【IS】1st Battle-銀閃vs双銃

電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)シュヴァーン・エレクトロニクス制作 一乃口納品 2023年04月02日 14時57分33秒

 視界は暗く、始まりの刻に電子響(アラート)が響く。
「「これは真実の法廷である」」
 宣誓と言う様式美、幾度と口にした言葉と共に全神経は研ぎ澄まされて行く。
 意識せずとも続く言葉。
 暗闇は次第に光景を纏い(ライトエフェクト)、その眼前に闘争の場(バトルフィールド)を示す。
「「セッション・スタート!」」
 3Dの曲線が、命を宿すようにその姿を形成する。
 電子響(アラート)が、試合開始を告げる。

●
「ここは――」
 Lily.Ang(リリア)眼前にの光景を見渡し、はっとなり駆け出した。
(このくらい、ハンデとしては丁度いいわ)
 駆け出す。
 その初速は素早い――シュヴァーンの最新型戦闘デュープのLily.Ang(リリア)は『白鳥の騎士(ローエングリン)』大型装備(可変式対物双剣)を伴いならがも、その重量を感じさせない。
 旧市街地の地面を蹴った。
(脆い)
 脚力が生み出す加速に、人工道(アスファルト)にヒビが奔る。
 想定した戦場とは異なるがその表情に(クールさ)淀みは無い。

 銀は風の如く駆ける――打ち倒す敵をその眼は探す。

●
 バァン! と鉄扉が蹴り開けられる。
 高(、)低(、)差(、)の(、)あ(、)る(、)闘争の場(バトルフィールド)、ルアンナ・ミュラーは想定通りだった。
 その初動、戦場で取る行動に迷いは無い。
 手ごろな高さと位置にある旧建築物(ビル)の上へ辿り着く。
「――見ぃ付けた♪」
 常盤色の瞳が戦狂の艶を宿す。
 その眼は建物の間を、ほんの一瞬横抜けた標的(Lily.Ang)の姿を補足する。
 茶色の髪と共に白いコートが風に揺れた。
 同(、)じ(、)シ(、)ュ(、)ヴ(、)ァ(、)ー(、)ン(、)・エ(、)レ(、)ク(、)ト(、)ロ(、)ニ(、)ク(、)ス(、)の所属デュープであったとしても、いや――だからこそこの優劣には譲れないモノが。

 否。

 彼女(ルアンナ)は戦いが好きなのだ。
「3、2、1――(移動速度から予測する)」
 双銃を抜いて構え、ト(、)リ(、)ガ(、)ー(、)を(、)引(、)く(、)カ(、)ウ(、)ン(、)ト(、)ダ(、)ウ(、)ン(、)と同時に標的(Lily.Ang)の姿がビル影から今。
「ほら、捕まえた」
 見える。

●
 爆ぜた音が響いた、理屈以前に思考するよりも早くLily.Angは白鳥の騎士(ローエングリン)をtype.G(ガーディアン)へ変形させるのと同時に銃弾を浴びる。
「――ぐっ!」
 身体中に響く弾雨、視界の隅に見えるリミット(HPゲージ)の明滅を歯牙にも掛けず後ろへ跳んだ。
(上から――!)
 判断するのと同時に思考を加速させる。
 補足された、相手との距離は、あの高さと距離ならば。
 白鳥の騎士(ローエングリン)の形状をtype.G(ガーディアン)の状態にしていたのは幸(、)い(、)だ(、)っ(、)た(、)。
「なっ!?」
 身を潜めていたわずか鼻先を銃創が無数に抉じ開けて行く。
 弾ける破片(コンクリート)が眼前に届くより早く、飛来する弾丸が破片を砂塵へ変えてtype.G(盾)を横から殴るように叩く。
「あははは! そ(、)こ(、)ですか?」
 双銃は交互に火を吹く、建物を貫通しながら飛来する弾丸――その手応えを知る術は企業秘密だろう、ルアンナはLily.Angの位置を捉えると狙いを絞って銃を連射する。
(――っ!)
 相手との距離を把握したLily.Angは走る。
 灰眼は飛来する弾丸をギリギリで見切り、白鳥の騎士(ローエングリン)の表面を焼いて爆ぜる光纏(ライトエフェクト)にリミット(HPゲージ)の迫りを見る。
(なら!)
 決断する、白鳥の騎士(ローエングリン)はその意思に応える。
 バシュバシュと響く音の軽さ、しかしその威力は旧世代の建築物如きなら数百メートルをゆうに貫通して飛翔する。
「あらら?」
 その射線上に、手応えの気配を見失う。
「まぁ――いいです」
 どこに隠れたかはさておき、リロード(チャージ)時間には丁度良い。

 そう思考した瞬間に銀閃が。
「お返しよ!」
 頭(、)上(、)か(、)ら(、)飛(、)来(、)す(、)る(、)。
「うわっ――」
 白鳥の騎士を双頭槍type.L(タイプ.ロンゴミニアド)に繰り替えたLily.Angがルアンナを一閃する、舞い散る光纏(ライトエフェクト)にルアンナの表情は様相を変える。
「っ!」
 ルアンナの構えた銃口を前に、Lily.Angの居た場所に無数の弾痕が爆ぜて散るよりも速く、飛翔で射線を躱す。
 攻撃力を犠牲に両腕のリムから『機械翼』を展開したLily.Angの速さと軌道は、ルナンナの猛烈な銃撃を前に風と踊る蝶が如く捉え処が無い。
「この――っ」
 ルアンナが銃の限界を外し(リミッター)銃雨を浴びせる。
「っ……!」
 壮絶さを増す弾幕に、6つの機械翼の内2つが爆ぜて散る。
 その銃光が爆ぜて視界を覆う刹那、着地したLily.Angが白鳥の騎士を双剣type.W(タイプ.ダブル)に繰り替えながら踏み込んだ。
「「――っ!?」」
 思ったより早い、双剣の切っ先がルアンナを抉り。
 ルアンナの強烈な蹴りがLily.Angをカウンターで捉える。
「……くっ!」
 少しでも早く。
 Lily.Angは体制を立て直す為に、再び機械翼での跳躍を行う。
「――そ(、)こ(、)で(、)す(、)」
 ルアンナの銃口がL(、)i(、)l(、)y(、).A(、)n(、)g(、)の(、)上(、)を(、)撃(、)ち(、)抜(、)い(、)た(、)。
(一体どこを)
 疑問。
 その疑問の解を、Lily.Angは見上げた。
 馬鹿な、と思った。
 崩(、)れ(、)落(、)ち(、)て(、)来(、)た(、)ビ(、)ル(、)の(、)一(、)部(、)が(、)銀(、)の(、)翼(、)を(、)地(、)に(、)落(、)と(、)し(、)た(、)。

「……ぐっ」
 瓦礫に身体が埋まったLily.Angは、その手に白鳥の騎士の感触を探し――動かせない事に気付く。
 腕を踏みつける足、辿った視線の先にある銃口と見下ろす視線。
「ルアンナ……ね、覚えておくわ」
「楽しかったですよ、Lily.Angさん」
 称賛の声と共にルアンナがLily.Angへとヘッドショットを決め、リミット《HPゲージ》はその色を全て奪われて砕ける。

 1st Battle――Wiener、ルアンナ。
 電子響(アラート)が勝者を告げ、両者の眼の届かぬ場所で称賛の声は上がる。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0