【儚夢】星との旅を夢見て
電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)ヴァイオレット・コンピューティング制作 伊治納品 2023年04月23日 11時17分03秒
●
クロイツは自分がいつの間にか星の海を歩いていることに気づいた。
地面がないのにまるで地面があるように歩けているのは奇妙で、理解できない。
――と、クロイツの傍を流星が7つ駆け抜けていく。
「星……」
クロイツは人工の星というものしか見たことがない。夜というものの演出という認識でもある。けれど、駆け抜けていった星は演出のものと違う気がした。
流星が遙か先で1つの大きな輝きになったかと思うと、数えきれない程の星が大きな輝きを目指して宙を流れるように駆けていく。
大きな輝きはまるで大きな星のよう――遙か昔、恒星と呼ばれるものを見ることができたという情報があった。きっと、あれがそうなのだろう。
「旧世紀時代、人類は宇宙を夢見た……」
星の果てに人間が住むことができる星がないか研究されていたとか。
事故だか事件だかに巻き込まれ記憶と感情が存在しないし、それらが自分に必要であるとも思っていなかった為にデュープバトルのこと中心だったこともあり、詳しく把握していないが。
そのバトルも先日引退した。異動辞令が出て、保養所に行くことになった。準備が整うまでの間は長期休暇が今だ。
だからなのか、認識した。
「これが、綺麗、ということか」
他人が大切にしている感情は、理解できなくとも否定したことはなかった。否定が理解できなかったのもあるし、関心がなかったのもある。だから、大切にしているという情報をそのまま受け入れた。
けれど、今――
「勿体なかった」
初めて、口に出た。情報分析の結果ではなかった。
そう思った瞬間、足元が輝いた。クロイツの足元は流星だったのだ。
輝きを増した流星がクロイツを乗せ、大きな輝きに向け走り出した。
「星と旅をしても悪くない。きっと楽しい」
こんな風に思えるなら、感情というのは悪くない。
クロイツは初めて自分が微笑していることを自覚し、ゆっくりと目を閉じた。
●
「クロイツ、完全自壊」
「最期の無意識で感情取り戻すとか……底力かよ」
感情と記憶の欠落は当然そう設計されたからだ。
だが、最期の無意識で大元が感じたであろう感性を得た。
「感情を取り戻したという夢ですよ。設計で消し切れていなかった可能性はありますけど」
「研鑽の余地はあるな。あいつのスープは俺達が役立ててやろうじゃないか」
その会話は最早彼が聞くことはない。
彼は心を取り戻し、星と共に旅に出た夢を見続けているのだから。
クロイツは自分がいつの間にか星の海を歩いていることに気づいた。
地面がないのにまるで地面があるように歩けているのは奇妙で、理解できない。
――と、クロイツの傍を流星が7つ駆け抜けていく。
「星……」
クロイツは人工の星というものしか見たことがない。夜というものの演出という認識でもある。けれど、駆け抜けていった星は演出のものと違う気がした。
流星が遙か先で1つの大きな輝きになったかと思うと、数えきれない程の星が大きな輝きを目指して宙を流れるように駆けていく。
大きな輝きはまるで大きな星のよう――遙か昔、恒星と呼ばれるものを見ることができたという情報があった。きっと、あれがそうなのだろう。
「旧世紀時代、人類は宇宙を夢見た……」
星の果てに人間が住むことができる星がないか研究されていたとか。
事故だか事件だかに巻き込まれ記憶と感情が存在しないし、それらが自分に必要であるとも思っていなかった為にデュープバトルのこと中心だったこともあり、詳しく把握していないが。
そのバトルも先日引退した。異動辞令が出て、保養所に行くことになった。準備が整うまでの間は長期休暇が今だ。
だからなのか、認識した。
「これが、綺麗、ということか」
他人が大切にしている感情は、理解できなくとも否定したことはなかった。否定が理解できなかったのもあるし、関心がなかったのもある。だから、大切にしているという情報をそのまま受け入れた。
けれど、今――
「勿体なかった」
初めて、口に出た。情報分析の結果ではなかった。
そう思った瞬間、足元が輝いた。クロイツの足元は流星だったのだ。
輝きを増した流星がクロイツを乗せ、大きな輝きに向け走り出した。
「星と旅をしても悪くない。きっと楽しい」
こんな風に思えるなら、感情というのは悪くない。
クロイツは初めて自分が微笑していることを自覚し、ゆっくりと目を閉じた。
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「クロイツ、完全自壊」
「最期の無意識で感情取り戻すとか……底力かよ」
感情と記憶の欠落は当然そう設計されたからだ。
だが、最期の無意識で大元が感じたであろう感性を得た。
「感情を取り戻したという夢ですよ。設計で消し切れていなかった可能性はありますけど」
「研鑽の余地はあるな。あいつのスープは俺達が役立ててやろうじゃないか」
その会話は最早彼が聞くことはない。
彼は心を取り戻し、星と共に旅に出た夢を見続けているのだから。