廃墟の邂逅
キャラクターノベル制作 ウケッキ納品 2022年05月10日 15時53分01秒
●廃墟の邂逅
森の奥にある寂れた廃墟。
そこには一つ目の獣がいるという。
近隣の村からの依頼を受け、だわは一人でその場所にやってきていた。
廃墟に降り立った彼の手にはいつもの刃のない剣【剣 -標準調律】ではなく、ただの鉄剣が握られていた。その鉄剣はエーテルを通わせていない一般人向けの武器だ。これでは魔物相手に大したダメージは望めないが、彼はあえてそれをわかった上でそれを握っている。
彼はいつもの武器を失った場合や何らかの理由で使えない場合を想定した訓練の為、ある程度格上の相手と一対一で戦い、自らの継戦能力を磨いているのだ。
彼のいる位置に暗い影が落ちる。彼は影の位置から魔物の位置を予測して高く跳ぶ。壁を蹴って飛び上がっただわの身体は宙を舞い、鉄剣を振り被って一つ目の魔物を狙った。
だが、次の瞬間……魔物の瞳が妖しく輝き、不可視の衝撃波が放たれ彼の身体は大きく吹き飛ばされて廃墟の壁に叩きつけられた。
「衝撃波か、だがその程度で俺は――」
立ち上がろうとした彼は、その懐にいつもの剣がないことに気が付いた。
辺りを見回すと、懐から零れ落ちてしまったのか剣 -標準調律、剣 -堅牢調律の二つは少し離れた位置に転がっているようだ。
上空から降ってくるように放たれた魔物の一撃を低い姿勢で転がる様にかわすと、だわは床に転がっている自分の剣の元へ走る。
しかし、再び魔物【ブラスターアイ】の瞳が輝き、彼は衝撃波で大きく吹き飛ばされた。飛ばされながらも受け身を取り、身体へのダメージを最小限に抑えただわの視界の端で剣 -堅牢調律、剣 -標準調律が地面に空いた穴に転がって落ちていくのが見えた。
即座に取りに行くのは不可能と判断し、だわは使える物がないか辺りを素早く見渡す。彼の目に崩れた暖炉が映る。
暖炉に走って近づくと、暖炉内に残っていた朽ちた火かき棒を拾って槍のように投擲する。
真っ直ぐに跳んだ火かき棒はブラスターアイの腕に刺さったが、さしたダメージはなさそうに見える。
口を大きく開き、鋭い牙を光らせながらブラスターアイは雄たけびを上げ、だわ目掛けて飛び掛かる。
振り上げられた爪による一撃を鉄剣でいなして彼はかわすがその瞬間、鉄剣は甲高い音を響かせて折れた。授恵者用の武器ではない物など、その耐久性はこの程度の物だ。
だわは折れた鉄剣を投げすて、迫る魔物を天井からぶらさがる装飾物を掴んで飛び越えるようにかわすとそのまま魔物の背後に降り立つ。
ここはかつて戦いの心得がある者を訓練する施設だったらしく、朽ちていることさえ気にしなければ武器の類に事欠くことは無い。勿論、授恵者用の物ではないが。
壁に突き刺さっていた古い槍を引き抜くとだわはそれを下段に構え、ブラスターアイを迎え撃つ。
頭を震わせ、再び衝撃波を放つブラスターアイであったがその動作を見切っただわは横っ飛びに衝撃波を避けると、槍の穂先を魔物に向けたまま体重を乗せて思いっきり突っ込んだ。鋭い槍の穂先が魔物の身を貫く。
槍が刺さったまま腕を振るうブラスターアイだが、その攻撃はだわには当たらない。元より使い捨てと考えていた槍を手放しただわの手には次なる武器となった朽ちた剣が握られている。刃こぼれが酷いが、まだ使えそうだ。
咆哮を上げながら迫る魔物を朽ちた剣でだわはすれ違い様に突き刺した。授恵者用でないその剣はあまり深く刺さらなかったが、動くには邪魔そうだ。
「グルゥウウアアアアアアーーッ!」
力任せに振られたブラスターアイの拳を、咄嗟に腕を交差させて防御しただわは少し後方に吹っ飛んだ。だがすぐさま体勢を整えると辺りを注意深く見る。
(床に転がった朽ちた剣、壁に突きだした梁、崩れた階段……まだ使える物は豊富にあるな)
当初の予定とは違ったが、普段の剣が使えなくなった戦いを強いられているこの状況はだわにとって願ってもない事態だった。訓練よりも望んだ状況の方が遥かに経験を積めるのだから。
ブラスターアイは腕を振り上げ、床に突き刺すとだわ目掛けて衝撃波を放つ。それは床を粉砕しながら真っ直ぐに進んできた。
横っ飛びに避けようとして、だわの身体が突如強い衝撃で宙に浮かぶ。ブラスターアイの腕に開いた新たな目から衝撃波が放たれたのだ。
次の瞬間、ブラスターアイが彼に止めを刺そうと上空から飛び掛かってきた。噛みつこうと開いたブラスターアイの口にだわは手近にあった折れた鉄の棒を噛ませ、二人は押し合う。
朽ちかけの床は二人の体重に耐えられなかったのか、ミシミシと言う音が響いたかと思うと彼らの身体は崩落した床と共に階下へ落下した。
「……隠し玉は悪くなかった。だが、床に落ちたのは運が悪かったな」
だわの手には先程落下していった剣 -標準調律が握られており、その蒼い刃が魔物の心臓を貫いていたのである。
森の奥にある寂れた廃墟。
そこには一つ目の獣がいるという。
近隣の村からの依頼を受け、だわは一人でその場所にやってきていた。
廃墟に降り立った彼の手にはいつもの刃のない剣【剣 -標準調律】ではなく、ただの鉄剣が握られていた。その鉄剣はエーテルを通わせていない一般人向けの武器だ。これでは魔物相手に大したダメージは望めないが、彼はあえてそれをわかった上でそれを握っている。
彼はいつもの武器を失った場合や何らかの理由で使えない場合を想定した訓練の為、ある程度格上の相手と一対一で戦い、自らの継戦能力を磨いているのだ。
彼のいる位置に暗い影が落ちる。彼は影の位置から魔物の位置を予測して高く跳ぶ。壁を蹴って飛び上がっただわの身体は宙を舞い、鉄剣を振り被って一つ目の魔物を狙った。
だが、次の瞬間……魔物の瞳が妖しく輝き、不可視の衝撃波が放たれ彼の身体は大きく吹き飛ばされて廃墟の壁に叩きつけられた。
「衝撃波か、だがその程度で俺は――」
立ち上がろうとした彼は、その懐にいつもの剣がないことに気が付いた。
辺りを見回すと、懐から零れ落ちてしまったのか剣 -標準調律、剣 -堅牢調律の二つは少し離れた位置に転がっているようだ。
上空から降ってくるように放たれた魔物の一撃を低い姿勢で転がる様にかわすと、だわは床に転がっている自分の剣の元へ走る。
しかし、再び魔物【ブラスターアイ】の瞳が輝き、彼は衝撃波で大きく吹き飛ばされた。飛ばされながらも受け身を取り、身体へのダメージを最小限に抑えただわの視界の端で剣 -堅牢調律、剣 -標準調律が地面に空いた穴に転がって落ちていくのが見えた。
即座に取りに行くのは不可能と判断し、だわは使える物がないか辺りを素早く見渡す。彼の目に崩れた暖炉が映る。
暖炉に走って近づくと、暖炉内に残っていた朽ちた火かき棒を拾って槍のように投擲する。
真っ直ぐに跳んだ火かき棒はブラスターアイの腕に刺さったが、さしたダメージはなさそうに見える。
口を大きく開き、鋭い牙を光らせながらブラスターアイは雄たけびを上げ、だわ目掛けて飛び掛かる。
振り上げられた爪による一撃を鉄剣でいなして彼はかわすがその瞬間、鉄剣は甲高い音を響かせて折れた。授恵者用の武器ではない物など、その耐久性はこの程度の物だ。
だわは折れた鉄剣を投げすて、迫る魔物を天井からぶらさがる装飾物を掴んで飛び越えるようにかわすとそのまま魔物の背後に降り立つ。
ここはかつて戦いの心得がある者を訓練する施設だったらしく、朽ちていることさえ気にしなければ武器の類に事欠くことは無い。勿論、授恵者用の物ではないが。
壁に突き刺さっていた古い槍を引き抜くとだわはそれを下段に構え、ブラスターアイを迎え撃つ。
頭を震わせ、再び衝撃波を放つブラスターアイであったがその動作を見切っただわは横っ飛びに衝撃波を避けると、槍の穂先を魔物に向けたまま体重を乗せて思いっきり突っ込んだ。鋭い槍の穂先が魔物の身を貫く。
槍が刺さったまま腕を振るうブラスターアイだが、その攻撃はだわには当たらない。元より使い捨てと考えていた槍を手放しただわの手には次なる武器となった朽ちた剣が握られている。刃こぼれが酷いが、まだ使えそうだ。
咆哮を上げながら迫る魔物を朽ちた剣でだわはすれ違い様に突き刺した。授恵者用でないその剣はあまり深く刺さらなかったが、動くには邪魔そうだ。
「グルゥウウアアアアアアーーッ!」
力任せに振られたブラスターアイの拳を、咄嗟に腕を交差させて防御しただわは少し後方に吹っ飛んだ。だがすぐさま体勢を整えると辺りを注意深く見る。
(床に転がった朽ちた剣、壁に突きだした梁、崩れた階段……まだ使える物は豊富にあるな)
当初の予定とは違ったが、普段の剣が使えなくなった戦いを強いられているこの状況はだわにとって願ってもない事態だった。訓練よりも望んだ状況の方が遥かに経験を積めるのだから。
ブラスターアイは腕を振り上げ、床に突き刺すとだわ目掛けて衝撃波を放つ。それは床を粉砕しながら真っ直ぐに進んできた。
横っ飛びに避けようとして、だわの身体が突如強い衝撃で宙に浮かぶ。ブラスターアイの腕に開いた新たな目から衝撃波が放たれたのだ。
次の瞬間、ブラスターアイが彼に止めを刺そうと上空から飛び掛かってきた。噛みつこうと開いたブラスターアイの口にだわは手近にあった折れた鉄の棒を噛ませ、二人は押し合う。
朽ちかけの床は二人の体重に耐えられなかったのか、ミシミシと言う音が響いたかと思うと彼らの身体は崩落した床と共に階下へ落下した。
「……隠し玉は悪くなかった。だが、床に落ちたのは運が悪かったな」
だわの手には先程落下していった剣 -標準調律が握られており、その蒼い刃が魔物の心臓を貫いていたのである。