名湯と言われる炭酸泉の温泉があると聞いて、材料集めがてら寄ってみたのだった。
この温泉はそこまで規模が大きくないからか、シャルガネの温泉施設とは趣が異なっているようだ。
宿泊施設の各部屋に温泉が引かれ、部屋に風呂が備え付けてあるようだった。
「ふむふむ、部屋に風呂とは……そんなパターンもあるなんて恐れ入ったのだ。上手く仕切れば部屋に備え付け……」
手元のメモにストレガは熱心に走り書きをしている。その間、レゼルは宿泊用のチェックインを済ませたようだ。
メモと考察に集中してしまったストレガの手を引きながら、レゼルは用意された部屋にストレガを連れて行く。
部屋に入るなり、ストレガはハッと顔を上げた。そう、温泉の香りがしたからだ。
「これは……!」
服をすぽーんと脱いで全裸になると、ストレガは風呂場と目される場所に走っていく。やはり探求が優先らしい。羞恥心は勿論なく、胸も尻も丸見えだ。当然、レゼルは目のやり場に困っている。
「ちょっと!? ストレガ様ぁ!? 全裸になるなんて、せめて布を!」
「時間がもったいないのだ! 少年も早く来るのだ、名湯が待っているのだ」
「僕も行くんですか!?」
恥ずかしいからいい、というレゼルを強制的に脱がすと、何事も経験と知見が物をいう、とストレガはレゼルを伴って風呂へ入った。
そしてレゼルはストレガの髪を洗っている。わしゃわしゃと洗われ、ストレガは何とも気持ちがよさそうだ。
「ふむ……また腕を上げたか、少年。洗うのが日に日に上手くなっているのだ」
「そりゃどうも。こんなに温泉にばっかり行ってたら、上手くもなりますよ」
話しながら、再びストレガは考察に入る。真剣な眼差しで彼女は考え込んでいた。
レゼルはそんな彼女を見て、やはりストレガの名は伊達ではないと感じる。
「部屋に併設する場合、湯気や温度の保持はどうしているのだ? 密閉しながらも快適な空間を……?」
ストレガが考え込んでいる間に髪を洗い終え、レゼルはストレガの背中を流す。まだ彼女の思案は終わらない。
「背中、流し終えましたよストレガ様。じゃあ、僕は自分を洗うので……」
「……前」
聞き間違えたかな、と思いレゼルは尋ねてみる。今、前……と聞こえた気がしたのだ。
「え、あのストレガ様……?」
「前、と言った。思案に忙しい、手伝って欲しいのだ」
「えぇぇえ!? 前ってそのおっぱ、ごほんっ、流石に僕がしては色々と不味いのでは!」
「触られて減るものではない。気にしないから任せたのだ。ふむ、湯気を分断するには、あの素材を……」
真っ赤に赤面しながら、ストレガの乳房やお腹、下半身をレゼルは洗っていく。直視しては失礼と思い、なるべく目をそらしながら。羞恥心がない、というのも困ったものである。
何とか洗い終え、疲れた顔でふう、とレゼルは息を吐く。ストレガの思案も一旦、終わったようだ。
「助かった、少年。では前を向け」
「……え?」
振り返ると洗ってやろうと近づくストレガがいた。勿論、色々と隠していない。
「いいですから! 自分で洗えますからぁ!」
「気にするな、洗ってもらったならば洗い返すのが常道。されっぱなしでは悪いのだ。大人しく……む、これは――――興味深い反応なのだ」
「ああぁぁあああーー!」
羞恥心が振り切れてしまったレゼルの叫び声が風呂場に木霊するのであった。
自宅兼研究所に戻ったストレガは材料を組み立て、即席の温泉施設テストセットを作り出す。水源は大きな釜で代用。試製水道管は銅で鍛冶屋に製作してもらった。本当は金や銀が一番錆びにくいので良かったのだが実際には大量に必要となると、コストの面で銅に落ち着いたようだ。
一方は水源代わりの大釜から水道で水を引き、炉に見立てた釜で湯を沸かし、風呂桶に水道で注ぐ方式。
もう一方は炉に見立てた釜の上部に風呂を設置した物だった。
「まずは水源から引くタイプの実験からなのだ」
仕切りを取り、水源である大釜から水を引いて炉代わりの釜で湯を沸かす。此方の方法では沸くのに数十分掛かった。
「ふむ、冷えた水を水源から引く際にどうしても炉の温度がある程度、下がってしまう。それで温度が上がるのに時間が掛かるのだ。構造的に改善は難しそうなのだ」
更に言えば、炉から風呂桶に注ぐ際にも湯が多少冷めてしまい、風呂桶に注がれた湯が適温を維持する時間も短い様だ。
とはいえ、沸かし直すにしても直接風呂を温められない分、時間が掛かってしまう。
「継ぎ足しを繰り返し、温度を保つしかないか……それならば循環させる必要が出てくるのだ。それには……」
気になったことをメモし、ストレガは設計図に纏めていく。レゼルは忙しそうにストレガが書き上げたメモを分類しているようだ。
次に炉に見立てた釜の上に風呂桶を設置したパターンの実験に入る。
こちらは水源から引くまでは一緒だが、炉の上に風呂があるおかげで温度維持がしやすいようだった。
冷めて来たならば、炉に火を入れればすぐに風呂は温まる。
一見、一番いい方法に見えるが問題点も浮き彫りとなった。
まずは燃焼効率のいい燃料の存在だ。
まだ一人用の試験型だから大きな問題は出ない。だが実際には大勢が入るのを想定した風呂桶が必須。そうなれば火力も強くなくてはならない。
そんな火力を維持する燃料の確保が課題点となってくるだろう。より燃焼効率がいい燃料も探す必要がある。
「こちらもこちらで問題もあるのだ……ううむ」
またもやすぽーんっとストレガは全裸になる。レゼルは一生懸命、脱ぎ散らかった服を集めていた。
「ああっ、またいきなり脱いで! ちょっとは気にしてくださいよぉっ」
こうも脱がれては慣れるかも知れないが、ストレガは美貌に溢れスタイルも良い。レゼルが彼女の肢体を見慣れることはないだろう。美しいのは時に罪作りである。
レゼルの叫びをやはり彼女は聞いていない模様で、念写を使いながら考察に集中しているようだ。
「湯の温度は申し分ない、だが燃焼効率の……それなら、あの手法なら……」
湯に浸かりながらぶつぶつと考察しているストレガを見上げながら、レゼルは笑う。
探求に熱心で、何事にも全力なストレガだからこそついていくのだと。
少年は尊敬の眼差しでストレガを見つめているのだった。
某所。
【ストレガ・L・リベルガストラ】は本を前に思案していた。山のように積み重ねられた本たちの中で埋もれるようにして。積まれた本のタイトルはそれぞれ【湯の歴史】【風呂とは・絶好版】など、風呂に関する物のようだ。
湯や風呂の歴史を紐解き、シャルガネに伝わる話などを参考にしながらストレガは独自の解釈をしようと頭を捻っているのである。
彼女が求めるのは、大衆風呂。そう、皆が分け隔てなく入れる温泉。それに対する考察だ。
温泉が流れ出る場所ならば、その建設は容易だろう。問題は温泉が出ない地域にどうやって公衆浴場を作るかという点。
これに関しては前例と言えるデータが少なく、文献もない。参考資料が少ない中では流石のストレガも頭を悩ませていた。
「ふむむ……上手く考えが纏まらない……ええい、風呂に入って考えようか。うん、そうするべきなのだ」
思い立ったストレガは立ち上がると、研究所兼自宅の屋外に設置された自作の風呂場へと向かう。天井の無い露天風呂ではあるが、そこは仕切りもあって対人への備えも完ぺきだ。とはいえ、無防備を晒さないという意味であり、羞恥心の無いストレガにとっての完璧ではあるが。
木製の仕切りが建てられた脱衣所に入るとストレガはまず、骨製の頭飾りと手首や足首の飾りを外して桶に入れる。次にベルト部分を脱着。繋がっている布がぱさりと落ちる。拾い上げて桶の中へ。胸元のベルトを外し、拘束された乳を解放してやる。布をめくるとぶるんっと豊満な乳房が零れだした。最後にパンツを脱ぐと形のいい尻が顔を出す。
衣服を桶に突っ込んだストレガは風呂場に入ると、体を洗い始める。まずは頭だ。洗っている間も彼女の思案は止まらない。
「源泉がない地域では浴場に引っ張る湯が足らない? ふむ、足らないならパイプを引いて伸ばせば……いや、パイプの強度が……」
髪を洗い終え、豊かな乳房をぐにぐにと揉みながら洗う。男がいたら卒倒ものの光景を晒しながらストレガは考えを巡らせている。
まずは実践と考えたストレガは適当な桶に水を入れた。しばらくは水をたたえていた桶だが、徐々に水が漏れだし最終的には僅かな隙間から水が零れだしてしまっていた。木が水を吸って膨張し桶の間に無用な隙間を作ってしまったようだ。
「これでは水道には使えないのだ。ふむ、木ではない素材が必要……鉄か銅が妥当だろうか。それならば製造も地形に応じてパイプの形を変えるのもある程度は可能。ふむふむ」
股を開いてストレガは下半身を洗う。前から見れば実に色々と丸見えな体勢ではあるが、ここには彼女以外誰もいない。まあ、いたとしてもストレガは裸を見られるということに無頓着ゆえにさして気にも留めないだろうが。
思案するだけでは考えが纏まらなくなってきたストレガは念写を使用する。もやもやと彼女の頭に浮かんだ設計図が映し出された。といっても落書きのような大雑把で簡単な図だが。少々デフォルメされている辺り、少し可愛いかもしれない。
風呂を大衆化し、大勢に楽しんでもらう為にまず必須なのは水道設備の構築。これに関してはある程度事前に整えたという前提でストレガは考えを進めていく。
立ち上がり、ストレガは尻を揉み込みながら洗っていく。指が柔肉に沈み、何とも悩ましい。
「思い浮かぶ案は二つ……まずは炉で湯を沸かし、それを風呂桶に注ぐ方式」
構造としては簡単だ。
まず水源からの水を炉に向かって水道で流す。いちいち水を汲みに行っては手間だからだ。仕切りを工夫すれば炉を超える水が流れそうな時、止めることもできるだろう。
そうして集めた水を炉に火をくべて沸かす。ある程度沸いた所で、水道を用いて風呂桶に注いでいく。湯は沸いてから継ぎ足すのでこれならば客の入りを見て湯量の調節ができるだろう。無駄は少ないように思える。
だがその問題点はまだ多い。
沸かしてから注ぐので少々用意に時間が掛かること。
継ぎ足す方式なので湯が汚れてしまった場合、一旦湯を全部抜かないといけないこと。
念写したイメージを動かしながら、ストレガは更に思案する。これを解消するにはどうすればいいか。
「そうか……風呂桶を一つにしなければよいのだ。複数個設置し、それぞれを稼働させれば、一つを入れ替えている時、新しく用意できる」
パッと明るくなったストレガの顔だが、再び彼女は顎に指をあてて考えを巡らせる。
この方法ではさらに大きな問題がもう一つあったのだ。
それは、一度に大量の客を捌けないこと。
なぜなら、いくら桶を増やそうとも炉は一つであり、沸かすのには一定の時間が必要だからだ。
一旦、この案を保留としストレガは湯船に浸かりながら、もう一つの案を考えてみる。
もう一つの案は、いっそ炉の上に湯船を設置すればいいのではないか、ということだ。
これならば炉と湯船は直結であり、大きな湯船を用意すれば一気に大量の客を捌くことだって可能だろう。
しかしながら湯が汚れた場合の対処や、そんな大きな炉を一気に加熱する燃料の存在もそう多くはないだろう。
「やはり出来る限りでの実地試験が必要なのだ。ふむ……作るしかないか」
湯に浸かりながら簡単な試験セットを考案し、ストレガは風呂から出るとすぐに設計図を纏め、材料の確保に動き出した。
材料の確保に動きながら、ストレガは各地の風呂を訪ねていく。
まずはシャルガネのとある温泉だ。
乳白色の湯が美しいその温泉に浸かりながら、ストレガは伸びをする。隣には助手として連れて来た少年【レゼル】の姿があった。
この温泉は珍しく混浴であり、レゼルとストレガは同じ湯に浸かっている。
「ふむ、やはり温泉から源泉を引けると強いのだ……ただの湯では圧倒的に成分が足らない」
「それはそうですよ、温泉には確か、様々な効果があるんですよね? だったら源泉の近くに作るのがいいんじゃないんですか?」
そういうレゼルに詰め寄り、わかってないなぁといった顔をストレガは浮かべる。なお、至近距離過ぎてレゼルの目は豊満なストレガの乳房に注がれている。無防備に晒された乳には勝てない。彼も少年とは言え、男なのだから。
「それでは源泉から遠い所の人々が、温泉を楽しめないのだ。その為に前に作った温泉の素を活用すれば、ここまでとはいかずとも温泉風のお湯を楽しむことはできるはずなのだ。考えがまだまだだ、少年」
「うう……い、言われてみればそうですね。と、というかっ! 近いっ近いですよ、ストレガ様! 色々と見えてますので、か、隠してくださいよっ!」
真っ赤になって慌てるレゼルの姿に、ストレガは不思議そうにきょとんとしている。そして視線を下に移し自分の胸を見た。勢い良く動いたせいか、巻いていたタオルが外れ丸出しとなっている。
「少年、気にすることはないのだ。雄が雌の身体に興奮し、目を奪われるのは自然の摂理。見るなら好きにすればいいのだ。もし感触の知見を広めたいなら、触っても――」
「いいですっ! ダイジョブですっ、ダイジョブですからぁぁあ!」
羞恥心がなく、知識の探求に熱心なストレガにレゼルの恥ずかしさを理解させるのは難しい様だ。頑張れ、少年。
温泉を楽しんだストレガ一行は、温泉に隣接した宿を取っていた。
部屋に行くとそこには夕飯がすでに用意されている。シャルガネの風土を生かした様々な料理が机狭しと並んでいた。
そんな料理を楽しみながら、ストレガは考察を始めていた。レゼルはそれをメモに纏めていく。
「まず、温泉の設置もさることながらこうした宿の設備も必要だと思うのだ。湯に浸かれば癒される、疲れている時ほど動きたくなくなるのは明白。なればそのまま寝てしまえるこの宿のなんと心地の良いことか」
食べ終えたストレガは敷かれていた布団にごろんと転がった。のんびりとくつろぎながら天井を見ている。
「ストレガ様、食べてすぐに寝ると太っちゃいますよ?」
「問題ないのだ、それは迷信。割と食べてすぐに転がる私の身体が証明なのだ。太ってないだろう?」
見せつける様に彼女なりにポーズをとってみる。レゼルは太ももが眩しいのか直視できていない。全部、栄養が胸にいっているのでは、と思った彼だがあえて言わなかった。下手に言えばそちらの考察が始まってしまう。まずは風呂の考察が先だ。
念写でイメージを膨らませながら、ストレガは考え込んでいた。
「大人数の人々に、湯を楽しませる……仕組み……炉を使って……火を……」
考え込んだまま、ストレガはすやすやと静かな寝息をたてて眠ってしまった。
「ストレガ様? あ、寝てますね。考えたまま寝るのはやめてくださいとあれほど……」
布団もかけずにすやすやと眠るストレガに布団をかけ、レゼルも隣の布団で眠りに入った。
翌朝、なぜか疲れた表情のレゼルを連れストレガが向かったのはエドゥノーグ。
ここには名湯と言われる炭酸泉の温泉があると聞いて、材料集めがてら寄ってみたのだった。
この温泉はそこまで規模が大きくないからか、シャルガネの温泉施設とは趣が異なっているようだ。
宿泊施設の各部屋に温泉が引かれ、部屋に風呂が備え付けてあるようだった。
「ふむふむ、部屋に風呂とは……そんなパターンもあるなんて恐れ入ったのだ。上手く仕切れば部屋に備え付け……」
手元のメモにストレガは熱心に走り書きをしている。その間、レゼルは宿泊用のチェックインを済ませたようだ。
メモと考察に集中してしまったストレガの手を引きながら、レゼルは用意された部屋にストレガを連れて行く。
部屋に入るなり、ストレガはハッと顔を上げた。そう、温泉の香りがしたからだ。
「これは……!」
服をすぽーんと脱いで全裸になると、ストレガは風呂場と目される場所に走っていく。やはり探求が優先らしい。羞恥心は勿論なく、胸も尻も丸見えだ。当然、レゼルは目のやり場に困っている。
「ちょっと!? ストレガ様ぁ!? 全裸になるなんて、せめて布を!」
「時間がもったいないのだ! 少年も早く来るのだ、名湯が待っているのだ」
「僕も行くんですか!?」
恥ずかしいからいい、というレゼルを強制的に脱がすと、何事も経験と知見が物をいう、とストレガはレゼルを伴って風呂へ入った。
そしてレゼルはストレガの髪を洗っている。わしゃわしゃと洗われ、ストレガは何とも気持ちがよさそうだ。
「ふむ……また腕を上げたか、少年。洗うのが日に日に上手くなっているのだ」
「そりゃどうも。こんなに温泉にばっかり行ってたら、上手くもなりますよ」
話しながら、再びストレガは考察に入る。真剣な眼差しで彼女は考え込んでいた。
レゼルはそんな彼女を見て、やはりストレガの名は伊達ではないと感じる。
「部屋に併設する場合、湯気や温度の保持はどうしているのだ? 密閉しながらも快適な空間を……?」
ストレガが考え込んでいる間に髪を洗い終え、レゼルはストレガの背中を流す。まだ彼女の思案は終わらない。
「背中、流し終えましたよストレガ様。じゃあ、僕は自分を洗うので……」
「……前」
聞き間違えたかな、と思いレゼルは尋ねてみる。今、前……と聞こえた気がしたのだ。
「え、あのストレガ様……?」
「前、と言った。思案に忙しい、手伝って欲しいのだ」
「えぇぇえ!? 前ってそのおっぱ、ごほんっ、流石に僕がしては色々と不味いのでは!」
「触られて減るものではない。気にしないから任せたのだ。ふむ、湯気を分断するには、あの素材を……」
真っ赤に赤面しながら、ストレガの乳房やお腹、下半身をレゼルは洗っていく。直視しては失礼と思い、なるべく目をそらしながら。羞恥心がない、というのも困ったものである。
何とか洗い終え、疲れた顔でふう、とレゼルは息を吐く。ストレガの思案も一旦、終わったようだ。
「助かった、少年。では前を向け」
「……え?」
振り返ると洗ってやろうと近づくストレガがいた。勿論、色々と隠していない。
「いいですから! 自分で洗えますからぁ!」
「気にするな、洗ってもらったならば洗い返すのが常道。されっぱなしでは悪いのだ。大人しく……む、これは――――興味深い反応なのだ」
「ああぁぁあああーー!」
羞恥心が振り切れてしまったレゼルの叫び声が風呂場に木霊するのであった。
自宅兼研究所に戻ったストレガは材料を組み立て、即席の温泉施設テストセットを作り出す。水源は大きな釜で代用。試製水道管は銅で鍛冶屋に製作してもらった。本当は金や銀が一番錆びにくいので良かったのだが実際には大量に必要となると、コストの面で銅に落ち着いたようだ。
一方は水源代わりの大釜から水道で水を引き、炉に見立てた釜で湯を沸かし、風呂桶に水道で注ぐ方式。
もう一方は炉に見立てた釜の上部に風呂を設置した物だった。
「まずは水源から引くタイプの実験からなのだ」
仕切りを取り、水源である大釜から水を引いて炉代わりの釜で湯を沸かす。此方の方法では沸くのに数十分掛かった。
「ふむ、冷えた水を水源から引く際にどうしても炉の温度がある程度、下がってしまう。それで温度が上がるのに時間が掛かるのだ。構造的に改善は難しそうなのだ」
更に言えば、炉から風呂桶に注ぐ際にも湯が多少冷めてしまい、風呂桶に注がれた湯が適温を維持する時間も短い様だ。
とはいえ、沸かし直すにしても直接風呂を温められない分、時間が掛かってしまう。
「継ぎ足しを繰り返し、温度を保つしかないか……それならば循環させる必要が出てくるのだ。それには……」
気になったことをメモし、ストレガは設計図に纏めていく。レゼルは忙しそうにストレガが書き上げたメモを分類しているようだ。
次に炉に見立てた釜の上に風呂桶を設置したパターンの実験に入る。
こちらは水源から引くまでは一緒だが、炉の上に風呂があるおかげで温度維持がしやすいようだった。
冷めて来たならば、炉に火を入れればすぐに風呂は温まる。
一見、一番いい方法に見えるが問題点も浮き彫りとなった。
まずは燃焼効率のいい燃料の存在だ。
まだ一人用の試験型だから大きな問題は出ない。だが実際には大勢が入るのを想定した風呂桶が必須。そうなれば火力も強くなくてはならない。
そんな火力を維持する燃料の確保が課題点となってくるだろう。より燃焼効率がいい燃料も探す必要がある。
「こちらもこちらで問題もあるのだ……ううむ」
またもやすぽーんっとストレガは全裸になる。レゼルは一生懸命、脱ぎ散らかった服を集めていた。
「ああっ、またいきなり脱いで! ちょっとは気にしてくださいよぉっ」
こうも脱がれては慣れるかも知れないが、ストレガは美貌に溢れスタイルも良い。レゼルが彼女の肢体を見慣れることはないだろう。美しいのは時に罪作りである。
レゼルの叫びをやはり彼女は聞いていない模様で、念写を使いながら考察に集中しているようだ。
「湯の温度は申し分ない、だが燃焼効率の……それなら、あの手法なら……」
湯に浸かりながらぶつぶつと考察しているストレガを見上げながら、レゼルは笑う。
探求に熱心で、何事にも全力なストレガだからこそついていくのだと。
少年は尊敬の眼差しでストレガを見つめているのだった。