【熾白闘】激闘 上
天魔大戦アポカリプス・ゼロ-四月革命- イベントノベル(テーマ)制作 柊コウタ納品 2022年06月14日 12時36分20秒
シャリアーヌ=ウルス=ロンディニオンは、とある悪魔の話を思い出す。
熾天使コノエルの翼を五枚も斬り落としたと話していた彼はかなりの手練れと呼べよう。だが、とどめを刺さずにいたぶり続けるような行為を自分は好かない。第二次天魔大戦下で幾度となく戦場を駆けるうち、純粋な強さ――強敵との闘いを求めるようになっていた。
そして今。
大河の上空から戦場を俯瞰するシャリアーヌは、黒衣の熾天使を前にして我が身の武者震いを抑えられずにいる。
その熾天使は、悪魔に対し極めて苛烈な攻撃性を示すという。過去に無数の悪魔を屠り、天使から堕した恋人すら躊躇無く手に掛けたなどという噂も聞く。
どんな敵にも油断無く、徹底的に殲滅する。そんな存在と実際に遭遇し、シャリアーヌの胸には期待が満ち溢れていた。
黒衣の熾天使が翼を鳴らし、宙に立つ。
「水の熾天使コノエルと申します。あなたは……嫉妬の悪魔、シャリアーヌ=ウルス=ロンディニオンさんですか」
静かな問いに、いかにも、と穏やかな声で答える。
「どうぞロンドとお呼びください」
粗暴で血生臭い戦場にて、天使と悪魔の間に物腰柔らかな言葉が交わされる。
「貴方はどんな敵でしょうか……誰にでも礼儀正しくていつでも冷静な人物は、大抵、誰にも興味が無いか、でなければ表に出せないような黒いものを腹に抱えている、と私は常々思っておりまして」
「ロンドさんは、僕がそのいずれかであるとお思いで?」
ええ、と頷く。
「コノエルさん、貴方が後者であることを願います。今まで戦ってきた天使たちは正直、格下と呼ばざるを得ない者か、明らかな弱点を持つ者ばかりで……今とても、楽しみなのです」
シャリアーヌは乱層雲を喚び、その手に小さな吹雪を生み出す。
それは渦巻くごとに膨れ上がり、白く凍る大波となって周囲の天使の軍勢ごとコノエルを襲った。
白い雪煙が立ち、熾天使の姿が見えなくなる。
だが、雪煙の向こうから無数の氷柱が低い風切り音を響かせ飛んできた。逆の手から生んだ吹雪をぶつけ、氷柱を散らすシャリアーヌ。
雪煙が晴れ、熾天使が再び姿を現す。雪と氷が細かく砕ける戦場で、双方の髪と睫毛は凍りついて白銀に光った。
大竜巻を喚び、熾天使に向けて走らせる。
大竜巻は進むほどに雪と土砂を巻き上げ成長し、雲まで届く。それを見たコノエルは微かに顔を顰めた。ああも巨大なものを防ぐ手立ては、そう無い。
熾天使コノエルの翼を五枚も斬り落としたと話していた彼はかなりの手練れと呼べよう。だが、とどめを刺さずにいたぶり続けるような行為を自分は好かない。第二次天魔大戦下で幾度となく戦場を駆けるうち、純粋な強さ――強敵との闘いを求めるようになっていた。
そして今。
大河の上空から戦場を俯瞰するシャリアーヌは、黒衣の熾天使を前にして我が身の武者震いを抑えられずにいる。
その熾天使は、悪魔に対し極めて苛烈な攻撃性を示すという。過去に無数の悪魔を屠り、天使から堕した恋人すら躊躇無く手に掛けたなどという噂も聞く。
どんな敵にも油断無く、徹底的に殲滅する。そんな存在と実際に遭遇し、シャリアーヌの胸には期待が満ち溢れていた。
黒衣の熾天使が翼を鳴らし、宙に立つ。
「水の熾天使コノエルと申します。あなたは……嫉妬の悪魔、シャリアーヌ=ウルス=ロンディニオンさんですか」
静かな問いに、いかにも、と穏やかな声で答える。
「どうぞロンドとお呼びください」
粗暴で血生臭い戦場にて、天使と悪魔の間に物腰柔らかな言葉が交わされる。
「貴方はどんな敵でしょうか……誰にでも礼儀正しくていつでも冷静な人物は、大抵、誰にも興味が無いか、でなければ表に出せないような黒いものを腹に抱えている、と私は常々思っておりまして」
「ロンドさんは、僕がそのいずれかであるとお思いで?」
ええ、と頷く。
「コノエルさん、貴方が後者であることを願います。今まで戦ってきた天使たちは正直、格下と呼ばざるを得ない者か、明らかな弱点を持つ者ばかりで……今とても、楽しみなのです」
シャリアーヌは乱層雲を喚び、その手に小さな吹雪を生み出す。
それは渦巻くごとに膨れ上がり、白く凍る大波となって周囲の天使の軍勢ごとコノエルを襲った。
白い雪煙が立ち、熾天使の姿が見えなくなる。
だが、雪煙の向こうから無数の氷柱が低い風切り音を響かせ飛んできた。逆の手から生んだ吹雪をぶつけ、氷柱を散らすシャリアーヌ。
雪煙が晴れ、熾天使が再び姿を現す。雪と氷が細かく砕ける戦場で、双方の髪と睫毛は凍りついて白銀に光った。
大竜巻を喚び、熾天使に向けて走らせる。
大竜巻は進むほどに雪と土砂を巻き上げ成長し、雲まで届く。それを見たコノエルは微かに顔を顰めた。ああも巨大なものを防ぐ手立ては、そう無い。