笹、されど笹
電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)シュヴァーン・エレクトロニクス制作 ウケッキ納品 2023年04月25日 11時55分36秒
●笹、されど笹
デュープの生活は企業によって徹底的に管理されている。
一般人と接触する場面は極力制限され、企業によって開催される交流会などが主だ。
その為、ほとんどのデュープは企業によって用意された場所で生活している。
今【ハッタ・ムラムラ】がいる部屋もその一つだ。ここには彼の求める良質な【笹】が用意されていた。
皿に山盛りになった笹を一つ掴むと、バリバリとハッタは咀嚼し始める。
「うむ、やはりこの笹は美味いな。甘みと共に深い味わいがあるというか」
彼に皿を運んできた企業の職員がそんなハッタを不思議そうに眺めている。
それに気づいたハッタは、にやりと笑って見せた。
「はっはっは、笹を食うジャイアントパンダが珍しいか? それとも笹を食うデュープが、かな?」
「いえいえ、そんな事は」
「構わない。やはり動物型のデュープの中でおれのような笹を食べる奴は珍しいだろうからな。皆、食べるなら肉だろう。おれだって食べられなくはない、肉も魚も。嫌いでもない」
ぺろりと一皿分の笹を平らげたハッタへ、企業の職員は新たな笹が乗った皿を出す。新鮮な笹を掴み、ハッタはがぶりとかじりついた。
「それなら何故、笹を選ぶんですか? 量だって大量に必要ですし、決して美味しくはないでしょう」
「愚問だな。いいか、おれはジャイアントパンダなんだ。ジャイアントパンダであるならば、主食は笹。彼らがなぜ笹を食べるようになったのか、わかるか?」
笹を咀嚼しながらそう聞かれた職員は首を横に振る。それもそうだろう。パンダが笹を食べる理由など、見当もつかない。
「彼らはな、元々は笹が主食じゃなかったんだ。だが彼らは追いやられてしまった……強き者に。戦う危険よりも生きる大変さ、食料の厳しさを選んだんだよ、賢いよな、ああ、とても賢いとも」
笹を食べ終えたハッタは立ち上がると、窓の外に浮かぶ夕日を眺めた。
「そんな賢き彼らに、少しでもおれは近づきたい。だからこそ、今……おれは笹を食べているんだよ。ジャイアントパンダであるが故に、な」
夕日を受けるハッタの背中を職員はやはり、理解できないような顔で眺めていた。
常人には理解できないのかもしれない。
彼の深い、ジャイアントパンダ愛を。
デュープの生活は企業によって徹底的に管理されている。
一般人と接触する場面は極力制限され、企業によって開催される交流会などが主だ。
その為、ほとんどのデュープは企業によって用意された場所で生活している。
今【ハッタ・ムラムラ】がいる部屋もその一つだ。ここには彼の求める良質な【笹】が用意されていた。
皿に山盛りになった笹を一つ掴むと、バリバリとハッタは咀嚼し始める。
「うむ、やはりこの笹は美味いな。甘みと共に深い味わいがあるというか」
彼に皿を運んできた企業の職員がそんなハッタを不思議そうに眺めている。
それに気づいたハッタは、にやりと笑って見せた。
「はっはっは、笹を食うジャイアントパンダが珍しいか? それとも笹を食うデュープが、かな?」
「いえいえ、そんな事は」
「構わない。やはり動物型のデュープの中でおれのような笹を食べる奴は珍しいだろうからな。皆、食べるなら肉だろう。おれだって食べられなくはない、肉も魚も。嫌いでもない」
ぺろりと一皿分の笹を平らげたハッタへ、企業の職員は新たな笹が乗った皿を出す。新鮮な笹を掴み、ハッタはがぶりとかじりついた。
「それなら何故、笹を選ぶんですか? 量だって大量に必要ですし、決して美味しくはないでしょう」
「愚問だな。いいか、おれはジャイアントパンダなんだ。ジャイアントパンダであるならば、主食は笹。彼らがなぜ笹を食べるようになったのか、わかるか?」
笹を咀嚼しながらそう聞かれた職員は首を横に振る。それもそうだろう。パンダが笹を食べる理由など、見当もつかない。
「彼らはな、元々は笹が主食じゃなかったんだ。だが彼らは追いやられてしまった……強き者に。戦う危険よりも生きる大変さ、食料の厳しさを選んだんだよ、賢いよな、ああ、とても賢いとも」
笹を食べ終えたハッタは立ち上がると、窓の外に浮かぶ夕日を眺めた。
「そんな賢き彼らに、少しでもおれは近づきたい。だからこそ、今……おれは笹を食べているんだよ。ジャイアントパンダであるが故に、な」
夕日を受けるハッタの背中を職員はやはり、理解できないような顔で眺めていた。
常人には理解できないのかもしれない。
彼の深い、ジャイアントパンダ愛を。