古の魔獣が目覚める時
キャラクターノベル制作 ウケッキ納品 2022年09月06日 12時45分17秒
●古の魔獣が目覚める時
ロスガリア大陸西部、シグモル火山帯。
神々と密接な関係があったと言われるこの地では、それを示すような遺跡や建造物も多い。
名も知れぬ神の遺跡や、人々にかつて愛されたであろう神の遺したとされる壁画等も見つかる。
だが往々にしてそのような遺跡には魔獣やクリーパーが住み着いていることもある。それも強力な個体が。
そこは忘れられた神の遺跡だった。
かつて人々が信奉したであろう、その神の名は忘れられて久しい。
この場所に参拝に訪れる者はもう誰もいない。
そんな古き神の遺跡にはある言い伝えがあった。
名も無き石工が神に与えられた試練として作った神聖な壁があると。
その真意を確かめる術はないが、確かにそう言い伝えられている壁が……そこにあったのだ。
白く輝くその壁は前面にわたって、きっと名も忘れられた神のものだろう、何者かの姿や魔獣の姿が描かれている。
まるで扉の如く壁に埋もれた形で存在している壁。その壁に縦に一筋の亀裂が走った。
その亀裂は徐々に大きくなり、中心からひび割れが進行する。
全体にそのひび割れが走った次の瞬間、白く輝く壁は音を立てて破砕した。それも“内側から突き破られるように”だ。
もうもうとした煙がまだ収まらない中、低く唸るような咆哮が響き渡る。唸り声のようだがそれは通常の魔獣の物と異なり、金属を擦り合わせた音にも聞こえるし何かを打ち付け合った音にも聞こえる。そんな理解に苦しむ不可思議な咆哮だった。
壁の奥にあったのは空洞だ。そこは洞窟だが酷く狭い。
その暗闇からまず現れたのは筋骨隆々とした逞しい腕だった。四本ある腕が洞窟の淵を掴み、ぬっと身体を現した。
獅子のような顔をした魔獣の上半身は巨躯の人のようにも見える。下半身は八つの足を持つしなやかな馬の姿だ。
暗闇で淡い緑色に光る眼で前方を睨むと魔獣【スヴァジ・ ルファリ】は走り出す。
その八つの足から生まれる速度は並の魔獣を凌駕していた。恐らく、そこらの普通の魔獣であれば追いつくことは困難だろう。
そのような高速で走りながらも、スヴァジの上半身がぶれることはない。自らが生み出す速度に負けない強靭な筋力の現れだった。
名も知れぬ遺跡の入口までやってきたスヴァジだったが、そこは少し前に起きた岩盤の崩落で塞がれている。
苛ついたように足で地面を叩くと、少し離れた位置から崩れた岩の塊に向かって肩を突き出したタックルを行う。
まるで撃ちだされた弾丸の如く岩盤にぶつかったスヴァジの力をもってしても、巨大な崩れた岩の塊はびくともしない。
口から白煙を吹き出しながら、スヴァジは後ろに飛びのいて岩から距離を取った。
けたたましい咆哮を上げながら、四本の腕を前に突き出してそれぞれの掌を近づける。その中心にエーテルが集まっていき、周囲の空気が振動していく。
激しい稲妻を纏わせた、人の頭ほどのエーテルの球体をスヴァジはまっすぐに撃ちだす。
球体は螺旋軌道の稲妻を引き連れて直進、そのまま崩れた岩の塊に激突、炸裂した。轟音と煙が辺りを包み込む。
だが、スヴァジのその攻撃をもってしても巨大な岩はひびが入った程度だ。まだ砕くには至っていない。
苛つきを隠せず、スヴァジは自らの拳で地面を思いっきり叩く。
深く呼吸をすると、スヴァジは大きく足を開いて地面をしっかりと踏み締める。四つの腕を広げると拳を握った。
耳を裂くかのような咆哮を上げると、スヴァジはその拳にエーテルを集中させていく。収束し凝縮したエーテルが四つの拳に集まっていく。
限界まで凝縮したエーテルを拳たちを叩きつけるようにして一つへと無理やりに合体させた。漏れ出すように迸るエーテルの波動が地面を抉る。
にやっと笑ったような表情を浮かべると、スヴァジはその凝縮したエーテルを自分の前方向に向けて解放する。
まるで一筋の光芒の如く放たれた白光は地面を抉り、遺跡の壁を砕きながら入り口を塞いでいた巨大な岩の塊を吹き飛ばす。細かい礫片が辺りに散らばった。
開かれた遺跡の入口から、外の空気と風が入り込む。
スヴァジはその香りに心を震わせながら、歓喜の咆哮を上げ、遺跡の外へと飛び出していくのだった。
スヴァジの去った遺跡に残された崩れた壁。
その一部には四つの腕と八本の足を持つ獅子頭の魔獣の姿が描かれている。
それがスヴァジとどういう関係があるのかはわからないが……強力な魔獣が古の眠りから覚めたということは事実だろう。
放たれた古の魔獣がどのような物語を刻むのか。
それはまだ、誰にもわからないのだ。
ロスガリア大陸西部、シグモル火山帯。
神々と密接な関係があったと言われるこの地では、それを示すような遺跡や建造物も多い。
名も知れぬ神の遺跡や、人々にかつて愛されたであろう神の遺したとされる壁画等も見つかる。
だが往々にしてそのような遺跡には魔獣やクリーパーが住み着いていることもある。それも強力な個体が。
そこは忘れられた神の遺跡だった。
かつて人々が信奉したであろう、その神の名は忘れられて久しい。
この場所に参拝に訪れる者はもう誰もいない。
そんな古き神の遺跡にはある言い伝えがあった。
名も無き石工が神に与えられた試練として作った神聖な壁があると。
その真意を確かめる術はないが、確かにそう言い伝えられている壁が……そこにあったのだ。
白く輝くその壁は前面にわたって、きっと名も忘れられた神のものだろう、何者かの姿や魔獣の姿が描かれている。
まるで扉の如く壁に埋もれた形で存在している壁。その壁に縦に一筋の亀裂が走った。
その亀裂は徐々に大きくなり、中心からひび割れが進行する。
全体にそのひび割れが走った次の瞬間、白く輝く壁は音を立てて破砕した。それも“内側から突き破られるように”だ。
もうもうとした煙がまだ収まらない中、低く唸るような咆哮が響き渡る。唸り声のようだがそれは通常の魔獣の物と異なり、金属を擦り合わせた音にも聞こえるし何かを打ち付け合った音にも聞こえる。そんな理解に苦しむ不可思議な咆哮だった。
壁の奥にあったのは空洞だ。そこは洞窟だが酷く狭い。
その暗闇からまず現れたのは筋骨隆々とした逞しい腕だった。四本ある腕が洞窟の淵を掴み、ぬっと身体を現した。
獅子のような顔をした魔獣の上半身は巨躯の人のようにも見える。下半身は八つの足を持つしなやかな馬の姿だ。
暗闇で淡い緑色に光る眼で前方を睨むと魔獣【スヴァジ・ ルファリ】は走り出す。
その八つの足から生まれる速度は並の魔獣を凌駕していた。恐らく、そこらの普通の魔獣であれば追いつくことは困難だろう。
そのような高速で走りながらも、スヴァジの上半身がぶれることはない。自らが生み出す速度に負けない強靭な筋力の現れだった。
名も知れぬ遺跡の入口までやってきたスヴァジだったが、そこは少し前に起きた岩盤の崩落で塞がれている。
苛ついたように足で地面を叩くと、少し離れた位置から崩れた岩の塊に向かって肩を突き出したタックルを行う。
まるで撃ちだされた弾丸の如く岩盤にぶつかったスヴァジの力をもってしても、巨大な崩れた岩の塊はびくともしない。
口から白煙を吹き出しながら、スヴァジは後ろに飛びのいて岩から距離を取った。
けたたましい咆哮を上げながら、四本の腕を前に突き出してそれぞれの掌を近づける。その中心にエーテルが集まっていき、周囲の空気が振動していく。
激しい稲妻を纏わせた、人の頭ほどのエーテルの球体をスヴァジはまっすぐに撃ちだす。
球体は螺旋軌道の稲妻を引き連れて直進、そのまま崩れた岩の塊に激突、炸裂した。轟音と煙が辺りを包み込む。
だが、スヴァジのその攻撃をもってしても巨大な岩はひびが入った程度だ。まだ砕くには至っていない。
苛つきを隠せず、スヴァジは自らの拳で地面を思いっきり叩く。
深く呼吸をすると、スヴァジは大きく足を開いて地面をしっかりと踏み締める。四つの腕を広げると拳を握った。
耳を裂くかのような咆哮を上げると、スヴァジはその拳にエーテルを集中させていく。収束し凝縮したエーテルが四つの拳に集まっていく。
限界まで凝縮したエーテルを拳たちを叩きつけるようにして一つへと無理やりに合体させた。漏れ出すように迸るエーテルの波動が地面を抉る。
にやっと笑ったような表情を浮かべると、スヴァジはその凝縮したエーテルを自分の前方向に向けて解放する。
まるで一筋の光芒の如く放たれた白光は地面を抉り、遺跡の壁を砕きながら入り口を塞いでいた巨大な岩の塊を吹き飛ばす。細かい礫片が辺りに散らばった。
開かれた遺跡の入口から、外の空気と風が入り込む。
スヴァジはその香りに心を震わせながら、歓喜の咆哮を上げ、遺跡の外へと飛び出していくのだった。
スヴァジの去った遺跡に残された崩れた壁。
その一部には四つの腕と八本の足を持つ獅子頭の魔獣の姿が描かれている。
それがスヴァジとどういう関係があるのかはわからないが……強力な魔獣が古の眠りから覚めたということは事実だろう。
放たれた古の魔獣がどのような物語を刻むのか。
それはまだ、誰にもわからないのだ。