【嘘記】File01:フェリクス
電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)ヴァイオレット・コンピューティング制作 品部 啓納品 2023年04月17日 11時02分06秒
バイオレット・コンピューティング、フェリクス。珍しい客が来たものだとphiは思った。
「ちょうど君の活躍を拝見していたんだ」
そう言いながらphiは画面を指さす。ディスプレイに写っているのは、偶然にもフェリクスその人だった。先日のストレートバトルを記録したものだ。
そこには相手に肉薄し、短剣で応戦するフェリクスの姿が。
画面ではなく実際のフェリクスは黙ったまま近くにあった椅子に座った。
「……それで?」
「このスピード、この攻撃の鋭さ、素晴らしい」
「……」
「どうやっても私には出せないな。体重を乗せて効率的に相手を刺しに行っている。力学的にも非常に効率的な短剣捌きだ。この瞬間、滑らせて効率よく切り裂いている。手首のスナップの利きがいい」
「……それは、どうも」
「どうやってこんな技術を習得したんだ? 差し支えなければ後学のために――」
フェリクスは無言のまま、こちらに視線を合わせなかった。言いたくないと判断し、次に話を進める。
「それと、この瞬間」
画面の再生をコマ送りに変更し、さらに話を続ける。
「楽しそうじゃないか。モチベーションを持つのは実にいい」
phiの発言にフェリクスは少し視線を横に逸らした。自分が画面にアップで映っているのもそうだが、ここまで褒める人間がいることがどこかソワソワしている風だった。
画面の向こうのフェリクスは対戦相手を倒していた。
「なあ」
「何かね?」
「……ファンサービス、あるじゃないか」
「あるな」
「どうやって対応してるんだ?」
改まったフェリクスの言葉。それにphiは僅かに黙った。
「愛想良くしろ、って言われるんだ」
どうやらお悩み相談に変更になったらしい。やはり視線を合わせない彼に、phiは一言。
「笑顔は?」
「練習中」
「会話内容は?」
「考えている」
「じゃあ充分だ」
「頑張って対応してるのに、キャラ変わりすぎって言われるのがムカつく」
そういう悩みか。僅かに視線を揺らす彼を見て、明らかに迷いが見てとれた。
一番改善すべきはその視線を合わせない行為だとも思うのだが、まあ難しいならしょうがない。
「無理に対応しすぎないことじゃないかね? 自分の好きや得意を貫き通すこと。それをやるのが案外伝わる」
「……そんなの」
フェリクスの反論に、phiは黙ったまま、改めてディスプレイを指さした。そこには僅かに、しかし自然に笑うフェリクスの姿があった。
「慣れの問題さ。きっと」
「ちょうど君の活躍を拝見していたんだ」
そう言いながらphiは画面を指さす。ディスプレイに写っているのは、偶然にもフェリクスその人だった。先日のストレートバトルを記録したものだ。
そこには相手に肉薄し、短剣で応戦するフェリクスの姿が。
画面ではなく実際のフェリクスは黙ったまま近くにあった椅子に座った。
「……それで?」
「このスピード、この攻撃の鋭さ、素晴らしい」
「……」
「どうやっても私には出せないな。体重を乗せて効率的に相手を刺しに行っている。力学的にも非常に効率的な短剣捌きだ。この瞬間、滑らせて効率よく切り裂いている。手首のスナップの利きがいい」
「……それは、どうも」
「どうやってこんな技術を習得したんだ? 差し支えなければ後学のために――」
フェリクスは無言のまま、こちらに視線を合わせなかった。言いたくないと判断し、次に話を進める。
「それと、この瞬間」
画面の再生をコマ送りに変更し、さらに話を続ける。
「楽しそうじゃないか。モチベーションを持つのは実にいい」
phiの発言にフェリクスは少し視線を横に逸らした。自分が画面にアップで映っているのもそうだが、ここまで褒める人間がいることがどこかソワソワしている風だった。
画面の向こうのフェリクスは対戦相手を倒していた。
「なあ」
「何かね?」
「……ファンサービス、あるじゃないか」
「あるな」
「どうやって対応してるんだ?」
改まったフェリクスの言葉。それにphiは僅かに黙った。
「愛想良くしろ、って言われるんだ」
どうやらお悩み相談に変更になったらしい。やはり視線を合わせない彼に、phiは一言。
「笑顔は?」
「練習中」
「会話内容は?」
「考えている」
「じゃあ充分だ」
「頑張って対応してるのに、キャラ変わりすぎって言われるのがムカつく」
そういう悩みか。僅かに視線を揺らす彼を見て、明らかに迷いが見てとれた。
一番改善すべきはその視線を合わせない行為だとも思うのだが、まあ難しいならしょうがない。
「無理に対応しすぎないことじゃないかね? 自分の好きや得意を貫き通すこと。それをやるのが案外伝わる」
「……そんなの」
フェリクスの反論に、phiは黙ったまま、改めてディスプレイを指さした。そこには僅かに、しかし自然に笑うフェリクスの姿があった。
「慣れの問題さ。きっと」