ジヴリールちゃん世界旅行記第一話
キャラクターノベル制作 樫木間黒納品 2021年08月19日 12時47分01秒
~副題『驚愕! ゴールディの先に幻のビッグ・ファルコンを見た!』~
「暑っ……」
蒸し蒸し、じめじめ。
故郷である砂漠も熱い所ではあったがゴールディの暑さは質が違う。カラッとした暑さではなく、水気の纏わりつくような暑さ。ジヴリールは砂漠地帯に慣れ親しんでいるからこそ、一際強い不快感を得てしまう。
しかし、人の多い都市部から離れてサウゼル大樹海の内部に入り込むだけでこうも違うものか。
「ぽかぽか陽気って感じだったのに密林に入った途端これだよ~……最悪」
樹海の方も気候はあまり変わらないと聞いたが……偶々湿気の強い時に立ち入ってしまったらしい。水でも浴びたい気分だが、生憎沐浴の準備はしていない。
「世界を知るための第一歩」等と意気込んではみたが、まさか始めの一歩で躓きかけるとは。服と肌がべたつく感触は最悪だ。
ゴールディには大樹海から得た原料を使用した名産品が沢山ある。試しに入ってみて、これらを作る原材料を少し拝めればいいな……と思ったが準備が甘かったらしい。「お試し」と軽く見ずに、しっかり事前情報を収集し装備を整えてから行くべきであった。
「んー……引き返した方がいい、かな?」
と、思い始めた矢先の事。
ガサリ。
背後で、茂みの揺れる音がした。咄嗟に振り向くと羽音と共に何かが上空へと飛び去る。空を見上げてその影を確認しようとしたが、頭上まで生い茂った葉が邪魔して見えない。
けれど音からして飛び去ったものがかなり巨大であった事がわかる。先程までそれがいた場所に向かうと……その場には巨大な爪跡が残されていた。
これを見て真っ先に思い付いたのが「ビッグオウム」の名だ。
ビッグオウム――ゴールディのゴブリン達が飼育と調教を一手に担い、空輸という独自の輸送経路を獲得するに至らせた三本足のオウム。商家の娘であるジヴリールは、噂に聞いたビッグオウムに関心を寄せた。
ロスガリア大陸全土で一般的普及には至らないものの、空に道を作るという発想は革新的だ。砂漠を通る行商は馬車が主流だったから余計に。
ここに来る前に実物を見せてもらったりもした。してもらったが故に――さっきまでいたはずの鳥はビッグオウムと、少し違うような気がする。
引き返すついでに、あれがなんだったのか調べてみる事にした。
●
「……あったー!!」
ジヴリールが開いている資料には、冒険者ギルドに寄せられた「幻の生き物」の目撃情報が集められている。誰かに一度しか目撃されず、生息地すら特定されていないため実在するかどうかも怪しい。もしかしたら見間違いや、目立ちたがりの嘘かもしれない――そんな生き物達の目撃談が記されている。ギルドとしてもそれが人に害為す魔物やクリーパーかもしれない以上、鼻から無視するわけにはいかずこうして纏めているのだろう。
して、その中にあった名は――「ビッグ・ファルコン」。
名の通り巨大な隼のような外見をしているが、最も特徴的なのは――
「七色に光る??」
目撃情報によるとすごくピカピカ光っていたらしい。カラフルに。目に毒な程に。
一瞬、見えたそれが七色に光っていたか思い出そうとしたが――見た時は逆光によりちゃんと色が認識できていなかった。なのであれが「七色に光っていなかった」とは言い切れない……かもしれない。
●
ともあれ、ジヴリールは準備を整えて再度大樹海へと向かった。
もうこうなったらビッグ・ファルコンをちゃんと拝んでみるまで気が済まなくなったのだ。
前回のように湿気に苦悩する事もなく、足跡のあった場所まで足を向かわせる。
あの場に(推定)ビッグ・ファルコンがいたのは何故か? あの場がビッグ・ファルコンの水場や餌場等であったりと、屯うにたる理由があるなら――再度訪れる可能性がある。
足跡の周辺を探すと、果たして湖があった。澄んだ水は飲水として好まれるだろう。
近くの茂みに隠れ、ジヴリールは様子を伺う。
…………。
「来ない……」
水場の場所を変えたのか、見間違いか、聞き間違いか。腑に落ちない気持ちを抱えつつ、隠れ場所を離れ来た道を戻ろうとした、その時。
上空から羽音と風を切る音。
ただの鳥が奏でるには大きすぎる。当然、振り返った。
――バサバサッ!!
「……い、いた……!」
ビッグオウムのように巨大だが、確かな隼の外観。そして――湖面を照らし輝く虹色の発光。
正しく、目撃談通りのビッグ・ファルコンそのものだった。
●
その後、ビッグ・ファルコンと思われる鳥は逃げ出した。
「見たよ! 本当にいたって、ビッグ・ファルコン!」
という証言も虚しく、ジヴリールが目撃した場所を幾ら調べても再び、幻の鳥が現れる事はなかったという。結局ジヴリールの目撃談も数ある「幻の生き物」遭遇話に埋もれて行くのだが――直に拝んだ七色の光を、見間違いとは切り捨てられなかった。
「暑っ……」
蒸し蒸し、じめじめ。
故郷である砂漠も熱い所ではあったがゴールディの暑さは質が違う。カラッとした暑さではなく、水気の纏わりつくような暑さ。ジヴリールは砂漠地帯に慣れ親しんでいるからこそ、一際強い不快感を得てしまう。
しかし、人の多い都市部から離れてサウゼル大樹海の内部に入り込むだけでこうも違うものか。
「ぽかぽか陽気って感じだったのに密林に入った途端これだよ~……最悪」
樹海の方も気候はあまり変わらないと聞いたが……偶々湿気の強い時に立ち入ってしまったらしい。水でも浴びたい気分だが、生憎沐浴の準備はしていない。
「世界を知るための第一歩」等と意気込んではみたが、まさか始めの一歩で躓きかけるとは。服と肌がべたつく感触は最悪だ。
ゴールディには大樹海から得た原料を使用した名産品が沢山ある。試しに入ってみて、これらを作る原材料を少し拝めればいいな……と思ったが準備が甘かったらしい。「お試し」と軽く見ずに、しっかり事前情報を収集し装備を整えてから行くべきであった。
「んー……引き返した方がいい、かな?」
と、思い始めた矢先の事。
ガサリ。
背後で、茂みの揺れる音がした。咄嗟に振り向くと羽音と共に何かが上空へと飛び去る。空を見上げてその影を確認しようとしたが、頭上まで生い茂った葉が邪魔して見えない。
けれど音からして飛び去ったものがかなり巨大であった事がわかる。先程までそれがいた場所に向かうと……その場には巨大な爪跡が残されていた。
これを見て真っ先に思い付いたのが「ビッグオウム」の名だ。
ビッグオウム――ゴールディのゴブリン達が飼育と調教を一手に担い、空輸という独自の輸送経路を獲得するに至らせた三本足のオウム。商家の娘であるジヴリールは、噂に聞いたビッグオウムに関心を寄せた。
ロスガリア大陸全土で一般的普及には至らないものの、空に道を作るという発想は革新的だ。砂漠を通る行商は馬車が主流だったから余計に。
ここに来る前に実物を見せてもらったりもした。してもらったが故に――さっきまでいたはずの鳥はビッグオウムと、少し違うような気がする。
引き返すついでに、あれがなんだったのか調べてみる事にした。
●
「……あったー!!」
ジヴリールが開いている資料には、冒険者ギルドに寄せられた「幻の生き物」の目撃情報が集められている。誰かに一度しか目撃されず、生息地すら特定されていないため実在するかどうかも怪しい。もしかしたら見間違いや、目立ちたがりの嘘かもしれない――そんな生き物達の目撃談が記されている。ギルドとしてもそれが人に害為す魔物やクリーパーかもしれない以上、鼻から無視するわけにはいかずこうして纏めているのだろう。
して、その中にあった名は――「ビッグ・ファルコン」。
名の通り巨大な隼のような外見をしているが、最も特徴的なのは――
「七色に光る??」
目撃情報によるとすごくピカピカ光っていたらしい。カラフルに。目に毒な程に。
一瞬、見えたそれが七色に光っていたか思い出そうとしたが――見た時は逆光によりちゃんと色が認識できていなかった。なのであれが「七色に光っていなかった」とは言い切れない……かもしれない。
●
ともあれ、ジヴリールは準備を整えて再度大樹海へと向かった。
もうこうなったらビッグ・ファルコンをちゃんと拝んでみるまで気が済まなくなったのだ。
前回のように湿気に苦悩する事もなく、足跡のあった場所まで足を向かわせる。
あの場に(推定)ビッグ・ファルコンがいたのは何故か? あの場がビッグ・ファルコンの水場や餌場等であったりと、屯うにたる理由があるなら――再度訪れる可能性がある。
足跡の周辺を探すと、果たして湖があった。澄んだ水は飲水として好まれるだろう。
近くの茂みに隠れ、ジヴリールは様子を伺う。
…………。
「来ない……」
水場の場所を変えたのか、見間違いか、聞き間違いか。腑に落ちない気持ちを抱えつつ、隠れ場所を離れ来た道を戻ろうとした、その時。
上空から羽音と風を切る音。
ただの鳥が奏でるには大きすぎる。当然、振り返った。
――バサバサッ!!
「……い、いた……!」
ビッグオウムのように巨大だが、確かな隼の外観。そして――湖面を照らし輝く虹色の発光。
正しく、目撃談通りのビッグ・ファルコンそのものだった。
●
その後、ビッグ・ファルコンと思われる鳥は逃げ出した。
「見たよ! 本当にいたって、ビッグ・ファルコン!」
という証言も虚しく、ジヴリールが目撃した場所を幾ら調べても再び、幻の鳥が現れる事はなかったという。結局ジヴリールの目撃談も数ある「幻の生き物」遭遇話に埋もれて行くのだが――直に拝んだ七色の光を、見間違いとは切り捨てられなかった。