深窓の死神
王立アプリーリス魔法学院 イベントノベル(テーマ)制作 STANZA納品 2021年04月13日 20時16分25秒
王立アプリーリス魔法学院、オウル寮。
その三年生に、『深窓の死神』という二つ名を持つ生徒がいる。
二年の飛び級で入学を果たしたその天才少女は、入学初日から異彩を放っていた。
広大かつ複雑な上に魔法的なギミック満載、新入生が案内人なしで歩けば必ず迷子になると言われるこの学院を、なんと地図も持たずに完全踏破するという偉業を成し遂げたのだ。
「私…… 視えるから」
何故そんな事が出来るのかと問われた彼女――エルナ・クルプファルツは事もなげに言った。
そう、彼女は類まれなる探知魔法の才に恵まれていたのだ。
しかし残念なことに、コミュニケーションの才には恵まれなかった様だ。
その冷たく突き放す様な物言いと続かない会話、読まない空気、馴染まない存在感。
顔に書かれた「人付き合いとか面倒くさい」の文字を隠そうともせず、授業中も休み時間も窓際でじっと何かを見つめる瞳は常に緋色の輝きを帯びていた。
あれは誰かを呪っているに違いない、あの瞳で見つめられたら心の奥底に隠した秘密まで全てを見透かされてしまう――そんな囁きが噂となって学院の隅々まで広がるのに、そう時間はかからなかった。
かくして深窓の死神は今日もひとり窓辺に立ち、その緋色く光る瞳で誰かを呪い続けている。
だがしかし、本当にそうだろうか。
漠然としたイメージだけで、何となく決めつけてはいないだろうか。
結論を言おう。
あんな可愛い子が死神の筈がないッ!
もしそうなら、数日にわたる密やかな尾行の末にこの黄金の髪を手に入れた瞬間、我々は死の世界にこの身を置いている筈ッ!
申し遅れたが、我々は魔法新聞部である。
魔法ジャーナリストとして、無知と偏見に覆い隠された真実を明らかにし、広く世に知らしめるのが我々の責務である。
というわけで、我々はこれより突撃取材を敢行する。
なにさ、新聞部が実況したって良いじゃない!
この一本の髪、これを小指に巻き付ければ準備は完了、これが運命の赤い糸の如く彼女の心と我々の心を繋げてくれる。
ただし悲しいかな一方通行だが、今の我々にとっては好都合。
そう、これは……心の盗聴である!
プライバシー?
オウル寮にそんなものがあると思うか!
では早速、リンク開始!
おぉ……聞こえる、聞こえるぞ、彼女の心の声が……
『……焼きそばパン……』
何だ今の声は!?
何かの符牒か、それとも――
待て次回!
その三年生に、『深窓の死神』という二つ名を持つ生徒がいる。
二年の飛び級で入学を果たしたその天才少女は、入学初日から異彩を放っていた。
広大かつ複雑な上に魔法的なギミック満載、新入生が案内人なしで歩けば必ず迷子になると言われるこの学院を、なんと地図も持たずに完全踏破するという偉業を成し遂げたのだ。
「私…… 視えるから」
何故そんな事が出来るのかと問われた彼女――エルナ・クルプファルツは事もなげに言った。
そう、彼女は類まれなる探知魔法の才に恵まれていたのだ。
しかし残念なことに、コミュニケーションの才には恵まれなかった様だ。
その冷たく突き放す様な物言いと続かない会話、読まない空気、馴染まない存在感。
顔に書かれた「人付き合いとか面倒くさい」の文字を隠そうともせず、授業中も休み時間も窓際でじっと何かを見つめる瞳は常に緋色の輝きを帯びていた。
あれは誰かを呪っているに違いない、あの瞳で見つめられたら心の奥底に隠した秘密まで全てを見透かされてしまう――そんな囁きが噂となって学院の隅々まで広がるのに、そう時間はかからなかった。
かくして深窓の死神は今日もひとり窓辺に立ち、その緋色く光る瞳で誰かを呪い続けている。
だがしかし、本当にそうだろうか。
漠然としたイメージだけで、何となく決めつけてはいないだろうか。
結論を言おう。
あんな可愛い子が死神の筈がないッ!
もしそうなら、数日にわたる密やかな尾行の末にこの黄金の髪を手に入れた瞬間、我々は死の世界にこの身を置いている筈ッ!
申し遅れたが、我々は魔法新聞部である。
魔法ジャーナリストとして、無知と偏見に覆い隠された真実を明らかにし、広く世に知らしめるのが我々の責務である。
というわけで、我々はこれより突撃取材を敢行する。
なにさ、新聞部が実況したって良いじゃない!
この一本の髪、これを小指に巻き付ければ準備は完了、これが運命の赤い糸の如く彼女の心と我々の心を繋げてくれる。
ただし悲しいかな一方通行だが、今の我々にとっては好都合。
そう、これは……心の盗聴である!
プライバシー?
オウル寮にそんなものがあると思うか!
では早速、リンク開始!
おぉ……聞こえる、聞こえるぞ、彼女の心の声が……
『……焼きそばパン……』
何だ今の声は!?
何かの符牒か、それとも――
待て次回!