シュヴァーンに、異教タッグあり
電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)シュヴァーン・エレクトロニクス制作 菊華 伴納品 2023年04月26日 13時18分13秒
●この二人組ませちまったか……。 byシュヴァーン上層部
――ストレート 2VS2
今回は、シュヴァーン・エレクトロニクスと、翡翠電脳公社の試合。しかも、相手は2VS2では今のところ一度も負けたことのない二人組。シュヴァーン他各社は色んな二人組を彼らにぶつけてきたが、一度も勝てていなかった。
故に、この異色の二人を送り込んだ。
ざわつくオーディエンスの視線は、パンダと狐面のシスターにくぎ付けになっていた。
「信仰の違う俺と君が組むことになろうとは。……ジャイアントパンダ教の力についてこられるかい?」
「ふふっ、神々の声がある限り私は立ち上がれますので」
パンダにしか見えない男の言葉に、口紅を引いた口元のみを見せたシスターは、余裕を漂わせ言う。
目の前にいる翡翠の選手は「あいつら、オレたちを馬鹿にしてんのか?」「落ち着け」というような会話を繰り返している。
パンダのような男――ハッタ・ムラムラ。
狐面のシスター――シスタークラッド。
まさかの異教徒(?)タッグに、観客達の大半が困惑していた。
試合は、最初拮抗していた。
クラッドの得物は野太刀で、見た目によらず豪快な太刀筋を見せる。一方ハッタは錫杖型デバイスを使い状況を把握した動きを見せ、時折数珠型デバイスより光線を放つ。
相手はククリナイフを二本つかう素早い男と歩く要塞ともいえる長身の銃使い。自然とクラッドが二刀使い、ハッタが歩く要塞を相手取るような流れになっていった。
スピード重視の相手に、シスターの武器では遅れをとってしまう。どうにか攻撃を防いでいるつもりだったが、攻撃が掠めていた。
彼は、クラッドを弄ぶような動きを見せるが、彼女はそれでも笑みを絶やさない。
彼女がちらりとハッタを見ると、彼は歩く要塞相手に数珠型デバイスを浮かび上がらせ光の障壁を生み出して防戦一方だ。
「くぅ……! 俺の信仰心が足りないというのか!?」
「訳の分からないことを言ってないで、降参してくれねぇか。俺に動物を虐める趣味はないんだ」
要塞じみた男が、苦笑交じりに言う。だが、その時。ハッタの目が光った気がした。
「動物がお好きで? ならジャイアントパンダはどうだ?」
「……は?」
戦闘中であるというのに、ハッタは敵の攻撃を障壁で防ぎつつずずいと迫った。
「白と黒、光と闇……陰陽のバランスの取れたこのパンダこそ至高。黄金比、塩梅、みな、このジャイアントパンダが定めた世界の規律。動物を愛する者ならば、ジャイアントパンダの教えにも近づけよう」
「はぁ?!」
「ハッタ様、重要な神事の途中ですよ」
その背中に、迫るクラッド。彼女は防戦一方のハッタを援護すべく、二刀使いをまいて接敵してきたのだ。
要塞の男は咄嗟に銃でクラッドの一撃を受ける。予想ではそこまで強く無いはずの一撃。だが、それは彼の銃を飛ばしてしまった。
「てめぇ!」
二刀使いがクラッドを狙うが、そこに飛んでくる錫杖――ハッタが投げた物だ。彼は錫杖を片手で受け止めると、大きく振ることで錫杖が伸び、二刀使いを弾き飛ばした。
「なっ、こいつら強ぇ!」
翡翠の気が短い男が、歯噛みするような声を上げる。
クラッドはその後ろでガントレットで殴る要塞男と戦っていた。野太刀とガントレットがぶつかり合い、派手な音を立てる。だが、そのうちに要塞男が体制を崩し、クラッドはカソックを風に靡かせ鋭い突きを見舞う。
「いうだけのことはある。『神の声に応える者』」
「それだけ研鑽を積んでおりますから、『ジャイアントパンダの信仰者』様」
そんなことを言い合う二人に目掛け、二刀使いがナイフを投げてくる。クラッドがそれらをすべて弾き、その後ろからハッタの数珠型デバイスからビームが出る。
ビームに撃たれ、気絶した二刀使いを受け止め、要塞使いはパンダのような男とカソックの女(仮定)を睨みつける。
「さぁ、動物を虐める事が嫌いなお方。この試合の後にでも、たっぷりジャイアントパンダについて語り聞かせましょう」
「ふふ、ハッタ様の説法はなかなか長いですよ……」
クラッドの言葉に、要塞男はごくり、とつばを飲み込んだ。
●戦い終わって混沌
それから暫くして、翡翠側のリタイアによりシュヴァーン側勝利となった。ファンの声援に答えた二人だったが……そろってリングを後にし、速やかに翡翠側選手控室へと向かっていた。
「げえぇぇ?! 本当に来たぞ!!」
「さぁ、――! ジャイアントパンダの素晴らしさを語らいましょう!!」
「ハッタ様、お待ちください。信仰確認! 信仰確認が先です!!」
要塞男へとずずいと迫るハッタ、それを止めようとする(?)クラッド。その光景に、二刀使いはひどい頭痛を覚え、非常に苛立った。要塞と呼ばれた男は「ちょっと待て」と焦っている。
「なぁ、おまえら頼むから帰ってくれよ!!」
廊下に、彼の悲痛な叫びがこだました。
(終)
――ストレート 2VS2
今回は、シュヴァーン・エレクトロニクスと、翡翠電脳公社の試合。しかも、相手は2VS2では今のところ一度も負けたことのない二人組。シュヴァーン他各社は色んな二人組を彼らにぶつけてきたが、一度も勝てていなかった。
故に、この異色の二人を送り込んだ。
ざわつくオーディエンスの視線は、パンダと狐面のシスターにくぎ付けになっていた。
「信仰の違う俺と君が組むことになろうとは。……ジャイアントパンダ教の力についてこられるかい?」
「ふふっ、神々の声がある限り私は立ち上がれますので」
パンダにしか見えない男の言葉に、口紅を引いた口元のみを見せたシスターは、余裕を漂わせ言う。
目の前にいる翡翠の選手は「あいつら、オレたちを馬鹿にしてんのか?」「落ち着け」というような会話を繰り返している。
パンダのような男――ハッタ・ムラムラ。
狐面のシスター――シスタークラッド。
まさかの異教徒(?)タッグに、観客達の大半が困惑していた。
試合は、最初拮抗していた。
クラッドの得物は野太刀で、見た目によらず豪快な太刀筋を見せる。一方ハッタは錫杖型デバイスを使い状況を把握した動きを見せ、時折数珠型デバイスより光線を放つ。
相手はククリナイフを二本つかう素早い男と歩く要塞ともいえる長身の銃使い。自然とクラッドが二刀使い、ハッタが歩く要塞を相手取るような流れになっていった。
スピード重視の相手に、シスターの武器では遅れをとってしまう。どうにか攻撃を防いでいるつもりだったが、攻撃が掠めていた。
彼は、クラッドを弄ぶような動きを見せるが、彼女はそれでも笑みを絶やさない。
彼女がちらりとハッタを見ると、彼は歩く要塞相手に数珠型デバイスを浮かび上がらせ光の障壁を生み出して防戦一方だ。
「くぅ……! 俺の信仰心が足りないというのか!?」
「訳の分からないことを言ってないで、降参してくれねぇか。俺に動物を虐める趣味はないんだ」
要塞じみた男が、苦笑交じりに言う。だが、その時。ハッタの目が光った気がした。
「動物がお好きで? ならジャイアントパンダはどうだ?」
「……は?」
戦闘中であるというのに、ハッタは敵の攻撃を障壁で防ぎつつずずいと迫った。
「白と黒、光と闇……陰陽のバランスの取れたこのパンダこそ至高。黄金比、塩梅、みな、このジャイアントパンダが定めた世界の規律。動物を愛する者ならば、ジャイアントパンダの教えにも近づけよう」
「はぁ?!」
「ハッタ様、重要な神事の途中ですよ」
その背中に、迫るクラッド。彼女は防戦一方のハッタを援護すべく、二刀使いをまいて接敵してきたのだ。
要塞の男は咄嗟に銃でクラッドの一撃を受ける。予想ではそこまで強く無いはずの一撃。だが、それは彼の銃を飛ばしてしまった。
「てめぇ!」
二刀使いがクラッドを狙うが、そこに飛んでくる錫杖――ハッタが投げた物だ。彼は錫杖を片手で受け止めると、大きく振ることで錫杖が伸び、二刀使いを弾き飛ばした。
「なっ、こいつら強ぇ!」
翡翠の気が短い男が、歯噛みするような声を上げる。
クラッドはその後ろでガントレットで殴る要塞男と戦っていた。野太刀とガントレットがぶつかり合い、派手な音を立てる。だが、そのうちに要塞男が体制を崩し、クラッドはカソックを風に靡かせ鋭い突きを見舞う。
「いうだけのことはある。『神の声に応える者』」
「それだけ研鑽を積んでおりますから、『ジャイアントパンダの信仰者』様」
そんなことを言い合う二人に目掛け、二刀使いがナイフを投げてくる。クラッドがそれらをすべて弾き、その後ろからハッタの数珠型デバイスからビームが出る。
ビームに撃たれ、気絶した二刀使いを受け止め、要塞使いはパンダのような男とカソックの女(仮定)を睨みつける。
「さぁ、動物を虐める事が嫌いなお方。この試合の後にでも、たっぷりジャイアントパンダについて語り聞かせましょう」
「ふふ、ハッタ様の説法はなかなか長いですよ……」
クラッドの言葉に、要塞男はごくり、とつばを飲み込んだ。
●戦い終わって混沌
それから暫くして、翡翠側のリタイアによりシュヴァーン側勝利となった。ファンの声援に答えた二人だったが……そろってリングを後にし、速やかに翡翠側選手控室へと向かっていた。
「げえぇぇ?! 本当に来たぞ!!」
「さぁ、――! ジャイアントパンダの素晴らしさを語らいましょう!!」
「ハッタ様、お待ちください。信仰確認! 信仰確認が先です!!」
要塞男へとずずいと迫るハッタ、それを止めようとする(?)クラッド。その光景に、二刀使いはひどい頭痛を覚え、非常に苛立った。要塞と呼ばれた男は「ちょっと待て」と焦っている。
「なぁ、おまえら頼むから帰ってくれよ!!」
廊下に、彼の悲痛な叫びがこだました。
(終)