【雷甲】最大の脅威は背後より来たる
電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)翡翠電脳公社制作 螺子巻ゼンマイ納品 2023年04月12日 09時59分57秒
その日、雷甲討伐戦に参加したデュープたちは、己の不運を嘆いていた。
雷甲と戦うのはまぁ、いい。
だけどよりによって、あのデュープと同じチームなのかよ!?
「チクショウ、こうなったら一刻も早く――」
「おい待て、その位置はヤバい退け!!」
焦った騎士タイプのデュープが飛び出そうとするのを、ガンマンデュープが止める。
と、ぎゅおんッ! 騎士デュープの鼻先を、丸太のように太い電磁弾が通過していく。
騎士の右手のリムの先端が、ジリリと焦げて熱を発していた。もし、あれに直撃していたら……
「あ、危ないですよー。気を付けて下さいねー」
「撃ってから言うなよ! もっとよく見て、」
「止めろ聴いてないから! それより二射目来るぞ!」
文句を言う前に、次の射撃が雷甲に直撃する。
ぎぎ、ぎ。ダメージを受けた雷甲は、姿勢を整えながら戦場奥の狙撃手にカメラを向ける。
Lydy^2。
身の丈ほどのレールガンを用い、超遠距離からの即死級狙撃を撃ち込む高火力型デュープ。
通常の試合であれば、その戦いは如何に彼女に消し飛ばされず、己の射程まで詰め寄るか、というモノになるのだろうが……
「今日の的は大きくて助かりますねー」
今回は違う。
雷甲に当てるのは、ヒトを狙うより簡単だ。
これなら自分の強みを活かして勝利に貢献出来るぞと、彼女は頑張っているのだが……
「もっとタイミングとかぁ!」
「その狙撃で消し飛ぶデュープもいるんですよ!?」
敵だけ見つめて射線上の異物を認識しないので、仲間は数秒ごとに命を懸ける事となる。彼らの声は、Lydy^2には届いていない。
(ん? 動き、変わりましたね)
幾度かの直撃を受け、弱った雷甲は対応を変えた。
ブレードを盾として、強引に接近を試みるつもりのようだ。
「一応足止めは要るか……ってうわーッ!?」
「ガンマン系の人ーっ!?」
主火力のLydy^2を失うわけにはいかない、と仲間が行動をしかけたが。
その仲間ごと、弾丸が雷甲の脚を粉砕する。
「脚は動かないし、これで大丈夫ですね」
仲間も動けなくなったが、気づく彼女ではない。
そのまま十数発、装甲の厚そうな部分を避けて撃たれる彼女の弾は、時に仲間を吹き飛ばしながらも雷甲にダメージを与え、チームを勝利へと導いていった。
「あ、勝ちました? お疲れ様でーす。……あれ?」
みんな先に帰ったのかな。
リタイア続出の戦場で、唯一の勝者は不思議そうに首を傾げるのだった。
登場キャラクター
リディリディ・トゥラ・イェレミース