それはジャイアントパンダの拳

電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)シュヴァーン・エレクトロニクス制作 ウケッキ納品 2023年04月26日 12時29分04秒

●それはジャイアントパンダの拳

「さあ、白熱して参りましたよ! 双方、HPゲージは5割を切りました! 先に勝負を決めるのは果たしてどちらだぁーー!」
 会場を熱狂させるように司会者の実況が鳴り響く。
 ビル群を思わせるステージにてデュープの【ハッタ・ムラムラ】と虎顔の【レガード】が戦っている。
 双方ビルの屋上から跳び、空中で衝突するハッタとレガード。数度拳をぶつけ合い、凄まじい衝撃波が辺りに放たれる。
 彼らに共通しているのは体格が大柄である事、そしてメインの武器が拳であるということ。そして……双方、動物型の見た目をしているということだった。
「今日こそ引導を渡してやんよ、お前のそのパンダ顔をぼこぼこにしてやるからなぁあ!」
 目にも止まらぬ速さで繰り出される拳が何度もぶつかり合った。余りの早さに音が遅れて到達するほどに。
 一歩も後には引けない。
 双方、似ているが故の、共通点があるが故のぶつかり合い。ある意味、同族嫌悪に近いのかもしれない。
 振り被ったレガードの拳がハッタの顎先を打ち抜き、ハッタはぐらりと足元を揺らす。その隙を逃さず、レガードは左のストレートを放った。放たれた拳がハッタの腹部に打ち込まれる。
「がっふぅうっ!?」
 少し吹き飛んだハッタは辛うじて体勢を整え、肩で息をしながら拳を構え直す。もう既にハッタのHPは2割を切っている。
「くはははは! 足がふらついてんぞ? 諦めたらどうだ、パンダ野郎ッ!」
「諦める……か。おれと何度も戦った、お前が一番、そうならないことを知っているだろうッ!」
 バネに跳ね飛ばされるが如く、ハッタは突進し拳を振り被った。
 パンチが来ると予測したレガードは身体を沈み込ませ、ハッタのストレートを避ける姿勢をとった。
 だが次の瞬間、ハッタは身体の回転を増し、鋭い回し蹴りを放ったのだ。
(なにぃ!? こいつ、足技を使っただと!?)
「おれは進化し続ける、それが、ジャイアントパンダである俺のッ! 生き様だからなぁあーッッ!」
 何度も拳を打ち合わせてきた彼にとってハッタが足技を使うとは思わなかったのだ。
 続け様に放たれる回し蹴りを避けることも受けることもできず、レガードは連続で喰らいそのまま地面へと崩れ落ちる。彼のHPはゼロになっていた。
 ハッタの勝利を知らせるアナウンスが鳴り響き、ハッタは腕を振り上げ歓声に応えるのだった。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0