彼が許される理由

電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)シュヴァーン・エレクトロニクス制作 ウケッキ納品 2023年04月25日 12時07分36秒

●彼が許される理由

 そこはシュヴァーン・エレクトロニクスのモニター室。
 モニターには試合中のデュープ【ハッタ・ムラムラ】の姿が映し出されている。
 職員である【ソモレド】と【デキストリ】がコーヒー片手にその試合を眺めていた。モニターからハッタの声が聞こえる。
「この戦いを見ているまだ見ぬジャイアントパンダ教の信者たちよ! 我が元に集えっ! 全ては、ジャイアントパンダの名の元に!」
 ハッタの叫びを聞きながら、ソモレドはつまらなそうな視線を向けている。そんなソモレドへ、クッキーを食べながらデキストリが問いかける。
「またアイツ、あんな事言ってますよ。何なんですかね、ジャイアントパンダ教って。意味わかりませんよ」
「俺もわからん。気にするな……デュープの戯言だ」
「ですけどね、実際アイツの信者だって言うファンも増えてるじゃないですか。放っておいていいんですか? 企業イメージだって、下がったり――」
 コーヒーに砂糖を入れ、数口飲むとまたソモレドは砂糖を追加する。彼は甘党のようだ。
「下がってないんだよ、企業イメージ。むしろ、子供や女性のファンも増えた。こっちの商品だって奴が宣伝すれば飛ぶように売れる。恩恵の方がでかいな」
「嘘でしょ、だってあの見た目で、ジャイアントパンダ教とか言ってるんですよ?」
 クッキーを受け取り、ソモレドはそれをかじる。
「そこはどうでもいいんだよ、上の連中はな。あいつが稼いでくれる間は自由にさせてやればいい。どうせ、デュープは先が長くない。教祖と言っても大した影響はないさ」
 すると、ドアが開きハッタが入ってくる。手には笹が握られていた。ハッタをそれをかじりながら二人に話しかける。
「はっはっは! 見ていてくれたか? 今回も勝利だ。つい数日前は負けてしまったが……これで遅れは取り戻せたかな?」
「ああ、問題ない。今日の勝利でうちはあのビルの開発に参加できるようになった。負けを取り戻すどころか、大きく他の企業を引き離せたさ。お前のおかげだよ、ハッタ」
 にこやかに笑うソモレドの手を握るとにっこりとハッタは笑う。
「構わないさ、こっちも生活させてもらってる。ギブアンドテイクって奴だな!」

 デュープには先がない。
 すぐそこに終わりのある人生、短き生。
 だからこそ、彼らは輝くのだ。一瞬の輝きとして。眩く、眩しく。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0