【舞降】水の主天使・リクエル

天魔大戦アポカリプス・ゼロ-四月革命- イベントノベル(テーマ)制作 菊華 伴納品 2022年04月22日 13時39分58秒

●或る水の主天使の話

 ――水の主天使、リクエル(だわ)

 この水の天使は予言能力を『未来予知能力』として発現している。冷徹に振る舞う様子と氷魔術を操る能力から『氷の天使』と揶揄される事もある。しかし、"妹"と呼んで溺愛している風の天使の前だけでは違う顔を見せるとか……。

 かの天使は、【人間から神への信仰を保つため】に人間へ不定期に啓示を授ける仕事を受け持っている。故に祈りに応じて現れる。正し、真面目であるが故に博打などの祈りには現れないと伝えられている。
 また、かの天使は、未来を知ることで助言できる祈りに応じて現れる。そして未来そのものを知ることは『人の手に余る力』だと考えているため、見えた未来そのものを答えることはない。

●リクエル、降臨
 とある街に、病に倒れた父の為祈る姉と仕事先で苦労する弟がいた。その眼前にふわり、僅かな冷気と光を伴い現れたリクエル。彼は頭にかぶっていた花冠を押さえ、そっと降り立った。負傷したため右だけとなった翼と、騎士にも見える姿で。
 驚きに目を見開いた娘をリクエルは凛とした青い瞳を細め見つめる。
(時間はかかるが、この男は救われる。薬となる物がもうすぐみつかる。……金銭の方も無理せずとも楽になるだろう)
 病を癒すことはできないが、予知した事を告げようと彼は息を吸う。そして、まずは涙目の姉へと静かに告げた。
「乙女よ、これまでどおり祈り、励め。さすれば実を結ぶ日もこよう」
 姉は僅かに息を震わせ、再び涙をこぼす。荒れた手を見れば兄弟が苦労していることは一目瞭然だった。リクエルは次に弟へこう告げた。
「少年よ、誠実を友とせよ。汝の道は既に開かれている」
 弟は目を見開き、しばし考えると深々と頭を下げる。リクエルはその様子に1つ頷くと片一方だけの翼を広げ、音もなく光の粒だけを残して姿を消した。
 あとに残された姉と弟はリクエルからの言葉に涙しながら父の為に励もうと誓いあった。予知の天使からもらった言葉に励まされた二人は前を向き支え合って祈り、励むだろう。

 役目は終えた。ならば"妹"の元へ戻るだけだ。リクエルは余暇を愛しい"妹"の傍で過ごす事を好んでいる。
(早く、会いたい)
 そう思いながら、リクエルは天界を往く。その先で、"妹"が微笑んでいると信じて。

(終)

登場キャラクター

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0