指導する時もある、背中を見て学ぶのだ

電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)シュヴァーン・エレクトロニクス制作 ウケッキ納品 2023年04月26日 12時30分19秒

●指導する時もある、背中を見て学ぶのだ

 デュープ同士は基本的にあまりプライベートで絡むことはない。
 企業によって厳重に行動可能エリアが制限されている、監視されているというのもあるが。
 だがそれが必要だと企業が判断した場合など、彼らデュープは交流が可能となるのだ。
 シュヴァーン・エレクトロニクスの格闘トレーニングルームに【ハッタ・ムラムラ】の姿がある。
 彼の目の前には拳にガントレットをつけた騎士風のデュープ【ホルスタ】がいた。
「違う、もっと拳を上に上げるんだ。そして拳を振るう時は、教えた通りに技名を思い浮かべろ。技から技に繋ぐ意識をしっかりと根付かせるんだぞ」
「わ、技名を思い浮かべろって、そんなこと何の意味があるんですか! くっ、当たらない!」
 ホルスタの振るうガントレットはハッタには全く当たらない。寸前の所で全てかわされてしまっていた。
 拳に力をこめ、思いっきり打ち出そうとしたホルスタの拳をハッタは簡単に手で止めて見せる。
「無駄があるんだ。動きに無駄がな。だからこうして、技に入る前に止められてしまう」
 力をこめるホルスタだが、ハッタに掴まれた拳はびくともしない。もう片方の腕はハッタに押さえられ、動かすことができない。完全に詰みだった。
 深くため息をついたホルスタは戦闘態勢を解き、その場にへたり込んだ。
「ならどうしたらいいっていうんですか。技名を思い浮かべろって漠然と言われても……」
「ふむ、そうだな。なら少し講義の時間としようか。いいか、技名っていうのは記憶だ。動きを纏めたデータファイルのような物とでも思ってくれ。技名を思い浮かべる癖をつけておけば、次の技が膨大なデータの中から容易に探せるが、そうじゃなければ一つ一つ探すことになってしまう」
 どかっとその場に座り込み、そのままハッタは語り続ける。
「そうして出た遅れは、戦闘では致命的な遅れとなってしまうということだ」
「そうか。だからさっき止められてしまったんですね、僕は」
 拳を握って見せ、ハッタはそれを素早く打ち出す。
「戦闘で重要なのは速さだ。これを機に精進するといい」
「何だか何か掴めた気がします。よし、それじゃもう一戦お願いします!」
 ハッタとホルスタのトレーニングは夕方まで続いたという。
 そのおかげか、少しだけホルスタの勝率が上がったとか。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0