君と見る花
キャラクターノベル(グループ)制作 狐野径納品 2021年05月09日 12時50分48秒
春の訪れを感じるころ、エリック・ハルトマンはルーカ・ルンガルディエールとピクニックに行こうと考えた。
「春……」
ある丘を思い出す。
その丘は草地であるが、森に囲まれている。丘には大きな桜の木が数本生えている。
エリックが行ったときは、緑の大木であったが、今の時期ならば、花が見られるはずだ。
「一度見たほうがええな」
そこがどうなっているかわからないし、花の状況もわからない。
だから、エリックは確認に出掛けた。
現地には迷わず到着できた。
「これは……見事や」
桜の木は、淡い紅の花をたくさんまとっていた。
近寄ると、花とつぼみが混在してしているのがうかがえた。
満開は近いだろう。
早速、ルーカを誘うことにした。
ルーカはエリックに花見の話を聞き、ぱっと顔をほころばせた。
「それは楽しみです! いつ行きます? 明日でも、明後日でも……あ、お弁当用意したいので、明日だと突然すぎますね」
ルーカは家にある物を考えて作れなくはないとわかっている。せっかくならば、料理の腕は振るいたいところだ。
そうなると、材料をそろえる時間は必要である。
「明後日はいかがでしょうか、それか、その次くらいでしょうか」
とルーカが提案すると、エリックは笑顔で「明後日でええよ」と答える。
そこから話を進み、ブランチにしようと決まる。花見ができる場所が比較的近いからだ。
ルーカはうきうきしながら、何を作るかなど考え始めた。
翌日、材料をそろえ、下ごしらえがいるものはしておく。
出かけるときに着る服も出して、汚れがないかなど確認をした。花見に合わせて着たい服は東方の服だった。
当日の朝、ルーカは忙しく動く。
パンの匂いに釣られるようにエリックが起きてくる。
「ルーカ、早かったん?」
「そんなことありませんよ」
エリックはテーブルの上にある料理を見て、その通りだとは思わない。料理は品数がそれなりにあった。
ただ、ルーカが楽しみにしてくれていたのは伝わり嬉しかった。
エリックが見ていると、ルーカによってそれらは器に詰められ、バスケットに入れられていく。
「さっきの、すごくおいしそうな色だったし……今のふた閉めたとき、いい香がしたで」
「食べるまで少し待ってくださいね」
「当たり前や。せっかくのブランチなんやから。ただ、そこまで持つか……あのおいしそうな料理屋匂いを」
エリックは胃袋あたりを抑えた。
ルーカはクスっと笑って、作業を続行する。
バスケットに持っていく料理、飲み物などが収まった。
エリックはこのバスケットを持つつもりだったが、ルーカが着替えてくるというので待つことになる。
ルーカは急いで用意していた青地に花などが描かれている振袖とまとった。着物に合わせた帯を巻き、きちんと着られたか確認した。
しかし、エリックの元に出ようとして、動きが止まる。
似合わないと思われたらどうしようか、歩くならいつものような動きやすい格好の方がいいかもしれない――など考えた。
「ルーカ、どーかしたん?」
心配したエリックが声を掛けてきたため、先延ばしはできないため、すぐに向かった。
「すみません、お待たせしました」
ルーカが言いながらエリックを見た。
エリックは目を見開いていたけれども、ルーカと視線が合った瞬間、視線をそらした。
「いくで」
エリックは何事もなかったかのように、バスケットを持ち、ルーカをエスコートするように歩き出したのだった。
あの間は何だったのだろうか、とルーカは疑問に思った。
丘の下に立った時、さぁあと強めの風が吹いた。
青い空の下、淡い紅の花が揺れ、草地が青々として波のよう走った。
桜が見頃を迎え、青い空と緑の大地との間にたたずんでいた。
「きれいです」
ルーカは桜の木から目を離せなかった。
「ほんまか? よかった」
エリックはほっと胸をなでおろした。
二人は桜の木が比較的まとまって生えているところまで歩いた。
「ここに敷布、広げるん?」
「はい……どこで見ても素敵ですよね」
「この桜っとかあれば、そっちでもええで?」
エリックの問いに、ルーカは首を横に振った。
敷布を広げ、その上に二人は座った。
ルーカはバスケットから料理を取りだして並べる。
パンやぶどうなどの果物、パンに載せることもできる野菜など具材、飲み物を詰めた瓶などだ。
見るからにおいしそうだった。
早速、食事が始まる。
エリックは野菜や肉を取ると挟んで食べる。
「この肉、ちょうどいいあんばいやな。野菜で挟むとこれまたうまい」
と料理を褒める。さらに、パンに具を載せたり、色々試す。どれもこれもおいしいため、エリックは褒めていた。
ルーカは笑顔で、
「褒めてもらえるとすごく嬉しいです。」
という。褒めてもらえることは作り手として嬉しいし、次も腕を振るいたいという原動力にもなる。
「当たり前や。うちがおいしいと思っているのは見ていればわかるかもしれん。でも、言葉も大切や。それに、伝えたい、うちが」
エリックは真摯に告げた。そして、また料理を手にする。
「このソースがなぁ……て、うちだけ食べてしもうて」
「そのために作っているんですよ」
「作った人も食べてこそや。それに、朝からずっと動いとるで」
エリックは、特においしかった組み合わせの野菜と具材を包むと、ルーカの口の高さに持っていき、口を開けるよう促す。
ルーカは小さくかじり取り、咀嚼した。
「この組み合わせに気づくとはエリック、さすがです」
「うちがこれが好きそうやと分かってるルーカがさすがや」
エリックに褒められながらルーカは食べ終わる。
二人で食事を楽しんだ。
しばらくして、ルーカはバスケットからパンとチーズ、蜂蜜を掛けたデザートを取り出した。
「デザートになりますね」
とルーカは説明した。
食べると、三種の絶妙なバランスが、口の中に広がるのだった。
一通り食べ終わり、のんびりと景色を眺める。
強い風が吹いたとき、桜の花びら舞った。
ルーカの髪に花びらが引っかかる。
「ルーカ、きれいや」
と言われ、突然だったためルーカが驚く。
「髪にな、花びらが髪飾りのようについとる」
「ええ……取ってくれます」
「美しい髪を飾るものをなぜとらんとあかん? ま、何もなくても十分きれいや」
ルーカは花びらを取ろうとしていた手を止め、頬を赤らめエリックを見た。
エリックはルーカの髪に埋もれた花びらを取った。
花びらは風に乗って、ふわふわ飛ぶ。
エリックは少し考えた後、
「それよりな……その……服、似合ってるで」
「え?」
「最初見たとき、照れくさくて、つい、目そらしてしもた」
エリックは視線を桜にやる。しばらくしてから、ルーカを見る。
ルーカはあの時の間の理由を知り、ほっとしたと同時に嬉しくなる。
満開の桜に負けぬ笑みを浮かべ「ありがとうございます」という。
「ルーカ」
エリックはルーカに抱きつくと「これからもずっと一緒にいたい」と告げる。
「……私もです」
と答えるルーカの声はささやくようなものだが、エリックの耳元にしっかりと届く。
エリックはルーカの肩に手を置いたまま、身を離す。そして、ルーカの姿をしっかり確かめ、再び抱きついた。
ルーカは頬に、首に、肩に、背に――ぬくもりを感じつつ、己の気持ちを表すようにエリックの背に手を回すように伸ばした。
桜は、彼らを見守り、ただ、静かにたたずむ。
「春……」
ある丘を思い出す。
その丘は草地であるが、森に囲まれている。丘には大きな桜の木が数本生えている。
エリックが行ったときは、緑の大木であったが、今の時期ならば、花が見られるはずだ。
「一度見たほうがええな」
そこがどうなっているかわからないし、花の状況もわからない。
だから、エリックは確認に出掛けた。
現地には迷わず到着できた。
「これは……見事や」
桜の木は、淡い紅の花をたくさんまとっていた。
近寄ると、花とつぼみが混在してしているのがうかがえた。
満開は近いだろう。
早速、ルーカを誘うことにした。
ルーカはエリックに花見の話を聞き、ぱっと顔をほころばせた。
「それは楽しみです! いつ行きます? 明日でも、明後日でも……あ、お弁当用意したいので、明日だと突然すぎますね」
ルーカは家にある物を考えて作れなくはないとわかっている。せっかくならば、料理の腕は振るいたいところだ。
そうなると、材料をそろえる時間は必要である。
「明後日はいかがでしょうか、それか、その次くらいでしょうか」
とルーカが提案すると、エリックは笑顔で「明後日でええよ」と答える。
そこから話を進み、ブランチにしようと決まる。花見ができる場所が比較的近いからだ。
ルーカはうきうきしながら、何を作るかなど考え始めた。
翌日、材料をそろえ、下ごしらえがいるものはしておく。
出かけるときに着る服も出して、汚れがないかなど確認をした。花見に合わせて着たい服は東方の服だった。
当日の朝、ルーカは忙しく動く。
パンの匂いに釣られるようにエリックが起きてくる。
「ルーカ、早かったん?」
「そんなことありませんよ」
エリックはテーブルの上にある料理を見て、その通りだとは思わない。料理は品数がそれなりにあった。
ただ、ルーカが楽しみにしてくれていたのは伝わり嬉しかった。
エリックが見ていると、ルーカによってそれらは器に詰められ、バスケットに入れられていく。
「さっきの、すごくおいしそうな色だったし……今のふた閉めたとき、いい香がしたで」
「食べるまで少し待ってくださいね」
「当たり前や。せっかくのブランチなんやから。ただ、そこまで持つか……あのおいしそうな料理屋匂いを」
エリックは胃袋あたりを抑えた。
ルーカはクスっと笑って、作業を続行する。
バスケットに持っていく料理、飲み物などが収まった。
エリックはこのバスケットを持つつもりだったが、ルーカが着替えてくるというので待つことになる。
ルーカは急いで用意していた青地に花などが描かれている振袖とまとった。着物に合わせた帯を巻き、きちんと着られたか確認した。
しかし、エリックの元に出ようとして、動きが止まる。
似合わないと思われたらどうしようか、歩くならいつものような動きやすい格好の方がいいかもしれない――など考えた。
「ルーカ、どーかしたん?」
心配したエリックが声を掛けてきたため、先延ばしはできないため、すぐに向かった。
「すみません、お待たせしました」
ルーカが言いながらエリックを見た。
エリックは目を見開いていたけれども、ルーカと視線が合った瞬間、視線をそらした。
「いくで」
エリックは何事もなかったかのように、バスケットを持ち、ルーカをエスコートするように歩き出したのだった。
あの間は何だったのだろうか、とルーカは疑問に思った。
丘の下に立った時、さぁあと強めの風が吹いた。
青い空の下、淡い紅の花が揺れ、草地が青々として波のよう走った。
桜が見頃を迎え、青い空と緑の大地との間にたたずんでいた。
「きれいです」
ルーカは桜の木から目を離せなかった。
「ほんまか? よかった」
エリックはほっと胸をなでおろした。
二人は桜の木が比較的まとまって生えているところまで歩いた。
「ここに敷布、広げるん?」
「はい……どこで見ても素敵ですよね」
「この桜っとかあれば、そっちでもええで?」
エリックの問いに、ルーカは首を横に振った。
敷布を広げ、その上に二人は座った。
ルーカはバスケットから料理を取りだして並べる。
パンやぶどうなどの果物、パンに載せることもできる野菜など具材、飲み物を詰めた瓶などだ。
見るからにおいしそうだった。
早速、食事が始まる。
エリックは野菜や肉を取ると挟んで食べる。
「この肉、ちょうどいいあんばいやな。野菜で挟むとこれまたうまい」
と料理を褒める。さらに、パンに具を載せたり、色々試す。どれもこれもおいしいため、エリックは褒めていた。
ルーカは笑顔で、
「褒めてもらえるとすごく嬉しいです。」
という。褒めてもらえることは作り手として嬉しいし、次も腕を振るいたいという原動力にもなる。
「当たり前や。うちがおいしいと思っているのは見ていればわかるかもしれん。でも、言葉も大切や。それに、伝えたい、うちが」
エリックは真摯に告げた。そして、また料理を手にする。
「このソースがなぁ……て、うちだけ食べてしもうて」
「そのために作っているんですよ」
「作った人も食べてこそや。それに、朝からずっと動いとるで」
エリックは、特においしかった組み合わせの野菜と具材を包むと、ルーカの口の高さに持っていき、口を開けるよう促す。
ルーカは小さくかじり取り、咀嚼した。
「この組み合わせに気づくとはエリック、さすがです」
「うちがこれが好きそうやと分かってるルーカがさすがや」
エリックに褒められながらルーカは食べ終わる。
二人で食事を楽しんだ。
しばらくして、ルーカはバスケットからパンとチーズ、蜂蜜を掛けたデザートを取り出した。
「デザートになりますね」
とルーカは説明した。
食べると、三種の絶妙なバランスが、口の中に広がるのだった。
一通り食べ終わり、のんびりと景色を眺める。
強い風が吹いたとき、桜の花びら舞った。
ルーカの髪に花びらが引っかかる。
「ルーカ、きれいや」
と言われ、突然だったためルーカが驚く。
「髪にな、花びらが髪飾りのようについとる」
「ええ……取ってくれます」
「美しい髪を飾るものをなぜとらんとあかん? ま、何もなくても十分きれいや」
ルーカは花びらを取ろうとしていた手を止め、頬を赤らめエリックを見た。
エリックはルーカの髪に埋もれた花びらを取った。
花びらは風に乗って、ふわふわ飛ぶ。
エリックは少し考えた後、
「それよりな……その……服、似合ってるで」
「え?」
「最初見たとき、照れくさくて、つい、目そらしてしもた」
エリックは視線を桜にやる。しばらくしてから、ルーカを見る。
ルーカはあの時の間の理由を知り、ほっとしたと同時に嬉しくなる。
満開の桜に負けぬ笑みを浮かべ「ありがとうございます」という。
「ルーカ」
エリックはルーカに抱きつくと「これからもずっと一緒にいたい」と告げる。
「……私もです」
と答えるルーカの声はささやくようなものだが、エリックの耳元にしっかりと届く。
エリックはルーカの肩に手を置いたまま、身を離す。そして、ルーカの姿をしっかり確かめ、再び抱きついた。
ルーカは頬に、首に、肩に、背に――ぬくもりを感じつつ、己の気持ちを表すようにエリックの背に手を回すように伸ばした。
桜は、彼らを見守り、ただ、静かにたたずむ。