【熾白闘】優しき天使 上
天魔大戦アポカリプス・ゼロ-四月革命- イベントノベル(テーマ)制作 柊コウタ納品 2022年04月26日 11時16分19秒
「大丈夫、すぐ治してあげますの。大丈夫なのです」
戦場で崩れ瓦礫となった建物の陰。白と淡い緑の衣服が瓦礫に触れて汚れるのも構わず、能天使ネフティエルは深手を負って動けなくなった天使たちに治癒の風を当ててやっていた。気弱になっている天使の手を握り、優しく励ます。
「すぐ救援が来ますから。あと少しがんばってほしいんですの」
しかし、救援より先にやってきたのは襲撃だった。
「"風の壁よ"!」
敵、と感じた瞬間には盾の言葉を唱えていた。幾条もの石の矢を盾で逸らし、背に味方を庇う。今戦えるのはネフティエルだけ。悪魔は三人。攻撃は不得手だが、防御ならば。
守ってみせる、と思い定めてネフティエルは背後の天使たちに言った。
「ここは任せて! 急いで退避を!」
盾を大きな半球状に広げ、敵の動きを阻害するため更に二枚、計三枚の盾を形成し、傷ついた天使たちが退がるための時間を稼ぐネフティエル。
風の盾が一枚掻き消された。即座に作り直す。だがその隙に悪魔の振りかざした槍が一人横から迫っていた。
槍はネフティエルの腕を裂く。
だが敵を真っすぐ指し叫んだ。
「"風よ砲撃せよ"ッ!」
悪魔が吹き飛び、もう一人を巻き込んで転がった。残る一人から炎の弾丸が飛んできた。盾で受けると弾丸は風を食らって豪炎と化し、双方の視界を奪うほど燃え盛る。
消えゆく盾を敵へ押しやり、羽ばたいて数歩飛び退ったネフティエル。
ちらりと振り返れば足を引きずる天使たちの後ろ姿がある。
(まだここを守らないと……!)
風の盾を食い尽くした炎が消えていく。身命を賭す決意を込めて、きっ、と炎の向こうを強く見つめた。
●
白い軍服を纏った少年のような悪魔、ティムが戦場を飛ぶ。
移動中、ティムは倒壊した建物の傍であるものを見つけ、飛ぶ速度を落とした。
悪魔三人を相手に、一人の天使が奮戦している。
(随分頑張ってるんだな。戦うの得意じゃなさそうなのに)
天使は風の盾と突風で悪魔の攻撃を防ぎ、凌いで、その場に踏みとどまっている。
ああ、とティムは勘付いて天使の周囲に目をやる。血塗れの天使が数人、別の建物の向こうへと消えていくのが見えた。
(彼らのために身を挺して……ってわけか。優しいね)
『創世の神が慈しむであろうもの』を見た嫉妬の悪魔は、不快感に目を細めた。
(準備運動にちょうど良い、寄り道しよう)
「"天地の水よ 泥を繋綴し 我が手に薄明の剣を握らせよ"」
戦場で崩れ瓦礫となった建物の陰。白と淡い緑の衣服が瓦礫に触れて汚れるのも構わず、能天使ネフティエルは深手を負って動けなくなった天使たちに治癒の風を当ててやっていた。気弱になっている天使の手を握り、優しく励ます。
「すぐ救援が来ますから。あと少しがんばってほしいんですの」
しかし、救援より先にやってきたのは襲撃だった。
「"風の壁よ"!」
敵、と感じた瞬間には盾の言葉を唱えていた。幾条もの石の矢を盾で逸らし、背に味方を庇う。今戦えるのはネフティエルだけ。悪魔は三人。攻撃は不得手だが、防御ならば。
守ってみせる、と思い定めてネフティエルは背後の天使たちに言った。
「ここは任せて! 急いで退避を!」
盾を大きな半球状に広げ、敵の動きを阻害するため更に二枚、計三枚の盾を形成し、傷ついた天使たちが退がるための時間を稼ぐネフティエル。
風の盾が一枚掻き消された。即座に作り直す。だがその隙に悪魔の振りかざした槍が一人横から迫っていた。
槍はネフティエルの腕を裂く。
だが敵を真っすぐ指し叫んだ。
「"風よ砲撃せよ"ッ!」
悪魔が吹き飛び、もう一人を巻き込んで転がった。残る一人から炎の弾丸が飛んできた。盾で受けると弾丸は風を食らって豪炎と化し、双方の視界を奪うほど燃え盛る。
消えゆく盾を敵へ押しやり、羽ばたいて数歩飛び退ったネフティエル。
ちらりと振り返れば足を引きずる天使たちの後ろ姿がある。
(まだここを守らないと……!)
風の盾を食い尽くした炎が消えていく。身命を賭す決意を込めて、きっ、と炎の向こうを強く見つめた。
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白い軍服を纏った少年のような悪魔、ティムが戦場を飛ぶ。
移動中、ティムは倒壊した建物の傍であるものを見つけ、飛ぶ速度を落とした。
悪魔三人を相手に、一人の天使が奮戦している。
(随分頑張ってるんだな。戦うの得意じゃなさそうなのに)
天使は風の盾と突風で悪魔の攻撃を防ぎ、凌いで、その場に踏みとどまっている。
ああ、とティムは勘付いて天使の周囲に目をやる。血塗れの天使が数人、別の建物の向こうへと消えていくのが見えた。
(彼らのために身を挺して……ってわけか。優しいね)
『創世の神が慈しむであろうもの』を見た嫉妬の悪魔は、不快感に目を細めた。
(準備運動にちょうど良い、寄り道しよう)
「"天地の水よ 泥を繋綴し 我が手に薄明の剣を握らせよ"」