【TAG】Violet encounter
電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)ヴァイオレット・コンピューティング制作 白葉うづき納品 2023年04月30日 23時22分03秒
「よろしくお願いしますね、クロイツ」
随分と表情の柔らかい男だ。
その男を見た最初の感想だった。
企業から送られてきたデータに記されていたのは『TAG』。今日クロイツに与えられた業務だ。合流したメルチスというデュープと、戦闘前に軽く打ち合わせを行う。
「俺は見ての通り狙撃を主とする戦闘スタイルだ。近接も出来なくはないが今回の相手だと――」
「了解いたしました」
戦闘スタイル解説後、少し待つ。けれど返事代わりの説明が来ない。見ると、瞳を細めて微笑んでいた。
「お前は?」
「前に出ます。いわゆる囮をお引き受けしましょう」
「ロビンだぞ、耐えれんのか」
金髪のデュープは、大丈夫ですよ先輩と言う。不思議と説得力を持っていた。
『セッション・スタート!』
宣言が終了したのとほぼ同時にビームライフルの引き金を引く。キュィイン……とチャージ音の後、紫の光線が真っ直ぐ飛ぶ。寸分違わず目標地点を撃ち抜きオレンジ色が揺れた。一撃とはいかなかったがほとんど致命傷だろう。
『さすがです』
イヤホンからの声を聞きながら手早く次の狙いを定める。さすがに容易く姿を現してはくれなかった。タッグの厄介な点はここだ。一人を仕留めてももう一人いる。
――歌が聞こえた。
穏やかで場違いな歌が耳から聞こえる。
迷路のような壁が生えたフィールドはその中心だけ開けた作りになっていた。歌う無防備なメルチスに、ロビンのデュープが攻撃を仕掛ける。連続した銃弾が降りそそぐも、不思議なことに彼にひとつも当たらない。
「うおおらぁ!!」
しびれを切らしたか、巨大な腕が一直線に彼を狙った。
「……」
照準を合わせる。ほとんど彼と重なっているが、クロイツは外さない。
引き金を引く。紫の光線が走る。はらりと、金が舞った。
「お疲れ様でした」
「ああ、圧勝と呼べる戦績だ。お疲れ様」
結果、クロイツが二人沈めて快勝。本日の業務を終えたクロイツが戻ろうとすると、メルチスが声を掛ける。
「とても良い腕ですね。惚れ惚れしました」
「お前こそ、よくあの銃撃を避けたな」
クロイツが言うのは相手の攻撃だ。目を瞬かせたデュープは、たまたまです、と微笑んだ。
「どうして笑うんだ? 勝利したから、嬉しいのか」
笑うという感情は嬉しい、楽しいから起こるものだとクロイツのデータベースに記されている。
「きっと、私であることの証左です。貴方とはまたお会いしたい」
そう言って、再び笑った。
随分と表情の柔らかい男だ。
その男を見た最初の感想だった。
企業から送られてきたデータに記されていたのは『TAG』。今日クロイツに与えられた業務だ。合流したメルチスというデュープと、戦闘前に軽く打ち合わせを行う。
「俺は見ての通り狙撃を主とする戦闘スタイルだ。近接も出来なくはないが今回の相手だと――」
「了解いたしました」
戦闘スタイル解説後、少し待つ。けれど返事代わりの説明が来ない。見ると、瞳を細めて微笑んでいた。
「お前は?」
「前に出ます。いわゆる囮をお引き受けしましょう」
「ロビンだぞ、耐えれんのか」
金髪のデュープは、大丈夫ですよ先輩と言う。不思議と説得力を持っていた。
『セッション・スタート!』
宣言が終了したのとほぼ同時にビームライフルの引き金を引く。キュィイン……とチャージ音の後、紫の光線が真っ直ぐ飛ぶ。寸分違わず目標地点を撃ち抜きオレンジ色が揺れた。一撃とはいかなかったがほとんど致命傷だろう。
『さすがです』
イヤホンからの声を聞きながら手早く次の狙いを定める。さすがに容易く姿を現してはくれなかった。タッグの厄介な点はここだ。一人を仕留めてももう一人いる。
――歌が聞こえた。
穏やかで場違いな歌が耳から聞こえる。
迷路のような壁が生えたフィールドはその中心だけ開けた作りになっていた。歌う無防備なメルチスに、ロビンのデュープが攻撃を仕掛ける。連続した銃弾が降りそそぐも、不思議なことに彼にひとつも当たらない。
「うおおらぁ!!」
しびれを切らしたか、巨大な腕が一直線に彼を狙った。
「……」
照準を合わせる。ほとんど彼と重なっているが、クロイツは外さない。
引き金を引く。紫の光線が走る。はらりと、金が舞った。
「お疲れ様でした」
「ああ、圧勝と呼べる戦績だ。お疲れ様」
結果、クロイツが二人沈めて快勝。本日の業務を終えたクロイツが戻ろうとすると、メルチスが声を掛ける。
「とても良い腕ですね。惚れ惚れしました」
「お前こそ、よくあの銃撃を避けたな」
クロイツが言うのは相手の攻撃だ。目を瞬かせたデュープは、たまたまです、と微笑んだ。
「どうして笑うんだ? 勝利したから、嬉しいのか」
笑うという感情は嬉しい、楽しいから起こるものだとクロイツのデータベースに記されている。
「きっと、私であることの証左です。貴方とはまたお会いしたい」
そう言って、再び笑った。