ジヴリールちゃん世界旅行記第二話
キャラクターノベル制作 樫木間黒納品 2022年04月16日 13時11分58秒
【前回までのあらすじ】
冒険者・ジヴリールは己の大望を果たし、好奇心を満たすため旅を続けていた。
幻のビッグ・ファルコン――らしき謎の影を目撃したが冒険心は尽きる事なく、新たな未知なる物を求めて旅を続けていた。
そして今――――、
●
「迷った……………………」
迷子になっていた。
過去の資料を元に未知なる生物を追い求め、森に入った結果がこの始末。右も左も木、木、木、木――目が回ってしまいそうだ。
生憎冒険者になる前は親元から離れた事がない彼女に、迷子になった経験は思い当たらない。人生初の迷子に、どう気持ちを向ければいいのか……とりあえず歩き疲れてその場に座り込んだ。
大きな道に戻ろうと彷徨っていたが、一向に本道は見つからずただ足が痛むばかり。少しは休んでも咎めはしないだろう。……咎めるような誰かが入れば、迷子で困っていないのだが。
(う、う、ううぅぅぅ……どうしよう)
山籠もりの前に備えはしていたので食料はある。野営の仕度もしているが、想定外の事態というものは迷子の精神を追い込む。パニックになって駆け出すほど幼くもないが、この先どうするべきか。名案は思い浮かばない。
その場に蹲って深呼吸をしてみるものの――やはり、都合よく打開策が閃くなんていう事は有り得ないのである。
(こんな時……噂の“妖精さん”が居てくれたらな、なんて――)
現実逃避か、彼女は今の事態に至る原因について思いを馳せていた。
●
リーンエス王国――の首都から外れた地域に存在するとある森。
其処に『妖精』が棲むと言われている。
森の中をふよふよと漂っていたり、踏み入った者へちょっかいをかけたり時には手助けしたり――等々。具体的な姿は目撃証言によりけりだが、何かしら奇異な存在がいる可能性はある。
探して実際にその目で拝んでやろうと意気込んだ、までは良かったのだが。
「地図ぐらい見つけてから行った方がよかったかなぁ……」
なんて、どうしようもない後悔を嘆く。
今は日中だから、鬱蒼とした木々の中でも太陽の光は届いている。けれど日が暮れてしまえば移動している実感すら得られなくなるだろう。森の中は風景が変わりにくいと謂えど、場所が変われば日の当たり方は変わるはずだが……それすらわからないとなれば、檻の中に閉じ込められているに等しい。
だから日が出ている内に森から出なければならない。それは理解している……はずなのに、瞼が重い。疲労と、こんな状況にも関わらず気候はポカポカと暖かいのが悪さをしているようだ。
(今は寝ちゃダメ……寝ちゃダメ……ダメ…………すやぁ)
理性の抵抗も虚しく、ジヴリールの意識は眠りについた。
●
目を覚ます。
周囲が何やら騒がしい。そのせいで意識が引き戻されたようだ。
「もしかして、助けが来た!?」
ガバッと飛び起き、辺りを見渡す。先ず顔を左右に揺らして思ったのは「ここ本当にさっきまでいた森?」という事だった。
確かに木々の中にはいるが、木々が視界を覆っていない所。空間に生じた余白。普通であれば、遠くにある木々が映り込んで青っぽく見えるはずだ。しかし、その背景と呼べる色が何故か桃色とか黄色とか自然物であれば有り得ない色に見える。
突拍子もない話だが、さっきまで居た森の中よりも「別世界に迷い込んだ」と言われた方がしっくり来てしまう感じだ。あれだけ視界を埋め尽くしていた木々も減っているように見える。
呆気に取られていると、足元を何かが通り過ぎる。
視線を下げる。見れば小さな人がいた。子供と呼ぶには顔の作りがしっかりしているように感じるし、小人族と見做すにも何処か違和感があった。だが全体的な姿形は人と同様に見えた。
それらが何人か、列をなして歩いている。早口で何かを喚き立てている辺り、騒がしさの理由は彼らのようだ。
戸惑いの後、ジヴリールの身に訪れたのは強烈な安心感だった。
彼らについていけば大丈夫。怖い事なんて何もない。それに何より……
「わ~~! 妖精さんだ!!」
無邪気な幼子に還ったように声を上げる。
彼らは振り返らない。ジヴリールを気にしていないのか、そもそも初めから後をつけられる事を確信していたのか。
「待って、待って――――」
ジヴリールは走っているつもりだが、小人達に追いつく気配はない。
彼らはそんなにも凄まじい速さで走っているように見えないのに。歩幅は大きいが、あの体格では結果的に大した速さにならないはずだ。それなのに、遥かに体格の大きいジヴリールが走っても追いつけない。
けれど疑問に思う気持ちすら吹き飛んで、ジヴリールは夢中になって小人を追いかけた。
冒険者・ジヴリールは己の大望を果たし、好奇心を満たすため旅を続けていた。
幻のビッグ・ファルコン――らしき謎の影を目撃したが冒険心は尽きる事なく、新たな未知なる物を求めて旅を続けていた。
そして今――――、
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「迷った……………………」
迷子になっていた。
過去の資料を元に未知なる生物を追い求め、森に入った結果がこの始末。右も左も木、木、木、木――目が回ってしまいそうだ。
生憎冒険者になる前は親元から離れた事がない彼女に、迷子になった経験は思い当たらない。人生初の迷子に、どう気持ちを向ければいいのか……とりあえず歩き疲れてその場に座り込んだ。
大きな道に戻ろうと彷徨っていたが、一向に本道は見つからずただ足が痛むばかり。少しは休んでも咎めはしないだろう。……咎めるような誰かが入れば、迷子で困っていないのだが。
(う、う、ううぅぅぅ……どうしよう)
山籠もりの前に備えはしていたので食料はある。野営の仕度もしているが、想定外の事態というものは迷子の精神を追い込む。パニックになって駆け出すほど幼くもないが、この先どうするべきか。名案は思い浮かばない。
その場に蹲って深呼吸をしてみるものの――やはり、都合よく打開策が閃くなんていう事は有り得ないのである。
(こんな時……噂の“妖精さん”が居てくれたらな、なんて――)
現実逃避か、彼女は今の事態に至る原因について思いを馳せていた。
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リーンエス王国――の首都から外れた地域に存在するとある森。
其処に『妖精』が棲むと言われている。
森の中をふよふよと漂っていたり、踏み入った者へちょっかいをかけたり時には手助けしたり――等々。具体的な姿は目撃証言によりけりだが、何かしら奇異な存在がいる可能性はある。
探して実際にその目で拝んでやろうと意気込んだ、までは良かったのだが。
「地図ぐらい見つけてから行った方がよかったかなぁ……」
なんて、どうしようもない後悔を嘆く。
今は日中だから、鬱蒼とした木々の中でも太陽の光は届いている。けれど日が暮れてしまえば移動している実感すら得られなくなるだろう。森の中は風景が変わりにくいと謂えど、場所が変われば日の当たり方は変わるはずだが……それすらわからないとなれば、檻の中に閉じ込められているに等しい。
だから日が出ている内に森から出なければならない。それは理解している……はずなのに、瞼が重い。疲労と、こんな状況にも関わらず気候はポカポカと暖かいのが悪さをしているようだ。
(今は寝ちゃダメ……寝ちゃダメ……ダメ…………すやぁ)
理性の抵抗も虚しく、ジヴリールの意識は眠りについた。
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目を覚ます。
周囲が何やら騒がしい。そのせいで意識が引き戻されたようだ。
「もしかして、助けが来た!?」
ガバッと飛び起き、辺りを見渡す。先ず顔を左右に揺らして思ったのは「ここ本当にさっきまでいた森?」という事だった。
確かに木々の中にはいるが、木々が視界を覆っていない所。空間に生じた余白。普通であれば、遠くにある木々が映り込んで青っぽく見えるはずだ。しかし、その背景と呼べる色が何故か桃色とか黄色とか自然物であれば有り得ない色に見える。
突拍子もない話だが、さっきまで居た森の中よりも「別世界に迷い込んだ」と言われた方がしっくり来てしまう感じだ。あれだけ視界を埋め尽くしていた木々も減っているように見える。
呆気に取られていると、足元を何かが通り過ぎる。
視線を下げる。見れば小さな人がいた。子供と呼ぶには顔の作りがしっかりしているように感じるし、小人族と見做すにも何処か違和感があった。だが全体的な姿形は人と同様に見えた。
それらが何人か、列をなして歩いている。早口で何かを喚き立てている辺り、騒がしさの理由は彼らのようだ。
戸惑いの後、ジヴリールの身に訪れたのは強烈な安心感だった。
彼らについていけば大丈夫。怖い事なんて何もない。それに何より……
「わ~~! 妖精さんだ!!」
無邪気な幼子に還ったように声を上げる。
彼らは振り返らない。ジヴリールを気にしていないのか、そもそも初めから後をつけられる事を確信していたのか。
「待って、待って――――」
ジヴリールは走っているつもりだが、小人達に追いつく気配はない。
彼らはそんなにも凄まじい速さで走っているように見えないのに。歩幅は大きいが、あの体格では結果的に大した速さにならないはずだ。それなのに、遥かに体格の大きいジヴリールが走っても追いつけない。
けれど疑問に思う気持ちすら吹き飛んで、ジヴリールは夢中になって小人を追いかけた。