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電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)ロビン・テクノロジーズ制作 白葉うづき納品 2023年05月15日 22時40分03秒

 『FC(FLOWER&CAGE)』という名を聞いて、二人の華やかなデュープを思い浮かべる人々は少なくない。美しい赤毛をまとめ上げたCOⅡ(コール)は手にぶら下がる鳥籠を用いる近距離スタイル。美しい銀髪と穏やかな瞳を持つFea:loth(ルース)は回転を伴う巨大な槍を携えていた。二人とも、お揃いのオレンジリボン(ロビン・テクノロジーズカラー)で髪を結っている。神秘的、華やか、見ているとスカッとすると評判らしい。
「コニー(コルネリウス・アーラ)」
「はい、何ですかルース(フェアロス・アーラ・アスプロス)」
「三竦みバトルと言っても、私たちのやることは変わりません。いつも通りに行きましょう」
 コールが小さく頷き、ルースは柔らかく微笑む――おおよそ戦闘(デュープバトル)前とは思えない、穏やかなやり取り。フィールドから歓声が上がる。どうやら今の様子がカメラで抜かれていたらしい。ルースがカメラに向かって微笑んで手を振り、手招かれたコールも照れたように手を振る。またフィールドが揺れた。

「北東、アルセド。北西にヴァイオレットです」
「コニー、貴方ならどうします?」
「そう……ですね」
 コールとルースは、組織により二人一組での行動を推奨されている。早くからデュープとして活動しているルースを指南役として、コールは日々研鑽を積んでいた。タッグバトルを行うたびにこうして不意に問いが投げかけられることもある(バトルが不得手という割には指導が厳しく、そしてその実力も高い)。僅かな逡巡の後、こっちです、とコールは道を進んだ。
 今回のフィールドは高い壁で出来た迷路になっており、ある程度身を隠しながら進むことも出来る。二人が移動した後、後方で戦闘の音が聞こえた。
「やっぱり来てましたね」
「ええ。双方ともこちら(ロビン)を狙っていたのでしょう。……」
「ルース?」
 ルースは音の方を向き槍を出現させ、鋭く声を掛ける。
「覗き見とは感心しませんね」
 コールが咄嗟に辺りを見回しても人影はない。槍が途端にぎるぎると高速回転を始め、ルースはある一点にそれを投げつける。
「わっ!?」
 分厚い壁がえぐり取られ、青い影が飛び出す。小さなデュープは慌てて壁の上に着地し続けざまにナイフが放られた。ルースが槍で防ぎナイフが地面に散らばる。
「上です!」
 青い姿がもうひとつ空を飛び、上空から放たれた光線で咄嗟に二人は隠れる。遠距離から少しずつ削っていく作戦、二人には相性が悪い。
「ルース、ここは私が」
「援護は任せてください、コニー」
 じゃら、と鎖が鳴り鳥籠が揺れる。コールは壁から出ると掴んだ鎖をぶんぶんと振り回し回転速度を上げた。そのまま壁の上へと飛び上がり、青が見えた瞬間思いきりその方向へと壁を蹴り上げる。
「そんなの当たらないよ!」
「どうでしょうか」
 『鳥籠』は鎖の伸縮で中距離攻撃も出来る。それを避けようと飛び上がったアルセドはいつまで経っても来ない攻撃に息を呑む――直接殴りに来ている!
 コールは鎖を握り、振り被った鳥籠で直接デュープを打ち付ける。ごしゃ、と軽くない音が聞こえ吹っ飛んだデュープはそのまま動かなくなった。
「よそ見している暇はありませんよ」
「っ!」
 あまりの光景に息をのんでいた、もう一人のアルセドの背後からルースが槍を振るう。間一髪後ろに跳んだデュープは着地しようとして、金属の網目地面に目を瞬かせる。
 コールの鳥籠は、元々『ペットといつでも傍に居られる』という売り文句で開発されたもの。鎖が伸縮自在なだけでなく、鳥籠自体もある程度大きさを変えることが出来る――いつの間にかデュープは、巨大化した鳥籠に閉じ込められていた。
(声、掛けたの。避ける方向を限定するため)
「これ、本来の使い方なんですよ。このまま籠を小さくしてしまえば中のペットは安全です! 今日はしません、が!」
 扉を閉めたコールは巨大となった鳥籠を何てことのないように振り回し、少年は目を回して降参した。
「ルース!」
「っ!」
 鋭い声が飛び、咄嗟に避けるとその地面に焦げ跡が付く。光線が飛んできた方向を見るも、誰の姿も見えない。
「狙撃ですね」
「ここだといい的です」
 降りましょうという言葉と共に再び迷宮へと舞い戻る。するとよく目立つ場所に紫色のデュープが見えた。囮だ、とルースはすぐに察する。
「あの人に攻撃をした途端、狙撃手に発見されますね。こちらは遠距離の攻撃手段がないですし……」
「ないのですか?」
 目を瞬かせるコールに、微笑むルースは人差し指を立てた。まるでこれからするいけないことを秘密に、と言うように。

 歌が聞こえる。くらりとするのは催眠効果があるからか。ぎるぎると手元の槍が回転する。回転するほどこの槍は命中力、そして飛距離が増していく。
「あの辺りでしたか」
 先程の狙撃から大よその場所は見当がついていた。狙撃はある程度の高さが必要であり、その候補も移動先も計算が可能だ。
 振りかぶり、投げる。巨大な槍は幾つもの壁を大きく削り、飛行する槍に紫の光線が放たれるも止まらなかった。やがて大きな破壊音と共に大穴が開く。歌っていた紫色のデュープはその惨事に目を瞬かせ、ゆっくり両手を挙げた。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0