【ZRDB】タフな工事のまとめ方

電脳戦潜アプリェーリ イベントノベル(テーマ)ロビン・テクノロジーズ制作 煙納品 2023年04月13日 12時32分16秒

 ワァッ、と空がざわめいた。荒野、ギラつく日差しの下の一対一(ストレートバトル)。観戦者(ライブビューアー)達のコメントで形作られた雲が揺れている。
 ――奴らはいつでも気楽でいいな。痛えのも疲れるのもいつもおれたちだ。
 ペッ、と、血の色をした唾を吐き捨てるは、ロビン・テクノロジーズ所属『HammerLock(ウェズン)』。見れば激戦を経て彼の身体は傷だらけの埃塗れだ。
「ご大層な得物持ってガキ一人殺せねぇか。タカが知れてるな」
 対するはシュヴァーン、登録名(デュープネーム)『鉤腕(フック)』。こちらはほぼ無傷、ここまでのワンサイドゲームぶりが窺える。
「ンだとこのクソガキ!」
 怒りで応(いら)え、フックは右腕(リム)の発電式(スタン)フックに電源を入れた。
 ここはダメージ相当の痛覚信号や喪失感をデュープに伝達し、部位破損(ディフェクション)描画を立体光学投影(プロジェクションマッピング)により実現する、非公式(アンオフィシャル)の闇戦場(アンダーグラウンド・バトルフィールド)――Z Rated Field(ゼット)である。利権の絡んだ闇試合の帯びた熱は、尋常ではなかった。
 挑発に乗りフックが突撃した。曲刀(カットラス)を振り被って斬りかかるが、ハンマーロックはそれを体捌きで回避。身体が泳いだ所にスタンフックが振るわれる。
 しかして、ぐん、とハンマーロックの身体が不自然に加速、紙一重でスタンフックを掻い潜る。
 ――両手鎚(スレッジハンマー)の遠心力による軽業だ。放り出したハンマーヘッドの重さによって己の軌道を変じ、或いは加速する技術。軽量小柄な彼ならではの技。回避と同時にハンマーを振っていたのだ。
「何だとォ!?」
「驚いた悪役ってのはだいたい負けるんだぞ。知らなかったか?」
 驚愕に目を見開いたフックに、ハンマーロックは減らず口で叩き返した。軽口を追うように放たれたのは釘打機(ネイルガン)の連射。次々とフックの身体に釘状の光弾が突き立ち、うち一本がその隻眼を穿つ!
「ぎゃああっ!?」
「悪いな、手許がズレちまった。何せ暴れん坊でよ」
 痛みに悶え転がるフックに、ゆらりとハンマーを揺らして、少年が歩み寄る。
「やめ、やめろッ……頼む! 降参する!」
「テメェがそれを聞いてやったことがあったか?」
 見本のような命乞いを、ハンマーロックは振り上げた両手鎚で打ち砕いた。赤とゴアが飛び散り、動かなくなるフック。
 うえっ、という風に顔をしかめて、ぼやく。

「――こんな趣味の悪い戦場を考えた奴の顔を拝んでみたいもんだな。ヘドロとクソを煮詰めたような顔をしてることだろうよ」

 勝者を告げるアナウンス。勝利をアピールするでもなく、ハンマーロックはもう一度赤い唾を吐き、戦場に背を向けるのだった。

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0