鳥籠の雛
王立アプリーリス魔法学院 イベントノベル(テーマ)制作 真柄 葉納品 2021年04月24日 19時25分56秒
「あれ、エシギ先輩じゃないですか。寮に来るなんて珍しいですね」
オウル寮2年鴨井 蓮は、エントランスに珍しい姿を見つけ駆け寄った。
「カモイ殿か、久しいな。うむ、寮長に呼ばれた故、降りてきた」
そんなレンを見下ろしながら、エシギは話しかける。
「寮長ですか? 寮長なら昨日からいませんよ」
「なに、不在か」
「いや、寮のどこかに居るみたいなんですけどね」
眉をしかめるエシギに、レンは困ったように告げた。
「そうか、困ったな。呼び出しはどうしたものか。探すにもあまり時間をかけては動物達の餌の時間に遅れるやもしれん……」
「あ、俺でよければ探すの手伝いましょうか?」
「いいのか」
「ええ、今日の課題は全て終わらせましたし、特にする事がありませんので」
「すまん、助かる」
と、自分の胸をどんと叩くレンに、エシギは深々と巨体を折った。
「や、やめてくださいよ。先輩に頭下げられるなんて、気まずいですよ!」
「ふむ、困らせたか。すまぬ」
と、戸惑うレンにエシギは深々と頭を下げる。
「だからっ!? はぁ……」
久しぶりに会った先輩が相変わらずすぎてレンは思わずため息をつく。
「とりあえず、何処から探します? 俺は資材室あたりが怪しいかなって思ってるんですけど」
「ふむ。外には出ていないのか」
「ええ、出てれば出口の防犯カメラが知らせますし、あの引きこも――じゃなかった、寮棟大好きシヅ寮長が外に出るわけないですよ」
「そうか。やはり寮内か」
「ええ、お供しますよ」
時刻は昼過ぎ。二人はシヅを探し、寮内を彷徨い始めた。
●
大鐘楼から聞こえる鐘の音が4時を告げていた。
散々オウル寮内を探し回った二人だったが、結局シヅを見つける事は出来なかった。
そして、二人は最後の可能性にかけ寮長室を訪れる。
「相変わらずですねこの部屋……」
『足の踏み場もない』の形容詞がこれほど似合う部屋もそうないだろう。レンは床に散らばるよくわからないもの達を踏まないよう慎重に部屋へ入った。
「本人しかわからぬ機能美、とでも言いそうだな」
レンに続き入室したエシギも、流石に呆れる。
「……うわっ! ゴキ●リ!?」
「いや、これは……ゴ〇ブリ型自動徘徊人形のようだな」
「趣味悪っ!?」
床でカサカサするそれを一瞬で見破ったエシギの魔道具知識に驚愕しつつ、レンは部屋を見渡した。
「これ、探しようがないですよ……全部片付けますか?」
「それは現実的ではないな、これを使うか」
と、部屋の状態にすでに心折れかけのレンに、エシギは小さな魔道具を差し出した。
「これは?」
「生体反応を探れるように作った魔道具だ」
「へぇ、探波の応用ですか」
レンは差し出されたそれに興味を惹かれる。
懐中時計のようなそれにはチェス盤のような格子状の線が刻まれている。
「うむ。この部屋には我々以外居ない。もし反応があればシヅ寮長である可能性がある」
「なるほど」
レンの反応を見つつエシギは魔道具を起動させる。すると魔道具にいくつかの光点が浮かんだ。
「あ、何か反応がありましたよ!」
「……いや、居ないな」
「え? 反応があるのにですか?」
魔道具には確かに何かが反応している。しかし、エシギは首を横に振った。
「反応が弱すぎる。これではよくて小動物。もしくは『本物』だな」
「ほんも……えっ!」
エシギの言っているモノが何を指すのか、一瞬わからず戸惑ったが、すぐに理解しレンは飛び上がる。
「仕方がない。やはり別の場所を――」
と、エシギが踵を返した、その時。
『――! ――――――!!!』
「あれ、何か聞こえませんでした?」
「ああ、確かに聞こえた」
二人は顔を見合わせると再び魔道具に視線を落とす。
光点の数は全部で20余り。二人は互いに視線を交えると静かに頷いた。
「我等の気配に反応したのであれば、可能性が消えたわけではないな。総当たりだ」
「はいっ!」
二人は部屋の中に示された光点を追い――。
「ねずみ! じゃないな、なんだこれ、キメラか……?」
「ふむ『本物』か。この部屋は危ない。逃げるがいい」
「猫……? いや、犬……? いや、馬……?」
「ベス! まさかベスか! なぜこのような所に……ミドリガメの貴殿にはこの場所は住みにくかろう。どうだ、我と来ぬか」
しらみつぶしに探していくと――。
『――――!!!』
「シ、シヅ寮長……?」
「……どうやら本物のようだ。しかし、なんと奇怪な」
二人はついにシヅを見つけた……のだが。
「なんでちっこくなってんですか。しかも鳥籠の中って」
「誰かに閉じ込められた……いや、魔道具の暴発か」
二人は小鳥用の鳥籠の中で何やら騒ぐシヅをまじまじと見つめる。
「声が聴きとれんな」
「……うーん、遮音障壁の魔法でもかかっているようですね」
「捕獲用の魔道具か。仕方があるまい。解除にかかるぞ」
「はいっ!」
二人は鳥籠に向かい、シヅ救出に乗り出した。
オウル寮2年鴨井 蓮は、エントランスに珍しい姿を見つけ駆け寄った。
「カモイ殿か、久しいな。うむ、寮長に呼ばれた故、降りてきた」
そんなレンを見下ろしながら、エシギは話しかける。
「寮長ですか? 寮長なら昨日からいませんよ」
「なに、不在か」
「いや、寮のどこかに居るみたいなんですけどね」
眉をしかめるエシギに、レンは困ったように告げた。
「そうか、困ったな。呼び出しはどうしたものか。探すにもあまり時間をかけては動物達の餌の時間に遅れるやもしれん……」
「あ、俺でよければ探すの手伝いましょうか?」
「いいのか」
「ええ、今日の課題は全て終わらせましたし、特にする事がありませんので」
「すまん、助かる」
と、自分の胸をどんと叩くレンに、エシギは深々と巨体を折った。
「や、やめてくださいよ。先輩に頭下げられるなんて、気まずいですよ!」
「ふむ、困らせたか。すまぬ」
と、戸惑うレンにエシギは深々と頭を下げる。
「だからっ!? はぁ……」
久しぶりに会った先輩が相変わらずすぎてレンは思わずため息をつく。
「とりあえず、何処から探します? 俺は資材室あたりが怪しいかなって思ってるんですけど」
「ふむ。外には出ていないのか」
「ええ、出てれば出口の防犯カメラが知らせますし、あの引きこも――じゃなかった、寮棟大好きシヅ寮長が外に出るわけないですよ」
「そうか。やはり寮内か」
「ええ、お供しますよ」
時刻は昼過ぎ。二人はシヅを探し、寮内を彷徨い始めた。
●
大鐘楼から聞こえる鐘の音が4時を告げていた。
散々オウル寮内を探し回った二人だったが、結局シヅを見つける事は出来なかった。
そして、二人は最後の可能性にかけ寮長室を訪れる。
「相変わらずですねこの部屋……」
『足の踏み場もない』の形容詞がこれほど似合う部屋もそうないだろう。レンは床に散らばるよくわからないもの達を踏まないよう慎重に部屋へ入った。
「本人しかわからぬ機能美、とでも言いそうだな」
レンに続き入室したエシギも、流石に呆れる。
「……うわっ! ゴキ●リ!?」
「いや、これは……ゴ〇ブリ型自動徘徊人形のようだな」
「趣味悪っ!?」
床でカサカサするそれを一瞬で見破ったエシギの魔道具知識に驚愕しつつ、レンは部屋を見渡した。
「これ、探しようがないですよ……全部片付けますか?」
「それは現実的ではないな、これを使うか」
と、部屋の状態にすでに心折れかけのレンに、エシギは小さな魔道具を差し出した。
「これは?」
「生体反応を探れるように作った魔道具だ」
「へぇ、探波の応用ですか」
レンは差し出されたそれに興味を惹かれる。
懐中時計のようなそれにはチェス盤のような格子状の線が刻まれている。
「うむ。この部屋には我々以外居ない。もし反応があればシヅ寮長である可能性がある」
「なるほど」
レンの反応を見つつエシギは魔道具を起動させる。すると魔道具にいくつかの光点が浮かんだ。
「あ、何か反応がありましたよ!」
「……いや、居ないな」
「え? 反応があるのにですか?」
魔道具には確かに何かが反応している。しかし、エシギは首を横に振った。
「反応が弱すぎる。これではよくて小動物。もしくは『本物』だな」
「ほんも……えっ!」
エシギの言っているモノが何を指すのか、一瞬わからず戸惑ったが、すぐに理解しレンは飛び上がる。
「仕方がない。やはり別の場所を――」
と、エシギが踵を返した、その時。
『――! ――――――!!!』
「あれ、何か聞こえませんでした?」
「ああ、確かに聞こえた」
二人は顔を見合わせると再び魔道具に視線を落とす。
光点の数は全部で20余り。二人は互いに視線を交えると静かに頷いた。
「我等の気配に反応したのであれば、可能性が消えたわけではないな。総当たりだ」
「はいっ!」
二人は部屋の中に示された光点を追い――。
「ねずみ! じゃないな、なんだこれ、キメラか……?」
「ふむ『本物』か。この部屋は危ない。逃げるがいい」
「猫……? いや、犬……? いや、馬……?」
「ベス! まさかベスか! なぜこのような所に……ミドリガメの貴殿にはこの場所は住みにくかろう。どうだ、我と来ぬか」
しらみつぶしに探していくと――。
『――――!!!』
「シ、シヅ寮長……?」
「……どうやら本物のようだ。しかし、なんと奇怪な」
二人はついにシヅを見つけた……のだが。
「なんでちっこくなってんですか。しかも鳥籠の中って」
「誰かに閉じ込められた……いや、魔道具の暴発か」
二人は小鳥用の鳥籠の中で何やら騒ぐシヅをまじまじと見つめる。
「声が聴きとれんな」
「……うーん、遮音障壁の魔法でもかかっているようですね」
「捕獲用の魔道具か。仕方があるまい。解除にかかるぞ」
「はいっ!」
二人は鳥籠に向かい、シヅ救出に乗り出した。