雪百合の加護を胸に
キャラクターノベル制作 ウケッキ納品 2023年02月16日 13時31分43秒
●雪百合の加護を胸に
エラトゥーン都市同盟、都市ベールコートに属するミルドレッド領。
そこには強く、そして容姿端麗な“巨乳”のエルフが属する【雪百合騎士団】が存在する。
その団長の【メイア】は数十名の新人団員たちを率いてフェアドゥキア平野に隣接する林にて、訓練を行っていた。
今回連れて来た団員たちの戦闘経験は浅く、木が乱立する林の中で武器を振るうコツなどを学ばせることが目的だ。
小型の魔獣ばかりが出没するここは特に目立った危険もなく、木を避けて戦う方法を学ぶには実に適している。
「いいですか、脇を締めて……そうです。あまり大振りにならないように気を付けてくださいね。木に当たってしまっては大きな隙に繋がりますから」
まだぎこちない振るい方の新人団員へ、熱心にメイアは教えていた。騎士団は任務の為に様々な場所に赴く特性上、こういった特殊な地形での戦闘もないわけではない。すぐに必要というわけではないだろうが、学んでおくに越したことはないのだ。
メイアは見本として白い百合の花びらに見立てた荘厳な槍を振るって見せる。木々を避け、突進してきた小型魔獣をひと突きで絶命させた。
「焦らずに、確実に仕留めればいいのですよ。相手も木を避けて攻撃してくるのですから、ある程度は攻撃の幅が狭まります。そこを狙えばいいのです」
彼女のお手本を見て、新人団員たちは感心しながら頷いている。やはり百聞は一見に如かず、なのだろう。
「きゃぁぁああああああ!」
突如、団員の悲鳴が響き渡る。メイアが振りむくと新人団員の一人が腰を抜かしていた。目の前には異形の存在……クリーパーがいる。2メートル以下の個体のようで種別は小型だ。
クリーパーは小型とはいえ、授恵者ではない者にとっては脅威でしかない。新人団員で戦闘経験の浅い彼女たちでは相手にならないだろう。
「全員、戦闘態勢ッ! 戦意喪失した者は下がってください! 戦える者は私に続いて!」
姿勢を低くしながら、槍を構えて林の中を駆けていく。木々の間を跳び、今まさに新人団員目掛けて腕を振り下ろそうとしているクリーパーを側面から突いた。白銀の槍がクリーパーの腕を弾く。
そのまま身体で体当たりをし、メイアはクリーパーを吹き飛ばした。吹っ飛んだクリーパーは木にぶつかり、よろよろと立ち上がる。
クリーパーは片腕が引き千切られており、身体の各所には切り傷や噛み傷が多い。何か別の個体と争って手負いとなったのだろう。
「あれは手負いのようですね。とはいえ、相手はクリーパー……総員、気を引き締めていきますよ!」
メイアが武器を構え直すのと同時にクリーパーは耳をつんざくような咆哮をあげた。
激しい雄たけびをあげるクリーパーに新人団員たちの足がすくむ。ある者はかちかちと歯が鳴り、またある者は完全に肩が震え、その顔は恐怖に支配されていた。
すくむ団員たちを守る様にメイアはクリーパーの前に躍り出る。槍でクリーパーと激しい攻撃の応酬を繰り返しながら、的確に指示を飛ばした。
「私が前に出ますっ! 総員、弓装備に変更、適宜援護射撃を! 我々ならば討伐は十分に可能です! 雪百合の加護を胸にッ!」
メイアの飛ばした檄に奮い立たされた新人団員たちは、恐怖に立ち向かって弓を構える。メイアの攻撃の隙を埋めるように放たれた矢がクリーパーの身体を貫く。だがまだ恐怖に勝てないのだろう、放たれた矢の数は少ない。
うざったいのか、残っている片腕をクリーパーは矢を打ち払うように振るう。その隙をメイアは逃さない。
「せやぁぁあああーーーッ!」
鋭い突きがクリーパーの脇腹を抉る。肉片と液体をまき散らしながらもクリーパーは足で踏ん張ると上げられた腕をハンマーの如く振り下ろした。
花びらを模った槍のガード部分でその腕を受け止めると、メイアはそれを弾きながら後方に跳んで一旦距離をとった。
「はぁはぁ……手負いと言えども流石はクリーパー……手強いですね」
槍を構えながらメイアはじりじりと距離を詰めていく。手負いの為に慎重なのか、クリーパーもメイアの出方を窺うように低い唸り声をあげながら彼女を睨んでいた。
先に仕掛けたのはクリーパーだった。口を大きく開くと、クリーパーは無数の細い針をマシンガンのように撃ち出す。
だがメイアはそれを避けず、あえて突進した。針が鎧や槍のガード部分に当たって弾かれていく。
(撃っている間は動きが止まる、そこを狙えば一撃で頭部を破壊できるはずです!)
動いている対象の頭部を狙うのは難しい。だが足を止めた対象への狙いは確実につけやすくなる。彼女はそこを狙ったのだ。
彼女が決着を急いでいるのには理由があった。それは新人団員たちの戦意の問題だ。
今はいい。奮い立った心が、強敵への対抗をある程度可能としている。
だが……戦いが長引けば精神は緊張状態となり、身体も心も疲弊してしまう。
そうなれば新人団員の動きが鈍り、被害が出てしまうだろう。それは何としても避けなければならない。
突撃してくるメイアの槍の先端がクリーパーに届く前に、地面から何かが槍のように突き出した。それは地面へと挿し込まれたクリーパーの尻尾だ。槍のように長い先端がメイアの肩口を貫く。
「くっ!? 射撃攻撃は、囮だったとでも、いうのですか……っ!」
多勢に無勢の状況。自分を恐れる獲物よりも自分を恐れない強敵の動きを封じ、確実に最善手を打つ。それがクリーパーのとった行動だった。
にやりと笑う様にクリーパーの口の端が歪む。次の瞬間、メイアの身体は地面に叩き伏せられた。手から白銀の槍が零れ落ちる。
勝ち誇ったようにクリーパーの咆哮が響き渡った。
(駄目です、ここで立ち上がらねば……みんなが……!)
痛みと衝撃でくらくらする頭を振るい、立ち上がろうとするが痛みで痺れた身体は思うように動いてはくれない。
後は怯える獲物を喰らえばいいだけだとでも、クリーパーは思っているのかもしれない。にやつくように口の端が歪んだままだ。だが本当にそう思っているかはわからない、彼らの意志の在りかなど定かではないのだから。
ひゅんっと風切音と共に、矢がクリーパーの片目に突き刺さる。続けて矢の雨が降り注いだ。クリーパーはそれに耐えられず、片膝をつく。
見れば新人団員たちが整列し弓を構えていたのだ。その目には恐怖の色はない。
「私たちも雪百合騎士団の一員! クリーパーに後れを取るわけにはいかないんです! 雪百合の加護を胸にッ!」
「皆さん……私も、負けていられませんね」
身体に走る痛みを気合で捻じ伏せ、メイアは立ち上がると地面に転がっていた白銀の槍を掴んだ。先端をクリーパーに向け、再び突進する。
「これで――――終わりですっ!」
矢によるダメージで動きの鈍ったクリーパーの胸部が白銀色の槍に貫かれた。断末魔の咆哮をあげ、クリーパーは霧散する。
槍を掲げてメイアは勝利を宣言。新人団員たちから歓声が沸き上がった。
窮地に陥った時、その人物の真価が問われるのだ。彼女たちはそれを乗り越えた。
きっと今回の経験で新人団員たちは立派な騎士となることだろう。
強敵に出会っても挫けない、メイアの姿を胸に。
エラトゥーン都市同盟、都市ベールコートに属するミルドレッド領。
そこには強く、そして容姿端麗な“巨乳”のエルフが属する【雪百合騎士団】が存在する。
その団長の【メイア】は数十名の新人団員たちを率いてフェアドゥキア平野に隣接する林にて、訓練を行っていた。
今回連れて来た団員たちの戦闘経験は浅く、木が乱立する林の中で武器を振るうコツなどを学ばせることが目的だ。
小型の魔獣ばかりが出没するここは特に目立った危険もなく、木を避けて戦う方法を学ぶには実に適している。
「いいですか、脇を締めて……そうです。あまり大振りにならないように気を付けてくださいね。木に当たってしまっては大きな隙に繋がりますから」
まだぎこちない振るい方の新人団員へ、熱心にメイアは教えていた。騎士団は任務の為に様々な場所に赴く特性上、こういった特殊な地形での戦闘もないわけではない。すぐに必要というわけではないだろうが、学んでおくに越したことはないのだ。
メイアは見本として白い百合の花びらに見立てた荘厳な槍を振るって見せる。木々を避け、突進してきた小型魔獣をひと突きで絶命させた。
「焦らずに、確実に仕留めればいいのですよ。相手も木を避けて攻撃してくるのですから、ある程度は攻撃の幅が狭まります。そこを狙えばいいのです」
彼女のお手本を見て、新人団員たちは感心しながら頷いている。やはり百聞は一見に如かず、なのだろう。
「きゃぁぁああああああ!」
突如、団員の悲鳴が響き渡る。メイアが振りむくと新人団員の一人が腰を抜かしていた。目の前には異形の存在……クリーパーがいる。2メートル以下の個体のようで種別は小型だ。
クリーパーは小型とはいえ、授恵者ではない者にとっては脅威でしかない。新人団員で戦闘経験の浅い彼女たちでは相手にならないだろう。
「全員、戦闘態勢ッ! 戦意喪失した者は下がってください! 戦える者は私に続いて!」
姿勢を低くしながら、槍を構えて林の中を駆けていく。木々の間を跳び、今まさに新人団員目掛けて腕を振り下ろそうとしているクリーパーを側面から突いた。白銀の槍がクリーパーの腕を弾く。
そのまま身体で体当たりをし、メイアはクリーパーを吹き飛ばした。吹っ飛んだクリーパーは木にぶつかり、よろよろと立ち上がる。
クリーパーは片腕が引き千切られており、身体の各所には切り傷や噛み傷が多い。何か別の個体と争って手負いとなったのだろう。
「あれは手負いのようですね。とはいえ、相手はクリーパー……総員、気を引き締めていきますよ!」
メイアが武器を構え直すのと同時にクリーパーは耳をつんざくような咆哮をあげた。
激しい雄たけびをあげるクリーパーに新人団員たちの足がすくむ。ある者はかちかちと歯が鳴り、またある者は完全に肩が震え、その顔は恐怖に支配されていた。
すくむ団員たちを守る様にメイアはクリーパーの前に躍り出る。槍でクリーパーと激しい攻撃の応酬を繰り返しながら、的確に指示を飛ばした。
「私が前に出ますっ! 総員、弓装備に変更、適宜援護射撃を! 我々ならば討伐は十分に可能です! 雪百合の加護を胸にッ!」
メイアの飛ばした檄に奮い立たされた新人団員たちは、恐怖に立ち向かって弓を構える。メイアの攻撃の隙を埋めるように放たれた矢がクリーパーの身体を貫く。だがまだ恐怖に勝てないのだろう、放たれた矢の数は少ない。
うざったいのか、残っている片腕をクリーパーは矢を打ち払うように振るう。その隙をメイアは逃さない。
「せやぁぁあああーーーッ!」
鋭い突きがクリーパーの脇腹を抉る。肉片と液体をまき散らしながらもクリーパーは足で踏ん張ると上げられた腕をハンマーの如く振り下ろした。
花びらを模った槍のガード部分でその腕を受け止めると、メイアはそれを弾きながら後方に跳んで一旦距離をとった。
「はぁはぁ……手負いと言えども流石はクリーパー……手強いですね」
槍を構えながらメイアはじりじりと距離を詰めていく。手負いの為に慎重なのか、クリーパーもメイアの出方を窺うように低い唸り声をあげながら彼女を睨んでいた。
先に仕掛けたのはクリーパーだった。口を大きく開くと、クリーパーは無数の細い針をマシンガンのように撃ち出す。
だがメイアはそれを避けず、あえて突進した。針が鎧や槍のガード部分に当たって弾かれていく。
(撃っている間は動きが止まる、そこを狙えば一撃で頭部を破壊できるはずです!)
動いている対象の頭部を狙うのは難しい。だが足を止めた対象への狙いは確実につけやすくなる。彼女はそこを狙ったのだ。
彼女が決着を急いでいるのには理由があった。それは新人団員たちの戦意の問題だ。
今はいい。奮い立った心が、強敵への対抗をある程度可能としている。
だが……戦いが長引けば精神は緊張状態となり、身体も心も疲弊してしまう。
そうなれば新人団員の動きが鈍り、被害が出てしまうだろう。それは何としても避けなければならない。
突撃してくるメイアの槍の先端がクリーパーに届く前に、地面から何かが槍のように突き出した。それは地面へと挿し込まれたクリーパーの尻尾だ。槍のように長い先端がメイアの肩口を貫く。
「くっ!? 射撃攻撃は、囮だったとでも、いうのですか……っ!」
多勢に無勢の状況。自分を恐れる獲物よりも自分を恐れない強敵の動きを封じ、確実に最善手を打つ。それがクリーパーのとった行動だった。
にやりと笑う様にクリーパーの口の端が歪む。次の瞬間、メイアの身体は地面に叩き伏せられた。手から白銀の槍が零れ落ちる。
勝ち誇ったようにクリーパーの咆哮が響き渡った。
(駄目です、ここで立ち上がらねば……みんなが……!)
痛みと衝撃でくらくらする頭を振るい、立ち上がろうとするが痛みで痺れた身体は思うように動いてはくれない。
後は怯える獲物を喰らえばいいだけだとでも、クリーパーは思っているのかもしれない。にやつくように口の端が歪んだままだ。だが本当にそう思っているかはわからない、彼らの意志の在りかなど定かではないのだから。
ひゅんっと風切音と共に、矢がクリーパーの片目に突き刺さる。続けて矢の雨が降り注いだ。クリーパーはそれに耐えられず、片膝をつく。
見れば新人団員たちが整列し弓を構えていたのだ。その目には恐怖の色はない。
「私たちも雪百合騎士団の一員! クリーパーに後れを取るわけにはいかないんです! 雪百合の加護を胸にッ!」
「皆さん……私も、負けていられませんね」
身体に走る痛みを気合で捻じ伏せ、メイアは立ち上がると地面に転がっていた白銀の槍を掴んだ。先端をクリーパーに向け、再び突進する。
「これで――――終わりですっ!」
矢によるダメージで動きの鈍ったクリーパーの胸部が白銀色の槍に貫かれた。断末魔の咆哮をあげ、クリーパーは霧散する。
槍を掲げてメイアは勝利を宣言。新人団員たちから歓声が沸き上がった。
窮地に陥った時、その人物の真価が問われるのだ。彼女たちはそれを乗り越えた。
きっと今回の経験で新人団員たちは立派な騎士となることだろう。
強敵に出会っても挫けない、メイアの姿を胸に。